スーパーロボット大戦relayb -THOUSAND WORDS- 第1部 アナザー・センチュリーズ・エピソード

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「プロローグ」

 リレイブ・センチュリー。その名を記憶している者は少ない。

 かつて、リレイブ・センチュリーと呼ばれた世界は
神聖ブリタニア帝国が支配する「皇暦世界」と重なり合い、
その歴史は大きく改竄された。
ある者は言った。それは「世界の接続」であると。

 ブリタニアに占領され「エリア11」と言う
レッテルを貼られた日本。
地球を襲うあらゆる脅威から人類を護る盾となるべく
発足したプロジェクト・リレイブのメンバー達も
偽りの記憶を刷り込まれていた。
ブリタニアの圧政に抵抗するレジスタンスとして駆り出され、
同じ人類同士の無益な争いに疲弊していく一方…

 世界の異変に巻き込まれ、混乱する者たち。
記憶の改竄から脱し、事態の解決に乗り出す者たち。
それぞれの想いが交錯し、世界は激しく揺れ動く。

 これより語られるのは、
そんな混沌のリレイブ・センチュリーに在りながら、
ここではない何処かからやって来た
記憶喪失の少年と正体不明のロボットの物語。

 少年の名は比良坂詠次。ロボットの名は「レイブ」。
己が何者であるかも分からない者同士がある日突然出会い、
未知なる力を発動してリレイブ・センチュリーの外へと
次元跳躍してしまった。

 束の間の時を共に過ごした仲間とも離れ離れになり、
力を使い果たして宇宙空間を漂う詠次とレイブ。
そこへ、哨戒任務に出ていたと思わしき3機のロボットが
通りすがる。
白兵戦用、砲撃戦用、電子戦用。見事に役割分担されている。

「おい、見たこと無いロボットがいるぞ」
「モビルスーツでも、メタルアーマーでもなさそうだ。
あんなの初めて見るぜ」
「ラミアス艦長! アークエンジェルに運んでもいいかな!?」

「許可します。ただし、警戒は怠らないように」
「よっしゃ。タップ、ライト、運ぶぞ。
ロボットに乗ってるパイロット! 生きてっか?
生きてたら応答しろ!」

『ヨミジ。誰か来たよ』
「ああ。どうやら、宇宙空間で野垂れ死にしなくて…
済み、そう、だ…」

 自我のようなものを持っていると思しき
レイブの問いかけに応じた後、詠次は安堵から再び気を失う。
次元跳躍の負荷によって
詠次の体は激しく消耗していた。

 大天使の名を持つ戦艦と、竜の騎兵隊との出会い。
リレイブ・センチュリーから飛び出した新たなる物語の舞台は、
ここから始まる。

「ウサギの旗のもとに」

突如発生した世界の歪みに巻き込まれたエリアルド達。

「…ッ」
『みんな、無事!?』
「あぁ…なんとかな」

カールが言う。

「未知ちゃん、アイザック、無事?」
「はい、私も」
『私も健在だ。だが、オーガン以下のイバリューダーの存在が消えている』
「存在が…?」
『あぁ。不思議なことだが、オーガンが残していったデータやエイド、そして見たこともないイバリューダーのデータが私の中に残されているのだ』

I-ZACKが言う。

「世界がおかしくなったのに…」
『それで、だ。軍の要請もあり、オーガン、エイドといったソリッドアーマーのレプリカをヴィルベルヴィントによって作成することが出来るようになっている。MSが先程、と言っていいのだろうか、使えない状況になったとしても、これで戦うことが出来るようになった。エリアルドが使っているエクテアーマーも改良できる』
『じゃあ、お願いしていいかな、I-ZACK?』
『任せたまえ』



「…これがそうか」
『あぁ。オーガンが残したデータ。エイドとの戦闘から得られたデータ。そして、ヘイズルの中に保存されていた各種データを元にヴィルベルヴィントが完成させたソリッドアーマーだ。新生エル・アライラーといったところだな』

頭や胴体部分はウーンドウォートを模したもの、それ以外のパーツはオーガンを再成したものと同じだった。

「…これでMSがなくても戦えるわけか」
『そのとおりだ。これならば、MSがなくともブリタニアと戦える。…この際だ、カール・マツバラ、オードリー・エイプリルにも言っておこう』
「なんだ?」
『ソリッドアーマーを使う時は、MSと同じような戦い方は難しいと思ってくれ。それと、無茶な戦い方もやめたまえ』
「ええ。それは百も承知」
「エリアルドの戦い方を見てたらわかるって」
『それならいい。また、MSの方は修理は完了している。KMFを相手にして戦いづらくなったらソリッドアーマーの運用も考えてくれていい』
「そうだな。ありがとよ、I-ZACK」

――世界の歪みでイバリューダーの存在は消えてしまった。しかし、オーガンが残してくれたデータもあって、十分に戦える力を有しているエリアルド達。
彼らが”接続されてしまった世界”で、ウサギの旗印を掲げるのはそう遠くない話であった。

「引き寄せられた世界」

——アークエンジェル・格納庫

「報告ありがとう、ニューマン3等空士。 ワカバ3等空士もオセアノ3等空士もご苦労でした。 3人は休んでちょうだい」

「「「はっ!」」」
ケーン達3人は軍人らしい仕草でマリューのそれに応えると、すぐにいつもの調子に戻った。

「なぁ、さっきのメカ見にいこうぜ」
タップが言う。

「駄目だ、お前らパイロットは休めって艦長に言われたろ。 そんなに元気ならドラグナーの整備を手伝うか?」
マードックがそれを制する。

「いえ、結構であります曹長殿! これよりドラグナーパイロット3名は休息任務に就かせて頂きます!」

マードックは、わかったからさっさと行けと手をひらひらと動かす。

「こっちにいれば曹長殿、アイダホに帰っても軍曹殿に中尉殿……」
「愛しのローズちゃんがいるだけアイダホがマシかもな」
が、明るく振る舞う2人を見ることなく、ケーンは去っていく。
デュエルを足止め出来なかったことで責任を感じているのだ。
(キラ、無事でいてくれよ……)

——

「やはりストライクは単独で大気圏に突入したのか」

「そのようです。 仮にストライクが無事でも、パイロットが無事かは五分五分……キラくん……」

「キラの無事を信じよう」

「はい」

「艦長、例の艦が会談を求めています。 結論が出たのであれば一度……」

(個人的には回収したメカに興味があるけど、パイロットの応答も無し、ハッチも開かないではどうしようもないわね)

「わかったわ」

本来、アラスカに向けて降下する予定だった本艦が援護に当たった第8艦隊の犠牲も虚しく、ストライク回収を諦め戦線離脱を余儀なくされたのには理由がある。

——数時間前、本艦より離脱した避難民を乗せたシャトルが緊急降下を試みる中、デュエルのビームライフルによりシャトルが爆発。 キラ・ヤマトのストライクによりデュエルを退けた。
落下するストライクを回収すべく追うように降下を開始した本艦。 が、降下を拒絶されるかのように引力圏より押し戻され、ストライクをロスト。
混乱の中、ザフト、ギガノスの宇宙同盟は後方より出現した部隊と合流し撤退、我々は未知の艦と対峙していた。

——???
「ユニコーンの回収に向かおうにも、あの艦を見たら不可能だとわかるでしょう!」
「いいから、降下するんだ艦長!!」

「ジャブロー爆発」
「こりゃ、何探してもダメかも知んないな。」

依然としてジャブローを捜索していたネオゲッターエゥーゴチーム。しかし、これ以上何も見つからないと判断し、撤退することを決めた。

「ティターンズって野郎どももいねーし。つまんねぇな。」
「ゲッターロボは人と人が争いあうためのものじゃない…それが分からないのか。」
「まぁまぁ、號の言うことも分からなくはないしな。」

ネオゲッターチームもゲットマシンに戻る。

「…!」

すると別世界から来たカイが何か悪寒のようなものに気づく。

「…なんだよこのまとわりつく殺意はよォ…」
「どうしたカイ。」
「…ブライトさんよぉ。ここ、早く離れた方が…」

すると急に天井が崩れ落ちてきた。

「うわっ!?」

落ちてきたのはMS。それもガンダムであった。

「おいおいありゃ…」
「ガンダム…それと…」

ガンダムの他に落ちてきたのは1本角の生えたMSであった。

「…なんだ?百鬼帝国のロボットか?」
「いや、それにしては機体構造がおかしい…どちらかというと…ガンダムに近いような…」
「ブライト大佐。これは一体…」

「我々にも分からない。先程から通信も飛ばしては見てるが…どうにも通じない。」

するとアストナージがブリッジに来て、2つのMSを見た。

「…ありゃあ大気圏を突破してきたな。あの2機は。」
「つまり、地球で作られたものでは無いか。」
「そら元々のガンダムちゃんがそうなんだから…」
「…ブライト艦長。こいつら回収してはくれないか?」
「…わかった。我々はこのMSを回収する。」

2機のMSはアーガマに収納された。
アストナージは2つのMSを見て、驚きを隠せなかった。

「こりゃ…すげえな。」
「アストナージさん。何かわかったんですか?」

ガンダムがあると聞き、カミーユも格納庫に着いてきていた。

「ああ。ガンダムの方は謎のままだが。この一角獣は…俺たちの技術が使われている…」

そう言うとジャブロー全体が地鳴りを起こし始めた。

「うお!?」
「なんだ!」
「地下から高エネルギー!これは…核です!」
「なに!?急速離脱!ゲッターチーム!」
「俺の感じた罠はこれだったか!」
「全速でここを出るぞ!」

ネオゲッターエゥーゴチームはジャブローから脱出した。その数分後、ジャブローは核に飲まれた。

「オーバーフロー」

——???・コックピット
「こっちに零れた分だが、どうもRCに転移したようだな」

『確認してるわ。 モビルスーツ2機とはいえ、あの2機とパイロットの存在は影響力が高すぎる。 レイブの跳躍が無くても2つの世界が接続されるのは避けられない』

「マズいな。 デカい改変が起きかねないぞ……」

『そうね。 今まで平行世界の同一人物の出現は確認出来たけど、このまま今以上に同一世界内での時系列的矛盾が拡がれば世界観が維持できなくなるわ』

「つまり、連中の目論みが達成されるかもしれない……か」


—— バイストン・ウェルの物語を、覚えている者は幸せである。私達はその記憶を記されて、この地上に生まれてきたにも関わらず、思い出すことのできない性を持たされたから。

「地上人の街。 か……」

「あぁ、ここの設備ならνガンダムを元通りに動かすのはどうにかなりそうだ」

「しかし、オーラロードを開くには私のモビルスーツが必要になる」

「彼女の言う通りならここには1年戦争で浮上した際に乗艦していた者たちが大勢いるそうだ」

「サザビーのコックピットが活きていて助かったな。 機体はともかく、ゼロからコンピューター周りを作るのはこの世界じゃ難しかっただろう」

そこに1人の女性が現れる。

「やっぱり不思議。 2人だけが歳をとって」

「キミはあのときのまま……か」


——北海道・NISAR基地
格納庫へ向け軽快に走る男。 彼の名は一文字號。
「よぉ! ゲッターロボの改造はすすんでるかい?」
格納庫前の男たちに尋ねる。

「そのようなことは行われておりません」

「あぁ? ……なるほど秘密主義か。 まぁまぁ、俺はいいんだから」
そう言いながら格納庫へ入ろうとする。

「駄目です。 橘博士の命令です。 絶対に誰も入れるなとのことです」
男が格納庫へ向かう號を遮る。

「何言ってんだよ! なんで俺まで秘密にするんだよ! 俺はゲッターロボの操縦士なんだぜ!」

そう言って立ち塞がる男を避けて進もうとした號だが、更に数人に取り押さえられる。

「て、テメェ! 通せよ! ゲッターロボの改造は行われてるはずなんだろ!? 俺にも見せてくれたっていいじゃねぇかよ!!」

叫ぶ號は男たちに引き摺られてどこかへと連れて行かれた。

そんな様子を不気味に蠢くメカが記録していた……。

「アナザー・センチュリーズ・エピソード」

 アークエンジェルに回収された詠次とレイブであったが、
コクピットハッチは開かれないまま手の施しようも無く、
艦のメカニック班も困惑していた。
それはまるで、レイブがリレイブ・センチュリーにて
初めて発見された時と同様の状態であった。
 
 何処からかレイブのコクピット席に迷い込んだ詠次が搭乗するまで
レイブは実に10年以上もの間、起動する事さえ叶わず
各研究施設を転々とたらい回しにされていたのだ。

 ここで、詠次とレイブが迷い込んだ新世界について語ろう。
アナザー・センチュリー。
この世界には従来の人類「ナチュラル」の他に、
遺伝子操作を施された人類「コーディネイター」が存在していた。

 ナチュラルより優れた身体能力、頭脳。
コーディネイターへの嫉みはやがて憎悪へと変わり、
ついには「血のバレンタイン」と言う悲劇へと発展。
戦争状態へと突入した。
さらに、月面に建国された「統一帝国ギガノス」の独立宣言。

 コーディネイターの軍事組織「ザフト」とギガノスは結託し、
宇宙同盟を組んで地球への侵攻を開始。
各勢力よりもたらされた「モビルスーツ」「メタルアーマー」と言った
人型機動兵器たちが血で血を洗う戦いに明け暮れていた。
皮肉にも、リレイブ・センチュリーとアナザー・センチュリー。
そのいずれにおいても人と人の争いは絶える事は無かったのである。

 亡命したギガノスの科学者、ラング・プラート博士によって
もたらされた3機の新型メタルアーマー「D兵器」を
無断で動かし、個人認証登録されてしまった事で
軍人として戦う事になってしまったケーン・ワカバ、
タップ・オセアノ、ライト・ニューマン。

 そして、中立プラントで暮らしていたコーディネイターの少年
キラ・ヤマト。
対コーディネイター用に秘密裏に開発されていた
5機のガンダムの内の1機「ストライクガンダム」に乗り込んだ事から
若者たちの運命は大きく変わる。

 しかし、詠次とレイブの来訪と入れ替わるようにして
キラとストライクはリレイブ・センチュリーへと転移してしまった。
可能性の獣、一角獣のMSと共に…

「アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアス大尉です」
「ネェル・アーガマ艦長、オットー・ミタス大佐だ」

 共に所属するガンダムを失った、2隻の戦艦の接触であった。

「近似」

——アークエンジェル・ブリッジ

「そちらの事情は概ね理解致しました」
ラミアスは毅然と返答する。

『では、先程話したとおり、本艦はそちらと行動を共にさせてもらう』

「宜しくお願いしますオットー艦長」

通信を終え脱力するラミアス。
だが、話を聞いていて思ったことがあった。

「向こうさん、どうも状況が似すぎてやしないか?」

「ええ、仮面のパイロットに敵国のお姫様。 そして……ガンダム」

「なぁ、艦長。 俺はそれ以上に妙なことに気付いたんだが……」

「“記憶”ですか?」

「やっぱそうか……モビルスーツを最初に運用したのは?」

「1年戦争。 ジオン軍のザク……」

「頭がこんがらがってきたぜ! じゃあ、俺はなんでアーマー乗りなんか今更やってんだ!」

「それは、軍縮を進めた頃にフラガ大尉が入隊して……」

「そう、ハマーンのネオ・ジオンとの戦争を終え、生産数の落ちたモビルスーツ隊ではなく新設のモビルアーマー隊に配属だ。 シャアの隕石落としの時には俺も出撃して実際にシャアとも遭遇してる」

「その後、血のバレンタインの報復としてザフトの投下したニュートロンジャマーの影響で従来のモビルスーツは機能不全を起こし、融合炉に特殊な加工を要するため一部を除き廃棄。 新開発のモビルスーツを開発中の現在はバッテリー式のメビウスが主戦力となった」

「袖付きの連中はシャアのネオ・ジオンの残党で、首魁のフロンタルはシャアの再来」

「まるで体験したみたいに知っているわね……」

「向こうさんも話してるうちにザフトやギガノスの存在を知ってることに気付いてたみたいだしな」

——融合する世界。 R.Cにおいて平和な時代に密かに行われたそれと違い、前線の兵たちに混乱を与える結果となった。

——ネェル・アーガマ・ブリッジ

「艦長! なんで部外者に箱のことまで話したんだ!」

「大声を出さんでも聞こえてる! こっちはそれどころではないんだ!! 現状の確認をする上でお互いの情報を交換する必要もあった!」

「だからと言って!」

「こんな時に……参謀本部と連絡を取れ」
レイアムは2人を睨みながら指示を出した。

——レイブ・コックピット

「うっ……」

『あ! ヨミジ、起きた!! ヨミジ……知らない人がいっぱいいるよ』

レイブはヨミジだけに聞こえるように言った。

「ゲッター線の行方」
「……」

早乙女研究所では行方不明となった新ゲッターロボを今でも捜索していた。

「博士。もうこれ以上の捜索は…」
「いや、続けろ。奴らとはゲッターで繋がっている。例え、異なる次元にいようがな。」

早乙女博士がメインルームを出る。

「あいつらが居なくなって早2ヶ月、鬼共もいなくなったとはいえ…ゲッターロボの力が要らなくなったわけじゃない。一刻も早く、戦力の立て直しを図らなければ…」

すると、早乙女研究所の門から連絡が入る。

「どうした? 」
「子供二人が博士に会いたいと…」
「…ワシから行こう。少し待ってもらえ。」
「は。」

早乙女博士は門へと向かう。門に向かうと見知った顔が見えてきた。

「あ!よ!早乙女のじっちゃん!」
「今朝釣れた魚!持ってきたぜ!」
「ほほう。これまた立派じゃないか。ありがとうな。神勝平、ツワブキ・ダイヤ。」

神勝平、ツワブキ・ダイヤ。かつてアナザーセンチュリーにて、ふたつの異星人が侵攻していた。
1つは、外宇宙からの侵略者ガイゾック。
もう1つは異世界からの侵略者ダリウス。

地球はほんの1年前まで異人による侵略を同時に受けていた。その時ガイゾック打倒のために立ち上がったのは神勝平を始めとする神ファミリー。ダリウス軍の侵攻をダリウス界に留め、ダリウス軍を止めようとしたのがツワブキ・ダイヤの大空魔竜であった。

互いに親友同士だったダイヤと勝平。だがお互いが地球を救ったのを知ったのはつい最近のことであったのだ。

「勝平くん。兵左衛門は元気か?」
「おう!まだまだピンピンしてるぜ!」
「そうかそうか…よくぞ。戦い抜くことが出来たな…」
「じっちゃんのおかげだよ。ゲッターロボ…だってな?試作機で戦ってくれて…嬉しかったぜ!」
「なに、ガイゾックは脅威だったからな。見て見ぬふりは出来なかったよ。」
「あーあー。俺も勝平の下に駆けつけたかったぜ。」
「仕方ないじゃん!ダイヤはダリウス軍を倒してたんだからな!」
「まぁな。プロイストも倒して、ダリウスにも平和が戻ったんだ。」
「それに、地球にダリウスまで来てたら、俺たちだけじゃどうしようもなかったぜ…」
「まったくだな。」

互いに談笑し合う。少しは肩の重荷が外れたアナザーセンチュリーのスーパーロボット軍団。
これからやってくる試練に気づいてるのか否か。

「目覚め」

 リレイブ・センチュリーに出現した新ゲッターロボは
元はアナザー・センチュリーの住人であった。
安倍晴明が支配する黒平安京での戦いの後、彼らはアナザー・センチュリーに
帰還する事なく、リレイブ・センチュリーへと転移した。

 しかし、新ゲッターチームが戦っていた「鬼」は
新ゲッターロボの消失と共にパッタリと出現しなくなってしまった。

 技術思想の異なるガンダム。宇宙と地球に分かれた人類同士の戦い。
異星人の侵略…やはりリレイブ・センチュリーとアナザー・センチュリーは
世界は違えど、似通った部分が多々見受けられた。
その中でも決定的に異なるのはやはり「シャアの反乱」であろう。

 グリプス戦役、第一次ネオ・ジオン抗争を経て勃発した
第二次ネオ・ジオン抗争。
グリプス戦役にて生死不明となっていたクワトロ・バジーナ…
もとい、シャア・アズナブルがネオ・ジオン総帥に就任し
小隕石アクシズを地球に落下させ、アースノイドの粛清を企てると言う
計画だった。シャアの宿命のライバル、アムロ・レイはアクシズの落下を
阻止するために出撃し、不可思議な力を発動させるとアクシズを
引力圏から遠ざけ、地球を救った後にシャアもろとも行方不明となった。

 
 今も生きているのか、死んでしまったのか、はたまた…


――アークエンジェル・格納庫。

「うおっ!? 白ウサギが動くぞ!」

 詠次が意識を取り戻すと同時にレイブの全身に光が走り、
横たわっていた機体を起こす。そして、重く閉ざされたコクピットハッチが開いた。

「ここ…どこだ?」
「何だぁ!? またガキが乗り込んだロボットかよ!」

 キラ、ケーン、タップ、ライト…そして、詠次。
立て続けにアークエンジェルに転がり込んできた少年とロボットの組み合わせ。

「あのー…俺、比良坂詠次って言います。こいつはレイブって言って…
つかぬ事をお聞きしますが」
「艦長を呼べ! フラガの旦那もだ!」
「わ、ちょっと…」

 格納庫は大騒ぎ。すぐさま詠次はレイブから引きずり降ろされ、艦の代表である
マリュー・ラミアスとムウ・ラ・フラガの元に連行されて行った。

「――リレイブ・センチュリー? リボーンラボ?
犬の顔をしたおまわりさん? 貴様、ふざけているのか!」

 艦の副官、ナタル・バジルール中尉は語気を荒くして
詠次を問い詰める。

「バジルール中尉」
落ち着きなさい。 とナタルを嗜めるマリュー。

「詠次くん、貴方の事情はわかりました。 記憶の有無に関してもこれ以上ここでは調べようが無いし、どうあれ当面の身の安全は保証します」

「艦長!」
ナタルは不服そうだ。

「少し休ませてあげましょう。 フラガ大尉、彼を食堂に案内してあげて」

あぁ、と応え、壁にもたれかかっていたムウは数歩進むと座っていた詠次に向かって手を差し出す。
「腹減ってるんじゃないか? あんまり美味いもんじゃないが食える時に食っといた方がいい。 宇宙同盟も混乱してるが、いつまたこっちに戻るかわからんからな」

手を握り立ち上がる詠次
「ありがとうございます」

ふわりと浮いてしまった詠次をムウが引き戻す。

「あとで貴方のマシン、レイブの話も聞かせてちょうだい」

「艦長は元は技術士官なんだ。 格納庫に行ったらこの倍は質問責めにあうかもしれないぜ?」

「フラガ大尉!」
そんなことしません! という顔で睨む。

笑いながらムウは詠次を押し出すようにして部屋を出てゆく。

「艦長、よろしいのですか? 素性もわからないというのに。 敵のスパイ……ということはないでしょうけど」
低重力区画での身のこなしから見て彼の発言は正しいのだろう。

「ナタル……言いたいことはわかるけど、どのみち彼も地球に連れていくしかないわ。 私たちの知っている部分と照らし合わせると、彼もまたネェル・アーガマと同じ世界。 それも10年以上昔から来たという感じかしら」

「はぁ」
ナタルも本来あり得ざる自分の記憶に困惑しているようだった。


混ざり合う世界。 それは記憶だけではない、地球も、宇宙も……消えた者、現れた者、果たしてどちらが消えどちらが現れたのかもわからない。
変化に気付く者はごく少数である。


——北海道近海・邪威岩・深(ジャイガン・シン)

「時が来た! ゲッターロボ大改造の今こそネイザー基地を叩き潰すのだ!」
緑の顔の兄が叫ぶ。
「全軍に出動命令だ!」
赤の顔が弟が叫ぶ。

「メタルビースト・ビーン(尾蚓)、出撃! プロフェッサー・ランドウ軍団、上陸用舟艇発進!」

両肩に2つの顔を持つ異形の男。ヤシャ男爵が命令を下すと潜水艦である邪威岩・深が浮上する、メタルビーストとランドウ軍のロボット兵が操る上陸用舟艇が出撃してゆく。

「大気圏再突入」

「ーーてなわけで、ドラグナーの認証解除するには
アラスカみてえなデカい連合軍基地にでも行かなきゃ
無理っつう事でこうしてアークエンジェルで厄介になってるってわけさ」

 尋問から解放された詠次は、年齢も程近いケーン達から
これまでの成り行きやアナザー・センチュリーの事についての
情報を聞かされた。

「俺は早い所、軍とオサラバしたいね。
無事にドラグナーから降りられたら
軍を辞めてたんまりもらった報償金で悠々自適な暮らしが待ってるって寸法さ」

 タップは今の現状に不満を募らせていた。
途中で逃げ出せば銃殺刑、
アークエンジェルを追うザフトやギガノスとの戦闘、
軍人として厳しい規律と訓練を課せられる日々。
どれも自ら望んだものではない。

「お前さんは何でレイブに?」
「俺は…」

 ライトの問いに詠次は答えられなかった。詠次には、何も無いのだ。

 ケーン達のように自分の命のためでも、金のためでも、
親への反抗でもない。何故、自分だけにレイブが動かせるのかも
そもそも自分が何処から来たのかも、何者であるのかも
何一つとして分からない。

 それでも……


『詠次くん! お願い! レイブを渡さないで!!』


 あの言葉と声だけは覚えている。

「…もう一度、会いたい人がいる。その人に
レイブを託された」

 そうだ。それだけが今の自分の中に残る、たったひとつの灯りだ。
手探りの闇の中を歩くための、心の支えだ。
短いながらも、リボーンラボの仲間と過ごした時間。
あの時間を、もう一度取り戻せるなら…

「もしかして、女か? ヒュー、角に置けないねえ。どんな子だ?」
「えーと…革靴で顔面を踏まれて、
痴漢扱いされて警察に突き出された」

「…」
「……」
「………」

 沈黙。ケーン達はお互いに顔を見合わせた。

「どんな女だよ、それ…」
「そんな女の所に戻りたいなんて、お宅、そう言うシュミなのか?」


『全艦に告ぐ! 間もなくアークエンジェルは、
ネェル・アーガマと共に大気圏への再突入を開始する!
総員、直ちに備えよ!』

 
 話を打ち切るように、ナタルの艦内放送が鳴り響く。

「おっと、いよいよか。ま、お互いに生き延びようぜ! とりあえずはな!」

 ケーンに肩を叩かれる。
アナザー・センチュリーの地球。そこには果たして何が待つのか?
 

「紅の悪魔」

『どこだ、ここは。――調査開始』

紅と黒でカラーリングされた二脚の機動兵器が周囲を見渡す。

『…どうやら、私の管轄外の世界のようだ。…皇暦? 聞いたことのない暦のようだな…』
「なんだ、あれは!?」
「あれもイレブンの機動兵器か?」
『あれはMTか? 様子見をしておこう』

赤黒の機動兵器はKMFを見て、動きを止めていた。

「回収するか?」
「よし、やってみよう」

KMF・サザーランドがスラッシュハーケンというアンカー武器を赤黒の機動兵器に向けて発射する。アンカーが赤黒の機動兵器に絡みつく。

「あっさり捕まったな」
「このまま、引っ張っていけるだろうか」

KMFが引っ張ってみるも、微動だにしない。

「くそっ。動かないぞ」
『…敵性と判断。防衛開始』

左腕のレーザーブレードでアンカーを切り裂き、右腕のパルスライフルを連射する。

「うわっ」
「攻撃してきたぞ!」
「迎え撃つ!」

アサルトライフルを放つKMF。
しかし、赤黒の機動兵器には全く効いていない。

『ターゲット確認 排除開始』

一気に至近距離に近づき、KMFを殲滅する。

『…これからどこへ向かえばいい』

赤黒の機動兵器は、燃えるKMFの中で困惑していた。



『ねえ、エリアルド』
「なんだ、ヘイズル」
『誰か助けを求めている感じがあるんだ』
「…どの方角だ?」
『2時の方向』

エリアルドは、ウーンドウォートのカメラをヘイズルの言う方向に向けた。

「赤黒の…?その周りは、KMFの残骸らしいな」
『…待って!僕達は敵対する意志はないよ!』
「どうした、ヘイズル?」
『赤黒が攻撃してきたんだ!』
「なんだって!?…待てよ、そこの機動兵器!俺達はお前を助けに来たんだ!打つな!」
『私を?』

銃口を下ろしてくれた赤黒の機動兵器。

『…すまなかった』
『いいんだよ。僕はBUNNySのヘイズル。君は?』
『ハスラー・ワンだ』
『ハスラー・ワンか…。それで君はどうしてここに?』
『わからない。センサーの狂いが生じて、正常に戻ったらここに』
『なるほど。…エリアルド、彼も「迷い込んだ」みたいだよ』
「そうか。僕達と同じようだな、ヘイズル」
『そうだね。ねえ、ハスラー・ワン。僕達と一緒に来ない?一人でこの世界をさまようのは危険だと思うんだ』
『…そのようだな』

「フューチャー・ヒーロー」

 アナザー・センチュリーの地球。
飛躍的に発展したロボット工学を悪事に利用する者も少なくなかった。

「ふはははは、暴れろ、壊せ! ネオ・ブラック団に逆らう者には死を!」

 その中の一角、ネオ・ブラック団の巨大ロボットが我が物顔で街を破壊する。
崩れるビル。逃げ惑う人々。

「そこまでだ、ネオ・ブラック団!」
「むうう、またしても奴か!」

「おお見ろ、鉄人だ!」
「鉄人が来てくれたぞ!」

 大空を雄々しく飛ぶ鋼鉄の巨人。恐怖に怯えていた人々に笑顔が戻る。
誰もが知っている、頼もしき伝説のヒーロー。

「鉄人、体当たりだ!」

 NB団のロボットに突っ込む姿は、まるで巨大な砲弾だ。
NB団のロボットの胴体にしがみついたまま
ロケットブースターを噴射。
街の住民の避難が完了した区域にまで運び去っていく。

「ぬうう…またしても貴様か、金田正太郎!」
「それはこちらの台詞だ、ネオ・ブラック団! 
私と鉄人がいる限り、貴様らの好き勝手にはさせんぞ!」

 かつて、無敵のスーパーロボット・鉄人28号を操縦し
数々の難事件を解決してきた少年探偵、金田正太郎。
長い年月が経ち、大人へと成長した現在も鉄人と共に
悪と戦い続けていた。

「ほざくなァッ! 鉄人28号など所詮過去の遺物に過ぎんのだ!
いつまでもデカい顔をしていられると思うな!」
「ならば見せてやる! 私も鉄人も、まだまだ現役バリバリだと言う事をな!」

「その言い回しが既に時代遅れなんだよ! やれい!」

 鉄人28号とNB団のロボットが真っ正面から取っ組み合う。
力と力のぶつかり合い。

「ぬうう…何のこれしき! 負けるな鉄人!!」

 しかし、鉄人がじわじわとNB団のロボットに押し返されていく。

「馬鹿な、鉄人のパワーを上回るだと…!」
「ハハハハハ! だから言っただろう! それ! 一気に畳み掛けろ!」

 一気に形勢は逆転。NB団のロボットは
鉄人28号の巨体を持ち上げ、

「ああッ!?」

 ビルが密集した方角へ鉄人を放り投げた。
その重量でビル群が紙細工のように押し潰れる。

「て、鉄人!」
「それ、一気にトドメを刺せ!!」

「そうはさせるか!!」

 NB団のロボットを殴り飛ばす、新たなヒーロー。

「何ぃッ!?」
「へへん、ヒーローは遅れてやって来る! ってね」

「正人…!」
「父ちゃん無理すんなって!こんなヤツら俺がちょちょいのちょいさ!!」

金田正人。初代鉄人の操縦者金田正太郎の実の息子であり、新型の鉄人、鉄人28号FXの操縦者でもある。

「ようし!行け!鉄人!」

鉄人28号FX。初代の鉄人から数えて実に28機目の鉄人だがその実力はとんでもないものである。そのパワーはどの鉄人よりも高く強い!

「それ!このぅ!」

更に正人の操縦は鉄人の性能を超えた力を見せつけてくれる。まさに最強の鉄人なのである!

「うわあああ!?」
「こ、このままでは我々のロボットが!」
「ええい!出し惜しみするな!ミサイルやら援護ロボやら出さんか!」

NB団は新たな鉄人には手を焼いていた。最早なりふり構っていられないため団員ですらロケットランチャーを使って鉄人を攻撃する始末である。

「うわわ!?」

流石の鉄人もこれほどの攻撃には回避をとらざるを得ず、防戦一方である。

「うわっはははははは!このまま火力で押し返してやるわァ!」
「「そうはさせないぜ!!」」

そこに現れたのは2体の巨大ロボ。見よ!武者姿にあの三日月の兜のロボを!見よ!あの雄々しい二本角に恐竜の顔を胸に持つロボを!

「NB団め!性懲りも無く暴れやがって!」
「俺たちが相手になってやるぜ!」

あれこそ1年前に地球を救ったヒーロー!
ザンボット3とガイキングである!!

「おお!勝平にダイヤか!」
「正人兄ちゃんカッコつけすぎだぜ!」
「俺たちにも相手を残してくれよ!」
「ひええ…」
「こ、こりゃ本格的にまずいぞ…!」

「行くぜ!アームパンチ!」

ザンボット3の手がロケットパンチのように飛ぶ。
NB団の団員が吹っ飛んでいく。

「勝平!その技借りるぜ!ゼクターフック!」

ガイキングがロープを射出。ザンボットの拳を掴む。

「そうれ!喰らえ!」

再び襲いかかるパンチにNB団は大混乱である。

「ちぇ。ダイヤのそれにもあるんだろ?パンチ!」
「俺のは撃ったら戻ってこないからなー」
「ちょっとちょっと!さっきの言葉そのまま返すけど!俺にも少しは残しておいてくれよ!」

とは言っても残すのはあの巨大ロボのみ。

「大物は俺が頂くぜ!鉄人!」

鉄人がロボを見定める。

「必殺!超電導キック!」
「うぎゃあああ!!」

哀れにもNB団のロボは爆発!

「未来の担い手」

「て、鉄人の他にもこんなスーパーロボットたちが来るとは…
き、聞いてないぞォ!!」

 とても敵わないと見るや、爆発する機体からしぶとくも脱出し、
這いずりながらその場から逃げようとするNB団。しかし…

「おっと、逃げられると思っているのか?」
「ひっ…!?」

 急に辺りが暗くなる。迫る巨人の影。
目の前には鉄人のリモコンを携えた正太郎と
その背後に立ちはだかる鉄人28号の姿。

「か、金田正太郎…!」
「さっきは色々と言ってくれたな! 必殺! 四の字固め~!!」
「ぎゃああああああ!!」

 正太郎のサブミッションが見事に炸裂し、
NB団の構成員は敢えなく御用となった。

「ありがとう、君たち。おかげで犯人を逮捕できたよ」
「へへ、良いって事よ!」
「鉄人はみんなのヒーローだからな!」

 超有名人である正太郎に礼を言われて勝平もダイヤも御機嫌だ。
その光景を一歩離れた端から見ていた正人は、

「父さん、俺には何にも無しかい?」
「バカモン! ザンボット3とガイキングが来てくれなければ
危ない所だったぞ、正人! FXの性能に頼った戦い方はやめろと
常日頃から言っているだろう!」

「ちぇっ、何だよ。自分だってちょっとピンチになってたくせにさ。
お説教は勘弁だぜ」
「何をゥ!? 親に向かってその口の利き方は何だ、このドラ息子め!」

「ま、まあまあ…」

 ザンボットの脚部メカ「ザンベース」担当、
ザンボットチームの紅一点、神北恵子が金田親子の諍いを仲裁する。

「やれやれ。みんな見てるぜ。
カッコ悪い所見せてちゃまずいんじゃないの?」

 ザンボットの胴体メカ「ザンブル」担当、
ややニヒルで皮肉屋な
神江宇宙太が呆れ顔で肩を竦める。

「鉄人! ありがとうー!!」
「ザンボットもガイキングも凄かったぞー!」

 振り返れば、感謝と喝采に湧く街の人々の姿。
勝平は照れ臭そうに鼻の下を擦り、

「へへ、俺たち当たり前の事をしただけだけどさ。
それでも、みんなに『ありがとう』って言ってもらえるの…何か、良いな」

 恵子も宇宙太も勝平の言葉に微笑みながら頷く。

 世界を隔てても、正義の心を持つスーパーロボット乗りの
戦士たちはこうして今日も悪と戦っている。

「私もそろそろ引退かな。
だが彼らのような若者がいてくれれば、きっと未来は大丈夫だ」

ーー南極。


ここは地の果てではないが、リレイブ・センチュリー。
お約束通りにリプミラ号が埋まっていた。
なんでと聞くハカセに、
そーいうもんよ、と答えた十鬼島ゲン。
数10kgのダイヤ片を回収してホクホク顔のルカの姿があった。

「マップマン。これが、さまよえる星人のお宝じゃないだろ」
「これもお宝のうちではあるんだがね」

茶目っ気たっぷりに笑うゲン。

「お宝だと言わないとリプミラが拗ねる」
「それにしてもスムーズに行き過ぎてないか?」
「まーな。300m超える宇宙船が現れるんだ。
時代を超えて再現してる時は邪魔者が現れるほうが多い」
「ゲン。センサーに反応はないぞ」
「ならば、早めにここを去るか」


『まあまあ待ち給え、宇宙人の方々』

何処からか響く声。

「誰だ、てめえ」
『故あって、世界平和を願う者さ』
「面と向かって話さない奴は信用しないと決めてる」
「まあまあ落ち着きな、キャプテンマーベラス。
俺達のリプミラ号に手を出さなかったんだ。
最初の義理は通してる」

ウインクをするゲン。

「うちの同輩は、あんたの顔を見たいと言ってる。俺はあんたの義理を通したい。
なら、お互いに顔を見て話しをしよう。
俺は、勇者ダイナック、と呼ばれている。
あんたの名は?」
『噂の波瀾万丈さ。
こちらからログを送った。
食事をしながら話をしよう。
宇宙海賊ゴーカイジャーとミスターマップマン」


「勇者ダイナック? 十鬼島ゲンじゃないの彼」
「通りがいいと思う名前を使うのさ。
海賊稼業が長いと色んな異名はついて回るだろ? そんなものよ」
「そんなもの、でしょうか?」
「それにしても、この船の顔、リプミラに似てない?」
「そりゃ、まあ、私自身だからな」
「なにそれ」
「私はリープタイプなんだよ。星渡る船。六人の幽霊船とか聞いたことない?ないんだ。
まーそういうものなのよ」

「インターミッション」

「なんか、思ったよりも大所帯になってきそうだな」

カールが言う。

「かもな。…しかし、意思を持つ機械が3つもあるっていうのが、なんか、こう…」
『超AIみたいなのを思い出す?』
「ヘイズル、なんだそれ?」
『私達と同じようにロボットが人とコミュニケーションを取る、というものか』
「ハスラー・ワン、なんで知っているんだ?」

エリアルドが問う。

『私のデータにあった。それ以上のことは知らない』
「私も驚きです。アイザックの他にいるというのが…」
『プロフェッサー神先、私もだ。…世界の歪みで記憶やデータが不確かなものになっている。ここで整理をするのがいいかもしれないな』

I-ZACKが提案した。

「…とすると、まず、ここはリレイブセンチュリー…で良いんだよな。皇暦と混ざった」
『そのとおりだ、エリアルド』
「それで敵は、神聖ブリタニア帝国…でいいんだよな」
『ひとまずはね』とヘイズル。
「他にも敵がいる、ということか」
『敵性体が他にもいるのか』
「そうなるだろうな」
『…敵性体はイレギュラーとして排除して良いのだな、エリアルド・ハンター』
「そうだな。攻撃の意思を持って来るのであれば、それでいいと思う」
『承知した』
「まずは、降りかかる火の粉は払うというスタンスでいいと思うのだけど、どうかな」
『賛成!』
『私もエリアルドの意見に賛成だ』
『エリアルド・ハンターがそういうのなら、そうなのだろう』

AIの三人が肯定を示す。

「俺もそれでいいと思うぜ」
「あたしも」
「私もです」

人間の三人も肯定する。

「まさか、俺がこうやってまとめ役をすることになるとはな。こういうのは隊長の…」

言いかけてエリアルドは頭を片手で抑えた。

「どうした、エリアルド」
「…待ってくれ、カール。俺達に隊長、っていたよな」
「いたぜ。ウェス・マーフィーっていう名前だ」
「いたか…。どうも俺にも記憶の混乱が生じてるらしい」
「大丈夫かよ」
「多分な…」

エリアルドは自分達に隊長がいたことを忘れかけていたのだ。

『記録は常にとっておき、バックアップも必要になりそうだな』
『みたいだね、アイザック。エリアルドの挙動を見ていると不安になってくるよ』

「分かたれた運命」

 ――アナザー・センチュリー、宇宙。

「皆、良くやってくれた。出来ればストライクも
我々の戦力として加えたかったが、それが出来ねば討つしか無かった」
「…はっ」

 ナスカ級高速戦闘艦、ヴェサリウス。ザフトのエリート部隊「クルーゼ隊」の
旗艦である。そして、それを指揮する仮面の男、ラウ・ル・クルーゼ。
主な隊員は全て指折りのパイロットのみにしか与えられない「赤服」で
構成されている。

(キラ…)

 イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、ニコル・アマルフィ、
そして、アスラン・ザラ。
中立コロニー・ヘリオポリスで秘密裏に開発されていた5機のガンダム奪取の任務を
果たした者たち。

 その中の1機、ストライクガンダムに乗り込んだキラ・ヤマトと
アスランは同じコーディネイターであり、幼馴染であった。
あの日、戦火に燃えるヘリオポリスで偶然の再会を果たした親友。
それが敵味方に分かれ、戦う事になるとは思わず。

 何度も説得した。同じコーディネイター同士で戦う事は無い。
まして、ナチュラルの仲間になって銃を向けるなど。
けれど、ついにその声は届かなかった。

「うわああああああーっ…」
「キラーッ!!」

 キラを乗せたストライクは大気圏に落ちていった。
MSが保護装備も無しに単独で大気圏に落ちる。まず助かりはしまい。
機体が摩擦熱で燃え尽きるか、パイロットがそれに耐えきれずに死ぬか。
そのどちらが早いかでしかない。

 誰もが、そう思っていた。

「う、うう…」
「気がついたかね」

 しかし、キラ・ヤマトは生きていた。
大気圏に落ちていく最中、リレイブ・センチュリーへの転移を果たすと言う形で…
ジャブローから脱出したアーガマ隊に保護されていたのだ。

「ここは…」
「まだ動かん方がいい。大分体が衰弱している。モビルスーツで
大気圏を突破するなど、生きているのが不思議なくらいだ。
無茶をしおるな、若いの。こっちの少年もな」

 そこはアーガマの医務室だった。大気圏上から飛来した2機のMS。
キラの隣のベッドに寝かされ、未だ意識の戻っていないひとりの少年。
バナージ・リンクス。

(彼も…? でも、知らない人だ…)

 キラとバナージ。出会うはずの無かった2人の少年。
そして、それは彼らだけではない。


 刻の流れが、変わり始めた。

「血の御旗」

二人が見ていたテレビでは帝都ペンドラゴンにてブリタニアとティターンズによる軍事同盟締結されたと報道していた。

ブリタニア代表はシュナイゼル宰相、ティターンズ代表はシロッコ大佐が出席し、調印が行われたとリポーターが称賛している。

「この動きを受け他の勢力も同盟に参画することが予想されており、
黒の騎士団と共に帝国へ反抗するプロジェクトリレイブや宇宙・地下勢力鎮圧の道筋が見えたと話す専門家も――」


「上々だな。これで皇帝の下にアースノイド勢力が糾合される」
「やはり僕たちが供与したアクシズの情報が効いたようだね」
「本隊に先行して送られた工作隊が宇宙の危険分子に接触しザビ家を盟主とした連合を作り上げようとしている…これは見過ごせまい。
間もなく到着するアクシズの軍備もオーバーテクノロジーにより強化され、接近する異星勢力を撃退し続けている」
「"改変"の影響だね。僕と兄さん以外にはそれが起きたこともわからない」
「我々だけとは限らんぞ、オルバよ」


兄の名はシャギア・フロスト。弟の名はオルバ。
二人ともこの世界の出身者ではなくアナザー・センチュリーからの転移者だ。
兄弟には元の世界では特殊能力を持つカテゴリーFと呼ばれ、兄弟間の意思疎通が可能なテレパシー能力があった。
これにより皇歴世界と接続されたリレイブ・センチュリー世界で意識が改変の影響を受けず、なおかつ元の世界の記憶も保持出来ている。


「ガロード・ランやフリーデンの連中が未だに見つかってないのが気がかりだけど」
「直前まで接触していたD.O.M.E.の影響かもしれないが、好都合だ。
おかげで我々は正体を知られることなくこの世界の連邦軍特務隊少将の位を得て自由に動ける。そして、この世界を滅ぼせる」
「地球のブリタニアと宇宙のザビが雌雄を決するために争う。異星人や地下勢力に囲まれながら」
「それでなお生き延びても、我ら兄弟が手を下す…このリレイブセンチュリーもアナザーセンチュリーと同じだ」
「求められたニュータイプの資質を持たず、特殊であるがためにナチュラルとコーディネイターから忌避された僕たち兄弟。この世界もニュータイプとブリタニア人中心の世界だ」


「だから我ら兄弟がやるのだ、世界は違っても我々の復讐には正当性がある」
「そのためにはまずプロジェクト・リレイブに消えてもらわないと」

「シロッコの影」

「パプティマス・シロッコ…!」

 ブリタニア代表のシュナイゼル・エル・ブリタニアと
ティターンズ代表のパプティマス・シロッコが握手を交わす中継映像が
アーガマのモニターでも流れていた。

「あのシロッコとか言う色男。どう言うんだい?」
「底知れない男ですよ…」

 別の歴史を辿った一年戦争終結直後の世界からやって来たカイは見慣れていないが
幾度となくシロッコと交戦した経験のあるカミーユは
その狡猾さとパイロットとしての技量を嫌と言うほどに味わっている。
木星帰りの男であり、独自に専用MSを開発する知識と技術力を併せ持ち、
さらにニュータイプとしての能力もカミーユやクワトロに匹敵する程の実力者。
人心の掌握術や政治力も心得ている。

「シロッコめ…ブリタニアに接触し、さらに権力を拡大しようと言う魂胆か」
「不味いな。ブリタニアとティターンズが手を組めば、
もはや我らエゥーゴやプロジェクト・リレイブの戦力だけでは対処し切れない。
世論も我々の味方をする事は無いだろう」

 リレイブ・センチュリーは、まさに瀬戸際の状況。
真の意味で神聖ブリタニア帝国が地球圏統一を成すのも時間の問題となっていた。

「もしや、ジャブローに核を仕掛けていたのも…」
「シロッコが我々を誘き寄せ、一挙に亡き者にしようとした、か。有り得る話だ」

「ふざけやがって…! 俺たち獣戦機隊だって連邦軍だぞ! それを…!」
「イゴール長官が俺たちを殺そうとするはずは無い。恐らく長官にも
知らされていなかった事だ」

 怒りの収まらない忍に、亮が冷静に状況を分析する。

「ティターンズには一般の軍規は通用しないからな。
俺も一年戦争からこっち、奴らの監視下で軟禁状態だったよ」

「そんな連中が地球で一番の権力を振りかざして好き放題しようってんだよ?
冗談じゃないよ、まったく」
「タチの悪い話だよね、ホント」

 荒れる沙羅に、肩を竦める雅人。


 一方その頃、地下に仕掛けられていた核が爆発し、焼け野原になった
無人のジャブロー。燃え盛る炎の中を、巨大な黒い影が闊歩する。

「―――!!!!」

 ゴジラだ。
人類の核実験によって突然変異を起こし、人智を超えた存在となったゴジラは、
放射性物質を摂取する事で自らのエネルギーとする。
ジャブローの核爆発に反応し、ここまでやって来たのだ。

「GvG」

——アーガマ

日本を発ち、南米を抜け、アーガマ一行はダカールへ向かっていた。

「では、やはり海岸線からダカールに直接というのは難しいか……」

「あぁ、どちらにせよダカールの北か南から侵入して大陸側からアプローチすべきだな」

——北アフリカ・砂漠地帯
「すんません。 俺が言えた義理じゃないですが、横っ腹を突き破ってモビルスーツを出す以外に手は……」

「それは最後の手段だな……ガランシェールもおシャカになる」

「しかし、早いとこどうにかしないと敵に見つかっちまいます」

「慌てたところで、肝心のユニコーンが見つからないんじゃどうにもならん」

「それにしても、シロッコが生きていたのも驚きましたがティターンズはともかくブリタニアってのは一体なんなんだか」

「さあなぁ。 しかし、どうにかユニコーンを回収出来たとして、直前にサイコモニターが傍受した場所は厄介だな……」

ラプラスプログラムが示した次の座標、それは何処か。

——オーストラリア上空・ミデア機内

『本機は現在“爆心地(グラウンド・ゼロ)”の上空を飛行中』

「爆心地?」

「それって、ジオンのコロニー落としの場所だろ?」

顔を見合わせた若い兵士2人は窓から眼下に広がる海を眺めた。

「ここが……!? この海はクレーターなのかよ……」

「コロニーの落下が……大地を抉った跡……」

この2人が向かうはトリントン基地。 テストパイロットとして志願した若き兵士を待つ運命とは……。

——???・コックピット

『ユニコーンを載せたアーガマはアフリカへ向かった様ね』

「あぁ、俺があの時見たのは砂漠に堕ちたガランシェールとユニコーンだった。 展開は違えど、やはり引き寄せあっていると見た。 それも、地上に落下したストライクを載せてだ……因果だな」

『このまま接続されたらネェル・アーガマとアーガマがかち合うわね』

——南米・ジャブロー基地跡。

「奴は間違いなくこの辺りにいるはず……」

実は、みなさんはこの男を一度見ているのです。
そう、ジャブローで何者かを見つめていた覆面の男。

今回は、ジャブローにほど近いギアナ高地で、彼の元、修行するガンダムファイターが修行の成果を見せるべく、かの怪獣王と激突するお話です。

それでは皆さんご一緒に! ガンダムファイト、レディィィーゴォーーッ!!

「闘えドモン! 怪獣王とのチャンピオン・マッチ」

 ーーギアナ高地。

 高い岩山と溢れる自然に囲まれた、未開の地。
現地の人間も近寄らない秘境で、その男は厳しい修行に明け暮れていた。

「フッ! ハッ!」

 ドモン・カッシュ。コロニー格闘技の覇者。
荒廃しつつある地球環境を浄化すると言う目的で開発されたものの、
アクシデントによって自己進化、自己再生、自己増殖を
無限に繰り返す怪物と化したデビルガンダムを追って、
地球へとやって来た。

 しかし、ドモンに武道の手解きをした師匠、東方不敗マスター・アジアは
デビルガンダムの手先となっていた。育ての親とも言える東方不敗の裏切り、
そして完全敗北を喫したドモンは一から自分を鍛え直すため、
謎の覆面ファイターシュバルツ・ブルーダーの下で修行に励んでいた。
だがその甲斐なく、手応えは感じられなかった。

「ドモン…」

 それはドモンのパートナー、レイン・ミカムラの目から見ても明らかだった。
ただがむしゃらに体を動かしているだけに過ぎない。

「その様子ではまだまだ明鏡止水の境地には至れていないようだな、ドモン!」

 いつの間にか、滝壺の頂上からドモンを見下ろす覆面の男。

「シュバルツ! 何処へ行っていたんだ!」
「そんな事はどうでもいい! 今のお前に打ってつけの修行相手を
見つけてきてやっただけの事」
「何…!?」

 鳥たちが一斉に飛び立つ。地響きで大地が揺れる。

「地震…!? いいえ、これは…足音…!? それにしても、こんな巨大な…」

「見よ! ドモン!!」
「あ、あれは…!!」

 ギアナ高地を取り囲む山々から、「それ」は顔を出した。

「ーーーー!!!!」
「か、怪獣!?」

 咆哮による波動は、質量を持ってドモンを後退らせる。

「そうだ。奴の名はゴジラ。その胸に怒りと哀しみを背負った破壊の化身だ。
今のお前には相応しい相手だろう」
「俺があんな化け物と同じだと言うのか!?」

「違うと言うのか? キョウジへの恨み、憎しみだけで
怒りのスーパーモードを発動させてただひたすらに
暴れまわるだけの貴様はゴジラと何ら変わりはしない。
いずれ貴様は負の感情に囚われ、厄災を振り撒く悪鬼となろう」

「くっ…!」
「図星を突かれて悔しいか? ならば見事ゴジラを倒して見せろ!
今の貴様に出来るものならばな!!」

「やるしかない!出ろおおおおおおおおおおおお!!ガン!ダーーーーーム!!」

ドモンの叫び声とともにシャイニングガンダムが現れる。

「うおおおおおおお!!」

シャイニングガンダムのキックがゴジラに炸裂する。

「グオオオオオオオオ!!」

だがやはり大きさの違いもあるのか、ゴジラには効いてない。
ゴジラはしっぽを振り回し、薙払おうとする。

「なんの!」

ドモンは避けることに成功する。

「とりゃああああ!!!」

ドモンの連続パンチ。

「グオオオオオオオオ!!」

しかしこれにも応えることなく。ゴジラは逆にシャイニングガンダムの腕を掴み、地面に叩きつける。

「うおおおおお!?」

モビルスーツのダメージはそのままモビルファイターに通ってしまう。ドモンにもかなり痛いダメージを受けてしまった。

「どうした?ドモン。やはり貴様はその程度なのか!」
「う、うるさい!うおおおおおおお!!」

ドモンの叫び声とともにシャイニングガンダムが黄金に光り始める。
人の感情をエネルギーに変換する特性を持つ特殊素材「ディマリウム合金」を利用し、搭乗者であるドモン・カッシュの「怒り」が頂点に達したとき、その感情がエネルギーに変換され、最大パワーを発揮出来る。怒りのスーパーモードになることが出来るのだ。

「必殺!シャイニングフィンガーソーーード!!!」

怒りのスーパーモード状態で使える最強の技。愛と怒りと悲しみの必殺技。しかし…

「グオオオオオオオオ!!」

ゴジラには通用しない。

「な、なに!?」

逆にゴジラは放射熱線を発射する。ショックの大きさにより、回避すらできず、シャイニングガンダムが諸に食らってしまう。

「うわあああああああああ!?」

「…失望したぞ!ドモン!」
「な、なんだと…!」
「また怒りのスーパーモードを使ったな。そんなもので、このゴジラを倒せるものか!」
「……」
「ゴジラは怒りを敏感に感じとる。お前が怒れば怒るほど、ゴジラはその力を何倍にも跳ね上がらせる。お前が怒れば、ゴジラも怒る。まるで子供の喧嘩だな!」
「じゃあ…どうすればいいんだ!」
「言ったはずだ。明鏡止水の心。その心こそが鍵となる。」

「明鏡止水…」

ドモンは…目をつぶり心を見すえる。

「…ふ。大した集中力だ。だが、ゴジラはお前の都合など知る由もないぞ!」

「我が心、明鏡止水」

「ーーーー!!!!」

 ドモンの集中力を打ち消さんばかりに、ゴジラは執拗に攻撃を繰り出してくる。

「…っ!! ぐううううっ…!! ああッ!!」

 集中しては殴られ。集中しては蹴られ。これでは堂々巡りだ。

「ーーーー!!!!」

 そしてダメ押しの尻尾攻撃がシャイニングガンダムの胴体を直撃。

「ああッ…!」
「ぐおああああああああッ…!」

 たまらず吹き飛ばされるドモン。
その時、まるで世界の全てがスローモーションになってしまったかのような
感覚に陥った。

(な…! 何だ、これは…!!)

 視覚、聴覚、触覚…五感の全てが失われたように静かだった。
何も見えず、何も聞こえず、ただ、果ての無い暗闇の中に漂うような…

「俺は…俺は、死んだのか?
師匠も取り戻せず…デビルガンダムを奪ったキョウジを倒す事も出来ず…」

 これまでの戦いの日々が走馬灯のように流れすぎていく。
あの日。ドモンの兄・キョウジがデビルガンダムを奪い、逃亡。
母は死に、父は冷凍刑。

 ドン底からの始まりだった。復讐心に突き動かされ、
心を閉じ、ただただデビルガンダムを倒すためだけに生きてきた。
そんな時でも、常に側にいてくれたのは……


「ドモーーーーーーーーン!!」
「!? レイン!!」


 そうだ。復讐心。それだけじゃない。

「ーーーー!!!!」

 鼓膜を破るようなゴジラの咆哮も。
大地を揺るがす足音も。
森を薙ぎ払う尻尾のしなりも、もはや気に止まらない。
全ての雑音と雑念を越えた先に滴る、たった一滴の水のしずく。

「ーー見えた! 見えたぞ! 水の一滴ッ!!」

 その瞬間。シャイニングガンダムが未だかつてない黄金の輝きを迸らせる。

「!?!?」

 先ほどまであれほど攻勢だったゴジラも思わず怯んでいる。

「ついに、ついにやったなドモン。
それこそが明鏡止水…澄んだ水のように、何物にも汚されず、動じない、無我の境地」

「ゴジラよ。戦いの中で伝わってきた。
お前がこれまでどのように生き、この世界に対して何を感じて来たのか」

 ドモンの心に一切の蟠り無し。
ゴジラはこれまでそのような者を相手にした事は無い。
どのような相手であれ、戦うからにはどうしても負の感情が生まれるからだ。
怒り、憎しみ、哀しみ、闘争心……今のドモンにはそれが無い。

——高台、その様子を見つめる男の姿。
「他のシャッフルの小僧共を逃したかと思えば、こんなところで……フン、あやつ掴みおったな? だが未熟な奴のこと、獣ではなく相手が人となれば言葉一つで心を掻き乱されるのがオチよ。
ジャブローの核爆発には少々肝を冷やしたが、デスアーミーの数が減ったところでデビルガンダムさえおれば同じ事!
それにつけても愚か! 愚かなり人類! 連邦もジオンもブリタニアもこの母なる大地を顧みはせぬ!
核、コロニー落とし、フレイヤ……乱開発や戦争を繰り返し地球を汚染し続ける愚かな人類が大自然の怒りに押し潰されるならそれもまた一興と思ったが、あやつが修行の成果を完全にモノする前にここらであの馬鹿弟子にシュピーゲル共々ワシ自ら引導を渡してくれようか……」

——アフリカ
一方、アーガマは南側より迂回してアフリカ大陸に侵入していた。

「嫌な感じがする。 ただ、それだけではなく優しさや穏やかさも持った不思議な感覚もあるな」
「俺はアムロさんみたいには感じませんけど、このマシンはサイコミュ的なシステムを積んでいるんですね」
「クリス、そっちはどうだ?」
「駄目ね。 OSの複雑さもあるけど、それ以上にこれを乗りこなせる人間がいるとは思えないわ」
「どういうことなんです?」
「反応から何から滅茶苦茶よ。 これがキーボードならまともに文が打てないぐらいの設定がされているわ。 というか、キーボード1つ取っても並の反応ではないのよ」
「へぇ……少し触ってみたいな」

アムロはストライクの方に興味を持ったようだった。

「あの少年、キラと言ったか? 彼からはカミーユやアムロと同じものを感じるな」

「大尉! いいんですかこんな所で。 演説の文はどうなんです?」
「厳しいなカミーユ。 人間、息抜きも必要というやつだ」

「俺も大尉と同意見だね。 あぁ、息抜きの方じゃなくな。 さっきちょいと顔を出したんだが、キラにしろもう1人にしろ、どこかアムロを思い出すんだよな」

(思い出す、か……)

それは、アムロにはこのカイのいた世界では自分は死んでいるのだということを実感する言葉だった。

「違う世界……未来やパラレルワールドのマシンか……」

——ガランシェール

「キャプテン、連邦の艦がこっちに向かってるそうです!」
「ネェル・アーガマか?」
「はぁ、それがどうもアーガマらしく」

「なにぃ?どうしてグリプス戦役時の旧型艦が?ネェル・アーガマといい、リバイバルキャンペーンでもやってんのか?」
「いえ、改修されたような形跡はなく、正真正銘のアーガマかと…」
「どうなってやがる…」
「それに…やたら救援をしてくれた手前言えなかったのですが…ジオンの残党軍たちが多いのも気にかかります。」
「ああ。元デラーズ・フリートの直属の残党軍まで居たと聞いた。」
「まるで過去にでも飛んだみたいな…」
「過去…どうだろうな?こういうのは異世界にでも飛んだ気分になるぜ…」
「どうしますか?アーガマはあと2時間もすればこちらと接触する形になりますが…」
「…ひとまず話がしたいな。アーガマと、接近する。」

ガランシェールは進路をそのままにアーガマとの接近を図る。

「ブライト艦長。何やら接近してくる艦隊がいます。」
「数は?」
「一機のみです。型式番号など不明。」
「ブリタニアかもしれないな…しかし、攻撃を仕掛けてこないのは何故だ。」
「わかりません。あ、通信が入ります。」
「繋げろ。」

『あー、こちらネオジオン所属のガランシェール隊。艦長のジンネマンだ。旗艦の所属と名前をお聞きしたい。』

「ネオ・ジオン!?」
「…ブライト艦長。どうする?」

忍が応戦体制を取りながらも聞き出す。

「…いや、ここで不必要に事を荒立てることは無いだろう。我々はすでにブリタニアとティターンズから狙われている。それに加えてネオジオンまで敵に回してしまっては今度こそ八方塞がりだ。」
「なるほど…敵の敵は味方ってことか!」
「號にしては頭が回ったな。」
「うるせぇ!」

『こちら、連邦所属のエゥーゴのブライトだ。』

「艦長、エゥーゴだと…」
「ロンド・ベルではなくエゥーゴか…まじでグリプス戦役の頃の世界なのかもしれんな…」

『あー…旗艦の実態は把握した。こちらとしても無駄に戦闘を行いたくない。そのため情報を提供して欲しい。』
『情報だと?』
『なに、ふたつの質問に答えるだけでいい。1つは、先程の爆発はなんだ?』
『ジャブローの核爆発だ。恐らくはティターンズの仕業ではないかと推察している。』
『なるほど。それじゃ…2つ目だが…』

ジンネマンが二つ目の質問を言おうとした時であった。アラートがなり始める。
「艦長!敵機が!」
「どこの軍だ!」
「ティターンズとブリタニアです!」

「黒いガンダム」


ーーアーガマ

「なあ、アムロ。最近のガンダムってデカいんだなぁ」
「俺も初めてみるよ、あんなデカブツ」
「何か嫌な感じがします」
「感じるのかカミーユ?」
「言葉では表せない、こうざらついた」

『アレはサイコガンダムだ』
「ジンネマン艦長はご存じで?」
『ああ、こちらに縁が深いのは2号機だがな。
きっと強化人間が乗っているはずだ』
「強化人間?」
『人為的に作られたニュータイプだよ』
「ッ! ティターンズ、なんて非道な!!」


ーーガランシェール

通信を切るジンネマン。

「間違いない。俺達は、過去に辿り着いたようだ。
俺達の時代のブライト・ノアが強化人間を知らないことは、あり得ない。…ティターンズの悪事ばかりではないことも知らないことはない」


ーーギアナ高地

「ならば、俺は俺の最大限の力で挑むしかあるまい!!!」

大河に落ちる一滴の水。
曇りも濁りもない澄み切った心を表す。
我が心、明鏡止水、されどこの掌は烈火の如く。
シャイニングガンダムが金色に、
更に輝きを増す。

「しぃぎゃおおおおおおお!!!」

ドモンの心意気に応えるが如く叫びを上げる怪獣王。
鋼の口角が上がったように見えたのは気のせいか?
背ビレに光が灯る。

緑の閃光と緑の閃光がぶつかり合い、
ギアナ高地は光に包まれた。
光は宇宙からも観測されたと言う。

その膨大なエネルギーは、一体のガンダムに吸い込まれた。
デビルガンダム復活のエネルギーが満たされたの瞬間であった。

「ゴジラVSデビルガンダム」

「いかん、この反応は…!」
「でぇあっはっはっは! 礼を言うぞ、ドモン!」

「その声は師匠…いや、東方不敗マスターアジア!!」

 ギアナ高地の岩山から競り上がって来る機械仕掛けの悪魔、デビルガンダム。
そして傍らに立つは、東方不敗の愛機、マスターガンダム。
DG細胞によってかつての乗機、クーロンガンダムが強化されたものだ。

「貴様らの戯れのおかげでデビルガンダムはこうして復活する事が出来た!
馬鹿弟子も少しは役に立つものよのう!」
「何をゥ!?」

「いかん、奴の狙いは…!」
「ほうれ、怒れ! 怒れ怒れ怒れ怒れ怒れ怒れ怒れ!
わしを許せぬのであろう! ならば怒れ! 怒って怒りのスーパーモードを
出してみるがいい! それとも、デビルガンダムが恐ろしくて
震えて動けぬか! うはははははははははははは…」

「貴様ァァァァァァァァ…!!」
「やはりか、やめろドモン! 東方不敗の狙いはお前を…」


「ーーーーーーー!!!!!」



「!?」

 ゴジラが吠えた。未だかつてない轟きに乗せて。

「!? ゴジラ…」

 ゴジラがシャイニングガンダムを見つめている。まるでドモンを制止するように…

「ゴジラよ…すまない、お前のおかげで目が覚めた」

 怒りに支配されそうになったドモンの心が鎮まっていく。

「ぬうう…おのれ、あの怪獣さえおらなんだら、上手く行っていたものを…!」

「ーーーーー!!!」

 デビルガンダムに対して、ゴジラが再び吠える。

「ゴジラが…怒っている…!?」

 レインにはそう感じられた。

 人類の核実験によって望まぬ進化を強いられたゴジラだからこそ、理解する。
DG細胞によって無限に増殖し、生きとし生けるものを強制的に取り込み、支配する。
それは彼が最も憎むべき、自然の摂理に逆らった、歪んだ進化に他ならないと。

「俺と一緒に戦ってくれるのか、ゴジラ……」
「…………」

 肯定はしない。さりとて、否定でもない。
ゴジラにとってもデビルガンダムは天敵。ただ、本能に従い、これを討ち滅ぼすのみ。

「ようし! 行くぞ東方不敗! デビルガンダム!
今日こそ貴様らを叩き潰してやる! キング・オブ・ハートの名に懸けて!!」

「ならば来るがいい! ガンダムファイトォ!」
「レディィィィィ…!! ゴォオオオオオッ!!」

——A.C・オーブ上空・ストーク・コンテナドック

「ブラックレイブ!?」

——???・コックピット

「ブラックか。 なるほど……Black-layb。 ならばブレイブと名付けよう」

『ちょっと! 私のレイブの真似をするとかどういう了見? 著作権?とかどうなってるの!!』

イエロゥはヘルメットの中で苦笑する。

言葉を返さずブレイブは暗雲を纏い消え去る。 雲ひとつない晴天。 あのときと同じだ。

「ブレイブ……」
たすきは名前をつぶやくことしか出来なかった。

——R.C・アフリカ

交戦するアーガマとティターンズ。
戦場にストライクとユニコーンの姿は無い。

『コックピットで待機します!』

「誰だ! 」

『ストライク、キラ・ヤマトです』

「君は……もう大丈夫なのか?」

『はい。 この戦闘が終わったらアークエンジェルに連絡を取らせて下さい』

「アークエンジェル? それが君の所属艦か? 生憎こちらにはその艦の情報が無い。 確約はしかねる」

——そのとき、暗雲を伴い黒い機体が姿を現す。

イエロゥは秘匿回線でガランシェールに通信を送る。
『お初にお目にかかる。 今から隙を作るのでアーガマに潜入して貰えないだろうか?』

「何ぃ? キサマ、どこの所属だ」

『……イエスかノーかだ。 パイロット奪還の暁にはこちらはユニコーンごとそちらに引き渡す』

「いいだろう」

「キャプテン!」

「緊急着陸! 墜落に擬装するぞ! フラスト、俺について来い」

「せっかく掘り起こしたのに!」

「だが、ユニコーンは手に入る」

「信用するんですか!?」

「するしかあるまい」

「ああもう!」

『話は聞いていた。 ハッチに攻撃を装い接近する。 振り落とされたくなければ手にしがみつけ』

ブレイブは空中を飛びそのままガン!とハッチを打ちつけるとそのまま共に落下していく。

——アーガマ・デッキ

「新手!? 艦長、キラ・ヤマト、ストライク出ます!」

「了解した。 デッキ! 例のガンダムが出るぞ!」

イエロゥはそれを見逃さない。

「今だ!」

黒兎の跳躍。

発進するストライクと入れ違うようにカタパルトからデッキへと侵入するブレイブ。

「取りつかれた!?」

「未確認機、デッキ内に侵入! 動かせる機体ありません!!」

「クソッ! 誰でもいい、呼び戻せ!!」

「早乙女研究所、危機一髪!!」

 激動のリレイブ・センチュリー。

 ギアナ高地にて、ドモンとゴジラ、東方不敗とデビルガンダムによる前代未聞の
タッグマッチのゴングが高らかに鳴り響く。
そして、神聖ブリタニア帝国と言う後ろ盾を得た事によりかつてない権力を
手に入れたティターンズは、反乱分子の筆頭であるプロジェクト・リレイブや
エゥーゴを本格的に潰しに入る動きに出た。その次なる作戦は…

「むうう…ネオゲッターチームが出払っている時に…!」

「アーガマがここに接触したと聞いていたが…逃げたか。まあいい。
早乙女研究所に告ぐ。こちらは、ティターンズ所属のジェリド・メサ中尉だ。
直ちにゲッターロボと研究所の明け渡しを要求する」
「な、何だと!?」

 早乙女研究所の敷地内を完全に包囲する、ティターンズのMS部隊。
そう、ティターンズはプロジェクト・リレイブのスーパーロボット達を支援する
日本各地に点在する研究施設の制圧に乗り出したのだ。
ブリタニアに降伏し、エリア11と化した日本は深刻な財政不足に陥った。
そのため、ゲッターロボを始めとするスーパーロボット達も満足な補給や
メンテナンスを受けられず、もはや出撃する事も叶わなくなっていた。

「早乙女博士。貴様には複数の嫌疑がかけられている。
数年前、ニューヨークでゲッターロボが自爆した事により、都市は壊滅した。
さらに、各地でゲッターロボと思われる機体が
ブリタニアやティターンズへの反抗を続けているとの報告がある」

(リョウくん達がゲッターの塔の調査に向かっている間に現れた、
別の世界からやって来たと言うゲッターのパイロット達の事か…彼らは未だに…)

「加えて、火星から飛来した巨大構造物。
今はブリタニアが管理しているが、あれもゲッターロボの亜種だと聞いた。
それらの件について、詳しく聞かせてもらいたい。我々と一緒に来てもらおう」

「ふざけるな! 横暴だ!」
「ゲッターチームか。お前らのゲッターロボも、もはや戦う力も残っていまい」

「フッ、舐めるんじゃねえぜ。こちとらゲッターが無くたって、お前らを
1人でも多く道連れにしてやる覚悟は出来てるんだ」
「あくまで我らに従う気は無いと言うんだな? では、こうしよう。
早乙女博士。貴様の娘について…知りたくはないか?」


第1部 完
to be continued…