スーパーロボット大戦relayb 第3部 -終わりと始まりを告げる者-

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1人目

「プロローグ」

 地底勢力の大同団結、異星勢力の本格的な侵攻、人類同士の争い。
戦火は日増しにその激しさを増していく。
そして、混乱は地球のみならず宇宙にまで広がり始めていた。

 地球圏から遠く離れた火星にて旗揚げされた民兵組織「鉄華団」。
「ティターンズ」とは一線を画す、治安維持を名目とした武力組織「ギャラルホルン」。
火星開拓基地の管理者ハザード長官と密約を結んだ新たな異星勢力「ザ・ブーム軍」。
現代に甦る「忍者伝説」。
噂の快男児、「破嵐万丈」との接触を果たした宇宙の始末屋
「コズモレンジャーJ9」。
R.C(リレイブ・センチュリー)世界に迷い込んだ「分岐した世界のパイロット」たち…

 「プロジェクト・リレイブ」の名の下に集いし鋼の戦士たちは
死闘の末、ベガ星連合軍の先遣部隊を率いるゴーマン大尉を打ち破る事に成功した。
その後…

2人目

「BUNNySの囁き」

エリアルドの乗っていたウーンドウォートEXの外装は修復できないと判断され、コアユニットであるウーンドウォートだけとなった。
外された装備は廃棄せず、"未来の遺物"として回収・保管されることとなる。
それから数日後、メンテナンスのために乗り込んだエリアルドに、ウーンドウォートが"語りかけてきた"のだ。

「…なんだって?」

表示された文字列に驚くエリアルド。

「『僕に別の手足を付けてほしい』? さて、どうしたものか…」

エリアルドは破損したMSの部品がないかを、整備員に尋ねた。
あるというので、在り合わせでウーンドウォートに繋げられるか試してみたエリアルド達。

「どうだ?」

ウーンドウォートのモニターに感謝の文字列が映し出された。

「それは良かった。…だが、継ぎ接ぎしたになってしまったな…」
「パッチワークってヤツだな、エリアルド」

両腕はネモで脚部はジムⅡの物を使っている。

「でも、これなら戦闘を行えるだろうと、思うんだけどな、どうだろうか」
「…やってみないことには」

継ぎ接ぎされたウーンドウォートを見てエリアルドは言った。

3人目

「宇宙海賊」

さほど遠くない過去の話。
銀河統一に最も近いと評された銀河帝国が存在した。
名を宇宙帝国ザンギャックと言う。
宇宙帝国ザンギャックは天の川銀河系の辺境の星を攻略した。
圧倒的な戦力を持ち、辺境の星に攻め入ったのだが、、、数多くのスーパーロボットと操るカラフルなスーツの戦士達に返り討ちに合う。
彼らが居れば、地球の平和は万全だった。
しかしながら、宇宙帝国ザンギャック撃退した戦士達とスーパーロボットは姿を消した。
銀河に輝く五色の光とともに。

宇宙帝国ザンギャックが辺境の星で大軍団を失った。
大スクープが銀河を駆ける。
勢いを増したのはベカ星連合軍である。
宇宙帝国ザンギャックの星域は切り崩された。
我ら地球人の知らないところで、宇宙戦国時代が始まっていた。

ここにもう一組、宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻す若者達が居た。
海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら。
その名は、海賊戦隊ゴーカイジャー。
冒険とロマンを求め、赤いガレオン船は宇宙の海原を駆ける。
目指すは、銀河最大のお宝が眠る星、地球。
宇宙海賊ブルワーズを蹴散らしたゴーカイジャーは一路地球へと突き進む。

4人目

「レジェンド大戦」

 異星勢力の地球侵攻が活発になったひとつの要因が、
ザンギャック帝国が大敗を喫した
後に「レジェンド大戦」と呼ばれる戦いにあるとされている。

 太陽系の辺境の星が、宇宙全土を支配していたザンギャックの大艦隊を退けたと言う
事実は瞬く間に宇宙のならず者たちに轟き、
「地球」と言う存在が広く知れ渡る事となった。
しかし、ザンギャック帝国を追い払うために秘密戦隊ゴレンジャーから続く
33のスーパー戦隊は自らの力の全てを使い果たし、
その結晶はレンジャーキーと言うアイテムに姿を変え、宇宙のあちこちに
散らばってしまったのだと言う。

 このレジェンド大戦を以って、多くのスーパー戦隊は解散、引退、
或いはその能力を活かして引き続き地球の平和に貢献するなど別々の人生を
歩み始める事となった。
ある意味で平和の抑止力の一翼を担っていたスーパー戦隊の欠落は、
地球圏の均衡を崩す結果を生み、一年戦争に代表される悲劇を招く遠因ともなった。

 終わる事なき人類同士の戦い。
メンバー全員が異星人である海賊戦隊ゴーカイジャーにとって
果たしてこの地球と言う星に価値はあるのだろうか?

5人目

「繋がれる未来」

——シン・ザ・シティ・破嵐邸
「ギャリソン、順調?」
「えぇ、万丈様の提供された幾つかの土地には新たにエネルギー管理局のエネトロンタンクが建設されるようですな」
「どうせ親父の持っていた土地だ。 こんなときくらい地球の役に立ってもらわないとね」

ザンギャックによる破壊の爪痕は、既存のライフライン復興に大きな影を落としていた。 そこに浅見グループを中心に開発されていた新エネルギー『エネトロン』に白羽の矢が立ったという形だ。

エネトロンを研究していたチームを中心に、今はエネルギー管理局なんてものが稼働している。

「しかし、浅見グループはすごいね。 エネトロンもλ2000も元は同じらしい。 その研究と並行してシルバーガーディアンで運用してたあのタイムファイヤーまで量産しようってんだから」
「おや、耳が早いですな。 しかしながらテクノロジーの解析に難航しており、スーツの完成にはまだまだ1年はかかる見込みですな」

それはそうだ。 1000年も先のテクノロジーが簡単に再現出来たら世話はない。

「スーパー戦隊の力が失われてしまった今、僕らも出来る限りの支援をしよう」

6人目

「プロジェクトへの加入」

 ベガ星連合軍・ゴーマン大尉の部隊を退けたプロジェクト・リレイブの面々。

「…知らなかった。地球に君たちのような戦士がいて、
その上異星人であるマリン君のようなメンバーまでが加わっているとは」
「デューク…いや、大介さんもベガ星連合軍には酷い目に遭っていたんだな。
俺がマジンガーZに乗る前には地球にはスーパー戦隊って呼ばれる人たちもいたんだが、
今は…」

「ベガ星連合軍がこれで引き下がるとは思えない。また新たな刺客を
送り込んでくるだろう」
「どうだ? 君も俺たちのプロジェクトに加わらないか?」

「僕は、この地球を第二の故郷だと思っている。力強い大地と美しい緑を悪魔から
守りたい。そのためになら、喜んで力を貸そう」
「決まりだ。よろしく頼むぜ、大介さん!」
「甲児くん。君が身を挺して僕を助けてくれた事。決して忘れない」

 強く握手を交わす甲児と宇門大介。
アムロ・レイと共に、プロジェクト・リレイブに強力な味方が加わった。

「アムロ、私もお供するわ」
「監視役としてかい、クリス?」
「それもあるけど…このチームが良い方向に向かうのを、信じたいのよ」

7人目

「ベガ大王様、ご報告したいことが。」
「申せ。」
「最近、我々の軍から人員が奪われてる事例が発生しております。」
「ミディフォーだけを残してパイロットだけ消えているあれか?」
「その通りです。あれに関して追加の報告がございます。」
「なんだ?」
「そのパイロットだけ消え去る瞬間を目撃したものがいたようで…その者によれば、仲間が急に異形の体になり、鋼鉄のような硬さに変化した体で飛び去っていったと…」
「…まさか…いや、奴らは滅びたと聞いたが…」
「ベガ大王様、なにかご存知で…?」
「いや、確証は持てん…ガンダルを呼べ。」
「はっ!」

少ししてガンダル司令が現れる。

「お呼びでしょうかベガ大王様。」
「うむ。ブラッキーには地球の制圧を、ズリルにはザンギャックの残党の鎮圧を頼んだがお前にも司令を与える。」
「ははっ!ありがたきお言葉…!」
「お前には兵たちの失踪について調査してもらいたい。」
「はっ!しかし、どのように調査すれば…」
「…その事だが少し耳を貸せ。」
「で、では失礼して…」

ベガ大王はガンダルへ耳打ちをする。

「よいか、注意して調べるのだぞ。」
「お任せ下さい!」

8人目

「アキとミユキ」

「じゃあ、大介さんを宇宙で襲ったのは……」
「間違いない……あれはラダム。 テッカマンだ」
「異星人のテッカマン……さしずめベガテッカマンというわけか」
「ベガテッカマン……もし、ベガ星連合軍がフォーマット技術を手に入れたら……」
「月面にはまだ前回ラダムの遺したラダム艦もある。 早くしないと手遅れになるかもしれない」
「だがスペースナイツはもう……。 テッカマンブレード……彼は今……」
「テッカマンブレード?」
「ああ、2年前に地球をラダムから救ったヒーローさ。 白い魔神なんて呼ばれたりもしてたっけ?」
「なんだかガンダムとマジンガーを足したみたいな感じね」
「そこはグッドサンダーチーム的にはゴーショーグンでも良かったんじゃないの?」
「うーん、知名度?」
「ま、相手があの鉄の城じゃ戦国魔神も分が悪いね」
「あのとき俺を助けた地球のテッカマン……アキさんは血のように紅い姿をしていた。 戦い方はまるで……まるで紅の修羅だった」

——南極
「成人式も近い。 ゴーラはどこだ」
「は、日本の恐竜テッカマン計画の試験場にいらっしゃるかと」

——試験場
「ゲッターQ……」

9人目

「仮面の下の涙を拭え」

 レジェンド大戦、一年戦争、アルデバロン軍の襲来…
2年前、度重なる戦いによって疲弊しきった地球圏を襲ったさらなる脅威。

 ラダム。

 単体では脆弱極まりない虫のような存在であるが
星々の先住民族の肉体を乗っ取る事で種族を増やしていく異星の知的生命体。
外宇宙の探査に向かったアルゴス号の乗組員達が
不幸にもラダムと接触した最初の地球人にして、犠牲者となった。

 宿主の記憶を奪い、肉体を改造し、強力無比の超人「テッカマン」を造り出す。
システムに適合出来ない者はそのまま死亡し、
テッカマンとなった者はラダムの忠実なる下僕となる。

 奇跡的にラダムの襲撃からたったひとり生き残ったアルゴス号の乗組員
相羽タカヤは、家族を奪ったラダムへの復讐を誓い
宇宙の騎士テッカマンブレードとして敢然と立ち上がった。

 戦いの中で心を通わせた仲間達に支えながら仮面の奥に痛みと涙を隠し
悪魔の尖兵となった家族の屍を踏み越え
ブレードはついにラダムの壊滅を果たした。記憶も、命も、
己の全てを燃やし尽くして…

「Dボゥイ。あなたが守ったこの星を、ラダムの好きにはさせない…」

10人目

「ヒューマンデブリ」

ーー火星宙域、小惑星帯

この場所は宇宙海賊ブルワーズの支配下であった。
今、この宙域はヒューマンデブリを狩る恐ろしい宇宙海賊が支配する場所となっていた。
海賊船に限らず、商船であろうが輸送船であろうが、ヒューマンデブリを取り上げる恐ろしい女海賊が居る、と、もっぱらの噂である。

「昭弘はどうするか」
『連れて行って問題ない』
「名瀬の兄貴、一体どう言うことで」
『あの連中は、テイワズの客分だ。俺に言わせりゃ海賊にも程遠い正義の味方だよ。この宙域のヒューマンデブリ解放を本気で目指してるんだからな』


ーー赤いガレオン船

甲板掃除をする丸っこいモビルスーツの姿がある。
背中にハンマーを背負ったMS、名はグシオン。パイロットの名をクダル・カデルと言う。
今は、この船の下っぱ
「甲板掃除」
「甲板掃除だな」
「甲板掃除で置いてあげてるの!ホントは生身で宇宙泳がせてもよかったのよ!!!」
「…名前、呼んであげてもいいんじゃ」
「甲板掃除さん」
である。
アタシはねえ、これで終わる男じゃないわよお、とは甲板掃除の談。
彼がゴーカイジャー7人目と呼ばれる日は、多分ない。

11人目

「兄弟の再会」

「昌弘…お前、昌弘か!?」
「兄ちゃん…!?」

 ゴーカイジャーによってブルワーズが壊滅した事で
奴隷として働かされていたヒューマンデブリの少年たちも晴れて自由の身となった。
その中に鉄華団のメンバー、昭弘・アルトランドの生き別れの弟、
昌弘の姿があった。


――回想。

 クダル・カデルを叩きのめしたゴーカイジャーの強さに、昌弘は驚嘆した。
来る日も来る日も倍以上の身の丈のあるクダルの暴力に怯えていた。
それを、いとも簡単に…

「チキショウ! 離せ、離せってのよ!」

「フン、人買いか。宇宙の何処に行ってもこの手の話は絶えんな」
「そこのガキ。まだやるってんなら手加減はしねえ。さあどうする?」

 ゴーカイジャーのリーダー、キャプテン・マーベラスの問いに、昌弘は…

「俺は…ヒューマンデブリだ。何処に行く当ても…」
「ンなもんは知らねえな。欲しいもんなら自分の手で掴み取るもんだろ。
テメエの命をどうするも、何処に行きたいかも、テメエで考えな」


「昌弘、これからはずっと一緒だ!」

 逞しい兄の腕の中。ああ、そうか。
ここが俺の辿り着きたかった場所なんだ。

12人目

「宇宙の女騎士」

「あーあ、海賊っていうからちょっとはお宝持ってるかと思ったのに」
ルカはブルワーズの艦から戻ってきてからずっとこの調子である。

「ハカセーー、スキャン終わったよーー」
ナビィは、ある人物の身体をスキャンし終わったことをドン・ドッゴイヤーに伝える。

「で、どうだった?」とモニターを覗き込むハカセ。

「うーん、どうやらこの女の人テッカマンみたいだね」と声をひそめて言う
「ふーん、だからあいつら怖がってあんなとこに閉じ込めてたんだ……って、テッカマーーーーン!?」
「ラダム虫はいないみたいだし心配はないと思うけど。 身体の傷も見た目ほどじゃなさそうだねーー」
「えっ、見たの!? どれどれ僕も……」

「駄目にきまってんでしょーが!」
女性テッカマンの傷を確認に向かおうとふり向く瞬間、ハカセは耳を引っ張られて顔の向きを戻される。
「ったく、コソコソ話を始めたから聞きに来てみれば……」
「あの方、記憶がないとのことでしたけれど」
「それも本当だろうね。 多分、死ぬ間際にショックでブラスター化したんじゃない? 脳神経がズタズタで普通に受け答え出来るのが不思議なくらいだよ」

13人目

「エリアルドから見た世界」

「地底勢力…ベガ星連合軍…か」
『どんな敵がいても、この機械の体でエリアルドを守ることは出来るよ』
「ありがとう、ヘイズル」
『どういたしまして』

ウーンドウォートに搭載されていたOS「BUNNyS」と対話することが出来るようになったエリアルド。
OSは複数の強化人間とされた人間の思考などを取り込んだものだという。
エリアルドはOSに「ヘイズル」という呼び名を与え、会話していた。

『――なんだろう、これ』
「どうした?」
『なにかのデータを受信したみたいなんだ』

BUNNySが受け取ったデータの中身を見たエリアルド。

「ラダム…? 赤いガレオン船…?」
『おそらく誰かが飛ばしたものなんだろうけど、…エリアルド、必要?』
「一応残しておいてくれ。なにかの役に立つだろうから」
『了解』

彼がもたらした情報をもとに、検索するエリアルド。

「…二年前にそんなことがあったのか。…地球にはヒーローが存在していたが、レジェンド大戦という戦いでいなくなってしまった…か」

彼らが『ヒーロー達の結晶』を手に入れるのは、しばらくしてのことだった。

14人目

「獣を超え、人を超え、出でよ神の戦士」

 異星人による武力侵攻が再び本格化するであろう事を予見していた
地球連邦軍のロス・イゴール長官は
かねてより、葉月考太郎博士と共に対異星人用兵器の開発を進めていた。
その名は獣戦機。
人間が持つ精神エネルギーを増幅させ内に眠る本能「野生」を引き出す、鋼鉄の獣。

「キーワード、D・A・N・C・O・U・G・A!」

 重戦機を操る藤原忍ら4人のパイロット達の精神エネルギーが限界を超えた時。
獣を超え、人を超えた、神の戦士が誕生する。

 その名も、超獣機神ダンクーガ。

「やあああってやるぜ!!」

「シャピロ…アンタはどうして…」
「沙羅! あんな裏切り者の事なんか忘れちまえ! あいつは地球を見限って
異星人に寝返りやがったんだ!」

 重戦機隊の教官であったシャピロ・キーツは腐敗した地球連邦に失望し、
異星勢力へと渡った。
シャピロとは恋人同士であった結城沙羅は、未だその未練を断ち切れずにいた。

「戦闘中に色恋の話を持ち出すのはよすんだな。余計な雑念は死を招くぞ」
「亮の言う通りだよ。生き残らなきゃ、カワイコちゃんとデートも出来ないしね」

15人目

航海日誌

甲板掃除の仲間が増えました。
ラーサー、としか喋らないロボットだけど、
うちのグシオンに似てずんぐりむっくりなところは、可愛いわねえ。
と言うか記憶喪失の女と、アタシの扱い違いすぎない?!
自業自得だけれども、アタシだって頑張ってるわよ甲板掃除!

クダル・カデル記

ーーー

「名瀬さんにも聞いてみたけど、やっぱり地球へ向かったほうがいい」

切り出したのはハカセ。

「ヒューマンデブリ解放も俺たちだけじゃ限界がある。分かってるだろルカ」
「言われなくとも、分かってるわよ」

ルカは、ただガメツイだけじゃない。
子供が
誰かが
モノとして
兵器として
扱われる現実を誰よりも知っているだけなのだ。
…嫌っているだけ、なのだ。

「地球ならテッカマンの治療設備があるんだな」
「必要なら奪うだけだ。それが海賊ってもんだろ」

ーーー

『オルガ、うちの海賊どもが地球に向かうらしい。お前達も一緒にどうだ』
「ありがてえ話だ。昭弘の恩もある」

義理を欠いては鉄華団じゃねえよな


ーーー

「お近づきの印じゃないけど、
試しに作ってみたグシオンの2号機使う?」

16人目

「海賊版」

「作ったァ? 作ったって、ガンダムをか?」

タービンズの格納庫に鎮座するガンダム・フレーム。

ガンダム・フレームとは——約三百年前に起こった「厄祭戦」時に製造されたモビルスーツのフレームで、バルバトスやグシオンのフレームがそれにあたる。
エイハブ・リアクターを二基搭載しているため高出力だが、並列稼動させるのが非常に困難だったため、このガンダム・フレームを採用した機体は、72機のみが計画され、ロールアウトされたらしい。

ハカセが作ったというのは単にグシオンのフレームに近いものという意味だったようだ。
エイハブ・リアクターは厄祭戦後、ギャラルホルンがその技術を独占しているため新規製造できるのはギャラルホルンのみである。
ハカセは今回、テイワズの航路上に放置された生きたエイハブリアクターを解析、グシオンのリアクターと同じく並列稼働させ、グシオンの内部データから元の姿(どうやら元はバルバトスに近かったようだ)に近付けて建造したということらしい。

「こいつはたまげた。 こんなもんまで作れるとはな」

「もっとも、並列稼働に成功したのは1機分だけ。 他は失敗しちゃったけどね」

17人目

「で、どうする?」
「ありがたく使わせてもらうぜ。戦力は多いに越したことはないからな。」
「そっか。パイロットはどうする?」
「さぁてどうするか…」

オルガが考え出す。すると昭弘がその話に入り込む。

「俺に乗らせてくれ。」
「昭弘…だが、こいつは…」

ガンダムグシオン。これはヒューマンデブリであった昭弘の弟、昌弘の死に繋がったMS。

「いいんだ。こいつはある意味では昌弘との強い思い出の一つだ。俺に使わせてくれ。」

「……わかった。そんなに言うならお前が使え。」
「ああ。こいつは、俺のガンダム。ガンダムグシオンリベイクだ。」
「リベイク。焼き直しか。いい名前だね。」
「よし。こいつも連れて、あの海賊共も連れて地球に出発だ。」

鉄華団。それに海賊の地球探訪。青き地球にて彼らに待ち受けるものは…

「…」
「…ねえ。君本当にラーサーしか喋れないの?」
「……」
「って、ロボットなんだからそらプログラム通りにしか喋れないよねー」
「ペガス。喋れる。」
「そうよねー…ってええ!?」
「ペガス。人工知能ある。だから喋れる。」
「それだったらもっと早く言ってよぉ!!」

18人目

ーーアーガマ

Gアーマーがアーガマに着艦する。
ブライトが断る理由はない。

「いよう。アムロ、お前も老けたなぁ」
「やめて下さいよカイさん。調子が狂います。なんかガキの頃に戻った感じになっちゃいますよ」
「ニヒヒ。頼りにしてるぜ、アムロ」
ー今度は死ぬなよーと言う言葉は胸に仕舞う。

「感動の再会はさて置き、
俺らのガンダムとガンダムフレームは何か関係あるのか?」
「この世界に来たばかりのカイがガンダムフレームを知ってることが驚きだよ」
「蛇の道は蛇って、な。俺は、さ、戦争終わったら、ジャーナリストなろうと思ってたワケよ。色んな勉強してたのよ、これでも」
「カイは立派なジャーナリストになってるよ」
「マジか!!!さすが俺だなニヒヒ」
ーってことは、やっぱりこの世界に俺の居場所はないわけネー
「俺にとってはカイさんはカイさんだよ」
「あーあーニュータイプの勘ってヤツか?
黙ってたことも分かるってか?」
「まさか? 人間はそんな便利じゃないよ」
おかえりカイさん。
アムロを抱きしめて泣く。
おかえりって言いたいのは!こっちなんだよ!
勝手に死にやがって!
アムロの馬鹿野郎!!!

19人目

「常識」

昨日までは確かに存在しなかったものの存在を、あたかも何年も前から知っていたかのように……この世界ではそういうことが何度か起きていた。
——厄災戦にレジェンド大戦。 かつて行われたとされるそれもつい先日まで“知らなかった”のだ。

稀にその常識の改変に取り残される者がいる。

「俺は確かに『覚えている』……3年? 冗談じゃねぇ。 ティターンズが結成してからだって3年以上経ってるはずだぜ。 エゥーゴがデラーズの連中が出るより先にあったなんて聞いたことが無いぜ」

昭弘は知るはずのない“本来の歴史”を、アムロもまた、無自覚にガンダム・フレームが元々“存在していなかった”という記憶を参照した。

この現象が何故起きるのか、そしてどんな意味を持つのか……塗り替えられ続ける世界の秘密を知るものはまだ誰もいない。

20人目

目の前いる弟と、
目の前で死んだ弟の記憶。
記憶の中にある愛機の姿。
昭弘の葛藤は言葉にならない。
言葉にならない葛藤は、記憶を闇の中に包み込んでいく。
グシオンリベイクは、ハカセことドン・ドッゴイヤーが産んだのか。
昭弘の愛機を歴史が呼び寄せたのか。
答えは?

ーーー

何処かの誰かへ。

今、俺が把握している歴史を送る。
一年戦争終盤、アバオアクー宙域に連邦・ジオン両軍が展開しているところへ、宇宙帝国ザンギャックが現れた。
両軍なし崩し的に共闘、レビル将軍、ギレン・ザビ、キシリア・ザビと言う犠牲を払いながらも、宙域は守った。
地球は、所謂レジェンド大戦の英雄が守ってくれた。
英雄達のチカラは、宇宙に散らばった欠片になった。

今は一年戦争から3年後。
だが、
ブライトもアムロも、それ以上に老けたように見える。
調べることは大事だ。
でもな、自分の記憶も大事にしろ。
あやふやな記憶でも、だ。
記憶を記録に残せ。
疑問も記録に残せ。
俺からのメッセージだ。

異世界のジャーナリスト志望より

ーーー

カイ・シデンが流したボトルメールは、
カイ・シデンには届かなかった。

21人目

「生きてるんだからいいんじゃない?」
そう三日月は言った。

「そうだな。 悪りぃ、変なこと言っちまった」

確かにあの瞬間、昭弘の言わんとすることの意味に気付いた気がした。
昭弘の弟は……漠然と“本来の記憶”だと認識した。
「やっぱりミカはすげぇな」

「そうかな? よくわかんないけど」そう言って彼は手に持っていた火星ヤシを頬張った。

変わり続ける宇宙、塗り替えられ続ける記憶——その先に待ち受けるものとは。

——地球・恐竜テッカマン試験場
鬱蒼と茂る森の地下に何かに繋がれた大量のラダム樹が鎮座する不気味な光景があった。
恐竜帝国はテッカマンとなった同胞を改造することにより自分達の兵力を増強するつもりなのだ。

その不気味な空間には相応しく無い威容『ゲッターQ』
ゴーラ王女が13年前に早乙女博士に拾われ早乙女ミユキとして過ごし、5年前姿を消す際に奪った設計図により完成したスーパーロボットであった。
「ごめんなさいお父様……今の私には人間の平和を奪うことなどとても出来ません」
そう言ってゲッターQを見つめる。

「ゲッターQ……お前だって、ゲッターロボを相手に戦いたくはないはずよ」

22人目

「ウサギとラダム」

『データ照合…あれはラダム樹だね』
「テッカマンにフォーマットしてしまうラダムの遺物か…」
『エリアルド、それに絶対触れないでね。取り込まれてテッカマンにされてしまうよ』

BUNNySに言われて、哨戒して見つけた異様な大樹の前で立ち止まる。

『地球製のテッカマンを擁するスペースナイツ、なんていう組織もあったけど、今は…』
「…ヘイズル、MSでラダムと戦うことは出来るか?」
『ラダム獣なら対処できるかもしれないけど、テッカマンとなると、高速形態が必要かな』
「高速形態…」

テストをしていた頃を思い出すエリアルド。
…高速機動のテストのために、高機動型に乗っていたことがある。だが、今の時代でBUNNySにしてやれるのだろうか…。

『…なにこれ』
「どうした、ヘイズル」
『理由はわからないけど、高速形態のデータが僕の中に』
「…戻ろう。調べる必要がある」

---

「まさか俺達もこっちに来ちまうとは」
「そうね。…エリアルドはいるのかしら」
「さあな。やっぱ、エリアルドを探す?」
「当然」
「それもそうだよな、オードリー」

23人目

「闇に蠢く悪魔」

 ゴーカイガレオンを中心に、鉄華団の旗艦イサリビ、ブライスター、
ソードフィッシュⅡが随行する。
進むは隕石群。

「いつの間にやら随分大所帯になったな。まるでピクニック気分だぜ」
「ま、辛気臭いよりはいいんじゃないの…んっ!?」

「およ? どったの、キッドさん。シリアスな声出しちゃって」

「何かいる…」
「そこだッ!!」

 スイーパー稼業のキッドとスパイクの目敏い索敵眼が、
隕石の影に蠢く物体を捉えた。ブラスターとプラズマカノンの光が、闇を切り裂く。

「どうした、敵襲か!?」
「キシャアアッ!!」

 隕石の半数は、硬い甲殻に覆われた節足の怪物。
そこは、ラダム獣の巣であった。

「で、出た! バケモノ!」
「う、うう…!!」

 ラダム獣の出現と共に、ガレオンで保護していたテッカマンの少女が
苦しげな呻き声を漏らす。

「ったく、宇宙海賊の次はエイリアンだと? 旧時代のB級映画じゃあるまいし!」

「ミカ、頼む!」
「分かった」
「オルガ! 俺もグシオンで出る!」
「昭弘…行けんのか?」

「ああ。ウダウダ頭使うのは性に合わねえからな。やらせてくれ」

24人目

「悪魔の名前を持つモノ」

「火星の方じゃ見かけなかったけど、食べられるのかなアレ」
「やめとけやめとけ。 アレを食う程困ってるってんなら肉の入ってない青椒肉絲で良けりゃご馳走するぜ」
「それ、うまいの?」
「たぶんバケモノよりはな」
「じゃ、そっちでいっか」

軽口を叩きながら三日月とスパイクは絶妙なコンビネーションでラダム獣を撃破していく。

「思ったより脆いなこいつら」
実際、ガンダムの装備はテッカマンのそれに近く、それでいて身の丈はテッカマンの5倍はあろうかという巨体である。

ブライスターの上に乗ったグシオンリベイクもまた、イサリビに近付くラダム獣を次々と撃ち落としていく。
「グレイズより動きやすい。 やれる」

「あぁぁぁ、もう! あいっかわらず気持ち悪いったらありゃしない!! でも、丁度いいからプチッと潰してぇ! ぐっちょんぐっちょんにしてあげる!!!!」

「張り切ってんじゃねぇか。 こっちも派手に行くぜ!!」

——苦しむテッカマンの少女の目には涙が浮かんでいた。 彼女を覆う仮面は無く、涙を拭う者もまた、そこにはいなかった。

——ORS
「くっ、ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

25人目

「セイバー様。戦況の報告に参りました。」
「ご報告なさい。」
「は、戦況はやはり芳しくない模様。」
「そうですか…では援軍を寄越しましょう。」
「では…!」
「テッカマン部隊を出しなさい。」
「了解致しました。」
「…それと例の再フォーマットはどうです?」
「順調です。あと数日もかければ。」
「そうですか…」

場面は戦場に戻る。
ラダム獣たちはほとんどがやられ、勝敗は喫したかに見えた。しかし…

「う…うぅ…く、来る…!」

少女はさらに苦しみ始める。それと同時にレーダーに反応が出た。

「高速で接近する飛翔体を確認!」
「数は!」
「五体です!」

そうして現れた者は異形な形をしていた。
魚のような尾ヒレを持つもの。肩から触手が伸びているもの。巨大な単眼を持つ乗り物に乗っているもの。5体全てが様々な形を取っていた。

「…こいつらは…!」

五体は間髪入れず身体の一部分が変形する。
そこから高エネルギーを集め始める。

「やばいぞ!みんな回避運動を取れ!!」

スパイクが叫ぶ。長年のハンターとしての勘が叫んだ。危険な状態であると。

そして五体は。ボルテッカーを同時に放つ…

26人目

「Reincarnation」

 テッカマンが備えた必殺兵器、ボルテッカ。
体内で生成したフェルミオン粒子を放射する反物質砲。
射線上にある無数の小隕石までをも跡形も無く吹き飛ばし
四方八方に飛び散るその破片さながら散弾銃の如き凶器と化す。

「冗談だろ…
あんなもんの直撃を喰らったら無事じゃ済まねえぞ…!」

 陣形が崩された。ゴーカイガレオンまでの針路はガラ空きだ。

「キシャアアア…!」

 生き残っていたラダム獣が一斉にガレオンに向かっていく。

「くそっ、ここから撃ったらガレオンに当たる!」
「マーベラス! こうなればこっちもゴーカイオーで…!」
「いや。まだ何か来やがるみたいだぜ」

 マーベラスはガレオンの舵の前から一歩も退く事なく仁王立ち。

「クラッシュッ! イントルゥウウウウウウドッ!!」

 その眼に刻む。ラダム獣たちを一瞬で殲滅する超音速の閃光を。

「はあ…はあ…」

 あれだけ苦しそうだったテッカマンの少女の表情に安堵の色が浮かぶ。
裏腹に、ラダム獣を指揮するセイバーの脳を襲う鈍痛。

「この反応…間違うものか…オメガ様の仇…!
裏切り者、ブレードッ!」

27人目

「新たな侵略計画」

「ぐっ、お前達……逃げろ……逃げてくれ!!」

ラダムを一掃した英雄、テッカマンブレード——
だが彼の様子は……。

同じ頃、地球——

「何故、何故あなたは戦えたの?こんな哀しい戦いを。何故?何故!」

アキが初めてテッカマンとして戦いを終え帰還したあの時。 あの時のDボゥイの怯えた表情はアキの脳裏にこびりついて離れなかった。
傷心のアキを優しく迎えてくれた素体テッカマンのコミュニティ。
その中の1人の少年テッカマンがブレードと時を同じくして暴走を開始した。

次々と少年テッカマンに倒されていくコミュニティの人々。

「やめて。もうやめてーー!」

必死の叫びも彼の耳には届かない。アキにはこの虐殺がDボゥイの肉親殺しに重なって見える。
その時、コミュニティの長老が叫んだ。
「いかん!アレフの進む先に核施設跡がある!もしもここが破壊されれば半径数百キロメートルの汚染は避けられん!!」
が、テッカマンとなり止めに入る長老すらもアレフは一刀のもとに殺してしまう。
「いやあっっっ!」絶望の叫びと共にテックセットするアキ。
施設は目前。 誰かが止めねばならなかった。

28人目

「異変」

 鉄華団やゴーカイジャーを救った白き魔人、テッカマンブレード。
2年前のラダム戦役に終止符を打った後、生死不明となっていた彼だったが……

「何だ?」
「様子がおかしい…奴は味方か? 敵なのか?」

「だが……ふふ、ふははははは!
餌を撒けば、貴様はきっと現れると思っていたぞ、ブレード!!」

 セイバーの真の目論見。それは…

「ぐ…う…うおああああああ!!」

 突如ブレードが苦しみ始め、体内から漏れ出す謎の光。

「何の光!?」

 テッカマンはテッククリスタルと呼ばれる結晶体によって
物質変換を行い、その肉体にテッカマンシステムの鎧を身に纏う。
本来ならテッカマン1体につきひとつしか持ち得ないテッククリスタル。
だが、彼の体内には「もうひとつのテッククリスタル」が存在していた。

 ブレードがこれまで身を潜めていたのはこのためだった。
再び戦いによってその本能を解放し続ければ、
第2のテッククリスタルが目覚めてしまうからだ。
しかし、最愛の妹・ミユキが生きていたと知れば、
行かずにはいられなかった。そして…

「さあ、目覚めろ、ブレード! お前のあるべき姿に!!」

29人目

ブレードを追って現れたノアルのソルテッカマンがオープンチャンネルで叫ぶ。

「すぐに離れろ! そいつは——」

「もう遅い! さあ、ブレードお前の愛した地球の虫ケラどもをお前の手で消し飛ばすのだ!!」
肩の装甲を展開しレンズのような器官を露出するブレード。

——間に合わない! 誰もがそう感じたがノアルだけは違った。

「これだからいくらチーフの頼みでも軍にゃ戻りたかなかったんだ……許せよ。Dボゥイ!」

ORSより持ち出した新開発の超フェルミオンミサイルを発射する。
ボルテッカを撃つ間もなく超フェルミオンミサイルを受け光に飲まれてゆくブレード。

その光景を目の当たりにしたセイバーは「フフッ、ハハハハハハ」と狂ったように笑う。

「さぁブレード、エネルギーを吸い尽くせ!!」
ミサイルのエネルギーを吸い取ったブレードが激しく光る。

「我々の目的は征服でなく全人類抹殺。 貴様らのおかげでブレードに埋め込んだクリスタルの人類抹殺プログラムがついに発動したというわけだ!!」

蘇るコミュニティの悲劇。暴走するブレードを一種のアンテナにして太陽系の素体テッカマンが一斉に暴走を開始した。

30人目

火星の遺跡に光が灯る。
六角形の眼に光が灯る。

遺跡を破り、立ち上がった巨人は光を越えた速度で飛翔、地球へと飛ぶ。
直線上の人工衛星、宇宙船、コロニーを呑み込み、素体テッカマンの大多数を呑み込み活動を停止した。
火星の巨人に人間が考える倫理観は通用しない。
素体テッカマンの暴走と火星の巨人の暴走、どちらが最終的に大きな被害を産んだのか。
火星の巨人は一瞬で数万の人口を吸収した。

すべてを呑み込み地球に降り立った火星の巨人の顔はゲッターロボに酷似していた。
石造りにも、巨大なモニュメントにも見えた。
富士山を凌ぐ、その巨体。
ゲッターの塔、そう呼ばれるのに時間はさほど要らなかった。
そこは、
ラダム獣が近寄らぬ聖地。

だが、テッカマンとラダム獣の、脅威が去った訳ではなかった