自由に二次創作ッ!!

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1000文字以下 30人リレー
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  • 二次創作
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1人目

目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。

2人目

世界は、端が見えない程広く、白く、そして美しかった。

3人目

 ここは何処なのか。自分は何故にここにいるのか。
その答えを知りたいと強く思った。

4人目

だって、そうだろう。
思わず、声に出してしまった。
ここまで感情が昂るのはいつ以来だったか。
激しく揺れ動く心に、情動に身を任せ、果て無き地平に向けて駆け出す。御しきれない感情が噴出していくのがわかる。
自信を遮る障害物は存在しない。この、訳の分からない世界に存在しているのは自分しかいない。しかし、ありとあらゆる地にヒトの手が伸びた現代にこのような『無』は存在しない。
人が作った建物も、元より存在した自然も、いままで生きてきた地球には存在しない。
なんなんだ、ここは。何処だよ、ここは。
やはり何一つ見えない空白に、叫ぶ。強く、願う。
だって、こんな。
分からない、分からない分からない。
今の今まで。それこそ、昨日まで積み上げて来た研鑽が総て無くなってしまう。
今の今まで。ほかの誰よりも、僕は勉強を頑張った。
僕を見ない家族に認められるために。
僕を置いて行った姉を認めさせるために。
頑張った。ただひたすらに。
なのに、なのになのになのに!
誰もいないなら、どうすればいい?
どうしたら、誰が、僕を認めるというんだ。
ひたすらに、走る。けれども、何もない。
いままで頭に詰め込んだ地理の知識は役に立たない。
いままで理解してきた定理も、公式も、数式も、数えるものがないここでは意味がない。
意味がない、意味がない。いままでの努力の意味なんか、もう。
認めたくないから、とにかく走る。
どくん、どくんと早鐘を打つ心臓を無視して走る。
心のどこかで告げられる。
お前の命に価値は無いと。
何も残せず、ここで死ぬのだ、と。
自分の冷静な思考に蓋をして、走る。
走って、走って、走って―――

5人目

 それからどれだけの時間が経ったのか。
前に進んでいるのか、それとも、その場から1ミリも進まないまま
足だけを動かしているのか。

 時を刻み傾く太陽は頭上に無く。
距離を推し測るための標も無く。
相変わらず変わり映えのしない、ひたすらに白く果てしなく広がる世界は
何も答えを提示してはくれない。
徒に体力だけを消耗していく。それだけは分かる。生きてはいる。
ただ死んでいないだけだ。

 ここは牢獄なのか。己の無力さ、無意味さを実感させるためだけに存在する場所なのか。
気が狂う。誰でもいい。何でもいい。
独りじゃないと思わせてくれ。

「頼む……頼むよ…………」

6人目

「……!」
 目に剣呑な光を宿し、再び走り出す。彼は妹の結婚式を終え、人質となった親友を助けるために走り続けていた。しかし、彼は道半ばで心筋梗塞を発症し、この世を去り、転生して姉を見返さんと勉強をするも報われず、我武者羅に走り続けていたところ、突如として前世の記憶を取り戻した男である。
 彼の前世の名はメロス。今世では行く当ても失い走り続ける者である。
「僕は……私は……何のために走り続けるのだろう」

7人目

ふと、湧き出た疑問が口をつく。その答えは既に分かってしまっているというのに。
今更な問いが、音を乗せ静寂に融けてゆく。
意味はない、はずだ。ただ空白が敷き詰められたこの世界で何を成そうが意味がない。
永遠とも感じる時間を只管に駆け巡る道中で何度も何度も出した結論の筈だ。
ならば、なぜなのだろう。
足は止まらない。使える時間を全て勉学に費やした代償に著しく低下した身体能力で進める距離など、自分が一番理解している。それでも、走り続けた。
だったら、どうして。
いくら探しても、人一人見つからないというのに。どれほど求めても、自身を認める者などただの一人もいなかったというのに。
学術にいくら精通したとて、突如として降って湧いた哲学的な問いに答えられる程の経験はまだ積んでいない。
回帰した『メロス』の記憶が、それを補完する。脳に流し込まれた男の軌跡が、答えを導く。
かつての人生で、私は友情を得た。セリヌンティウスに、あの暴君ディオニスにしたってそうだろう。ただ駆けたあの三日間は一人の男に信じる心を与えることができた。
今の人生で、僕は一人だった。視界に入る活字を読み込み、暗記し、理解する。まるで機械のように駆動する思考。ただそれだけの十余年は誰に何を与えることもなかった。

結局、僕は自分しか見ていなかった。

かつてはただのしがない、羊飼いであった私が、自らを信ずる友を持ちうることも。
家族と分かり合い、認め合う関係を手に入れることも。

誰かのために、その生を使うことができたら。そうなったかもしれない。

ならば、なぜ、今僕は、私は、前へ進むのか。

そんなの、最初から決まっていたことで。

「誰か、いないのか」

誰かと、いたい。誰かと、存在していたい。誰かと、話していたい。誰かと、認め合いたい。

ああ、まだ僕に友達はいなかったなあ、と。

今更が過ぎる後悔を、吐き出した。

8人目

 人生とは走る事に似ている。
命が尽きる日と言う名のゴールに向かって走り続ける。
「メロス」と言う前世を思い出した事によってそれをより明確に感じられるようになった。

 途中で走るのを止め、休む時もあるだろう。
進む先を見失い、迷うこともあるだろう。
けれど、命ある限り、道は続いていく。否、或いは命燃え尽きた後でさえも…

 そして、こうも考えられる。
人生とはリレー小説のようでもあると。
誰かの物語に触れ、その続きを紡ぎ、そしてまたその先へと繋がっていく。
昨日、今日、明日と……

「そうだ……まだ、終われない! ここが何処だかも分からないまま……
何も無いなら、誰もいないなら、僕の方から行ってやる!
ここではない、何処かへ――!」

 メロスから、僕へ。僕から、次の誰かへ。このバトンを渡しに行ってやる。
千切れそうなまでに腕を前へと伸ばす。強く、強く。

「ッ……!?」

 かくて願いは聞き届けられた。
何も無い空間から僕の腕を引く誰かの手。

『ならば往くが良い。ここで終わるも、続けるも、全てがお前の自由だ。
だが努々忘れるな。自由とは――』
「声……!? ちょっと待って、誰なんだ、アンタは一体ッ……!?」

 その問いに答えは無く、何も無かった空白の世界に亀裂が走り、
硝子のようにすべてが砕け散る。

「う、うわあああああああッ……!!」

 目も開けていられないような眩い光に飲み込まれ、僕の意識も肉体も
光の中に溶けていく。

「う……」

 指に力を入れる。動く。まだ生きている。上体を起こし、周囲を仰ぎ見る。
そこには……

『出たな――の怪人!!』
『イーッ!!』

 あの果てしなく何も無い白き虚無の世界から一転、
けたたましい喧騒、視界いっぱいに広がる色彩、交錯する人影。
あれだけ渇望していた全てが、そこにあった。

「出れた……あの場所から抜け出せたんだ、僕は……!」
「君! 早く起き上がってここから逃げるんだ! トォォォッ!!」

 感慨に耽っている間も無く、眼前では不気味な怪人と黒一色のタイツ姿の集団を
相手にたったひとりで戦う青年の姿があった。

「え? え?? これって……」

 急転直下。物語は唐突に動き始めた。

9人目

 ドカァァァァァァァン!
 突然、後ろの岩が弾け飛んだ。
「ここは危険だ。早く行け!」
「は、はい!」
 僕は言われるがまま、再び走り始めた。
「さぁ、かかってこい!」
「イーッ!」
 後ろを振り返ることもなく、宛もなく走り続けた。刹那、響く轟音。ロシア人らしい男が持っているタブレットが爆発したのだ。その爆風で飛ばされた赤茶がかった髪の女の子がトラックに撥ねられそうになっていた。
「あぶない!」
「あぶねぇ!」
 ほぼ同時だったと思う。ヒゲを生やした中年男性は道路の真ん中で女の子を抱きかかえてた。無我夢中だったんだと思う。僕は何を思ったのか、トラックに立ち向かっていき、気づけば両手でトラックを止めていた。けれど全身に走る衝撃は計り知れないものだった。止めきった後は、そのまま意識を手放した。

 気づけば病院のベットの上だった。お見舞いの花とメッセージカード
「あ、目覚めましたか?先生、先生!!」

―――
――


「奇跡としか言いようがないですよ。腕が複雑骨折してる以外はなんともないなんて」
「えっと、あの子は……あのオジさんは……?」
「あなたのおかげで軽症ですよ。とても感謝されてました」
「はは……そっか……いてて」
 親にも見放され、一人ぼっちだった僕でも、これで少しは役に立てたのかな? ならよかった……。

10人目

 寝返りどころか、息をするだけで激痛が走る。
目まぐるしく状況が二転三転して、落ち着いて考える間も無かった。


『ここは危険だ。早く行け!』

 
 道に行き倒れていた僕を怪しい集団から助けようとしてくれた
あの人はどうなったんだろう。無事でいてくれればいいが。

 人も、街も、自然も存在する通常空間。ありふれた病院の一室。
だけど、ここは僕が暮らしていた世界なんだろうか。
僕の家族は? 家は? そして僕を連れ出したあの声の主は?
分からない事は山積みだった。

「ご家族の方に連絡を取ります。何かご連絡が出来るものはお持ちですか?」
「え? あの、えと……」

 何も無い。連絡が出来るものは何ひとつ身につけてはいなかった。

「それじゃあ、何か身分を証明するものか何か……」
「学生証が上着の胸ポケットに入ってたはずなので、それを……あたた……」

 そう。ここで僕の名前を語っておこう。僕の名は……

11人目

津島 秀。『秀』と書いて『シュウ』と読む。いかにも速そうな名前だが、僕の短い生涯には速さなどこれっぽっちもなかった。

「なるほど…学生さんだね。ちょっと貸してくれる?」

おそらくこの世界で唯一僕の存在を示してくれているだろう一枚の証。それを見て、白衣を羽織った医師らしき人物は不思議そうな顔をした。
その医師は女性だった。平均的な身長の僕よりも少し高い、すらりとした彼女は一見するとベテランドクターに見えるが、白衣の袖をしわくちゃにまくって頭をポリポリと掻きながら学生証を見る姿は、どこか適当さを感じた。

「うーん…参ったな。本来こんな戦場の真っ只中に学生なんかいるはずないんだけど。どっから来たの?拉致られた感じ?」

気づいたらここにいたなんて言っても信用してくれないだろう。どう言うべきだろうか。

「あー、もしかして別の世界から飛ばされて来たってこと?」
「どうして分かったんですか?」
「なんとなく。」

当てずっぽうで言い当てた彼女に驚いた僕を横に、彼女は言葉を続けた。

「まあこの世界は何でもありだからね。魔法ってわけじゃないけど、フィクションで出てくるような力は大体実在するからね。」
「『力』ですか…それは一体?」

道中で見た怪人も力を持っていたのだろうか。

「まあ『能力』って言ったほうが分かりやすいかな?一人に一つ。誰でも何かしら持ってるよ。かくいう私もその能力でこうして食っていけてるのさ。」

能力とは何だろう。この人が持っているのはどんな力だろう。僕は気が気でなかった。

「その能力、見せてもらう事は可能ですか?」
「良いよ。私についてきな!」

彼女はそういうと、部屋の外へと親指を向けた。

「でも、僕は怪我でそこまで歩けるかどうか…」
「それならとうに治してるよ。ほら、自在に動けるでしょ?」

彼女の言うとおり僕の骨折はいつのまにか治っていた。どういうことだ?
不思議なこの世界と彼女に戸惑いながら、僕は案内に従い足を進めた。

12人目

「ここだよ」
 白衣の女性が連れてきたのは地下室だった。
「能力を見せる前に、手伝ってもらいたいことがあってね」
 魔法の研究。そして、聞けばこの世界には全身黒タイツのような人物もちらほらいる。この場所は、犯罪都市――米花町。
 ここの世界は聞けばサザエさん時空というものに類するのだという。あるいは浦島時空か。時間がほぼ止まっているように遅く過ぎる割に、文明の進化は目まぐるしく、本来の世界だと10年は優にかかるであろう文化がともすれば秒単位で進んでいるのだ。
 そういえば、赤茶がかった髪の女の子の存在が小学1年生というのに、それを感じさせぬ不思議な少女だった。トラックに惹かれる直前、同い年くらいのメガネをかけた少年が「ハイバラ!」と叫んでいたことから考えると、その子はハイバラというらしい。
「そして、このボウヤが、要観察対象の能力を持っている」
「……!」
 その顔には見覚えがあった。名前は【江戸川コナン】というらしい。「ハイバラ」と叫んだ、蝶ネクタイをつけたメガネの少年。能力名は【事件を呼び寄せる程度の能力】。この少年の【固有能力】だというのだった。
「このボウヤには気をつけな。自覚はないみたいだが、ほぼ毎日のように爆発騒ぎが起きてる」
「毎日!?」
「ここの時間の流れはほぼ止まってるようなものだからね。朝昼晩とあるのに日数は驚くほど進まない。治安維持のために営業時間はすべて朝7時から夜11時。夜に出歩こうものなら袋の鼠さね」
「……」
「さらに言えば警察組織も麻痺してる。軽犯罪ですら処理するのに体感3日はかかる」
「えっ……」
 どうなってるんだ、一体。どうやら僕はとんでもないところに来てしまったらしい。
「さて学生くん。ここまで聞いて帰りたくなった気持ちを抑えてよく聞いてほしい。君にやってもらいたいのは――」

13人目

「おのれィ、本郷猛!」
「ショッカー! 何のためにあの少年を狙った!?」

「貴様は知る必要も無い事よ! 『時を駆ける少年』の確保は失敗した!
退け! 退けィ!!」
「イーッ! イーッ!!」

 怪人は戦闘員を従え、撤退していった。

「逃げたか……それにしても、『時を駆ける少年』……一体どう言う意味なんだ」

 世界征服を企む悪の秘密結社ショッカーによって改造人間にされてしまった青年
本郷猛。彼はショッカーに反旗を翻し、
人間の自由と平和のために戦う「仮面ライダー」として敢然と立ち上がった。

「調べてみる必要があるか……」

 前世の記憶を取り戻し、己がかつて『メロス』と言う人間であった事を思い出した
津島秀。ショッカーに襲われ、無我夢中で逃げ出した先は、米花町。
そう、彼は……



――米花町。

「それにしても、災難じゃったのう哀くん。爆発に巻き込まれた上に
トラックに轢かれそうになるとは」
「小五郎のおっちゃんがいなかったらどうなってたか」

 蝶ネクタイに青いブレザー、半ズボンに黒縁メガネの少年……
少年探偵・江戸川コナンと謎の少女・灰原哀が2人の素性を知る協力者、
阿笠博士宅に集まっていた。
奇跡的にも診察の結果、哀自身には怪我ひとつ無く、入院する必要もなく帰されていた。

「毛利さんに助けてもらったのもあるけど……」
「ああ、俺も見た」

 突っ込んでくる大型トラックの前に立ちはだかり、両腕を伸ばし哀を守ろうとした
津島秀の事だ。そこにはコナンも居合わせていた。

「あの人はどうなったのかしら」
「まず無事じゃ済まねえと思うが」

 混乱の中、秀は何処ぞへと搬送されていった。
哀とコナンの身元引け受け人・毛利小五郎の安否が気にかかり、
秀が何処の病院へ運ばれて行ったのかまでは分からなかった。

「灰原と同じ病院に運ばれたわけでもないんだよな?」
「多分……」

 秀の出現、突然の大惨事、そしてコナンの固有能力と世界の仕組みを知る
ミステリアスな女医。謎は深まりつつあった。

「気になるな……」

14人目

「あの怪人達は『引き寄せられた』んですか?」
「そう言うことになるな。」

物語の視点は秀に戻ってくる。彼は彼女から自身の任務を聞いた直後だ。
「江戸川コナンが無意識に引き寄せた事件を解決すること」それが彼に課された役割だった。
「しかし、あの少年が持ってるという力は強すぎませんか?僕は信じられなくて…」
「まあ無理もないな。奴の悪運というべき力は信じられなくて当然だ。旅行へ行けばそこで事件が起きるし、近所だったとしてもまた事件が起きる。酷い時は図書館で事件が起きることもあるんだよ。」
よくそんな事件が連続するような生活を平穏に暮らせるなと秀は思った。
「でもその度に彼が解決してしまうから問題は無かった。ホームズ並みの鮮やかな推理でプラマイゼロにしてくれた。」
小学生ほどの見た目の彼にそんな力があるとはにわかに信じ難いが、そんな強い能力を持っている以上は当然なのかもしれない。
「なるほど…しかし、怪人達はそういう事件とは違った雰囲気ですよね?」
「よく気付いたね。怪人達は前触れもなく突然に現れた。普段なら起きても殺人事件などの犯罪なんだが、今回のような事件は見たことがないよ。」
自分と同じように別世界を移動してきたのだろうか。
「私達の『組織』はわけあってボウヤを能力判定前から監視対象に置いている。今回現れた奴らは職務の邪魔になるんだ。」
「そこでシュウ。君はこの怪人達の来襲の解決を手伝ってほしい。」
「特別な力も無い僕に務まるのですか?」
「君にはその『脚』があるじゃないか。勿論いきなり呼び出されたのだから無理は言わないがね。」
ひょっとしたらこれで自分の進む道が分かるかもしれない。その可能性に賭けた秀は任務を受け入れた。
「分かりました。やりましょう!」
「そうとなれば決まりだ!これから君は私達の仲間だ。私の事は『スピリタス』と呼んでくれ、ギムレット。」
聞きなれない単語だと思った秀を察したらしく、スピリタスは嬉々とした表情で「コードネームだよ」と答えた。
「本来なら無いけど、私が呼ぶには構わないだろう。」
突然だが与えられた自分のコードネーム。彼女達の一員と認めれたと思うと嬉しい。
「あ、そういえば私の能力を見せていなかったね。『技術』というべきかな。」
「『技術』?」
「言うなれば『色々な薬を作れる能力』かな。まあ見てなって。」
瞬間、彼女の右目が輝いた。

15人目

 コードネーム、スピリタス。彼女の右目が照らす先にあるデスク。
その上にある空の小瓶にさらさらと白い粉末が降り積もっていく。

「凄い……あの粉は何ですか?」
「青酸カリ」
「ええっ!?!?」

「あっはっは、冗談さ。そんなに派手に驚いてくれると
からかい甲斐があるねえ。安心しな、あれはただの風邪薬」
「じゃあ、僕の腕を治してくれたのも……」
「ちょっとした応用って奴だね。あの風邪薬みたいに
損傷した患部に治療物質を送り込んで君自身の治癒力を高めたってワケさ」

 さらりととんでもない事を言っている。ちょっと、どころの騒ぎではない。
それが本当であれば医療の域を超えている。
まさに神業であると言えよう。
現に僕の両腕はそのおかげですっかりと治ってしまっているのだから。

「ここか……」

 一方、秀が逃げ出した方角を辿り、スーパーマシン「サイクロン号」に跨がった
本郷猛が向かった先には切り立った崖があり、そこから米花町を一望出来る。

「こんな所にこれほどの規模の街があったか?」

 隣で首を傾げるのは、本郷の唯一無二の戦友、一文字隼人だ。
見知らぬ街。まるで別の世界に迷い込んでしまったかのように錯覚してしまう。

「もしやこれがショッカーの言っていた事なのかも知れん……
時を駆ける少年……確かに彼がショッカーの手に渡れば
とんでもない事になるぞ」
「つまり、俺たちはその少年を追っている内に別の世界のトンネルを潜っちまった、って事か?」

「そう仮定して間違いないだろう。急ぐぞ、一文字。
恐らくショッカーもまだあの少年の事を諦めてはいない筈だ」
「やれやれ、厄介な事になってきたな」

 かくして、本郷と一文字も米花町へと向かった。
そして本郷の予想通り、ショッカーも彼らの動向をマークしていた。

「我々も直ちに向かうぞ。ライダーたちに先を越されるな」
「イーッ!!」

 スピリタスが所属する組織の全容とは?
狙われた秀の運命や如何に?