白い封筒

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  • 登場人物が死ぬの無し
  • 性的描写無し
  • 暴力描写無し
1人目

私は通学中だ。
いつもの様な朝。昼間より少しだけ湿度が少なくて、風が少し気持ちいい。
眠いななんて思いながら電車を待っているといつの様に友人のカナが話しかけてきた。
「おはよう。宿題やってきた」
「けっこう時間かかったけどね」
世話焼きのカナはなんでも確認してくる。
まあ確かに良い友人で助かっているんだけどね。
「どころでさ、白い封筒の噂知ってる?」
私は初耳だった。どんな噂か聞いてみた。
「ある朝突然学校の机の中に白い封筒が置いてあるんだって。その白い封筒の中にはその人の運命が書いてあるらしいよ」
私は脱力した。
「しょうもないイタズラだね。ウチの学校にそんな暇人がいるの?」
「いやいやそれがけっこうみんな真面目に受け取ってるよ。隣のクラスの男子がこの間白い封筒が来たらしくて真剣に悩んでるらしいよ」
カナは真剣そうだ。
「じゃあその白い封筒が私のところに来たらカナに相談するよ」
話題を区切るとまた別の他愛のない会話に移った。

2人目

そして、学校へと着いた。
私はそのまま上履きに履き替え、階段を上がり、教室に入室して、自席へとつき、鞄に入れてきた教材を机の中に突っ込む。ただのいつも通りのルーティンだ。
そして、多数の教材を机の中に入れようときた時、グシャっと紙が潰れたような音がした。
「あれ?なんかプリント入れてたっけな?」
「今日提出の宿題だったりして」
「だから昨日ちゃんとやったって……」
冗談を言うカナに呆れながら、私はその紙の正体を探った。
紙を掴み、取り出してみると、それは紛うごとなき、「白い封筒」だったのだ。
「これって……」
「「白い封筒」じゃん!何であんの?!」
横の席のカナがLED電球のように目を輝かせな
がら、「白い封筒」を眺めた。省エネ電球JK。なんか安っぽいな。
「え!?え!?ちょっと開けてみてよー」
「えーもしこれが本当に噂の「白い封筒」だった場合、ここに私の運命の人が書かれているわけでしょ?」
「うん!だから開けてみてよ!」

「———いや、私は見たくないかなぁ」

私がそう告げた瞬間、カナは目を丸くして、口をぽかーんとさせていた。
完全に放心状態になっているよ……この女。