あのときの記憶
さよなら
ありがとう
また会えたらいいね
そんな言葉をかる弾みにするものではない。
また、
また?
なんて、無かった。
俺の前から消えて行ったあの日から
また会えたらって言葉が憎い。
俺が病室へ駆けつけた時にはあいつはもう
顔の上に白いはんぺんが掛けられてた。
いつもお世話になってる主治医が
「残念ですが、関西人はおでんが濃ゆくないと駄目みたいでハンペンとして生けることが出来なかった。私も最善を尽くしましがすみません。ご期待に答えられなくて。。。く、、」
主治医は、俺を真っ直ぐな目で
涙を浮かべながら状況を説明してくれた。
「先生、ハンペンどけて顔を見てイイデスカ?」
心の準備が出来たらなんなりと見て下さい。
その言葉が引っかかったが俺は顔の上に有った
ハンペンを生姜醤油で食べた。
「おぃ!さっきまでテレビ通話でしゃべってたんじゃんかよぉおー!なんで、俺の前から消えちまうんだよぉおおお!! 」
俺こと、庭師のピザまんが心にポッカリ穴を開けその穴におでんの残り汁を注いだ時の
熱々の物語であった。
「ハ……ハンペン…」
少女は がばっと起き上がった
「夢か…」
見渡せば真っ白な病室にいる
「よっ、目は冷めたか?」
白い扉が静かに開いて 少年が入ってきた
「うん……ハンペンの夢見ていたの」
「ハンペン?なんだそれ~変な夢見るのな?」
あははと病室に笑い声が響いた
「お静かに!」
看護師さんが来て 注意されて二人は目を合わせて
静かにくすくすと笑っている
少年が ふと思いついて窓を開けてみると いい風が入ってきて
カーテンがなびいた