玄関から出るとそこは異世界だった。

1 いいね
1000文字以下 30人リレー
2年前 468回閲覧
1人目

学校に向かうため家から出ると、そこは異世界だった。
「は?」
意味が分からなくて家に引き返そうとしたが扉が無くなっていた為に家に帰ることも出来なくなった。

「ちょっとこんな草原でどうすればいいんだ!」
そう叫んでいると『ピコーン』とスマホが鳴る。ポケットから取り出し見てみると『あなたのステータスが追加されました』そんな通知が来ていた。

「ステータスってますます異世界感が強くなってきたなぁ。」
自分のステータスが気にならない訳がないのでその通知をタップしていつの間にかダウンロードされていたアプリを開いた。

2人目

すると目の前に透明な画面が現れてゲームのウィンドウみたいになった。
======
名前:海崎雅人
年齢:16歳
性別:男
種族:人間族
Lv.1/100
HP:50/50
MP:50/50
STR:15
VIT:15
AGI:15
DEX:25
MIN:15
スキルポイント100
スキル :【鑑定 Lv.MAX】【獲得経験値増加Lv.3】【マップ機能】【アイテムボックス】【カスタマイズ】【アイテムコピー】
称号:【転移者】
======

「ステータスはまぁこんなもんか。」
異世界転移と言ったらチートだと思ったが実際にはそんな甘くないらしい。
それにしても【獲得経験値増加】とか【アイテムボックス】とか色々便利そうなスキルがあるけど使いこなせるかな?
「とりあえずマップ機能を使って街を探そう。」
それから5分くらい歩いただろうか?ようやく街の外壁らしきものが見えてきたので俺はテンションが上がりながら走って入口に向かう。

すると門番に身分証明書があるか聞かれ「すみません。身分証明書が無いのですが・・・」としか答えられない。身分証明書無かったら入れないかもと不安になっていると「ん?冒険者ギルドに行けば無料で仮身分証を発行してくれるぞ?」と教えてくれた。
「ありがとうございます。さっそく行ってみます。」
俺は教えられた場所に走って向かう。

3人目

街に足を踏み入れ、最初に目にしたのは、石造りの綺麗な街並みが広がる光景だった。
丸石で補強された道を行き交う、様々な衣服武具を来た人々の喧騒。
道に沿って建てられたレンガ作りの建物にはテントが張られ、行商人が物の売り買いを行っている。
「あっ…」
耳を澄ませば聞こえてくる水の音に足を運べば、街を横断する無色透明の綺麗な川が流れており、その上に掛けられた幾つもの石橋にもまた、人々が居る。
手すりに手を掛けよく目を凝らせば、川岸には木製のボートが掛けられた水車小屋。
そして遠くに広がるのは、街全てを覆う内壁、そしてその先に広がる大空…
一度はアニメや漫画で見た、けれど実物は見た事の無かった、如何にも中世後期といった風景がそこにはあった。
「わぁ…!」
思わず漏れる驚嘆の声と共に、底知れぬ静かな興奮が、脳裏を駆け巡り感動を覚えさせる。
全てが突然で、追いついてなかった感情が今、溢れだす。
「俺はこれから、この新しい世界で生きていくんだな。」
改めて実感が出来た、俺は転移したのだと。
…前の世界に対する未練も残っている、寂しくないと言えば嘘になるだろう。
それでも、今この時はこの興奮こそが紛れも無い俺の本心だった。

そんな感動に浸っている時だった、彼女に声を掛けられたのは。
「ねぇ、君?」
肩を軽く叩いてきた誰かへと振り向けば、そこにはアメジスト色の瞳を持った細身の女性が、いつの間にか後ろに立っていた。
マントを羽織った可愛さと美しさを持つ彼女に、思わず驚いてしまった。
「うわっ!」
危うく後退って川に落ちかけるところだった。
さっきの言葉を聞かれただろうか、そんな思いを余所に、彼女は口を開く。
「驚かせてごめんね?君、その様子じゃこの街初めてでしょ?」
「えっ、あぁ、はい。」
彼女の言葉に、俺は思わず肯定をしてしまう。
最も、先程の様子を見ていれば誰だってここが初めてだと分かるだろう。
(さっきの、見られていたんだ。)
その事に気付いて、思わず羞恥の念が溢れそうになる。
そんな俺の手を取って、彼女はグイッと身を寄せて提案をしてきた。
「やっぱり、それなら私が案内してあげるよ!」

4人目

「へぇ!?」
いきなりの提案に驚きを隠せない。
何故初対面の俺に対してそこまでしてくれるのかと疑問を抱く程に親切な女性だ。
「でも、なんでですか?」
「それは……うん、何となく!困っている人は助けたいし。」
「そ、そうですか……。なら冒険者ギルドまでお願いします。」
「任せなさい!」
自信満々に胸を張る彼女に連れられて、俺は冒険者ギルドへと向かう事になった。
======
「それで、君の名前はなんて言うのかな?」
「雅人です。」
「マサト?珍しい名前だね。私はアイリスだよ、よろしくね。」
「はい、こちらこそよろしくおねがいします。」
会話をしながら歩くこと数分。
やがて大きな建物が見えてきた。あれが目的地の冒険者ギルドなのだろう。
「ほら着いた。ここが冒険者ギルドだよ。」
「これが、冒険者の集まる場所……」
「ふふん、どうだい凄いだろ?」
まるで自分の事のように誇らしく話す彼女が、なんだか微笑ましく感じてしまう。

「冒険者にはランクがあってね、下からG、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSと上がっていくのよ。」
「なるほど……」
「まずは仮身分証の発行をしてもらいましょう。」
「分かりました。」
「よし、それじゃ早速受付に行こうか。」
中に入ると、多くの人で賑わっていた。
依頼ボードに貼られた紙を見つめる者や、併設された酒場で酒を飲んでいる者達。
その誰もが屈強な肉体を持ち、中には2メートル近い身長の者もいる。
「あの、すみません。」
受付の男の人に声をかける。「はい、ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどのような御用件でしょうか?」
「えっと、仮身分証を発行して欲しいんですけど……」
「かしこまりました。ではこちらの用紙に記入をお願い致します。」
「はい。」
渡された用紙に名前を記入していく。
「……これで良いですか?」
「はい、確認しました。こちらの水晶に手をかざしてください。」
俺は言われた通りに水晶に手をかざした。