スーパーロボット大戦relayb -THOUSAND WORDS- 第2部 反撃の狼煙

59 いいね
完結済
1000文字以下 30人リレー
2年前 1439回閲覧
  • 二次創作
  • スーパーロボット大戦
  • Twitterタグはスパロボrb_小説
  • 自由に続きを書いて
1人目

「プロローグ」

 リレイブ・センチュリーに次ぐ、新たな新世界。
その名はアナザー・センチュリー。
リレイブ・センチュリーと共通する部分を数多く持つ、並行世界。
そこに、比良坂詠次とレイブは転移した。
そんな2人の行方を追って、時空を飛び越えたリボーン・ラボの面々。
時空を超えた追いかけっこの結末は…?

 一方、リレイブ・センチュリーでは、神聖ブリタニア帝国とティターンズが
同盟を結んだ事により、地球上におけるプロジェクト・リレイブの立場は
より一層悪くなるばかりであった。

 戦闘民族イバリューダーのデトネイター・オーガンの力を受け継いだ
エリアルド・ハンターと「アリーナ」のトップランカー、
ハスラー・ワンの遭遇。異世界から来た者同士の出会い。

 自己進化・自己増殖・自己再生を繰り返し、やがては地球そのものを
呑み込む悪魔と化したデビルガンダムを討つために
地球にやって来たガンダムファイター、ドモン・カッシュ。
人類の核実験によって突然変異を起こした怪獣王・ゴジラとの激突。

 アナザー・センチュリーより現れ、
リレイブ・センチュリーの混乱を影から煽る「カテゴリーF」
フロスト兄弟の暗躍。

 大気圏を突破し、時空を超えて飛来したアナザー・センチュリーからの
来訪者、ストライクガンダムとユニコーンガンダムは
リレイブ・センチュリーに如何なる変化をもたらすのか?

 そして黒いレイブの同型機…Black-layb、通称「B-layb(ブレイブ)」を
操る謎の男、イェロゥ・スプリングフィールドとは果たして何者か。

 各地でブリタニアへの抵抗運動を続けていたスーパーロボット達も
満足な補給やメンテナンスが受けられず、
もはや戦う事さえままならぬ状態にまで追い詰められていた。
さらにダメ押しとばかりに、ティターンズは反地球連邦組織エゥーゴや
各地の研究施設など、プロジェクト・リレイブを支援する団体を制圧する
強硬手段に出る。

 ゲッターロボを有する早乙女研究所にも、ティターンズの魔の手が
迫っていた。ジェリド・メサはMS隊を従え、早乙女博士の身柄の拘束、
ゲッターロボと研究所の明け渡しを要求する。研究所に残された
ゲッターロボGも出撃不可能な中、ジェリドは早乙女博士に
卑劣な取り引きを持ちかける。

 長らく行方不明になっていた早乙女博士の娘、ミチルの居所を…

2人目

「ミユキとミユキ 早乙女ミチル奪還作戦!」


ジェリドの乗るバイアランが後方のアッシマーを指差す。

アッシマーの持つカプセルには気を失ったミチルの姿がある。

「卑怯な! ミチルの行方不明は貴様らの仕業だったのか!」

「ティターンズめ。 外道に落ちたか」

『勘違いするな。 我々は情報提供を受け人道的立場により保護しているに過ぎん』

——マシーンランド
「人間どもめ。 争い始めおったわ」

「順調のようだなバット将軍よ」

「大魔人ユラー様! 間もなくティターンズめがゲッターロボGを手中に収めるでしょう」

「あとは予めティターンズへと潜入させていた恐竜テッカマン部隊とチリュウ一族がゲッターを奪い去るというわけだな?」

「はい。 ゲッターロボGを奪取した暁には量産化して我らが尖兵として役立てましょう」

——森林地帯・地下・恐竜テッカマン試験場跡

「一足遅かったみたいね……」

ミチルを捕らえていた檻を見つめるミユキ。

傍らにはゲッターQで破壊したラダム樹。

「お父様……ミチルさんは私が取り戻してみせます。 …………誰!?」

「驚かせるつもりはなかったのよ、ミユキさん」

物陰から現れた2つの影。 片方に見覚えのあったミユキは安堵する。

「アキさん! そちらの方は?」

「この子は相羽ミユキ」

「アキさんの妹……になるのかな」

「ミユキちゃん!」

「仲がいいのね……」

「最近出会ったようなものなのだけどね。 ところで、これは貴女が?」

「ええ、こんな恐ろしいものがこの世にあってはいけない……」

「その機体。 貴女ゲッターチームの関係者だったの?」

「早乙女博士は私の父です。 アキさん、ミユキさん、どうか、私に力を貸しては頂けませんか? 私はミチルさんを……私の妹を助けたいのです!」

——早乙女研究所

「返答は決まったかい? 選択肢なんざ端っからないはずだぜ?」

ジェリドのバイアランがカプセルに近づく。

その時——

「クラッシュ! イントルゥードッ!!」

一閃。薄紅色の光の鳥がアッシマーからカプセルを奪い去る。

「なんだ! 何が起きた!!」

光の鳥の向かった先から、突然の来訪者に驚くジェリドの前にカプセルを持った巨大ロボが姿を現す。

「馬鹿な、ゲッターロボだと!?」

早乙女が叫んだ。

「あれは! ゲッターQ!!」

3人目

「お呼びとあらば即参上」

 早乙女研究所で繰り広げられる大立ち回り。一方…

――科学要塞研究所。

「往生際が悪いぞ、グレートマジンガー!」
「くっ…!」

 剣鉄也が所属する科学要塞研究所には、カクリコン・カクーラーが
指揮するティターンズの別働隊が攻め込んで来ていた。
鉄也はグレートマジンガーで徹底抗戦の構えに出るが、やはり機体は
限界寸前であった。

「ジュン! 所長を連れて逃げろ!」
「そんな…! 鉄也はどうするの!?」
「俺はここで奴らを食い止める! 早く行くんだ!」

 パートナーの炎ジュンに撤退を促す鉄也。

「諦めろ。もはやこの地球上に貴様らの逃げ場など無いぞ!」

「――確かにそうだな。地球上に、ならばな」
「何!? 誰だ!?」

 上空から流星雨が如く降り注ぐブラスターの雨。

「ぐわあああッ!」
「ぎゃあああッ!」

 ブライスター。ブラスター・キッドの百発百中の狙撃が、
すべて一撃の下にMS部隊の急所を次々と撃ち貫いていく。

「イヤッホォゥ!」

 さらにMS群の中を猛スピードで突き抜けながら、機銃を乱射して
陣形を掻き乱すソードフィッシュⅡ。スパイクだ。

「うおっ!?」
「遅い遅い。そんなんじゃ捕まってやれないな」

「まさか、連邦軍もここまで腐っていたとはな。見下げ果てたぜ」
「その声…元レッド・ローズ隊の木戸丈太郎か…!」

 かつては連邦軍の特殊部隊「レッド・ローズ隊」に所属していたキッド。
しかし連邦軍上層部の腐敗ぶりに嫌気が差し
軍を無断で脱退。以後、コズモレンジャーJ9の凄腕スナイパーとなる。

 スパイクとJ9。新たな依頼を受け、混沌たる地球へと姿を現した。

「お前達は…?」
「そんなボロボロになるまで、随分と根性あるじゃないか」
「ご安心して。あなた達をお助けしに来たのよ。イェーイ!」 
「ええい、たかが戦闘機が2機増えただけだ、まとめて始末しろ!」

「たかが、ですってよキッドさん」
「知らないってのは悲しいですねぇ、ボウィーさん」

「悪党にかける情けは無い。ボウィー、シンクロン・マキシムだ」
「イェーイ、待ってましたそのお言葉!」

 夜空の星が輝く影で、ワルの笑いがこだまする!
星から星に泣く人の、涙背負って宇宙の始末!
銀河旋風ブライガー! お呼びとあらば即参上!!

「ブライシンクロン・マキシム!」

4人目

シンクロン原理、凄腕メカニックであるドク・エドモンが発見した、この宇宙の質量やエネルギーを多元宇宙に保存したり、取り出したりする事により、その投影像である物体のサイズを自在に変更する事を可能にするという原理。
この原理により、J9のメカは合体、巨大化しブライガーと化すのだ!

「せ、戦闘機たちが合体して巨大化しただと!?」
「よっと、大丈夫かい?」
「ああ…助かる…!」

ブライガーはグレートを助け起こす。

「よし、なら反撃開始と行こうかい!」

「真の皇帝」

一方こちらは光子力研究所。
こちらも同様にティターンズからの激しい攻撃に見舞われていた。

「ぐっ、バリアがどこまで持つか…」

(ダメだ…いくら光子力研究所だからってもうろくにエネルギーも残っちゃいねえ…マジンガーもグレンダイザーもメンテナンス不足で限界だ…)

「…この分ならすぐにでも片が着くだろう。」

バスク・オムの腹心であり、前線部隊の指揮官でもあるジャマイカン。大気圏内でも運用可能なように改造したアレキサンドリアで光子力研究所を攻め立てる。

「…! 少佐!レーダーに未確認機の反応あり!」
「なんだと?どこからだ。」
「…こ、これは!う、上です!上から降ってきます!」
「なに!?」

空から来る未確認機体。その正体は…

「神に会うては神を斬り…」
「悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!」
「戦いたいから戦い…」
「潰したいから潰す!」
「「俺達に大義名分などないのさ!」」

地獄。降ってきたのは地獄そのものだった!
牙斬刀がアレキサンドリアの甲板を貫く。

「うおっ!?なんだこのロボットは!」
「よう、ティターンズ共。ちょっくら相手になってもらうからなぁ!!」

「な、何がどうなっているんだ…?」
「あ、あれは…マジンガー…?」

(またしても現れたというのか…あのマジンカイザー…)

「ぐっ!調子に乗るな!」

アレキサンドリアの対空砲でSKLを退かせる。

「ちっ、やるじゃあねえか。」
「な、なぁ…そのマジンガーは一体…」

甲児が恐る恐る聞く。

「…ん?おいおい、カイザーみたいなのがいやがるぜ。」
「だが子供のおもちゃみたいだな。」
「な、なんだと!?おじいちゃんが作った正義のマジンガーを子供のおもちゃだって!?」
「よすんだ甲児君!今は協力すべきだ…」
「けどよ!デューク…!」

5人目

「襲撃」

スーパーロボットを擁する各研究所が襲撃されている中、エリアルド達もまた、ティターンズ・ブリタニア同盟軍に襲撃されていた。

『理由はヴィルベルヴィントにあると思われる』
『レジスタンスだと思われているのか、私達は』
「そうなんだろう…。対抗できる力があるせいだろうな」
『ならば、ティターンズ及びブリタニア帝国は「イレギュラー」なのだな』
「ハスラー・ワンの敵認識が『イレギュラー』なら、俺達にとってはそうなるな」
『了解した。イレギュラーは排除する』

ハスラー・ワン…ナインボールは、同盟軍の前に現れた。

「…ッ!」
「どうしたんだ、ブリタニア」
「あいつは…哨戒していた部隊を一瞬で壊滅させたという報告にあった機動兵器…!」
『状況確認。ティターンズ・ブリタニア同盟軍の存在を認識。ターゲット捕捉。排除開始』

小型ミサイルを発射。直撃を受けたMSやKMFは火球に包まれる。

『どんな動きをしようと無駄だ』

接近すればレーザーブレードでたたっ斬られ、距離を置いて攻撃しようものなら、肩に装備されたグレネードで火の海にされる。

『殲滅完了』

同盟軍はナインボール単騎により、後退したが、再度襲撃されるとも限らない。

「…ヘイズル、ここから近い研究所はどこになる?」
『援護に行くの?』
「あぁ。I-ZACKが言うには、各研究所にティターンズが現れ、襲撃を受けているという。助けに行きたい」
『異邦人である我々に出来ることと言えば、そのぐらいだろう。…エリアルドはそう判断したのだな?』

水色のカメラアイでエリアルドを見るナインボール。

「そうだ、ハスラー・ワン」
『そうか。ならば向かおう。I-ZACK』

ナインボールはI-ZACKに呼びかける。

『今、我々がいる場所から向かうとなると、ゲッターロボを擁している早乙女研究所か、光子力研究所が選択肢に上がる』
「ゲッターロボ…か」
『……エリアルド……』

エリアルドの脳裏に聞いたことのある声がよぎる。

「ヘイズル」
『僕にも聞こえた。多分、オーガンの遺志だと思う』
『…頼む…地球を…ゲッターを…』
「…ハスラー・ワン、いや、ナインボール。俺達は早乙女研究所に向かおうと思う」
『わかった。カール、オードリー、プロフェッサー神先、ついてきてほしい』

6人目

「セッション・ウィズ・ザ・ジャズ」

 テッカマンブレード、ブライガー、ソードフィッシュⅡ。
エリアルド・ハンター、ハスラー・ワン、そしてマジンカイザーSKL。
それぞれの戦いのために独自の行動を取っていた者たちが
プロジェクト・リレイブの窮地に立ち上がった。

「まとめて吹っ飛びな! ブライソードビームッ!!」

 ブライガーの胸部シャッターから飛び出すブライソード。
その切っ先から放たれる光線を、機体を高速回転させる事で乱反射させる。

「うおおおあッ!!」
「だ、脱出する!!」

 ブライガーを包囲しようとしていたMS隊が尽く撃墜されていく。

「やる事が派手だねぇ」

 スパイクはキッドの行動を先読みし、
既にブライソードビームの射程範囲外にまで垂直上昇していた。

「カトンボが! 撃ち落としてやる!!」

 MAに変形する事で単独飛行を可能とするアッシマーの大型ビームライフルが
スパイクのソードフィッシュⅡを狙う。

「ドッグファイトがお望みかい? 受けて立つぜ!」

 ビームライフルの射線を縫うように紙一重の所で避わす。
鮮やかなバレルロール。

「こいつッ…! 何て空間認識能力だ!」
「このまま突っ込む!!」

 ソードフィッシュⅡが機銃を連射しながらアッシマーに急接近していく。
可変型MSは変形機構の関節部に脆弱性を持っている。
スパイクはその弱点を寸分違わず狙い撃つ。

「ぐああッ…! な、何いいいいッ…!!」

 機銃を撃ち込まれた関節部から火の手が上がり、
アッシマーの変形が崩れる。空中分解を起こした機体が真っ逆さまに地上に
墜落していく。

「火力で勝てると踏んだのがお前の失敗だ。じゃあな」

「くそぉっ…! もう少しで科学要塞研究所を制圧できたものを…!
ひとまず撤退するぞ!!」

 カクリコンはそそくさとティターンズ残党を伴い、その場から逃げ出していった。

「追いかける?」
「いや。依頼を果たす方が先決だ」

「お前たちは一体…」
「我々はコズモレンジャーJ9。ある人物から、君たちプロジェクト・リレイブの
関係者を助けるよう依頼された。行き先は…」

 J9のリーダー、「かみそりアイザック」ことアイザック・ゴドノフは
天を指差す。

「宇宙だ」

 J9とスパイクの導きにより、新天地へと赴く剣鉄也。
一方、各地の研究施設の戦況は…?

7人目

「クソッ! 伏兵がいたのか。 だが、ティターンズに逆らったツケは払ってもらうぜ!」
ジェリドのバイアランが宙を舞う。

「ミサイル発射!」
ゲッターQは腹部よりミサイルを発射し迎撃を試みるも、ジェリドはサーベルでそれを切り払い追撃する。

「フン、パイロットは素人のようだな!」

ゲッターQにサーベルの一撃を与えるも、反対に肩からの凍結ビームによる牽制を左肩に受けるジェリド。

「チィ、小賢しい真似を……」
激昂したジェリドは距離を取りながらカプセルに狙いを定める。

「ツケを払わせると言ったぞ!」
放たれたメガ粒子の奔流がミチルのカプセルへと迫る。

「やらせない!」

そこへ、アッシマーと戦闘していたレイピアがテックソードを構えゲッターQの前に出る。
ビームの勢いで弾き飛ばされるレイピア。

「ミユキちゃん!」

アッシマー2機をペガスⅡとのコンビネーションでどうにか撃破したアキが新たに作られた専用ランサーを変形させニードルガンを放つ。

「チッ、ちょこまかと!」

アキに気を取られたジェリドにペガスⅡのレーザーランチャーが迫る。

「せっかく会えた姉妹を、家族を……もう一度引き裂こうとするなんて許せない!! ペガス!」
「ラーサ」

レイピアペガス。 飛行ラダム獣を使ったベースと違いテッカマンに近い組成の機械らしきそれは、ラダムにあって異質なものであった。
ラダムが製造したらしきそれは、失敗作であるレイピアを補助するべくブレードのペガスを参考に作ったものだ。

「アキさん!」

レイピアペガスの上に乗ったテッカマンレイピアとペガスⅡに乗ったテッカマンアキは後退するバイアランを逃さない。
2人のテッカマンのコンビネーションの前に徐々に劣勢となるジェリド。

「破壊砲発射!」

その隙を見逃さずゲッターQがバイアランの脚部を撃ち抜く。

「クソッ、俺はこんなところでやられるわけにはいかないんだ!」

全速力で後退するバイアランを追撃しようとした直後、研究所で爆発が起きる。

「何が起きたの!?」

「そんな、あれは……テッカマン!?」

「ああっ! 恐竜テッカマン……やはりフォーマットが完了していたのね!」

「恐竜テッカマンですって!?」

「ミユキさん、貴女は何故それを……」

「それは……」

その時、カプセルの中のミチルが目を覚ました……。

8人目

「異変」

軽井沢付近でブースターを吹かせながら、移動する紅い閃光-ナインボール。
彼に同伴しているのは、エル・アライラー装備のエリアルドと、ハイゼンスレイⅡに搭乗しているカール。キハールⅡに搭乗しているオードリー。キハールの手には神先未知が乗っている。

『I-ZACK、浅間山までもう少しかな!?』
『あぁ。長野県小諸市の表記が見えると、近い。小諸市はお膝元という情報がある』

ヘイズルの問いにI-ZACKが答える。

『わかった。ありがとう!』
『爆炎を確認。研究所でなにかあったようだ』
「爆炎だって!?」
「もしかして、もう手遅れだったとか!?」
『だが、行かなければ手遅れかどうかわからない。行くしかないのだ。我々は』

ナインボールが言う。

「…あれは、バイアラン? ということは、ティターンズは撤退した…?」
「ティターンズがいないのなら、どうして研究所から爆炎が?」
『…エリアルド…おそらく…ラダム…気をつけろ…』

エリアルドの耳にオーガンの声が届く。

「ラダム…だって? ヘイズル」
『バイアランが飛び去った、ということは、オードリーの言うとおりかもしれない。それにエリアルドが聞いた「ラダム」っていうのは…』
「忌まわしき悪魔…だろうな、おそらく」
『エリアルド…?』
「…なんでもない。行くぞ」
〔エル・アライラーはオーガンの遺志も混じっているEDF製のアーマーだから…なのかな…〕

ヘイズルは、エリアルドの言動にオーガンの影響があるのではないかと考え始めた。
しばらくして、ナインボールを筆頭としたエリアルド達は、早乙女研究所に到着した。

『あれが早乙女研究所か…』
「煙が上がっているところを見ると、何かあったとしか言いようがないな」
「で、どうするんだ?」
「俺とヘイズルで研究所内部に乗り込む。ナインボール達は外を頼む」
「わかった!」
『了解』
「無理はしないでくださいね、エリアルドさん」
「あぁ」

研究所内部へと向かうエリアルド。

「…ヘイズル、こいつらは」
『ハチュウ人類ってやつだよ』
「ハチュウ人類、か…。それがラダムの尖兵みたいな格好をしているってことか」
『そうだと思う。なんでテッカマンになっているのかはわからないけど…。とにかく、ゲッターを探そう! 彼らに奪われる前に!』
「その通りだな」

9人目

「LET ME SEE THE REASON」

 ――早乙女研究所・内部。

「目だ! 耳だ! 鼻!!」

 研究所内に侵攻してくる恐竜テッカマン。隼人が白兵戦で応戦する。

「ギャアアアッ!!」
「こいつら…まさか研究所の中に潜伏してやがったとはな!」
「どぉりゃあああーッ!! 武蔵先輩直伝! 大雪山おろしじゃーい!!」

 恐竜テッカマンを振り回し、投げ飛ばす弁慶。

「ギィィィッ」
「博士! 早くゲッターGの元へ!」

 竜馬はマシンガンの弾幕を張りながら、早乙女博士を援護する。
先刻の言葉通り、ゲッターチームはゲッターロボに乗らずとも
超人的な身体能力を発揮する。そうでなくては、ゲッターを操縦する事などは
不可能であるからだ。

「グオオオッ!!」

 しかし、人類よりも高い身体的ポテンシャルを持つ爬虫人類に
ラダムのテッカマンシステムをフォーマットされた恐竜テッカマンは
やはり並の兵士とは比べ物にならない。倒す先からさらに数を増やして
侵攻してくる。中にはゲッターチームに倒されても尚、
ケロリと起き上がってくる者さえいる。

「くっそぉ…このままでは…!」


「テックランサー!!」


 竜馬に迫る恐竜テッカマン達を一閃の下に切り伏せる、白銀の騎士。

「ア、アンタは…」
「ここは俺に任せろ」

 宇宙の騎士、テッカマンブレードだ。

「ラダムの悪魔の技術…それを利用する者がいるとは…!」

 テッカマンブレード…Dボゥイの人生を狂わせた、忌むべき技術。
ブレードは恐竜テッカマンと言う存在にただならぬ怒りを燃やしていた。

「恐らく…恐竜帝国の仕業だ。かつての奴らにはこんな技術は無かった。
やはり、復活した奴らは以前とは違う…」

「リョウ、急ぐぞ! こんな奴らにゲッターを奪わせるわけにはいかねえ!」
「行け。ここは俺が食い止める」
「わ、分かった…ありがとう!」

 ブレードに礼を述べ、竜馬は隼人達の後を追いかける。

「キシャアアア…!」
「お前達がその力を望んで手に入れたのかどうかは知らない…だが!」

 突き。薙ぎ。切り上げ。十字閃。縦横無尽のテックランサーの槍技が
恐竜テッカマンを次々と撃退していく。

「その力を使う以上、俺はお前たちの存在を絶対に認めない!
一匹残らず俺が叩き潰してやる!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおーッ!!」

10人目

何故恐竜テッカマンを知っていたのか……問いかけるテッカマンアキにゲッターQは言葉を返さない。
「答えたくないのね……」

何も問うまい。 そう思い直し、アキは研究所へ突入していく。

「外にいた方が安全なようね。 ミユキちゃん! ミユキさんとミチルさんをお願い!」
「ラーサ!」

——早乙女研究所・格納庫
「合体して戦えないまでも、ゲットマシンは動くんだ! 研究所はテッカマンブレードに任せて俺たちはゲットマシンを退避させよう」

「けどよぉ、奴らゲッターが目的なら追ってくるんじゃないのか?」

「その時はゲットマシンをぶつけてでも奴らを倒してやるぜ」

「そうだ! こんなところでやられるわけにはいかない。 行くぞ!!」

——研究所・外
ミユキはカプセルから解放したミチルをゲッターQのコックピットへと乗せる。

「ミチルさん、無事で良かった……」

「お姉様……ミユキお姉様!!」

と、そこへ退避してきた早乙女がゲッターQに問う。

「君がミチルを助けてくれたのか? そのゲッターQをどこで……君は何者なんだ?」

「ミユキさん、ゲッターチームじゃなかったんですか!?」

「ミユキ……ミユキだと!? まさかミユキなのか? 今までいったい何処へ行ってたんだ!」

「お父様……」

「お姉様……5年間もいったいどこへ」

「私は……」

——突然の爆撃。

付近にいたハスラーやモビルスーツがバット将軍の乗るメカザウルス・グダと艦載機である恐竜爆撃機との戦闘を開始した。

今日は日蝕。 奇しくもミユキ……恐竜帝国のゴーラ王女が成人式を迎える日だった。

そこへ、ゲットマシンが飛び出す。
「くそぅ、恐竜帝国め! こうなれば、どこまでやれるか合体するしかない!」
「ああ、パワーダウンしているとはいえゲッターロボ以上には戦えるはずだ」
「大丈夫なのか? 前のゲッターロボでも苦戦した相手なんだろ? せめて、日蝕の日のゲッター線収集さえ済んでいればなぁ」

日蝕の日にはゲッター線が従来よりも多く収集される。 それさえ間に合えばゲッターは完全に稼働することが出来たのだ。

「間に合わなかったものは仕方ない! いくぞ! チェーーンジ! ゲッタァァァードラゴンッ! スイッチオーーン!」

ドラゴンに合体すると、付近の山からメカザウルスが現れる。

「やれぃ、メカザウルス・ギンよ!」

11人目

「共闘」

「あれは…」

エリアルドは恐竜テッカマンを薙ぎ払い、撃退する白銀の騎士の姿を見る。

『データ照合。あれはテッカマンブレードだよ』
「…白い魔人か…!」
『ブレードも同じ目的なら…。エリアルド!』
「言われずともだ」

エル・アライラーの背中に付いているビームキャノンを、恐竜テッカマンの群れに向ける。
ブレードに当たらないようにヘイズルが補正をかけた。

「喰らえっ」

ビームの閃光に焼かれていく恐竜テッカマン。

「…! 奴らが…!?」
「テッカマンブレードなんだろ、アンタ」

エリアルドがブレードの横に立った。

「そうだが、お前は?」
「俺はエリアルド・ハンター。オーガンという男に導かれてこの研究所にやってきた」
「オーガン…?」
「アンタの戦いにイバリューダーの無くしたものを見出したらしい。…今はもういないが」
「俺の戦いに無くしたものを見出した…だと?」
「あぁ。オーガンは『そう言っていた』。それに、この場を本気で一人で切り抜けるつもりだったのか?」

数を頼りに攻めてくる恐竜テッカマンの群れ。

「…わかった。行くぞ、エリアルド!」
「無論だ!」

ブレードとエル・アライラーが迫りくる恐竜テッカマンを撃退していく。

「うおおおぉぉっ!!」

ブレードのテックランサーの槍技が!

「俺はオーガンと共に戦う!」

エル・アライラーの両手首からビーム刃を展開して、切り裂いていく!

〔やっぱり、エリアルドは…。オーガンの遺志を無意識の内に取り込んでいるんだ…。頭や胴体は僕の体を使っているのに…〕



『鬱陶しいカトンボが…』

ナインボールが恐竜爆撃機をグレネードとMSのビームライフルで落としていく。

「高機動戦闘向けのMSについてこれるかってんだよ!」
「は、早い!?」
「おらぁ!」

ビームの煌めきが爆撃機を火球に変えていく。

「まさか、リーブ型のソリッドアーマーが役に立つなんて…」
「未知ちゃん、いつの間に持ってきていたの?」
「生身で行くつもりはそもそもありませんでしたから」

キハールとリーブ型ソリッドアーマーも爆撃機を撃破していく。

「キリがねぇ! もうあのデカブツに攻撃を仕掛けるか!?」

カールがメカザウルス・グダを指差して言う。

12人目

研究所内に侵入したアキはゲッターを強奪しそこねたチリュウ一族の素体テッカマンを薙ぎ倒していく中で、その場にいるはずの無いその姿を見て驚愕する。
「タカヤ!」

そこに合流を遮るかの如く再フォーマットが済んだ3体の恐竜テッカマンが現れる。
見れば、それぞれティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドンの特徴を備えている。
巨大な尾を持つテッカマンタイラント、大柄で重装甲のテッカマントライセラ、翼を持つテッカマンプテロンの3体だ。
3体のテッカマンが同時に口を開ける。

「避けろ! エリアルド!!」
地球産アーマーはソルテッカマンのそれに近い。フォーマットされたテッカマンの攻撃に耐えることは難しい。

と、口内が輝きを放ち、恐竜テッカマンたちからボルテッカが発射される。

背を向けた恐竜テッカマンを攻撃しようとアキがランサーを振り下ろすも、タイラントのランサーを兼ねた巨大な尾がそれを阻む。

プテロンが向き直り、吹き飛んだアキへとクラッシュイントルードで追撃する。
「フフフ、人間のテッカマンに私たちが倒せるかしら?」

「喋った!?」

「クッ……アキ! ペガス、アキを頼んだぞ!!」
「ラーサ」

「余所見をする暇があると思うな!」
トライセラは3本のツノの生えた盾のようなランサーで、突撃してくる。

「こいつら、まさか自分の意思を!?」

突撃をまともに受けたブレードが大きく吹き飛ばされる。

「フン、貴様ら人間に出来ることだ。 恐竜帝国の技術を持ってすればラダム樹の制御やラダム虫の摘出など容易くできる!」
追撃するタイラントの強烈なボディブローがブレードを襲う。

「ぐぁっ……」

「タカヤァァァ!」

ペガスⅡはプテロンとの空中戦を繰り広げるが、徐々に追い詰められてゆく。

「小賢しいガラクタめ!」

プテロンの巨大な翼が鋭さを増し、ペガスⅡに傷を付ける。

それを見たアキはニードルガンで注意を引く。

プテロンは着地してバーニアを噴かしながら片方の翼でそれを防御しつつ、もう片方で斬りかかる。

「あぁっ!」

「アキ!!」

——研究所外

「あのメカザウルスは!」

「間違いない。 奴はニューヨークで俺たちを追い詰めた強敵だ」
「じゃあ、あいつが武蔵先輩の仇!」
「ああ……ベンケイ! あのブーメランに気を付けろ」

太陽に影がかかる……日蝕の刻が迫っていた。

13人目

「…くそ!」

テッカマンセイバーは苦虫を噛み潰したような表情をうかべる。早乙女研究所で起こっていることをモニタリングしていたが、恐竜テッカマンなる存在。ラダム製のテッカマンでもないものが、自らの意思に反して行動している。セイバーは生き残った異星人テッカマンやラダム獣をどう行動させるかも出来ないほどダメージを受けている。

「探したぞ。」
「…何やつ!」

声のする方向をむくセイバー。そこに居たのは。

「私の名はベガ星連合軍ガンダル司令。ふふふ。貴様にいい話がある。」
「…何の話だ…」
「我らの傘下に入れ!そしてベガ星テッカマンを作り上げるのだ!」

地上では。
「うわあああ!?」

メカザウルス・ギンはかつての力、いやそれ以上にパワーアップして帰ってきた。

「くそっ…ろくにゲッターエネルギーが残っちゃいねえがこちとらゲッターロボの10倍はあるんだぞ…」
「」

14人目

徐々に皆既日蝕が進行してゆく。

「こっちもこのデカブツの相手で手一杯だぞ!」

「なんとかゲッターの救援に向かいたいけど……」

『メカザウルス。 確かにイレギュラーと言える戦力だ』
いかなナインボールとて弾薬は無限ではない。 さりとて接近すれば強力な光線が待ち受けている。 グダのゲッターをも上回る圧倒的な火力と恐竜爆撃機の物量に徐々に押されてゆく。

「さぁ、ゴーラ王女! メカザウルス・ギンと共にゲッターQでゲッタードラゴンを討ち倒し、成人式と致しましょう!!」

「嫌です! 私は人間世界の平和を脅かしたくはありません!」

「王女!? お姉様が恐竜帝国の王女ですって!?」

「では、もしやゲッターQの設計図を盗み出したのは!」

「そう、私です早乙女のお父様。 私は……ゴーラ王女は帝王ゴールの娘。 ミユキは人間を裏切った人類の敵なのです!」

日蝕。 今まさに月がその輪郭だけを残し太陽を覆い隠した。

「その証拠に……」

ミユキの美しい姿が徐々に変貌してゆく。 その姿はハチュウ人類。 ゲッターチームと今も対峙している敵の姿だ。

「そんな!」
目の前の出来事に驚きを隠せないミチル。

「ミチルさん、これが私の本当の姿よ。 人間を裏切った私の……」

「それは違うわ!」

言葉を続けようとするゴーラにレイピアが叫ぶ。

「ミユキさん、貴女は美しい心を持っている……家族を愛する美しい心を!!」

「美しい心……」

「そうよ! 貴女は私たちに頭を下げてミチルさんを助けようとしたじゃない! 貴女のいうように人間を裏切っただけならきっとそんなことはしないわ!!」

「ミユキさん……」

「そのテッカマンの言う通りだミユキ! お前はワシの娘だ! 例えどんな姿であろうと、お前はワシの娘なのだ!!」

「早乙女のお父様……」

「そうよ! 例え恐竜帝国の王女であろうとハチュウ人類であろうとミユキお姉様はミユキお姉様よ!」

「ミチルさん!」

「ええい、こうなればギンよ! お前の手で早乙女を抹殺し、ゴーラ王女の情け深さを断ち切るのだ!! さすればゴーラ王女も目が覚めるであろう!」

「黙れバット将軍! そんな真似をしてみろ……俺はキサマをッ!」
その瞬間、リョウの叫びに呼応するかのように ドラゴンが光り輝き、まるで吸い寄せられるかのようにゲッター線がドラゴンに降り注ぐ。

15人目

浅間山は、日本いや世界でも有数のゲッター線が降り注ぐ土地である。
ゲッター線が降り注ぐ土地である浅間山に早乙女研究所は建てられた。
だが、この時、ゲッタードラゴンに降り注ぐゲッター線の量は、今までに計測されていたゲッター線の総量を遥かに超えていた。

「…まだ…その時じゃない…」

巴武蔵の声に、早乙女博士は振り返る。
早乙女博士は確かに聞いたのだ、巴武蔵の声を。


ーー


素体テッカマンの群れを崩し、
早乙女研究所に向かう5人の男女の姿があった。
ある者は、フリントロック式のような銃を撃ち、
ある者は、サーベルのような刀を振り回す。
あるいは、その両方を使い、
時には仲間同士渡し合い、器用に素体テッカマンの波を沈黙の渦に、沈めていく。

「ペガス頑張ったね。後で修理しないと」

ハカセがペガスの肩を優しく撫でた。

「一命を取り留めたテッカマンちゃんを倒させる訳には、いきません」

アイム・ド・ファミーユはアキに手を差し伸べる。
逆側からは、ルカ・ミルフィの手が伸びる。
体を起こすアキ。

「フッ!」

素体テッカマンを斬り捨てるジョー・ギブケン。

「お前達に、恨みはねえ。だが、一度守った命を散らせるのは、流儀に反するってな!」

テッカマンタイラントの額に銃弾を叩き込むキャプテン・マーベラス。
簡単に銃弾を弾き返すテッカマンタイラント。

「たった5人、テッカマンではない人間が増えたところで何が出来る!!」
「うっさいバーカ。
出来るんじゃなくて、やるのよ私達は!」

携帯のような物を取り出す5人。
人形を手にかざすと、人形は鍵へと姿を変えた。

「「「「「ゴーカイチェンジ!!」」」」」

5色の光が5人を包む。
光が収まった後、5人は強化スーツに身を包まれていた。

「さあ、派手に行くぜ!!」

16人目

「馬鹿な! スーパー戦隊だと!?」

「らしいな」

ゴーカイレッドはサーベルを肩に置き、ガンを構えたままタイラントに突っ込んでゆく。

ゴーカイブルーはガンを撃ちながらトライセラに対峙する。
しかし、トライセラにはまるで通用しない。
他のメンバーをも巻き込み身体の各部からテックレーザーを放つトライセラ。
それを察知したタイラントとプテロンが跳躍。 レーザーを躱しトライセラに並び立つ。

無数のレーザーを受けたブルーのゴーカイガンが宙に舞うが、天井にワイヤーを打ち込んでレーザーを回避したイエローは自分のゴーカイサーベルをブルーの空いた手へ投げ渡し、代わりにブルーのゴーカイガンをキャッチしてプテロンを狙い撃つ。
しかし、ゴーカイガンの銃撃を意に介さぬプテロンのクラッシュイントルードが迫る。
咄嗟にゴーカイガンを交差して防御するも、弾き飛ばされる。

「ルカ!」
「ルカさん!」

後方に弾き飛ばされたイエローを見やり、尚も連続して撃ち込まれるレーザーを遮蔽物に隠れやり過ごすグリーンとピンク。

ブルーは両手に持ったゴーカイサーベルで巧みにレーザーをいなしトライセラへと肉薄する。
「獲った……」

首元を狙ったブルーの斬撃を受け、怯んだ隙を付いてブレードのテックランサーが迫る。
が、タイラントがトライセラを庇うようにテックテイルランサーをブレードのランサーに打ち付ける。

「お前の相手は俺だ、テッカマンブレード!!」

と、ボディの空いたブレードの身体を殴り飛ばす。

プテロンはイエローに追撃を仕掛ける。

が、それを阻むように遮蔽物よりゴーカイガンの集中砲火を浴びる。

「何ッ!?」

刹那、ゴーカイイエローが視界より消えた。

ドスン—— 衝撃。

「ざーんねんでした」

逆手に持ったサーベルをプテロンの背へと突き立てる。

「ぐぁぁぁ!」

射撃の援護で怯んだ所をワイヤーで宙に舞い、上からプテロンに狙いを定めていたのだ。
致命傷には至らないがダメージは大きい。

「やった!」
「やりましたね!」

グリーンとピンクはゴーカイガンを軽く合わせ作戦成功を喜ぶ。

「プテロン! おのれ人間ども!! トライセラ!」

トライセラがアキ、レッド、ブルーを蹴散らしプテロンを回収するとタイラントがボルテッカを放つ。

輝きが収まるとそこに恐竜テッカマンの姿は無かった……。

17人目

「師弟対決」

 白熱する早乙女研究所の攻防戦。ラダムのテッカマンシステムを操る恐竜帝国。
ここにもまた、歪んだ進化の形を選んだ者たちがいた。

 そして…

「―――――!!!!」

 時同じくして、ギアナ高地。デビルガンダムに突撃していくゴジラ。

「ふははは…! ふはははははははは!!」

 もはや心身共にデビルガンダムのコクピットと同化してしまっている青年。
それこそがドモンの兄、キョウジ・カッシュだ。
大地を埋め尽くす触手がギアナ高地の大自然をも取り込もうとしている。
触手の海の中から何基ものガンダムヘッドが飛び出し、獲物を狙う首長竜が如く
ゴジラの体に喰らいついていく。

「―――!!!」

 苦悶の声を上げるゴジラ。しかし、ガンダムヘッドをすぐさま力任せに
引き剥がし、放射熱線で次々と触手ごと焼き払う。
 
「グエエエッ…」

 放射熱線を浴びたガンダムヘッド。本来であれば恐ろしいスピードで
たちまち再生・増殖をするはずだが、デビルガンダムの再生速度が
著しく低下している。

「もしかして…ゴジラの攻撃のせい…?」

 ゴジラの破壊の力は、歪んだ進化を許さない滅びの力。
まさにデビルガンダムにとっては天敵と呼ぶべき存在だ。

「ぬうう!? 馬鹿な、デビルガンダムがあのような怪獣に…! これでは…」
「東方不敗いいいいいいッ!!」

 予想外の展開に驚く東方不敗に、シャイニングガンダムが迫る。

「ドモォォォォォォンッ!!」
「覚悟ォッ!!」

 素早い拳打の応酬。ぶつかり合う拳と拳が見えないスピードで繰り出され、
弾ける火花がそれを認識させる。

「こ、こやつ…!」
「たあああああッ!!」

 徐々にドモンの攻めが東方不敗を上回っていく。違う。
以前とはまるで別人のように成長している。

「ぐほおおおッ!?」

 そしてついに、ドモンの攻撃が東方不敗を捉えた。

「正拳、裏拳、肘打ち! とぉぉりゃああああッ!!」

 乱れ飛ぶドモンの攻撃に、マスターガンダムは防御さえままならない。

「こ、この東方不敗がッ…馬鹿弟子相手に手も足も出ないなどと言う事が
あってェッ…」

 師匠の意地。東方不敗はドモンの攻撃を一撃、二撃と見極め、

「たまるかァァァッ!!」

 さらにカウンター攻撃で形勢を覆す。
稲妻のように鋭い蹴りをドモンに見舞った。

「ぐッ!?」

18人目

「ゲッターの恐ろしさを味わえ!」

輝きを放ったままゲッタードラゴンがメカザウルス・ギンに突進してゆく。

ギンは慌ててブーメランを構えるが、リョウが吠える!

「ダブルトマホゥゥゥクッ!」

いつものそれより遥かに大きく、さながらハルバードのようなダブルトマホークをギンに振り下ろす。

一刀のもとにブーメランを切り裂かれ斬撃をモロに喰らい雄叫びをあげるギン。
「ギャオオオ!」

光り輝くドラゴンはギンを突き刺したままトマホークを振り上げグダへ向け投げ飛ばす。

「ブゥメラァァァァァァンッ!」

空中で真っ二つになったギンは爆発を起こし、爆煙からグダへとそのまま一直線に回転するダブルトマホークが命中する。

「許さんぞバット将軍!」

ハヤトとベンケイは余りのパワーに驚きが隠せない。

「なんだこのパワーは……」

「これは……リョウがやってるのか?」

翼を傷付けられ炎を噴き上げるグダへゲッタードラゴンが飛び上がる。

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

ドラゴンが輝きを更に増してゆく。 それはゲッターシャインをも上回っている。

リョウはそれを知ってか知らずかグダへと突撃してゆく。

「ゴーラ王女は……いや、ミユキさんは早乙女博士やミチルさんと……人間とも分かり合う道を選んだんだ!! それをキサマはッ!! バット将軍! ここで決着をつけてやる!!」

シャインスパークと同等、否。 それを遥かに上回るエネルギーを纏いドラゴンがグダの口から侵入し、突き破るようにその胴体を貫く。

「馬鹿なッ! なんなのだこの力は!! これが、これがゲッタードラゴンの真の力だとでも言うのか!!」

爆発する艦橋。 バット将軍は爆炎に吹き飛ばされる。

ゲッタードラゴンは尚も輝きを放ち爆炎を見やる。

「なんてパワーだ……」

「あれを俺たちがやったのか……?」

ハヤトとベンケイはドラゴンのパワーに恐怖すら感じている。

その時、ゲッターチームの脳裏に巨大なゲッターの顔のようなイメージが浮かぶ——

「「ッ!?」」

「お前もか、ベンケイ……」

竜馬だけが反応を見せず虚空を睨め付ける。

その時、爆炎の向こうに巨大な船から晴明を模した身体を生やす異形の百鬼メカ、メカ晴明鬼が姿を現す。
その手にはバット将軍。

「流竜馬ッ……」

小さく呟き晴明はメカ晴明鬼と共に虚空へと姿を消した。

19人目

「さらば復讐よ」
「うおおおおおおおおおお!!!」

だがそれでもドモンは止まらない。さらなる強烈な一撃を東方不敗に叩き込む。

「ぐわあああああああああ!!??」

東方不敗のかるマスターガンダムが強烈な打撃のショックで地面にたたきつけられる。

「や、やつは……この、このワシを超えるつ、つもりかぁ……!?」

焦りを隠せない東方不敗。明鏡止水の境地に至るどころか。自身の強さを大きく超えてきた弟子のドモン。冷や汗が止まらなかった。

「……!」

ドモンがデビルガンダムの方を見る、
ゴジラとの戦闘中ではあるが、中にいるキョウジはまっすぐドモンの方を見ていた。そして、残っているガンダムヘッドをドモンに差し向ける

「……キョウジ…」

だが今やそのようなものはドモンには通用しない。ドモンはまっすぐ、まっすぐ。デビルガンダムの下へ向かう。

「キョウジ……いや兄さん……もう終わらせるよ……キングオブハート!!!」

ドモンの右手が光る。

「シャァァァァイニング!!!フィンガー――――!!!!」

シャイニングガンダムの必殺技。シャイニングフィンガーがデビルガンダムの根の部分に直撃する。火花が走り、デビルガンダムに亀裂が生じる。

「消える……!俺の怒りと悲しみ……そして復讐は消えていく……!」

デビルガンダムは亀裂の中、爆発に飲み込まれていく。中にいる。兄、キョウジ・カッシュをも飲み込んで。
兄、キョウジ・カッシュが何を思ったのか。ドモンは憂う目でキョウジの方を見る。
もはや言葉も返すことのできないキョウジには、ただ無言で爆発に飲み込まれることしかできなかった。
デビルガンダムは爆発を起こし崩れ去っていく。

「ああ…!ワシの……ワシのデビルガンダムが……!」

沈みゆくデビルガンダムをなすすべなく見上げるしかない東方不敗。

「父さん……ついにデビルガンダムを倒したよ……」

シャイニングガンダムから降りて脱力するドモン。
その直後、なにかがこの地に飛来した。

「あ、あれは!?」

その飛来したものとはMSであった。

「ま、間違いない!あれは決勝戦用のガンダム!ぐわ!?」

先ほどのデビルガンダムの爆発もあってか、ギアナ高地が地割れを発生させ崩れ落ちていく。
ゴジラもこれにはたまらないのか周りをきょろきょろし始める。

「ぐっ、レインを連れて逃げるぞ!」

20人目

「黒兎、跳ぶ」

——アーガマ

モビルスーツデッキの混乱に乗じてジンネマンとフラストは艦内部へと潜入する。

それを見送ったブレイブはユニコーンを見るなりハンガーを破壊した。

「こう体格差があると簡単には運べんか……」

そうは言うがユニコーンの足に抱きつくように抱えるとカタパルトに向き直り軽々と放り投げる。

「さて、あとはパイロットだな」

——艦内・通路
「こうデカいんじゃ何処に行きゃいいのか……」
銃を構えつつ辺りを見渡すフラスト。

「なに、こういう艦は大概どれも似たようなもんだ」
そう言ってジンネマンは駆け出す。

「ま、待ってくださいキャプテン!」

——メディカルルーム
「まずはここか」

メディカルルームに足を踏み入れるが特に反応は無い。

「ハズレですかね。 なら次は独房にでも……」
フラストは部屋を後にしようとする。

だが、ジンネマンがベッドを覆うカーテンを開くとそこには無気力にただ横たわるバナージの姿があった。

「いやがったのか……来い!」
フラストはバナージの襟を掴みベッドから投げるように引き摺り降ろし、銃を突きつけ歩くよう促す。

だが、バナージは反応せず虚空を見つめる。 その脚に力は無く、フラストに掴まれたまま、ただだらりと膝が曲がっていた。
フラストはバナージを引き摺り立たせようとするが、手を離した瞬間頽れた。

もう一度襟首を掴み、拳銃の握把で頬を殴る。
「歩けってんだよ!」
しかし、バナージは歩こうとしない

「撃てばいいじゃないですか」
バナージは小さく呟く。

「てめぇッ!」
「待て、フラスト」

フラストがもう一度バナージを殴ろうとするとジンネマンがそれを制する。

「フラスト、担げ」

「何ですって!?」

「歩くか? これが」

バナージは床に倒れたまま動こうともしない。

「キャプテンは人使いが荒いぜ……」
仕方なくフラストはバナージを担ぐことにした。

——アーガマ・カタパルト
ブレイブがユニコーンを抱えると、そのまま宙に浮きジャイアントスイングの要領でガランシェールまで放り投げる。

「お、我ながら素晴らしいコントロール!」

そこへ通信が入る。 ジンネマンだ。

『パイロットは確保した。 左舷の搭乗口から脱出する』

「OK、こちらもようやく済んだ。 今行く」

ブレイブは宙を舞い3人を手に乗せた。

21人目

「奇襲」

「終わったのか…」

 ようやく地震が収まり、デビルガンダムは消え、東方不敗の姿も無い。
ギアナ高地に、再び静けさが戻った。

「礼を言う、ゴジラ。お前のおかげでデビルガンダムを倒すことが出来た」
「…………」

 しばしの間ドモンを見つめた後、ゴジラはギアナ高地から去って行く。
ドモンとレインはその雄々しき背中を見送った。

「これが新しいガンダムか…」

 シャイニングガンダムのこれまでの戦闘データをインプットされた、
ドモンの新しい機体。しかし、この機体で臨むはずであった
第13回ガンダムファイトは神聖ブリタニア帝国からの要請により、
開催中止を余儀なくされていた。

 ガンダムファイトとは4年に1度開催され、
各コロニーの代表ガンダムファイター選手が戦って、戦って、戦い抜いて
その果てに代表選手が優勝したコロニーは次回ガンダムファイトまでの
コロニー国家間の主権を握ることが出来る。
そのためにガンダムファイトの舞台が地球となる事に対し、ブリタニアが
異議を唱えたのだ。
ブリタニアからすれば、自分たちの領土でモビルファイターが
無断で暴れまわるのを黙って看過できないと言ったところか。

 ブリタニアが地上を席巻し、以前からコロニーや火星などを弾圧してきた
ティターンズやギャラルホルンがスペースノイドへの締め付けを
さらに強化したため、地球と宇宙の確執はかつてない程深刻なものとなっていた。

「そう言えばシュバルツは…」

 シュバルツ・ブルーダーも別れの言葉も告げる事無く、その姿を消した。

「俺はこれからどうすればいい。シャイニングガンダムよ…」

 ドモンの復讐は終わった。もはやその心に一切の淀みは無い。
それ故に、次に何をすればいいのかと言う目標も無くなった。
しかし。

「ドォモォォォン!!」
「!?」

 ドモンが気を抜いていた一瞬の隙を突き、マスターガンダムが奇襲を
仕掛けてきた。

「でぃやあああッ!!」

 マスターガンダムの貫手がシャイニングガンダムの中枢部を貫通。

「ぐああああああッ!」
「なっちゃいない、本当になっちゃいないぞドモン!
この勝負、わしの勝ちだな! 未だ敗けを知らぬは、東方不敗よォ!!」
「マスター…アジア…!」

「よくもデビルガンダムを…よくもわしの理想を見事に潰してくれたな!
死ね、死んで詫びろォ!!」

22人目

「リターン トゥ アナザー」

ブレイブのジャイアントスイングでガランシェールの真横に落下するユニコーン。

ティターンズのモビルスーツの無尽蔵に撃ち続けるビーム兵器に苦戦するキラが砂煙に気付く。

アーガマの方を見遣るとブレイブが左舷よりガランシェールへ向けて飛び去るのが見える。

「あいつ!」

入れ違いに侵入されたことを気にしていたのだ。

ストライクはエールストライカーを噴かし、マラサイを引き剥がし、ブレイブを追う。

「逃がすか!」

サーベルを抜きブレイブに迫る。

が、ガランシェールの上に乗ったブレイブは再び暗雲を呼び起こす。

「来てくれたかストライク!」

先程叩いたハッチの付近に3人を降ろし、ブレイブは雷光ブレイドを展開する。

激しく切り結ぶ2つの光刃のスパークを覆うようにガランシェールの周りに暗雲が立ち込める。

ニュータイプ達もまた何かを感じ取ったのか一斉に反応する。

「なんだ、この感じは!」

「あの暗雲からか!?」

「何かはわからないけど、まるで何かが流れ込んでくるみたいだ!」

『キラ・ヤマト、ストライク! 何が起きている!!』

ブライトはストライクに通信を送るがまるで通じない。

次の瞬間、暗雲が消えたかと思うとそこには何も残されていなかった。

「消えた……だと!?」
アーガマのクルーも驚いている。

「艦長! メディカルルームからです! 一本角のパイロットがいません!!」

「チィ、あの黒い奴か!」

ただ1人、カイだけが自分の時と似た何かを感じていた。
「なるほど、なんとなくだが俺の方もこうだったってわけかい」

——A.C・アフリカ

ユニコーンの上にガランシェールが乗るような形で砂漠へと埋まってゆく。

「また砂漠じゃねぇですか!」
フラストが言う。

「だが、ティターンズもブリタニアとかもいない。 アーガマもな」
モニターを確認するジンネマン。

バナージは何も言わずに横たわったまま動いていない。

艦の外ではストライクとブレイブが戦闘を続けていた。

「ちょっとばかし吹っ飛んでもらうぞ」

そう言うとブレイブは先程の球状の暗雲を発射する。

難なく回避したストライクだが、背後で暗雲球が肥大し引き寄せられていく。

「どうなって!?」

次の瞬間、投げ出されたストライクの目の前にあったのはアークエンジェルだった。

23人目

「帰還」

――アナザー・センチュリー。

「うわあああああッ」

 ブレイブに放り込まれた暗雲球を潜り抜け、
航行中だったアークエンジェルの進路上に突然現れたストライクガンダム。

「お、おい、あれって…」
「ストライク…キラくん!?」

「あれは…アークエンジェル…?」
「キラ! お前、キラなのか!?」

「ケーン…! やっぱり、ここは…」
「すぐにストライクを回収! 急いで!」

 ストライクの帰還。アークエンジェルの格納庫にはクルーが殺到していた。
すぐさま質問責めに遭う。

「坊主! お前、今まで何処に行ってたんだ?」
「どうやって助かったんだ?」
「いや…ちょっと僕にも説明し辛いんですけど…」

 束の間のリレイブ・センチュリーで過ごした日々。
自分の置かれている現状を咀嚼して理解する間もなく、キラは再び
アナザー・センチュリーへと帰ってきた。

(あれがキラ・ヤマトって人か。大気圏に落ちて行方不明って聞いたけど
良かった、無事だったんだ…)

「!? あれは…」

 少し離れた場所からキラを見ている詠次…そしてその背後に佇むレイブの姿を
見て、キラはハッとした。

「ちょっと、すみません…」

 人混みをかき分け、キラは詠次に近づいていく。

「え、ちょっと…」
「君、その機体は?」

「こいつ? こいつはレイブって言って…」
「僕は、その機体の同型機に襲われたんだ。全身真っ黒の…」

「? 黒いレイブ? そんなのがあるなんて、リボーンラボのみんなも
言ってなかったけど…」

 キラは詠次やケーン達を連れ、マリューの元へと向かう。
状況を整理するため、これまでの事を説明した。

 リレイブ・センチュリーについて…
アーガマで過ごした事について…
そしてブレイブの襲撃を受けた事について…

「するってえと何か? 詠次とキラはお互いに違う世界に入れ替わってたって
言うのか?」
「そう考えてもらって構わないと思います。僕自身、未だに信じられませんが」

「な、なあ、キラ君! どうやってこっちに戻ってこれたんだ?
それが分かれば、俺も帰れるかも…」
「黒いレイブのおかげかも知れない。襲われはしたけど、結果的には
僕はここに帰ってくる事が出来た。でも、ごめん。どうやったのか、までは…」
「そ、そう…」

(ユニコーン…バナージ君はあれからどうなったんだろう…)

24人目

「オーブ進入作戦」


キラ・ヤマトと合流したアークエンジェルは、本格的な整備を受けるべく、オーブ軍港に着岸していた。モルゲンレーテのドックへ移動するべく準備が進む。

「リボーンラボという方々とは会いませんでした」
「わかった。…なに、そのうち会える気もするんだ」


ーー小型輸送機ストーク

オーブの排他的経済水域の外。
無人島に着陸した小型輸送機ストークは、
ミノフスキー粒子を散布、ミラージュコロイドを展開、ぽよんと跳ねる見えないバリアを貼る。
前線基地の出来上がりである。

「さて、どうやってオーブに近付く」

と聞く芝田ユージ。

「ミラージュコロイドは熱や音は隠さないみたい。さっきも確認したけど、ストークのエンジン噴射は見える。バリア貼った状態では飛べないし、
海水を弾くから、すっごく目立つ」

淡々と状態を説明する主任ちゃんことミーガン・アサノ。

「つまり」

リボーンラボの現責任者のたすき。

「ストークは動かせない。ゲンブも動かせないってことね」
「ご名答。で、緊急移動を考えると、芝田さんはストーク待機。たすきちゃんとアタシで記憶喪失君を迎えに行きましょう」

たすきにジェットパックを手渡す。

「え“?飛ぶの?」
「飛ぶの」

作戦は、こうだ。
まずは小型偵察機を水面ギリギリを飛ばし、
迎撃等が無ければ、同じコースを進む。
迎撃が有れば、違うコースを進む。
無事に本土に入れたら、次の作戦へ移行と。

「アタシの作ったドローンラクーンズを信じ給え」
「泥舟のタヌキにならないよね」
「大丈夫!!! …たぶん」

その日の夕暮れ。
作戦は開始された。

25人目

『連合の艦を何故オーブに? これではザフトに攻め込む口実を与えることになる』

中立国オーブ。 そのコロニーの一つユニウスセブンにおいて、このモルゲンレーテ社は連合軍のモビルスーツを開発していたのだ。
キラがここにいるのも、ザフトによる『G兵器奪取作戦』によるところが大きい。
連合の発注により建造した5機のガンダムの内、4機をザフトに奪われ、残された1機を偶然にもキラが操りザフトのジンを撃破した。

「だからこうして追い返したように見せかけ洋上の潜水ドック艦を貸与しているのです。 もちろんタダとは申しません。 実は、もう一隻は例の箱を追うロンド・ベルの艦の様で。 聞けば次の目的地はダカールだということで、アフリカのキサカ少佐の迎えに使えると……」

五大氏族の1人、セイランからの通信に汗を拭いながらモルゲンレーテのドック艦責任者が返答した。

『アスハの娘などどうなろうと知ったことではないが、アナハイムのUC計画と箱の件はこちらの耳にも入っている。 アスハめ、ネェル・アーガマの補給の件でマーセナスに恩を売ろうという肚か……何にせよ、ザフトや連合に捕捉させるな。 なるべく早く厄介者にはご退場願え』

「はい。 既に出港する頃合いでしょう」

『ネェル・アーガマから得た情報はあとで纏めておけ』

そういうと一方的に通信は切れた。

そう、今回の件はマーセナスがアスハ家を通じて手を回したのだ。

かくして、ネェル・アーガマとアークエンジェルはオーブを後にし、ザフトの砂漠の虎、そしてダカールを襲った真紅の巨大モビルアーマーの待ち受けるアフリカへと発った。

——アフリカ・砂漠

「ハァ……ハァ、ハァ、ハァ……」

夜道を行く影が2つ。ジンネマンとバナージだ。

どんどんと先へ進むジンネマンに対しバナージの足取りは重い。

——数時間前

「……なんで、おれなんです」

「お前が一番暇そうだからだ」

「無理ですよ、砂漠を4日も歩くなんて」

「やりようはある。 アタールまでの距離は約63キロ。 移動は夜間に限定する。 夜通し歩いたとして、なにもなければ4日後の朝にはたどり着ける。そこで友軍と連絡を取って、救援を連れて戻れるのはその日の晩か5日後だな。アドラルか、ティリス・ゼムールのゲリラが動いてくれるだろう。 日が沈んだら出る」

かくして、2人きりの行軍が開始された。

26人目

「もしもしかめよ かめさんよ」

「主任ちゃんよ」
「あい?」

「レイブの反応が離れて行ってんだけど」

 レイブの反応を追ってオーブへの侵入を試みたゲンブであったが、
アークエンジェルとネェル・アーガマは補給を終えた後、半ば追い出されるようにして
アフリカへ向かった。紛い物のカメはオーブの洋上を漂いながら、
沈みゆく夕陽に照らされ遠ざかっていく2隻の影を見る。
当然、レイブはアークエンジェルに乗っている。

「え・えー!? どうするの、主任ちゃん!?」
「あれまー。これは予想外の展開。ドローンラクーンズ回収ー」
「やっぱりドロ舟のタヌキじゃん!」

 またしてもカメはウサギに置いていかれてしまった。
時空を超えた追いかけっこ、ROUND2の幕開けである。

「とりあえずオーブの海軍に捕まらないように、カメさんは潜水~。
安全な場所まで離れるよ~」
「泳いでレイブに追い着くの?」

「それはちょっと無理ポかな~。竜宮城でも探しに行く?」
「ふざけないで!」

 ゲンブも潜水モードに切り替わり、オーブを離れる。

「芝田さん、レイブの反応は見失わないようにしといてね~。
そうなると私達いよいよ並行世界で遭難しちゃうし。
最悪、ゲンブは向こうにいるタチ君に引っ張り戻してもらえばいいけど、
そうなると今度はレイブと記憶喪失君を連れて帰れなくなっちゃうからさ~」
「怖い事をさらりと言ってくれちゃって…」

 レイブと詠次を連れて、ゲンブはリレイブ・センチュリーに帰還する。
そうでなくては、わざわざ時空跳躍までした甲斐が無い。
2人を連れて帰れなくても、ゲンブだけで帰っても、意味は無いのだ。

 しかし、リボーンラボの面々はまだ知らない。
アナザー・センチュリーにもまた、リレイブ・センチュリーと同じく
数々の危険がそこかしこに蠢いている事を…

「レイブ…詠次くん…また会えるよね…?」

――アークエンジェル。

「キラがリレイブ・センチュリーから帰ってきたんだ。まだ希望はある」
『ヨミジ。アサノやタスキに、また会える?』

「ああ。絶対みんなの所に帰ろうな、レイブ!」
『うん、またみんなとおはなしする! みんなとあそぶ!』

 そのリボーンラボの仲間たちが同じ世界に来ているとはつゆとも知らず、
詠次とレイブは期待に胸を膨らませる。

 さて、カメはウサギに追いつけるか?

27人目

「インターミッション」


ーーリレイブ・センチュリー。ソロモンベース

「おいおいおい、またゲンブとストークの接続切れたぞ。向こうの3人は何やってるんだ。レイブに近付いたのに逃げられたのか?
あ、合流した」


ーーアナザー・センチュリー。ストーク

「ドローンラクーンの集めた情報を共有するよー」

この世界では、地球連合とプラントが争っている。
レイブと詠次くんは、地球連合のアークエンジェルと言う戦艦に回収された。
オーブは中立国だけど、アークエンジェル開発には一枚噛んでるみたい。
だから、すぐに立ち去った、と。

「問題は、ストークの足じゃ、アークエンジェルに追い付けない。
紛い物のエンジンフル稼働すれば、追い付けるスピードを出せるけど、ストークが耐えれない。空中分解する。
配線とか細かいところは直せたけど」

1体のドローンラクーンが外装を治し、
もう1体が配線を支え、もう1体が繋ぐ。
手の空いたドローンラクーンが予備部品からドローンラクーンを組み立てている。

「これ以上は手が足りない」
「部品が足りないの間違いじゃねえか?」
「それもある。
リボラボをストークに組み込んで、小型艦としての機能を向上させたいし、どうやっても中に入れないしバラせないし壊れないコンテナドックもなんとかしたい」
「壊れないなら武器にすれば良いじゃない?」

たすきは言葉を続ける。

「ビームもレーザーも跳ね返すんでしょ?
鈍器に丁度いいよ。
ゲンブの片腕に直結すれば、紛失の心配ないし」
「ゲンブと同じ大きさのコンテナドックを武器にするのかい」
「大きな武器は正義!」

うんうんと頷くアサノ。
教えたのはコイツか、と頭を抱える芝田。

「と言う訳で、プランが決まったから!
ギガフロートに向かう」


ーーリレイブ・センチュリー。シンザシティ

「早乙女研究所は守られたようで、ございます」
「流石J9とカウボーイだ。僕の見込んだ以上の活躍をしてくれている」
「例の宇宙海賊も救援に向かってくれた、とか」
「食事が美味しくなるね。なあオルガ君」

大きな食堂に、波嵐万丈とオルガ・イツカ。
給仕は一人、ギャリソンである。

「アンタは、俺達、鉄華団に何をやらせようって言うんだ、噂の波嵐万丈」
「正義の味方さ」

28人目

「皇帝の目覚め」
「こいつは…!」
「はっ…カイザーが2体…か!」

マジンカイザーSKLによるティターンズへの反撃。そして目の前に現れる。魔神皇帝。時は少し遡る。

「訂正しろ!」
「ホントのこと言って何が悪い!」

兜甲児には我慢ならなかった。祖父がつくりあげた正義の魔神。マジンガーZをおもちゃと馬鹿にされたことが。

「ふん。暑くなりすぎだぜ。そこまで否定したところで、お前のそれはボロボロの無能なロボットには変わらん。」

真上がかなり攻めた発言をする。これには最早暴言として甲児は受け取らざるを得なかった。

「て、テメェ!!好き勝手言いやがって!」
「!! 甲児くん!危ない!」

直後にマジンガーZはアレキサンドリアの砲撃の直撃を食らう。

「甲児くん!!」

マジンガーは墜落していく。鉄の城は崩れ去ってしまった。

「だから言っただろうに、暑くなりすぎだって。」
「まったくだ。周りすら見えなくなるようじゃこの程度だったということか。」

グレンダイザーがマジンガーに駆け寄る。どうにか甲児は無事なもよう。だが気絶しており、動きはしない。

「甲児くん…」
「おらおら!お前もぼさっとしてるとやられちまうぜ!」
「くっ!」

マジンガーZを失うもグレンダイザーとマジンカイザーSKLにより
ティターンズは撤退することになる。

「へ。もうおしまいか。ティターンズ共も大したことねぇな。」
「甲児くん。今すぐ治療を…なに!?」
「…どうした?」
「甲児くんの乗っていたパイルダーがない。」
「先に離脱したんじゃねぇのか?」
「弓博士!甲児くんは…?」
「デュークくん。残念だが甲児くんはこちらに帰ってきていない!」
「じゃ、じゃあどこに…」

すると地響きがなり始める。

「なんだ!?」
「新手の登場だな!」
「ふ、なんであろうと俺たちを止めれると思うな!」

降り立つものがひとつ。その姿は魔神であった。SKLが神が恐れ、悪魔すら慄くのならば、こちらは神を超え、悪魔をも倒す。
原初の魔神にて最強の魔神。魔神皇帝。
マジンカイザーが目の前に現れる。
そして冒頭に戻る。

「こ、これは…!」
(やはり…兜博士は完成させていたんだ…あのプロトタイプのマジンガーを!)
「乗っているパイロットは…?」

デュークが目を凝らす。そこに居たのは。気絶した兜甲児である。

29人目

「デビルマシン」

凄惨な光景だった。

——突き出された2つの拳がそれぞれ竜巻を起こし、ダイザーとSKLを襲う。
為す術も無く宙に投げ出され、気付いた時には拳を喰らっていた。
ターボスマッシャーパンチ。 そのたった一撃により3人は脳震盪を起こし意識を失う。
拳が戻るか戻らぬか、かち上げられた2機に向け疾る閃光が夕暮れ空を白く染め上げる。
2機は大出力の光子力ビームにより高く打ち上げられてゆく。

兜甲児が目を覚ましたのは光子力の奔流が収束したその時であった。

ズドンと土煙を上げ2体の魔神が大地に衝突する。 ダイザーとSKLはまるで死んだかのように身動きひとつしない。

陽が落ちきり辺りは暗黒に包まれる。

甲児は理解しがたい今の状況に困惑していた。

あの時——

パイルダーがオートパイロットでZから離れてゆく。そのまま上昇を続けたパイルダーは突然くるりと180°回転し、甲児を宙へと放る。

その時、甲児の脳裏に聴こえた声——

「悔しいか? 言ったはずだぞ甲児。 お前は神にも悪魔にもなれると……」

(そうだ……俺は……)

「あんなものに…… “地獄”如きに負けてこのまま神であり悪魔でもあるお前は引き下がるのか?」

(だけど、俺は……神でも悪魔でも、あの髑髏のマジンガーには敵わなかった……!!)

刹那、紅の戦闘機が大空を疾る。

キャノピーがガバリと開き甲児を喰らう。 甲児は飲み込まれるようにして落下の勢いのままシートに収まった。

「ならば今こそ神を超え、悪魔をも倒すその力を使うのだ! そのマシンの名はカイザーパイルダー!!」

「カイザー……パイルダー……」

呟いた瞬間、大地に向け加速してゆくカイザーパイルダー。 甲児はそのあまりのGに耐え切れずブラックアウトしてしまう。

次の瞬間、大地より出現したそれへと突き刺さり“皇帝”が目覚める。 だが、それは意識を失った甲児の悔しさを反映してか、あろうことか2体の魔神に牙を剥いた。

——甲児は尚も地に伏す2体を見てようやく理解した。 神を超えるなど烏滸がましい……これでは悪魔。
悪魔をも倒すと言われたカイザーは悪魔と化したのだ。

「やるじゃないか……」
「いいパンチだったぜ……」

「その悪魔のようなマシンは一体……」

甲児は意識の戻った3人に答えるともなく呟いた。

「マジン……カイザー……」

30人目

「誕生!! その名はゴッドガンダム」

 ーーギアナ高地。

 マスターガンダムの不意討ちにより、致命傷を受けてしまったシャイニングガンダム。

「く…ああ…!」

 シャイニングガンダムに搭載されたモビルトレースシステムは
操縦者の動きをダイレクトに機体に反映させるものである。
機体へのダメージもまた、然り…

「ドモーン!!」

 レインの悲痛な叫びが響き渡る。

「ドモン…貴様さえ、貴様さえいなければ……!」
「ーーぬううううッ!」

 シャイニングガンダムは残る力を振り絞り、
マスターガンダムに渾身の肘鉄を放って無理矢理に引き剥がす。

「ぐああああーッ!」

 吹き飛び、岩壁に激突するマスターガンダム。
しかし、シャイニングガンダムもその場に膝を突く。

「こ、ここまでか…!!」

 その時。ドモンの窮地に呼応するかのように、
ネオ・ジャパンコロニーから投下された新型ガンダムを積んだHLVが反応を示す。

「あれは…」
「ドモン! 新しいガンダムに乗り移って! そうすれば…!」

「そうか…う…ぐぐ…!」

 ダメージを庇いながら、シャイニングガンダムはHLVへ向かっていく。

「さ、させるかァ…!」
「ほあああああッ!」

 掌からダークネスショットを放とうとするマスターガンダムの左腕に、
飛び苦無が突き刺さる。

「うおおッ!?」
「やらせんぞ、東方不敗!」

 シュバルツのMF、ガンダム・シュピーゲルだ。

「急げ、ドモン!」
「恩に着る、シュバルツ…!」

 そしてついに、新ガンダムの元に辿り着くドモン。
シャイニングガンダムと新ガンダムの手と手が重なり合い、
これまでの戦闘データが流れ込んでいく。

「お、おお…!」

 2機のガンダムを包む眩い光が止んだ後、力尽きたシャイニングガンダムを
抱きかかえる新ガンダム…「ゴッドガンダム」の姿がそこにあった。

「シャイニングガンダムよ…今まで良く頑張ってくれた。
俺が未熟なばかりに、お前にも苦労をかけたな」

「ぬああッ!!」

 マスターガンダムがゴッドガンダムに向かっていく。

「俺のこの手が真っ赤に燃える…」

 シャイニングガンダムをそっと地面に寝かせ、

「ダァアアアアアアアクネス!」
「勝利を掴めと轟き叫ぶ! 爆熱! ゴォオオオオオッドッ!!」


「「フィンガアアアアアアーッ!!」」