モンスターの公衆便所
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20人リレー
3日前
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無果汁
2人目
2つの種族の今の状況は世界の縮図そのものであった。
人間たちが魔王率いる魔族・モンスタ―連合に敗れて5年。
生き残った人間たちは地上に跋扈する彼らから逃れるため、目立たぬよう極力少人数での集団生活を送っていた。その集団の数は数千を超え、人口も数百万にのぼる。
しかしながら、集団に馴染めずに落伍したものなどは結果、孤独な生き方を強いられる。
彼女もその一人であった。
生まれた時より愛情を教える者はおらず、集団の中にいながら自分の立ち位置は常に孤立していた。
*
3人目
彼女はもう諦めていた。どうせこのまま、誰にも知られることなく死んでいくのだろうと。目隠しのせいで何も見えない。しかし、すぐそばにいるモンスター…オークの荒い息遣いは、彼女の恐怖を煽り続けた。
その時、静寂を破る鋭い金属音が響いた。オークが低く唸り声を上げたかと思うと、次の瞬間にはどさりと何かが倒れる音がする。目隠しをされたままの彼女は、何が起きたのか分からない。ただ、生臭い雄の匂いを感じた。
「おい、大丈夫か?」
その声は、驚くほど澄んでいた。彼女は思わず息をのむ。目隠しがずり落ちてきたので恐る恐る目を開けると、そこには銀色の鎧を身につけた、人狼の青年が立っていた。
彼の足元には、巨大なオークが口から泡を吹いて倒れている。
オークの筋肉質な体は何も身につけておらず、何度も射精をしたようだ。勃起したままの巨根の周りに白い水溜りができていた。
青年は彼女の目隠しをゆっくりと外し、縄を解いていく。彼の指先が触れた瞬間、彼女は初めて誰かの温かさを知った。それは、この世界にまだ希望があることを教えてくれるような、優しい温もりだった。