プライベート 現実に飽きたので異世界転生してみます!

3 いいね
3000文字以下 30人リレー
1年前 330回閲覧
  • ファンタジー
  • 登場人物が死ぬの有り
  • 残酷描写有り
  • 異世界転生
1人目

「あーあ、退屈だなあ」

ある女性は鼻と唇の間にペンを挟んで、落ちないように口で抑えながら椅子に腰掛けていた。
彼女の名前は「月見里 綾音(やまなしあやね)」。
ごく普通のOLで現在25歳。
彼氏いない歴=年齢と考える方が早いくらい人に恵まれなく、そのくせ発育だけは良かったので意図しなくとも色目を向けてくる男だらけの環境で育った。
黒髪のショートヘアーにねずみ色の伊達メガネ、OL服に身を包み髪留めとして学生時代に作った「T.A」の形をしたものをつけていて、綾音のイニシャルなのだが……絶望的に美的センスがないらしい。
そんな綾音は現在、ふたつの願望に悩まされている。
1つ目は「現代から抜け出したい」
2つ目は「のびのび自由に暮らしたい」
である。
良くも悪くも綾音は社畜であるが故に、いつも上司にこき使わされている。
ちゃんと言われた仕事はこなしてるのだが、嫌味ったらしく文句言われるのでいつも抜け毛に悩まされている。
そんな綾音が今なぜ退屈しているのかと言うと……、やること全部やって暇なのに帰らせてくれないからである。
気づけば周りには誰もいないし、なんだかひとりぼっちで取り残されたような感覚に陥る。
そういえば上司に「月見里くん、少しの間だけでいいからここに残っといてくれ。今から会議で皆離れないと行けないから」と言われてからもう1時間、会議にしては遅くないか……?と内心思い始めてる。
やる事やって暇な綾音は、退屈しのぎに趣味の一環である漫画を読み始めた。
きっと自分が好かれないのはオタクだと思われてるからなんだろうなあ…と少しネガティブになりながら……。
この漫画の登場人物みたいにイケメンの男に恵まれて、魔法なんて使えたら楽しいだろうに……なんて妄想をしながら……。

2人目

漫画は漫画、現実になってはくれない。 言われなくても何度も聞いた
それでも、こんなつまらない世界よりはマシな場所に送ってくれないかな?
あっ読んで入り浸れる時間が楽しいという意味ではありがとうございます。
でも、もっと深く入れたら、、、でも普通に転生するのは嫌
一回こっちで死んで転生とかそれはそれで辛そうだし嫌。
もっと気楽にのんびり簡単にさらっと異世界に行きたい、もちろん最初は安全なところに。
別に体が別人に変化するのなんてどうでもいい、この体で良いこともなかったし、、、

それにしても本当に遅い、どうせすぐ迎えに来る気も無いはずだから当然だけど。
漫画ももうすぐ読み終わってしまう。 どうした、会議とやらがそんなに楽しいか
ならば精々楽しんでいろ、この幕が下りるまで、、、

どこかで読んだ台詞をちょっと改変して脳内再生しながら
もうすぐ読み終わる漫画の残る厚さに目を向ける、ここまで誰も来ないとストレスさえ湧かない
むしろ眠いし何か食べたい、こんなイケメンにあーんされたい
思考が狂う中で何かが視界に入る、、、紙だ

[世界A-00番→■■■行き]
[切符をきることで移動 ]

何だこれは、オタクだと知った故の悪戯か
正直取るに足らない代物だ、適当にシュレッダーにでもかけようか?

3人目

落書きで書いたにしてはよく出来ていた切符を手に取ってみると
その異様な質感に驚いた。まるで絹で作られた手袋越しで触っているかのような
艶やかな指触りに、魔法のように魅入られている自分がいた。

「まぁ、どうせシュレッダーかけるんだったら、騙されたと思って切ってみてもいいかも」
子供のいたずらだとしても、待てど待てども人が来ないこんなオフィス内じゃ
私を痛いオタクだと嘲謔の声すらしないだろう。それになにより、本当に
この切符でどこかへ行けたのならば、願ったり叶ったりって話だ。

よし、ちぎってしまおう。

切り取り線をなぞるように切符を引っ張って、紙に切り込みが入る。
ふと、子供の頃大事にしていたペンを壊してしまったときの様な
妙な喪失感と寂しさがよぎったが、そのまま私は勢いに任せ切符を切った。

グラリ。

足下が上下180度回転し、天と地がひっくり返ったかのような錯覚に陥る。
夢の中で落下して、微睡みから現実に連れ戻されるときのような
ジェットコースターの落下する直前の緊張感のような。
え、もしかして本当に?真剣って書いてマジなヤツ?
体が重く重力に引っ張られていく感覚とは裏腹に、思考は瞬きをするたびほどけてゆき
ゆっくりと吐いた息とともに、私の意識は宙を舞いここではない何処へと溶けていった。

途切れた意識がつなぎ合わさるまで、そう長くは感じなかった。
目を見開いてみたら青々とした草原が広がり、空一面には空高く飛ぶドラゴンが・・・
なんてことはなく、先ほどまで座っていたデスクを、蛍光灯の微妙な照明が照らしている。

なーんだ、やっぱ釣りだった。程度の悪いドッキリじゃん。
幸いまだ誰も戻ってきていなかったが、眠ってしまってどのぐらいたったのか
時計を見て確認する。時計があるはずの虚空を。

・・・・あれ?

そういえばなんで私のデスクしかないんだ?

窓は?ドアは?

困惑して周りを見渡すが、自分がどこにいるのかを示してくれるような物はどこにもない。
それどころか、自分のデスクより先は暗闇が広がっており、何も見えない。
困惑している中、デスクの真ん中に鎮座しているモニターが勝手に付いた。

『>アナタ ハ セカイ、 □□ マシタカ?」

画面に急に文字が浮かび上がる。
なに?ホラー?怖いのも痛いのも嫌いなんですけど

『>アナタ ハ セカイ、 ア デスカ?』
『>・・・アなたは世界に飽きまシタか?』

4人目

「飽きたって………というかこのモニターなに??」

綾音はただただ困惑していた。
一見何も代わり映えのしない自分のデスクをみて心底ガッカリしたのは正直内緒。
オタクとしてちょっぴり期待していたのだから。
だが実際はどうだ?目の前のカタコトで意味深に表示された謎のモニター。
そしてそれ以外周りに何も無い虚無空間のような場所。
まるで自分だけ隔離されたかのような錯覚に襲われる。

「あなたが何者かは知らないけど、確かに飽きてるわ。
もし今から新世界に転生させてくれるんだったらそれは喜ばしいけれど、せめて私を退屈させないで欲しいな……」

かといってチート能力が欲しいわけでもチヤホヤされたい訳でもないしと1人勝手にボヤくめんどくさいタイプのオタク女子。
そりゃさっきイケメンにあーんされたいなとかイケメンに好かれたいなとか欲望丸出しのこと考えてたけども……。
何にしても、もし新しい世界に行くのならもう今いる世界に思い残すことなんてなんも無い。
むしろ退屈からサヨナラできるのなら喜んで受け入れてやる。

__ようこそ"新世界"へ、これからあなたを尽きることの無い探究心溢れる素晴らしい世界へと誘いましょう。

どこからかそんな声が脳内に響き渡る。
すると途端にあんなに暗かった周りの雰囲気がパァーと照明に照らされたかのように明るくなっていく。
それは綾音の視界を奪い、意識を失わせるほどのものだった。
正直一言も発する隙もなく気絶してしまったのだけは覚えてる。
あの謎の光と声が聞こえてからどれくらい経ったのかは知らないけれど、今綾音がいるのはどこかの森の中。
現実とさほど変わり映えのしない風景だが、ふと上を見てみれば巨大なドラゴンが頭上を通って行ったのが見えた。
全長何mあるんだろうか、少なくともあんなものは現実では見た事は無いしいるわけがなかった。
今の所それだけしか見てないが、これだけでも十分確信は着いた。

「異世界きたぁぁあ!!」

1度貯めるように、堪えるように握りこぶしをふたつ作ってしゃがんだかと思うと、一気にそれを上に突き上げながら立ち上がる。
某仮面ライダーの名セリフに似た発言と行動を真似したのか知らないが、少なくとも綾音は興奮しているのは間違いない。
さて、異世界に着いたことがわかったのはいいが…今の自分の容姿を一応確認しておこう。

頭:なんか変に硬い気がする。
固いというか亀の甲羅に似たゴツゴツ感。
それでいて触り方を間違えると少し痛い。
あれ?そういやメガネが無くなってる、まあ伊達メガネだしいいけど……。
服:少なくともOL服では無いみたい、というか……裸?!!まってよ、全裸ってことないでしょ!
見えちゃいけないとこいっぱい見えてるって!よくないよ!でも、なんだか鱗みたいなのが浮き出てる?
手:手は……なんだかかぎ爪のようなものが着いててこっちもやっぱりゴワゴワゴツゴツ……。
やたら爪鋭いな?!私。
これじゃまるでドラゴンじゃないか…。
足:さっきの手のことでだいたい察してたけど、足も足でガッツリとファンタジーに出てくるようなドラゴンの足でした。
総称……

「私ドラゴンになっとるやんけ!!!」

そういえば背中には立派な翼が2対2組の合計4枚あることに今気づいた。
それと申し訳程度の尻尾に角……。
そりゃ服なくて裸なのは仕方ないか…と納得した。

「まってよ、別にあの体は特にいいこと無かったから変わったこと自体はどうでもいいのよ。
なんでよりによってドラゴンなんだよぉお!」

綾音は謎の遠吠えを挙げた。
もちろんそれが嫌という訳ではないし、むしろドラゴンってかっこいいから悪くはないかもなんて思った。
でもまんまドラゴンじゃなくてせめて竜人みたいな、ケモナーがこぞって好き好き言いそうな見た目が良かったのに……と変な欲を垂らしている。

「何とかして竜人みたいな見た目になれないかなあ……。
少なくともこのまま街とかに赴いたら絶対その街の騎士団とかに殺されるやろ!」

そう思ったからか、何とか必死にそれっぽいことを試してみることに。
厨二病だった頃に書いてた魔法陣を書いてみる、がダメ。
某バトル漫画見たく気を込めたら姿変わんないかなー、がダメ。
他にも色々ためしまくった。
すると脳内に響いたのが

__異世界転生おめでとう!祝福ー!今のあなたは『極龍族<アークドラゴノイド>』という割と珍しい種族の仲間だよ!ちなみにどうでもいいこと言うとその種族は他種族からものすごーーーく嫌われてる存在だから頑張って人間に化けてね☆多分そのうちできるようになるよ!知らんけど。

なんだこの適当な案内役……そう内心呟きながらとんでもない言葉を聞き逃さなかった。

「他種族から嫌われてる?!!もしかして悪役にでもなったの?!」

超嫌なポジション取ったんだけど……とか内心思いながら途方に暮れている。
それよりもこの若干ウザイ投げやりの案内役は何者なんだ?姿を見せて欲しいものだ。
どっかの最強スライムみたいなパターンだけは色々問題になるからやめてくれよと願いながらキョロキョロしてみる。

5人目

周囲は見るからに森、もちろん森だから視界も悪い
ここからどうしてほしいのだ、あの声は
とにかく、どうすることもできないのでまずは気休めでも服は欲しい、、、
服、、、布、、、うん、その辺りの葉しかなかった


仕方なく葉っぱを適当に体に貼る。当然服にはならなかったがどこかから動物の声が聞こえた。
多分葉の中にいる、あの、、、兎のようで少し筋肉質なナニカかな?
とりあえず可愛い。 そこまで不気味なモンスターが最初ではなく何よりだ
とりあえずなでなd

(ギシャー!!!
噛まれた。逃げていった。泣いた
兎(暫定)からも嫌われる、異世界でもボッチは治らないみたい

そもそもあの声も言っていた
『他種族からものすごーーーく嫌われてる存在』だと
やはり竜人への変化を目標にしよう、そうしよう
そのためにもまずは安全なところが欲しい。
ただ探すにも樹が邪魔。何も見えない、伸びすぎた前髪より鬱陶しい

龍らしく炎の息や飛行で対処してみたいが、、、私には一つ弱点がある
息を吐くことで炎を出したり腕の相同器官でもない翼を動かし方を知らない。
言ってしまえばドラゴン初心者という点だ。

スマホが欲しい、こんなことになるならあの濁りに満ちた掲示板さえ求めてしまう
そう、今タイトルで探すなら、、、

【急募】 ドラゴンになってしまったのでチュートリアルくれ

6人目

そうやって悩んでいたら…ガサリ、と少し遠くから木々をかき分けるような、森を通り抜けこちらに向かってくる何かの音が聞こえた。
兎(暫定)にも嫌われるドラゴン初心者には流石にここで近づいてくるような何かに会いたくはない、だから隠れたいんだけども…
隠れ場所その1、木の上!翼がめちゃくちゃ引っかかるから音が鳴りまくって無理!
隠れ場所その2、茂みの中!尻尾も翼も角も邪魔で多分木より隠れられない!無理!
もしかして:詰んでる?

そうこう考えている内に、ガサリとすぐ近くまでに音が鳴って飛び出してきてしまった!

ーーーそれは、おそらく人間だったと思う。
でも、この世界のことはよくわからないにしろ普通の人間はあそこまで恐ろしい外見はしていないだろうというのは直感で分かった。
血に濡れて錆びた金属の鎧、なぜかそれは生きているかのように赤黒い鱗がまばらに生えている。
何かの肉がこびり付いたその剣、なぜか牙みたいなのが生えているし…なにより包丁とか生ぬるく見えるくらいに鋭利で冷たい光を纏っている。
…それに、兜の隙間からは眼光だとなんとなく感じた残像を残す赤い光を覗かせている。
極めつけには私を見た時に言い放った言葉だ、
『騒がしい咆哮が聞こえたと思って来てみれば…クハハッ…極龍族か、丁度いい。そこらの竜を狩るのには飽きてきた所だ…』
明らかに…
『どうせ碌な生き方をしている怪物じゃあないんだろ?承認なしで狩っても文句を言う奴はいないだろうな…それでお前は、どこまで俺を楽しませてくれるんだろうなぁ?』
まともじゃない。

…明らかにチュートリアル無しで右も左も分からないドラゴン転生初心者な私が、今絶対に戦ってはいけない相手なのは確定じゃないか!どうして!

7人目

さあ非常に困った。
転生してまだ模索段階だと言うのにいきなり急展開。
負けイベかな?そう思わせるようなヤバいモンスターのようなやつが目の前にいる。
やめてくれよ……まだLv1くらいのドラゴンだぞ?とか内心思った。
あーこんな時に案内役何とかしてくれないだろうか。

__呼ばれた気がしたので出てきました!そいつは『竜殺しの民<キラードラゴノイド>』と呼ばれる種族です!元々竜を崇め奉った種族だったと言われてますが、その竜に突如として裏切られ村を滅ぼされたことがきっかけで、綺麗に変わってしまったようです!実力は確かなので逃げるのはありだけど、せっかく転生したんだしさ?ちっとばかりズルしないかい?

そう問いかけられ、綾音は正直どうしようかとおもった。
というかそう思う程の余裕なんて貰えないだろうなというのは相手の様子を見ても分かる。

「どうした?極龍族。
怯えているのか?まるでワシに目をつけられた雛鳥のようだな?まあいい、そっちが来ないなら先に行かせてもらうぜ!」

あーもう余計なこと考えてる間にあっちが攻撃してきた!!
やっぱこの案内役使えないだろ!豆知識いらねー!とかすごい思ったけど、ズルってなんのことだろう?と思った。
相手はその手の凶器を構え、綾音を斬り殺さんと襲いかかってくる。
チュートリアル戦闘にしてはあまりに突発で、しかも操作方法も何も教わってない状態だが……悪くはなかった。
でもそれはそれとしてすごく怖い!!そう思って目を瞑った次の瞬間っ!

「ぐぁぁあ!!!なっなんだこれは!」

竜殺しの民が目の前で結界のような、箱の中に閉じ込められてしまったでは無いか。

__はいっ!これはねー『結界術:鳥籠<スネアトラップ>』という魔法だよー!魔法クラスの中では正直鼻くそ程度のよわーい魔法だけど、この種族に対しては特攻が今だけ着いてます!だってまたすぐ死なれても困るから少し過保護なくらいがいいかなーって。

8人目

「また」という言葉に引っかかりこそしたけど、とにかくあのおっかないのが何とかなったならなんでもいい。

なんか!なんか一発であいつを倒せるやつないの?

___それはつまり、彼を殺すってことかい?

殺す…いや、殺しはしたくない。ついさっきまで死とは縁遠い生活をしていたというのに、そんな過酷な判断を即座にできるわけないじゃない!

___でも〜ただぼーっとしてたらいずれあの結界も瓦解するよ?

でも…!進むも恐怖、止まるも恐怖。かくなる上は…!

逃げるしかないっ!とにかく全速力で走ろうとする。
が、なんだこの体!やたらでかいせいで動きづらい!必要以上に立派なネイルは地面に食い込み、踏み込んだ前足は空振りをし、前に進むことはなくその場で滑ってしまう。

___なんで走って逃げるのさ。かっこ悪いなー

だって戦いたくなんて!

___違う違う、そうじゃないそうじゃない!なんで飛んで行かないの?

飛ぶ…って!はっ…!
そうか今の私にはあるんだ!羽が!自由に翔ける翼が。あれ、でもどうやって羽って使うんだ

___ドラゴンなんだから普通に羽を使えば飛べるんだけどなー。じゃあこう唱えてみてよ。
『飛翔<エアボーン>』って

エア…エアボー…ン!

体の周りに気流が集まってきて、体が軽く浮き始めた。浮いていく体を空中でバランスを取るためにバタバタしているうちに、羽の感覚も少しわかってきた。

よし、行ける!

大く羽ばたき、まっすぐ上に空を駆け上がる。風の逆風に煽られて目を竦めある程度の高度に到達し、気流が安定したら目を見開いた。

え、いやこっわ!!!たっか!こっわ!

足場のない場所で、空に野晒しになっている状態は、非日常ではあったけれど、刺激が強すぎて新たなリアルからも目を逸らしたくなるほどだった。

___ほら、逃げるなら早く---

ブゥン…

激痛が肩を走る。恐ろしいほどの速度で何かを耳元を掠め、肩を抉っていった。

あぁああああ!!いたいいたいいたいいたイ!

自分の喉から聞いたこともないような咆哮に似た絶叫が溢れ出る。あまりもの痛みに、目の奥で閃光が光るような感覚を覚えパニックに陥る。

それとともに、腹の奥から怒りと熱が込み上げてくる。

あぁ…ダメだ。このまま死ぬんだ…許せない。

視界が、思考が、赤い怒りの衝動に塗りつぶされる。私の喉を通る絶叫は、徐々に熱を持ち朧げになる思考の中、一瞬光が視界を全て覆い尽くして、私の思考は途切れる。

____きて

___起きて!このままじゃまた誰かに狙われるよ!

重い瞼と首を上げると、私の視界に入ったのは焼けこげた地面と、焦げた香りに混じった血の香りだった。

9人目

どうしよう、まるで外国の映画。戦争で焼かれた大地、血と灰の匂い、人の怒号
、、、えっ人?

確かに寝てはいられない、自分は狙われているみたいだから
いや、確かに既に二回くらい狙われたのだが流石にはいそうですかとすぐに慣れはできない
それでも何とか体を起こし隠れる場所を探す。残念、近くには無いみたい

飛べばまた狙われそうだから歩いて逃げよう、本当に何のための翼。
左腕に力が入らない、間違いなく違和感はあるがあまり見たいと思えない。
あの痛みは『肩に』あった、どう考えてもそれが答え。

『この辺りに落ちたはずだ、よく探せ』
『こっちは誰もいなかった!』
『残る方角は?』

人だ!これで助けてもらえ、、、るはずはない
だって自分は嫌われ者、そう考えればあれは敵。
急いで近くの岩山に隠れる、翼もたたむ方法がわからないから右腕と岩で物理的に抑え込む
どうかバレないで、、、今できるのは祈ることだけだ。
あえて自分から仕掛けて攻撃するか、、、などと言っているがその勇気もない。

私は異世界には幸福があると信じていたのに、どうしてこうなった。

参加コード

リレー小説の続きを書くには参加コードを入力する必要があります。