橋を渡りたいだけなのに...

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  • 自由な発想で
1人目

ある日僕は趣味でとある山を一人でハイキングしていた。途中、橋を見つけて向こう側へ渡ろうと足を踏み入れた。
すると闘牛が勢い良く迫ってきたので、僕は驚いて引き下がり牛が通り過ぎるのを待つことにした。砂埃を舞い上げて闘牛は去って行った。

再度僕は橋を渡ることにした。

2人目

長い足取りを経て、漸く対岸に近付いた時、僕の眼に映った光景。
それは、橋の先が闘牛と格闘戦を繰り広げている所だった。
何を言っているのか分からないと思うが、自分も何を見せられているのか分からないし、そもそもこの橋が生き物だった事に困惑している。
しているが、闘牛とぶつかり合う衝撃が橋を伝って来るが故に、僕に休む間を与えさせてくれない。
何とか橋にしがみ付きながら成り行きを見守っていたが、闘牛渾身の一撃によって諸共に跳ね飛ばされ、再び元の場所に戻ってしまった。

再度僕は橋を渡ることにした。

3人目

そして僕はふと疑問を抱いた。
どうしてそこまでして橋を渡らなければいけないのか、
命をかけてまで橋を渡る理由はなんだろうか、
こんな疑問が浮かんできたがそれでも橋を渡らなければ「死」が待っていた。
目の前の右上に何やら230.229.228と数字が減っているのが見えた。
どうやらその数字が0になると元の場所に戻されるシステムになっているようだ。

そうか、僕はよく考えたら「デス・ブリッジ」というゲームの主人公だったことに気が付いた。つまりこのゲーム、クリアするしかないってことだ。

4人目

ポケットに手を突っ込むと、見慣れないアイテムが出てきた。
小型の手榴弾のようだ。

僕はピンを外して遠くの闘牛に投げつけた。
大きな爆発が橋の先で起こり、橋は静かになった。
やったのか?僕は嬉しくなってアーチを描く大きな橋の上を走って行った。

すると闘牛は気絶していただけで、僕の足音に目を覚ました。
闘牛が目を覚ますと、橋の先も格闘を再開した。
僕は走り抜けようとしたが、闘牛の渾身の一撃で空に弾き飛ばされ元の場所に戻った。

まずい、残り時間がどんどん減っている。
再度僕は橋を渡ることにした。

5人目

ハイキング用のリュックを探ると、1メートルほどの赤い布が出てきた。
僕は橋の手前に立ち、闘牛に見せつけるように布をひらりと風に靡かせた。

燃えるような赤に興奮した闘牛が、布を目掛けて猛スピードで突っ込んでくる。
気分はまるでスペインの闘牛士だった。
闘牛を倒せば、ようやく橋を渡ることができるだろう。
すると、突然橋は波打つように上下にうねり始めた。

しまった、布を探すのに手間取って制限時間を超えてしまったのだ。
キョトンとしている闘牛に別れを告げる。
「橋が壊れているようなので帰ります」