貴女の影

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1人目

「ねぇねぇ、貴女はだーれ?」

「…………」


「どうして、アタシじゃない影が写るのー?」


「……………」

私は彼女の影。 名前も無いし、自分が何者かも
よく分からない。

ただ、彼女が産まれて間もない頃から
ずっと一緒に居た。

話しかけることはできない、触れ合うことも出来ない、ただ見守っているだけの存在。

2人目

影はあなたを縛らない。

いつも彼女は孤独だった。だから私も孤独だった。互いに干渉できないゆえに私たちが共有できる唯一のもの。

だからこそあなたの友が憎い。いずれできる新しい絆が怖い。

影はあなたに縛られる。

3人目

彼女の友達が、私から彼女を奪っていく。彼女の側にいたのは私のほうが長いのに。

あなたばかりが私を縛る。

でも、私はこの姿で良かったと思っている。彼女が話しかけるのは私ばかりだ。この姿で興味を引けるなら、私は永遠にこのままでいい。

貴方のそばにいられるなら、私は何でもできる。

4人目

私にできる能力、それは影送り。
影送りは私に触れた者の影に私が移動する能力。

その間、その者が持つ影は彼女の影になる。
でも大丈夫、私以外の「影」に意識はないらしい。

私の嫉妬心は私を暴走させる。
彼女に触れた者の影に私がなった時、私は影を持つ人物を操ることができる。
そう、私は嫉妬の暴走により彼女に近づく人物を何人も自殺に追い込んでいる。

その者の実体が無くなった時、私は彼女の影に戻るのだ。
言ったでしょ?だから貴方のそばにいられるなら、私は何でもできるって。