魔法の鏡

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1人目

さあさあ!楽しく愉快でちょっぴりダークなコチラの世界へようこそ……!

楽しい楽しい御伽噺は始まったばかり。

君はどんな夢を見る?

2人目

聞こえて来る声、遠くからでももはっきり聞こえたその声に私は答える。

「私は幸せな夢を見る」

 その為に私は眠る。
 寒空の下。
 凍える雪の中で。


 これから待ち受ける世界に胸をときめかせながら。
 目が覚めたるとそこには見た事がない光景が広がっていた。

3人目

私の名前はユキ。高梨ユキ。普段はアニメオタクの地味な高校一年生の女の子。だけど私には秘密がある。
うーんと、えーっと、あれ、どこ行ったっけ?
あ、あったあった。これこれ。この手鏡が私の秘密の道具。この持ち手の所のボタンを押すと、あら不思議。陰キャな私が陽キャの男の子に変身できるの。ほら、格好まで男の子に!便利でしょ?
この鏡は昨日、学校の帰り道で拾ったの。ちょうど草むらに何か光るものが見えたから近寄ってみたら、こんな風に地面から生えるように手の平くらいの手鏡が落ちてたの。
で、ボタンみたいなのが付いてたから押してみたら、ポンって煙みたいなのが出て男の子になっちゃってた。
そりゃあ始めはびっくりしたよ。でもいつも見てるアニメにもそういう設定があったから、これって夢だよね、て感じでそのまま街を歩いてみたの。
そしたら、普段私になんて興味も示さない同級生や上級生の女の子がキャーキャー言ってるわけ。なんだか面白くなって夕方まで町をぶらついてから家に帰ったんだけど、夢だと思ってたのにいつまで経っても覚めないの。
だから何時もなら出歩かない土曜日のお昼に、こうして賑やかな繁華街まで来たってわけ。

4人目

一度やってみたかったんだよね、イケメンになってナンパするの。
繁華街に来てみると1学年上のミステリアス美女、烏丸ひかりがそこにいた。
どうせ今の私は別人だしやってみようかな!
「よっ!彼女、僕とお茶しない?」

しかし烏丸ひかりはこう答えた
「わたくし、女性に興味はございません」

!?
まずい、変身の効果が切れてるのに声をかけてしまった…!
どうやら変身は1時間で溶けてしまうらしい。

5人目

夢はいつの間にか溶けてしまったけれど大丈夫。
なぜなら私には魔法の鏡がある。

大丈夫、誰もいないところで変身すれば……
ほら、元通り。

念のため一応鏡で自分の顔を確認してみたけれど、ほら……誰から見てもイケメンの私がここにいる。

私が、再び歩き出せば多くの女の子が寄ってくる。
あの子だってほら、先ほどの出来事なんかなかったかのようにコッチを見ているよ。