下田隆也の不運(訂正版)

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  • BL
  • ミステリー
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1人目

「今日はここまで。皆気をつけて帰るように。」
監督がそう言って今日の部活は終了した。
ちなみに野球部だ。野球ユニフォームが着たいが為とかじゃないからな。決して違うからな。
「隆也帰ろうぜ。」
と裕隆が俺に声をかけてきた。
「着替えて帰るか!」
俺たちは部室に戻り制服に着替えて一緒に帰る事にした。
裕隆とは幼稚園に入る前からの付き合いで一緒にいるのが当たり前になっている。高校も同じ所にするくらいに。
「今日もお疲れ様。」
と言われ裕隆にハグされキスされる。これは毎日のルーティンだ。何となく中学1年生の時から始めた事だ。特に理由は無いが最近はこれが無いと落ち着かない。そして学校から出て駅まで歩いていく。

その間に何回か人にはぶつかるわ、電信柱にはぶつかるわ、毎回信号には止められるわで不運だ。
そして駅に着いて改札を通りホームに降りると目の前で電車が発車するのも当たり前の光景だった。

「やっぱり行ってしまったか。」
と俺がつぶやく。裕隆も慣れているからか、「隆也、ベンチに座って待ってようぜ!」と言うのだ。

「俺、こんな不運で隆也の事嫌いにならないからな!」
と突然裕隆が言ってきた。
「裕隆、それ俺に告白しているのか?」
と突っ込んでみたら「そうだけど、隆也は俺の事どう思ってるの?」と質問で返された。
「裕隆の事はもちろん好きだぜ!」
と裕隆は満足したのか満面の笑みで俺にキスをした。

そして電車が来て乗り込むと人が多かった為吊革に掴まり立つ事にした。
「今日も疲れたな…。」
「だな。裕隆は俺より体力無いからな!」
「隆也よりはあるわ!」
そんな会話をしていたら乗り換える駅に着いた。
電車を降りて俺達は本屋に寄ることにした。
漫画の新刊を買い、地下鉄の駅に向かうはずだったのだが、何故か俺達は縄で手足を縛られて誘拐されていた。

2人目

今俺達が閉じ込められて居る部屋は真っ暗で何も見えない。
ただ、扉がある方向からは人の気配を感じる事からまだ犯人達がいる事がわかる。
「裕隆大丈夫か?」
「あぁ……何とか大丈夫だ。それよりこれからどうなるんだろうな……。」
「わからないけど、このままだとヤバいよな……。」
手足を縛る縄を解こうとするがきつく縛られていて解けない。それにしても何故俺達がこんな目に遭わなければならないんだ?俺はただ普通の高校生として生活して居たかっただけなのに……。

3人目

すると部屋の扉が開き男達が入って来た。
「今回の目玉商品はこいつらか!」
「ああ、かなりいい品物だぜ!」
「確かにな、制服姿もいいがあれこれ着せてみたくなるな!」
俺達はかなりやばい奴らに誘拐されてしまったようだ。
話の内容から人身売買でもやっていて、俺達を売ろうとしている様子だ。

「こいつらまとめて売る?それとも一人ずつ?」
「ん〜、二人まとめての方がいいだろう。」

裕隆と離れ離れにはならずに済むらしいがそういう事じゃない。早く家に帰してくれと心の中で叫ぶばかりだ。

4人目

現代日本にいて、まさか売られることになるなんて、
俺はどれだけ不運なんだ。
これから家に帰ることはかなわず、売られるのかもしれない。きっと変態野郎に買われるんだろうな。
あるいは、何とかここから逃げ出して、そのまま全力疾走して車に轢かれて死ぬのかもしれない。結局同じことだ。
俺と裕隆はありえないような不運で死ぬんだ。ごめんな、裕隆、ごめんな、俺の不運に巻き込んでしまって。いや、まてよ!俺にはこいつにしてやれることがある。

「聞いてください!こいつは裕隆ってやつなんですが、本当に嫌なやつなんだ。こいつは運動も勉強も俺より得意で、それをいつも自慢してくる。天才肌で、なんでもできて、売ればさぞかし値打ちがつくだろうが、俺はこいつ嫌いだ。一緒にいたくない!別々に売ってくれ!!どうか二人一組では売らないでくれ!!」

5人目

「何を言ってる?普段からキスやハグをしているのは分かっているんだ。そんな嘘には引っかかるかよ!」
失敗に終わってしまった。そして男達は俺たち2人に首輪をはめてきた。
「これで立派な商品だな!早速売りに行くか!」
目隠しをされて連れていかれる。

歩きや車で移動すること2時間、男のひとりが「そろそろいいだろう、目隠しを取ってやれ!」そう合図すると、俺は目隠しを外され視界が戻る。
「うっここは………。」
俺は周りを見渡した。すると檻に入れた俺たちと同い年くらいの男子高校生が10人くらいいたのだ。しかもこの場所もやけに異様だ。日本らしくない雰囲気がある。

「ホラ、お前らも入れ!」
俺と裕隆は同じ檻に入れられてしまった。


「隆也、大丈夫だ。隆也は俺が守るから!」
「俺だって裕隆の事は守るからな!」
そう誓いあっていると「さて、お楽しみのオークションの始まりだ!」とオークション会場という場所に俺たち含め檻に閉じ込められている男子高校生皆運ばれて行った。

俺は来ていた客を見てみると服装が漫画でよく見る貴族だったり、冒険者だったりと日本……いや、地球では無いような雰囲気だ。

「お待たせいたしました、只今より世界の狭間オークションを会場します。」
司会の男がそう言うと客が「fuuuuuuuuuuu!」と盛り上がっりオークションが始まってしまった。

6人目

まず1人目の男子高校生がオークションにかけられる。
「まずはこの男子高校生から、600Kからスタート!」
その掛け声と共に盛り上がるのかと思いきや客の反応はイマイチな様子。見た目的に言うと彼は眼鏡でメタボ体型である。
「はい時間切れとなります。誰も買い手がつかない為、彼の殺処分が決まりました。」
すると客が「fuuuuuuuuuuuu!」と盛り上がる。そして司会の男が檻の中にいる男子を外に出すと、客の目の前でその男子の首をはねたのだ。

それを見て盛り上がる会場に俺と裕隆は恐怖を感じる。もちろんそのまま何事も無かったかのようにオークションは続けられた。
あの男子以外は皆貴族やら商人やらに買われて行った。
そして残すは俺達二人だけになってしまった。

「おまたせしました。本日の目玉商品の登場です。なんと今回二人1組の販売となっております。超イケメンの男子高校生の登場です!」
とうとうステージに檻ごと上げられた俺達は覚悟を決めるしか無かった。

そして「なななんと、30億Kを超えました!」どれ程の価値かは分からないがとんでもない値段が付けられているようだ。そしてしばらく沈黙が流れ、落札されようとした時に「そいつら3000億Kで買うぜ!」突然現れた金髪の爽やかイケメン男性がとんでもない値段を言って来た。
そして誰もそれ以上の値段を付けられずに俺達はその金髪爽やかイケメン男性に買われたのだった。


引渡しの際に首輪に所有者登録をする。所有者登録をされたら、所有者のスキルが使えるようになるらしい。(所有者の任意)
もう完成に異世界である。ちなみに金髪の爽やかイケメン男性の名前は、アドル・アーダルベルと言うらしい。
アドルさんは俺達にスキルを使わせてくれるらしく、所有者登録の時にも特に制限をかけないでくれた。

(隆也と裕隆には秘密だがアドル・アーダルベルはユニークスキル「不老不死」を持っている。このスキルは常時発動されている。つまり隆也と裕隆は不老不死になってしまったのだ。)

アドルさんとの生活も慣れてきてはや数日、俺達を誘拐した組織の正体を知ることになった。