スーパーロボット大戦relayb -THOUSAND WORDS- 第4部

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1人目

「プロローグ」

 プロジェクト・リレイブ、宇宙へ。

 暴走するマジンカイザーを食い止めた真ゲッターロボであったが、
操縦者の命を省みない圧倒的な超パワーを秘めた2機は
止む無く封印せざるを得なかった。

 破嵐万丈は鉄華団やエルシャンク隊をプロジェクト・リレイブにスカウトし、
戦力の増強を図る。移動要塞ブルーサンダーは拠点を宇宙へと移し、
プロジェクト・リレイブの同志たちを集め、
ブリタニアからの地上奪還、宇宙勢力への牽制に備えた。

 一方、アナザー・センチュリーにてアークエンジェル、ネェル・アーガマ隊と
行動を共にするレイブと比良坂詠次は
ザフトとギガノスが待ち受けるアフリカ大陸へと進出する。
ストライクガンダムとドラグナー隊が奮戦する中、
レイブの動向を監視する「観測者」から差し向けられた刺客、
機動兵器「シザースモンキー」が襲来する。
戦う事に恐怖し、出撃を拒むレイブを詠次が叱咤した事で
ついにアナザー・センチュリーの戦場に白兎が躍り出る。

 新たな力に目覚めたレイブはシザースモンキーを退ける。
さらにゲリラ部隊の少女、カガリの乱入によってザフト・ギガノス同盟軍を
追い払う事に成功したキラ・ヤマトやケーン・ワカバ達。
だがこれは、「砂漠の虎」アンドリュー・バルトフェルドや
「ギガノスの蒼き鷹」マイヨ・プラートらとの前哨戦に過ぎない。

 宇宙に拠点を移し、戦力を一極集中させた事で機体のメンテナンス不足を克服し、
かつての力を取り戻したプロジェクト・リレイブのスーパーロボット達であったが、
ベガ星連合軍の巧妙な罠によって剣鉄也のグレートマジンガーが
機体ごと奪取されてしまうと言うアクシデントが発生してしまう。
さらに、水面下で着々と進められる「ベガテッカマン計画」。

 グレートマジンガーを奪還するため、ベガ星連合軍の野望を食い止めるため、
プロジェクト・リレイブはベガ星連合軍の前線基地「スカルムーン基地」が佇む
月面へと向かった。

 かつて、知られざる戦い…広大なる宇宙のほんの小さな片隅で繰り広げられた
「ポケットの中の戦争」が繰り広げられた「リボー・コロニー」に集う若者たち。
デトネイター・オーガンと何らかの繋がりを持つ青年「真道トモル」とは。
そして、観測者達の背後に蠢く集団「サウザンド・ワーズ」とは。

 物語は、さらなる深淵へと突き進む。

2人目

「新たな味方、ゲッターQ」
——数日前、早乙女研究所

「ORSのゲッター線収集装置が上手く機能してくれたようね」

スペースナイツはラダム戦役時にもゲッターロボやホワイトベースによる支援を受けてラダム獣と戦闘を繰り広げていた。 その縁から、フリーマンの計らいでORSを利用してゲッター線を収集するブロックが点在している。
収集ブロックにより早乙女研究所へと降り注ぐよう調整されていたゲッター線がドラゴンと共鳴しオーバーロードを起こし、更には地下の真ゲッターをも目覚めさせる結果となった。

「ミユキさん、大丈夫かな……」

研究所のベッドに寝かされたまま眠っているミユキとミチル。

「真ゲッターと言ったか……あのマシンの巻き起こしたゲッター線の嵐で研究所にいた恐竜素体テッカマンたちは1人残らず消滅した。 だが彼女の生命に別状はない。 帝王ゴールの血の為せる業か……」
「親子や姉妹で争うだなんて……」
「名前のこともあるが、彼女を他人とは思えないな……」
「彼女、これからどうするのかしら……」
「恐竜帝国のゴーラ王女も早乙女ミユキも、どちらも彼女にとっての大切な思い出の筈だ。 すぐに結論を出す必要は無いだろう」

Dボゥイもミユキもかつてテッカマンとなった兄や弟と戦うことになった経験があり、早乙女ミユキの姿が自分たちに重なって見える。

「私たちも一歩間違えたらお父さんとも戦っていたのかな……」
「……」

Dボゥイは答えを持たない。

「……っ」

その時、ミユキが目を覚ました。

「ミユキさん!」

「ミユキちゃん……アキさん……」

「無理しない方がいいわ、あなたは物凄い量のゲッター線を浴びたの」

「恐竜テッカマンさえも消し飛ばす程のゲッター線だ。 助かったのはあんたの身体に並ではないゲッター線耐性があったからだ」

「私が帝王ゴールの娘だから……」

「そう、お父さんのおかげ」

「そうね。 お父様のおかげで早乙女のお父様にも出会えた……」

その時、早乙女博士が駆け込んでくる。 ミユキが目を覚ましたことを知り飛んできたのだ。

「ミユキ!」

「お父様!」

「良かった……無事でいてくれて本当に良かった!」

抱き合い、再会を喜ぶ2人。

「お父様……お父様!! ですが、私にお父様に抱きしめてもらう資格なんて……私のせいでミチルさんが……」

3人目

ミユキは早乙女を引き剥がし、涙を流す。

「なぁに、心配は要らん。 いまは眠っとるだけだ。 じき目を覚ますだろう」

そんなミユキを優しく撫でてやる早乙女。

そんな様子を相羽兄妹とアキは微笑ましく、またどこか羨ましげに見守っていた。

と、もう一つのベッドから衣擦れの音が聞こえた。

「ミチル!」
「ミチルさん!」

「うっ……」

短く、呻くような声と共に身体を起こそうとするミチル。

「まだ横になっていなさい」

そう言って早乙女は起きあがろうとするミチルをベッドに軽く押し返す。

「はい、お父様……ミユキお姉様も、無事でよかった」

「ミチルさん……」

「そうだわ! ゲッターロボは! ゲッターチームのみなさんは!?」

——一方、ゲッターチームは真ゲッターの封印に取り掛かっていた。

「博士!」

ノックもなく飛び込んできた研究員のただならぬ様子を見て慌てて飛び出してゆく早乙女。

「何事だ!」

「凍結作業中の真ゲッターロボを中心にゲッター線の濃度が再び上昇しています!」

——

研究所の司令室でそんなやりとりが行われる中、ミユキはミチルに声をかける。

「ミチルさん、ゲッターQはあなたに使って欲しいの」

「お姉様……ミユキお姉様はこれからどうするの? また一緒に暮らせるのよね?」

「…………。 私は、恐竜帝国に戻ろうと思っています」

「そんな!」

「人類とハチュウ人類が私たちのように分かり合えるよう、私は恐竜帝国を変えてゆこうと思うの」


——現在、移動要塞ブルーサンダー

ミチルのゲッターQを加えた新生ゲッターチームはネオゲッターチームと共に宇宙での飛行訓練を行なっていた。

「ミチルさん、ゲッターQには慣れたかい?」

「ええ、これでもネオゲッターチームの教官ですからね。 ゲッター炉も組み込んでゲッタービームも撃てるようになったし、今までよりもお役に立てると思うわ」

「そいつは頼もしい限りだ」

「ミチルさん、結構な鬼教官だったからなぁ……なぁ、號」

「言えてら」

「お、ネオゲッターチームはミチルさんの訓練に文句があるみたいだな」

「それじゃ、次からはハヤトくんに訓練して貰おうかしら」

「げぇっ!! 早乙女教官殿、これからも自分達は早乙女教官殿に着いていくであります!! な、翔、凱!」

「號……」

翔と凱は頭を抱えた。

4人目

「獣戦機隊、そしてアーガマ隊」

 真ゲッターが起動する前、ネオゲッターチームが行動を共にしていたアーガマ隊。
ティターンズが各研究施設の制圧に乗り出したと同時に、
彼らもまた、宇宙へと上がっていた。

「へっ、地球にもまだまだ、骨のある奴が残ってたみてえだな」

 移動要塞ブルーサンダーに集まった有志たちを見回す藤原忍。
ジャブローでアーガマ隊に合流する事になった獣戦機隊の姿も、そこにあった。
連邦軍の特殊部隊として結成された彼らであったが、
上官であるロス・イゴール長官によってプロジェクト・リレイブへの参画を命じられた。

「イゴール長官も考えたな。俺たちを正規の軍属から除外する事で、
ティターンズに取り込まれる事を回避させたんだ」

 理性を野性で凌駕する強靭な精神力を持つ面々で構成された獣戦機隊の面々は
世界の接続による記憶の改変をも跳ね除ける事が出来たのだ。

「要するに、俺たちは好き勝手に暴れろ、って事だろ? 望む所だぜ」
「相変わらず単細胞だね、忍は。今や世界中があたしらの敵みたいなもんなんだよ?」
「上等じゃねえか。相手が誰だろうが関係ねえ。俺の野性で燃やし尽くしてやるまでよ」

「言っても無駄だよ、沙羅。忍はそう言う奴だからさ。良くも悪くもブレないんだ」
「猪突猛進、まさに獣そのものと言った所だな」

「何だと、亮! 喧嘩売ってんのか!?」
「そう言う所が獣だと言ってるんだ」
「てめえ!」

「やめんか、貴様ら! 元気が有り余ってるようなら、訓練にでも出るのだな!」

 いざこざを起こす忍と亮に、ブライト・ノアの叱責が飛ぶ。

「うへっ、イゴール長官から逃れられたと思ったら、今度はブライト艦長か。
怖い上司には困らないねぇ、俺たち」

「まったく…」
「問題児を受け持つのには事欠かないようだな、ブライト」
「茶化すな!」
「元・問題児も言うようになったじゃないの」

 獣戦機隊に、かつてのホワイトベース時代を思い起こすアムロとカイ。

「士気が下がっていないのは結構だが、これからの戦いは今まで以上に
厳しいものになるぞ」

 クワトロ・バジーナの懸念。それは…

「ハマーン・カーン、ですか」
「そうだ、カミーユ。ハマーン率いるネオ・ジオンも、この混沌とした状況を
黙って見過ごす事はしないだろう。寧ろ利用しようと考えるはずだ」

5人目

「強襲!! スカルムーン基地」

 ベガ星連合軍に奪われたグレートマジンガーを取り戻すため、
グレンダイザー、ダブルスペイザー、テッカマンブレードは一路、
月面に建造されたスカルムーン基地への強襲をかける作戦に出た。

「俺たちも手を貸すぜ。ここでダラダラしてっと、
まぁたブライト艦長にどやされちまうからな。
それなら、ベガ星連合軍の野郎どもをぶっ飛ばしに行ってた方がまだマシだ」
「ダンクーガの火力なら、円盤獣にもそうそう遅れは取らないよ」

さらに、獣戦機隊の超獣機神ダンクーガが参戦。

「旗艦も必要だろ? エルシャンク隊も協力するさ。なぁ、ロミナ姫」
と、ジョウ・マヤ。

「はい。わたくし達も、皆様のお役に立てるのなら」

だが、その申し出に、大介が異を唱えた。

「それはありがたいが…良いのか? 異星軍の戦いに巻き込まれる事になるぞ」

「構わねえさ。俺たちは、もうお前らの仲間みてえなもんだ。
それによ、俺にとっても地球は故郷なんだ。
ベガ星連合軍やザ・ブームの連中みたいな奴らに好き勝手させるわけにはいかねえよ」

「そうか……その言葉を聞かせてもらえたなら、もはや何も言うまい。
ありがとう。では、よろしく頼む!」

こうして、新たに加わったメンバーと共に、グレートマジンガー奪還の為の作戦が
始まった……。

スカルムーン基地強襲作戦のメンバーを乗せたエルシャンクは、
移動要塞ブルーサンダーから発進する。

「まずは、敵の戦力を確認しないといけませんね……」

 ロミナの言葉に、ジョウが答えた。

「そうだな。敵の規模にもよるが、正面からの突破は難しいかもしれない。
陽動を仕掛けて、その隙に一気に突っ込むしかないだろう」

「それなら、あたしたちの出番ね」
「俺の爆竜やレニーの鳳雷鷹なら、スーパーロボットよりも小型で小回りが利く。
だろ、兄貴?」

「そう言うこった。俺たちにはうってつけの役割だぜ」

「はい。では皆さん、お願いします!」

 ロミナの声を合図に、三機のメカがそれぞれの行動を開始した。

「行くぜ!」

「敵襲! 戦艦1! 人型3!」
「地球人の一味か? あれしきの戦力で
我がベガ星連合軍に戦いを挑もうとは片腹痛い。返り討ちにしてやれ!」

 月を舞台に、ベガ星連合軍とエルシャンク隊の戦いが始まった。
 

6人目

「Burning Love Survivor」

「レニー! マイク! 俺に続け!!」

 先行するジョウが吠える。

「あいよっ!」
「了解!」

 ジョウに続き、マイクとレニーが続く。
マイクの爆竜がショルダーキャノンを放ち、敵部隊の注意を引く。
そこに飛行能力を持つレニーの鳳雷鷹が肉薄した。

「ええええいッ!!」

 レニーは鳳雷鷹の武装である双刃の長剣二刀流を組み合わせた「十字剣」を振るう。

「こっちからも行くぜ! レニー! 畳み掛けろッ!!」

 さらにジョウの黒獅子もビームカタナを抜き放ち、鳳雷鷹と共に敵機を切り刻む。
円盤獣と比較し小柄な3機ではあったが、機動力とチームプレイによって、
次々と敵を葬っていく。

「ジョウ達が陽動をかけてくれている間に、わたくし達も……!」

 一方、エルシャンク隊は基地の外周部から侵入を試みる。
だが、その動きに気付いた敵部隊が、迎撃態勢を取った。
その数は30体を超える。

「ああっ……!」
「姫様!」

「次は俺たちの出番だ。沙羅! 亮! 雅人! 
行くぜええええええええッ!!」

 エルシャンクからダンクーガが出撃する。

「来やがれ、侵略者ども! 片っ端から撃ち落としてやるぜ!!」

 勇躍して突撃していくダンクーガ。背部ブースターから展開する巨大な砲門。

「断空砲! 発射ああああああッ!!」

 強力なエネルギー波がエルシャンクに迫る円盤獣たちを一直線に飲み込み、
爆発四散させた。

「へへっ、どうだいダンクーガの威力は!」

 残る円盤獣たちがダンクーガに殺到してくる。

「まだまだお客さんのお出ましだよ!」
「亮! 鉄拳をぶちかましてやれ!!」
「応、任せろ!」

 忍の声に応え、腰を深く落とすダンクーガ。

「一意専心……」

精神統一し、集中力を高める。

「見切ったッ! そこだあああああああッ!!」

 そして、全身の力を解き放つように鉄拳で円盤獣の装甲を砕き、
左肘打ちで頭部を粉砕、とどめに回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばし
群がる円盤獣たちにその機体をぶつける。
その野生溢れる圧倒的な破壊力は、残りの円盤獣たちをまとめて粉砕した。

「よし、僕たちも行くぞ甲児くん!」
「任せときな、大介さん!」

 ダンクーガの勢いに続けとばかりに、
グレンダイザー、そして新兵器ダブルスペイザーが出撃した。

7人目

『交錯』

——アナザーセンチュリー・月軌道上
「あの人たちが消えた方向、何かを感じる……」

ストークと接触した直後、DXのコックピットでティファが何かを察知する。

「奴らか!?」

「わからない……でも、あの人たちの憎しみ以外に別の強い力も感じる」

「まさかティファみたいなニュータイプが他にもいるってことか?」

ティファがこくりと頷く。

「なぁ、もしかしてティファが一緒に来たのって、俺1人で行ったら良くないことが起こるとか……?」

ティファは軽く首を横に振り、こう返す。

「……会えなくなる気がして」

「だからって、ティファまで一緒に死んじまったら!」

「大丈夫。 そうじゃないの」

そう言ってティファは自分の手をレバーを握るガロードの手にそっと重ねる。

「でも、離れ離れになるのは嫌だったから」

「ティファ……」

2人の心を温かいものが包む。 だが、その空気を飲み込むようにあの“黒い球体”が姿を顕す。

「ガロード!」

「あぁ、あれがそうなんだな! あの中に奴らがいるのか……」

「ええ、たくさんの強い力を感じる……」

「本当にいいのか? ティファ、戻るなら今の内だぜ?」

「平気。 ガロードが一緒だから」

「よっしゃ、わかった! ティファは必ず俺が守る!」

ガロードはそう言ってDXを球体に向け発進、突入していく。

——同じ頃・フリーデンⅡ

「ティファ?」

「カリス、何か感じたのか?」

ウィッツが尋ねる。

「ティファを感じられなくなったんだな?」

ジャミルも同じようにティファを感じなくなったのか、カリスに尋ねた。

「ええ、そしてその少し前にとても強いニュータイプの存在を感じました」

「まさか、フロスト兄弟の新戦力ってことはないよねぇ」

ロアビィがうんざりした顔をした。

「詳しくは分かりませんが、複数の強い力……フロスト兄弟の発する殺意や憎悪のようなものだけではなく、たくさんのニュータイプの力を」


「ティファを感じなくなったって……」
「まさか、ガロードの奴がティファと一緒にそいつらにやられたってんじゃないだろうな」

ウィッツとロアビィが口々に不吉なことを言う。

「ちょっとやめてよ縁起でもない!」

それを聞いたトニヤが咎める。

8人目

「そういう危機を感じたような感覚は感じ取れませんでしたが」

「DXの信号はどうなっている」

「それが、カリスが反応した辺りでロストしました……」

「シンゴ、最後にDXの反応があったポイントまで艦を前進させてくれ」

「了解!」

(胸騒ぎがする……これから何が起きようとしているのだ)

——リレイブセンチュリー・アンマン

「これがZⅡ(ゼッツー)か……」
カミーユが新型を見て呟く。

「カミーユのゼータの戦績がいいからな」
アストナージもZⅡを見て答える。

「実際ゼータはいい機体ですよ。 早く戻るといいんですけど」

「タイミングが悪かったな。 アンマンに降りられないからわざわざアポリー中尉がラビアン・ローズまで運んでくれるってなったのに」

「けど、新型が代わりに用意されてるとは思いませんでしたよ。 能力はゼータには及ばないみたいだし、なんだかメタスみたいですけど」

「ゼータを量産したいってんだろ? アナハイムじゃZⅡから更にコストダウンして量産しようって話だ。 ゼータの変形機構は複雑だからな。 実際、ここんとこハッチの調子もあまり良くなかったし、ここらで大規模なオーバーホールが出来るならそれにこしたことはない」

「確かに。 これからはティターンズだけを相手にするわけにもいかないもんな。 ゼータの量産も必要になってくるかもしれない」

「それだけじゃない。 噂じゃコアブロックシステム搭載のスーパーロボット並にハイパワーなマシンも建造中らしい」

「そんなものまで……コアブロックシステムといえば、わざわざアムロ中尉とクリス中尉を地球に降ろしてまで新型のテストってどんな機体なんです?」

「2人はアーガマと違って連邦軍経由でプロジェクト・リレイブから直接の出向だったからな。トリントン基地で開発中の新型ってのはなんでも極秘の試作型らしい。アナハイムが絡んでるとは聞いてるが……クワトロ大尉も新しい百式の受領でグラナダだし、ゼータは無いわアムロ中尉はいないわ、こんな状況で何もなきゃいいが」

「なぁに、そんときゃ俺たちネオゲッターチームがどうにかしてやるさ」

「お前にモビルスーツ戦は務まらんだろう。 囲まれて蜂の巣にされるのだけは御免だぞ」

アーガマには引き続きネオゲッターチームが同行し、更に新たな仲間とここアンマンで合流する予定だ。

9人目

『ガンダム開発計画』

——オーストラリア・トリントン基地

新型とは別の格納庫で受領したアレックスの調整を行なっている2人。

「クリスはどう思う? わざわざ俺たちをここに寄越した意味を」

コックピットでコンソールに繋いだキーボードを叩くクリスに外のアムロが話しかける。

「そうね。 勿論、新型のテストということならアムロに新型を任せたいということもあると思うけど……」

手を止めずクリスが答える。

「やはり、それだけじゃないか」

「模擬戦を口実にこうやってアレックスを受領出来たのも、正直なところ出来すぎな気はするわね」

「プロジェクト・リレイブ……一体、俺たちに何をさせようというんだ」

他所他所しさもなくなりだいぶ打ち解けたのが互いの口調からわかる。

「新型といえば、ユニコーンのことだけれど……」

少しの沈黙のあと、クリスが切り出した。

「ああ、例のマシンか……」

「ええ、ああいうマシンを建造する技術をもしアナハイムが隠し持っているとしたら」

「クリスはどう思う? あのサイコフレームというやつ、作れると思うかい?」

「いいえ、少なくとも知る限り機体のフレームそのものにコンピューター部品を鋳込むような技術は……」

「まさに技術的特異点だな……俺は最初今回の新型ってのがあのマシンということもあるかもしれないと思ったが」

「正直、可能性は高くないと思うわ。 ゼータでさえ私には早すぎる進化だと感じられる」

「ああ、俺もそう思う……。 やはり別の世界や別の時代のマシンということか」

再びの沈黙が続き、カチャカチャという打鍵音が止むと、データを打ち終えたクリスがコンソールに繋いだキーボードを外しながら話を変える。

「一応、アレックスはアムロ用に調整させてもらったわ。 ようやくアムロがこれに乗って戦う日が来るのね」

クリスと入れ替わるようにアムロが座りチェックする。

「以前見たクリスが乗った時のデータと違いがあるな。 チョバムアーマーやシールドも改良されているみたいだし」

「あの時と違ってライフルとバズーカもあるし、今のアムロの戦闘データを反映したから」

「心強いな。 1年戦争の時はそういう細かいことは自分でやらされたし、ガンダムにマグネットコーティングをする時なんかはピリついたものだけど、その点クリスのセッティングは安心出来る」

10人目

「見たか空中合体!! コンビネーション・クロス!」

 アムロ、クリス、カミーユ、クワトロ……アーガマ隊の面々は各地に散り、
さらなる戦力増強を図っていた。
アナザー・センチュリーで戦っていたガンダムDXのパイロット、
ガロード・ランとティファ・アディールの行方を追うフリーデンⅡのクルーたち。

 一方、リレイブ・センチュリー/月面のエルシャンク隊は
ベガ星連合軍との戦いを繰り広げていた。

「あれはグレンダイザー……それに、見慣れぬマシーンだ!」

 ベガ星連合軍の士官が、エルシャンクから出撃した
グレンダイザーとダブルスペイザーを指差す。

「ジェットスクランダーと初めてドッキングした時の事を思い出すぜ。
今度は俺が大介さんの翼になってやる番ってわけか!」
「行くぞ、甲児くん! ぶっつけ本番だが、やれるか!?」
「ぶっつけ本番はいつもの事さ! 奴らに目にもの見せてやろうぜ、大介さん!」

「ようし、スクランブルターン!!」

 グレンダイザーが宇宙空間をぐるりと一回転し、
ダブルスペイザーと並行飛行する。

「おお、何をするつもりか分からんが、奴らを撃ち落とせ!」

 円盤獣の群れがグレンダイザーとダブルスペイザーに迫りくる。

「コンビネーション・クロス!!」

 グレンダイザーの背中にダブルスペイザーがドッキングした。

「合体しただと!?」

 グレンダイザーの機動力と火力を増強する事を目的とした地球製スペイザー。
それこそがダブルスペイザーの開発目的。
地球とフリード星。異なる星と星の絆の結晶だ。

「行くぜ、ベガ星連合軍! ダブルミサイル!」
「ハンドビーム!」

 グレンダイザーとダブルスペイザーの武装が一斉発射される。
宇宙の暗闇を一際明るく輝かせ、円盤獣を次々に撃破していく。

「あの2人、なかなか派手にやってくれるじゃねえか!」
「Dr.ヘルの機械獣軍団と戦い抜いた鉄の城、マジンガーZのパイロットの名は
伊達ではないと言う事か」

「ぬうう…! おのれ、グレンダイザー! ならばこちらもアレを出せ!」

 スカルムーン基地から新たに出撃する影。それは……

「グレートマジンガー!?」

 悪魔の手に落ちた、偉大な勇者。

「ふふふ……驚いているようだな。貴様らのロボットは有効に使わせてもらっているぞ。
俺の名はバレンドス。親衛隊長バレンドスだ」

11人目

——出撃前、エルシャンク格納庫

「甲児くん、デューク・フリード、万が一グレートが敵に利用されるようなことがあれば遠慮なくブチのめしてくれ。 それから、2人に伝えておきたいことがある」

——

「鉄也くん、万が一グレートが敵となった場合はその手でいく」

「腐ってもグレートマジンガーだ。 鉄也さんが乗った時ほどじゃないにしろ厳しい戦いになるに違いない。 鉄也さんもいつでも動けるようにブレーンコンドルで待っていてくれ」

——現在、スカルムーン基地上空

「鉄也さんが言ってた通りになっちまったぜ」

「だが、僕たちには鉄也くんが託してくれた必勝の策がある……」

剣鉄也が2人に託した必勝の策とは何か?

一方その頃、グラナダでは。

——グラナダ基地・格納庫

「大佐が乗るにはこの装備は重すぎると思うけどなぁ」

アルレットがハッチの前で呟く。

「確かに、モビルスーツ相手ならそうかもしれんが」

クワトロも実際にそう感じているようだ。

「でも、これなら異星人の怪ロボットにも引けは取らないと思う」

「すまんな、アルレット」

そう言ってクワトロはフルアーマー百式改の腕を動かしてみる。

「一応、大佐の好きな感じには合わせておきました」

ダントンがその様子を見ながら言う。

「ああ、そのようだな。 ダントンから見てフルアーマーはどうだ?」

「スーパーロボットと肩を並べるなら確かに必要な装備かもしれません。 ただ……」

「ただ?」

「被弾を考えないなら大佐には百式の方が合ってるかと」

「やはりそう思うか?」

「はい」

このやりとりからもシャアとダントンの間の信頼関係が見て取れる。

「あまり考えたくは無いが、地上でサイコガンダムというのを見た。 あれとやり合うならこれくらいは必要なのさ」

「地上でこいつの重さは言うまでもなく致命的ですよ。 だったらスーパーロボットとかに任せて大佐はデルタの弐号機に乗った方が良かったんじゃないですか?」

「だが、こちらの方が1週間早く仕上がると聞いてしまったからな。 間に合う方でやるさ」

「これでデルタも進めるから。 もう3週間あれば大佐に届けられるよ」

「わかった。 引き続き頼む」

そう言ってハッチを閉めると2人はエアロックの向こうへと入って行った。

「クワトロ・バジーナ、フルアーマー百式改。 出るぞ!」

12人目

「裏切りの月荒野」

「くそっ、グレートマジンガーまで持ち出してくるとはよ……!」

 陽動をかけていたジョウ達にも、グレートマジンガーの出現の報が届く。
と、そこへ。

「うわっ!?」

 突如、別方向からジョウ達に攻撃を仕掛けてくる新たな敵襲。

「ふふふ、エルシャンクを追って来てみれば、面白い状況になっているようだ」
「何ッ……!? あいつは!?」

 月の岩山から黒獅子を見下ろす機体、スケルトン。

「てめえ、イルボラか!?」

 元・エルシャンクの戦闘隊長でありながら、ザ・ブーム軍に寝返った男、
イルボラ・サロ。

「あの野郎、何てタイミングで!」
「今はアンタに構ってる場合じゃないのよ!」

「ジョウの取り巻きなぞに興味は無い。ジョウ・マヤ!
今日こそこの手で貴様を討つ!!」

 マイクやレニーの言葉には耳も貸さず、イルボラはジョウに狙いを定める。

「いい加減しつっこいぜ、イルボラ! そんなに俺との決着を着けたいってか!」
「そうだ、貴様さえいなければ……! 貴様の存在が俺の何もかもを狂わせたのだ!」
「好き勝手言いやがって! 逆恨みも大概にしやがれってんだ!」

「問答無用! 行くぞォォォッ!!」

 スケルトンが断崖から飛び降り、薙刀を振りかざして黒獅子を強襲する。

「イルボラァァァァァァァァァァァッ!!」

 互いの刃が交錯する。

「ジョウ達の方で何か起きたみたいだよ!」
「何だと……ぐわっ!?」

 円盤獣を迎撃するダンクーガにも、刺客が現れる。

「隙だらけだな。どうやら、あの頃からまったく成長しておらんようだな、藤原……」
「この声……まさか!?」

 獣戦機隊の元・教官にして、沙羅の恋人でもあった男。
シャピロ・キーツが乗り込む機体、デザイア。

「シャピロ……てめえ、シャピロか!? 
よくも俺たちの前にノコノコ姿を現せたもんだぜ、この裏切り者が!!」

 地球を見限り、より強大な力を求めて異星勢力に与した男、シャピロが
異星技術で造られた専用機を引っさげて、忍達の前に出現したのだ。

「フッ、地球などと言うちっぽけな星にこだわる貴様らには、
この俺の崇高な目的など理解出来るはずもあるまい。貴様もだ、沙羅。
俺と一緒に来れば良かったものを、愚かな女よ」
「愚かなのはアンタの方さ、シャピロ! あたしの前に出てきた事、後悔させてやる!」

13人目

「グレンダイザー対グレートマジンガー」

 奪われたグレートマジンガーを駆り、
ベガ星連合軍親衛隊長・バレンドスが現れた。

「あの野郎、ご丁寧にブレーンコンドルもどきまで拵えやがって」

 忌々しげに吐き捨てる甲児の視線は、
グレートマジンガーの頭部に注がれる。
偉大なる勇者グレートマジンガーは今や悪の手先に堕ち、
敵方の守護神と化しているのだ。

「デュークフリード! 
このグレートマジンガーと1対1の勝負と行こうではないか!」

 バレンドスが高らかに宣言する。

「何だと!?」

 一瞬呆気に取られた後で、甲児は怒りの声を上げた。
バレンドスには何か企みがあるに違いない。だが、相手は待ってくれない。

「どうした? 怖じ気づいているのか?」

 挑発的な言葉を投げかけながら、
バレンドスはデュークに揺さぶりをかけてきた。

「こいつは罠だぜ、大介さん。せめて、ダブルスペイザーと合体したままで……」
「……いや、ここは僕に任せてくれ」
 
 言いかける甲児を制して、大介はグレートマジンガーを見据えた。
その目に迷いはない。確かに罠である可能性は高い。
だが、このままグレートマジンガーを悪魔の好きにさせておくわけにもいかないのだ。
ならばここで、自分が打って出るしかないだろう。
大介の決意を悟ったか、甲児は押し黙った。

「分かったぜ、大介さん。他の雑魚どもは任せときな」
「ありがとう、甲児くん。スペイザー・アウトッ!!」

 グレンダイザーはダブルスペイザーと分離し、
グレートマジンガーが待ち受ける月面に降り立った。
こうして再び相対してみれば、グレートマジンガーの威容は
些かも損なわれてはいない。
寧ろ、より一層凄味を増していると言っていい。

「ふふふ、逃げずによくぞ来た、デュークフリード。褒めてやるぞ」
「バレンドス! グレートマジンガーは返してもらうぞ!」

 叫ぶなり、グレンダイザーは一直線にグレートマジンガーに向かって突進した。

「うおおおおお!」

 グレートマジンガーとグレンダイザー。
偉大なる勇者と宇宙の王者の望まれぬ戦いが始まった。

「ふんッ!!」

 グレートマジンガーとグレンダイザーが真正面から衝突し、がっぷり四つに組み合う。

「くっ……グレートマジンガー……味方であれば頼もしいが、
敵に回ればこれほど厄介なものもないな……!」

14人目

「窮地」

「貴様こそ、噂に違わず大したパワーだ。
しかし俺と力比べとは片腹痛いわ! そらぁああっ!!」

 グレートマジンガーは体勢を変え、グレンダイザーを突き飛ばした。

「ぐぅああッ!」

 よろめきながらも踏み止まり、即座に反撃に転じる。

「ハンドビームッ!」
 
 右手の指先から放たれた光芒がグレートマジンガーを捉えようとするが、

「そんなものが通じるかァ!」

 グレートマジンガーは飛び上がりざま、その巨大な足を振り下ろしてくる。
間一髪でこれを避わすが次の瞬間にはもう別の攻撃が迫っていた。
鋭い回転蹴り―――バックスピンキックだ。

「でぇやああッ!!」

 かろうじて身を捻って直撃は免れたものの、衝撃までは殺せない。
グレンダイザーは大きく吹き飛ばされ、地表を転げ回った。

「うわあっ!!」

 何とか起き上がるものの、ダメージは決して小さくはなかった。
グレートマジンガーは悠然と軸を整え、グレンダイザーの前に立ちはだかる。

「あの野郎、やりやがるぜ。
これじゃあ、鉄也さんから教えてもらった必勝策も使えねえ」

 大介たちの戦いを見守りながら、甲児は独り言ちた。
バレンドスの親衛隊長の肩書きは伊達ではないようだ。

「ぐううううッ!!」

 一方、ダンクーガとシャピロ・キーツの専用機、デザイアの戦いも
激しさを増しつつあった。

「どうした、忍! 一方的にやられてるぞ!」

 敵の集中砲火を浴びてなお怯むことなく、亮が怒鳴りつける。

「うるせえ! 言われなくたって分かってらァ!」

 言い返しつつ、忍は必死になって操縦桿を動かしていた。
だがシャピロの動きには隙がない。獣戦機隊の元・教官たる老練さに加えて、
実戦経験の差が如実に表れているのだ。

「ふん、何が獣を超え、人を超えた神の戦士か。所詮はこの程度よ」

 嘲るように呟き、シャピロは手にしたロングビームキャノンの砲口を、
真正面のダンクーガに向けた。

「ンなろォ、調子に乗りやがって……これ以上好き勝手やらせるか!!」

 ダンクーガも負けじと、4基の獣戦機の武器を合体させたライフル銃
「ダイガン」を構えた。

「照準、行けるよ忍!」
「OKだ、雅人! マキシマムレベルッ! シュートッ!!」

 二つの高エネルギー体が宙で激突する。
凄まじい閃光と爆音が弾け、月荒野が激しく揺れた。

15人目

「その名は黒騎士」

 だが、その反動で機体のバランスが崩れたのは、むしろダンクーガの方だった。
その一瞬の隙を突いて、シャピロは一気に距離を詰めてきた。
狙いは、コックピット。
いかに堅牢な獣戦機と言えど、至近距離からの一撃に耐えられるはずはない。
やられる――! そう思った刹那、

「やらせんッ!!」

 月上空を舞う鋼鉄の戦闘機――ブラックウィングが、シャピロめがけて急降下してきた。

「チィッ!」
 
 咄嵯に身を翻して回避しようとするが、間に合わない。
ブラックウィングはそのまま、シャピロの背後を取った。

「喰らえッ!!」

 翼の下に装備されたミサイルポッドが火を吹き、無数の小型ミサイルが射出される。

「むううッ!」

 爆発。激しい炎と煙に包まれるシャピロ。

「やったあ!」
「いや、まだだ!」

 喜ぶ雅人に、すかさず亮が警告した。

「へ?」
「奴はあれくらいでは死なん! すぐにまた襲ってくるぞ!」

 その言葉通り、白煙の中から飛び出してきたのはデザイアであった。

「ふふふ、やるではないか。今のはなかなかに肝が冷えたぞ。だが……」

 そこへ、すかさずダンクーガの援護が入る。

「心にて、悪しき空間を断つ! 名付けて! 断・空・剣!!」

ダンクーガから射出された抦から刀身が伸び、巨大な光の刃となる。

「何ッ!?」
「でぇえええええええええええええあッ!!!」

 忍がフットペダルを踏み込み、ダンクーガの背部ブースターに点火。
突進と同時に振り下ろされた光刃がデザイアの左肩口を切り裂いた。

「ぬううううっ!!」

 シャピロの顔に初めて苦痛の色が浮かぶ。

「浅いか……!」
「くくく、いいだろう。今日の所はここまでにしておいてやろう」
「待て! 逃げる気か!?」

「今日は挨拶に来ただけだ。貴様らの実力を図るためのな。
だが、覚えておけ。この程度では我らがムゲ・ゾルバドス帝国には
到底太刀打ち出来ないと。
そしてその時が来たならば、我々は容赦なく地球を攻め滅ぼすであろうということを」
「……ッ!」 

 そう言い残し、シャピロのデザイアは撤退していった。

「野郎! 逃がすか!!」
「待て、深追いはするな。奴とはまたいずれ戦う事になる」

「仕方ねえか。何処の誰だか知らねえが、助けられたな。アンタは……」
「黒騎士、と名乗っておこう」

16人目

「飛影見参!」

 一方、イルボラのスケルトンとジョウの黒獅子の戦いも佳境に入っていた。

「どうしたジョウ! 貴様の力はそんなものか!?」
「うるさい! 黙れ!」

 叫びながら、ジョウは全身全霊を込めて操縦桿を押し込んだ。
しかしパイロットとしての技量は、元・エルシャンクの戦闘隊長である
イルボラの方に分があるようだ。

「ふん、やはりその程度か。見下げ果てたぞ、ジョウ・マヤ!」
「なにいッ!?」

「マイク! ジョウを援護するわよ!」
「おうさ!」

 レニーの鳳雷鷹とマイクの爆竜がそれぞれ、スケルトンの両側面から攻撃を加える。

「無駄だ! もはや私を止める事は誰にも出来ん!!」

 しかし、スケルトンはその巨体からは想像もつかないような俊敏な動きで、
二人の攻撃を軽々とかわしていく。

「ふん! これでも喰らえッ!!」

 スケルトンの薙刀の先から放たれたレーザーが二人を直撃した。

「ぐああッ!」
「くうッ!」

「くそおっ! このままじゃまずいぜ…」
「終わりだ! ジョウ!」

 その時、目に止まらぬスピードで駆け抜ける白い影があった。

「むッ!?」

 突然現れたその機影は、黒獅子の前に立ちはだかると、
手にした刀を振りかざす。

「……」

 無言のまま、乱入者は刀を横に一閃させた。

「がああッ!」

 スケルトンを退ける乱入者。その名は…

「――飛影! まったくいい所に現れやがって、この野郎!」

 ジョウ達がピンチに陥ると、何処からともなく現れる謎の忍者ロボット「飛影」。

「おのれ、またしても奴か……!」

 黒獅子の機体が飛影と共鳴している。

「飛影! 合体だ!!」

 四つ足の獣形態に変形した黒獅子の腹部に、脚部が折り畳まれた飛影が収納される。
飛影と合体する事により、黒獅子、鳳雷鷹、爆竜は普段とは比較にならない強化を得る。
その中の1機、黒獅子の強化形態「獣魔」。

 金色の獅子が月荒野を駆ける。
体勢を整えようとするスケルトンを援護するザ・ブーム軍の量産型主力兵器、
シャーマン部隊。
小型だが数に物を言わせる人海戦術を得意とし、壁を成して獣魔の前に立ちはだかった。

「邪魔をするなァ!!」

 怒号とともに、疾走しながらのレーザー砲を連射する。
炎に包まれ、倒れるシャーマン部隊。

「どけえッ!! 雑魚どもォォォォォッ!!」

17人目

「起死回生! グレートの弱点を突け」

 一気に間合いを詰め、跳躍。
頭部の角が展開し、金色のオーラを全身から迸らせて
スケルトンに突撃した。

「ぬおわあああああああああああッ!!」

凄まじい衝撃がスケルトンを襲う。
そのままスケルトンは岩壁に叩きつけられ、沈黙した。

「やったぜ、アニキ!」
「くっ…!! ジョウ……!!」

「勝負あったな、イルボラ!」
「まだだ! この程度で勝ったと思うなよ! この屈辱は必ず晴らす! 覚えておけ!」

そう言い捨てると、イルボラは機体を反転させて上昇していった。

「……ふぅー……助かったぜ、飛影」
『……』

黒獅子と分離した飛影。その機体に人が乗っている様子は無い。
しかし、まるで生きているかのように動く、この不思議な機械人形の正体は一体……。

「それにしても、お前には助けられてばかりだな。礼を言うぜ、飛影」
『……』

飛影は語る事なく、静かにジョウを見つめている。

「相変わらず無口な奴だぜ」

イルボラとの戦いが終わると、飛影はいつものように、いずこへと飛び去っていった。

「ジョウ! 大丈夫だった!?」

ジョウ達の元へ、レニーとマイクが飛んできた。

「ああ、問題ないぜ」
「それより、大介さん達の所へ行こう。きっと苦戦してるはずだ!」

「そうか、敵がグレートマジンガーを持ち出して来たんだもんな。急ごう!」

 ジョウ達は急ぎ、スカルムーン基地周辺でグレートマジンガーと交戦している
グレンダイザーの元へと急行した。

「ぬうう、しぶとい奴め!」
「お前達ベガ星連合軍に、屈してなるものか!!」

 ベガ星連合軍戦闘隊長・バレンドスのグレートマジンガーを相手に奮戦するグレンダイザー。
だが、戦況は芳しくなかった。

(これ以上長引かせては不味い。いちかばちか…鉄也くんから聞かされた
グレートマジンガーの弱点を試すか)
「そろそろトドメと行くか。死ねぇい、グレンダイザー!」

 グレートマジンガーが巨大な両刃剣、マジンガーブレードを振りかざす。

「今だッ!」

 マジンガーブレードの太刀筋を見切り、
グレンダイザーは前方宙返りで攻撃をかわした。

「むッ!?」

 一瞬バランスを崩したグレートマジンガーの隙を突き、
グレンダイザーはその背後に備えた翼
スクランブルダッシュの付け根に攻撃を撃ち込む。

18人目

「勇者はマジンガー」

 グレートマジンガーの弱点。それは、スクランブルダッシュの付け根に
ダメージを受けると機体が緊急停止してしまう事である。

「なっ……何だとォ!?」
「よし、上手くいったぞ!」

 グレンダイザーの攻撃により、グレートマジンガーは完全に動きを封じられた。
この好機にグレンダイザーは攻勢に出る。

「くっ、こ、このままでは……! 仕方がない、機体を放棄して……!!」

 バレンドスは機転を利かし、グレートマジンガーの頭部からコクピット席を射出して
脱出を図った。

「待っていたぜ、この瞬間を!!」

 しかしその瞬間、彼の目の前に突如として一機の戦闘機が現れた。
それはブレーンコンドル。そう、グレートマジンガーの真のパイロット、剣鉄也だ。

「鉄也さん!」
「き、貴様はァ!?」

「よくも俺のグレートを好き勝手に操ってくれたな、このコソドロ野郎!!」

 ブレーンコンドルはそのままバレンドスの脱出ポッドにミサイルを放った。

「う、うわああああああッ!!!」

 爆発炎上するバレンドス。
それを確認した後、ブレーンコンドルは主を待つグレートの元へと飛ぶ。

「済まなかったな、グレート! ファイヤー・オン!!」

 ブレーンコンドルがグレートマジンガーとドッキングし、
ここに偉大なる勇者が完全復活を果たした。

「やったぜ!」
「礼を言うぜ、デュークフリード。グレートを極力傷つけずに戦ってくれて」
「君がグレートの弱点を教えておいてくれたおかげさ。
その思いに報いねばならないと思ってね」

 固い握手を交わすグレートマジンガーとグレンダイザー。

「ぬうう……! バレンドスが倒され、
グレートマジンガーまでも奪われたというのか……!
かくなる上は奴らをここから生かして帰すな!!」

 スカルムーン基地からミニフォー部隊が出撃する。

「このタイミングであの円盤部隊って事は……」
「間違いない。あれにはベガテッカマンが乗り込んでいるに違いないぞ!」

 剣鉄也が術中に嵌ってしまったベガテッカマン部隊による人海作戦。
ミニフォーが撃墜されたと同時に、操縦席のベガ兵がベガテッカマンへと変身し、
奇襲を仕掛けてくると言う二段構えの作戦だ。

「ならば俺の出番だ。行くぞ、ペガス!!」
『ラーサ』

「テック・セッタアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

19人目

「帰還」

 エルシャンクから宇宙の騎士テッカマンブレードが発進した。

「テックランサー!!」

 まずは右腕のテックランサーで敵部隊を一掃する。
だが敵の数も相当な数であり、瞬く間にブレードの周囲には敵兵が集まる。
そして次の瞬間、周囲の敵機が一斉にビームを放ってきた。
しかしそれを見越していたブレードは回避行動を取りつつ、反撃に転じる。

「クラッシュッ! イントルゥゥゥゥゥゥゥゥゥドッ!!」

 敵の攻撃を避けながら高速移動形態に変形しつつ敵を切り裂く。
そのあまりのスピードの前にいかなる攻撃も追いつく事が出来ない。
ブレードは一瞬にして敵部隊の真ん中に飛び込むとサポートメカのペガスと共に敵陣を突破していった。

「キエエエエエエッ!!」

 予想通り、撃墜したミニフォーの中から現れたのはやはりベガテッカマンだった。

「呪われたラダムの技術……それを悪用する者は許さない! 覚悟しろ!!」

 同じく人間サイズ同士であれば対処する事も可能。
まして、数々の死闘を潜り抜けてきたブレードと
一朝一夕にフォーマットされたベガテッカマンではその実力差は歴然だ。

「だが、流石にベガ星連合軍の前線基地。これ以上はこちらが押し切られてしまう」
「グレートマジンガーも取り戻せた。テッカマン! 口惜しいだろうが、ここは一旦退こう!
いずれ奴らと決着を着ける日は巡ってくる!」

 ダンクーガの前に現れたシャピロ・キーツや
ジョウの命を狙うイルボラ・サロの乱入など、様々なアクシデントが起きたこともあり、 
少数精鋭であるエルシャンク隊ではスカルムーン基地の攻略は厳しいと判断したデュークフリード達は、
一旦撤退する事に決めた。

「くそっ……!」

「悔しいなあ。でも仕方ないか……」
「飛影がいれば、もっと楽に突破出来たかもね……」

「イルボラ……あなたは何故……」

 マイクやレニーをよそに、
ロミナ姫は離反したイルボラとの再会を複雑な気持ちで迎えていた。

「ロミナ姫、気持ちは分からんでもないが、奴は是が非でも俺との決着を望んでるらしい。
きっと奴はまた現れる」
「シャピロの野郎もな……次に会った時は絶対にぶっ飛ばしてやるぜ!」

 イルボラとの再戦を予感するジョウ。シャピロへの怒りを胸に秘める忍。
各々の思惑を抱えつつも、一同は移動要塞ブルーサンダーへと帰還した。

20人目

「金色のモビルスーツ」

 エルシャンク隊は月面を発ち、無事に移動要塞ブルーサンダーへと帰還した。
要塞の司令室では、月影司令長官が労いの言葉をかけていた。

「皆よく戦ってくれた。月面での戦いは苦しいものであったろう。
諸君らの働きでベガ星連合軍に大打撃を与える事が出来た。
これでしばらくは奴らも動けまい」

「奴らもしつこく追撃して来やがったが、クワトロ大尉が来てくれたおかげで
助かったぜ」と忍。

 エルシャンクが執拗に追ってくるベガ星連合軍を振り払えたのは
月・グラナダから出撃したクワトロ・バジーナの新型機
フルアーマー百式改の働きによるものだ。

「ド派手な金色の機体だからすぐに分かったよ。
大尉が来てくれなかったら危なかったよね」

 雅人の言う通り、アーガマ隊で地上での行動を共にしていた獣戦機隊の面々には、
それがクワトロの機体である事がすぐに分かった。
敵の注意を引きつけるため、囮となって敵の攻撃を一身に引き受けたのである。
正にエースパイロットならではの働きであった。

「アムロやカミーユは別行動を取っているからな。
私があの場に居合わせたのは幸いだっただろう」

 クワトロはいつものようにクールな表情のままそう言った。

「だが、喜んでばかりもいられないぜ」
「ああ。ベガ星連合軍はナリを潜めるだろうが、ザ・ブームやムゲ野郎とか言う
新しい異星人の軍団が出て来やがったからな」

 グレートマジンガー奪還作戦の折、ジョウや忍たちの前に現れたイルボラ、シャピロ…
ベガ星連合軍とは別の異星人勢力の先遣隊が現れた件だ。
その全貌は未だ不明のままである。
彼らが地球圏へ本格的に攻め込んでくれば厄介な事になるだろう。

「ふむ……せめてアムロ大尉やカミーユくん達が良い報せを持って
帰ってきてくれるといいのだが」

 月影長官がそう呟いた時、通信モニターにアーガマ隊からの連絡が入った。
ブライト艦長の声が聞こえてくる。

『エルシャンク隊の諸君、ご苦労だった。
クワトロ大尉の援護が間に合ってくれたようだな』
「ブライト艦長、そちらの状況は?」
『うむ。カミーユのZガンダムに大幅なオーバーホールを施す事になったため、
Zが戻ってくるまでの間、代わりの新型を手配してくれるとの事だ。
トリントンに降りたアムロとクリスはまだ戻って来れないらしい』

(アムロ……)

21人目

「目覚めよ、勇者ライディーン」

 月面でのスカルムーン基地の戦い。
新たに地球圏に迫り来る異星勢力の影。
一方、プロジェクト・リレイブ無き地上では、新たなる戦いの火蓋が
切られようとしていた。

 「世界の接続」により、地上を統治した神聖ブリタニア帝国。
特殊部隊「ティターンズ」や
武力組織「ギャラルホルン」と言った組織によって支配されていた地球圏は、
「ミケーネ帝国」「恐竜帝国」「百鬼帝国」と言った地上を我が物にしようとする
地底勢力と対立していた。

 地上の支配権を争奪する戦いが激化の一途を辿る中、
地球圏で新たな戦いが始まろうとしていた。
スーパーバイク「スパーカー」に跨る少年、
「ひびき洸」が海にそびえる巨大な神面岩に向かって突き進んで行く。

「フェード……フェード………フェード!!」

 スパーカーの前輪が崖から飛び出すと、
神面岩が縦真っ二つに割れ、中から鋼鉄の巨人がその姿を見せる。

「んんんんんんッ……はああああああッ!!
ライディィィィィィィィン! フェェェェェェェェド! イン!!」

 巨人の額から放たれる光の道筋が洸の身体を包み込み、巨人の中へと吸い込まれていく。
黄金色の巨人の装甲が本来の色彩を取り戻し、閉ざされていた素顔が露わになると巨人の拳が天高く掲げられる。

「ラァァァァァァァァイ! 
ディィィィィィィィィィィィィン!!」

 両の拳は打ち付けたその瞬間、巨人の二つの目が輝きを増し、 周囲の空気を巻き込んで嵐を巻き起こした。

 超古代の栄えたムー帝国の遺産。勇者ライディーンの目覚めである。
神面岩から身を乗り出すライディーンと一体化した洸が見据えるは、
眼前に広がる水平線の彼方からやって来る軍勢。

「来たな……プリンス・シャーキン!」

 妖魔帝国。
1万2000年前に古代ムー帝国を襲った悪魔の軍団である。
長き封印より現代に目覚め、今再び地上を悪魔世紀へと変えるべく進撃を開始したのだ。

「ふはははははッ! ひびき洸! 
今日こそ貴様を倒し、ムートロンを手に入れてくれるぞ!」

 妖魔帝国の前線司令官、プリンス・シャーキンの声が響く。
ライディーンの動力源であるムートロンは、
無限のエネルギーを引き出す超物質だ。

「そうはさせるか!」

 超古代から続く神と悪魔の因縁。

「成程、あれが噂に聞く超古代の巨人兵器……か」

22人目

「神と悪魔」

 (ライディーンが教えてくれた……ブリタニア帝国なんてものは元々この世界には
存在していなかった事を……)

 地球に住む人々の大半は「世界の接続」の影響により
偽りの記憶を埋め込まれ、真実を知る者はごく僅かだった。
地球はブリタニア帝国によって統一され、ティターンズやギャラルホルンと言った
組織をも取り込み、ブリタニアは世界を支配する巨大国家へと成長した。

「ライディーンを操縦する彼もまた、真実を識る者のようだな…」

 ライディーンと妖魔帝国の戦いを影から見つめる者。その名は、マクギリス・ファリド。
ギャラルホルン監査局に所属する特務三佐である。
任務により火星に派遣された折に、三日月・オーガスやオルガ・イツカら鉄華団との
邂逅を果たしその存在に注目していた。

 そしてマクギリスが地球を離れている間に「世界の接続」が発生し、地球の情勢は
大きく様変わりしてしまった。
彼は独自に地球に起きた異変を調査し、その結果、鉄華団がプロジェクト・リレイブに
身を寄せている事を知った。

「ここか……モンタークの言ってた場所は」

 そこへ、鉄華団の旗艦、イサリビが現れた。

(来てくれたか……鉄華団。それでこそだ)

 マクギリスのもう一つの顔。それは、鉄華団のスポンサーを買って出た
モンターク商会の代表、「仮面の男」モンターク。
鉄華団が腐敗したギャラルホルンの体制を変革し得る存在であると確信し、
その素性を隠して支援を行っていたのだ。

「馬鹿みたいにデカい巨人と化け物……オルガ、どうするの?」
「ライディーンとか言う奴を俺たちの仲間に引き込むのが今回の目的だ。
邪魔する奴はぶっ潰せ」

「君たちは一体……?」
「俺たちは鉄華団。詳しい話は後でする。とりあえず今は味方と思ってくれていい」
「あの白い機体……まるで悪魔のような禍々しい姿だけど……」

 洸は三日月のバルバトスを見ながら呟く。

「どうやら奴らはライディーンの味方のようだな。ひびき洸もろとも始末しろ」

 プリンス・シャーキンの命令を受け、妖魔帝国の兵士たちが一斉に襲い掛かる。

「ボサっとしてんなよ、洸! どの道、妖魔帝国の奴らを叩き出すのには変わりねえ!」
「ミスター!」

 洸が所属するコープランダー隊の戦闘機型支援マシン、
「重戦ブルーガー」のパイロット、神宮寺力の声が響く。

23人目

「砕かれた野望」


——3日前・ドルト6

「そういう訳だから気にしなくていい」

名瀬は、歳星で受け取った積荷をドルト2へと届けることなく地上へ降下した鉄華団を咎めるでもなくこう付け加えた。

「お前らが初仕事を放っぽり出して地球にトンズラこいたおかげで面白いことになったしな」

GNトレーディングからの積荷の情報を万丈とJ9より受け取った名瀬は愉快そうに告げる。

「どういう意味です?」

「説明した通り、お前らが行くはずだったドルト2を持ってるドルトってのは、アフリカンユニオンの公営企業だ。 で、なんとあの積荷はそこの労働組合が武装蜂起する為の武器だったんだそうだ」

「そんな、ありゃ鉱物原料って話じゃ……それになんだって会社勤めの連中が武装蜂起なんて」

「ドルト2というのは主に宇宙出身の労働者達の住むコロニーで、その大部分がスラム化しているのさ」

部屋に突然入ってきた男がオルガの疑問に答える。

「こいつは万丈。 俺のダチだ。 ちなみに、ドルト3は地球出身者向けの居住区で巨大な商業施設まである。 ドルト2の連中がろくに休みも与えられず朝から晩まで働かされ、替えの効く部品の様に使い捨てられ、ドルト3の連中はその上前をはねて生活をする。 要するに住環境から労働環境まで地球出身者との扱いに天地ほどの差があるってわけだ」

「CGSにいた頃の俺らと同じってわけか」

「それに耐えかねた彼らに資源に偽装して武器を流しギャラルホルンに通報、労働者の武装蜂起を理由に介入させ……ドルト2にいる君たち鉄華団諸共に首謀者であるクーデリア嬢を亡き者にしようとしたのさ」

名瀬の言葉を引き継ぎ万丈が衝撃的な一言を付け加えた。

「クーデリアが首謀者!? 一体どういうことですか」

「それは私から説明しよう」

「コイツはアイザック。 J9と言えばお前にもわかるだろ」

「アンタがあのJ9のかみそりアイザック……」

「我々は、そこの万丈君に頼まれて鉄華団やその周辺の情報を探っていたのだが、その過程で1人の人物に注目していたのだ。 それが万丈君が保護を約束したクーデリア嬢のメイドであるフミタン・アドモス氏だ」

「フミタン? アイツが一体なんだってんです」

「スパイだったのさ、今回の一件の真の黒幕のな」

24人目

「Survivor」

 昌弘・アルトランドの救出。
ドルト労働者の武装蜂起。
ゲッターの塔の地球襲来。
様々な要因を伴い、鉄華団の運命は大きく流転していく。
それは神のいたずらか、はたまた…

「ビッグシェルの防壁を閉じるんだ!」

 巨大な貝殻を模した外観のムートロン研究施設・ムトロポリスの警報サイレンが
けたたましく鳴り響く。
緊急時には上部の防護壁を閉じ、ビッグシェルと呼ばれる防御形態となって
外部からの攻撃を防ぐのだ。

「ミカ、昭弘! どうやら相手は人間じゃねえらしい。油断すんなよ!」
「分かった」

 化石獣バストドンが両腕をセラミックソードに変え、バルバトスに向かって来る。

「パワーはあるみたいだけど、機動性ならこっちが上だ」

 力任せにセラミックソードを振り回すバストドンに対し、
バルバトスはその太刀筋を正確に見極め、ひらりひらりと回避していく。

「遅いよ」

 バストドンの頭上まで飛び上がり、空中で一回転した勢いを加えた大型メイスを
渾身の力を込めて脳天に叩きつける。

「頭を潰されれば、もう動けないよね?」

 頭部を陥没させたバストドンであったが、潰された箇所が瞬時に再生を果たす。

「再生……それにしたって早すぎない?」
「化石獣は高い再生能力を持っているんだ。心臓を潰さない限り何度でも復活する!」

「ああ、そう言う事……なら話は簡単だ」

 洸のアドバイスを受け、三日月はバルバトスの背中にマウントされた太刀を抜き放つ。

「はああああっ……!!」

 振り下ろされる斬撃を、バストドンは左腕を犠牲にして受け止める。
切断には至らず、深々と斬り裂かれた腕はすぐに修復を始めた。

「!?」
「その程度じゃ、俺は止められないよ」

 再生が完了するまでの僅かな隙を突いてバルバトスは瞬時に敵の懐に飛び込み、
バストドンの心臓部めがけ真っ直ぐに太刀を突き立てた。

「グギャアアッ!?」

 心臓部に大穴を開けられ、断末魔を上げて崩れ落ちるバストドン。

「なるほど、こう言う風にやるのか」

「流石三日月だな。バケモノを1機片付けやがった。おい、昌弘。
あんまり無理すんな。後方支援だけでいい!」
「ううん、俺も戦う……兄ちゃんの役に立ちたいんだ!」

 昌弘のランドマン・ロディがサブマシンガンで
兄・昭弘のガンダムグシオンリベイクを援護する。

25人目

「出陣! プリンス・シャーキン」

 昭弘は、戦いの中で昌弘の成長ぶりを嬉しく思っていた。

(そうだな。俺達兄弟の力はこんなもんじゃないはずだ)

 昭弘と昌弘は互いに目配せし合い、力強く頷き合う。

「そぉうりゃあ!!」

 一方、空中ではブルーガーが化石獣ドローメの群れと交戦していた。
クラゲのように浮遊しながらマグマ弾を放ってくるドローメだが、
空中戦での機動性能はブルーガーの方が勝っていた。

 背部の推進装置を駆使して縦横無尽に飛び回りながら、
ドローメの攻撃をかわしつつミサイルを叩き込んでいく。
そして、敵機の核となる部分を狙撃する事で撃破していった。

「へっ、どんなもんだい」

「やるな、ミスター! ようし、俺たちも負けていられないぞ、ライディーン!」

 ブルーガーに続けとばかりにライディーンも全身から緑色の輝きを放つ。

「念動光線……ゴォォォォォォォッド! アルファアアアアアアアアアアアアアアッ!!
ラァァァァァァァァァァァイ!!」

 念動波がドローメ達を包み込み、念動力で圧潰させていく。

「すげえ、あのバケモノ達をまとめて一気に……!」
「ぬうううう……おのれ、こうなれば余自らが出る! 大魔竜ガンテを出せい!」

 業を煮やしたプリンス・シャーキンは、戦闘母艦の役割を果たす
巨大妖魔獣・ガンテに乗り込んだ。
人間の手を模した岩塊のような姿で、その五指の先端には怪物の顔が浮かんでいる。

「来たな、シャーキン!」
「遊びは終わりだ、ひびき洸!」

 プリンス・シャーキンが乗る巨獣・ガンテが中指部分の先にある巨大な口から
火炎放射を吐き出し、 ブルーガーとライディーンに
襲い掛かる。

 二人は回避するが、その炎に触れた周囲の地形は一瞬にして溶解した。

「うおっと!」

 間一髪で回避に成功した二人だったが、その威力を見て戦慄する。
直撃すればひとたまりもない。

ライディーンをも上回る巨体、そして破壊力。
今まで戦った化石獣とは比べ物にならない脅威だった。
しかし、ここで引き下がる訳にはいかない。

「野郎!」

 昭弘のグシオンリベイクが地上から大型ライフルを構え、照準を合わせる。
昌弘もサブマシンガンを連射し、弾丸を撃ち込む。
アルトランド兄弟の連携攻撃が、シャーキンのガンテに炸裂した。しかし。

「ふはははは、こそばゆいわ!」

26人目

「闘えドモン! 地球がリングだ」

「くっ、効いてないのか!?」

 二人の銃撃は全く通用せず、逆にガンテからの怪光線を受けて
吹き飛ばされる。

「ぐわあああっ!」
「ふん、無駄よ。貴様らごときの力ではこのガンテを倒す事は出来んのだ」

 余裕綽々といった様子で嘲笑を浮かべるプリンス・シャーキン。

「喰らえい!」

 今度はガンテの口から大型ミサイルが発射される。

「危ない、ミスター! 
ゴォォォォォォッド! ブロォォォォォォォォック!!」

 ブルーガーの前面にライディーンが飛び出して防御壁を展開し、ミサイルを防ぐ。

「くううっ……!!」

 凄まじい衝撃に耐えながらも、何とか耐え切った。

「洸!」

「おい、やべえぜオルガ! あのバケモノ、尋常じゃねえ!」
「こっちからも援護するぞ!」

 鉄華団の旗艦、イサリビが艦の両舷に備え付けられた四門の二連装主砲を
旋回させ、狙いを定めた。二門の砲口が光を放ち、エネルギーが集中する。
しかし有効打には至らず、皮肉にもガンテの注目を集める結果となってしまった。

「ほう、敵の旗艦か。あれを沈めてみせれば我々の勝利は間違いなしであろうな」
「まずい、イサリビが狙われてるぞ!」
「オルガ……!」

 ガンテがイサリビに向かって火炎放射を放とうとする。その時。

「――必殺ッ!!」
「むうっ!?」

「ゴッドスラッシュッ! タイフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!」

 何者かがガンテとイサリビの間に割って入り、高速回転する事によって
巻き起こされた巨大竜巻がガンテの火炎放射を弾き飛ばした。

「何だと!?」

 そのままイサリビの艦橋に着地し、雄々しく腕組みをする機体。

「ガンダム……!?」

 そう、ギアナ高地での厳しい修行と
師である東方不敗マスター・アジアとの激闘を制したキング・オブ・ハート、
ドモン・カッシュの駆るゴッドガンダムである。

「どうやら地球の至る所で戦いが起きているようだな……」

 ギアナ高地を発った後、ドモンは地球の各地を放浪し
ブリタニア帝国の出現を始めとした異変について調査して回っていた。

「おい、アンタ! 味方……って事でいいのか!?」

 イサリビのブリッジからシノが声を掛けるとドモンは振り向き、
力強く首肯すると再び前を向き、拳を構えた。
その姿はまさしく王者の風格を漂わせている。

27人目

「明鏡止水」

「ええい、小賢しい! 増援の化石獣どもを出せ!」

 プリンス・シャーキンの命令を受け、ドモンたちを取り囲むように
十数体もの化石獣が召喚され、取り囲んだ。
だが、ドモンは一切動じず、ただ静かに敵を見据えていた。

「また増えやがったぜ!」

 先ほどまでよりも更に数を増した化石獣に対し、
ユージンは冷や汗を拭う。

「面白い。さあ、かかって来い!」

 イサリビの艦橋から飛び降りるゴッドガンダム。
さながらコーナーポストからリングに躍り出るレスラーのように。
ドモンの言葉に触発されたのか、あるいは単純に邪魔者を排除せんとしてか、
化石獣たちは一斉に襲い掛かった。

 しかし、ドモンは冷静に敵の攻撃を避け、的確にカウンターを叩き込んでいく。
それはまるで流れるような洗練された動きであった。

「ふん、ふん、ふん、ふん! てやああああああッ!!」

 明鏡止水。
ドモンがギアナ高地で会得した精神統一の境地。
あらゆる雑念を捨て去り、目の前の戦いにのみ集中する。
そして、今まさにそれを発揮していた。
一対多の状況にありながらも、ドモンに焦燥の色は見えない。
それどころか、まるで舞っているかの如き流麗な身のこなしで
次々と敵を屠っていく。

「な、何なのだ、この男は!?」

 圧倒的ともいえるドモンの強さを前に、
プリンス・シャーキンは驚愕の声を上げた。
既に化石獣の大半は倒されており、残った者も戦意を喪失しつつある。


「すげえぜ、あの人!」


 鉄華団のメンバーたちも思わず感嘆の声を上げる。
しかし、当の本人はというと、一切気負いのない表情で、
ひたすら淡々と敵の攻撃を捌き続けていた。

やがて、最後の一体となったところでドモンはその手に刀を握る。


「ゴッド! スラァァァッシュッ!!」


 裂帛の気合と共に繰り出された斬撃が、
最後の一人であった化石獣を一閃の下に両断する。
刹那那の後、屍の山が爆散しその場に静寂が訪れた。
ドモンの勝利である。

「おのれ……ならばこのシャーキン自らが相手になろう!」
「またあのデカブツが来やがるぜ!」

 ガンテが再び炎を吹き出して突進してくる。

「貴様が灼熱の炎ならば、俺は爆熱の指ィィィィッ!!」

 怯む事無く、ゴッドガンダムはガンテの攻撃に敢然と立ちはだかった。

28人目

「神なる鳥」

 ゴッドガンダムの背部スタビライザーが展開し、
後光が差しているかのような現象を発生させる。
さらに胸部中央の装甲内部からエネルギーマルチプライヤーが露出した。

「俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶぅ!!」

 ドモンは右腕を大きく広げて天を仰ぎ、高らかに叫んだ。

「ばああああああああああく熱! 
ゴッド! フィンガアアアアアアアアアアアァァーッ!!」

 赤々と燃えたぎる右手を突き出しながら、ゴッドガンダムが飛ぶ。

「真正面から!?」

 ガンテの炎に向かって、そのまま突き進むゴッドガンダム。
あっと言う間に炎の中に飲み込まれ、その姿が見えなくなる。

「ははははははははは! 愚かな奴め……むうう!?」


 勝利を確信し、笑い声を上げようとしたプリンス・シャーキンだったが、
その表情はすぐに凍り付いた。
何故なら、ガンテの炎をもその右手に収束させながら、
ゴッドガンダムが飛び込んできたからである。

「う、うおおおおおおっ!?」

 ガンテの中指部分から伸びた頭部に爆熱ゴッドフィンガーが炸裂。

「はああああああああああああああッ……!!」

 爆熱ゴッドフィンガーの全エネルギーを注ぎ込まれ、
ガンテの内部機構は瞬く間にオーバーヒートを起こした。
中指部分の頭部が弾け飛び、爆発炎上したガンテは
高度を落とし始める。

「あの高さじゃ届かないな……オルガ、イサリビのアンカーを射出してくれ」
「三日月の奴、一体何を……」
「ミカのことだ、何か考えがあるんだろうよ。言う通りにしてやれ」

 オルガは即座に指示を飛ばし、イサリビの艦首からアンカーを発射した。
バルバトスはアンカーを掴み、

「そのまま全速」

と言い残し、アンカーを伝ってガンテへと接近する。
そして、イサリビの加速を加えてカタパルトのような勢いでガンテに接近し、

「捕まえた。はああああっ……!!」

 大型メイスを渾身の力を込めて振り下ろした。
振り下ろされた一撃はガンテの薬指部分の頭部に直撃。
その衝撃でガンテは更に大きくバランスを崩し、地上へ落下していった。

「ぐおおおおおッ……!!」

「ようし、こいつでトドメだ! 
ゴッドバァァァァァァァド! チェェェェェェェェェェェェンジ!!」

 さらにライディーンが鳥型形態「ゴッドバード」に変形。