明日

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1人目

たくさんの荷物と一緒に私が取り残されたみたいだ。三ヶ月経ってそう思った。

私は結婚をしようと思ったことがない。あまり地位というか社会の中の立ち位置に自分の希望を置けない。

未来は、感じ取れる未来、考えられる未来は、これを言ったら馬鹿に思われそうだけど、二、三日とかそれよりもうちょっと先くらいまでしか。
私は未来を考えられない。

2人目

明日は何をしよう。  そんなことを考えようとしてみる。  それは、忘れたい過去があるから。  …存在するのかのすらわからない未来を考えるなんて、と思う。                    だけど、脳内に流れてくるのはあのときの言葉、だけ。                                

3人目

「ごめんね……」
 ――そう言い残す妹の姿だった。その笑顔は儚く、その命の灯火が消えかかっていることを安易に理解させた。
 何もできない私を許してほしい。
 今日は妹の命日だ。墓参りに行こうと思う。カーネーションの花束を、その手に抱いて。

4人目

妹は、その命がいつも私よりずっと燃えているような人間だと、病気とは無縁と思っていた日々をただ共に過ごしていた頃は、そんな風に思っていた。
彼女は次の夏はここに何日間行く、とか三年後には子供を産みたい、写真の賞も絶対取るとかそういった話をよくしていた。
未来と野心の話だ。
私はそれを眩しく、やはり時々は眩しすぎると思いつつも、彼女の計画にたまに乗っかり沖縄やノルウェーに行ったりした。
彼女のような友達はいないけれどやはり最終的には血なのだろうか、何か端っこのようなでも大切なところで、同質だった。

5人目

妹は、私より質が良かったと思う。
未来のことを考えられるのは、才能だと思う。
電話先で、「お亡くなりになりました」という言葉を聞いた時、特に驚きもしなかった。
悲しくなかったというよりか、まだ現状を理解できていなかった。
妹の死を実感したときは、代わりに私が死んで仕舞えばよかった、と思った。
出来の悪い姉と、出来のいい妹。
出来の悪い姉の方が、いらない。
血縁だけれど、私は妹のことが、大好きだった。
同時に尊敬もしていたし、嫉妬もしていた。
大好きな妹だった。