闇の森

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1人目

ここは古から伝わりし、呪いの森。
人はおろか、獣さえ寄り付かない、闇深き森。
何がいるか分からない。
魔物か。魔女か。それとも、悪魔か。

そんな森の中から、近頃、奇妙な音がするらしい。
ピロロロロ。ピロロロロ。

人は言う。悪魔が地獄へ誘き寄せる笛の音だと。
また、人は言う。闇の森を統べる竜のいびきだと。

果たして、何が正解か。
疑問を浮かべる者はごまんといたが、それを確かめようとする者は、一人もいなかった。
彼をのぞいては。

2人目

彼は怒っていた。
引きこもりを続けていた彼は、家族から呆れられ無視され、ついには寝ている間に闇の森の近くの小屋へと運ばれ、家を追い出されたのである。
その小屋は昔、森で修行をする者が使用していたそうだ。
誰にも邪魔されずに寝られることに気づいた彼は、思う存分小屋で寝ることにした。
しかし、

ピロロロロ。ピロロロロ。

静かなところで寝たい彼にとって、音がうるさくてたまらなかった。

「止めてやるぜ、このアラーム...」

そう怒りながら呟き、彼は森の中へ入った。