幼なじみと甘い恋

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1人目

「龍斗、好きだ。」
と幼なじみの隆也に告白されていた。
俺は隆也の事が好きだから嬉しいのだがいきなりすぎて頭がついてこなかった。
「隆也、俺男だぞ。」
と分かりきった事を言ってしまうほど混乱していた様だ。
「分かってるぜ!男とか女じゃなくて龍斗、お前が好きなんだ。」
と真剣な顔をして言ってきた。隆也のその顔めちゃくちゃカッコよくて好きだ。
そんな顔をされたら「隆也………俺も好きだ。」と心の中でしまっておこうと決めたはずの想いが出てきてしまった。

2人目

ぎゅ、と目を瞑る。
次に目を開けて、光いっぱいに包まれた隆也の姿を真っ直ぐに見つめながら「俺もっ」と返事をしよう。
そう思って。
けれど、そんな威勢は
「だからオレ、明日のマラソン大会で優勝する!」
「…は?」
そんな隆也の声に削がれてしまった。
「オレがお前に相応しい男だって…オレが本気でお前の事好きだって、証明してみせるから!」

3人目

 唐突に突き付けられた宣言に、思わず閉じた瞼を開いて。真剣そのもの、といった隆也の目を、見返す。
真っ黒な瞳が、二つとも俺を映していた。やっぱり綺麗だ、といつ見ても思う。
小さい頃から変わらない、純心さと真っ直ぐな性分がその眼光からも漏れ出てるんじゃないか、といつ見ても思う。
ずっと、出会った時から俺の心を掴んで離さない、ブラックダイヤモンドを連想させる輝き。
いきなり投げつけられた「マラソン大会で優勝する宣言」だって吹き飛んで、見とれてしまう。何処までもイケメンっていうのは罪作りだ。

「これでも練習はバッチリだ。土日なんて一日中朝から晩まで走り込んだし.....だから見てろよ、龍斗……龍斗?」

 俺にとっての、幼馴染であり、想い人である、葉山隆也がどんなやつか。一言で言えば小心者、更に言うなら怖がりで、寂しがりやで、臆病だ。
人目に付くことが何よりも嫌で、余り目立とうとする行為はしない、人見知りで。
一人で夜道も歩けない、弱虫だ。朝だってわざわざ俺が『起きたか』なんて電話をしてやらいと起きれないくらい弱い。運動神経だって平々凡々。
そんな隆也が、朝早くから起きて、夜まで訓練した?林間学校の肝試しなんて今まで俺の腕に飛びついて怖い怖い言ってたというのに。
そんな隆也が、明日のマラソン大会に出場する?街中のありとあらゆる人達が、それだけでなくはるばる遠方から見物客が来る程の大きな大会に?

「おい、龍斗?龍斗ー?これでも真面目な話……」

 どれだけ必死なんだよ、とも思うし、どんだけ俺の事が好きなんだ、と思う。

「え、おい龍斗!」
 
 でも、隆也のことだから全部ほんとうなんだろう。だって、俺の前では噓を一回も吐いたことはなかったんだから。
だから、隆也が俺の事が好きで、そのために練習したってことも。
隆也にとっては苦手のてんこ盛りみたいなマラソン大会に、俺を好いている、という事を証明するために、優勝しようとしてることも。
もしかして、一世一代の大告白でもしてくれるのか?大勢の大衆の前とかで?正直期待とかしちゃうぞ.....
いやいや馬鹿野郎、こっちが照れる。
ヤバい。主に顔面が。どくん、どくん、と高鳴る鼓動がフルスロットルで風邪引いたみたいで、多分真っ赤だ。正直隆也に見せられるような顔じゃない。

 恥ずかしさの余り、思いっきり帰り道を突っ走ってしまった。

4人目

そして翌日。玄関開けたら隆也がいた。
「昨日はいきなり帰ってごめんな。」
と謝っておく。
「龍斗が突然走り出すからびっくりしたぜ!でも気にしてないから大丈夫だ。」
そう言う隆也の優しさに心臓がドキドキ言っていた。
マラソン大会の会場までは電車を使って20分で着いた。

「龍斗、見ててくれよな!俺絶対優勝するからさ!」
と爽やかな笑顔についついキスをしたくなってきた。
「隆也、頑張れよ!チュッ。」
と我慢できずに隆也の唇に自分の唇を合わせた。
「りっ龍斗……」
と顔を真っ赤にしていた。そんな表情もまた可愛いと思っていた。

そして隆也と別れ観客席に行く。そして隆也達選手がスタート地点に並んだ。
パーンと言う音と共にマラソン大会が始まった。スタートとゴールはこのスタジアムだがあとは街中を走る。
スタジアムのモニターには街中の中継が映し出されるのだ。

『ただいま1位集団には5人の選手がいます。まずは1番手、高松雅選手。2番手、佐川遥斗選手。3番手、矢田良成選手。4番手、葉山隆也選手。5番手後藤樹選手となっています。』
隆也は1位集団に入っていた。そのまま最後までペースを崩さないように願うばかりだ。

5人目

時々危うい場面もあったが隆也はしっかり先頭集団にいる。
『レースも残りわずか、最後の追い上げとなりました。さて現在トップは長崎雅也選手、2番手に葉山隆也選手となっています。』
トップとの差は30メートル、そして残りはこのスタジアム1周するだけだ。
(隆也頑張れ、負けるな!)
と心の中で応援していると『おーっと葉山選手が今長崎選手と並びました!』と興奮気味に実況者が言っていた。
「隆也頑張れ!優勝したらキスしてやる!」
俺は思わずそう叫んでしまったが後悔も反省もしない。俺も隆也が好きだからな。

その応援が効いたのか隆也がトップになった。そして『葉山選手最後の最後で長崎選手を抜き、トップでゴール!!』隆也は宣言通り優勝した。

6人目

隆也が優勝したのに俺はうれしくなかった。
何度も考えたあいつとキスする瞬間をでもでもキスは俺との最高の瞬間なのにまさか男とするなんてしかも隆也となんて考えるだけで胸がドキドキしてきて仕方ながいだから俺はキスするよ

7人目

表彰式を終え、俺は隆也を待つために会場の外のベンチで座っていた。
さっきの俺の声援を聞いていたのか、通る人たちが俺のことを生暖かい目で見ている。

少し恥ずかしくなって下を見てると、目の前に誰か来たのか靴の先が見えた。この靴は…

「龍斗、おまたせ」

顔を上にあげると、金メダルを首にぶら下げた隆也が立っていた。
心なしか昨日よりかっこよく見えて少し顔が赤くなってしまう。

「?どうした?少し顔が赤いけど?」

隆也の両手が俺の頬を覆ってそのまま俺の顔に隆也の顔が近づいてくる。

「…ん、熱はないな」

隆也がおでこをくっつけてきた。さらに俺は顔が熱くなってきた。

「だっ!大丈夫!!熱はないから!!!」

俺は恥ずかしさで隆也を手で押しのけた。

「そうか?ならよかった、じゃあ行こうか」

隆也は俺の手を引いて立たせ、そのまま指を絡ませてきた。