オムライス

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1人目

いつも鳴るはずのアラームが、なぜだか今日は鳴らなかった。だがそんなことは気にもせず、いつものように窓を開け、空の写真を撮った。「今日で49日目か…。」その数秒後、アラームが鳴った。

2人目

今日で彼女が亡くなってから、49日目だ。
人は亡くなると星になる。子供のころ愛読していた絵本にはそう書かれていた。
だから僕は、今日も星空を写真に収める。彼女の星が空に輝かないかと心待ちにして。

3人目

彼女はオムライスが好きだった。
とろりとした半熟の卵に、真っ赤なケチャップの乗ったやつだ。
彼女はいつもオムライスを頬張ると、子供のように幸せな笑顔を浮かべる。
僕はその笑顔を見るのが好きだった。

4人目

まどろみの中、眠りに落ちる。
夢の中で彼女はオムライスを食べていた。
「久しぶり」
僕が声をかけると「もう行かなくちゃ」彼女はそう言って外へと駆けてゆく。
不意にアラームが鳴り、僕はハッと目を覚ます。

5人目

目覚まし時計が朝を告げている。彼女がくれた時計だ。
「いつまでも落ち込んでたら、ダメだからね」
彼女が、そう言ってくれているような気がした。

ひさびさに、オムライスでも作るか。僕は台所へ向かった。