緑色のライブ

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1人目

久しぶりに訪れた休日、降り頻る雨の中で私が訪れたのはとあるライブの会場だった。
埋立地の整備された街並みに堂々と佇む無気質な建物。入り口付近は人で溢れかえっている。
「すごい、ここに居る人は全員僕と曲の趣味が同じ人間なんだ!」
踊り出す心に釣られるように、心拍数も急激に上がっていくのがわかった。

2人目

心拍数の上がりすぎた私は、ホール内の医務室へ…

って、こんなことしてられねぇ!スタッフさんを跳ね除け医務室のドアをたやすく蹴破った私は、まずライブの定番、物販会場へと向かった。
今日は超有名ボーカルグループ、"MIDooooRI"のツアー初日だ。ツアー名はズバリ、『緑色のライブ』。長い列に並び、ようやくグッズ売り場が見えてきた。

3人目

しかし、私がグッズ売り場へ辿り着くことはなかった。
私が並んだ長い列の先頭は最後尾の方へ向かっており、気付かぬうちに長蛇の列の無限ループへ巻き込まれていたのだ!この状況はいわば
『MIDooooRIの刃-無限物販列編-』
の様なものであり、取り込まれてしまった以上は脱出方法などない。ライブを見に来たつもりが逆に見せ物にされてしまった状況に、私と一緒に会場入りしたマックスむらいも
「そりゃないっスよ......」
と悔し涙を流しながら呟いた。

4人目

悔しさに天井を仰ぐと、私とマックスむらいは隠しカメラを発見し、全てに気がついた。この列の様子はWOWOWライブで無料生中継されていたのだ。

「俺たちは既に『招待』されていたってワケか… ウロボロスの如く廻るこの環状線、『山手線ゲーム』に!」
マックスむらいが唇を噛み言うと、大阪出身の私は「それって大阪から天王寺辺りまで来てもうたっちゅうことか?」って返したんや。

ポケットに隠していたダッシュキノコを使い命からがら列を脱した私とマックスむらいは急いで会場へと向かう。

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私たちを嘲笑うかの様なトリックでもって強制参加させられた『山手線ゲーム』の真相を突き止めるために。
しかし、会場への道を阻む様に私たちの行先に一人の女が立ち塞がった。彼女の名は「スプリングまお」
魔法石を無課金で貯める事を特技としていた彼女は、我々へ向かってこう叫んだ。
「私はー!あぶらとり紙の末裔でーす!」
しかし、ダッシュキノコを食べ驚異的な速度で走っていた私たちは、彼女の言う事を無視して星になった。
こうして、今もなお私たちは牡羊座座の星々の隣で輝いてるってワケ。物語はこれでおしまい!