俺のクソ姉

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1人目

俺のクソ姉は意味分かんないとこが気になるらしい。
前は
「ねえ雅。風呂に入るとき服を脱ぐ意味があると思う?風呂に入るのはからだを清潔にすることが目的。だったら服を着たまま入って服も一緒に洗えば一石二鳥じゃん。よし、決めた。今日から服は着たまま風呂だ!」
って言ってきた。
バカクソワロタ 意味がわからない。SNSにも投稿してたし。
厨二病ではないなにかだ。

「おはようー」
「おはよ 今日のご飯は握り飯だ!」
それから数秒後、ほんとにただ握っただけの不格好なおにぎりが出てきた。
味も、そこそこ。
「雅、私考えたの。」
ああ、またか。
「私達の祖先は猿なんでしょ?長い進化を経て今の人間へと進化した。私達のからだには毛がいっぱい生えてる。猿のほうが多いけど。つまり、アダムとイブどちらかはつんつるてん。体が、ハゲ。もうかたっぽは毛が、ぼうぼう。体が、猿。どうよ。私、すごいっしょ」
・・・意味わかんねぇ!
なんだよこいつ馬鹿すぎんだろ。
「もう学校に行く時間だから。馬鹿げたことは後で言え。」
と言いつつ、家を出る。
だが俺が心音にかなわないのは目に見えている。
心音は頭がとても悪い。見たとおりだ。けど運動能力は抜群。
今も、もう俺を追い越して「ボエー」といっている。
ほんと、大丈夫かこいつ

学校から帰ると、心音は歌を歌っていた。
「クソみたいなやつ居たら真顔でぴーすしちまえ!いいやつ居たら精一杯ピースしてやれ!普通のやつには挨拶しろそれが一番だ!」
みたいな。
いや、真顔でぴ~すしたら変でしょ。
「何やってんだよ」
「いやーいい歌でしょ?ところでさあ明日予定ある?」
「いや、学校だけど。」
「明日泥水浴びたいんだよねー。でもさあ高1の女子が泥水入って笑ってたらやばいじゃん?だから落っこちたお前を助けるってことで。よし、きまり!」
・・・ばかー
「俺学校あるから無理。一人で行ってきてくだちゃい心音ちゃま」
わざとからかってやったのに心音の顔はにやけていく。
「ごめんねー雅。明日は休日だからあいてるよ?行かないとだめだよ〰」
「なんのために泥水入るんだよ。マジ、意味わからん。」
「え、そりゃ、あそぶためじゃん。泥水の中入って遊ぶという世界初記録を樹立するためにさ。」
多分、いや絶対、そんな世界記録はありません。

2人目

「それに、泥水に入って楽しく遊ぶだけで世界記録を立てられるって、一石二鳥じゃない?最高だよ!」
「この世界は泥水に入って遊ぶだけで周りから称賛を受けれるほど甘くないんだよ!冷たい目で見られるだけだ!」
「だから、雅が落ちたっていう設定でいくんじゃん」
なんで俺みたいな幼稚園児でもないのが泥水に落っこちる事があるんだよ。
しかもそれを心音が笑いながら助けてたら周りから引かれるだろ!
そんなことも分からないのか?
そう言おうとして口を開くと、そこにもう心音はいなかった。
そっと隣の部屋の扉を開けると、もう寝息を気持ちよさそうに立てている心音の姿があった。
もうコイツに何を言っても無駄だ。 矛盾した屁理屈で論破される。
俺は全てを諦めて、明日おとなしく泥水に飛び込もうと覚悟を決めた。

3人目

   ―次の日                                    「ほら雅、はやくはやくっ!」                                「あ、ちょっ」    ジャボン    バシャッ             え、。        「、、、、、、、お、い!!!なにすんだよこのバカ姉貴!」                        「しーっ!」 そう言って心音は俺の口をふさいだ。   くっそ、いつかぜってー仕返ししてやる。   はあ、まるで少女マンガみたいな光景だな。 といっても、俺はあいつのことなんか好きでもなんでもないけど。                                      今更だが、俺の姉、心音 といっても義姉だが― は、それなりにかわいい。           パッチリした目に、長いまつ毛。 艶のある黒髪。                       よく家に来やがる、幼馴染で心音の親友のなぎさが持ってくる雑誌のモデルになれなくもないだろうな、くらいには可愛らしい顔立ちだ。  まあ、今どきのJKらしくもなくメイクなどには一切興味がないようだが。                                           そんなことを考えていると、                               「うっわぁっ! ちょっと雅、なに落ちてんの!? ほら、おねーちゃんが助けてあげるから!」と、わざとらしい甘ったるい声で叫ぶ心音。                            次の瞬間―                   ジャブン           

4人目

 俺は泥水に浸かった。それはもう無様に。こんなの何時(いつ)以来だろう。
 m9(^Д^)。この顔文字が相応しい、人を小馬鹿にしたような笑いを浮かべるうちの"お義姉様"は大層――それはもう大層――ご満悦の様子だった。ホント、顔だけはいいんだけどな。思っても口には出さない。褒めれば図に乗るタイプの義姉に賛辞など、愚の骨頂である。てか見てないで早く助けろよクソ姉が。なぎさも見物しながら笑ってる。笑い事じゃないんだが。
「はばくはぶけろ(早く助けろ)」
 これ以上は生命に関わる。
「もーしょーがないなぁ」
 なおも甲高い声で話しかける心音。いちいち癇に障る物言いをする女だ。そして俺を引っ張り上げる心音。
「ほれほれ、気分はどうよ?」
「最悪に決まってんだろ」
「そりゃ良かったね」
 傍若無人かつ破天荒。今に始まったことではない。
「マジウケるんですけど。あんたもう中3でしょ?泥水に溺れるとか可愛すぎね?」
「でっしょー? マジでこの子私がいなかったら何もできないんだから」
 好き勝手言いやがって。なぎさもこういうタイプの人間であった。けどこれでミッションコンプリート。これ以上虐げられることはない。ミッションを終えた俺は立ち去ろうとした。
「じゃ、次はバンジージャンプね!」
 喧しい声とともに入ってきたのは、耳を疑う言葉だった。
「はい?」
 イマナントオッシャイマシタ?