醜悪さを武器に変え、夜に溶ける道
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妙な高揚感が背筋を駆け上がった。
「自分を殺す」とは、なにも消滅させることだけではない。この自分の醜さを、塗りつぶしようのない業を、そのまま剥き出しにして生きていくことだ。
私はクローゼットから、最も地味で、最も周囲に溶け込めるグレーのコートを引っ張り出した。これまでは「善良な市民」という盾だったこの服が、これからは「獲物を狙う獣」の毛皮になる。
鏡の中の私は、かつて見たことがないほど冷酷な目をしていた。 私は部屋の明かりを消した。暗闇の中で、東京の毒々しい光だけが部屋を満たす。
「さようなら、つまらない私」
私は鍵を手に取り、部屋を飛び出した。アスファルトの上を這う光の渦へと、自ら飲み込まれるために。