犬の手を借りる 

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1人目

寝て起きてゲームしてご飯食べてゲームして寝て起きる日々。
嫌気がさすけど、これ以上の生活なんて俺にはない。なんて言い聞かせて毎日をこなしていく。
外に出て散歩でもしようと何度靴を履いたかはもう覚えていない。いくら試みても無理なもんは無理と言い聞かせて部屋に戻る。
引きこもり歴1か月の俺はこのサイクルから抜け出せずにいた。
今日、そんな俺に外に出ざるを得ない理由ができた。母が犬を拾ってきたのだ。
幼いころから動物が大好きだった俺は何度も犬を飼いたいと母に交渉してきたがすべて失敗に終わっていた。

2人目

ついに犬が飼えるぞ!
拾ってきた犬にはボチオという名前を付けた。
俺は嬉しくてさっそくボチオを散歩に連れて帰ってきた。

そしてその日の夜中…
「おい、起きろ」
ドスの効いた声がして俺は目を覚ました。
「俺の名前は犬魔人だ、今日からお前は俺の下部になれ」
目の前には腕が6本あるボチオらしき犬が胡坐をかいていた。

3人目

恐ろしさからボチオの要求を呑んでしまった俺は、次の日から下部としてせっせと働くことになった。

朝起きるとボチオの散歩をして、帰ってくるとマッサージにご飯の用意。
それが終わるとボチオは俺を外に連れ出した。

「お前は今日からここで働け」
連れて行かれたのは近所の大型複合施設に併設されたペットショップだった。

「俺、面接とか無理ですよ」
「心配するな、店員は俺の魔力で下部にする。俺の飯代をここで稼げ」

その言葉は本当らしく、ニートの俺はあっさり採用された。
そうして俺のバイト生活は始まった。