夜のプール
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1週間前
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プールの水が、月光を呑んで黒く沈んでいる。
深い、深い、闇だ。
水面にわずかに波紋が揺れる。その揺らぎは、単なる風の戯れではなかった。
深い闇の底で、何かが蠢いている。
粘りつくような、しかし形を持たない影。
それは、ゆっくりと、しかし確かに、その存在感を増している。
コンクリートの壁は濡れて鈍く光り、塩素の匂いが夜の空気に重くのしかかっている。
ここは、夜のプール。
地上にあってはならない、もう一つの世界。
若者は、プールの縁に立った。
彼が身につけているのは、黒い競泳水着だけ。
水着の布地は薄く、男のシンボルの形がくっきりと浮かび上がる。
若者は、迷うことなくその水の中へと身を投じた。
音は、ほとんどしなかった。
水は、彼を静かに受け入れた。
その瞬間、若者の意識は、現実から切り離された。