スーパーロボット大戦relayb 第2部 -激動する宇宙-
「プロローグ」
ガンダム、マジンガーZ、ゲッターロボ…混沌とした地球圏の希望となり続けた
鋼鉄の巨人たち。
「一年戦争」「地底勢力の反乱」「宇宙からの侵略者」
それらの脅威と戦い続ける彼らにもたらされた一大計画。
「プロジェクト・リレイブ」。
これまで人々の平和を守ってきた巨大ロボット達を一同に集め、
地球を護る盾にすると言うもの。
その考えに賛同し、続々と集結するスーパーロボットたち。
しかし、それを快く思わない者たちもいた。
機械獣を凌ぐ力を持つ戦闘獣を下僕とする新たなる地底世界の覇者「ミケーネ帝国」。
プロジェクト・リレイブによって自分たちの地位が脅かされる事を危惧した
地球連邦軍のエリート部隊、「ティターンズ」。
一度は滅びたと思われたものの、復活の時を待つ「恐竜帝国」。
鬼の一族「百鬼帝国」とそれに協力する謎の男「安倍晴明」。
極めて近く、限りなく遠い世界からやって来た異邦人たち…
「プロジェクト・リレイブ」は、失われた平和を取り戻す「希望」となるか?
はたまた、新たな戦乱を呼び込む「絶望」となるか?
戦いは、新たなる局面へと進んでいく…
——科学要塞研究所横・アーガマ
「艦長、どうも様子が変じゃないか?」
「大尉の仰りたいことはわかります。 我々は艦を降りずに事態の把握に努めましょう」
あのあと、ゲッターロボの介入により再び姿を消した3帝国、現状の整理の為にアーガマはカイのガンダムを回収し科学要塞研究所に来ていた。
「ブライトさんよぉ、なんだって俺が独房なんかに入れられにゃならねぇんだ。 シャアもサングラスなんかしちまってよ」
カイの話は信じられないものだった。 しかし、エゥーゴという組織の成り立ちを考えたらそう遠いものでもない。 が、決定的に違うのはアムロの死。
「カイ、驚かずにこれを読んでくれ」
ブライトが寄越した端末をひったくるように奪うカイ。 しばらく集中して情報を読み取ると、吐き捨てるように
「なんとなくそういうこったろうとは思ったけど、こっちはそんなことになってるのか……」
「驚かないんだな」
「まぁ、充分驚いちゃいるが……そっちも驚いたろ? 特にクワトロ大尉さんはよ」
「……そうだな」
「そうか……こっちじゃアムロのやつ生きて」
「そちらの私の監督不行き届きだ。 すまない」
「竜馬が行く」
「どう言う事だ、晴明! あのゲッターは何だ? ワシにも分かるように説明しろ!」
撤退を余儀なくされた悪の3勢力。その後、晴明はバット将軍に呼び出されていた。
ゲッターロボと言えば、恐竜帝国にとっては忘れようにも忘れられない怨敵。
しかし、彼らの前に現れたのは、未だかつて見たことも無いゲッターロボだった。
「ゲッタァァァ! ビィィィィムゥゥゥ!!」
玉砕覚悟で敵陣に特攻を仕掛けようとしたグレートマジンガーを遮るように、
天から降り注ぐ大出力のビームが全てを蒸発させていく。
「ようやく会えたな、晴明!」
「我を追って現れたか、流竜馬! 大人しく黒平安京にて朽ち果てていれば
良かったものをォ!」
鬼神の如き勢いで、行く手を阻む敵を大型のトマホークで薙ぎ払っていくゲッター1。
「くそ、邪魔だ雑魚ども! どきやがれ!」
「ククク、流竜馬。貴様は永遠に我を殺せぬ!」
晴明を握り潰そうと手を伸ばすも、
大量の呪符が舞い散り、晴明の姿はこつ然と消えていた。
「ええい、晴明とあの新ゲッターロボのおかげで指揮系統がメチャクチャだ!
撤退、ひとまず撤退せよ!」
「今は…話すことはできませんね。唯一言えるのは彼らもゲッターに選ばれた戦士と言うべきでしょうね。」
「ゲッターに…選ばれただと?」
「貴方たちハチュウ人類がいちばんよく分かるはずです。なぜ人類がゲッター線を使ってもなんともないのか。なぜハチュウ人類がゲッター線を浴びたら溶けていくのか。」
「…ゲッターに選ばれなかったとでも言うのか…!」
「…しかし、今回は勝手な行動が過ぎましたね。以後気をつけましょう。」
清明は軽く謝罪をする。
「ふふふ。まぁ良いでは無いかバット将軍よ。」
玉座からブライ大帝が宥める。
「ブライ大帝…」
「我々がなんでミケーネらと手を組んだか、それはこのような不測の事態に対応するためだ。決して1つの勢力ではどうしようもない。」
「皮肉なものだな…。あれほど忌み嫌ったゲッターロボの3つの心を1つにするがこれ程効果的なものだったとはな。」
「まったくだ。今回のは挨拶程度だ。バット将軍よ。少し休むといい。」
「…はっ。」
バット将軍は部屋に案内され、少し腰をおちつける。
『…ゴール様。』
『…同盟はどうだ?』
『今のところは、ミケーネもまだ協力的です。』
「バット将軍よ。 くれぐれも早乙女ミチルの件は他の者に洩らすでないぞ」
『ミチルめは大事な切り札ですからな。 こやつを使ってこのバット将軍が必ずや憎きゲッターロボを八つ裂きにし、御身再生のお見舞いの品としてその首を献上してご覧に入れます』
「よく言ったバット将軍。 ほかの連中はともかく、ゲッターロボは絶対に我々の手で仕留めるのだ。 良いな?」
『ハハッ、恐竜帝国の誇りにかけて!』
——南極・UFO内部
物陰から再生の終わらぬゴールとバット将軍の通信を聞く者がいた
(皆既日食を迎えるまでもう僅かしかない……本当はお別れを言うだけのつもりだったけれど、ミチルさんは私の命に変えてもお父様の元へお返しします)
——科学要塞研究所
「すると君たちは、その安倍晴明を追って現れたと」
「そんなことより所長、早乙女研究所にはどう説明するんです?」
「どうもこうもあるまい。 ありのままを説明する他は」
「例のアーガマという戦艦もティターンズを相手に戦うエゥーゴという新しい組織のものって話ですが、その話をしてからはこっちの呼びかけからもう1時間近く経つってのに誰一人降りちゃ来ないんですよ?」
「アステロイド・ブルース」
同盟を結びながらも、それぞれの打算と思惑が絡み合う悪の勢力。
カイ・シデンが異なる世界線を生きてきた者であるならば、新ゲッターロボと安倍晴明も、また…
ところ変わって、宇宙。
今日の食い扶持を追い、だがしかし何よりも自由を求め、エーテルの海を駆け抜ける者達がいた。
「キッド、ボウィー、逃がすな」
「OK、分かってますよ!」
アステロイドの隕石群を掻い潜り逃げる高速艇。
それを追うダークマゼンタと白い宇宙船。
ソードフィッシュⅡとブライスター。
「当然。逃がしゃしねえさ。肉抜きの青椒肉絲はそろそろウンザリしてる所なんでね」
「もらった!」
2機の照準がロックされたのはほぼ同時。ブラスターが高速艇の針路を塞ぎ、プラズマカノンが動力部を一直線に射抜く。
高速艇は爆発する事無く、その動きを止めた。
「ビンゴ!」
「いやしかし、俺ちゃんの操縦テクとキッドさんの狙撃の腕前についてくるとは
流石に名の売れたカウボーイですなぁ」
「スパイク・スピーゲル、か」
賞金稼ぎのカウボーイと宇宙の始末屋・コズモレンジャーJ9。
彼らが追っていたのは…
「分岐した世界のパイロット」
(……ここは……。僕はあの時、死んだはず……。なぜ生きているんだ……)
各種残量は底をつきかけている。
(……だが、どうして地球にいるんだろうか。さっきまで宇宙にいたはずなのに)
モニター越しに外を見ると、美しい水色の空が見えた。
自分がいる場所に疑問に思うパイロットの耳に、清らかな声が響く。
――エリアルド・ハンター。あなたが名誉と誇りを胸に抱いて入隊したティターンズは変わってしまっています。
清らか声は続けて言う。
――ティターンズはエゥーゴと交戦状態であることは知っていますね? ですが、本当の敵はティターンズなのです。エリアルド、あなたには信じられないことでしょうが……。
「ならば、僕はどうすればいい」
――幸いにも、この世界の地球にはアーガマという船があります。救難信号を出せば、彼らはあなたを救ってくださるでしょう。そのガンダム、ウーンドウォートEX……ハイゼンスレイII・ラーを駆って……。
清らかな声はそこで途絶えた。
エリアルドは清らかな声の言葉通りに、救難信号を出した。
「…おいおい誰も乗ってないのか…?」
高速艇はもぬけの殻だった。隠れているのかそれとも逃げ出したのか。これもわからなかった。
「……そこの嬢ちゃん。」
だが気づいたのはスパイクだった。
「…!」
「嬢ちゃん。あんたが操縦してたのは分かってらァ。だがな。隠れて何かをしようってのは宜しくないな。」
ブラスターキッドこと、木戸丈太郎も女性に気づいて銃を突きつける。
「…」
女性は最早これまで…と思い手を挙げる。
「そうだ。それでいい…」
スパイクが拘束しようと近づく。
だが、直後に
「ペガス!!」
女性が叫ぶと3m近いロボットが現れる。
「なっ!?」
「護衛か!」
スパイクとキッドが臨戦態勢をとるも、高速艇内にもかかわらず高速で接近するロボットに対処出来ず女性を攫われてしまう。
「ちっ!逃がすかよ!」
スパイクが撃つ。
「待てスパイク!その軌道だと!」
スパイクが撃った先にはあの女性がいた。
「や、やべぇ!?」
「テックセクター!」
すると女性は光に包まれる。銃弾はなんと弾き返されてしまう。
そしてそのまま脱走されてしまう。
「…何者だ…?」
「アーガマじゃなくて悪いな」
「いや、それは……」
エリアルドの救難信号をキャッチしたのは、カラバという組織だった。
「しかし、なんだ、このでっかいモビルスーツは……」
「見慣れたこの顔はガンダムだってことぐらいしかわかんねぇな」
彼の乗っていたMSを物珍しそうに見ているカラバの構成員達。
「それにしても、エリアルド、って言ったっけ、あんちゃん。なんで、MSもお前もボロボロだったんだ?」
「……言っても信じてもらえないかもしれないが……」
エリアルドは、グリプス戦役末期、ウーンドウォートEXの破壊という使命を帯びていた。
このMSと運命を共にするつもりで、戦場を駆け抜け、自身とMSをコロニーレーザーの光で消し去った。帰る場所も守るべきものもなくしたのだから、と。
「んで、その後、気がついたら地球にいて、キレイな女性の声に導かれて、か……」
「にわかには信じがたいけど、エリアルドはなにかを成すために、こうやって生きているんだろうな。……わかった。乗りかかった舟だ。俺達がなんとかしてやるよ」
「ありがとうございます」
「インターミッション」
「説明して貰いたいんだが、機械獣とか恐竜とかいつから出てきたんだ。俺たちの世界にこんな厄介なもの居なかったぜ。ブライトさんよぉ、こっちの俺達はこんな世界で一年戦争やってたの?」
「…3年だ。3年前にジオン公国が独立戦争を始めた。時を同じくして、恐竜帝国が侵略を開始した」
「地底から恐竜が攻めてきてるのに、宇宙では人間同士のドンパチとは人類ってぇのは、血に飢えた生き物だわ。悪りぃ茶化す気はないんだが、な」
ブライトは嘘をついていない。
それは分かる。
資料だけじゃ納得出来ないこともある。
「ジオン共和国ってのも、よくわからねえ。この和平協定は無効になってないのか?」
「和平協定があるから、私がここに居る。そう思ってくれて構わない」
「大佐、あんたが和平協定を潰したんだよ、俺の世界では。ジオン共和国は生まれず、サイド3は地球連邦の直轄地になったのヨ」
カイが話した世界の話では、
アムロ亡き後のホワイトベースはシャア大佐と手を組み、サイド3へ攻め込んだと言うのだ。
人の革新を信じ、復讐心に負けた、と。
にわかには信じがたい。
「遠くて近い世界か」
「マーズ・ゴールド」
——小惑星内部・ブライスター
『えぇー、じゃあ逃しちゃったんですか? ホントのホントにロケットの中は空っぽ?』
「だーから、空っぽじゃなくて女とロボット!」
『ええ、いや、そうなんでゲスがね……』
男は何やらぶつぶつと言いながら焦っている。
「で、今回は何を隠してるんだポンチョさんよ」
『やだなぁスパイクさんまで最近あっしの扱いが他の皆さんに似てきちゃってもう』
「ポンチョ。 詳しく聞かせてもらうぞ」
戻ってきたアイザックはブライスターのコンソールにバサリと資料を置く。
「なになに? ワールド銀行の会長さんがロケットの航路を調べ回ってるとな?」
「で、それには金塊が絡んでいると……」
「ポンチョ、この仕事を誰から請けた」
ギクリとポンチョはバツの悪そうな顔をする。
『いやー、その……あっしも情報屋ですからね。 情報源はおいそれとはですね……』
「ではもうひとつ。 最近、火星から金塊が持ち出されたとか」
『アイザックさん。 この話はこの辺で……あっし今回は手を引きます』
余程探られた腹が痛かったのだろう。 ポンチョは珍しく真面目な顔をして通信を切る。
「See you space cowboy」
カイ・シデン、エリアルド・ハンター。
異なる歴史を辿った、所謂「分岐した世界」のパイロットたち。
彼らがこの世界に現れたのは偶然か、それとも……
ーー酒場。
「ったく、アンタらの所の情報屋とやらも随分なタヌキだな。
まだ色々と隠し事があると見える」
ひと仕事を終え、スパイクとキッドは
バーのカウンターで酒を酌み交わしていた。
『アミーゴ~! カウボーイのみんな、今日も頑張ってるかぁい!?』
『賞金首のホットなニュースをお届けする、BIG SHOTの時間よ~ん』
場末のTV番組が、カウンター横のスペースのモニター越しに囀ずっている。
「景気付けだ。今日は俺が一杯奢るよ」
「へえ、地獄の沙汰も金次第。
コズモレンジャーJ9サマの奢りたぁ、後が怖いねえ。
それにしてもあの女は何だったんだか」
ペガスと言う名のロボットを連れ、スパイクやキッドの前から消えた女。
「女は化けるって言うからな。そう言や、アンタ火星出身だったっけ」
「金塊がどうとか言う話か。夢のある話だな。
しかし、ポンチョのあの態度。よほどのヤマと見たな」
——破嵐邸
「いやー、まさか小惑星に擬装して僕が金塊を隠してるとは思わないだろうと踏んでいたけど、甘かったかな」
「そのようですな。 次からは運び出すにしてももう少し慎重になさいませんと」
「手厳しいご意見どうも。 アイザック氏にはお近づきの印に宝の地図も渡してくれたかい?」
「えぇ。 直接お話ししなくてよろしかったのですか?」
「そうしたいのはやまやまだけど、こちらも準備が必要だからね。 今回はラブコールに気付いてくれさえすればいいさ」
——小惑星
「うっひょおー! 見てよ見てよ見なさいよ! 見渡す限りの金!金!金!金の山! どうしちゃったのよアイザックさんこの黄金の小惑星」
「情報源は小惑星の持ち主なんだろ? なんでまた気前良く俺たちにこんなプレゼントを?」
「どうやら依頼前の手付け金のつもりらしい」
「らしい? なんか妙な言い方」
「というのも、相手は依頼内容どころか一切の素性を明らかにしていない。 俺はこの金塊の主に会って確かめたいことがある」
「え、じゃ何? この金塊の山はまだ僕ちゃんたちのものには?」
「ならんな。 これが盗品である可能性もある」
「んな殺生な!」
「集結!! ゲッターロボGとネオゲッターロボ」
コズモレンジャーJ9との接触を図る、謎の快男児。
一方…
――早乙女研究所。
「お久しぶりです、早乙女博士」
一文字號/橘翔/大道凱…プラズマエネルギーを動力源とする
ネオゲッターロボのパイロットたちが、恐竜帝国との遭遇・戦闘を経て
ここ、早乙女研への凱旋を果たしていた。
「アンタらが初代ゲッターチームってか。まあ、よろしく頼まぁ!」
竜馬との乱暴な握手を交わす號。新旧ゲッターチームの邂逅。
「あ、ああ…よろしく。それにしても、恐竜帝国が滅んでいなかったとは…」
「それだけではない。奴らはミケーネ帝国、そして新たなる敵、百鬼帝国とも
手を組んでいる事が鉄也くんからの情報で分かった」
「俺たちが訓練に明け暮れている間に、随分と状況は目まぐるしく変わっちまったわけだな。
だが、ベンケイも随分とモノになった。遅れた分を取り戻してやろうぜ」
「おう! 任せんしゃい!」
神隼人と車弁慶も意気込みを新たにする。
「翔くん…話は変わるが、ミチルは…」
「申し訳ありません。教官の安否については未だ詳しい情報は分からず…」
-アーガマ独房-
「各サイド間の物資をスムーズに運ぶために亜空間ゲートが作られた、と」
まず最初に作られたのは地球から最も遠いサイド3。
新しい技術には失敗が付き物。
地球の近くに繋ぐ予定が火星にゲートが繋がっちまった。
新しいフロンティア、ようこそ火星へ、ってな感じか?
-どこかの酒場-
「スパイク。火星で一儲けは出来たのかい?」
バーテンダーがカウボーイに話しかける。
「どっちも向いても酷いもんさ。
スペースマフィアに宇宙海賊、ヒューマンデブリ、
お偉いさんは私腹を肥やして見ないふり。
まあ、俺達みたいな賞金稼ぎに喰いっぱぐれもないって、な」
安酒をストレートで流し込む。
「金塊なんて上手い話はねえよ」
ー光子力研究所-
「弓教授、亜空間ゲートなんてどうやって作ったんですかね」
「アムロ中尉、我々研究者にも亜空間ゲートは謎だらけでね、
宇宙からの技術提供から、オカルトまでついてまわる」
「オカルト?」
「超能力者を人柱に使っていると言うオカルトだよ」
「まさか」
「ニタ研もオカルトの域は出ないがね」
「人体実験、人はそこまで愚かではないと信じたい」
「鉄血のオルフェンズ」
ヒューマンデブリ。
身寄りのない子どもたちが文字通り宇宙に漂うゴミ同然に扱われ、
路銀にもならない値段で売り買いされる。
殺される前に殺せ。
くそったれな運命に唾を吐け。
俺たちの流した血は鉄の絆。鎖のように繋がり、絡まって、やがて華を咲かす。
そうだ、俺たちは「鉄華団」。決して枯れない、鉄の華――
「やっちまえミカァァァァァァァァァァァ!!」
その声が届くなら、天使でさえ撃ち落としてみせよう。
地の底から目覚めた白い悪魔は、鈍色に輝く鉄塊で全てを粉砕する。
「やるぞ、バルバトス」
火星。戦神の名を持つ赤き星の大地に己が旗を突き立てる迷い子たち。
鉄血のオルフェンズ。
オルガ・イツカ。三日月・オーガス。
2人の少年が、かつての大戦で名を馳せた
悪魔の名を関するガンダムフレーム「ガンダムバルバトス」と言う名の
圧倒的な力を手にしたあの日から、すべては始まった。
自分たちをゴミのように扱ってきた汚い大人たちを粛清して乗っ取った
民兵組織を土台とし、未来を勝ち取るために。
少年たちは地獄への片道切符を握り締め、修羅の道を歩み始める。
「鉄の折鶴」
舗装された道を外れ、土煙を上げながら疾駆する影。
ギラリと光る6つのヘッドライトがそれを追う。
前方の車両に向けて放たれたビームが火星の夜の闇を切り裂く。
「チックショウ! 本気で撃ってきやがった!!」
「追い詰めろ!三方に分かれて挟みうちだ!」
岩場へと突っ込んだそれを追い詰めるべく執拗に迫る憲兵。
だが、銃撃を伴う激しいカーチェイスは呆気なく終わりを迎えた。
「うわっ!」
「兄貴ー!!」
閃光——。 瞬く間に追跡車両もろともの大クラッシュが起き、追われる少年達は宙を舞い、すぐさま大地に叩きつけられた。
「あぁ……痛ぇ。 な、なにがどうしたんだ」
光の中、目を開けた少年が見たものは巨大な構造物。
さらにその上空の光の中から別の巨大な何かが姿を現す。
「なにかこう、空気の中からポコンと出てきたみたいだったけどさ……」
「馬鹿! 空気の中からあんなもんが出てくるかよ!」
現れた巨大な物体から発進する影。
「人型ロボット!? ギャラルホルンのモビルスーツじゃないぜあれは」
「エイリアン……まさかぁ」
この日、新たな忍者伝説が幕を開けた。
「遺跡と共に眠るもの」
火星に住む山師が近付かない場所がある。
そこは悪魔が住むと言う。
トレジャーハンターもカウボーイも近付かないその場所に、黒衣の男が立つ。
「…俺は地球に行かねばならない…」
サングラス奥の表情は見えない。
「お前も神だと言うならば、ゲートのひとつでも開いて見せろ!真ゲッター!」
声は虚しく響くのみ。
立ち去る男の背後で真ゲッターと呼ばれた岩山が少し動いた。
ブラックサレナが舞う。
ーーー
「ゲートの使用料はお高いのさ」
「しかもゲートへのルートは限られてる」
「宇宙海賊の格好の餌食だ」
「それでも私は地球に行かなければならないのです」
クーデリア・藍那・バーンスタイン。
彼女が革命の乙女と呼ばれるのは、まだ先の話だ。
「気に入った」
「おいおいオルガ無茶だぜ」
「無茶でもなんでもやるしかねえんだよ、オレ達は!」
「若いってのは、いいねえ」
「カウボーイは黙って見てろ。俺たちは俺たちの道を行く」
「カウボーイじゃない、スパイクだ。
比較的安全な航路なら案内してやるよ。
金払えよ。こちとら明日の酒代もねえんだ」
「噂と噂」
——地球・破嵐邸
「というのがつい数日前の出来事というわけさ」
この破嵐万丈という男は、これまでの火星の出来事を説明した。
無論、J9としてもそれらの情報は耳にしている。
スパイクに声をかけようとビバップ号に通信を入れた際、ジェットから火星でガンダムが出現しそれに乗ったCGSの少年がギャラルホルンのモビルスーツを撃退したこと、異星からの来訪者であるザ・ブーム軍と火星開拓基地長官のハザードが手を組んだらしいことなどを聞かされたのだ。
「それと金塊にどのような関係があるのかをお聞かせ願いたい」
アイザックは受け取る気はないと言わぬばかりに語気を強めて問うた。
「僕は君たち噂のJ9に彼らの地球行きをサポートしてもらいたくてね」
アイザックにもそのことはわかっている。
「貴方はその火星から来た……そして、我々の情報によればこの金塊は貴方が火星から盗んだものだ」
だが、どうにも信用が出来ないのだ。
「ほう?」
万丈の目がキラリと光る。
——火星
破嵐創造、メガノイド、これまでの全て、そしてプロジェクト・リレイブに関してを破嵐万丈より聞き、J9は火星に降り立った。
「宇宙からの飛来。」
ブルーサンダーに出向した兜甲児。今のところ特に何か起こるわけでもなく待機の状態であった。あのあとブルーフィクサーチームとも交流を交しマリンの異星人に対する偏見もなく仲良くなったという。
しかし、平和とは容易く引き裂かれるものである。
警報が鳴り響き、月影長官から通信が入る。
「甲児くん、敵だ!」
「どこからですか!」
「上空…異星人だ!すでにブルーフィクサー、グッドサンダーともに発進している!」
「了解!行くぞ!マジンガーZ!」
マジンガーZも発進する。バルディオス、ゴーショーグンに合流すると、
すぐさま敵が現れる。
「なんだなんだ?UFOじゃねぇか!」
雷太が敵の第一印象を的確に当てた。
「まさしく異星人。こりゃ指と指をくっつけることも出来なさそうだね。」
「……!そ、そんな!?」
マリンが驚愕する。なんと襲来した異星人たちの中にかつて倒したアルデバロンのロボットが混じっているのだ。
「…マリン。どうやら乗ってるパイロットはアルデバロンの連中じゃないみたいだ。」
「いかにも!」
異星人側から通信が入る。
「我々は!ベガ星連合軍なり!」
驚いたのはマリンばかりではない。
「あの時八ヶ岳付近で遭遇したUFO! あれはお前たちだったのか!!」
プロジェクト・リレイブ参加前、研究者としての道を歩み始めた甲児は、自ら作ったTFOの飛行中にベガ星連合軍のミニフォーと遭遇していた。
その後、宇宙科学研究所へ立ち寄った際に、甲児が日本へ来たのを知った弓教授により光子力研究所へと招かれ、再びマジンガーZを駆り戦場に舞い戻ったのだ。
——ORS
「クソッ、ベガ星連合軍め……それに、加えてまさかあんなものまでいるとは」
思わぬ伏兵に不意を突かれたデューク・フリードはベガ星連合軍の地球への進撃を許してしまっていた。
「本当に大丈夫なのね?」
「ありがとうございました。 アキさん」
治療を終え、ヘルメットを被るデューク。
「いいのよ。 貴方がいなかったらこのオービタルリングはもっと大きな損害を受けていたかもしれないわ。 宇門博士にも宜しく伝えて」
心配そうにアキを見つめるデュークはグレンダイザーへと駆け出しながら
「はい……。 アキさんもあまり無茶はしないでください」と念を押し乗り込む。
答えることなくアキはただ見送った。
「怒れマリン! あしたを救えバルディオス!」
宇宙戦士バルディオスによって壊滅させられたアルデバロン軍。
アルデバロンを組織したS-1星の生まれマリン・レイガンにとって
その激しい戦いは苦しみでしかなかった。
アルデバロンにとっては裏切り者であり、
地球にとっては侵略者のスパイ扱い…
父の仇である総統ガットラーを倒すために、蒼く美しい地球を
争いと環境破壊に汚染されたS-1星の二の舞にしないために、
いつしか種族を越えた絆で結ばれた仲間たちと共に戦い抜いたのだ。
にも関わらず、そのアルデバロンのメカを用いてまで
地球を侵略しようとするベガ星連合軍の非道なる行いは、
マリンにとってこの上無い侮辱に他ならなかった。
「許さない…! 俺はお前たちを絶対に許さないぞ、ベガ星連合軍!」
「俺たちだって同じ気持ちだぜ、マリン!」
「応ともよ! 二度と地球に手出ししようなんて考えられないくらいに
ギタギタにしてやろうぜ!」
「行くぞ、力を貸してくれ、雷太! オリバー! バルディオス、GO!」
「バルディオスだけじゃねえ、地球にはマジンガーZがいるって事を
教えてやるぜ!」
「巨大な敵を撃てよ」
「ゴーショーグンもお忘れなく!」
「ついでみたいに言うんじゃないの!」
「ついでで、結構。 どうせ今日でお別れさ」
周囲のミニフォーと透明円盤を薙ぎ払いながらもグッドサンダーチームはいつもの調子である。
「おのれナメよって。 グレンダイザー亡きいま、我らベガ星連合軍を阻む者などおらぬわ! やれぃ、円盤獣ギルギル!」
健在なアルデバロンの巨大なクラゲ状メカ『ビッグオクト』の他にもう1機のメカが姿を現す。
ベガ星連合軍は月面に基地を建設している。 そしてその月面にあった幾つかの兵器を奪っていた。
「あら、何処かでお会いしませんでした?」
「小さいがまるでバルディオスじゃないか!」
「そうか? 俺はどっちかっていうと……」
しかし、その機体を一条のビームが貫く。
「甲児、遅くなってすまない!」
「あらびっくり、本物が怒って出てきた」
「モノマネしてたら後ろから出てくるやつね」
「もっと小さいのが……」
爆発する白いメカを撃ち抜いたのは光子力研究所で戦闘用の調整を終えたRX-78-2 ガンダムだった。
「待ってたぜ! アムロ!!」
「一騎当千」
一年戦争を越えて…ガンダム、大地に立つ!
「そこぉッ!!」
ガンダムのビームライフルが、円盤獣の手足の関節部の
僅かな隙間を寸分違わず狙い撃つ。四肢を撃ち抜かれ、
自重に耐えきれずその場に倒れ伏して無力化する円盤獣。
「ガオオオン!」
「甲児!」
「流石だな、アムロ! これでも食らえ!!」
マジンガーZの胸の放熱板が真っ赤に輝く。
「ブレストファイヤー!!」
灼熱の熱線が円盤獣を飴細工のようにドロドロに溶かしてしまった。
「パルサーベルッ! ドリンギングッ!!」
大剣を振り回しながらベガ星連合軍の敵陣に飛び込み、
吹き荒れる嵐の如く薙ぎ払っていくバルディオスに、
「一発デカいのを喰らいな! スペースバズーカッ!」
グッドサンダーから転送されてきたバズーカを肩に担ぎ撃ち放つゴーショーグン。
プロジェクト・リレイブの名のもとに集った戦士たちの怒涛の快進撃。
「お、おのれ、地球人どもめ…これほどやるとは…!」
ひとりでは無理でも、共に戦う仲間との団結があれば
あしたへと進んでいける。
それこそがプロジェクト・リレイブの真の意味なのだ。
「翔べ、ガンダム」
戦場に舞い戻ったアムロの戦いを目の当たりにして驚愕する人物がいた。
(これがニュータイプ……いや、アムロ中尉の力?)
——クリスの駆るGファイターからガンダムが翔ぶ。
刹那、ビームライフルのたった一射でドスハードをもえあがらせたガンダムは、更に続けざまの四連射で円盤獣の動きを制圧、すると阿吽の呼吸でマジンガーがトドメを指し、その間にもガンダムはモビルスーツとは思えぬ空中戦で次々と円盤群を切り裂いた。
他のスーパーロボットも次々と圧倒的パワーで敵を撃破する。
クリスが言葉を失っている間に戦場にはマザーバーンを残すのみとなった。
なんとか気を取り直し、Gファイターの機体を落下を始めたガンダムの足元に滑り込ませる。
「ありがとうございます! マッケンジー中尉」
「クリスでいいわ……アムロ中尉」
クリスは思った。 自分も乗ったからこそ、いくらガンダムとはいえ、あんな巨大な敵を相手にどう戦うのかと。
だがクリスは思い出した。 ジオンが次々に投入したモビルアーマー、その殆どを初戦で打ち砕いたのは他でもなくアムロ・レイとガンダムなのだ。
(確かに化物ね……)
「断罪の刃」
「ゴ、ゴーマン大尉! 如何致しましょう…」
「狼狽えるな、馬鹿者め! それでも栄えあるベガ星連合軍の戦士か!」
すっかり意気消沈したベガ兵たちに、
超巨大円盤マザーバーンを指揮するゴーマンの叱責が飛ぶ。
「たかが数機の雑兵が集まった程度。
このマザーバーンの圧倒的火力で押し切ってくれるわ!
ベガトロンビーム砲、照射!」
上空高くに陣取るマザーバーンから雷のように降り注ぐ破壊光線。
「うわああッ!?」
「こ、これじゃ近づけない!」
マジンガーZたちもこれにはたまらず、防御に専念せざるを得ない。
「ふはははは、どうだ地球人! ゴーマン様の力を思い知ったか!」
「大尉、大気圏を突破して急速接近してくる物体アリ!」
「何!?」
金色に発光する飛行物体。
「スペイザー、アウトッ!」
支援円盤・スペイザーから分離。
頭上がガラ空きになっているマザーバーンへと肉迫し、
「ダブルハーケンッ!」
両肩から飛び出す諸刃の鎌を重ね合わせ、落下速度を加えた回転斬りでマザーバーンを斬りつけた。
「ぐおわあああッ!?
グレンダイザー、生きていたのか…!」
「How many miles back?」
万丈の元に名瀬から連絡が入った。
「例の男の再生治療が済んだぜ」
——話は一年戦争末期へ遡る。
クリスマスのその日、僕はサイド6のリボーコロニーにいた。
金塊しか持っていない僕が小惑星購入の代金を裏のルートを介して銀行へ入金する為である。
「あとは宜しくお願いします」
爆発を耳にしたのは僕を見送る彼女に別れを告げた次の瞬間だった。
偶然にも医師の資格を持つ彼女『メリビット・ステープルトン』と共に負傷者の手当てを手伝う過程で、すぐに再生治療さえ出来れば命が助かるかもしれないという結論に至った。
もっとも、時間的猶予を考えれば到底不可能な話で、コロニーの医療班が諦めたその後、僕が救急車を手配してテイワズの医療施設へ担ぎ込んだというわけだ。 マッハアタッカーが3人乗りじゃなかったら危ないところだった。
幸いにも処置は順調に済み、あとは本格的な再生治療を待つだけ。
というのが事の経緯である。 そして——
「『バルター・ペーターゼン IDナンバーTG40983726』ねぇ……」
ジェットの読み上げた偽のIDカードの持ち主はコクリと頷いた。
「ベガ大王の影」
「マザーバーン、中破! 姿勢制御が保てません!!」
グレンダイザーの起死回生の一撃が、
マザーバーンに大打撃を与えた。
(こ、このまま…地球人のロボットはおろか、
グレンダイザーまでも仕留め損なったまま
おめおめと逃げ帰る事になれば…!
ベガ大王様は即座に俺を八つ裂きにする事だろう…!!)
ベガ星連合軍の絶対的支配者、ベガ大王。
冷酷にして残忍。
これまでにもいくつもの星々を侵略して来た。
欲しいものは必ず奪い、逆らう者は例外無く皆殺しにする。
任務に失敗した己の部下とて例外ではない。
ゴーマン自身もその光景を何度も見てきた。
「一気にトドメを刺してやるぞ、ゴーマン…うぐっ…!?」
一気呵成に畳み掛けようとしたデュークフリードであったが、
一瞬の呻きと共にグレンダイザーの動きが止まった。
(宇宙の戦いで受けた傷が、今頃になって…! こんな時に……!!)
応急処置で塞いでいた傷が熱を帯びて痛みを走らせる。
「奴が動きを止めた…い、行け!
ミサイルをありったけグレンダイザーに撃ち込め!!
せめてデュークフリードだけでも…!」
「ーー危ねえッ!」
「ぐあっ!?」
グレンダイザーを庇ったのはマジンガーZだった。
「き、君!そのロボットでは無理だ!死んでしまうぞ!」
「うるせいやい!!仲間がやられるのを黙って見てられるか!」
「なっ!?僕を…仲間…?」
「そうだ!こうして共に戦ってるんだ…その時点で…仲間だろ?」
「…!」
デュークフリードはその言葉に心を動かされた。会ったこともなければ、下手をすれば敵に見間違われてもおかしくないはず。
だが少年が発した言葉には正義と愛と優しさが詰まっていた。デュークは涙を流した。
「よくも甲児を!」
「マリン!サンダーフラッシュだ!」
「よし!亜空間から仕掛ける!」
バルディオスが亜空間に繋ぐゲートを開き突入する。すると一瞬の内にマザーバーンの近くに移動していた!
「な、なに!?地球人にも亜空間飛行の技術が!?」
「サンダー…!!フラーーッシュ!!」
「う、うわあああ!!??」
マザーバーンはバルディオスの攻撃により跡形もなく消滅した…
「ベガ大王様。ゴーマン大尉が戦死した模様。」
「…地球人め。我らに抵抗するとはな…」
「次はこのブラッキーにお任せ下さい!」
「許可する。」
「エピローグ」
ついに、異星勢力による本格的な地球侵攻が始まった。
プロジェクト・リレイブの名の元に集う歴戦の戦士たち。
赤の星・火星を中心として綴られし新たなる物語。
戦いはさらに激しさを増していくだろう。
誓い合った仲間との熱き友情こそが、先の見えない暗闇を行くための道標だ。
次回、「スーパーロボット大戦relayb」第3部にご期待ください!
~SPECIAL THANKS~
・龍千さん
・赤い方さん
・ryunosuke004さん
(参加順)
・t
・この作品を読んでくださった皆様
to be continued…