プライベート 謎解きはランチの後で

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完結済
250文字以下 20人リレー
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  • ミステリー
1人目

「頼む!腐乳田(ふにゅうだ)、コレを1週間だけ試して欲しい」
「ふにゅにゅ!?もぉ〜先生、また変な物作ったんですか?」
「変な物とは失礼な!今回の発明は凄いぞ、なんと≪事件発見器≫だ!」

私は腐乳田幸子。
ちょっと夢見がちな高校1年生。
放課後ドゥージ先生に呼び出されたと思ったら、また実験の協力依頼だった。

「ほぇ〜このガラケーが?胡散臭いなぁ〜」
「ガラケーを改造してあるんだ、兎に角!1週間頼むよ!」
「もぉ〜暫く学食奢って下さいね!」

はぁ、今回も先生の面倒事に首を突っ込んでしまった。

2人目

「お〜い幸子!携帯変えたのか〜?」
「それauのWINじゃん!」

「違うのぉ〜これはドゥージ先生が発明した事件発見器だにゅん」

校内を歩いていると幼馴染のタケルとリュウノスケに話しかけられた。

「ま〜たドゥージ先生のお遊びに付き合ってんのか!」
「あ、タケルパケホ入ってないのにエロ動画見すぎて先月5万いったよナ!」
「それ幸子に言うなっテ!」
「もぉ〜!何言ってるのバカァ〜!」

本当に男って馬鹿なんだからァ…

ピコンッピコンッ!
「おい、携帯鳴ってるぞ!」
発見器が鳴っていた場所とは…

3人目

「えっ、俺の下駄箱?」

タケルの下駄箱の前で、発見器がピコピコと鳴っている。

「タケル…下駄箱に何を入れてるにゅん?まさか何か危険な…」
「ば、バーロー!んなわけねーだろッ!」
「だけどここで発見器が反応してるにゃよ!?何を入れてるにゃし!」

幸子がタケルの下駄箱を開けようとすると「待て幸子!」とリュウノスケが幸子の手を掴んだ。

「にゅっ///な、何よぉ!」
「分かってやれよ幸子…タケルはエロ漫画を隠してるだけなんだからさ…」
「な!?」

軽蔑の眼差しをタケルに向ける幸子。

4人目

「チゲーし!エロ系はベッドの下がセオリーだろーが!」
タケルが慌てて、下駄箱を開けると1枚の紙がヒラリと地面に落ちた。

《手ヲ繋イダラ行ッテミヨウ
燃エルヨウナ月の輝く丘ニ
明日、午後3時》

「何だァ?このウルトラソゥ!な文章は?」
「唯のイタズラだろ、気にすンな」
「うにゅ〜何だか事件の匂いがするみゅん」

「ヒュッウ!!面白そうじゃン!明日どっかの丘に行ってみようぜ!」
「タケルゥそんなコト危ないよぉ」
「気にするな幸子、明日には忘れてるさ」

私達は、呑気でまだ何も知らなかった...。

5人目

「もう事件発見器が反応したのか〜?さすがわしじゃ」
「そうなんでにゅ…こんな怪文書が…」
「ふむふむ」

「なぁ先公、この辺に丘ってあったっけ?」
「ん〜…あぁここから2駅先に、ぽんぽこマウンテンっていう小さい丘があった気が…」
「行くっきゃねぇ!!!」


次の日、3人はぽんぽこマウンテンにやってきた。

「ふにゅンッ本当に小さい丘だにゅ」
「全然人がいないなァ〜」
〜♪
「タケル着うたソナポケにしたの?」
「ちょっとあんたたち!ここに集中しなさいヨォ…」

ピコンピコンッ
再び発見器が…

6人目

ざわ…ざわ…

「やっぱり…何かあるんだな」
「ふにゅう怖いよぉ家に帰ろうよぉ」
「あの手紙を思い出してみろ!確か手を繋ぐんじゃなかったか?」

リュウノスケがすっと幸子に手を差し伸べてくる。
ドキッ。
やだ、こんな時になんで胸がドキドキするの?

「おい幸子、手汗パネェぞ!」
「も〜っ!バカバカ!」
「イチャついてる場合かよ!」

ぽんぽこマウンテンで3人で手を繋いでいると、近くの木からドサッと何かが落ちる音がした。

「お、おい何だよ今の音は…」
「俺、見てくるわ!」

タケルが駆け出した。

7人目

「ウワァアアアア!!!」

「何だか様子が変だ、俺達も行こう!」
「ふにゅん!」

急いで追うと、木の下には泣き崩れるタケルの姿があった。
「クソッ!!許せねぇ...よくも俺のゲームキューブと64を...」
木から落とされたのだろうか、無惨な2機が散らばっていた。

「ハァアアアアッン!!!To Loveるまで燃やされてる...るせねえ...ぜってェ許さねェ!!!」
「悪質だが、やっぱりイタズラか」
「人命に関わる事件じゃなくて良かったみゅん」

「ザケンナ!俺の宝だぞ!?必ず犯人を見つけ出す」

8人目

〜♪
また、タケルの携帯が鳴った。
「そういえば俺さ…着うたソナポケになんか設定してないんだよナ」
ざわ…

「ふにゅにゅっ?!」

「俺、青山テルマが好きなんだよ…」
ざわざわ…

タケルは携帯を開いた。
ilovesachiko@〜というメールアドレスから、変なメールが届いていた。

"365日全ての日々を君といたい。
どんな景色も二人で見たい、幸子。
幸子と仲良くする奴は消す。これは警告だ。"

「幸子のこと好きな奴が、犯人ってことか?!」

「えっえぇ〜?!」

「もしかして…」

9人目

「心当たりがあるのかい、幸子?」
「う…うん…ってそうにゅん!さっきもソナポケの着メロ鳴ってたにゃん?何てメールが来てるぽよ!?」
「あっ!すっかり忘れてた!」

タケルがケータイを操作し、幸子にも見えるように画面を傾かせた。
やはり、同じメールアドレスからソナポケの歌詞が送り付けられていた。

″100回くらい忘れようとしたけど、もうダメだよ。
気付けばいつも幸子のことばかり思い出していた。″

「やっぱり…これはきっとオサムの仕業よ」
「オサムって…中学の時の!?」
「何だって今更!」

10人目

「オサムって生徒会長とかやってたよな?」
「スゲー頭良くて優等生って感じのヤツな」
「イケメンでモテモテだったみゅん!」
「「...そんな男がお前を好き??」」
「ムムムムキィ!!私だってモテるみゅん!!2人の馬鹿ぁ!!」
怒りに身を任せた幸子は綺麗なフォームで走り去っていく。

「アチャー!やっちまった!」
「女って分かんねェな」
仕方なく幸子の後を追う2人に、茂みから何かが迫っていた。

ーーードシュッ!ー

「グハァアアアアッン!!!!」
「おい!タケル大丈夫か?コレは...ボウガン!?」

11人目

「タケルッ大丈夫か、タケルゥ!!!」
全身黒づくめの男が草むらから逃げていく。
「お前はオサムなのか?!こんな酷いコトを…」

タケルは気を失い救急車で運ばれたーー


幸子は走り、ある場所に向かっていた。
その間、中学時代のことを思い出していた。


「腐乳田、俺の前略プロフにお前のこと書いていい?」
「どういうことだにゅん」
「好きな女性のタイプの欄にさ」
「…それって…」
「付き合おう」


その後別れを告げてきたのはオサムだった。
なのに何故今更…

幸子は目的の場所に到着した。

12人目

それは、ジャスコのフードコート。

ここは、幸子とオサムがよく駄弁りにきていた思い出の場所…

くだらないことを話しながら花◯うどんの天かすにソースと七味をかけて無限に食べていた、あの頃の記憶が甦る…

「オサム…本当にあんたなの…?」
「え?呼んだ?」

背後から男の声がして、驚いてひっくり返る幸子。

「にゃぁぁ!?お、オサム!?」
「え?幸子!?なんでお前がここに!?」

そこには懐かしい顔…オサムの姿が。

「あ、あんたが変な手紙送ってきたんにゃしょ!?」

「は?手紙?なんのことだ?」

13人目

「ふにゃ!?どういうこと?」
「俺はここで、バイトしてるだけだぞ?」
「私にさっきメールしたみゅん!?」
「いや、勤務中だし...まだバイト中だからじゃあな」
オサムはバックヤードへ消えてしまい、幸子は何とも言えない感情に襲われた。

「ふににににゅん◎△$♪×¥●&%#!!!」
絶叫し、何処かへ走り去ってしまった。


一方その頃タケルは、
「オイ!何だコレ?」
救急搬送中に飛び起きていた。
「俺は人造人間?だからこの位問題ねェよ!それよりも、犯人探すゾ!」
そう言って、救急車から飛び降りた。

14人目

「幸子可愛かったなぁ…」
「ちょっとオサムくん!バイト中よ!」
「すいません…」
(俺は幸子と別れたくなかった…でも、アイツが…)

幸子が全力疾走していると、
たまたま救急車から飛び降りたタケルと鉢合わせた。

「何してるにゅん!?」
「幸子!どこ行ったかと思った…」

「あっ…オサムに会ったんだけど、あのメールは送ってないらしいにゅん…」
「えっ…じゃ犯人はー…」

「オサムは待ち受けソナポケの歌詞画だし、オサムしか考えられなかったけど…」
「待てよ…他にB'zとソナポケが好きなやつ…」

15人目

「え……っそんな、まさか…!?」

2人が顔を見合わせる。

「……学校に行くにゅん、タケル」



2人が学校に着いて、真っ先に向かったのは

そう、下駄箱。
それも、タケルの。

「あの時…全然気にしていなかったにゅん。けど今思えば…」
「ああ…あいつは俺の下駄箱を開けるのを一度止めたんだ」

タケルが恐る恐る下駄箱の取っ手に触れる。
少し力を込めると、ギィ…と鈍い音を立てて年季の入った扉がゆっくり開いた。

「やっぱり…ここ、扉の裏側に細工がしてある」
「ここにメモを忍ばせていた…!?」

16人目

「おーい2人ともこんな時間に何してるんじゃ?」
「ドゥージ先生えっと、そのぉ〜」
「何って犯人探しに決まってンだろ!」
「それは精が出るな、でも20時になるから今日 
は帰った方がいいぞ」
2人は仕方なく自宅に帰ることにした。

「先公が居たから言えなかったけど、ロッカーにコレがあった」
ようやく幸子の家という所でタケルが口を開いた。手には一枚の紙切れが。
《謎解キハランチノ後デ》


その頃リュウノスケはうなされていた。
幸子に夢中で、その他を排除しようとする自分。
...最近この夢ばかりだ。

17人目

「謎解きはランチの後で…?」
「ふにゅっ…つまりは、腹が減っては戦はできぬってことにゅんか?!」
「よし…そしたらさ、とりあえず明日関係者全員集めて、食堂で飯食おうかぜ…!」


幸子たちの通う高校の食堂で、
ドゥージ、タケル、リュウノスケ、オサム、そして幸子の5人で食事をすることになった。

「今回はワシの作った事件発見器で色々なことが起こったようじゃな〜」
ドゥージはカツカレーを食べながら話し始めた。

「そうみゅんよ!私は思うみゅん…この一連の騒動の犯人は、この中にいる!」

18人目

幸子がきつねうどんをちゅるっと啜って4人を見回す。

「けどさ、事件発見器って言っても試作品なんだろ?犯人なんて…なぁタケル?」
「えっ、試作品なのか?」
「幸子が言ってたろ?1週間のお試しだって」

幸子がうどんスープを飲み干して、立ち上がる。

「リュウノスケ…私はそんな話はしたことなかったにゅん」
「えっ…」
「ロッカーに細工をしたのも、オサムにヘイトを集めさせたのも…」
「あっ…あっ…」
「リュウノスケ、全部あんたが…」

「待つんじゃ、幸子」

ドゥージがゆっくり立ち上がった。

19人目

「最近、神ノ木(かみのき)の依頼で脳波を測定したんじゃが、睡眠時とんでもない波形になっていた...」

「みゅん??」

「ざっくり言うと彼はもう1人の人格が存在する」

「先公!それってリュウノスケが二重人格ってことかよ!?」

「あっ...うわぁぁあアアア!!」
突然リュウノスケが叫ぶと意識を失った。
「どうしたみゅん!?」
「幸子大丈夫だ、相棒には少し寝てもらった」
「作画変わってねェか!?」

「俺は、幸子と2人だけの世界を作る...邪魔する奴らは消えてもらう...時限爆弾でな」

〜♪

20人目

「どこに時限爆弾あるにゅんか?!」
「くそっ!」
「落ち着くんじゃ、事件発見器が鳴っておるぞ」

時限爆弾は、すぐに発見された。

「でも、どうやって止めるにゅんか?!」
「くそっ!」
「落ち着いてくれ、こんな時のために俺は爆弾処理について学んだんだ」
オサムは、いとも簡単に爆弾を解除した。

「おいリュウノスケ、今度は、正々堂々と戦おうぜ」
「…おう」

「「幸子、俺と付き合ってください!」」
「ふにゅっ!?ふにゅにゅにゅ〜!?」

顔を赤らめた幸子は、綺麗なフォームで走り去っていった。