やり直し
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ふいに、光の粒子が部屋の中に流れ込んできたような錯覚に陥った。 ネオンの赤は血のようで、青は凍えた心臓のようだった。私はその光の中に手を差し出し、自らの輪郭が曖昧になっていくのを眺めていた。 これまでの私は、鏡の破片を繋ぎ合わせたような偽物だった。その一つ一つを丁寧に剥がしていく。痛みを伴う作業だが、不思議と心は凪いでいた。
繋ぎ合わされた最後の一片が剥がれ落ちたとき、そこには何が残るのだろう。
あるいは、最初から何もなかったのかもしれない。
空っぽの器が、ただ社会の期待という液体で満たされていたに過ぎない。
私は窓辺に腰掛け、夜風に身を任せた。冷たい風が、私の中に澱んでいた醜い熱を少しずつ奪っていく。
夜が明ける頃には、私はきっと、名前も過去も持たない「無」という名の新しい生き物になっているはずだ。