先輩が好き
月曜日、一也は朝練のため家を出た。
「暑い………まだ6月なのに暑い。」
と最近の暑さに嫌気がさしていた。だが文句を言っても涼しくなることは無いので諦めて最寄りの駅まで向かうのだった。
駅に着き改札を通り電車を待っていた。
そして電車に乗って学校に向かう。
学校に着いて部室に入ると熊谷先輩が来ていた。
「先輩おはようございます。」
と挨拶をしたら一也は熊谷先輩に抱きしめられ、「一也おはよう。」と耳元で言われる。
「先輩、耳元で囁かないでください。後男同士で抱きつくのは………。」
「一也は可愛いなぁ、男同士だからこそ気軽に抱きつけるだろ?」
と熊谷先輩は一也を離す気は無いようだ。
(そんな先輩が好きなんだけど、抱きつかれると汗の匂いが………。)
と思っている一也だった。
するとそこに部長が来た。
「熊谷、高浜から離れなさい!」
「部長おはようございます。」
と部長に挨拶をする。
「あー、離れるよ。でもちょっとだけこのままでいいか?一也の体温を感じていたいんだ。」
と言ってさらに強く抱きしめてきた。
「だからやめてくださいって!それに他の部員も来るんですからね。」
と抵抗する一也だったが、熊谷先輩の力には勝てなかった。
「熊谷は本当に高浜のことが好きだな。」
「だってこいつ可愛いんだもん!」
と熊谷先輩は一也の顔に頬を擦り付けてくる。
「もう先輩やめて下さい!」
と一也は恥ずかしくて死にそうになっていた。
「男同士でやってるとむさ苦しいだけだぞ…。」
部長が呆れ気味に言う。
「でもこのコンビ女子ウケいいぜ!なんせ王子様2人の戯れなんて言われてるしな!」と畠山先輩が話しかけてきた。「えっ、なんですか?それ。」
「こんな漫画も校内で出回ってるからな。」と畠山先輩が見せてきたのは一也と熊谷先輩が裸で抱き合っている絵だった。しかもかなり過激である。
「なんだこれ!?」
一也は驚きの声を上げる。
「BL本だよ。」
と部長が答える。
「BLって何ですか?」
「ボーイズラブの略で男の子同士の恋愛を描いたジャンルだよ。その漫画は同人誌ってやつだね。」
と部長が説明してくれた。部長は腐男子だった様でよくこの手の漫画を読むらしい。