スーパーロボット大戦relayb外伝 scene:3 - SKIPPED PAGES -

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1人目

 R.C(リレイブ・センチュリー)00××年。
人類は地上と宇宙に分かれ、終わりなき争いを繰り広げていた。
スペースコロニーを建造し、宇宙にまでその生活圏を広げた文明の発展は
通称「スーパーロボット」「モビルスーツ」と呼ばれる巨大人型兵器を生み出し、
戦火は激化の一途を辿っていった。

 さらに、地球侵略を企む異星人の襲来、
地上を我が物にしようと企む地下帝国の台頭。
原因不明の異常現象などが同時多発的に勃発。
もはや、人類に逃げ場無し…安息の場所は何処にも無かった。
失われた平和を取り戻すため、立ち上がる鋼鉄の戦士たち。

その戦いの果てにあるものは…?

2人目

——鉄華団がムトロポリスと接触する3日前

——イサリビ・格納庫

「よし、ここらで休憩にするぞ」

オルガが作業班に声を掛ける。

「悪いな、手伝わせちまって」

「何もしないってのも居心地が悪くて。 丁度プチモビも持って来てたし」

カミーユはオルガに答える。

「ねぇ、カミーユは阿頼耶識無しでガンダムに乗ってるんでしょ?」

「そうだけど、それが?」

「すごいなカミーユは。 シミュレーターでも全然当てられなかった」

「模擬戦のこと、まだ気にしてるのか?」

「チョコの人も阿頼耶識は使ってないんだよな……」

「マグギリス・ファリドか……かなり腕の立つパイロットみたいだな」

「ミカ、お嬢さん方のランチも準備出来たようだぜ」

「わかった」

「俺はドルト6の兄貴に挨拶しに行ってくる。 兄貴は構わないと言ってくれたが、それでも仕事を放っぽり出した形になるからな。 詫びの一言も言わないと示しがつかねえ」


そして、ドルト6——名瀬と万丈、アイザックから衝撃的な事実を告げられたオルガは……。

「フミタンの奴、クーデリアやアトラと一緒にドルト3に買い出しに……ミカとビスケットが一緒とはいえ、こいつはマズいことになったな」

「その点は心配ご無用。 万丈くんの仲間と共に私の仲間が彼女を警護している」

と、アイザック。

「だとして、俺が戻ったらドルト2へすぐ向かうってんで積荷は今頃……」

「なぁに、そっちも当然手は打ってある」

それに……と前置きした名瀬は片目を瞑ると

「お前には一働きしてもらわにゃならん」

そうオルガに告げるのだった。


——イサリビ・ブリッジ

「(さて、兄貴の話通りなら……)ドルト2の管制に連絡を取れ」

オルガが号令を発したと同時に突然接近を示すアラートが鳴った。

「なんだ!?」

オルガが身を乗り出す。

「えっと、船です。 近づいてる……」

メリビットがモニターに映像を出すと、そこには船。

『鉄華団だな? ドルト2へようこそ! 歓迎するぜ。 こっちの誘導に従ってくれ』

「俺たちのことを知ってるのか?」

『もちろんだ。 あんた達の到着をずーっと待ってたんだ。 若き英雄達の顔を見せてくれ』

「英雄?」 「なんだそりゃ?」

ユージンやチャドが疑問を口にする中、オルガは「分かった。 誘導を頼む」と短く応えた。

3人目

「希望を運ぶ船」

——ドルト2


「あんたらが鉄華団か。 驚いた、本当に若いんだな」
ドルトの従業員は鉄華団を前に興奮気味だ。

「子供じゃねぇか」
従業員の1人が口にする。

「何だ? ガキだからってナメてんのか?」
それを聞いたユージンが不快感を露わにする。

「いやぁ、誤解しないでくれ。 俺たちは皆あんた達が来るのを楽しみに待ってたんだよ。 でも、エゥーゴまで一緒に来てくれるとは思わなかった」

他人事のように聞いていたカミーユは、興味の矛先が自分に向けられると嫌そうにこう答えた。

「ティターンズとギャラルホルンが手を組んだのだから、エゥーゴと鉄華団が手を組んだって不思議はないでしょう?」

アンマンで合流する仲間というのは何を隠そう鉄華団であった。 アナハイムとテイワズの間で密かに話し合いがもたれ、ウォン・リーの推薦もありカミーユはアーガマを離れ鉄華団と行動を共にすることとなったのだ。

「そりゃそうだ! 俺たちとしちゃ心強いってもんさ。 エゥーゴにはブライト・ノアも参加したって聞くし、しかもそのブライト・ノアが艦長をしているアーガマには新たなニュータイプと新型のガンダムがいるんだろ?」

「えぇ、そうみたいですね……」

苦笑いしながら答えるカミーユ。

「Zガンダムとそのパイロットのカミーユ・ビダンだ。 よーく覚えておくんだな」

ニヤニヤと笑いながらシノがカミーユの名前を出す。

余計な事を……という顔でカミーユはシノを睨む。

「おぉ、あんたがそうだったのか!」

従業員たちはさらに盛り上がっている。 そして……。

「あんたがクーデリア・藍那・バーンスタインさんか?」

従業員の一人がメリビットに問いかける。

「えっ? あぁ、いえ違います私は……」
「クーデリアは用事で別のコロニーに行っている。 ここへは来ない」

慌てるメリビットの言葉を遮ってオルガが告げる。

「なんだ、そうなのか……」と従業員は残念そうだ。

「お嬢さんのことまで知ってんのかよ?」

「そりゃあ知ってるさ。 クーデリアさんといえば火星独立運動の女神なんだろ? 俺達、労働者の希望の星だからな」

「それと、クーデリアさんを守って地球へ旅する若き騎士団」

「キシダン……って何だ?」 「知らねぇ」 「なんか変な雰囲気だね」
ユージンたちは小声で妙な空気への反応を見せる。

4人目

「仮面舞踏会」


--某国

潜伏中のルルーシュは情勢分析を行っていた。


「やはり皇帝の不在は間違いないな。やはりあの時に……
だが、現状は我々黒の騎士団にとって分が悪い…」


ブリタニアが各勢力と締結した軍事同盟、その武断的政治に対する反発の声は存在する。

が同時に、地球が幾多の外勢力に狙われている現状では止む無しとの見方も強まってきている。

一時は黒の騎士団が同盟軍の攻勢に晒されることを危惧し、ゼロとして復帰することも考えたが、
彼らが新ゲッターロボを始めとした戦力と合流したことで持ち直し、組織の瓦解は免れた。


これを好機と見たルルーシュは、大幅な見直しを迫られた『超合集国』構想を練り直していた。


「黒の騎士団へプロジェクト・リレイブを参加…各指揮官や幹部を『評議員』という形で超合集国に参画させる…こんなところだろう。
これだけの戦力があればトウキョウを落として、ナナリーを奪還できる。
だが、それでもあと一押しが必要だ。
厭戦気分をも押しのける更なるブリタニアへ、いや強者たちへの怒りが…」

ルルーシュが見る机の上に置かれた一枚の写真。
写るのは一人の男。
波打つ金髪、赤いノースリーブの服、瞳を覆ったサングラス…
「――ご主人様のお知り合いですか?」
「ファッ??!!!!」


突如、机の前方真下からヌッと現れた緑の髪に驚くルルーシュ。

「肩をお出しになられていて、大胆ですね」

緑髪の女性C.C.……ルルーシュの契約者だった彼女は、
黄昏の間からルルーシュと共に帰還したものの全ての記憶を失っていた。



「隣の部屋にいろと言ったはずだぞ、C.…いや、とにかく…うん?」


C.C.が申し訳なさそうに机に置いた皿の上にカットされた二切れのピザが載っていた。


「ご主人様、昨日から何も食べてらっしゃらなかったようなので…」
「……貰うよ。だから、今日はもう寝るんだ」




C.C.が隣室へ戻るのを確認したルルーシュは


「ジェレミア、予定通り明日、ここを発つ。
機体運搬の手配を…」


自分と同じく黒の騎士団への復帰を保留にさせていたジェレミアとロロへ連絡を済ませたルルーシュは再びあの写真を見つめる。

「もう俺に止まることは許されない。
だから、同道してもらうぞ、クワトロ・バジーナ…いや、シャア・アズナブル」

5人目

一方、クワトロはブルーサンダーを離れアーガマと合流していた。

——アーガマ・ブリッジ

「ほう、カミーユは鉄華団へ……」

「あぁ、そしてこのあと我々も針路をドルトコロニー郡へむけることになる」

「では、アーガマは鉄華団と合流を?」

「いや、モンタークを名乗る男から建造中だったドルト9がティターンズに接収され、そこで新型モビルスーツの開発が進められているとの情報が入った。 我々はそちらに潜入するつもりだ」

「モンターク?」

「通信を送ってきたのはモンタークを名乗る仮面の男だ。 ウォンさんが言うには彼の持つモンターク商会というのはそれなりに歴史のある商会だそうだ。 そして、彼はプロジェクト・リレイブに協力を申し出ている」

「いずれにせよ、私のフルアーマー百式改ぐらいしか動かせる機体が無いのでは、せめてラビアンローズへ向かったヘンケン艦長のラーディッシュが戻るのを待っては?」

「それなのだが、既にカラバからこちらへ合流したモビルスーツ隊を中核として潜入部隊を編成してある。 この情報を得る際にモンタークが出した条件は大尉の地球降下だ」

「私の? 元より私は連邦議会を掌握しティターンズの悪行を告発するつもりだが、それも今の地球圏ではな……もう少し世論の空気というものを味方にしたいものだが」

「確かにな。 ともかく、あとで潜入部隊の隊長であるグレイ大尉とエゥーゴに新たに加わってくれたシグ中尉を紹介する」

「あぁ、了解した(シグ? まさかな……)」

——トリントン基地

「新型ガンダムの開発もあまり順調とは言えないようだな。 いつまで俺たちはここに留まっていればいいんだ……」

「そうね。 ブライト艦長も地上ではカラバがアムロの機体を用意していると言っていたけれど、監視の目もあるし、このまま新型を載せたアルビオンの到着をただ待つしかないのかしら」

「アウドムラは何をしている……(プロジェクト・リレイブ……単なる反体制勢力では無いはずだが、俺たちやスーパーロボットを集めて何をする気なんだ?)」

6人目

——ソロモンベース

「カラバが建造した3機のゼータ3号機の内1機をアムロ君に任せたい。  既に派遣したアムロ君とチームを組む2人は別任務を与えてある。 ドルト9攻略にも一役買ってくれるだろう。 それと、カラバにはハヤト・コバヤシ君の参加を取り付けた。 先に伝えた通り、反抗作戦の開始を待ってトリントン基地へハヤト君を艦長としたアウドムラを向かわせる予定だ」

『そうですか、ハヤトが……しかし、アムロやクリスのカラバ参加を知れば連邦は……』

「黙ってはおるまいな。 だが、それを黙らせるのがプロジェクト・リレイブの役目でもある……それに、アムロ・レイが自らの意志でプロジェクトに参加するという点も重要なのだ」

『アムロ自身、以前ほどの頑なさを感じない。 仲間から良い影響を受けたのでしょう』

「うむ。 それから、報告にあった黒いレイブとは一体……」

『では、偉杉さんもご存じないと?』

「ブライトキャプテン、その機体のことをもう少し詳しく頼む」

そう偉杉が促す。

ピッ

「?」

音と共に映像が途切れ、突然別ウインドウが開いた。

『そちらについてはこちらから説明しよう』

と、偉杉とブライトの通信に割り込む者があった。

『初めましてですね、偉杉氏』

イェロウ・スプリングロード……まるでガンダムやテッカマンの顔の様な意匠を持つ特殊なヘルメットを脱がずに話し始めたのは黒いレイブのパイロット本人である。

——旧サイド5・茨の園

モニターに表示されたモビルスーツのデータを見る男。

「これは!! これこそ千載一遇の僥倖……見えた」

男は胸像に向け吼えた。

「ギレン総帥……このエギーユ・デラーズ、ジオンの大義をもって進むべき道が見えましたぞ! 祖国と我が同胞の名誉の為に……ジークジオン!!」

その傍らに立つ男。

「閣下!」

「貴公らはよくワシについて来てくれた。 そう、我々は3年待ったのだ。 この機を得る為に!!」

「遂に決起の時が……!」

「作戦名は“星の屑”とする!」

「星の屑……作戦!!」

果たして、デラーズ艦隊の星の屑作戦とは何か……?

——アーガマ・ブリッジ

「何!? シグ中尉の機体が出撃しただと?」

突然の通信途絶から数分、クワトロ大尉とグレイ大尉のミーティングをするべく用意をしていた矢先の出来事だった。

7人目

——アーガマ・格納庫

『何やってんの!』
「それが、スーパーディアスのテストをすると言って勝手に……」

ブライトに報告する整備士の脇を抜けてクワトロが入ってくる。

「騒がしいな。 ん、貴殿は……」

「グレイ・ウルフ大尉であります。 お会い出来て光栄です大佐」

「クワトロ・バジーナ大尉だ。 まさか君にこのような形で会えるとはな」

「つもる話もありますが、彼を追うのが先かと」

「では、シグというのはシグ・ウェドナーか。 彼が飛び出して行ったということは、情報にあったティターンズのニュータイプ研究所出身のパイロットというのは……」

「アイン・レヴィです。 彼はセレイン少尉の仇を討つ為だけにアステロイドベルトから地球圏に戻ってきたと聞いています」

「復讐か……」

「それから、もう1人。 中尉が追っていたニュータイプ研究所の中にカラバへ寝返ったチャクラ研究所というのがありまして、そこのニュータイプがあの赤いゼータのパイロットです」

「赤いゼータ……」

「大尉なら扱えるかも知れませんな。 あの機体はサイコミュで機体を制御するそうで、彼女はその調整中というわけです」

「すぐには出せんのだな……。 では、私と大尉でシグ中尉を追うぞ。 ドルト9はティターンズの勢力下にある。 普段の彼ならばともかく、アイン・レヴィのこととなれば冷静ではあるまい」

「了解した」

——ソロモンベース
「サウザンド・ワーズ……それが敵の名か」

『えぇ。 お話した通り、彼らはこの世界の未来を変え得る力を持つ者を狙っているのです』

「やはりな、そしてそれらを取り纏め保護する我々の敵ということになるか」

『…………』

「それで、君の機体については教えてくれんのかね?」

『それも先程お伝えした通り “黒いレイブ” それが全てです』

「そうか……情報に感謝する(ドルトコロニーだけではない……ティターンズやギャラルホルンを取り込んだブリタニア軍は各地のエリア化のみならず、宇宙をも手中に収めようと素体テッカマンを強制徴用し軍事要塞として第2ORS計画を進めている。 スペースノイドや素体テッカマンだけではない。 世界に渦巻く体制への不満はもう限界に達しようとしている。 ゼロの打診通り、この先我々の旗頭のひとつとして彼の名が必要になってくるだろう)」

8人目

「ダイラガー、それが青春」

 地球圏が激動に揺れ動いている頃。
遠い宇宙では地球と友好関係を結んだミラ星、サラ星からなる三惑星連合は
各惑星から選抜された銀河警備軍を設立。
母艦「ラガーガード」を中心とした艦隊を編成し、遙かなる銀河の海へと漕ぎ出す。
しかし、ここにもまた戦乱の嵐が吹き荒れようとしていた。

「キャプテン! またガルベストンの連中ですか!?」

 銀河警備軍は外宇宙探査の折、滅亡寸前の母星から可住惑星を探し求める
異星勢力・ガルベストン帝国と遭遇し、幾度となく戦闘を繰り広げていた。
ガルベストン帝国の巡洋艦がワープアウトしてくる。

「撃てーっ!!」

 艦長の号令一下、ガルベストン軍のビームやミサイルが次々と放たれる。
だが、ラガーガードも負けてはいない。

「安芸、出撃だ!」
「了解です、キャプテン!」

 クウラガーチームのリーダー、安芸マナブ大尉の機体がカタパルトデッキで
発進態勢に入る。

「キーツ! オルター! 準備はいいな?」

「いつでもOKだぜ!」
「任せな、安芸!」

 安芸の声に応じて、カイラガーチームのリーダー、ミランダ・キーツ、
リックラガーチームのリーダー、ワルター・ジャックが気合の入った声で応答する。
赤、青、黄のシンボルカラーを持つ3つのチーム。
そして隊員たちがそれぞれ搭乗する15機のラガーマシーンたち。

「よし、行くぞ!」

 安芸の声と同時に、機体は次々と宇宙空間へ射出される。

「ダイラガー、ファイティング・フォーメーション! オン!!」

 安芸の掛け声とともに、陸・海・空のラガーマシーンが合体し、
巨大スーパーロボット・ダイラガーへと姿を変える。光子エネルギーを動力源とする、
ラガーガード艦隊最強最大の機動人型兵器である。

「出たな、ダイラガー! 戦闘メカを出撃させよ!」

 ガルベストン側の指揮官の命令を受け、無数の小型戦闘機がダイラガーを
取り囲むように展開する。

「来やがれガルベストン! このダイラガーが相手になってやるぜ!
うおおりゃあああああッ!!」

 ダイラガーがガルベストンの戦闘メカ軍団を力任せに薙ぎ払う。
圧倒的なパワーの前に、成す術もなく粉砕されていくガルベストン機。
「ぬうう、ダイラガーめ! さらに強くなっているとは……!」

 指揮官が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

9人目

「未来から過去へ」
ここは彼らが戦ってる時代よりも何年か未来の時代。
この時代では、再び始まった連合とザフトによる戦争により地球圏は再び混乱の渦に巻き込まれていた。



「ハァアアア!」
南アフリカ上空にて、ザフトのパイロットであるシン・アスカ、レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホークが乗る3機のMS『インパルスガンダム』『ブレイズザクファントム』『ガナーザクウォーリア専用機』が連合のモビルスーツと戦闘をしていた。
「クソ!なんでいつまで経っても戦争なんかしてるんだよ!アンタ達は!」
「落ち着けシン!冷静になれ!」

「っ!待って!なにか来る!」
「っ!あれは…!」
そこに現れたのはダンクーガ、しかし獣戦機隊の乗るダンクーガとは違う。
その名は『ダンクーガノヴァ』である。
「ダンクーガノヴァ…!」
「ダンクーガノヴァって、確か各地の戦場に現れて負けてる方に力を貸すというあの?」

「今回は……見た感じザフトの方に味方すればいいの?」
「どうやらその様ですね」
「それじゃあ、やってやろうじゃん!」
「それ、俺が言いたかったんだけどなぁ……」
ダンクーガノヴァは連合のMSに向かって攻撃を始めた。

「……どうやら、今回は俺たちの方に味方してくれるようだな……」
「……なんなんだよ……」
「シン?」
「なんなんだよアイツ!いろんなところに急に現れて、いろいろめちゃくちゃにして、戦争を長引かせて、なにがしたいんだよアイツら!」
「シン……」
「許せない……ウワァアアアアアアアアアアアア!!」
シンの乗るインパルスガンダムはダンクーガノヴァに急速に接近し始める。
「ッ!待てシン!止ま…っ!?」
その時、突然空間が歪み始める
「な、なに!?」
「これは…いったい……」

『皆さん、急いでその場から離れてください!』
「そうしたいのは山々なんだけど……」
「操縦が聞かねぇんだよ!?」
『なんですって!?』
「まずいですよ!このままじゃ…」
「クッ…!」
「ウワァアアアアアア!!」
インパルスの攻撃が動けなくなったダンクーガノヴァに直撃した瞬間。
辺り一面が光に包まれ、そして光はが収まった頃には、
その場にいたはずの全ての機体が消えていた。

……いや、正確には飛ばされたのだ。そう、彼らが戦ってる時代、過去の地球へと……

10人目

《呪いを駆る者》

一方アーガマのドック内部、その現時刻から大凡十数分前後の事
『FA<フレームアームズ>』と呼称されるタイプの機動兵器の中でも多少なり厄介な諸事情をかかえたその機体は、17m級の機動兵器の単騎のみ運べるサイズのコンテナが連結された輸送船に運ばれ、パーソナルデータに改変箇所の在る曰く付きの…中性的な顔立ちに茶髪ウルフカットの白人の様なパイロットと共に、既にアーガマに着艦し別のドックに辿り着いていた頃だった。

「ん~…いいねェこの船ン中という、ゆらゆら中途半端加減…、」などと気の抜けるような棒読み口調で彼は呟いていたが、そんな時──。

何処かディアス系MSに似た機体が別ドックを経由してカタパルトからややすれ違い気味に出撃していくのを見送ってしまう。

別段行動する目的や理由として、自分は戦って社会に貢献した証としてマニーが貰えれば、相手が人間か人外でも構わなかった。まぁ強いて言うと多少なり個人的に因縁浅からない相手といえば、人類が重機として創造した無人Fa<フレームアーキテクト>こと『アント』ではあるのだが、

なんつーか…個人の意志が介在して能動的に騒がしかったり忙しかったりするのはエゥーゴもティターンズもあんまり変わらないんだなぁ、とでも言いたげな表情をしたまま、自分の機体とはまた違ったその特殊仕様のマニューバーを呆然としていた。

更にその後から、
「…では、私と大尉でシグ中尉を追うぞ。 ドルト9はティターンズの勢力下にある。 普段の彼ならばともかく、アイン・レヴィのこととなれば冷静ではあるまい。」

と、彼の見立てでの感想として金髪とサングラスの見た目がキザそうなオトナと、ヒゲが厳ついオトナがぞろぞろ出て来た、と察しつつも、如何もさっきのディアス系を追跡でもするつもりらしいという事まで、想定出来る状況と台詞のタイミングだった。

ふふゥ~ン、とほくそ笑む彼は、
2人のオトナら周囲に目立たない位置に隠れればこっそり携行端末を操作し、
「コード“ドライヅ”より出撃要請。機体オプション“YSX-24ⅩⅢ”。
火力?バックアップに支障が無い程度でお願いしますゥ…」

と告げてから、別ドック内で展開されていく輸送船のコンテナに立て掛けられた新型主力FAこと
『“バーゼラルド”』と呼ばれる機体の内、
彼仕様にチューンされた茶褐色の機体を彼は見上げる。

11人目

「水星の魔女」

 ――アスティカシア高等専門学園。
小惑星に建造された、全寮制の教育機関だ。
数々の企業や研究機関が出資し、最先端の科学技術と教育を生徒達に施している。
その卒業生は宇宙で引く手数多だと聞く。
そんな学園に水星から不思議な転入生が現れたのだ。

「あの水星ちゃん、マジで凄いらしいよ」
「へえ、どんな風に?」
「なんかね、ホルダーのグエル・ジェタークを決闘で倒したんだって!」

 アスティカシア高等専門学園には、独特な作法が存在する。
それは、学園内の万事を「決闘」の勝敗で決めるというものだ。

 常勝無敗の絶対王者、グエル・ジェタークを撃破した転入生の噂は
瞬く間に広がり、彼女の名前は今や、学園中の誰もが知るところとなっていた。
その名は、スレッタ・マーキュリー。

「すっかり有名人じゃない」

 自前の家庭菜園でトマトを収穫しながら、ホルダーの花嫁の座を奪還された令嬢
ミオリネ・レンブランが呟いた。
険悪な関係である父親が勝手に決めた婚約を破談にしたいがために
スレッタを決闘に巻き込んだ彼女は、 晴れて自由の身となった。

「あ、あんまり、注目を浴びる、のは、困るんですけど……」

 とてもグエルを倒したとは思えない、卑屈な口調の太眉少女こそ、スレッタだ。
せっかくの恵まれた大柄の体格も、自信なさげな態度のせいで台無しになっている。
だが、スレッタの実力は本物だった。彼女が水星で暮らしていた時代から
実の家族のように共に過ごしてきた機体、
ガンダムエアリアルを駆れば、誰にも負けない。

「はあ……せっかく学校に通えると思ったのに、どうしてこうなったんだろう……」

 普通の学生として生活できると思っていたのに、全てはグエルとの決闘が原因だ。
しかし、今更嘆いても仕方がない。
とにかく今は、この学園での生活をどう乗り切るかを考えるべきだ。

「シャキッとしてよね、花婿さん。逃げたらひとつ、進めばふたつなんでしょ?」

 そう。ホルダーの花嫁、と言う事はミオリネは現・ホルダーである
スレッタの花嫁でもある。
今や同性同士であっても夫婦関係を結ぶことができる時代なのだ。

「とほほ……」

 純真で優しい少女は、自分の置かれた境遇に嘆き悲しむばかり。
だが、彼女の預かり知らぬ所では、スレッタの事をこう呼ぶ者もいた。



 「水星の魔女」と。

12人目

《取憑く少年》

シグの突然の単独行動に対してブライト・ノアは、艦長の監督能力に関した色々な問題に対してそこまで精神的に頭を悩ませる程では無かったが、流石に手が足りない様子かに見えていた。

この程度の難題であるならとうの一年戦争期の頃の昔において経験済みで在るが、戦力として仮にクワトロ大尉とグレイ大尉がシグ中尉に追いついたとしても、警戒を目的としてドルト9に駐在するティターンズに出くわすなら、いくらニュータイプ仕様のΖ系MSを出したとしても袋叩きは免れない。
せめてバックアップの戦力でも存在すれば辛うじて事足りるのだが…。

と考えていたその矢先、ブライトが座るブリッジのシートに急な通信のアラートが鳴り、

『ちわっす、お困りですかー?艦長さん。』と、中途半端にも棒読みな敬語の加減に聞こえてくる幼い声のみが届く。

「誰なんだ?こっちは子供のお守りは…」
『失・敬。初めまして、自分“地球防衛機構”特務機関所属、コード・サーティン、通称“ドライヅ”、階級は少尉でありまっす。』

“地球防衛機構”…。

汎用重機として創造されたにも関わらず、突如地球圏に問わず無作為に暴走を始めた
無人Fa<フレームアーキテクト>『“アント”』
と呼ばれる存在に対し、
FA<フレームアームズ>と呼ばれる機動兵器を開発し戦う地球陣営の組織である。
今回このアーガマにどういう訳か訪れた理由も、彼らもまたプロジェクト・リレイブに参入する為であり、その構成員がやって来るという事も予め報せが来ていた。

だが、ブライトにはその若い青少年の声と共に聞こえて来た自らを示す名前の響きにおいて、明らかな“異質”を感じずにはいられなかった。
それでもその一方、ティターンズの同盟勢力ではなく、今回はエゥーゴに対しての助力も目的としているらしいが…。

「“ドライヅ少尉”」
『ハイハァ~い…』

「君の機体がドックに在るのであれば…“支援”にも事は足りるのか?」

『お任せ下さい“ブライト艦長”…その為に寄越したYSX-24ですから。』

思いの外そう呼ばれている機体の呼称名は最新試作生産モデルのFAの名前であり、後に開示された機体の選択武装オプションには、敢えてエネルギーシールドを敵対象にしていないのか、セグメントライフルではなく、T結晶炸薬仕様のFA専用フルオートハンドガンのみ二挺だけ装備していた。

13人目

「ダイナゼノンって、なに?」

 フジヨキ台。何の変哲もない何処にでもある町。
しかし、そこに突如として現れた巨大怪獣。
そして、それに立ち向かう謎の巨人の姿は人々の目に焼き付いて離れなかった。

「また出た……あの巨人は一体なんなんだ!?」
「正義の味方……なのかしら」
「あぁ、そうに違いない!」

 人々は口々に言う。

「今日これからバイトのシフトが入ってるんですけど……」
『ヨモギィ! バイトと地球の平和とどっちが大事なんだ!?』

 怒号が飛ぶ。

「そんなこと言われても……」

 コアユニット・ダイナソルジャーのパイロットである
バイトに奔走する男子高校生、浅中蓬は
困惑するばかりだ。

「俺も就活の面接があるんだけど……」
『それは諦めろ!』
「えぇーっ!?」

 ダイナストライカーのパイロット、山中暦。求職中のアラサー。

「ファイトっす~、センパイ」

 そんな彼らの様子をキャンディーを舐めながら
遠巻きに見守る赤毛を小さく三つ編みに束ねた少女。
暦の従姉妹の中学生、飛鳥川ちせ。左腕をアームカバーで覆い隠した
不登校の引き籠もりであるが、臨時でパイロットを引き受ける事もあり
そのセンスは確かなものだった。

「お前は他人事だからいいよな……」
「何なら私が代わってあげてもいいんすよ?」
「いや、それはそれで不安になるから止めてくれ。俺の存在意義がいよいよなくなる……」

「まぁ、頑張ってくださいっす。私は応援してますんで」
「何でもいいけど、さっさとやっちゃいません?」

 気怠そうに髪の毛をくるくると指で弄びながら、もう一人のパイロットが言った。
ダイナウイングを担当する南夢芽。
蓬のクラスメイトだが、何やら過去に秘密を持つ不思議な雰囲気の女子高生だ。

 このように、あまりにもバラバラ過ぎるチームをまとめるのは
一筋縄ではいかない。そのリーダーこそ……

「だあーッ、いい加減にしろお前らァ!!」

 目付きも悪ければ顔色も悪い、ピンク頭の怪しい男だった。
彼の名はガウマ。蓬たちに各マシンを預けている謎の人物である。

「ガオオオン!!」
「わ、来た!」

 迫り来る怪獣を前に、4機のマシンが合体した赤き巨人は立ち上がる。その名も……

「行くぞ、ダイナゼノン!」
「バ、バトル/何だったっけ/えーと/ゴオオオオオって、
いい加減合わせろよ!!」