晴れのち天使、ところによりカエル

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1人目

都会から聞こえてくるニュースは連日空から降ってきた羽の生えた人の話で持ち切りだ。
SNSでは真偽不明の映像が大量に出回っている。

だが俺の住む町には関係ない話だ。
人魚と潮干狩りだけが名産のこの町にはそんな劇的な事件などない。
目下俺の悩み事は夏休みを涼やかに過ごすための方法だ。
駄菓子屋でアイスでも買おうかと思ったが財布も心もとなく、店先でどうするべきか悩み続けているのが今の俺なのだ。

ふいにスマホが鳴りメッセージが送られてくる。
その内容をまとめると[カエルが出たから助けてほしい]という母からの連絡だった。
のどかすぎてなんとも欠伸の出るニュースだが、これを足掛かりに少しでも小遣いを引き出してやろう。
そう思って俺は家に向けてペダルをこいだ。
家に近づくにつれて人が普段より多いことに気づく。皆指をさして口々に何かを話しており悪い予感通りその先はやはり我が家であった。
いや、我が家跡だった。

我が家の半分は無残につぶされておりそこには巨大なカエルが座っていた。
「我が名はガマガエル。人の子よ、我が主を天に返還せよ
さもなくば地上は陽の光によって焦がしつくされるであろう」

2人目

「え?デッカ…デカすぎんだろ…。デカすぎるっピ!もしかしてデカ杉謙信ってこと!?」

俺は得意のインターネット・話術を使い早口でまくし立てた。ガマガエルは怒ったような表情を浮かべる。
「無礼な!我は神だぞ!今でこそこんな矮小な器に閉じ込められているが──」
自称神のカエルが喋り終わるのを待たずに俺は手に持っていた閃光手榴弾を投げつけた。カエルはたまらず身をよじらせる。

なんだか中二病のオタクの妄想みたいになってしまったがたまたま持っていたんだから仕方ないよな。俺は自分にそう言い聞かせ、家にあったクソデカルンバ(目算で6mくらいある)に飛び乗りその場を後にした。