特殊な校則
俺の学校には特殊な校則がある。
それはカッターシャツの下には体操服を着用し、カッターシャツはボタンを全部止める。
そして学ランのボタン全部と詰襟のホックは止めて着用。カッターシャツの裾はズボンに入れること。極めつけがこの学校に在籍中は学ランを1度も脱いではいけないことだ。
ちなみにこの学校は全寮制になっている。俺はこんな校則がある学校とは知らずに受験し、不幸にも受かってしまったから仕方なく今日の入学式に来ている。
俺はもともと女子が苦手で、男子校の気楽さでここを選んだ。もっとも男色とかそういった趣味は全くなく、純粋に硬派を極めたいというその思い一点で男子校を選んだのだ。
しかし入学時のオリエンテーションでは、驚くことが発表された。
敷地内には同じような校則を持つ女子高も併設されていて、運動場や体育館、そしてプールといった施設は男女校の共用で一つしかない。両校の中央に施設は設置されているので、共有部分の利用時以外は接触はない。だが部活時は色々なシチュエーションもあると思われるので仲良く使用してくれ、とのことだった。だがしかし、それはつまり、男女共学に近いという事ではないか。
「ガッデーム！」
高校でもサッカー部希望の俺は、中学では鉄壁を誇るゴールキーパーだった。身長も１８５センチを超えて伸び続けている。この天下無敵の俺様が、実は女子にめっぽう弱いなんてことが知られたら、この世の終わりだ。とにかく接触は極力避けよう。そう心に誓いながら俺は、二人部屋である自室のドアを開いた。
「えっ……」
小さな声。目の前には、可憐な女子がいた。しかも、着替えている最中のようだった。
すいませんでしたあああああああああああああああああああああああああああああああ！
俺は、力の限り、勢いよくドアを閉める。え？ え？ え？
え、なんで女子がいるの……？ ここ男子校だろ？ 男子寮だろ？ なんで、なんで？
「あ、あの……もういいですよ」
困惑しまくってる俺の背後から、ドアの隙間から、か細い声が聞こえた。
え……あの、あなた、女子……ですよね？ なんで、この部屋にいるんですか……？
恐る恐る、尋ねると。目の前の女子は、苦笑いしながら口を開いた。
「僕、男ですよ。よく勘違いされます……」