People(ピーポー)

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1人目

今、この世界に人は何人いると思う?
1日で人は何人シんでると思う?
今、なんで世界は滅びようとしていると思う?
それはね、人が殺し合いを始めているからだよ。
同種族内での殺し合い。醜いネ。

2人目

今、この世界に何人生まれて来たんだろう?
1日で人は何人ウまれてきていると思う?
今、なんで世界は造られようとしていると思う?
それはね、人が造り合いを始めているからだよ。
自然との造り合い。美しいネ。

3人目

人は生まれ、そして死ぬ。
この生まれてから死ぬまでの間、人はその人なりの人生を送る。男であれ女であれ。
その人の人生を知るのはその人自身だけ。自分以外の他者には決して知り得ない。
この生まれてから死ぬまでの間、人は他者と関わりを持って日々の生活を送る。
共に喜び笑い、共に悲しみ泣き、共に喧嘩しぶつかり合う。こうしたプロセスを経て、ヒストリーが出来上がる。
日常生活の中で作られたヒストリーこそがその人の人生なのだ。

4人目

そんな事を考えていると、時々叫びだしたくなる。私は一体、何者なのだろう。シオンは物思いにふけりながら空を見上げた。空には相変わらずオリオン座が輝いていた。
「そろそろ帰ろっかな」
のそりと立ち上がってお尻の枯れ草を払う。長時間座っていたらお尻が平らになった気がした。
堤防を舐めるようにして風が吹き抜けてゆく。払い落とした枯れ草が空に舞った。シオンは流れ飛ぶ枯れ草を目で追ってから、堤防を下って細いあぜ道を歩き、一人暮らしの部屋へと帰ってゆく。
今日の夕飯は何を作ろう。考えると顔がほころんだ。

5人目

河川敷に設置の自作小屋に戻ると、中に「今日もお疲れ様でした」と書かれたメモと野菜などが入ったスーパーの袋が置かれていた。シオンはメモに目を通した後、外に出て薪を燃やしラーメンを作った。

「今日もあのお方か。ありがたい限りです。」
この日も朝から晩までハードだった。早朝に建設現場での日払いバイト、夕方仕事を終えるとアルミ缶拾いで小遣い稼ぎ。
銭湯で汗を洗い流してテントに戻ると支援者様からの差し入れが週に数回届く。

シオンには家がない訳ではなく、とある理由があるのだ。

6人目

朝起きてシオンは、流しに置きっぱなしの鍋を見つめた。
「またラーメンか……もうちょっと栄養のある物、食べたかったな」
どうやら家に帰ったところで、また人格が男の子に切り替わってしまったらしい。体力系の仕事をする時は便利だが、せめて一人の時は料理好きの女の子として過ごしたかった。
机の上にあったメモに気づき拾い上げる。多分このメモのせいだ。
一つため息をついて、洗い物を始める。家事はいつも女の子の仕事だ。
一通り片付けを終えて弁当と朝食を用意すると、アラームが鳴った。同時にまた人格が入れ替わる。