ソフトクリームの妖精
国を治めるココアソフト姫は、今日も退屈を極めていました。
「あ〜ぁ、今日も退屈!退屈すぎて脳みそ溶けるわ!いいえ、こんなにも退屈だと、いい加減そろそろ溶けちゃうわね!あぁ〜ただの甘いココアになっちゃうぅ〜」
そんなココアソフト姫に仕えるのが、チョコソフト騎士団長。
「こらッ姫!はしたないですぞ!人前で溶け散らかすものではありませんッ!」
「もうっチョコソフトはいつもお硬すぎるのよ!ココアバターを搾り取ってただの甘ったるいカカオマスにして差しあげましょうか!?」
「姫!そんな乱暴な発想はおやめください!!」
「ふーんだ、今日は公務をフルでサボって城下町で遊んできちゃうんだから!」
「姫!お待ちください姫ーーーーーッ!!」
城を飛び出したココアソフト姫は1人で町の中を楽しげに歩き回ります。
「まったく。チョコソフトったらお堅すぎるんだから!」
こんなに楽しいのはいつぶりでしょうか。
お目付け役がいないので姫はのびのびとお買い物を楽しんでいました。
ココアソフト姫がネックレスの試着をしていると、店主が突然「ドロボーー!!」と叫びました。
「ヒェッ!私、盗んでなんかいないわよ!」
「違う、あいつだ!あいつがアラザンのネックレスを盗んで行きおった!」
店主の指差す方向を見ると、紫色のソフトが猛スピードで走り去っていくではありませんか!
「お嬢ちゃん、よく見たらココアソフト姫ではないですか!?あの泥棒を捕まえて頂けませんか!?」
「ヒエヒエッバレてしまってはしょうがないわ!私に任せなさい!」
ピューイッと指笛を吹くと、ココアソフト姫専従のワッフルコーン馬がどこからともなく現れました。
「さぁ…久しぶりに暴れるわよ!」
紫色の泥棒ソフトとカーチェイスの始まりです。
姫は大変乗馬が得意でありました。
彼女いわく「乗馬は貴族の嗜みですわ!」とのこと。姫の愛馬であるワッフルコーン馬のワッフルはココアソフト姫にだけとても従順でした。
彼女はお忍び用のワンピースの裾を物ともせずワッフルに飛び乗り紫色の泥棒ソフトを追跡します。
「こらー!!そこの紫芋ソフト待ちなさーい!!」
「この私から逃げられると思うんじゃないわよ……!!」
姫はとてもおてんばで勝ち気で……なんというか……正義感の強いお方でございました。