喫茶店の女性に恋する大学生
ここは、来生泪、来生瞳、来生愛の美人三姉妹が営んでいる喫茶店「キャッツアイ」その店の端で、大学生である坂本始は、いつものように大学の課題をやっていた。
「あら?始君、今日も大学の課題を頑張っているのね」
坂本始に声をかけてきたのは、喫茶店「キャッツアイ」のオーナーで、美人三姉妹の長女、来生泪であった。
泪との出会いは、始が、静かに大学の課題ができる場所を探していたところ、ようやく見つけたのが、喫茶店「キャッツアイ」だった。
何度かお店に行くうちに、顔と名前を覚えてもらえていたのである。
「はい。いつも、お店で課題をやらせてもらってすみません」
「良いのよ。大学の課題は大変だものね。はい、サンドイッチとドリンク置いておくから、休憩しながら、頑張るのよ」
泪は、お盆からサンドイッチとドリンクをテーブルに置くとカウンターへと戻っていく。
そんな泪の後ろ姿を見ながら、顔を少し赤くしていた。
実は、坂本始は、優しく接してくれる来生泪のことが気になっていたのである。
しかし、美人なうえにスタイルが良いため、緊張してしまい、注文の時以外では、なかなか声をかけられずにいた。
「本当に綺麗なお姉さんだな……美人だし、スタイルも良くて、それにこんな僕にも優しく接してくれる優しさ。好きな人とか、居るのかな……」
始は、サンドイッチを口にしながら、泪の姿を見ながら、頭の中で会話していた。始にとっては、初めて異性で好意を持った女性だった。
だが、始はまだ知らなかった。好意を持ってしまった彼女の正体が、世間で有名な怪盗キャッツアイの1人だということを……
課題を続けていると、一人の男性が店に訪れていた。その男性は、店に入ると直ぐに瞳という女性店員の名前を呼んでいた。彼女がカウンターに出てくると、その男性は笑みを浮かべていた。
「あら?トシ、今日はどうしたの?またキャッツを逃してしまったから、課長に叱られちゃったのかしら?」
「はあ……そうなんだよ。だから、瞳に元気づけてもらおうかなって思って、店に来たんだ」
どうやら彼は、キャッツアイを逮捕しようとしている犬鳴警察署の人らしい。
「瞳さんは、あだ名で呼んで、警察の人は、瞳と呼んでいるところを見ると、二人は恋人同士なのかな……」
課題をしながらも、始は二人の関係が気になってしまっていた。
「そういえば、確かまたキャッツから予告状が来たみたいね?」
「そうなんだよ。どうやら、今夜20時に、タワービルの中の絵画展に飾ってある女性の絵画を盗みに来るとのことだから、これからそのタワービルに行かなければならないんだ」
「そうなの……頑張ってね、トシ」
「ああ……今度こそ、キャッツを捕まえてやる!!」
そう言うと、男性は勢いよくお店を出て行った。