ママの裏の顔

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  • ホラー
  • 登場人物が死ぬの有り
  • 暴力描写有り
1人目

「ママ!これなあに?」
それは、まるで大きく、血がたくさんついていて、何かドクドク音がしている。
「これはね…」

2人目

生命の球よ。

3人目

「生命の球?」

「そう、見てて」

 ママはそう言い、脈動を続ける”それ”を再び培養ポッドの中に戻した。

 上部の蓋をきつく閉めてやると、ポッド内が妖しく緑色に光る。

 それが合図となってポッド内から無数の血管が現れ"それ"に吸い付くように繋がりを果たした。

 すぐ傍の心電計が動き始め、終わりの無い糸が短い範囲で波を作る。
 
「すごい!」

「そうよ。貴方もこうやって生まれたのよ」

 私が不思議な顔をしていると、ママは手をひいて歩き始めた。

 私は途端に目を強く閉じた。

 ママと移動する時は目を開けちゃだめ、というのは決まり事だった。
 
 幾つかの扉を跨ぐ感覚が足元から伝わり、その間に知らない人の声が聞こえてくる。
 
 またママとの約束事にヒソヒソ話は聞いちゃだめ、というのもあり、動かせる手で耳を塞ぎ、会話が聞こえないよう頭の中で歌を歌う。

「さ、ここよ」

 その言葉で手を離してくれた。

 ゆっくりと目を開け、周囲を見渡す。

 壁にぴったりと張り付くように左右7個の大きな縦長のポッドがあった。
 
 私は最寄りのポッドに何かがいることに気づき、思わず駆け出した。

 それは――私に似た子供であった。

 髪の色、鼻の形、口の大きさ。どれ一つとっても私と瓜二つで、まるで鏡を見ているかのような錯覚に陥る。

 暫し見つめ、すぐ隣のポッドを見る。

 また私に似た子が入っている。

「私と一緒!」

 思わず笑顔で言うがママは何も言い返さない。

「お水さん苦しくないの?」

「大丈夫よ、ほらみて。息ができるように管がついてるでしょ」

「あっほんとだ。ちっちゃいね」

 鼻以外にも管のようなものが四肢に複数つけられ、両目は閉じたままである。

「寝てるの?」

「そうよ」

「いつ起きるの?」

「……」

 ママはそこで口を閉ざした。

 私の方を見つめたまま暫し考える。とても怖い顔をしていた。

「あのね、私この子たちと一緒に遊びたいなって」

 怖くなり、別の事を話す。

「いい考えね。でも貴方が良い子じゃないと遊んでくれないかも」

「えっ!じゃ、じゃあ良い子になる。良い子になっていっぱい遊んで貰う」

 私が慌てふためく姿にママは怖い顔をやめ、普段の無表情へと変わる。

 そうして優しく頭を撫でてくれた後、家に帰る事になった。

4人目

私は興奮して眠れなかった


(私と同じ顔の男の子)


あの子の目が覚めたら、きっと双子のようになるんだろうな


(ちょっと素敵!!)


私は、男の子の事を考えながら
朝方までモンモンとしていた