いじめの代償
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2年前
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ココア
1人目
私は死んだ。
私は死にたくなかった。死ぬつもりはなかった。でも私は死んでしまった。本当にきっかけは些細なことだった。それは通学に使っていた駅のホームに電車が滑り込んできたときに私の中で何かが切れた。
次の瞬間
私は線路へ飛び込んでいた。
Lily
4人目
ザァァ…ザァァ…
微かに波の音がする。
私はしばらく目を閉じたまま、ただぼんやりとその音を聴いていた。
のろのろと瞼を開くと、一面に灰色が広がる。
私は知らない海の波打ち際に横たわっていた。
自分が死ねなかった事実に絶望感がじわじわ広がり、涙が溢れてくる。
無性にここでは無いどこかに行きたくなって、止まらない涙を拭いながら立ち上がり、曇天の空の下駆け出した。
ふとあることに気付く。
服が、体が濡れていない。
無果汁
5人目
海水の正体を探るべく振り返るが、先程まであった海は無くなっていた。
「ここはどこ……」
地はどこまでも伸びており、それに付き合うかのように曇天も続いている。
果てしなく終わりの無い景色に、抱いていた後悔が孤独へと変わる。
拭い去った涙が思い出したかのように湧きあがり、私の視界は歪み始めた。
「お母さん……」
絶望の淵から呟く一言は母のことであった。
涙は止め処なく流れ続け、口元を歪ませながら鼻水も姿を見せる。
ひとしきり泣き続け、現実を受け入れ始めるのに時間がかかった。
その間にもこの場に変化は何一つ起こることなく、不変な時だけが過ぎている
「どうすればいいの?」
空を見上げ、何かないのだろうかとその場で360度まわる。
雲ひとつない青空であるが――太陽はどこだ。
私は慌てて首を後ろにして影を確認する。
「影がない」
消えそうな声が漏れ、冷や汗が湧いた。