スーパーロボット大戦relayb -THOUSAND WORDS- 第3部

37 いいね
1000文字以下 30人リレー
  • 1日前
  • 568PV
  • 二次創作
  • スーパーロボット大戦
  • Twitterタグはスパロボrb_小説
  • 自由に続きを書いて

「プロローグ」

 早乙女研究所、科学要塞研究所、そして光子力研究所…
スーパーロボットを支援してきた研究施設をティターンズが攻め立てる。
この機を逃すまいと早乙女研究所に現れる恐竜帝国。
かねてより研究が進められていた「恐竜テッカマン」がついに前線投入される。

 爬虫人類の強靭な身体能力にラダムのテッカマンシステムのフォーマットを
施された強力無比の兵士達が早乙女研究所内部に侵攻。
狙うはゲッターロボG。
ゲッターを奪い、量産化する事でさらなる戦力強化を図ろうと言うのだ。

 そこへ宇宙の騎士テッカマンブレード、
オーガンの遺志によってラダムの気配を関知したエリアルド・ハンターらが駆けつけ、
さらには海賊戦隊ゴーカイジャーまでが乱入し、
激しい攻防戦が繰り広げられる。
 
 科学要塞研究所には破嵐万丈からの依頼を引き受け、
グレートマジンガーの支援にやって来たコズモレンジャーJ9と
スパイク・スピーゲル、光子力研究所にはマジンカイザーSKLが現れ、
ティターンズの勢いを徐々に押し返していく。
 
 ギアナ高地ではマスターガンダムの不意討ちを受け、致命傷を受けた
シャイニングガンダムの意志を受け継ぎ、ついに目覚めの時を迎えた
ドモンの新たな機体、ゴッドガンダムが初陣を飾る。
ダークネスフィンガーと爆熱ゴッドフィンガー。
 互いの必殺技が激しく激突する。

 各研究施設と同じく、ティターンズとブリタニア連合軍の
追撃を受けるアーガマ。戸惑いながらも応戦するストライクガンダムや
ユニコーンガンダムであったが、混戦の最中、
謎の男、イエロゥ・スプリングフィールドの力によって
アナザー・センチュリーの世界へ送り返されてしまう。

 図らずもアークエンジェルへの帰還を果たしたキラと
思わぬ初対面を果たした詠次は、キラがリレイブ・センチュリーから
転移した事を聞かされ、リボーンラボの仲間達の下へ
戻れるかも知れない可能性を知り、心を躍らせる。
その仲間達が自分を追って今まさにアナザー・センチュリーの
世界に来ているとも知らずに…

 一足違いで詠次とレイブを乗せたアークエンジェルとの
接触に失敗したゲンブとリボーンラボの面々は
追跡を仕切り直すためにギガフロートへと向かった。

 反撃の狼煙。だが、それを吹き消すかのように現れた究極の魔神皇帝。
暴走を続ける力の矛先は…

「真なるゲッターロボ」

マジンカイザーの出現により、光子力研究所はさらなる危機的状況に陥る。

「デュークくん!そしてそこの2人も!マジンカイザーを止めてくれ!」
「言われなくともよォ!」
「そうするまでだ!」

マジンカイザーSKLが牙斬刀で斬り掛かる。

「…」

だがマジンカイザーは胸から巨大な剣を取り出す。グレートマジンガーが持つマジンガーブレードよりも遥かに大きい大剣である。
牙斬刀と鍔迫り合いを始める。

「うおおおおおおお!!」

力は互角。いや、マジンカイザーの方が押しつつある。

「こっちのカイザーが押されてるだと!?」
「とおおおおお!!」

2機の鍔迫り合いの後ろからグレンダイザーがダブルハーケンで斬り掛かる。

「…」

マジンカイザーは光子力ビームを放ちグレンダイザーを撃ち落とす。

「ぐはっ!?」
「ちっ、拉致があかねぇ!トルネードクラッシャーパンチ!」

SKLはロケットパンチで鍔迫り合いを強制的に解除。

「俺に変われ!」

SKLがブレストリガーを構える。
マジンカイザーは腰部からミサイルを発射する。

「舐められたものだな!」

ブレストリガーの乱射によりミサイルは迎撃されるも、マジンカイザーは攻め手を緩めない。今度はスリットの部分から酸性の強風を発射する。

「ルストストリーム!!」

だが同じカイザーならSKLにもその武装はある。同じく強風を吹かせ相殺する。
マジンカイザーは接近戦とばかりにターボスマッシャーパンチを発射せず回転させて襲い来る。

「この野郎!トルネードクラッシュ!」

SKLが拳側面の刃を回転させカイザーの攻撃を受け止める。
皇帝VS皇帝。
その戦いの余波は遠く、束の間の平穏を得られた早乙女研究所にも届いた。そして、異変が生じた。

「何事だ!」
「研究所地下のゲッター線の濃度が急上昇しています!」
「日蝕のせいか!」
「恐らくは…」
「い、いやそれだけでは無い…なにかに呼応している。それに地下には…あのゲッターが…!」
「博士!何が起こっているんですか!」

竜馬が博士を問い質す。

「目覚めようとしている。ゲッタードラゴンを作る前に作ったが、必要なエネルギーを賄うことが出来ずに封印した…真のゲッターロボが…!」
「真の…ゲッターロボ!?」
「お父様…!」
「ドラゴンのは前触れだったのか…!」

「ゲッター、その進化の果て」

「ゲッタードラゴンのエネルギーが…」

 竜馬の怒り、そして日蝕によって異常増大したドラゴンのゲッター線が
研究所地下へと吸い寄せられていく。

「どうした、リョウ!?」
「分からない、このままではエネルギーが空になって墜落する!」


――ゲッターの塔。

「な、何だ!?」

 火星から飛来し、日本近海に聳える巨大構造物。ブリタニアの管理下で
今まで沈黙を守っていたが、早乙女研の異常事態に呼応するかのように
鳴動を始めた。

「うわあッ!?」

 そして岩壁を貫くようにして何かがゲッターの塔から飛び出してくる。
それは10数年前、インベーダーから地球を守るため
早乙女達人を乗せて火星へと飛んだプロトゲッターの成れの果てだった。
もはやかつての面影は残っていない程に変貌…いや、「進化」していた。
それが早乙女研へと一瞬の内にワープし、地底目掛け突入していく。

「ゲッターの塔より未確認物体出現!」
「達人…お前なのか…!?」

「ウギィィィ!」
「ギャガアアアアッ…」

 ゲッター線の異常な高まりによってブレード達と戦っていた恐竜テッカマン達が
次々に蒸発。

「ダメだ、落ちる…わああああッ…」

 ついに「何か」にゲッター線を全て吸い尽くされたゲッタードラゴンは
プロトゲッターが穿つ巨穴に向かって落ちていく。

「あれは…ゲッター線の光…」

 奈落へと落ちていく最中、竜馬たちは見た。緑色に輝く光…
ゲッター線の輝きに包まれながら選ばれし者たちを待ち続ける
真なるゲッターロボの姿を…

「ゲッターを…食ってやがる…」

 真ゲッターロボの肩にもたれかかるプロトゲッターは、まるで真ゲッターと
融合するかのようにひとつに溶け合っていく。
ゲッター線がさらに輝きを増し、何も見えなくなった瞬間、竜馬たちは
気がつけば真ゲッターのコクピット席にいた。
目の前には先程まで乗っていたゲッタードラゴンが地面に激突する瞬間に
ふわりと浮遊し、そして静かに落着する。

「これが…真ゲッターロボ!」

 竜馬がその名を呟くと、真ゲッターの背中に悪魔の如き翼が生え
地上へと向かって急速上昇する。

「な、何じゃあああ!?」

 即座に押し潰されるような加速で一瞬の内に地上に出たかと思うと
真ゲッターは物理法則を無視した軌道で飛ぶ。
目指すは…魔神皇帝。

「うおおおおお!!」
「ぐっ…うっ…」
「は、早すぎる……!」

真ゲッターの速度は桁違いであった。ゲッタードラゴンの試験でもこれほどのスピードと負荷は無かった。
あの時平然としてたベンケイですらこの殺人的な加速と速度には鼻血を出してしまうほどであった。

「どこに向かっているんだ!?」
「こ、この先は…たしか光子力研究所だ!」
「そ、そこに…そこに何があるって言うんだ!」

その間にも真ゲッターのゲッター線指数は上がっていく。
何かと共鳴するかのごとく。

「……!!」

日本のどこか。安倍晴明を追いかけ続けていた新ゲッターチーム。竜馬は何かを感じとった。

「…どうした?」
「…隼人、弁慶。休憩は終わりだ。行くぞ。」
「どこへだ?」
「…あっちの方角だ。」

竜馬が指を指した先。それは光子力研究所であった。

「…あれは…真ゲッター?」

黒きゲッター。流竜馬も目視で確認できた。あれは重陽子ミサイルを破壊しようとした際に隼人、號とともに乗り込み、後一歩のところまで追い詰めた。真ゲッターロボ。

「この世界に転移してきたのか?確認するしかねぇな!」

早乙女研究所には特に用はなく去ってしまったが、真ゲッターを見ればまだ何か分かるかもしれない。
そう思いゲッターを動かす。

奇しくも、真ゲッターの目覚めがゲッター乗り達を集わせようとしていた。

マジンカイザーとマジンカイザーSKLの戦いはグレンダイザーの援護もあり、ギリギリの平行線を保とうとしていた。

「これじゃあ拉致があかねぇ!」
「ちっ、パワーが互角でも装甲の厚さに違いがあるならさすがにカイザーでも厳しいぞ。」
「このままではジリ貧だ…何か…何か甲児くんを目覚めさせる手は無いのか…!」

光子力研究所でもどうマジンカイザーを止めるかで四苦八苦していた。

「なんとか…なんとか甲児くんを目覚めさせる手段は…」

その一部始終を見ていた兜家のもう1人の遺児、兜シロー。

「…アニキ!」

それだけを言いシローは駆け出して行った。

「シローくん!?どこへ行くというのかね!?」
「アニキを目覚めさせるのは…俺の役目だ!」

シローの目指す場所。それは格納庫。あそこにあるのは兜甲児のマジンガーZのパイルダー。ジェットパイルダーが残されていた。

「アニキ。待っててね。今行くからね!」

「集結、そして共鳴」

「シロ―くん! 危険だ、やめなさい!」

 弓教授の制止も虚しく、慣れない操作でフラフラと飛ぶシローのジェットパイルダー。

「何だ、ありゃ!? 撃ち落として下さいって言ってるようなもんだぞ!」

「アニキ頼むよ、目を覚ましてくれよ!」
「………」

 マジンカイザーがゆっくりとジェットパイルダーを見据え、そして手を伸ばす。

「甲児くん、やめろ! 自分の弟までをも手にかけるつもりか!?」

 そこに甲児の意志は無い。今のマジンカイザーは目に映るもの全てを破壊する
殺戮マシーンでしかない。胸のエンブレムに爛々と輝く『魔』の刻印が
それを物語る。

「トマホォォォウクッ! ブゥゥゥゥゥゥメランッ!」

 その時、ジェットパイルダーを握り潰そうとするマジンカイザーの右手を
弾き落とすブラックゲッターの戦斧と、

「ゲッタァァァァビィィィィィムッ!」

 新ゲッターロボのゲッタービームがマジンカイザーを押し出し
ジェットパイルダーから遠ざける。

そして…

「ここは…!?」

 早乙女研究所から瞬時の内に飛来する機影。
新ゲッターロボ、ブラックゲッター、そして、真ゲッターロボ。
世界を隔てても尚、ゲッターロボに乗り込む宿命を背負わされた男たちが
ついに一同に介してしまった。

「あれは確かに真ゲッターだが、俺が乗り込んでたものとは細かな部分が違う…」
「一体どう言う状況なんだ、これは…!?」

 壊滅状態の光子力研究所。見知らぬゲッターロボ。そして、マジンカイザー…
まったく状況が把握できない中、
真ゲッターとマジンカイザーが共鳴現象を起こす。

「………」

 すると、マジンカイザーの瞳から光が消え、ガクリ、と項垂れた後
全ての機能を停止させた。

「止まった…」
「急いで甲児くんを回収するんだ!」

「うへ、何なのよこの有様は」
「甲児くん、無事か!?」

 研究所員達がマジンカイザーに取り込まれた甲児を救出しようとする中、
科学要塞研究所から駆けつけたJ9やグレートマジンガーたち。

「どうやら戦闘は終わっているようだな。この光子力研が最後だ。
必要なスタッフを連れ、宇宙へ向かう」

 アイザックの目的。それは地上に残るプロジェクト・リレイブのメンバーを
宇宙へ退避させる事だった。
目指すは、衛星軌道上に待機する移動要塞ブルーサンダー。

「宇宙への旅路」


ー何処かの無人島

「ブルーサンダー?なんだそりゃ」
「移動要塞ブルーサンダー、聞いたことない?」
「アタシ達はソロモンベースから合流予定だったんだよ」

釣り竿を垂らす芝田、たすき、アサノ。

「謎のエネルギービムラーで空間転移する技術があるグッドサンダーと、亜空間転移してきたメカを改造したロボ バルディオスを擁するブルーフィクサー、ふたつのチームが中心に作った宇宙要塞なんよ。
ビムラーは成長するエネルギーだとかなんとかだし、浴びてみたいよねー」
「やめとけ主任ちゃん」
「エンジン動かないと電気がない生活になるのは考えてなかったな。サバイバル技術ある芝田さんが頼りです」
「ドローンラクーンも電気喰うから偵察には使えないしー、整備チームには頑張らせてるよー」


ーシンザシティ。波嵐邸

「まずは宇宙に上がって貰いたい」
「それは出来ない相談だ。
俺達はクーデリアをアーブラウ首長のところまで届けなきゃならねえ」
「地上で動ける移動手段も無しに、かい?
とりあえず、クーデリア嬢とフミタン嬢は僕の屋敷で匿う、ってあたりで手を打たないか」
「そこまで、見ず知らずのあんたにしてもらう義理がない。見返りも無しに動く魂胆はなんだ?」
「ただの金持ちの道楽さ」

「それぞれの目的のために」

「………」

 破嵐万丈との会談を終えたオルガ。
部屋から出てくるなり、すぐさま鉄華団のメンバーに取り囲まれる。

「どうだった、オルガ!?」
「クーデリアお嬢さんの言ってた通り、俺たちが火星から地球へ向かってる間に
色々おかしくなっちまったのは確からしい。
このまんまじゃ、俺たちはギャラルホルンの支配から独立する事も
お嬢さんを神輿に担ぎ上げる事も出来ねえ。だから、破嵐万丈の話に乗る事にする。
前金は受け取った」

「こ、こんなに!?」
「残りの金は依頼を果たした後にもらう手筈だ。奴も地球のゴタゴタで
資産をごっそり持って行かれちまったんだとさ」
「元はどんだけ金持ちだったんだよ…」

「なるほどな。道理でローニンの奴とも連絡がつかなかったわけだぜ。
無事でいてくれると良いが…」

 ブリタニア・ギャラルホルン連合軍と鉄華団の戦いの最中に舞い降りた翼、
エルシャンク。太陽系から遠く離れたシェーマ星系・ラドリオ星からやって来た王女、
ロミナ姫とそれを追う異星勢力「ザ・ブーム軍」の戦いに巻き込まれた
火星に暮らす若者ジョウ・マヤらと共に「忍者伝説」を求めて地球に辿り着いた。

 ジョウの親友であり、連邦軍に所属するローニン・サナダを頼ったが、
世界の接続によってブリタニアが地上を支配する現状では
地球連邦軍の組織図も書き換えられ、ローニンの安否も不明のままであった。

「俺たちを助けてくれたあの白い奴、何者? 凄い運動性だったけど」
「あいつの名は飛影。俺たちがピンチになると何処からともなくやって来るんだ。
悔しいが、俺たちが地球に辿り着けたのはあいつのおかげさ」

 鉄華団に加勢するジョウ達であったが、ブリタニア連合軍の物量によって
あっと言う間に劣勢に陥った。そこへ現れたのが謎の忍者ロボット、飛影だ。
飛影は想像を絶するスピードでブリタニア軍を蹴散らし、
その隙に鉄華団とエルシャンク隊は命からがら撤退する事に成功、今に至る。

「俺たちも鉄華団と同じで身動きが取れねえ状態だ。手伝わせてもらうぜ。
それでいいな、ロミナ姫?」
「地球の方々。助けていただき、感謝致します。どうぞよしなに…」

「交渉成立だ。それぞれに目的は違うだろうが、
地球の状況をどうにかしなければそれを達成出来ないと言う所では共通している。
よろしく頼むよ」

「移動要塞ブルーサンダー」

話は過去に遡る。皇暦世界がR.Cに組み込まれてから間もなく、ブリタニアのレジスタンスとなったプロジェクト・リレイブ。
ブリタニアの度重なる攻撃によって、プロジェクト・リレイブは進退極まっていた。

「…厳しい状況だな。」

サラバスが呟く。

「ああ。アルデバロンを倒してなお。異星人を抱え込んでいるという偏見は解消されないな…」

月影も呟く。
そう言うと、ブルーフィクサーチームとグッドサンダーチーム。兜甲児とデュークフリードが帰ってきた。
その顔は暗い表情であった。

「おお、みな、ご苦労であった。」
「…ブリタニアめ…!」

マリンが壁に拳をうちつける。異星人であるマリンやデュークをブリタニアの兵士は何度も非難した。

「…俺達は何も言えねぇな…」
「ああ。俺達もマリンには酷いことを言ってしまったからな…」
「…やれやれ。くらーい顔してたらこの先も明るくはならないな。」
「1寸先は闇ばかり。辛いもんだね。」
「いつ、めのまえがまっくらになった! ってなってもおかしくないからねぇ。」
「俺たちは…俺たちは正義のために、みんなのために戦ってきたはずなのに…」
「…地球人にも色々いる。事情を抱え込んでいるのも仕方ないとはいえ…」

サラバスはこの状況を見て、ある決断をする。

「…やむを得ん。この状況だ、プロジェクト・リレイブは部隊を分けることにする。」

月影が続く。

「つい先程、光子力研究所からも伝達があった、ブリタニアの攻撃が激しいと。甲児くん。君は光子力研究所に一旦戻りたまえ。」
「…分かりました。」
「僕も行かせて欲しい。」

名乗りを上げたのはデュークだった。

「デューク…」
「君には助けて貰った恩がある。恩を返すという文化はフリード星でも共通だ。」
「…ありがとう!」
「ではマジンガーZ、グレンダイザーは光子力研究所への帰還を命ずる。」
「長官。俺たちはどこへ…?」
「我々ブルーサンダーは宇宙へ上がる。元々この要塞は宇宙での稼働を予定していた宇宙要塞だ。当初の予定を少し早める結果にはなってしまったがな。」
「宇宙か…そこならまだブリタニアの侵攻も減るだろう。」
「ですが気をつけてください。ベガ星連合軍がいつ襲ってきてもおかしくはありませんから…」
「うむ。忠告感謝する。」

こうして2つの部隊に分けられたのだ。

「黒衣の王子」

 ブリタニアの侵攻に押され、宇宙で待つ移動要塞ブルーサンダーへの合流を
余儀無くされたプロジェクト・リレイブ地上部隊。
しかし、事態は好転したわけではない。
地上と宇宙。2つの問題に対処しなければならないのだ。

 鉄華団、エルシャンク…時同じくして火星を発った者たち。
それらよりもいち早く、ゲッターの塔の存在に気づいていた者がいた。


――回想/アナザー・センチュリー、火星極冠基地。

「よくぞここまで。ヒトの執念。見せてもらった…」
「勝負だ…!!」

 リレイブ・センチュリーと同じく、アナザー・センチュリーの火星もまた、
戦乱に彩られていた。地球連合によって木星に追いやられた人々…木星連合。
通称「木連」残党が再び決起し、「火星の後継者」を名乗って地球に宣戦布告を
叩きつけたのだ。

 火星の後継者は太古の昔に存在した時空転移技術「ボソンジャンプ」の
制御ユニットを掌握。さらに、それを自在に扱う事の出来るA級ジャンパーの適合者を
次々と誘拐、地球連合の主要人物・施設をボソンジャンプによる強襲で制圧すると言う
電撃作戦に打って出る。

 それを阻止したのは、木連とのファーストコンタクトでもあった「蜥蜴戦役」を
終結に導いた機動戦艦ナデシコのメンバーたち。
そして、火星の後継者に妻・ユリカを誘拐され、自身も非人道的な人体実験によって
五感のほぼ全てを奪われたテンカワ・アキトであった。

 復讐に燃えるアキトは愛機・エステバリスを強化改造した「ブラックサレナ」を駆り、
火星の後継者の暗殺実行部隊隊長、北辰を討ち果たす。
ユリカも取り戻し、火星の後継者の反乱も鎮圧された。しかし…

「アキトは…アキトは、どこ?」

 ユリカやかつての仲間との再会は果たされる事なく、アキトは何処へともなく
姿を消した。

「帰って来ますよ。帰って来なかったら、追っかけるまでです。だって、あの人は――」

「…キト…」

 誰かの声がする。

「アキト…」

 名前を呼ぶ声が…

「――ユリカ!?」

 飛び起きてすぐに定かで無い視界に映る姿は、想い人ではなく。

「アキト」

 無機質な声。透き通るような白い肌と長い髪。金色の瞳…

「ラピス…か」

 アキトはリレイブ・センチュリーに転移していた。
遺伝子操作によって生み出された少女、ラピス・ラズリと共に。

「究極の魔神」

――移動要塞ブルーサンダー・医務室。

「………」

 光子力研究所にて、暴虐の限りを尽くしたマジンカイザーに取り込まれた兜甲児。
真ゲッターとの共鳴現象により機能を停止したマジンカイザーのコクピットから
救出されたものの、未だ意識は戻っていなかった。

「かなり体力を消耗している。並の人間なら衰弱死している所だろう」
「甲児くん…」

 ベッドに眠る甲児を見守るのは、剣鉄也と宇門大介。

「こうして改まって話をするのは、もしかしたら初めてかも知れないな」
「君の事は良く甲児くんから聞かされていたよ、鉄也くん。実の兄のように慕っていると」
「フッ…何だかむず痒い話だが、悪い気はしない。
色々と甲児くんの面倒を見てくれていたようで、感謝する」

「彼には命を助けられた事もある。自分の身を呈して…なかなか出来る事ではないよ。
しかし、あのマジンカイザーと言うロボット…恐ろしいパワーだった。
まるでパイロットである甲児くんの命までも自らの糧とするような…」

「俺も、あんなマジンガーが存在するとは所長からも聞かされていなかった。
多分、所長にもあれについての詳細は知らされていなかったのだろう。
今は大人しくしているようだが、あれは危険すぎる。
どれだけ強力なロボットでもパイロットが制御出来なければ、俺たちの身が危ない」

――ブルーサンダー・格納庫。

「真ゲッターロボに、マジンカイザー……か」

 まるでお互いを監視し合うかのように佇む2体のスーパーロボット。
神か、悪魔か…荘厳なるその光景を、ゲッターチームはただ眺めていた。

「どう思う、リョウ? 真ゲッターを…」
「正直、俺は恐ろしいと思った。これまでゲッターと共に悪と戦ってきたが…
こんな感情を抱くのは初めてだ」
「ゲッターGの操縦訓練がまるで役に立たなかったもんなぁ。
俺たちは操縦してるって言うより、真ゲッターに振り回されてた感じだったぜぃ」

「すまない、リョウくん、ハヤトくん、ベンケイくん。
この真ゲッターロボだけは、出来る事ならば永久に封印しておくつもりだった。
これはおよそ、人間の手に扱えるようには造られていないのだからな。
ドラゴンのゲッター線エネルギーを全て吸い尽くしても、これはまだ半分の力も
発揮出来ていないのだ」

「あれで半分以下ですって…!?」
「博士…アンタって人は…」

「黒 の 騎士団」

 神聖ブリタニア帝国が支配する皇歴世界にて、抵抗運動を続けていた組織があった。
その名は…

「あ、帰ってきた!」

 光子力研究所での戦いを終えて帰還した新ゲッターロボが着陸する。
元はアナザー・センチュリーの住人である彼らを支援していたのは「黒の騎士団」。
数々の奇跡を起こし、瞬く間に反ブリタニア勢力のカリスマとなった
仮面の指導者「ゼロ」が発足させた組織である。
しかし、ゼロは世界の接続の最中に行方不明となってしまった。

 絶対的指導者を失い、さらにはリレイブ・センチュリーと言う
見知らぬ世界で混乱していた黒の騎士団の前に現れたのが新ゲッターロボだ。
アナザー・センチュリーと皇暦世界。
異邦人たちが互いに協力体制を取り、不安定に陥った黒の騎士団を
どうにか立て直そうとしていた。

「しかしよぉ、ゼロは何処に行っちまったんだ? あいつがいなきゃ身動き取れねえぜ」
「うろたえるな、玉城! それが組織全体に伝染するんだ。覚えておけ!
次に同じ事を言わせたらその場で切り刻むぞ!!」
「お、押忍! 隼人さん!」

 新ゲッター2のパイロット、神隼人。
今でこそゲッター線の研究に没頭しているが、ゲッターに乗り込む前は
革命軍のリーダーだったと言う過去を持つ。
黒の騎士団のメンバー達も思わず震え上がる程の迫力だ。
ゼロ不在の黒の騎士団が瓦解せず、規律が統制されているのも隼人の影響が大きい。

「がはは、隼人なら本当にやりかねんぞ。気合を入れていけ、皆の衆!」
「おおーッ!!」

 巨漢の破戒僧。新ゲッター3のパイロット、武蔵坊弁慶が黒の騎士団に檄を飛ばす。

(ルルーシュ…生きてるよね。私達、今でも頑張ってんだよ…)

 黒の騎士団のエース・紅月カレンのみが知る、ゼロの正体。
ルルーシュ・ランペルージ。彼もまた、この混沌とした世界の中で抗い続けていた。

「俺の知らないゲッター…か。まったく、何処に行ってもゲッター、ゲッターだ。
いい加減気が滅入っちまう」
「お前は興味が湧かんのか。ゲッター線とは何なのか。
ゲッターロボとは何処から来て、何処へ向かおうとしているのか…」

 真ゲッターロボとの遭遇。それは竜馬と隼人の心境にも変化を生じさせていた。

「へっ、知ったこっちゃねえな。俺はただ、晴明の野郎を早い所見つけ出して
ぶちのめしてやりてえだけよ」

「砂漠の虎と蒼き鷹」

――アナザー・センチュリー/ギガフロート。

 ここは、ジャンク屋組合によって建造された全長数10kmにも渡る人工島。
浮体構造物として移動能力も有している。
故に、ここには古今東西、津々浦々から流れ着いた
アナザー・センチュリー中のジャンクが山のように存在している。

「ふ、ふおおお~ッ!! この情報集積回路! 
こっちのモーターも! リレイブ・センチュリーには無いものだよ~!
ジャンクだなんてとんでもない! ここは宝の山だ! 龍宮城は存在した~!!
アタシここで暮らす~!!」

 ギガフロート中を奇声を上げながら走り回るアサノ。
オーパーツに目が無い重度のメカオタクな彼女にとって、ギガフロートは至上の楽園と
言っても過言ではなかろう。

「ちょっと、主任ちゃん! ここにはゲンブの改造パーツを集めに来たんでしょ!」
「それにしても、だだっ広いな、この島…」

 レイブ追跡作戦再開は未だ前途多難…一方、当の詠次とレイブを乗せた
アークエンジェルは…


――アークエンジェル・格納庫。

『クララ、ソニア、マギー! レイブ、おぼえた!』
『よろしくお願いします、レイブさん』
 
 ドラグナー3機に搭載された対話型AIと楽しそうに交流するレイブ。
その様子を、ケーン達は不思議そうに見つめる。

「へぇ~、お前のロボット、まるで生きてるみてえだな」
「最初にアークエンジェルに運び込んだ時はピクリともしなかったのにな」
「もしかして…人見知りしてた、とか?」
「最初にレイブに会った時もそんな感じだったし…有り得るかも」

「それにしても、オーブとか言う所でドラグナーの登録解除とか出来なかったのかね?」
「半ば追い出されるような感じだったしな。それに、あの国は
一応中立を謳ってるんだ。それがギガノスから奪ったD兵器を受け入れたとあっちゃ、
後々面倒な事になるんだろ」

 そんなアークエンジェルとネェル・アーガマが向かうアフリカ大陸には、
通称「砂漠の虎」アンドリュー・バルトフェルド率いるザフトの地上部隊が
展開していた。

「ようこそ。あのギガノスの蒼き鷹にお越し頂けるとは、よもやよもや。
光栄だよ」
「…こちらこそ」

 バルトフェルド隊に合流したのは、D兵器追跡任務に就く
「ギガノスの蒼き鷹」マイヨ・プラートとその親衛隊「プラクティーズ」だった。

「心の傷痕」

 さらに、ストライクガンダムが健在であると言う情報をキャッチした
クルーゼ隊からは、イザーク・ジュールとディアッカ・エルスマンが派遣されていた。

「ストライク…! まさか、大気圏に落ちても生きていたとは…!」
「まったく悪運が強いっつうか、何つうか。一体どんな奴が乗ってんだろうな?」
「知った事か! それよりも、今度こそ俺がこの手でストライクを討つ…!」

「その傷…ガンダムとの戦いで受けたものか」

 ザフトとギガノスは同盟関係を結んでいる関係上、戦場で共闘する機会は
過去にもあったが、イザークとマイヨ。
パイロット同士が戦場外の素顔で相対する事は滅多に無かった。

 イザークの右半面を覆う包帯。ストライクとの交戦で負った傷。
その恨みを晴らすまで、敢えて傷を消す治療を受けずそのままの状態で残しているもの。
触れられたくない過去に触れられた事で、イザークはマイヨに対して険しい表情で応じる。

「…ええ。傷が疼くもので。この作戦で、貴方のお父上が残した汚点もろとも
濯いで御覧に入れますよ。マイヨ・プラート大尉」
「…!」

 マイヨの父、ラング・プラート博士によって建造されたD兵器。
それと共に地球連合へと亡命した父。ギガノスの理想を追い求めるマイヨにとって、
父の行動は裏切りでしかなく、それは彼の心に憎しみとなって巣食っている。

「貴様…もとい、少尉! 大尉殿に対して、それはあまりにも…」
「いくら同盟関係とは言え…!」

 イザークの挑発的な言動に、プラクティ―ズの面々も抗議の声を上げる。
事実、ギガノス内においてもプラート博士の件を引き合いに出して
マイヨを揶揄する声は少なくないのだ。

「よせ、お前たち」
「ですが…」

「不快に思われたのなら失礼。お互いに仇敵を討つため、励みましょう」
「おい、イザーク…」

 その場を去るイザークと、その後を追うディアッカ。

「ふむ。流石、エリート部隊のおぼっちゃん。鼻っ柱の高い事だ」
「バルトフェルド大佐…」

「マイヨ君。君の事情は、少なからず耳に入っている。だが軍人であれば、
戦果でそれを捻じ伏せる事だな」
「はっ…」

「コーヒーでも飲まんかね? 良い豆が手に入ったんだ。親衛隊の君たちも」
「あ、ありがとうございます…」

 バルトフェルドと言う男が放つ、不思議な魅力。人を惹き付ける何か。

「挟撃戦」

 ザフトとギガノスが待ち受けるアフリカ大陸に到着したアークエンジェルと
ネェル・アーガマ隊。
そこで彼らを待つのは、砂漠という地形を活かした巧妙なゲリラ戦術を駆使する
バクゥ部隊だった。

「四つ足のMS!?」
 
 四足獣型の機動兵器たちが陣形を成し、砂漠の大地を疾走しながら
背部ターレットに搭載したミサイルポッドで空中のアークエンジェルと
ネェル・アーガマを迎撃する。

「アフリカに着くなりご挨拶だな!」
「スカイグラスパー、ストライク、ドラグナー隊は出撃願います!」

 マリューの指示を受けたムウ、キラ、ケーン達はそれぞれの機体へと向かって
駆け出す。

「レイヴ、俺たちも…!」
『ヨミジ、この音、こわい…』

 詠次もレイヴに乗って出撃しようとするが、レイヴは爆撃音を怖がって
動こうとしない。

「詠次、無理すんな! ここは俺たちに任せとけ!」

そう言ってケーンはドラグナー1型に乗り込む。

「ケーン……頼む!」
「ハッチ開けてくれ! ドラグナー出るぞ!」

 カタパルトから射出されたドラグナーは追加飛行ユニット「リフター」によって
上空高く舞い上がり、
ハンドレールガンを撃ちながらバクゥ部隊を牽制していく。
しかし、陸上戦に特化したバクゥ部隊はその程度の攻撃では怯む事はなく、
逆に反撃の砲火を浴びせてくる。

「くそっ! ちょこまか動きやがって!」

 地上からの砲撃を避けつつ、ドラグナーは上昇を続ける。
すると今度は別の敵機部隊が急降下してきて、ドラグナーに向かって攻撃してきた。

「ちぃ! 今度はギガノス野郎かよ!」
「見つけたぞ、D兵器!」

 地上のバクゥ部隊に加え、空中からはギガノスのメタルアーマー部隊。
前後左右からの同時攻撃を受け、ケーンは窮地に追い込まれる。

「くそっ、どうすりゃいいんだ!!」

『ストライク、発進どうぞ!』
「キラ・ヤマト…ストライク、行きます!」

 そこへ、アークエンジェルからストライクガンダムが出撃する。
大型可変翼と高出力スラスターを搭載したストライカーパック
「エールストライカー」を装備し、短時間の飛行も可能となる。

「ケーン、援護する!」
「キラか!? すまねえ!」

「敵を分散させる! 僕は右側を担当するから君は左側を!」
「了解だぜ!!」

 ストライクとD-1。白き機体の共闘。

「アンノウン出現」

 バクゥの背部ターレットからミサイルポットが射出される。

「ケーン! 危ない!」

 キラの声に反応して、ケーンは身を翻す。

「させるかってんだ!」

 ケーンのD-1の前に、ライトのD-3が割って入る。
電子戦に特化したD-3はミサイルのセンサーにハッキングし、
その軌道を狂わせた。

「ヒュウ、間一髪」
「助かったぜ、ライト」

 ミサイルはデタラメな軌道を描いて互いに衝突、或いは地表に墜落して爆発した。

「こっちもやるぞ! 援護頼む!」
「支援砲撃ならD-2にお任せあれってね、大尉! どすこぉおおおおい!!」

 空中のギガノス軍を迎え撃つムウのスカイグラスパーを、
タップのD-2が後方から援護する。
砲撃戦特化のD-2は重装甲と280mmレールキャノンを始めとして
全身に備え付けられた数々の中~遠距離射撃用兵器が自慢だ。

「坊主、後ろがガラ空きだ! 敵が来てる!」

 ムウの言葉通り、D-2の後方に回り込んだ二機のメタルアーマーが攻撃を仕掛けてくる。

「動きは鈍いようだな!」
「うおっ、D-2は小回りが利かねえってのに……!」

 だが、キラには敵の動きが見えていた。
後方への注意を促すように叫ぶ。

「タップ、左へ回避!」
「あいよ!」

 D-2の手の甲に搭載された2連式25mm 機関砲で敵機を牽制しつつ、左方向へ旋回する。
それを追うようにしてタップに迫る敵にエールストライクガンダムとD-1が追随。

「必殺! ドラグナー3枚おろし!!」
「はあああああッ!!」

 ビームサーベルとレーザーソードで敵の飛行ユニットをすれ違いざまに破壊した。

「うわぁああっ!?」
「たっ、助けてくれぇ!」

 バランスを失った機体は錐揉みしながら落下していく。

「みんな、頑張ってるな…」

 ギガノス、ザフト軍と一進一退の攻防を展開するキラやケーン達の戦いを見守る詠次。しかし…

「ん?」

 ふと、彼の目に奇妙なものが映った。
ギガノス、ザフトとも違う機体が突然アークエンジェルの針路上に出現したのだ。

「所属不明機、出現!」
「馬鹿な!? 何故これほど接近されるまで気づかなかった!?」

 CICクルーの報告を聞いてナタルが驚愕する。
猿のような体躯に、背中に蟹のハサミのような機構を備えたアンノウンの正体とは……?

「おいおいなんだあのMSは!?」
「メタルアーマーじゃねぇのか?」
「いや、無線を傍受したがザフトもギガノスも困惑してる。つまりあれは所属不明機だ!」

「ミラージュコロイドの類か…?」
「しかし、現れ方がブリッツのパターンとは異なります。」
「とにかく、各機体に報告!」

ナタルの号令により、所属不明機の存在が味方に伝わる。

「確定だな。」
「と言ってもなんにもわかんないのが確定したようなもんだけどな。」
「しかし、なんだぁ?あの格好。猿みたいなのに蟹みたいなハサミつけて。」

するとザフトのバクゥ一機とギガノスのメタルアーマー一機が勧告をする為に近づく。

「お、あいつら近づいてくぞ。」
「あいつら勇気あるねぇ。」

しかし、勧告を行ったにもかかわらず。所属不明機はハサミを開いたかと思えば発射口からビームを発射する。

狙いは…アークエンジェル!

「あ、あぶない!」

ストライクがカバーに入ろうとするも間に合わない。

「回避!」
「間に合いません!」

アークエンジェルはビームの直撃を食らう。

「うわっ!」

無論衝撃は詠次とレイヴにも届く。しかもカタパルト付近から見ていたため詠次は爆風に飛ばされてしまう。

「わああああ!!?」
『ヨミジ!!』

レイヴが詠次に気づき飛び降りる。


「被害状況は!」
「損傷は軽微!航行に支障はありません!」
「やはり敵なのか…!」

被害状況を確認するものの詠次とレイヴには気づいていないアークエンジェル組。

勧告に来たメタルアーマーとバクゥが所属不明機に攻撃を仕掛ける。

しかし、所属不明機はメタルアーマーをビームで撃ち落とし、
バクゥに至っては片方の手で首をもぎ、もう片方の手で滅多打ちにした。

「ひええ…なんて攻撃しやがる。」
「ライト、こりゃ人間のやることじゃねぇぜ。」
「ケーン。お前の言う通りだ、あいつらパイロットはいねぇ。」
「見境なしってことか!」



~~謎の空間~~
「よいのか。あれを使っても。」
「あの場にはザフトもギガノスもいる。それに紛れ込ませるには少々名のある者が多すぎる。」
「ならネオ・ジオンの機体にでも…」
「それこそ、戦況を混乱させて無駄に取り逃すだけだ。」
「…」
「あれは、ギガノスやザフト程度には負けんよ。あの陸海型ビースト・キメラならばな。」

「layb、ignition!」

『ヨミジ、大丈夫?』
「あ、ああ…助かったよレイヴ…」

 アークエンジェルから落下した詠次であったが、間一髪の所で
レイヴによって救助された。コクピットに乗り込み、状況を確認する。

「それにしても、あのアンノウンは…」

 陸海型ビースト・キメラ…「シザースモンキー」が狙ったのは
アークエンジェルではなく、レイヴだった。

「こっちを狙ってる…!?」

 レイヴの姿を視認したシザースモンキーは、真っ直ぐに突進してくる。

「うおっ!? わっ…!!」

 砂漠の上を飛び跳ね、シザースモンキーの蟹鋏を掻い潜る。

「詠次! 大丈夫か!?」
「ケーン! 集中しろ! ギガノスとザフトはまだやる気みたいだぜ!」

 ストライクやD-1はギガノス・ザフト連合軍から
アークエンジェルとネェル・アーガマを防衛するのに手一杯。
レイヴは完全に孤立してしまっている格好だ。

「キラやケーン達はこっちまで援護する余裕は無い…!
このアンノウンは俺とレイヴで相手するしか…!」
『ヨミジ! こわいよ!』

「根性出せ、レイヴ! ここで戦わなかったら、みんなとお話出来なくなっちまうぞ!」
「え…?」
「キラとも、ケーンとも、タップやライトとも、アークエンジェルや
ネェル・アーガマのみんなとも! そんなの嫌だろ!?」

『おはなし…できない…それ、いやだ!』
「怖いなら、それでもいい! 俺が一緒にいる!! 大丈夫だ!!」

 シザースモンキーが振り下ろす蟹鋏を、雷光ブレードで受け止める。

「これ…あの時の!」

 激しいスパークの後、反発力が働いてシザースモンキーを怯ませる。

『ヨミジが…一緒! だから、こわくない!』

 今までになく、詠次とレイヴの意志がひとつにリンクしている。
レイヴの未知なる力に振り回される事もあった。
未だレイヴの全貌は分からない。しかし、今の2人を結びつけているのは
「この戦場を生き延びる事」。

「戦場を怖がってるレイヴを無理矢理に連れ出すのが正しい事とは言えないかも
知れない…だけど!」

 アナザー・センチュリーにおける、レイヴの初出撃。
謎の強敵、シザースモンキーに挑む。

「何もしないまま死ぬ事も、正しい事とは思えない! 行くぞ、レイヴ!
俺たちは生き延びるんだ!」
『うん!!』

 白ウサギ、熱砂の砂塵の戦い。

レイヴは飛びかかりシザースモンキーに斬り掛かる。

シザースモンキーはハサミを背中に載せ換え、ビームを発射する。

「くっ!」

レイヴはビームを避けつつ懐に潜り込もうとする。
だが、懐に潜り込もうとすればシザースモンキーのハサミが腕へと移動し、雷光ブレード
とかち合う。

『くぬぬぬぬぬ…!』

レイヴの力はゲルググを吹っ飛ばす力はあるものの、シザースモンキーはそもそもレイヴより少し大きい。
オマケに腕の太さが倍ほど違うため明らかにパワー負けをしている。

「レイヴ!競う必要は無い!持ち味を活かしてくれ!」
『持ち味…そうか!』

レイヴは鍔迫り合いを解除するため後ろにとびあがる。
レイヴの脚力。それは地上において大いに発揮される。例え地面が砂場であろうとも、レイヴは地面をうさぎのように飛び跳ねる。

『とりゃあぁぁぁぁ!!!』

間合いを取り、再度攻撃を仕掛けようとする。
シザースモンキーはハサミを背中に移動させ近づかせまいとビームを発射する。

『わわわ!』
「あいつ…離れればビーム、近づけばハサミでの攻撃…何か…弱点は…」

詠次が、これまでのシザースモンキーの行動を考える。

「…やつは、遠くにいる敵には背中のハサミからビームを打ってくる。そして近づいたやつにはハサミを腕に移動させて直接攻撃をしてくる…」
「妙だな…なぜ態々腕に移動させたハサミを背中に戻す…?」
「…はっ!分かったぞ!」
『どうしたのヨミジ?』
「やつのビームは恐らく背中からしか撃てない!そして近づかれたら体の構造の関係上ビームを撃つのには体勢を変えないと行けないから若干のロスが起こる。だからハサミを移動させて遠近の対応をしていたんだ!」
「レイヴ!もっと速く動けるか!?」
『やってみる!』
『アクセス!ハリーアップモード!』

レイヴがそう叫ぶとレイヴの装甲がどんどん収納されていく。フレームが見える程にまで削ぎ落としたその体。それはまるでアスリートのような体をしていた。

『いくよ!舌噛まないでねヨミジ!』
「え?っおおおお!?」
『カウントダウン開始!』

レイヴが動き出すと間違いなくその速さはアップしていた。
その速さにシザースモンキーは対応できなくなっていた。

『うおおお!ダブル雷光ブレード!いっせん!』

そのすばやさを生かした、二刀流による一閃が決まる。

「ゲリラ兵の少女」

『………!!』

 ダブル雷光ブレードによって、胸部装甲を十字に斬りつけられたシザースモンキーが
二歩、三歩と後退り、空間転移で逃げ去った。

「はぁ…はぁ…ど、どうにかなった……」
「おお! やるじゃねえか、詠次!」

「ガンダムにD兵器のみならず、あのような兵器まで有していたとは…!」
「これは本陣のバルトフェルド隊長に報告すべきか…!」

 シザースモンキーを追い返したレイヴの存在に、ザフトやギガノス兵達も騒然となる。
そして…

「うおっ!?」

 突如、バクゥの足元が爆発を起こす。砂漠に仕込まれていた地雷によるものだ。

「喰らえ!!」

 砂漠を走るジープの助手席から、ロケットランチャーを撃ち込む金髪の少女。
バクゥの脚部に着弾した。

「うわあっ!?」
「チッ、またあのゲリラの連中か!」

 幾度となくアフリカに展開するザフトと敵対するゲリラ兵たちが現れ、
バクゥ部隊に攻撃を仕掛ける。

「ひええ、生身でMSとやり合うたぁ、随分気合の入った連中がいるもんだな」

『団体御一行様をおもてなしするつもりが、随分と旗色が悪いようだな』
「バルトフェルド隊長、申し訳ありません…」

『構わんさ。おかげで連中の手の内はある程度把握できた。
部隊を引き上げさせたまえ』
「はっ! 総員! バルトフェルド隊長から撤退命令が出た! 退け!」

 バクゥ部隊が撤退すると、空のギガノス部隊もそれに続いていく。
苦戦を強いられた砂漠の戦いは、一応の終結を迎えた。

「ふいい、なかなかハードだったぜ」
「だが、あいつらは先遣部隊に過ぎない。本体はこんなもんじゃないかも知れないぞ」
「脅かさないで下さいよ、大尉」

「ガンダム…」

 ゲリラ部隊の少女…カガリが、ストライクの事を苦々しい表情で見上げている。

「あの子…確か、何処かで…」

 キラはコクピット席のモニターから少女の姿を見つめる。


『お父様の裏切り者ォォォォォッ!!』


 鮮烈にフラッシュバックする記憶。キラがストライクガンダムに乗り込む事に
なってしまった、運命の日。

「そうだ、間違いない。あの子はヘリオポリスで会った子だ。
それが、何でこんな所でゲリラなんか…!?」

「艦長、ゲリラ部隊がコンタクトを求めています」
「ふう、考える事が山積みね。許可します。警戒は怠らないように」