和真と昴
和真は少し悩んでいた。
「どうしようかな。あいつの誕生日プレゼント。」
ショッピングモールの雑貨屋で親友の昴のプレゼントを選んでいた。
「そう言えば昴スマホケース変えたいって言ってたっけ。」
スマホケースがボロボロになってきているとボヤいていたのを思い出したのだ。
「いろいろな種類あるな。ん、これかっこいいじゃん!」
和真が手に取ったのは黒字に赤い線の入ったスマホケースだった。
昴はシンプルなスマホケースを好むためこのデザインはちょうどいい。
和真はすぐに会計をしてスマホケースを購入する。
「いい物買えたぜ!」
そしてショッピングモールから家に帰った。
そして翌日学校で昴に昨日買ったスマホケースを渡した。
「昴、スマホケースがボロボロだってこの間言っていただろ?だからシンプルかつカッコイイケースを誕生日プレゼントするぜ!」
和真がそう言うと、「まじか!和真サンキューな。スマホケース欲しかったんだ。」と昴は和真に抱きつき喜んでいた。
和真もそこまで喜んでくれるとは思っていなかった為嬉しかった。
そしてその日の夜和真は昴の家で祝っていた。
「昴、誕生日おめでとう。」
「ありがとう和真。」
昴の両親は5年前に交通事故で亡くなっている。だから和真は誕生日や夏休みなどの時には昴の家に泊まるのだ。
和真の両親も昴の事を心配しているからむしろ行ってこいと言われるくらい。
ちなみに和真と昴は幼なじみである。
「いつもありがとう和真。」
なんだかしおらしく言ってくる。
「どうしたんだ昴?」
と昴の顔を和真が覗くと昴に抱きしめられた。
「どうしたんだ昴、本当にさぁ。」
「誕生日や夏休みとかに和真が居てくれると思ったら抱きしめたくなった。」
和真は少し恥ずかしかったが昴の好きなようにさせていた。
普段は強がる昴もやはり寂しいのだろう。和真は昴の頭を撫で始めたら昴が気持ち良さそうな顔をしていた。
(本当に普段は強がる癖に甘えん坊だよな。)
そう思った和真だった。
「昴、今日は抱き合って寝るか?」
「えっいっいいのか?」「もちろん。」
こうして2人は抱き合いながら眠りについた。
朝になり和真が起き上がると昴はまだ眠っていた。
和真は昴の髪をいじり始める。
(本当髪サラサラしてて綺麗だよな。顔も整っていてイケメンだしモテるんだよな。俺の親友は。)
そんな事を思っていた時、急に手を掴まれた。
「おはよう和真。」「おはよう昴。いつ起きたんだ?」
「お前が俺の髪の毛触っているときから。」
「それ最初からじゃねぇーかよ!」
「いや、なんか可愛くてつい寝たフリしてしまった。ごめんな。」
「別に謝る事じゃないけどさ・・・。まあ許す。」
そして和真は昴と一緒に朝食を食べる。
朝食を食べ終えると和真は食器を洗い学校に行く準備をしていた。
「よし、そろそろ行くぞ昴。」
「おう。そうだな。行こうか。」
二人一緒に登校すると周りの女子からは黄色い声援が飛んでくる。
「昴君おはよ〜。」「昴くんおはようございます!」
「和真先輩も一緒だぁ!」「今日も和真先輩に昴先輩イケメンですね!」
(昴はイケメンだが俺は普通だと自分で思うんだけどな。それにしても毎日飽きないな。こいつらも。)
二人は女子達に挨拶をしながら教室に向かう。
そして教室に入るとクラスメイトに「相変わらずお前ら人気だなぁ。」と言われたりした。
「昴はイケメンだもんな。」
和真がそう言うと「和真だってイケメンじゃん。」と返された。
和真は自分は普通だと思っており自分がイケメンと言う自覚は無い。
「俺はイケメンじゃないと思うんだけどな。」
「じゃあ女子に聞いてみようぜ。」と昴が言い出し、和真と昴は席に座ったまま周りに居る女の子達に声をかけた。
「なあ、和真は普通だと思う?それともカッコイイと思う?」
「阿部?普通にイケメンじゃん!」
「和真君はカッコイイし優しいから好きぃ。」
「普通にクラスの自慢のイケメンかな。」
「私もそう思いますぅ。」
と言った感じでクラスのほとんどが和真をカッコイイと思っていた。
「ほら見ろ。みんなこう言ってるじゃん。」
「そうなのか?自分的には普通だと思っているんだが。」
「でも男子もカッコイイって言っている人多いぜ?」
「マジか。」
そんな会話をしているうちにチャイムが鳴る。