人質目線のデスゲーム

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1人目

ん…………。ここはどこだ?暗くてよく分からない。それに体が動かない気がする……。俺は確か学校から帰る途中だったはず……。あっ思い出した。それでいきなり車に押し込まれたんだ。ってことは誘拐か!?
手足は縄で縛られている様だが口にはガムテープが貼られていないので喋ることは出来るみたいだな。まぁ、喋ったところで助けが来るとも思えないけどね。だけど首に縄が巻き付けられている感じがする。もしかして時間が来たら首吊り状態になって死んじゃうのか……?

2人目

一旦落ち着いて辺りを見回してみた。
部屋はそこそこの広さがあり、ただ一つの小さなライトがその空間を照らしている。
なんとも気味の悪い場所だが、まあ、墓場には丁度いいのかもしれない。なんて。
そう強がってないと、ちょっと辛い。
最後に見た顔が親友でも親でもなんでもなく、初対面の誘拐犯だなんて、俺は嫌だ。

...いやいや、うん、ヘンに不安がっても仕方ない。切り替えていこう。
そう、俺はもともとポジティブな人間のハズなんだよ。通知表にも「前向きでいい子です。」なんてお世辞を書かれるくらいには、ほどほどに。
さあ、無事に帰るにはどうしたらいい?

冷静になろう。

ちょっと前に読んだ推理小説の真似事をしてみる。

まず、ここはどこなのだろうか。
例えば、まあベタなパターンだと、その誘拐犯の家の倉庫だとか、押し入れ、あるいは屋根裏など、そういう狭くてプライベートな空間に閉じ込められていたりするのだろう。
もし俺がやるんだったら、そうする。
が、ここは恐らくその凡例には当てはまりそうにないみたいだ。

理由は単純、この部屋、やたら広い。
目測だが、学校の教室より少し狭いくらいの広さがあるようだ。天井も5m以上は高いにあるんじゃないか。とにかく広い。
個人用の倉庫だとして、ありえないサイズ感である。
しかもこれ、明らかに俺のために用意されている。こんなサイズの倉庫を所有している富豪がいたとして、そいつが俺を個人を誘拐するメリットがあったのか、という話だ。
そんなハズはない。

それと、ここ、環境音が一切聞こえないのだ。
確か、誘拐される前、今日はかなり強い雨が降っていたハズなのだが、その雨風の音は一切聞こえない。
だからここは屋内で、かつ、かなり外からは隔たれた場所。

さて、この二つから編み出される答えは何か?


「ここは地下なのか...?」


...合点がいって、咄嗟に口走ってしまったその時。


「正解だ。」


と、どこからともなく声が響いた。

3人目

声がする方を見るとそこには、 一人の男が立っていた。
黒いスーツを着ており、顔はサングラスでよく見えないが多分20代前半くらいの若い男に見える。身長は高く、体格もいい。……ヤバい、めっちゃ怖い。
「お前は人質だ!こいつらにとあるゲームに参加してもらう為のな!」
と言って男はとある2人の男子高校生の写真を見せてきた。それは俺の友人の加藤春樹と水無瀬雄也だった。「なんなんだお前らは!?目的は一体何なんだよ!!」
恐怖を押し殺して必死に叫ぶ。
すると男は、
「目的ならもうすぐ分かるよ。」
と言いながらニヤリと笑った。
そして続けて、「まあそれまでゆっくり休んでてくれ。それとこの2人がゲームに失敗したらお前の首に巻いてある縄に引っ張られて天井に吊り下げられる様になってるからな。せいぜい祈っておくんだな。」
そう言い残し、去っていった。
一人残された俺はしばらく呆然としていた。
そしてしばらくしてようやく状況を飲み込み始めた。……えっマジで?俺死ぬの? 嘘だろおい……。
いやいやいやいや、落ち着け俺。大丈夫だ。まだなんとかなるはずだ。まぁ手足は厳重に縄で縛られてるし、ついでに手錠まではめられたからどうすることも出来ないけど……。でもあの2人に参加させるゲームって一体なんなんだろう?うーん、まあ、あいつらが失敗するとは考えにくいけど……。
なんてことをあれこれ考えているうちに結構時間が経った。
すると部屋の中が突然明るくなり、 その眩しさに目を細める。


そして、部屋の中には無数のカメラが設置されていた。これはゲームの参加者に人質の様子を見せる為のカメラということだろうか?そうなるともうゲームは始まっている?クソ、何もわかんねぇ。すると1人の男が部屋に入ってきた。
「生憎だがお前の友人の様子は教えられねぇぜ!まぁ、ソイツらがしくじったらお前が首吊りになるだけだがなァ!!ギャハハッ!!!」
そう言って男は高笑いしながら去って行った。……うざすぎだろアイツ。
それからまたしばらくして、今度はさっきの男とは違う別の男がやってきた。

「こいつが人質の拝島真琴か……。」
そう呟くと、こちらに近づいてきて、俺の顔を覗き込んできた。
「へぇ、意外といい顔してんじゃん。」
そう言うとその男は俺の頬を触ってきた。
「ひっ……!」
思わず声が出る。
「あ、ごめんね〜。びっくりさせちゃったかな?」
ニヤリとした笑みを浮かべながら謝ってくる男。……なんだこいつ?気持ち悪いんだけど……。

「ちょっと大人しくしててよ。すぐ終わるからさ。」
そう言うと、男はナイフを取り出した。
「ひいっ!?」
恐怖で身体が震え出す。
「おぉっと、動かない方がいいよ。下手に動くと君の綺麗なお肌が傷ついちゃうかもだからね。」ゾクッとする声で囁かれる。……怖い。嫌だ、死にたくない。誰か助けてくれ……。だが無情にもその時はすぐに訪れた。
ブスリという音がしたと思うと首筋に鋭い痛みを感じたのだ。恐らく注射のようなものを打たれたのだろう。体が痺れて動かせなくなる。「よし、これでOKっと。暴れられると厄介だからね、この時間は俺が好きに出来る時間だからね。」
男は満足げにそう言った。
「ゲームの参加者を煽る為に協力してもらうよ?」
そう言われ、首筋を指でなぞられた後、そのまま耳元まで這わせられ、息を吹きかけられる。
「ふぅ……」
「うあっ……!」
変な感覚に襲われ、ビクンとなる。

「いい反応するね〜」
そう言いながら男はさらに続ける。
「じゃあそろそろいただこうかな。」
そういうと舌舐めずりをする音と共に首筋に生暖かい感触を感じ、「チュパ……ジュルルルルルッ!!!」という音をたてて吸われる。
「やっ……!うああぁぁぁぁぁっ!!!」
あまりの気持ち悪さに悲鳴をあげる。しかしそんなことはおかまいなしに行為はエスカレートしていく。「レロォ……ハムッ……プチュウゥッ!!!」
何度も何度も吸い付かれ、舐められ続けた。