恋のラリアット

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1人目

「暑い………。」
と項垂れる悠斗。確かに今日は暑い、確か最高気温35℃とか言っていたな。
まだ夏本番じゃないのだが…。
「本当に夏本番になったらどうなるんだ?」
「俺は溶ける。溶けたら陽介、バケツに入れといてくれ。」
と馬鹿たいな会話をしつつ学食に向かう。

この学校の学食って安くて美味しいから昼食はいつもここだ。
カウンターで俺は冷やし中華と餃子、悠斗はチャーハンと春巻きを注文して座席を確保した。

5分後に呼ばれたためカウンターで受け取り食べ始めたら「あっ如月に橘!隣いいか?」と隣のクラスの新島翔(にいじまかける)がそう言ってきた。
「別にいいぜ!」
「新島座れよ!」
そして新島は俺の隣に座った。

「なあ、2人は恋人なのか?」
と言われた瞬間むせてしまった。
「ゲホゲホ、なんでそう思うんだ?」
俺は新島に聞いてみた。
すると俺と悠斗はいつも一緒なのは変わりないのだがお互いを見つめる目が恋人のそれに似ているからとバレバレの様だった。

「あぁ、俺と悠斗は恋人だ。」
とりあえず肯定しておくことにした。
そして悠斗も「そうだな、まぁつい最近恋人になったのだがな。」と言っていた。

「でも何でそんな事聞くんだ?」
「そっそれは………。」
としどろもどろになる新島。
これは好きな人が男性なパターン!そして恋の相談をされるような気がする。

「もしかして好きな人が居るとかか?」
悠斗の言葉に新島は小さく頷いた。
「実はな、好きな先輩がいるんだけどその人男だからちょっと悩んでいてさ…。」
と語り始めた。どうやら好きな気持ちを隠したくはないが、先輩を困らせたくもない。
そして先輩の気持ちを知りたいと言った内容だった。

2人目

「なるほどな。それで、その先輩の名前はなんて言うんだ?」
「えっと、名前は清水蓮司さんって言ってサッカー部の先輩なんだ。」
「清水先輩!知ってる、すげー有名人じゃん」
悠斗が声を上げる。
たぶんこの学校で知らない人はいない。高身長でイケメンだけど、硬派らしくて告白してくる女子生徒は片っ端からフラれていると評判だった。
「難関だなぁ」
「うん…そうなんだよね。だから、告白して付き合いたい、とかはなくてさ。ただ、俺が先輩を好きだってことはわかってほしくて……」
うつむいて顔を赤らめる新島は健気で、俺は応援してやりたい気持ちになった。
「わかった。協力するよ。なっ悠斗。」
「ああ。」
「本当か!?ありがとう!!」
新島の顔がパァッと明るくなった。
けれど、具体的に何をすればいいのかという案は浮かばないまま、昼休みは終わってしまった。
「ごめんな」という俺に新島は、
「話を聞いてくれただけで俺はすげー嬉しかったよ!今まで、誰にも言えなかったからさ……。如月、橘、ありがとう」

3人目

そして新島と別れた後、教室に戻り悠斗と相談していた。
「清水先輩と新島はたまに話している所を見かけるけどどうなんだろう。」
「見る限りでは親しげだったと思うけどどうやって確かめよう………陽介腐男子なんだからなんか無いか?」
希望の眼差しで見てくる悠斗だが、腐男子だからと言ってすぐに思いつくネタは無い。
その事を伝えると「じゃあお仕置で今夜は抱き潰す!」と宣言されてしまった。
「だって俺達が清水先輩にどうやって声かければいいのさ!部活も違うのに!」
と弁明したが俺はその夜悠斗に抱き潰された。

そして月曜日。
昼休みになったから学食に行くと新島がいた。
「新島、ちょうどよかったわ!例の件なんだけどさ、新島から清水先輩を何処かに誘うってのはどうだ?もし脈が無かったら誘いを断るだろうし………」
そう俺が新島に提案してみたら、「その手があったか!」と初歩的な事を忘れていたようだ。
仲良くしたいと思っていたら誘いは断ることは無いだろう。もちろん予定のない日を聞いてからだが。その前に空いてる日教えてくれるかどうかも分からないが…。
「それで何処に誘うのさ?」
悠斗が聞いてきた。
「それは大丈夫!来月先輩が好きなサッカーチームの試合があるからそのチケットを取る!」
と新島が意気込んでいた。これでとりあえず方向性は決まった。あとは上手くいって欲しいと願うばかりだ。

4人目



翔は自分の時間と体力が許す限り、いつも残って自主練する清水先輩たちレギュラーメンバーの補佐を申し出ている。
時期レギュラーメンバーを狙う意識の高い後輩たちは皆そうしているし、翔もできるならレギュラーになりたいと思っている。
けれど、翔の目的はそれだけではなく、少しでも長い時間、清水先輩のことを見ていたいからだった。

自主練が終わり、急いで着替えて更衣室を出る。
先輩たちが先に出て、後輩たちが片付けや戸締りをしてから出るのがサッカー部の決まりだった。
外に出ると、先輩グループの中にいた清水先輩が翔の方へ近づいてくる。
「新島。駅まで一緒に行くか?」
自主練に残っているのは家が近くの自転車組が多く、駅に向かうのは翔と清水先輩だけということが多かった。
後輩が1人で帰るのが危ないから、という理由なのかもしれないが、こうして帰りに誘ってもらえるのが翔は嬉しかった。
少なくとも嫌われてはいない、とも思っていた。
(この関係を壊したくない。だけど、何もできないまま先輩が引退してしまうのも嫌だ。)
だから、せめて自分の気持ちだけでも伝えたいと思ったのだ。
(如月と橘に勇気をもらったから。今日は、先輩に休みの予定をきいて、サッカーの試合を一緒に観に行きませんかって誘ってみるんだ……!)
「はいっ。ありがとうございます、清水先輩!」
心の中で決意をして、俺は清水先輩の隣に並んだ。

5人目

清水先輩と歩いているのだがなかなか言い出すタイミングが無い。どうしようかと考えていると清水先輩が「来月の18日の日曜日空けておけよ。」といきなり言ってきた。
いきなりすぎて俺は「来月の18日ですか?何かありましたっけ?」と聞いていた。
「俺の好きなサッカーチームの試合があるんだ。一緒に見に行くぞ!」
まさかの清水先輩から誘われるとは思っていなかったが俺は嬉しかった。

「はい、是非行きましょう!」
そう答えると清水先輩が「新島は本当にこういう時可愛いなぁ。」と頭を撫で始めた。
「先輩何するんですか!」
「いいだろ?普段はこれでもかってくらい爽やかなイケメンなのにさ、嬉しい時なんかはわんこみたいに喜ぶ奴は俺に頭を撫でられればいいんだ!」
「なんですかそれ、意味わかりませんよ!そういう先輩だってめちゃくちゃイケメンじゃないですか!」

6人目

その後は二人してあんなところがイケメンだこんなところは可愛い。なんて言い合い、笑いながら帰り道を歩いていた。

✲✲✲✲✲✲
「なぁ悠斗、新島ちゃんと誘えたかな?」
俺は悠斗の家でテレビを見ながら新島の事を口に出した。
「どうだろうな、まぁ清水先輩から誘われたパターンかもしれないぞ。」
「そっちが濃厚だな。」
などと勝手に想像して悠斗と笑っていた。ちなみにこの日は悠斗の家に泊まり、悠斗のモノを俺の尻穴で咥えていたのだった。
「あっあんッ♡悠斗もっと激しく……。」
「したかないな陽介は、ほらッ。」
「あっあん♡キモ……チイイ……アアン♡」
「陽介はここがいいんだよな。」
悠斗がそう言って俺の前立腺ばかりを激しく攻めてくるのだ。