曼珠沙華
小金井聡は目の前にある掲示板を凝視しながら、この1年間を振り返っていた。
一年の勉強漬けの日々を。
やれることは全てやった。本当に全て。
起きてる時間全てを勉強に費やし、寝る時間は極限まで削った。
これでダメなら俺は。。。
そして合格発表の日、そこには小金井聡の名前があった。
俺は喜びを爆発させ涙が溢れそうになった。
だが…
そこに俺の名前を指さして喜ぶ人物が立っていた。
どうやら同姓同名の小金井聡だったようだ。
俺は頭がポカーンとなりそのまま家に帰ってすぐに布団に入った。
布団に入って10分ほどたったころ。
俺は気がついた。
同姓同名。
2分の1の確率で、俺は受かっている。
このまま、あいつが入学するのは許せない。
正々堂々、聞いてやろうじゃないか!
まぁ、今度の休みにでも。
なかなか眠れなかったので、布団の中で俺は、俺の代わりに受かったヤツについて考えた。
掲示板の前で喜んでいたヤツの姿を思い出す。俺よりも身長が低く、少し長めの髪。
ヤツは後ろを向いていたので、顔はハッキリとは見ていない。
そして、思い出しているうちに一つの疑問が俺の中に浮かんだ。
ずっと「聡」は「サトシ」と読むものと思っていたが、違う読み方の可能性もあると。
読み方を調べてみると、他には「アキラ」というのもあるらしい。
小柄なヤツの姿を思い出す。男だとばかり思っていたが、もしかしたら女……?
「小金井聡さん、二人ともお待ちしておりました」
事務局の奥の隠し部屋に通された俺と、昨日の小柄な人物——アキラ。
デスクに座る男が、二人の試験結果を並べる。
「計算問題が全問正解のサトシ君と、記述・論文が満点のアキラさん。二人は片方だけでは不合格だが、二人合わされば我が大学が求める『完璧な頭脳』になる」
男が差し出した契約書には、衝撃の条件が記されていた。
『授業料を全額免除する代わりに、大学直属の「難問解決チーム」に所属すること』
それは、大学が抱える公に出来ない研究をするという契約だった。