プライベート CROSS HEROES reUNION Episode:22

117 いいね
完結済
3000文字以下 30人リレー
8か月前 881回閲覧
  • CROSS HEROES reUNION
  • TwitterタグはCROSS_HEROES_re
  • クロスオーバー
  • 二次創作
  • 参加コード限定
1人目

「Prologue」

 禍津星穢、ブーゲンビリア……CROSS HEROESに身を置く者たちと
浅からぬ因縁を持つ幹部たちを有し、
メサイア教団の前身・キラ教団に天宮月夜・彩香の両親殺害を命じた張本人にして、
ショッカー大首領、皇帝ジークジオン、マモーと言った並行世界の超常存在を
後ろ盾に持つ「老人たち」……数々の並行世界を渡り歩き、その一端に関わり続けてきた
叛逆の悪魔・暁美ほむらは次々と引き起こされる滅びの現象が
彼らの仕業によるものだと言う事を突き止め、ついにその正体が語られる事になる。


 その名は、「渾敦結社グランドクロス」……
不吉を表す天体事象であり、中国神話に連なる「顔の無い怪物」の名を戴く
その組織の悪意と呪いは全並行世界へと伝播していく……


【ロンドン来訪編 序章】原文:霧雨さん

 焔坂によって壊滅させられた流星旅団は、悪徳刑事が命を賭して守ったデータを解析。
次の行き先を特定した。次の行き先はイギリス・ロンドン。
そこはかつてキラ=夜神月と戦った世界最高の名探偵「L」が育った施設
『ワイミーズハウス』がある場所。
一行はミケーネ神の打倒のためにギリシャに向かうのと同時に、
メサイア教団の聖戦について調べるためにロンドンに向かった。
その背後、怨敵たる焔坂が天宮月夜をストーキングしていることも知らずに……。

 時を同じくして、存在しなかった世界では大司教の第3位である
『銃の化身:アザゼル・O・カルネウス』がエイダムと口論になっていた。
エイダムに『グランドクロス』について聞き出そうとするも、なぜか隠そうとしていた。
あまりの不自然さに訝しむも、カルネウスもまたロンドンに向かい始める。
メサイア教団と『グランドクロス』の関係とは?
カルネウスは一体、どこまで知っているのか?
そして、エイダムは何を隠しているのか……?

 謎が謎を呼ぶロンドンにて、新たなる戦いが始まろうとしていた___!

【DD編】原文:AMIDANTさん
 
 港区での戦いを収めたCHが次に相手取る敵は、2つとなった。
この世界より隔絶された閉鎖空間、特異点にて常盤ソウゴの処刑を行うクォーツァーと、
ギリシャ圏にて機械獣として降臨し戦火を巻き散らす、ミケーネの神々。
双方に対応する為に、異世界へ移動可能なアビダインを用いるアビィを筆頭とした
ソウゴ救出チームと、サヘラントロプスという機械に対して強大な武力となる兵器や
正義超人といった勢力を抱える対ミケーネチームの二つに分かれる事になる。

 各々が出立へ向けて準備を整える最中、ウーロンはふとした事からDDのボスである
ヴェノム・スネーク、いやアメリカの英雄BIG BOSSの半生を聞くことになる。
賢者の遺産と呼ばれる莫大な資金を巡る裏世界の事情によって、ザ・ボスという英雄が『国』や『時代』に見放され、実の弟子スネークに葬られるという悲劇。
そして彼女の、『世界はひとつにあるべき』という意志だけでも受け継ごうとした
スネークとゼロ少佐が袂を別った道程を。
更に当時の亡霊、ヴォルギンが最後の襲来を掛けて来た。
だがザ・ボスの意志を継いだ一人であるゼロ少佐なりの解釈から出来上がってしまった
壮大な陰謀と、ソレに立ち向かう為に意志を継いだもう一人たる
ネイキッド・スネーク=BIG BOSSが抗う構図、そして何より復讐の相手であった
ヴェノムが、BIG BOSSがゼロ少佐に立ち向かえるまでの影武者に過ぎないを聞き、
最早国規模では無い『時代の流れ』を突き付けられたヴォルギンは完全に死亡する。
襲来の終わり、己の存在意義を重く受け止めるヴェノム。
だが全てを聞き届けたウーロンが辿り着いた一つの結論、自分達もまたザ・ボスの意志
を受け継ぐという言葉に希望を見出し、決意を新たにした。
その時、カズからかつてのMSFの遺産、メタルギアZEKEの存在を示唆される。
アビダインは無事に特異点へ向けて飛び立った。

 DDが目指すは、旧マザーベース跡地。
その裏にて、ゼロ少佐はとある子どもとの会談で、己の野心を燃え上がらせるのであった。

【杜王町編】原文:AMIDANTさん
 
 特異点の杜王町にて常盤ソウゴの処刑を知った藤丸立香達。
だがタイミング悪く藤丸の魂がほむらの夢の世界に旅立ってしまい、
更にシャドウの群れの襲撃により、残されたサーヴァント達、ディケイド、
ゼンカイジャーの3人、ニュートラルガーディアン、心の怪盗団の3人、
正義超人達が戦う事となる。

 追い打ちを掛ける様にメサイア教団の大司教第4位『芥志木』、
絶対兵士『辺古山ペコ・オルタ』が襲来。
だが猛威を振るう一方でその反動が祟り、更にはマシュとなぎこの言葉により
心をかき乱され疲弊したペコ・オルタは逃亡、ある人物達を最後に見て気絶する事になる。
一方で特異点という思いがけない場所で再開を果たした怪盗団と正義超人。
 談笑の最中、テリーマンの指摘により怪盗団達は歪ながら幸福な夢
『IFの1年間』に陥っていた事、そんな夢から仲間である竜司によって
目を覚まして貰えた事を告白する。
自分達を陥れた者への義憤に燃え上がる中、テリーマンはこの特異点の異常性について
冷静に分析する。
導き出された結論は、現実と認知世界が曖昧になっているという物だった。
歪な夢、現実改変、影を見せぬ黒幕、これ等が描く壮大な陰謀とは…?

【特異点別働隊編】
 
 杜王町での出来事とほぼ同時刻、常磐ソウゴ処刑宣告のお触れを知らされた
トランクス、ロロノア・ゾロ、宮本武蔵もクォーツァー拠点へ赴こうとしていた矢先、
ルイーダの酒場で働いていたマジーヌとブルーンが
CROSS HEROESとの戦いから緊急離脱したものの、樹海に不時着して動けなくなっていた
辺古山ペコ・オルタを発見し、連れ帰ってくる。
酒場のマスター・ルイーダにペコの看病を任せ、一行は決戦の地へと向かう……

【ガンヴォルト/四季彩世界の夢物語編】原文:渡蝶幻夜さん

 何も無い場所 あらゆる可能性を見い出せるようなところに理由もなく
飛ばされたGV モルフォ 大空太陽 月影夢美の4人組。
どこに出るか分からない確証もない移動を開始するのだった。
果たして4人組が辿り着く先は、天国(理想)か地獄(現実)か?

【特異点突入編】

 港区での激闘を終え、万感の思いと共に特異点への突入を敢行した
超次元戦艦アビダイン。だが、そこに待ち受けていたのはターレスとスラッグであった。
クォーツァーに与する2大強戦士……ナメック星人の誇りを穢すスラッグに
怒りを燃やすピッコロ。
サイヤ人の王子・ベジータと下級戦士出身と言うコンプレックスから
力への渇望を剥き出しにするターレス。
ソウゴが囚われているであろうクォーツァー拠点には、悟空の瞬間移動でも辿り着く事が
出来なくなっている。アビダインで直接現地へ向かう他にない。

 ピッコロVSスラッグ、ベジータVSターレス……
アビダインをソウゴの元へと向かわせるため、壮絶な戦いが始まる!

 

2人目

「シン・仮面ライダー対仮面ライダーBLACK SUN⑤「オートメーション:オールデストロイヤー」

 謎の男、オルデ・スロイアによって不可思議な空間に閉じ込められた
仮面ライダー第1号/本郷猛、
その本郷を倒すために秘密結社SHOCKERが差し向けた刺客であったが、
魂の自由を取り戻した仮面ライダー第2号/一文字隼人、
SHOCKERを裏切り、本郷に改造人間のオーグメンテーション手術を施した科学者
緑川博士の娘、ルリ子、
そして同じく護流五無によって黒殿様飛蝗怪人へと改造されたBLACK SUN/南光太郎……
 
 世界を隔てながらも
人間の自由と平和を脅かす組織によってその運命を大きく歪められた4人の戦士が
オルデの差し向けた量産型暗殺部隊・ディフェンダー軍団を蹴散らす。
それは一方的な戦いであった。次々に倒されていくディフェンダー。
しかし、オルデ・スロイアの余裕の態度は尚も崩れる事はなかった。

「それだけの力を持ちながら、我々に歯向かうか。愚かな奴らよ」

 そう言った直後、オルデ・スロイアは両腕を左右に広げ、叫んだ。

「オートメーション:オールデストロイヤー」

 すると、オルデの姿がヒトの姿から全身機械のマシーンへと変貌していく。
やがてそれは、鋼鉄の兵士・オールデストロイヤーと化した。

「人間じゃなかった、ってワケね……」

 一文字が吐き捨てるように言う。
オルデの肉体は、完全に機械化されていた。

『その通り……有機生命体などという下等生物と一緒にされては困る』

 機械仕掛けの心臓部より、オルデは声を発する。
その言葉には、明らかに侮蔑が含まれていた。

『人間というものは本当に無駄ばかりのどうしようもない生き物だ。その点、私は違う。
私ならば、全てを合理的かつ効率的に行う事ができる。
人類を超越した存在として生まれ変わる事が出来るのだ!!』

 高笑いと共に、オルデは全身の火器を一斉に発射した。

「うおっと……!」
「ルリ子さん!」

 咄嵯に一文字は右へ飛び退き、本郷は逆方向に立っていたルリ子を庇い、
攻撃を回避する。

『どうかね? これが私の力だ。ヒトなどと言う脆弱な生物の殻を破り、
完全なる存在へと昇華する事ができたのだよ。貴様らに勝ち目は無い!』

 オルデは、人間としての肉体を捨て、完全機械の体を手に入れた事で、
自信に満ち溢れていた。
しかし、それを前にしても、一文字は怯む事無く立ち向かっていった。

「このォッ……!!」

 一文字が跳躍し、パンチを繰り出す。
だが、オルデはそれを片手で受け止めると、そのまま力任せに振り回した。

「フンッ!!」
「ぅおわぁッ!?」

 勢いよく投げ飛ばされ、森の樹木に激突する一文字。

「一文字!」
「っかぁ~~~ッ……無茶苦茶しやがって……」

 しかし、すぐに体勢を整えて立ち上がる。
続いてルリ子が銃撃し、その援護を受けつつ本郷とBLACK SUNが
オールデストロイヤーに挑む。だが、3人掛かりでも戦況は芳しくない。

『無駄だ。君たちの行動パターンは先程のディフェンダー部隊との交戦で既に解析済みだ。
もはや、私を倒す事は出来ないだろう』

 余裕たっぷりに言うオルデに対し、本郷も反撃に出た。

「とぉおおッ!!」

 ライダーチョップを繰り出し、首筋に命中する。
だが、オールデストロイヤーの装甲は想像以上に頑丈であり、
ダメージを与えた様子はない。

(硬い……!!)

 逆に、その腕を掴んだオルデに本郷はそのまま持ち上げられてしまった。
そのまま地面に叩きつけられる本郷。

「ぐあっ……」

 それを見たBLACK SUNが、空中から飛びかかった。

「おおおおおおおッ!!」

 両足キックで胸部を狙うが、これも装甲の前に弾かれてしまう。
空中反転して着地、即座に連続攻撃を仕掛けるが、やはり有効打にはならない。

『無駄だと言っている』

 オルデが右腕を振り上げると、そこに内蔵された機関砲が火を噴いた。
BLACK SUNは咄嵯に身を固めて防御するが、衝撃に耐え切れず吹っ飛んでしまう。

「チッ……!!」

 改造人間特有の超再生能力ですぐさまダメージ箇所が修復されるが、
このままではジリ貧である。一方、ルリ子は冷静に状況を分析していた。
銃弾は効かない。接近戦も危険。まさに八方ふさがりの状況だった。

『オーグメント技術、キングストーン、君たちには過ぎたものだ。
我々ならばさらに有効に活用できる。
君たちはおとなしく我々に服従すればいい。そうすれば、命だけは助けてやるぞ?』

 オルデの提案を、一文字は鼻で笑った。

「気に入らないねぇ……何とも傲慢な話じゃないか」

 そう言って起き上がると、再びファイティングポーズを取る。

「ああ……その提案を呑んだところで、お前らが俺たちを解放するとは思えん。
それに、キングストーンの力を欲する連中の考える事は皆同じだ」

 BLACK SUNもまた、オルデに対して構え、戦う意志を見せる。
そんな二人を見て、オルデは呆れたように首を振った。
まるで、自分たちが負けるなど露ほどにも思っていないかのように。

「君もその口かね? バッタオーグくん」

 オルデの言葉に、本郷は仮面の下で目を細めた。
そして、静かに語り始める。

「その名は捨てた。僕の名は……ライダー。仮面ライダーと名乗らせてもらおう」

 完全機械兵士・オールデストロイヤーと仮面ライダーの戦いは続く……

3人目

「ミーンワイル・ロンドン」

 ギリシャでCROSS HEROESが戦闘を行っている間、ロンドンに向かうヘリに流星旅団のメンバーは乗っていた。

「悪いな、俺達だけ先にロンドンに移動させてくれて。」
「いえ。」

 神霊を宿している彩香を抱えているとはいえ、ミケーネ神にぶつけられるかと言われると不安要素が残る。
 その上、ロンドンに行きメサイア教団の調査をしなければならない以上、役割分担は必要なのである。

「燕青、彩香の容体は?」
「彩香の嬢ちゃんは大丈夫だぜ。」
「よかった。神霊を宿したてだからな。何かの拍子で暴走してしまったら目も当てられない。」

 その彩香は今、ぐっすりと眠りについている。



 夢の中。

「……ここは。」

 微睡む意識。
 溶け落ちそうな程、ボクの身体は深い白の中へと落ちていった。

『聞こえるか、我が主。』
「あ……あなたは?」

 声は語りかける。
 その声は荘厳で、何処か威厳があった。
 まるで、ボクの父親のような。

「いや、あなたは……アマツミカボシ……だよね。」
『いかにも。気を楽にせよ。力を抜き、我が声に耳を傾けよ。』

 言われるがまま、ボクは彼の声に耳を傾ける。

『貴様は、何を望む?』
「ボクは……復讐を望む。家族を奪った教団への。」

 声は続ける。

『そうか、だがそれだけでよいのか?更なる力を欲しようとは思わないのか?思い出してみよ。思ってみよ。貴様が教団より毅き者共が来たとして、その者共の手により大切なものたちが傷ついたらどうするつもりだ?』

 更なる力への渇望を。
 されどボクは。

「その時になったら、それはその時のボクが決めることだ。今此処で決めることは……時期尚早だ。」

 今の結論を告げる。
 ボクの結論を聞いた彼は、荘厳に。そして優しく声を続けた。

『そうか。貴様は理知的なのだな。そして、誰かの為を思い、誰かのために涙を流せるとは。貴様を主に選んだのは正解だったようだ。』
「そうか。試していたんだな。」
『いかにも。何しろオレを宿す主だからな。せめて心は剛毅で冷静なものが良い。いかなる苦境にも理知的に対応できるほどにはな。』

 その一言と共に、ボクの意識はゆっくりと浮上してゆく。

『征け、真にお前を呼ぶ声が待っているぞ___!』



「……か……彩香!」
「ん?」

 眠っていた彩香が目覚める。
 微睡みながらも、彩香は意識を繋げる。

「今どこ?」
「もうそろそろロンドン上空だ。着陸と戦闘の準備をしておけ、いつ奇襲されるか分からないからな。」

 その声を聞いて、彩香はデュマからもらった刀と神體を腰に差す。
 月夜も、ボウガンを装填し白兵戦の準備を整える。

「おいちょっと待て、もう奇襲されているようだぜ。」

 と、その時燕青がヘリの外から何かを見たようで、外を見るように促す。

「もう来たか。」

 月夜たちを乗せたヘリの背後に飛んでいたのは、真っ黒い戦闘用ヘリだった。
 夜の闇よりも黒い機体。
 機体には白いインクで刃を下に向けた十字架の剣と背後の大鎌、そして大っぴらに書かれた『Messiah cult』の筆記体が刻み込まれている。
 間違いない。あのヘリはメサイア教団のだ。

「ちっ、連中嗅ぎつけてきたのか!」
「地獄耳かよ……やんなるぜ。」

4人目

「銃の化身・カルネウス」

「天宮彩香の御目付け役を引き受けて正解だったな。メサイア教団は間違いなくお前を……
いや、お前の中に居る神霊をマークしている。
或いは、私達が向かう先に奴らにとって都合の悪いものが有るのかもしれない」

 ペルフェクタリアは座席で腕組みをしたまま、独り言のように呟く。
CROSS HEROESから、彩香の側で彼女に宿る神霊が暴走などしないかを監視する役目を
買って出たペルフェクタリアと日向月美。
 彼女の言う通り、メサイア教団は神霊を宿した彩香を始末しようとしているのか。
または、彩香の中にある神霊を奪おうとしているのか。
いずれにせよ、彩香を狙う理由があることだけは確かだ。

「空中では不利な者も多い。何とか着陸して体勢を立て直したいところだが……」
「敵さんがそうさせてくれりゃいいんだけどなぁ」
「うわっ!?」

 その時、ヘリが大きく揺れる。
メサイア教団のヘリがこちらに攻撃を仕掛けてきたのだ。

「チッ、おい月夜、このままじゃやべぇぞ!」
「分かってるよ……!」

 ヘリは大きく旋回しながら、敵の攻撃を避ける。
しかし、このままだとロンドンに着く前に撃墜されてしまうだろう。

「仕方ない……」

 ペルがヘリのドアを開け、外に飛び出す。

「日向月美、足場を頼む」
「うん! 急急如律令!!」

 月美が印を切って呪符を投げる。
呪符は光を放ちながら巨大化し、五芒星の足場を空中に作る。
それに乗ったペルは、そのまま敵のヘリへと飛び移った。

「よし……!」

 川に浮かぶ飛び石にでも乗るように、ペルは軽々と足場を渡って
メサイア教団のヘリへと近づく。その様子はまるで曲芸師のようであった。

「ひょう、地上600mだぞ? 相変わらずイカれてんな、CROSS HEROESは」

 デュマは呆れたようにつぶやく。

(ペルちゃん……凄い……ボクも……
アマツミカボシの力をもっと自在に使いこなせたら……あんな事だって出来るのかな……)

 彩香は心の中で羨望する。
神霊を宿してから日が浅いとはいえ、彩香は未だアマツミカボシの力の全容を
把握できていない。故に、その力の全てを解放できないのである。
仮に解放出来たとして、それを安全なレベルでコントロールする術を持たないのだ。

「疾ッ!!」

 ペルが敵のヘリに飛び蹴りを喰らわせ、窓を突き破り機内に侵入する。

「ぐぅああっ!?」
「おぉ、やったぜ、あのおチビちゃん!」

 衝撃によりヘリが大きく揺れ、パイロットの悲鳴が響く。

「貴様……ぐわっ!?」

 ヘリの中にいた兵士がマシンガンを撃とうとするが、引き金を引く前に
銃身を掌底でかち上げ、ガラ空きになった胴に鋭い突きを繰り出す。

「ふんっ!」
「ごふっ!」

 兵士の身体がくの字に折れ曲がる。

「くそ、このアマァ!」
「黙っていろ!」
「ぶげぇ!」

「おいおい、随分風通しが良くなっちまったな。髪が乱れるじゃねえかよ」
「――!!」

 ヘリの最奥部のVIP席にふんぞり返る男の姿に目を留めた瞬間、
ペルの身体が見えない力で拘束される。

(う、動けん……!!)

 ペルは拘束されたまま身動きが取れない。心眼を凝らして自分の四肢を見てみると、
死霊たちが絡みつき、ペルの動きを封じていた。

「ほう、見えるのか。そいつらが」
「き、貴様は……!!」

「お前さ。グランドクロス……って知ってるか?」
「……何故お前がその名を……!?」

 VIP席に座っている男はニヤリと笑うと、ゆっくりと立ち上がる。

「知りたいのさ。俺の同僚は教えてくれなくてな。お前の口は羽毛より軽いから、ってよ。傷つくよなァ。俺だってTPOってのは弁えるぜ。だから、自己紹介だってする。
俺はアザゼル・O(オッド)・カルネウス。メサイア教団の大司教さ。
港区ではキング・Qとビショップが世話になったな」

(大司教……! そんな大物がどうしてここに……?)

 ペルは動揺していた。
メサイア教団の大司教と言えば、教団の幹部の中でもトップクラスに位置する実力者だ。
キング・Q、ビショップ……いずれも一筋縄ではいかない強敵で、
苦戦させられた記憶がある。
だとすれば、この状況は非常に不味い。ペルの額から汗が流れ落ちる。

「さあ、今度はお前の番だぜ? 挨拶をされたら挨拶を返す。当然のマナーだよなぁ」

 そう言うと、カルネウスは再び座席に腰を下ろす。
ペルは悔しそうな表情を浮かべるが、やがて観念したように呟く。

「私は……ペルフェクタリアだ。グランドクロス……それは……」
「うんうん、それは?」

「……お前には話さない。私は嘘が嫌いだ。だから本当の事をお前には語らない」
「そっかぁ……そりゃ残念だ。せっかくのロンドン旅行だ、
スカイダイビングを楽しんでくると良い」

 カルネウスはペルに右手をかざし、黒魔術による衝撃波でヘリから叩き落とした。

「――!!」

「!? 落ちた!?」
「ペルちゃん!!」

 騒然とする流星旅団と月美。ペルは真っ逆さまに墜落していく。
ペルが先陣を切って敵に攻撃を仕掛けた甲斐あって、既に流星旅団のヘリは
着陸態勢に入っている。

「行けよ、死霊共!」
『オオオオオオオオオオオオ……』

 発砲された弾丸からカルネウスが使役する死霊達の魂が這い出て、
月美たちに襲いかかる。

「あの人が、ペルちゃんを……!! はあああああッ!!」

 しかし、それらは月美が放った呪符によって阻まれる。
呪符が死霊達に触れて爆発すると、死霊達は一瞬にして消滅した。
退魔術の威力も上がっている。月美の成長が垣間見えた。

「ほう、退魔術……なかなかどうして、やる奴が居るじゃねぇか」

 月美の実力を認めたカルネウスは、感嘆の声を上げる。
ヘリとヘリ……お互いに睨み合いながら、
流星旅団を乗せたヘリは徐々に高度を下げていく。

「一端出直すか……ふふ、こいつは楽しい旅になりそうだぜ……」

 一方で、カルネウスが乗ったヘリは遠ざかり、離れていった。

「あの人……凄い魔力を秘めてる……!」

 カルネウスの力を感じ取った月美は思わずつぶやく。
月美は霊視能力に長けており故に、その目には相手の霊力が透けて見えるのだ。

「恐らく……大司教クラス……」
「マジかよ……こいつは早速、ヤバい事になったな」

 デュマはため息をつく。

「そんな事より、ペルちゃんだよ! 早く助けないと!!」

 既に地上に落下したペルの姿は見えない。
彩香が心配そうに叫ぶ。
ロンドンを巡る異国の旅は、早くも波乱に満ちた幕開けとなったのであった。

5人目

「ロンドンの歓待」

「ペルちゃん、大丈夫かな。」
「あいつは大丈夫だ、この程度じゃあいつは死なないさ。」

 月夜は、ペルの実力を信用している。
 あの程度では死なないと、確信しているのだ。

「だといいけど……。」

 彩香は不安にさいなまれている。



「良かったのですか?あのヘリを追いかけなくても。」
「いい、俺は俺の任務を果たすまで。キング・Qみたいに趣味に走るつもりはないぜ。」

 そのころ、カルネウスを乗せたヘリはロンドンの上空を飛んでいた。

「『ワイミーズハウスに先回りして『聖戦』と『Lの後継者たちが集めた我々の情報』を回収、然る後流星旅団残党の討伐』任務ですが、そのリボルバーだけで大丈夫ですか?もっとこう、ロケット砲とかマシンガンとかは……。」

 ふと、ヘリのパイロットが質問する。
 偵察及び隠密行動をする任務ならば分からなくもない。だが、襲撃及び一対多が想定される戦闘ならばリボルバー銃一丁だと心もとないように見える。
 しかし、当のカルネウスは余裕綽々に返す。

「このリボルバーはオレが持ち得る限り最強の武器でな、改造に改造を重ねてんだよ。今となってはロケットランチャーやジャベリンミサイル、AK-47もこの銃には勝てねぇ。この銃で試し打ちも数億発分繰り返した。そんな見えない努力をお前は疑う気か?」

 銃の化身の名は伊達じゃない。
 多くの銃を知り、その銃への愛も人一倍だ。
 それを侮辱することは、カルネウスにとっては死に値する蛮行に映るのだろう。

「それは……すみませんでした。」
「へッ、分かればいい。」

「にしても、我々に強力なスポンサーができるとは。」
「ああ、確かレッドリボン軍とサイファーだったっけか。このヘリもあいつらが齎した。おかげで聖戦の準備は着々と進んでるぜ。」



 流星旅団を乗せたヘリは、ロンドンの某所に到着する。
 全員がヘリから降りたのを確認した後、ヘリは一旦飛び去った。

「任務が終わったら連絡してください、そうしたら迎えに行きますってさ。」
「じゃあ早速、行くか。」

 そうして、流星旅団と月美、デュマは行動を開始した。

「この辺で待っているって言ってたんだがな。」

 月夜は、人を探しているかのように周囲を見渡す。

「誰か探しているの?」
「ああ、電話してたフラットってやつをな。」

 なんて話していたら。一人の少年がやってきた。
 金色の髪と、年不相応の童顔が特徴の少年だ。

「どうも、フラット・エスカルドスです。」
「この人が……兄さんの言ってた人。」
「ああ、交流はしていたんだがこうして面と向き合って合うのは初めてだな。んで、ワイミーズハウスに”入館”のアポ取ってくれた人だ。」
「入館ってより、そう言う暗示をかけた感じですけど……。」

 フラット・エスカルドスと名乗る少年。
 彼についていくように、ロンドンの町に出る。



「なぁ、ロンドンってこんなに荒れてたか?」

 ロンドンの町は、何処か荒れていた。
 人間的にではなく、物理的に。
 まるで、怪獣同士が戦闘でもしたような。
 復興はし始めているものの、それでも傷痕はなかなか消えない。

「ちょっと前にですね、ここですごいバトルがあったようですよ。いや~俺も混ざりたかったな~。」
「すごいバトルって……てか、混ざろうとしたんか。」

 フラットは無邪気に、ここで起きたことを話す。
 彼自身詳しい事情は知らないようだが、その表情はまるでおもちゃを手に入れてご満悦な子供のようだった。

「そいつが敵であれ味方であれ、警戒はすべきだな……。」
「んじゃあ、早いところワイミーズハウスに行くか。」

6人目

「Don't leave me behind」

「……」

 銃の化身、カルネウスに上空600mのヘリから弾き飛ばされたペルフェクタリアは
真っ逆さまに海へと落下した。

「……」

 紺碧の海に沈みゆくペルフェクタリア。

(私としたことが……)

 油断してしまった自分を悔やむ。
よもやメサイア教団の大司教……それもキング・Qやビショップよりも
遥かに格上の第3位。そんな大物が直接出張ってきているとは思わなかったのだ。
それに、あのカルネウスという男も只者ではない。
少なくとも、自分と同等以上の力を持っていることは確かだ。
死霊使いにして黒魔術使い、そして銃の化身の名を持つ最強の銃士。
あの男は危険すぎる。

「……」

 そうこう考えているうちに、海の冷たさが体を蝕み始めた。
このままでは死んでしまう。

(くっ……ここまで、なのか……?)

 意識が遠のき始めてきた。視界もぼやけてくる。

(たりあ……もう一度だけ……会い、たかった……)

 思いを馳せるは、己の半身。平坂たりあを守護すると言う使命の下、
ペルフェクタリアは生み出されたのだ。
しかし、世界を奪われ、たりあを奪われ、そして今は自分自身の命をも
失おうとしつつある。それは、彼女の存在意義そのものの喪失を意味する。

『――ペル!!』
(……!!)

 声が聞こえた。その瞬間、ペルフェクタリアは息を吹き返した。
今の声は確かに、彼女にとっての半身、たりあのものだ。忘れようはずもない。

(たりあの……声がした……)

 幻聴かもしれない。だが、そんなことは関係ない。

『クハハハハハ!! 我が復讐の炎で貴様らの罪! 悪意! 怨念! 妄執! 
何もかもを燃やし尽くす!! ぜあああああああああああああああああああッ!!」

 藤丸立香の魔力供給を受け、両の掌から黒い炎をビームのように
次々と撃ち出す巌窟王。
グランドクロスの怨念の残滓から派生した亡霊たちを焼き尽くしていく。

『ギャアアアアア……』
『まったく、人の魔力だと思ってバカスカ使いまくってくれちゃって……!』

 断末魔を上げて消えていく亡霊たち。

『消えなさい』

 ほむらの背中から黒い翼が飛び出すと、片翼はたりあを護るように包み込み、
もう片方の翼の羽根が舞い散って亡霊たちに向けて飛んでいく。
ダーツの要領で、何枚もの羽に刺し貫かれ、亡霊たちは霧散していった。

『グガァァァァァァ……!』


(暁美……ほむら……? それに、あれは……間違いない……たりあだ……
私は一体……何を見ている……?)

 ペルフェクタリアは、水底に沈む中でその光景を見た。
生と死の狭間に立たされた事でペルフェクタリアの魂は肉体を離れ、
グランドクロスと戦っているほむらやたりあ、藤丸立香や巌窟王がいる空間へと
意識が移動したのだ。

(たりあ……!!)

 ペルは必死に手を伸ばす。もう二度と会えないかとさえ思った半身の名を叫びながら。
だが、届かない。
ペルが手を伸ばせば伸ばすほどに、たりあとの距離は開いていく。

(どうしてだ……!? 何故……!?)

 届かない。その事実を受け止めきれない。
自分はたりあの為に生み出された存在なのだ。なのに、たりあに手が届かなければ
何の意味も無いではないか。


(たりあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ……)


 絶叫を上げるペルフェクタリア。だが、その願いは叶わない。

「……ペルちゃん! ペルちゃん! しっかりするんだ!」
「……む……」

 気がつくと、ペルフェクタリアは岸辺に横たわっていた。

「ここは……」
「良かった、目が覚めたみたいだね。分かるかい? 僕だよ」

「……孫……悟飯……」

 そう、それはボージャックを倒すためにロンドンに向かい、
行方が分からなくなっていたはずの孫悟飯だった。
遠目から、その様子を佇んで見守る石川五ェ門の姿もある。

「良かった……無事で。それにしても、君たちは港区でメサイア教団と
戦っていたはずじゃ……?」
「お前の方こそ……連絡がつかなくなって久しい……」

「それには事情があってね……実は……」

 悟飯とペルはこれまでの経緯を話し合った。

「そうか……メサイア教団はこの地にもいたのか……」

「こちらに居られる五ェ門さんのおかげで助かったんだ。僕たちを襲ってきた
メサイア教団の刺客は追い払ったけど、未だに監視の気配は消えてない。
だから、迂闊にCROSS HEROESに連絡を入れる事も出来ない状態でね。
それにしても、父さん達は港区から特異点に、そしてあの赤い空はミケーネ帝国が
復活した証だったって事か……」

 ギリシャ近海では、マジンガーZを始めとしたCROSS HEROES分隊が
ミケーネ帝国の侵攻を食い止めている。
ダイヤモンド・ドッグスはカリブ海へと、未だ戦士たちに心休まる時は無い。

「私も行かなくては……天宮彩香たちが危ない」
「そうだね。ペルちゃんの話を聞いた限りじゃその神霊……? が暴走する危険性だって
あるんだろうし。力をコントロール出来ないばかりに大変な事になってしまうのは、
僕にも良く分かる話さ」

 自身の奥底に眠る潜在能力……その力は同時に諸刃の剣でもある。
ボージャックやクローン悟飯の中で見せた「獣性」の力などは、まさにその典型だ。
その力が覚醒すれば、強大な力を手に入れる事が出来る。
だが、もしも制御に失敗してしまったら、護るはずの世界を滅ぼしてしまいかねない。

「拙者も同行させていただこう」
「五ェ門さん……」

「お主たちの行く道には、危険が付きまとう。それに、まだ身体も万全ではあるまい。
故に、護衛役として拙者が共に行こう。この世界の行く末……見届けねばならん故な」

 こうして、三人は流星旅団との合流を目指し、行動を開始した。

(たりあ……あれはきっと夢などではない。現実に起きている事に違いない……
待っていろ、たりあ。私が必ず助け出してやる……!)

 魔殺少女ペルフェクタリア、未だ潰えず。

7人目

「starting the case : K.I.R.A.」

「足が欲しいな……ペルを探しに行くにしても情報を手に入れるにしても現在地から遠すぎる。」

 ロンドンの町を練り歩く。
 彼らに与えられた課題は2つ。
「ワイミーズハウスへの移動」「ペルフェクタリアの捜索」それらを解決しなければならないのだ。
 しかしその道中には、メサイア教団の刺客カルネウスが待ち構えている。

「先のメサイア教団奇襲の例もある、2つに分かれよう。」

 かくして俺達は、ペルを探す部隊とワイミーズハウスに向かう部隊の二手に分かれて行動することにした。



 ワイミーズハウス突入部隊

「月夜さんって、車運転できたんですね。」
「免許手に入れたのちょっと前だがな。港区は敵が多かったから運転できなかったが、此処なら少し運転できる。ドリフトとかは期待しないでくれ。」

 安全運転、かつ急ぎ足でワイミーズハウスのあるウィンチェスターに向かう、月夜、フィオレ、燕青、フラットの4人。
 残る月美、彩香、デュマの3人はペル捜索部隊に据えている。
 レンタルした車は、道路をひたすらに走っている。

「てめぇらにキラの情報を渡すわけにゃいかねぇ!かといっててめぇら如きを相手するのもあれだな!ンなわけで相手してやれやァ!オモヒカネ!」

 投げつけられたのは、一つの電池のような何か。
 そこから、黒い靄と共に10体のシャドウサーヴァントが召喚された。
 きっとあの電池状の機械がオモヒカネなのだろう。

「連中、あれで英霊を召喚していたのか。しかももう量産体制を整えてやがる!」
「ははッ!そーゆーことよ!悔しかったら俺に追いついて見な!」

 憎たらしい高笑いと共に、ヘリはぐんぐんと先に進む。
 その前に立ちはだかるように、10体ほどのシャドウ:ランサーが待ちかまえる。

『殺ス……憎メ……世界ヲ!!!』
『ソノ夢ヲ、希望ヲワガ憎悪/讐心/絶望デ穢スガイイ……!』
『貴様ラノ旅路ニ破滅アレ!!』
『■■■■騎士団ガ一番槍、■■■■■■・■■■■!推シテ参ル……!』

 彼らから放たれる脅威と狂気。
 じっとしていたら、精神がどうにかなってしまいそうな。

「戦闘力はそれほどないです、でも数が多い。時間稼ぎのつもりですね。」
「どうする……対英霊戦闘用の準備は多少なりとも出来ているが……無限増殖なんてされたら追いつけなくなる。」

 少し考えこんだのち、フラットが月夜に話しかける。

「俺があの機械にハッキングして、何とか停止して見せるので時間を稼いでくれますか?」
「分かった、何分かかる?」
「う~ん、1分?あの機械なかなか構造が複雑で……。」

 その一言を聞いた月夜は了承し、戦闘態勢を整える。

「言い訳はいい、1~2分あれば十分だ。行くぞ!」



 ペルフェクタリア捜索部隊

「兄さん、ペル、大丈夫かな……。」

 彩香、月美、デュマの3人はカルネウスによってはぐれてしまったペルフェクタリアの捜索を開始した。
 月夜たちがカルネウスに襲われていることは露知らず、彼女たちもまた捜索を開始する。

「しかし、教団メンバーがカルネウスだけだとは考えられない……!」
「警戒しながら行こう。」

 周囲を警戒しながら、ペルの捜索を開始していたその時。

「今だ!」

 ズドン、と目の前に炸裂する衝撃波。

「だ、誰だ!?」

 土煙の奥。そこにあったのは、非日常だった。
 3mほどの茶色いクマの着ぐるみが、バカでかいロケットランチャーを携えてロンドンの町を襲撃してきた。
 その傍らにいるのは、黒髪ロングの女子中学生と金髪の女子高生。
 2人の女子は、赤と黒の槍を携えて立ちはだかっている。

「我らは、メサイア教団の司教『ラスターズ』!」
「CROSS HEROES!流星旅団!あんたらの野望もここでおしまい!」
「とっとと負けちゃえば~!?」

 中学生くらいの声が、クマの着ぐるみの奥から聞こえる。
 真に卑劣だと憎むのは、こんな年頃の子供ですら洗脳してしまうメサイア教団か。
 こんな非日常に、真っ先に突っ込んだのは。

「ラスターズだぁ!?ふざけたことぬかすな!クマの着ぐるみごときに負ける俺らじゃねぇってんだよ!!」

 最も非日常に近いであろう英霊、アレクサンドル・デュマだった。

8人目

「クォーツァー・パレス」

 ーー特異点/杜王町。

「う、う~ん……」

 夢の世界で戦っている藤丸立香はベッドの上で魘されていた。

「大将、随分苦しそうだぜ」

 金時が心配そうに覗き込む。立香の息は荒く、額に滲む汗。

「マスターもまた、戦っているのだろう。己の試練と……」

 アルケイデスも生前、12の難行をこなした身である。その過酷さを知っているだけに、藤丸立香の苦しみがよく理解できた。
だが、彼は同時にこう思う。きっと、藤丸立香ならば乗り越えられるだろうと……。

「先輩……」

 立香の手をマシュが握る。

「こうしている事しかできないなんて……!」

 一方、クォーツァー拠点へ向かうディケイド、正義超人、承太郎、仗助、康一、
ゼンカイメンバー、心の怪盗団は……

「あれか……」

 一際大きな巨城が目に入る。近場に生い茂る高台の森に身を潜め、様子を窺う。

「私達風に言うならクォーツァー・パレス、って感じ?」
「警備も厳重そうだな……」

 城の周りにはカッシーンやダイマジーンが、大量に配置されていた。

「うっひゃー、警戒度全開……」
「機械なんて、いっぱいいても嬉しかないけどね……」

 ガオーンが愛でるのは、あくまでも人間を始めとした有機生命体だ。
二重の意味でうんざりしたような声を上げる。

「で、ぶっちゃけどうするよ? 正面から行ったらまず数で潰されるぜ?」

 ジュランが皆の意見を仰ぐと、それに応えたのはクイーンだった。

「まずは私達が内部に潜入し、情報を探ります。
その間に皆さんは城の外で待機していてください」

 クイーンが先導役となり、フォックス、パンサーがそれに続く。

「潜入任務ってところか……俺も同行しよう」
「承太郎さん」

 空条承太郎が名乗りを上げる。

「クォーツァーの首魁が出てきたら、正直言って勝てる見込みは低い」

 ディケイドは過去に一度バールクスと戦闘した経験がある。
その時の経験上、彼は思ったのだ。
バールクスの強さは自分の想像を大きく超えている、と。
確かにバールクスは強い。
だがそれ以上にディケイドを「平成ライダー」とカテゴライズし、
その平成ライダーの力に対してある意味ゲッシュ(誓約)にも近い耐性を持ち合わせていた。
その誓約範囲が限定的であればあるほどその効力は強固なものとなる。
つまり、事実上ディケイドでは敵わない相手だった訳だ。

「まずは常磐ソウゴを救い出す事が第一目標だ。それを最優先事項とする」
「お宝を盗み出して脱出するのが怪盗のやり方ですからね」

 フォックスの言葉に承太郎は小さく笑みを浮かべた。

「よーし、GET READY?」
「いつでも」

 帰国子女であるクイーンの英語交じりの合図と共に、4人はカッシーン達の包囲網を
突破して城内へ侵入する。

9人目

「過去の往来」

海原の彼方にぼんやりと浮かぶ東の水平線から朝日が覗く、ここはカリブ海の真っ只中。
四方は眼前の空よりも蒼い、紺碧の海が広がっている。
そんな見渡す限りの蒼を行く、幾つものヘリと船の群れがある。

『もうすぐです。間もなく、目的地上空に到着します。』

その内の一つ、輸送ヘリの中にいる操縦士からの通信を受けた船長が、甲板にいた者達へ声をかける。
すると、今まで黙って操縦していた機長も振り返り、告げた。
彼等がこれから向かうのは、かつて何処にも属さない軍隊が依り代とした海上プラント。

「間も無く旧マザーベース跡地だ、総員準備に掛かれ!」

船長の言葉に、兵士達は一斉に己の仕事を始めた。
ヘリのドアが開け放たれ、兵士達が飛び出して行く。
そうしてヘリが降下して行く先にあるのは、海面上に浮かんだまま放置された巨大な鉄塊だった。
MSF、国を持たない軍隊の拠り所だった基地。
一つの終わりであり始まりともなった始発駅。
そして、惨劇の現場。
今は見る影も無い程に傾いた鉄塊の施設に、愚鈍な憧憬を持ちながら兵士達が次々と乗り込んでいく。

「カズ、こっちだ。」

カズ達を伴い、旧マザーベースのある一角へと向かうスネーク。
道中に見かけたドアは拉げ、奥から覗く割れた窓の向こうにはカリブ海が広がって見える。
その光景を見て、在りし日の惨劇がフラッシュバックする。
核査察を装ったスカルフェイスの部隊による大虐殺。
次々と撃ち殺されていく仲間達、崩れ落ち炎上するプラント。
胸中に湧き上がる失意に、しかし今となっては既に過去の出来事だと蓋をする。

「見つけた。」

歩みを進め、ある部屋に辿り着く。
この区画だけ頑丈に作られているのか、他のドアとは違い原型を保っている。
中に入れば、一見すると雑貨ばかりが並ぶ物置部屋だ。
だが幾つか荷物を退かしていくと、巧妙に隠されたハッチが見つかる。
鉛の様に重い感触と共にこじ開けると、そこには地下へと続く階段があった。

「やはりここは無事だったか。」

降りて行った先にあったのは、巨大な格納庫と、そこに佇む一機の兵器。
MSFが独自に作り上げた核搭載型二足歩行兵器、メタルギアZEKE。
当初の目的を目の当たりにし、しかし思わず息を飲むカズ。
同時に唾をも呑み込んで、感慨深げに呟く。

「これが、MSF最後の遺産。」

嘗てのMSFの栄光の象徴であり、悪夢の具現でもあるそれを見つめる。
DDがMSFだった頃の絶頂期の証であり、破滅の引き金ともなった強大な銃(核兵器)。
そして、嘗ての仲間達の無念の形。
この場にいる誰もが、複雑な想いを抱いている事だろう。
だが、いつまでも立ち止まっている訳にはいかない。
気を取り直し改めて向き直ると、兵士達はそれぞれの持ち場で作業に取り掛かった。



焼き切られる格納庫から地上への通路。
開けていく天井。
作業員が慎重に持ち上げた隔壁の残骸から、ZEKEの姿が地上へと露わになる。
暫くの後、数時間掛かった引き揚げ作業は順調に終わりへと向かっていた。
その様子に、ただ淡々とカズは呟く。

「予定通り行けば、後1時間もせず出立出来るな。」

余りにも何事も無い様に、若干肩透かしを食らった気分だ。
最も、トラブルなぞ無い方が良いに決まっているのだが。
そんな事を考えていたからだろうか。
ふと、視線の先に居たヘリに視線を合わせていた。

(‥‥‥?)

何か、違和感を覚えたからだ。
理由は無い、唯の偶然だった。
そのヘリは丁度此方へ向かって来ている様で、徐々に高度を下げながら近付いて来る。
武装した兵士を乗せた輸送ヘリ。
彼等の視線に、何処か殺意の様な物を感じた

「…不味い!」

その瞬間、カズの中で何かが弾けた。
それが危険信号と気付いたのは、咄嵯の判断だった。
反射的に傍らにいたスネークを突き飛ばし。

「うぉっ!?」
「隠れろ、スネーク!」

次の瞬間、兵士が構えた無反動砲が火を噴き、カズ達がいた場所に着弾した。
激しい爆発音が響き、熱風が吹き荒れる。
その爆風に身体が宙に浮き、そのまま背後の壁に叩きつけられる。
衝撃を受け、一瞬意識を失いかける。
それでも何とか踏み留まった。
視界の端では、スネークも物陰で生きているのが見える。

「くそっ、敵か!」

一体何時の間に現れたのか、自分達が率いていた輸送ヘリの周囲には敵の機体が複数浮かんでいた。
恐らく、今の攻撃をしてきたのはこの連中なのだろう。
どうやって、俺達の所在を知ったのか、そもそも奴等の目的は?
疑問が次々と湧き上がるが、悠長に考え事をしている暇は無い。
敵は既に無反動砲の第二射を構え、此方に狙いを定めている。
気付いた時には、死を覚悟していた。

「はぁっ!」

だが、死を迎えたのは敵の方だった。
爆散する敵のヘリ。
いつの間にか拳銃を構えていたスネーク。
立ち昇る硝煙から察するに、無反動砲手が撃ち込む瞬間を狙ったのだろう。
その射撃は見事に頭部へ命中、発射の寸前に砲はヘリ内部へと向き、暴発。
後は、見た通りの惨状だ。
超人的な瞬発力を持ったスネークだからこそ成し得た所業だ。
爆発炎上するヘリを見つめ、しかし安堵する余裕など無く、スネークの肩を借りて走り出す。
渡せば、敵のヘリが他にも大勢いたからだ。

「撃て、撃ち殺せ!!」

指揮官の号令に、次々と攻撃を開始する敵の兵士達。
一々相手にはしていられない。
この場を切り抜ける為、攻撃を潜り抜けながらしながら必死にカズは考えていた。
敵の目的、行動、規模、目的、そして正体。
何もかも不明だが、少なくとも一つだけは分かった事がある。
奴等はDDがマザーベースへやってきたタイミングを見計らってやって来た。
殲滅が目的か、或いは…

「まさか、ZEKEか!」

その思い付きに、思わず冷や汗が滝の様に浮かぶ。
奴等は此方がやってきてすぐにでは無く、ZEKE引き揚げ作業の終わり際にやってきた。
ただ殲滅するつもりならば、最初から強襲している筈だ。
そうでないのならば、目的は今まさに引き揚げんとしているZEKEだろう。
その推測に、背筋が凍り付く。
もしもそうだとしたら、非常に拙い事態だ。
ZEKEには未だ核が搭載されている。
核搭載兵器が丸ごと奪われれば、一体何に使われるか分かった物では無い。
だが最悪の場合、世界は核戦争の危機に晒される。
そんな結末に思い当たったカズは青ざめ、焦燥に駆られる。
そこからの判断は、早かった。

「スネーク、俺を置いて行け!」
「カズ、何を!?」
「急げ、奴等の狙いは恐らくZEKEと核だ!それだけは何としても死守しろ!」

10人目

「華麗なる峰不二子」

「そう……死んだの、あの女」

 ルパン三世にとって時には敵、時には恋人でもある
ミステリアスな女怪盗、峰不二子に届いた報。
それはセレブ界の華として君臨し、同時にメサイア教団大司教と言う裏の顔を持っていた
「美の化身」キング・Qの突然の死であった。

 その死因は表向きには「火災による事故死」と発表されたが、
不二子はそれが偽装である事を知っていた。
実際は大司教階位第一位、エイダム・マグダネルによる粛清である。
メサイア教団の大司教である事は知らないまでも
キング・Qと不二子はセレブの社交会などで度々顔を合わせていた仲であり、 
お互いに裏社会に生きる者同士、それなりに気心も知れた間柄ではあったのだが……

『東京都・港区周辺で発生した大規模な火災について、
警視庁は事故ではなくテロの可能性も視野に入れて捜査を続けております』

 CROSS HEROESとメサイア教団の戦いの全容は
既に情報統制が敷かれているものの、 人々の記憶から完全に消える事はない。
そも、港区の警察機関はメサイア教団によって掌握されていたのだから。

『ルパンだ! 今回の騒動はルパン三世によるものなのだ!
ルパーン! 必ず捕まえてやるからなあ~ッ!! 覚えとれよ貴様~ッ!!』

 そんな中にあっても、ルパン逮捕と言う自身の正義を貫き通す銭形警部が
マスコミのインタビューに対して答える声は、
テレビを通して全国津々浦々へと流れていく。

「銭形……それにルパンですって?」

 その中継を見ていた不二子が思わず呟く。
ルパン行くところ、必ず銭形ありと言われるほど
二人は宿敵同士の関係にあった。
それに、ルパンがただいたずらに破壊行為などを働くような男でない事も
不二子は知っている。
彼の狙いは、いついかなる時でも「お宝」だ。
これだけの騒ぎを引き起こしてでも手に入れたい何かがあったのだ。

 キング・Qの死、ルパンの暗躍、港区の大規模破壊……
不二子にはそれらが偶然だとは思えなかった。
すると、何者かからの連絡が入ってくる。
どうやら暗号通信らしく、音声変換器を通す事で相手の素性を隠すつもりらしい。

「どなた?」
『はじめまして、ミス・不二子。
私の名はハワード・ロックウッド。ニュースを観ただろう? 
彼女の事は生前私も可愛がっていてね。
まさに「美の化身」とでも呼ぶべき女性だった……」

「ハワード・ロックウッド……あの実業家で大富豪の?」

 鉄鉱、造船、運輸、報道……あらゆる分野で事業を成功させ、
今なお拡大を続けている超一流の大富豪のトップと言えば
この男の名前を知らない者はいないであろう。
その財力と権力は政界にも強い影響力を持ち、
現政権にすら大きな影響力を持つと言われている人物だ。
そして、そんな彼が一体自分に何の用があるのか……

『フフ……御存知のようで嬉しいよ。どうだろう? 少し会わないか?
亡くなった彼女の友人同士、積もる話もあると思うんだが?』

 このタイミング……あまりにも出来過ぎている。
或いはこの男も今回の一連の事件に関与しているのではないか?
……そう疑う気持ちはあったが、今は目の前にあるチャンスに飛びつくしかない。

「……ええ、そうね。是非お会いしたいわ」

 こうして不二子はロックウッドからの誘いに応じた。
しかし、彼女はまだ知らない。ハワード・ロックウッド……またの名をマモーの恐ろしい正体を……

11人目

【白昼夢とたわいのない話】

「さーて、今回は出欠代サービス!指定してくれたらどこへでも行ってやろう!」

「まずは、素敵なところに行きたいわね」

「いやー、あー、アレじゃない?ほら、あれ」


夢美がなんか言い出してモルフォがふわっとした答えを出してきたせいなのか具体的なことは分からなかったらしく夢美が更にふわっとした言葉を出して場を混乱させてくる


「いやいや、何言ってるんだ」

「そうそう…元の世界に戻るんじゃなかったの?」

「「あっ」」


ふわふわした会話をする女性陣を眺めていたが流石に待ったを掛け男性陣が軌道修正をする



…………?




も…………


「…ん?」


もしも…………《ペシペシ》


「???」


もしもーし?《ベシンッ!!》


「お前〜!私をハブるんじゃない!!」

「え!?」


目の前に居るのは星乃 雪と呼ばれる3人目の異端者だった。男性なのか女性なのか全然分からないし言動も全然分からないというちょっと変わったやつだ。
それにしても、なんだか白昼夢を見ている気分だった・・・んだけどめちゃくちゃ顔を叩かれたせいのか頬が痛い


「太陽、氷結の街がいくら適温だからって練習しすぎだ」

「あー、何してたんだっかな」

「忘れたのか?炎の練習を」

「そうそう、それでいつの間にか寝ちまったかな」

「そうだ、永久凍土の上で寝るやつは初めて見たけどな」

「・・・雪は流石にやらないか」

「いや、僕もたまにやる」

「そうか」


さっきの白昼夢もそうだが、なんかどっと疲れた気分だ。寝てたのに
アイツと・・・後2人は誰だ?なんか顔見知り感がしていたが妙な気分だな

「(ところで、ウルト〇ハンドってなんだ・・・?)」

アイツ…そう、月影夢美…3ヶ月前の話になるがハイ〇ル?と呼ばれるところに行って魔王を倒してくるとかなんとかで帰ってこなくなったんだが何かあったのだろうか


「魔王なぁ…」

「"氷魔王"ならいるけどな」


魔王と聞いて思い出すと必ず氷魔王が出てくる2人、噂では聞いているがなかなか表へとなかなか出てこられない存在らしく確認は出来てない


「今、アイツがいないし…しばらくはのんびりと思っていたけど…どうだ、最近?」

「氷の整備士としてはまあまあの働きだと専門ロボットが言ってた」

「(専門ロボット・・・)ちゃんと働けていて良かった」

「そういう、太陽はどうなんだ?」

「相変わらずふらふらしているな」

「フッ…無職め・・・あっぶなっ!」

「チッ…」


この一瞬、なにかが起きたが雪はその刹那を見切り避けていた為あえなく剣を鞘に収め舌打ちをするだけだった


「行儀が悪いな〜」

「無職はないだろ無職は」

「まあ〜 確かに!」

「それよりも、なんか暇なんだよな」

「メタいけど何も起こらないんだよね」

「それを人はフラグと呼ぶ」

「「・・・」」


しばらくこの2人には長い沈黙が続く
再び黙々と剣を振り続ける太陽の姿をじっと見つめている雪
そんな感じの数時間が続いたのだ


「あのさぁ…もうすぐ猛吹雪が来るけどどうすんねん?」

「出口まで案内してくれ」

「あいよ〜」

「(氷魔王・・・ねぇ)」


何処にいるかも知らないが確かにいる存在のことを考えていても仕方ないと思いつつ氷結の街の出口まで行くのだった

一方、その頃。某時刻


「おーし!覚醒したマ〇ターソードで魔王倒したし…終わりにしよっと!」

「え、真エンド見ないんですか?」

「なん・・・だと!?アースよ、それを早く言うんDA!」

「では、夢美さんには全ミ二チャレンジと全エピソードチャレンジを・・・」

「図鑑集め多分キツイぞこれ」

「貴方が集めなかったのが悪いんです!」

「そういや、後なんか集めていたやつの結末も衝撃的らしいからそれも集めようぜ!」

「ええ!?あ、でも洞窟でしたよね 例の装備の件もあるし集めましょうか!」

「いいねいいね、目標があると俄然やる気が出てくるよ!」

「では、張り切って」

「レッツゴー!」


ここに、いたのだ。
確かに移動魔法は使えるが世界から出るとはまだ言ってなかったし厳密にはずっとこの家にいたのだ
月影夢美ともう1人、アースと呼ばれる存在と一緒にゲームをしていただけだったのだ、

つまり、居候みたいな感じで候
実家に帰らないタイプらしい。

では、大空太陽が見た白昼夢とはなんなのか?
GVとモルフォ、その2人は出るのか?
………それは未来の話としよう。

12人目

「巨大機動部隊を突破せよ」

 ――特異点。

 傷ついた辺古山ペコ・オルタをルイーダの酒場に預け、クォーツァー・パレスを目指し
出発したトランクス、ロロノア・ゾロ、宮本武蔵、ブルーン、マジーヌの5人。

「んっ……」

地響きのような音が聞こえる。その音はだんだんと近づいてくる。

「ややっ、あれはァ!!」
「みんな、隠れて!!」

 ブルーンがメガネをクイッ、と持ち上げながら目を凝らしている所を、
武蔵が無理矢理に地面に押し倒して、茂みの中に隠す。

「あれは……クォーツァーの……」
「見たことないロボットもいるっす……」

 マジーヌが声を殺して言う。彼らが見ている先にいたのは、
タイムマジーン、ダイマジーン、アマルガム製のアームスレイブ……
大型の機動兵器が続々とパレスから発進し、何処かへと向かっていく。

「凄い戦力だ……」
「あれだけの数を投入するってこたァ……
奴らが向かう先にそれ相応の相手がいるって事だろうな……」

「!! もしや、悟空さんたち……!?」

 ゾロの直感は正しかった。彼らが目指す先にいるのは、超時空戦艦・アビダイン。

「ピッコロさんたち……大丈夫でしょうか」

 いろはが艦内で、不安そうに呟く。
アビダインを先へと向かわせるためにスラッグとターレスを食い止めている
ピッコロとベジータの事を思うと、胸が痛む。

「随分と気にかけているのね」

 隣にいるやちよがいろはを見つめる。

「はい……CROSS HEROESに来てから、ピッコロさんたちには
とてもお世話になってきたんです。
あの人たちがいなければ、今頃私はどうなっていたのか分かりません……」

 いろはが俯きながら語ると、やちよはそっと肩に手を置いた。

「そう……でもきっと大丈夫よ。貴方も信じましょう?」

 やちよの言葉を聞いて、いろはは顔を上げる。そして微笑んだ。

「センチメンタルな雰囲気になっているところ申し訳ないが、団体様の熱烈歓迎だよ」

 アビィが操縦席から言うと、モニターには大量の機動部隊が映っている。

「クォーツァーが差し向けた連中か……!」

 ゲイツが身を乗り出して睨みつける。
すると突然、モニターに映し出されていた機動部隊が一斉に砲撃をしてきた。
その攻撃によって、船体が大きく揺れる。
衝撃により床に投げ出されたルフィが、顔をしかめながらも立ち上がった。

「やりやがったな……!!」
「是が非でも私達を先に行かせたくないみたいね」

 やちよが言うと、今度は前方から無数のミサイルが迫ってくる。

「波ああああああああああーッ!!」
「むんッ!!」

 先駆けて甲板に出ていた悟空がエネルギー波でミサイルを撃ち落とし、
アレクが残るミサイルの信管を剣で切り落とした。真っ二つになったミサイルは
アビダインの左右を通り抜け、時間差で爆発する。

「あの2人、いつの間に……!?」
「流石と言うか、何というか……」

 アビダインの操縦室で、アビィたちは呆れ返っていた。
そんな彼らの元に、ダイマジーンに乗ったクォーツァーが現れる。

「こうしてお前とまた共に戦えるとはな、悟空……
あの時はもう二度と会えないと思っていたが……つくづく縁と言うのは奇妙なものだ」

 アレクはどこか嬉しそうな表情を浮かべると、剣を構える。

「へへっ、オラもだ。よろしく頼むぜ!!」
「各員、出撃だ。敵は多いが、これは前哨戦に過ぎない。
張り切りすぎてパーティーに遅れないようにしろ」

 アビィが通信機に向かって指示を出すと、次々とCROSS HEROESの面々が
飛び出していく。

「行くぞ、みんなァ! あいつらをぶっ倒して、ソウゴを助けに行くんだァ!!」

 どどんっ! ルフィの掛け声と共に、全員が雄叫びを上げた。

「おおッ!!」

「熱血ねぇ~……週刊少年なんちゃらって感じ。勝利! 友情! 努力! ……ってね」
「で、キミは一体何をしているのかネ?」

 モリアーティがすっかり観戦モードの八雲紫を見て呆れるように言う。
彼女は壁に寄りかかりながら、足を組んで優雅にワイングラスを傾けていた。

「美味しそうなお酒がいっぱいあるのだから、飲むしかないじゃない?
ここはいいわぁ……まるで高級ホテルみたい」

 紫は悪びれることなく答える。
彼女の傍らには、様々な銘柄のボトルが置かれていた。

「それは僕がキープしてた秘蔵の年代物なんだが?」

 アビィがため息混じりに言うと、紫はクスリと笑った。

「あら、じゃあもっと味わって飲まなくっちゃ」
「そう言う問題ではないが? まず他人のものを無断で開けるな??」

「まあまあ、固い事は言わないの。ほら、前を見て運転しないと。脇見運転は事故の元よ」
「この野郎……」

 完全に調子に乗っている彼女に、アビィは怒りを通り越して諦めていた。
しかしそんな彼を尻目に、紫はグラスをくるりと回してから一気に飲み干す。

「はぁ……やっぱりお酒は最高ね」

13人目

「星月夜を駆け抜けろ その1」

 ウィンチェスターに通じる道路にて

「あの機械を停止出来たらこいつらを無視して突き抜ける!それしか間に合わせる方法はない!」
「わかった!___干渉開始(ゲームセレクト)!」

 フラットの呪文詠唱とともに、3人は10体のシャドウ:ランサーに戦いを挑んだ。

『死ネ!死ネ!』
『人間ガ憎イ!貴様ラノ存在ガ恨メシイ!!』

「なんだ?あの影、様子がおかしいな。」
「気にしている場合かよ!来るぞ!」

 10体全員が、まるで整列された軍隊のような一斉攻撃を仕掛ける。
 その様子を見た月夜は、連弩を構える。

「魔術は使えねぇけど、魔力が込められた矢くらいは効くだろうさ!」

 月夜が、車の運転席から魔力が込められた榴弾付きの矢を放つ。
 赤黒い爆風が、シャドウ:ランサーたちに襲い掛かる。

『小癪!小癪!』

 爆風により数体の同胞が斃れ、憤るシャドウ:ランサーたち。

「小癪とは言うけど、10体20体で束になってかかってくるお前らには言われたくないねぇ!」

 車から、男が飛び出す。
 飛び出てきたのは、フィオレのサーヴァントたる燕青。

「何体でもかかってきな!」
『嘗メルカ、暗殺者風情ガ!』
『鏖!鏖!鏖!』

 燕青の身体を突き刺そうと、影達は一斉に襲い掛かる。
 それを、燕青は巧みな拳さばきでいなしてゆく。

「本当に戦闘力は低いんだな……逆に怖いな。」
「全くだ!本命がいるんじゃないかってくらいにはな!」

 遠距離から槍の投擲を敢行しようとする者には、フィオレと月夜が対応する。
 車に乗り上げて攻撃しようとする者は燕青が突き落とす。

「干渉終了(ゲームセット)!」

 そうして対応していくうちに、機械の駆動音が止まった。
 同時に影の英霊たちも停止する。

「よし、停止出来た!」
「分かった出すぞつかまってろ!舌噛むからな!!」

 月夜は、攪乱用の煙幕を投げつけた後シャドウ:ランサーを振り切って一気に走り去った。
 量産型オモヒカネから放たれる影の英霊は、本体の停止と同時に一気に消失してゆく。
 全速力だ。
 でなければ、あのヘリには間に合わない。

「間に合ってくれ……!」



「はは、それくらいはやってもらわねぇとな。」

 ヘリから、カルネウスは双眼鏡で戦闘の様子を見ていた。
 オモヒカネの停止をそれを一通り見送った後、彼はヘリに設置されたスナイパーライフルに弾丸を込める。
 込めた弾丸の銘は『第三世代呪詛榴弾』。

「この弾丸から放たれる瘴気は天然の毒ガスすら目じゃねぇ超絶猛毒よ。命中したら最期、弾丸を摘出しても即死は免れられない。」

 邪悪な笑みを浮かべて、カルネウスはヘリから狙撃を開始する。

「わりぃな、お前らはここでゲームオーバーだ。一撃で済ませてやるから感謝しな!」



「ヘリが見えてきた。気をつけろ、俺達を狙撃してくる可能性もある。」

 その洞察力は、月夜の長所か。
 カルネウスが今からやろうとしていることが、彼には分かっていた。

「一気に突っ切る!フィオレ!防御術式を!」
「分かってます!」

 まだまだ、修羅場は終わらない。

14人目

「猛襲のピッコロ! スラッグを打ち倒せ」

 超時空戦艦・アビダインを先へと向かわせたピッコロ、ベジータ。
スラッグとターレスの追撃を断つべく立ちはだかる。

「ずああああああッ!!」

 スラッグの巨体から繰り出されるパンチがピッコロに襲い掛かる。

「むんッ!!」

 それを軽々と受け止めるピッコロ。
すかさず残る左手で殴りかかるスラッグだったが、
両手で掴まれて動きを止められてしまう。

「ぐっ、ぬおおおおおおッ……!!」
「かあああああッ……ぐくくッ……」

 がっぷり四つに組み合う二人。
そのパワーは互角、いやそれ以上にピッコロの気迫が勝っていた。
次第に押し返し始めるピッコロに腕力を凌駕され、スラッグの顔が歪み始める。

「な、何ィィッ……!? ば、馬鹿な……
俺の知る貴様はここまでの力は持っていなかったはずだ!」

 ピッコロの力が急激に上昇している事を察したスラッグは驚愕の声を上げた。

「貴様の言う『俺』があの時の俺と同じだと思ったら大間違いだぞ」

 そう言ってニヤリと笑うピッコロ。
かつてスラッグと戦った頃から今に至るまでに
壮絶なパワーアップと修行を繰り返してきたピッコロは
もはや別人とも言える強さを手に入れていた。

「むんッ!!」

 そして次の瞬間、ピッコロは右手でスラッグの腕を掴むとそのまま投げ飛ばした。

「ぐわあああッ!?」
「かあああああッ!!」

 口から追い討ちの魔光砲を吐きかけるピッコロ。
まともにそれを受けたスラッグは爆発の煙に飲み込まれた。

「ぐうああッ!?」
「まだまだッ!!」

「むうっ、小賢しい真似を……うおッ!?」

 魔光砲を十字に交差させた腕でガードし、爆炎の中から飛び出してくるスラッグ。
その一瞬の隙にピッコロの強烈なキックが炸裂した。

「せやああああッ!!」
「ぐぉああッ」

 背後に回り込んでの回し蹴りを叩き込まれ、地面に墜落していくスラッグ。

「ぬッ……」
「でやああああッ!!」

 地面に両手をついて受け身を取りつつ起き上がろうとする
スラッグに対してさらに追い討ちのパンチを叩き込もうとするピッコロであったが、
咄嗟に急速上昇することでその攻撃をかわすスラッグ。
ピッコロの拳が地面を砕き割る。

「舐めるなよ、虫けらがァッ!!」

 怒り狂ったように叫びながら両手にエネルギーを集中させるスラッグ。
巨大なエネルギー弾が形成されていく。

「くたばれええええええッ!!」

 そしてスラッグはそれをピッコロに向けて撃ち出した。

「ぬううッ……」

 地上のピッコロはぐぐっ……と身体を屈め、 
右手から繰り出す手刀でスラッグの強力エネルギー弾を叩き返した。

「きえええええええええぃッ!!」
「うおおッ!?」

 スラッグの攻撃を跳ね返したばかりか、さらにそれを上回る巨大な爆裂魔光砲を
上空で驚愕しているスラッグへ向けて放つピッコロ。

「喰らええええええええええええッ!!」

 スラッグも回避しようとするが間に合わずに直撃を受けてしまう。

「おわああああああああああッ……」

 凄まじい爆風と土煙が巻き起こり、大地が大きく揺れ動いた。

「ち、ちくしょおおお……! これは何かの間違いだあああーッ!!!」

 悲痛な絶叫を上げながら悔しさに顔を歪ませるスラッグ。
ぶすぶすと焼き焦げた衣服。だが致命傷ではない。

「チッ、まだ生きていやがる……タフさだけは相変わらずだぜ」

 だが今の一撃でも仕留められなかった事にピッコロは舌打ちする。
確かに威力は申し分なかったが、それでも奴を倒すには至らないようだ。

(やはり一筋縄ではいかないか)

 ならば、とばかりに今度はこちらから攻撃を仕掛けるべく急降下して接近するピッコロ。

「時間を掛けるわけにはいかん! 早々に終わらせてもらうぞッ!!」
(ふ、ふふふ……俺がこれしきの事で終わるはずが無い……!
今に見ておれ、ピッコロ……!!)

 劣勢のスラッグが隠し持つ切り札とは……?

15人目

「未来への咆哮」

カズの判断は、自らを切り捨てる事だった。
自分の役目は、時間稼ぎ。
それも生きて帰れないであろう、囮としての役割。
重荷の様に圧し掛かる恐怖を、しかし意地で噛み殺しカズは叫ぶ。

「俺を抱えて逃げている暇は無い!ここは俺が抑える。ZEKEだけは、核だけは敵に渡すな!」

カズの叫びに、スネークがハッとした表情を見せる。
この状況では最も冷徹かつ論理的な判断だ。
大局を見据えるなら、カズを放置して一秒でも早くZEKEを確保すべきだろう。
それ程までに、核兵器という存在は重い。
だが、四肢が欠けたカズでは生き残る事は愚か、満足に時間を稼ぐ事もままならぬだろう。
それを承知で、それでも尚この場に留まることを選択するのだという。
その決意に、スネークは改めてカズへの敬意を抱いた。

「_すまない、カズ。」

一言だけそう告げると、カズを降ろし再び駆け出す。
先程の比ではない速度、そして執念でプラントを走り抜けていく。
決して振り向く事無く、前へ、ただひたすら前へと。
己の成すべき事を成し遂げるために。
走り去るスネークの姿を見送りながら、カズが呟く。

「死ぬなよ。」

それは誰に向けた言葉なのか、或いは自分に向けての言葉か。
それすらも分からぬままカズは拳銃を構え、迫りくる兵士達に対峙する。
同時に、兵士達も手にしたライフルやマシンガンを構える。
お互いの距離は僅か十数メートル、遮蔽物の無い通路。
どちらともなく引き金が引かれ、銃声が鳴り響いた。



スネークが駆け付けた頃には、ZEKEの格納庫は既に敵の兵士に囲まれていた。
中に居たDDの兵士は半壊。
ZEKEを動かすのに動員した科学者どころか、己の身を守るのもままならぬ状態だ。
幸いにも、まだ敵の兵士が格納庫中枢へと侵入出来てる様子は無い。
間に合った、その事に安堵しつつも、すぐに気を引き締め直す。

「また一人やられた!」
「衛生兵!衛生兵!」

破壊された壁から撃ち込まれるライフル弾が、次々と命を奪っていく。
銃弾を防ぐ盾代わりにされていた死体が、穴開きチーズの如く崩れ落ちる。
そして死体を構えていた兵士が新たな死体(肉壁)へと早変わりする。
死体が増える度に、その後ろに控える者達の顔には焦りの色が浮かぶ。
このままでは、いつまで持ちこたえられるのか分かったものではない。

「クソッ、コッチだ!」
「ッボス!?」

判断は一瞬、迷いは無い。
即座にライフルを構え、敵の兵士へ戸惑い無く撃ち込む。
放たれた弾丸は狙い違わず相手の頭部に命中し、血飛沫が吹き出す。
突如として横合いから入った一撃に、敵の兵士の足並みが乱れた。
その隙を逃すことなく、更に2発の銃弾を撃ち込み怒涛の勢いを形成する。

「援護してくれ!」
「任せてくれボス!」

その流れを、味方は掴んだ
味方の兵士の一人が、手近な相手をサブマシンガンで牽制しつつ後退。
入れ替わるように何人もの兵士が前に出る。
両サイドからの挟み撃ちに、思わず二の足を踏む敵兵士。
どちらから対処するべきか、一瞬の迷いが生じる。
その刹那をスネークは逃がさず、流れる様な動作で相手の渦中へ身を投じる。
さながら叢から飛び掛かる獣の如く。
されど獰猛な殺意を冷徹に圧し込めて。

「なっ、貴様_」
「遅い!」

息を潜めた蛇に気づいた時には既に遅く。
蛇の刃が、首筋を刎ねた。
舞い散る紅が弧を描き、地へと流れ出る。
赤い滝の先が床を染めるまでの刹那、衝撃が鮮血という絵の具を伴って場を塗り潰し。

「ハァッ!」

静かになる、鈍い殴打音。
跳ね回る衝撃波。
血は弾け、蛇が空間を支配した。
投げつけられた死体を影に、地を蹴ったスネークの正拳突きが突き刺さる。
ぐちゃり、と生々しい破裂音が鳴り響く。
兵士の内臓が潰れた音、即ち致命傷だ。

「ぐあぁっ!?」
「次っ!」

堪らず崩れ落ちそうになる兵士を、すれ違い様にスネークは抱え、回り込む。
鮮やかな手付きで、その兵士が持っていた銃を乱射し、ぐるりと一回転。
連携を取る為に近距離を保っていた事が転じて災いし、更には味方を盾にされた動揺を突かれ。
無作為に放たれた凶弾を前に、兵士が倒れていく。
あれだけ長引いた戦線は、スネークの手腕一つによってあっけなく崩れ去った。

「ま、まず_」
「引け、引けぇ!」

どうにか被弾を免れた兵士が辛うじて叫び、他の兵士も恐怖心に駆られ、慌てて撤退を始める。
だが未だ、蛇の毒牙が届く狩りの範囲だ。
狼藉者を生かす理由も訳も無い。
スネークは迷う事無く追撃を選択した。

「逃がさん。」

そう呟き、即座にグレネードのピンを引き抜き、敵の退路へ投げつける。
放物線を描いて飛ぶ手榴弾は、そのまま狙い通りに爆発、炎上する。
我先にと逃げ惑っていた兵士達は、閃光と共に立ち込めた煙と炎の中に消えた。
刹那の間、茫然自失と断たれた道を見ていた"不幸にも遅れて"助かった者達。
彼等は次の瞬間、意識さえも手放させられる。
胸を貫いたナイフによって。

「がっ_」

二人の兵士の胸に咲いた赤い華。
大動脈を裂かれた証左であり、急激なショックが兵士の意識を、命を奪う。
ぐらり、と倒れる二人を無表情に見つめ、スネークは静かに呟く。

「投降しろ。」

衣服の擦れる音と共に倒れ伏した兵士二人。
その影から、待ってましたと言わんばかりにDDの兵士達が銃を構えて現れる。
多勢に無勢、その言葉をそっくりそのままお返しされた状況。
残った兵士達には、最早抵抗する術は無かった。



「何とかZEKEは守り通せた、核も無事だ。」

戦いの結末は、DDの辛勝に終わった。
双方ともに無数の髑髏を創り出し、大小様々な出血を強いられた。
それでも、最悪の事態だけは避けられた事がオセロットの口から告げられた。

「一部の兵士は取り逃したが、大部分は叩けた。」
「暫くは奴等も襲って来ないだろう。」
「そうだと良いがな。」

流石に疲れた、そんな雰囲気を纏うオセロット。
激戦の直後である為、無理もない。
その隣で包帯をウーロンが、泥の様に疲れ切った様子で腕を組み、壁際でふんぞり返っている。
彼もまた、今回の影の律役者でもあった。
とはいえやった事は単純明快、ミサイルに変化しヘリに体当たりするという物。
最も、チャフもフレアも効かず何処からともなく奇襲してくるミサイルなぞ、ヘリからすれば魑魅魍魎の化け物に見えただろう。
頭に生やした瘤の数だけ、敵に恐怖を齎していただろう事は想像だに難くない。
閑話休題。

「ZEKEだが、起動に成功した。冷たい深海の奥底だったのも幸いして、腐食の類いも無い。すぐにも動かせるそうだ。」

疲労を押し殺し、努めて冷静に語るオセロットの言葉に、一同の視線が集まる。
その言葉の意味は、つまり次への戦場の兆し。
次なる目的地はギリシャ。
その門出を祝う様に、ZEKEの咆哮が轟いた。

16人目

「星月夜を駆け抜けろ その2」

 ウィンチェスター到着まで 後5分程の道のり

「死ね!」

 スナイパーライフルから放たれる、カルネウスの呪いの弾丸。
 命中すれば即死は免れられない。故に。

「防御術式起動___!」

 先手を打つ。
 フィオレの発動した防御障壁が、カルネウスの魔弾に拮抗する。

「くっ、これじゃいつまで持つか……!」

 防御術式も永遠ではない。
 魔力を込めている弾丸であるがゆえに、弾丸の魔力がバリアを削ってゆく。
 放っておけばいつかは破壊されてしまうだろう。



 ウィンチェスター到着まで 後2分

「月夜さん、私を此処で降ろしてもらってもいいですか?」
「フィオレ?どうした。まさか……。」
「ええ、あいつは私が引き受けます。」

 フィオレの発言で、残る3人の背筋が凍りつきそうになる。
 相手はメサイア教団大司教。それも第3位。
 何かしらの手段を講じない限り、フィオレは間違いなくぶちのめされて再起不能になる。

「おいおいマスター、俺も出るか?お前ひとりでどうにかなる相手じゃ……!」
「燕青は先に行っててください。」

「……そこまでにしてあいつと戦うということは、何かしらの策があると解釈してもいいのか?」
「ええ、任せてもらってもいいですか?」

 運転中、月夜は少し考えこむ。
 そして、車を一瞬止める。

「分かった、死ぬなよ。」
「勿論。」

 フィオレは、自身の武装たるブロンズリンク・マニピュレーターを装備して車を降りた。
 彼女を置いて、車はウィンチェスター目がけて再出発した。

 一連の様子を見たカルネウスのヘリから、声が響く。

「お前たった一人がか?あんまし人を嘗めんなよ!?今のうちに言っておこう、俺はお前みたいなかわいい子をぶちのめす胸糞悪い趣味はねぇんだ。今なら見逃してやるから後ろ向いて連中と一緒に帰れ!」

 ヘリのスピーカーから聞こえる、カルネウスの挑発まがいの忠告。
 しかしフィオレは帰ろうともしない。
 そればかりか、挑発的な行動を取る。

「いえ、あなたの足止め程度ならば、私一人で十分ですし帰るつもりはありません。あと……そんなことを言うあなたの右手は銃を握っているでしょうに。」

 カルネウスは、一瞬動揺しつつも相棒のリボルバー銃を握ってヘリから飛び降りる。
 黒魔術によって着地を制御し、そのダメージを軽減させた。

「ははッ!お見通しってか!ならば死ねィ!」



 そのころ、ロンドンでは。

「熊砲のアキラ!」
「死毒のシオリ!」
「言霊のチナツ!」
「我ら、メサイア教団の司教『ラスターズ』!」

「二度も説明しなくてよろしい!」

 デュマのツッコミを意に返さず、熊の着ぐるみの乗り手たるアキラがロケットランチャーを放つ。

「死ね!」
「あの威力……拙い!」

 3人は回避しながら攻撃し問うと試みる。
 しかし。

『暫く動かないで』

 その瞬間、空気が凍った。
 まるで3人の肉体が石にでもなったかのように、動きが停止した。

(こ、こいつは……催眠術か!?)
(動けない!?)

「これが、チナツの能力よ。あんたら3人はもう動けない。諦めて死んだら?」

 赤い槍を握る少女、シオリが自分たちの勝利を宣言する。
 絶望的、3対0。
 3人は勝ち誇ったかのように、ふんぞり返る。

「てか、CROSS HEROESってこんだけ弱かったっけ?」
「カルネウス様が出るまでもないだろうにさ、俺達だけでよかったんだよ。大帝もアレだな!」

 動けない。
 嘲笑まがいの挑発に、唇をかむことすらできない。

「まぁいいや、アキラ、殺しちゃって。」

 その一言と共に、熊の着ぐるみに装備されたロケットランチャーが3人に向けられる。
 此方は動けないし、命中すれば即死は避けられない。
 絶体絶命。

「そ……勝った……か?」

 そう、3人だけならば。

「何?聞こえないわよ。もっといい悲鳴をきかせな。」
『それで勝ったつもりか?と言ったのだ、外道め!』

 刹那、彩香の動きが加速する。
 時速0キロメートルで固定されていた筈の彼女の身体が人間の限界を超えた速度で駆動する。
 固定されていたがゆえに、その動きの速度もひとしお。

『___我らを固定させた程度で勝った気になるとは。愚昧極まったなメサイア教団!!』

「な、何で動いてんだよチナツ!確実に固定できるはずなのに!」
「し、知らない!むしろ私が知りたい!」

 彼女の中に宿る神霊『アマツミカボシ』が励起する。
 一柱の神の力が、3人を襲う。

『今度はこちらからゆくぞ……神霊アマツミカボシ、参る!』

17人目

「アビダイオー、アクション」

アビダインの視界を覆いつくす、夥しい数の機械群。
機械、機械、何処を見渡しても機械尽くしの無機質な戦場だ。
量産型タイムマジーンとダイマジーン、アームスレイブに、目を凝らせばカッシーンの姿も見えるだろう。
最早数えるのも億劫な程の圧倒的な量に、溜息の一つでも零したくなる程だ。

「まぁ、切り替えていくとしよう。」

だが生憎、呆れの感情は先程品切れになった。
元凶の買い主様は今もワイングラスを傾け、自分も知っている美酒の味に酔いしれている。
とっておきの秘蔵だったという物を、という無念さも切り捨てる。
言葉通り、雑念も意識も切り替えていく。
実際の所は若干名残惜しいのだが、それはさておき。

「全員、無事に降り立ったみたいだね。」

眼前に広がる光景に視線を向け、アビィが口を開く。
勇猛果敢で頼もしい英雄達の出陣に、感慨深く思う。
彼等の活躍は目覚しく、その雄姿にはモニター越しにも伝わる奮起に当てられ。
しかしそれも束の間、すぐに表情を引き締める。
彼等の事を思うならばこそ、この場で自分の役割があると確信するから、それを果たす為に。
その役目を突き付ける様に、巨影がアビダインを覆う。

「全く、多ければいいってものじゃないんだけどね?」
「あら、一人で捌けるのかしら?」
「君はどっちの味方だネ?」

アビダインを強襲するダイマジーンの影だ。
その頭部に備えられた平歯車が、機械特有の重低音を立てて鮮やかな赤を灯す。
無機質な機械が、明確な殺意を宿した表れだ。
さながら船を襲う海坊主の伝説の如く、機械の腕を伸ばしアビダインのブリッジへ掴み掛かる。
およそ40mの巨体から繰り出される握力の全貌は計り知れないが、迫り来る細長い巨腕の一撃は正しく脅威であり、それは眼下の者達にとっても同じ事だろう。
いや、その体躯の差から言えばもっと脅威度は跳ね上がる。

「捌ける?誰に言っているんだい?」

なればこそ、自分こそが立ち向かうべきだと、アビィが決意を新たする。
そして一言。

「チェンジ、アビダイオー。」

その言葉と同時、ダイマジーンの腕が横合いから掴み取られた。
アビダイン後部から伸びたエンジン、いや巨腕に。
ダイマジーンのそれと比べても太く強大な、蒼い腕。
見比べてみればか細く見えるダイマジーンの腕は、ミシリと金属のひしゃげる音を立てて歪んでいく。
狙い澄ました奇襲にダイマジーンは一瞬狼狽え、それが命取りとなる。
変形していくアビダイン、くるりと180度回転する艦後部。

「そうれ、ジャイアントスイングだ!」
「ぬぉ!?危うく腰打つ所だったネ!?」
「ひゃっ!」

その勢いに耐え切れず引き千切られ、ダイマジーンは本体ごと放物線を描いて飛んでいった。
更にもう一方、後方部より現れたもう一つの巨大な腕が、別のダイマジーンを軽々と掴み取る。
先にダイマジーンを投げた腕と合わさり、今度は巨体を軽々と持ち上げた。
腕の肘部分には、火を吹かしたスラスター。
軽快そうで同時に重厚感溢れる圧倒的質量と推力が、ダイマジーンを締め上げ圧縮していく。
臓物を巻き散らすが如く機械片を零していくダイマジーン。
あれだけ恐ろしかった巨人を手玉に取る様に、アビィは愉悦に近い感動に包まれていた。

「ちょっと、今のでワイン零れちゃったわよ!」
「ははっ、浴びる程飲みたかったのだろう?」
「わざとねコイツ。」
「僕を巻き込まないで欲しいネ?」

ギチギチと歯車の破砕音を断続的に響かせ、鮮血の代わりに火花を散らし、まるで生き物の様に藻掻きながら、しかし弱った虫の如く沈黙していくダイマジーン。
最早勝負は決まった様な状況に、ふいにアビィがワインボトルを奪いとってラッパ飲み。
そのまま片手で、変形フェイズ最終段階コードを走らせた。

「おっと、こんな物で根を上げられちゃ興冷めだよ?もっと華々しく散ろうか!」
「あぁちょっと!私のワインボトル!?」
「遂に飲酒運転したネ、僕もう知らないよ。」

アビダインの艦首が沈み込む様に大地へと不時着、いや足と化して"着地"する。
その衝撃を皮切りに、ダイマジーンは無機質な金切り声を上げて真っ二つにへし折れた。
重々しい慣性に従い、重力に引かれゆっくりと崩れていく機械の魔神。
やがて全身の至る所から余すことなくエネルギーを逆流させ、ダイマジーンは爆散した。
さながら流星雨の如き機械片の雨を背に、黒煙の中から機械の王が露わになる。
巨大な戦場を支配する王者、アビダイオーがここに降臨した。

「何というか、実に浪漫溢れる姿だネ。」
「だろう?」

ギリシャ彫刻の如き光沢を放つ白亜の船体、太さ10mはあろうかという丸太の如き蒼い巨腕。
重厚な機械らしい威厳を放ち、悠然と佇む姿は正に王者の風格。
舞い散る煤塵すらも己を彩る世界の一部と言わんばかりの威容が遺憾なく発揮され、眼前の敵を見据えている。

「でも、見掛け倒しじゃつまらないだろう。」
「それは同感。」

そして今、アビダイオーは動き出した。
アビダインの巨体が僅かに揺れると、それは一歩目だと理解する頃には二歩目の震脚。地響きを立てて力強く踏み出された脚部が、アビダインの重量を存分に乗算させて前へ。
同時に、その巨腕をゆっくりと振り上げて、三歩目と同時に突き出す。
一閃、ただの一振りだ。
蒼い巨腕が、大気を、地面を、全てを暴虐の限りを尽くして薙ぎ払う。
その腕へと追従する様に白い吐息が吹き荒れ、風が吹き荒れる。
たったそれだけで、ダイマジーンの群れが、文字通り一掃された。
その威力は、さながら大災害が如く。
アビダイオー、その巨体に見合う豪腕は、その破壊力は伊達ではない。

「それじゃ、どんどん行こうか?」

アビダイオーは、その腕を更に横殴りに振るう。
更に一体、また一体と、ダイマジーンが叩き潰されていく。
アビダイオーと比較してか細い体ダイマジーンの身体に、アビダイオーの腕は強靭過ぎた。
次いで放たれたミサイルの弾幕が、ダイマジーンの抉れた穴へと降り注ぎ、内から食い破っていく。
最早、ダイマジーンはアビダイオーに抗う術など無かった。

18人目

「無冠の英雄たちと地獄からの使者」

 特異点、ロンドン、カリブ……世界各地を舞台に激闘が繰り広げられている。
そんな中、トゥアハー・デ・ダナンを旗艦としたミケーネ帝国討伐隊は
太平洋を航行中であった。

「マデューカスさん、ミケーネ帝国の動きはどうですか?」
「既にヨーロッパを中心として各地の主要都市が制圧されています」
「予想以上に敵の侵攻速度が速いですね……」

 艦橋で司令官席に座るテッサと副長のマデューカスが会話を交わしていた。
戦闘指揮所では艦長のテッサを筆頭に、砲術長や水雷長といった役職を持つクルーたちが
忙しそうに動き回っている。


――神浜市・みかづき荘。

『御覧ください、この光景! 現在、世界最強の国であるはずのアメリカが
一方的に蹂躙されているのです!』

 テレビから聞こえてくるキャスターの声。
画面に映るのは崩壊したワシントンD.C.の映像だった。
それを見ていたフェリシアはドンッ、とテーブルを叩きつける。
そして怒りの形相を浮かべながら叫んだ。

「くっそぉ、無茶苦茶しやがってぇ! オレがぶっ飛ばしてきてやる!」
「アメリカまでどうやって行くのさ!? やちよししょー達が特異点から
帰ってくるまで待つんでしょ!?」

 鶴乃の言葉にフェリシアは何も言い返せなかった。

「だってよォ……」
「CROSS HEROESの皆に任せるしかないよ……」

 その時だ。ワシントンのビルの谷間に強力な粘着質と丈夫さを併せ持つ
蜘蛛の糸のようなものを放ち、ターザンロープのように飛び回る影があった。
それは軽やかに弧を描き、高層ビルの屋上へ着地する。

『おお、皆さん! スパイダーマンです、スパイダーマンが駆けつけてくれました!』

 興奮気味なキャスターの声を聞き、フェリシア達はハッとして画面を見た。

「おっ!? 何だアレ、蜘蛛男!?」
「アメリカにもああ言うヒーローがいるんだ……」

 親愛なる隣人、スパイダーマン。
並行世界のスパイダーマンが集う「スパイダーバース」を経由し、
このリ・ユニオン・スクエアへとやって来た彼は、誰一人知る者の無い異世界で
孤独に戦い続けていた。
しかし、ここが何処であろうと彼にとっては些細な問題だ。やるべき事は決まっている。


 大いなる力には、大いなる責任が伴う――


『スパイダーウェブッ!!』

 スパイダーマンが出力を上げ、広範囲にクモの巣状の糸を放ち
街に襲い来るミケーネの戦闘獣を雁字搦めに拘束した。

「ガオオオオオオン!!」

 もがけばもがくほど絡まる網によって身動きが取れなくなった戦闘獣たちは、
やがて横転してそのまま動かなくなる。

「……ふう、こんな怪物までいるのか、この世界は」

 一息ついたところで、スパイダーマンは周囲を見回す。
ワシントンの街並みが崩壊しており、至る所から火の手が上がり煙が立ち上っているのだ。

「こりゃ大変だ……」

 休む間もなく、スパイダーマン――ピーター・パーカーは市民たちを救助すべく
ビルの屋上から飛び降り、燃え盛る炎の中へと消えていった……
CROSS HEROESに所属こそしていないものの、
こうして世界の平和のために戦うまだ見ぬヒーローたちがいるのだ。
一方、ワシントンD.C.から遙か離れたとある孤島では……


「物言わぬ動物たちを傷つける悪の手先……許せんッッ!!」

「誰だお前は!?」
「地獄からの使者、スパイダーマンッ!!」

 ミケーネ神を前に敢然と立ち向かう正義の味方の姿があった。
ワシントンDCで奔走するスパイダーマンとは、細部が異なっている。
スーツを纏う者の声も体格もピーター・パーカーとは明らかに違う。
彼もまた、スパイダーバースからやってきたもう一人のスパイダーマンなのだ。

「やれやれ……ここは自然保護区で、動物たちの棲み家だ。
お前みたいなのに荒らされちゃ困るんだよ」

 レンジャーの腕章を巻いた黒髪の男は、ミケーネ神に向けてエネルギー波を放った。

「ぎゃああああッ!? お、おのれ、やりおったな!? 
ミケーネの神に向かって、何たる無礼……」
「神? それにしちゃ、随分と粗暴で下品じゃないか」

 男の挑発的な言葉を受けてミケーネ神の額に青筋が浮かぶ。

「貴様は斬り刻んでくれるわ!」

 激昂し襲いかかってくるミケーネ神に対して、 男は冷静沈着かつ的確に対処していく。
スパイダーマンとは全く異なった戦闘スタイルだが、彼もまた超人であった。
男が拳を振り抜くと、ミケーネ神は凄まじい勢いで吹っ飛んでいく。

「ぐぉおああああああああッ!?」
「スパイダーストリングスッ!!」

 未だ体勢の整っていないミケーネ神に無数の糸が絡みつく。
まるで鋼鉄のワイヤーのような強度を誇る糸によって全身を縛られ、身動きが取れない。

「ぶわっ!? な、何じゃこれは!?」

 もがき苦しむミケーネ神を見下ろしながら、男――人造人間17号は静かに言った。
そして腕を組みながら、淡々と語る。

「手伝ってくれ、粗大ゴミを片付けるぞ」
「OKだ!」

 17号とスパイダーマンは共同でスパイダーストリングスで捕らえたミケーネ神を
ぶんぶんと振り回し、水平線の彼方へ放り投げた。

「ああ、海にゴミを捨てるのも良くないか……そら」

 空中を飛んでいくミケーネ神を17号がエネルギー波で狙撃すると、
その体は欠片も残さず爆散した。

「ふう、やれやれだな」
「ありがとう、助かったよ」

 戦いを終えた二人は、手を取り合い友情の握手を交わす。
17号は元はレッドリボン軍の天才科学者、ドクター・ゲロによって
双子の18号共々改造されてしまったものの
現在では自然保護のレンジャーに従事して暮らしているのだと言う。

「よくもやりおったな、人間どもォ!!」
「何っ……」

 その時、海面が隆起して巨大な水柱が上がる。
中から姿を現したのは新たなミケーネ神と戦闘獣達だった。

「懲りない連中だな。ここから出て行けと警告したはずだ」

 呆れたように呟く17号の言葉を聞いて、ミケーネ神は怒り狂う。

「黙れ! この地上のすべては我々ミケーネ帝国の所有物なのだ! 
消えて無くなるのはこの地上を横から掠め取った貴様ら人類の方だ!!」

 この期に及んで、まだ自分達が優位だと思い込んでいるようだ。
そんな彼らを嘲笑うかのように、戦闘獣達は雄叫びを上げる。

「言って分からないなら、仕方がない……力ずくでも追い出すまでだ」
「ならば、こちらも……マーベラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 スパイダーマンは、空の彼方から巨大宇宙戦艦「マーベラー」を召喚した。
その威容を見て、17号は感心する。

「デカいな……」
「マーベラー、チェンジ・レオパルドン!!」

 マーベラー内部に吸い込まれていくスパイダーマン。
人型形態へとレオパルドンへと変形した。
その姿は、まさにスーパーロボットと呼ぶに相応しい。

「ぬうう、裏切り者のゼウスの遺産から造られたと言うマジンガーZとは違うようだが……
虚仮威しに過ぎん!!」
「ミケーネ退治の専門家、スパイダーマンッ!! 行くぞ、レオパルドンッ!!」

19人目

「星月夜を駆け抜けろ その3」

『___参る!』

 彩香に宿りし神霊___アマツミカボシが駆動する。
 水色の瞳を、赤く燃える銀河が如き瞳に変色させ暴威が如き突撃を開始する。

「な、何!?」
「ちょ……アキラ早く撃って!」

 熊の着ぐるみの乗り手、アキラはロケットランチャーの掃射を開始する。
 対する彩香は、全身の力を極限まで抜きそのままの勢いで跳躍。縦横無尽に飛ぶ水色の矢と化した。
 空中を蹴り、大地を蹴り、刀型の神體から水色の銀河を浮かばせた刃を具現化させる。

『あまりにも、遅い!』

 水色の銀河は、いともたやすくロケットランチャーの砲身を切断してしまった。
 驚愕する。

「嘘……なんで……爆発しない!?」

 アキラは、別の意味で驚愕していた。
 普通、ロケットランチャーを切断しようものなら信管とかを切断してしまい、高確率で爆発する。そうなれば幾ら神霊を宿そうとも人間の身体を持つ彩香は爆裂死する。
 しかしこの『神霊』は、ロケットランチャーの砲弾の信管といった『爆発する部位』を全て避けて切断してしまったのだ。
 まさに、神の業。

「こっち向きやがれ、クソガキャャアアアアアアア!!」

 黒槍の使い手、シオリが彩香の身体を突き刺そうとする。
 連続的な刺突、その全てを紙一重で躱す。

『!』
「隙あり!」

 上空から叩きつけるように刺される槍を回避する。
 突き刺さった黒槍は、コンクリートの地面すらドロドロにしてしまった。
 これは、猛毒だ。突き刺されば命はないだろう。

『毒如きでオレを殺せる気になるとは、愚昧極まれり!』

 しかし相手は神霊。
 毒では神を下せない。
 一刀のもとに、黒い槍をもへし切ってしまった。

「え……?」
『死ぬがいい、人の子!』

 その刹那、神體の刀がしなる。
 否、しなるというよりかはまるで薄い紙で作られた鞭のような剣が、シオリの身体を拘束した。

「く……くそ、離せってんだよ……!」
『離してほしいか!ならば!』

 シオリを、はるか上空に突き"離し"、彩香は再び跳躍する。
 神體の刃を再び通常の打刀の形に変質させ、一刀のもとに撫で斬りにしてしまった。

「いっ……あああああああああああああああああああああああああああ!!」
「か、怪物だ……!」

 激痛に悶える同胞をみて黙っていられるわけもなく、アキラは走り出す。
 まるでサーベルのような爪を生やし、白兵戦に挑む。

『勇猛だな、だが拙いぞ!』

 空中から、まるで接近する彗星の如き速度でアキラ目がけて進軍する。
 刀を帯刀し、まるで居合切りの態勢を整えて切断しようと試みる。

「くっ!」

 防御態勢を取る。
 あんな怪物じみた威力の斬撃を喰らってしまえば、重症は避けられない。
 故に、防御をするのは正しい選択といえよう。

『オレが怪物……違うな、オレは神霊だ!』

 ただし、野生の怪物であればの話だが。

「あああああああああああ!!!」

 怪物などと言う領域を超えた、神霊の一刀。
 それは、彼が持つ唯一の武装たる爪をすべてへし折り、熊をたった一刺しの下に下してしまった。
 続けて繰り出されたまるで鞭が如き蹴りで熊は遥か彼方へと吹き飛ばす。
 その一撃で着ぐるみからはじき出され、近くの建物に巨大なクレーターを作ってしまったのは彼女の蹴りの力が神霊によって増幅されたからか。

『もう終わりか!熊の乗り手!安心しろ、両方とも殺しはしていない。』

 アキラはもう、一言も言えなくなった。
 お互いに死亡こそしていないが、再起不能だ。

 残されたのは、言霊使いのチナツだけ。

『残るは貴様だけだ、言霊の使い手よ。』
「あ……ああ……!」

 チナツの表情が一瞬で絶望に染まる。
 頼みの綱である『言霊』は、一度撃てば暫くは使えない。
 仮に撃てたとしても、この神霊に効く保証はない。

『どうした、貴様も人間なのだろう……?どう足掻くか、どう抗うのか、見せてみよ!さぁどうした人間の”戦士”!さぁさぁさぁ!!』

 まるで戦闘狂としての一面が浮かび上がっているかのような変貌具合。
 原初の記憶が、彼女の身体からすさまじいまでの闘気を放っている。
 そして、そんな様子に真っ先に気づいたのは、チナツの言霊の呪縛から解放された月美であった。

「彩香ちゃん……なんか様子がおかしい……!」

 月美の目に映る彩香の顔は、まるで獲物を見つけた肉食獣のように映っていた。

20人目

「星月夜を駆け抜けろ その4」

「まさか……」

 暴走。既に肉体の主導権はアマツミカボシが握っている。
アマツミカボシが、彩香の身体を乗っ取ってしまったのだ。
恐れていた事態が、現実となった。

『虫を弄んでいると、やがて死に至る。
そんなつもりは無いのに、戯れに過ぎぬだけなのに、
いつしか虫の命を終わらせてしまうことがある。それと同じだ』

 アマツミカボシは、ただ遊んでいただけだった。
ランカーズが眼前で吹き飛び、苦悶にのたうち回る姿が愉快で仕方なかったのだ。

『だから此度もーー』

 神霊は、ただ遊ぶだけで人を殺せる存在だ。

「……ッ!」
『ーー此度の戯れも、つい、うっかり、力加減を誤って虫を潰してしまった。
それだけのことなのだ。故に、恨むならオレではなく、
遊びで人を殺すオレに出遭ってしまった己の運の無さを恨め。
オレに、悪意はない。ただ、目の前を飛び回る羽虫を払い落としただけのこと。
ゆえに、謝る必要もなければ、悔いることも無い。そうであろう?』

 アマツミカボシは、チナツを睨んだ。その瞳は、赤く燃えている。
それは魂をも焼き尽くす、火葬の焔か?

「ひぃ……!」
『腕をもぎ取るか? 足を切り裂くか? それともその首をーー』

「やめなさい!」
『!』

 アマツミカボシの動きが止まる。声の主は、月美だった。

「彩香ちゃん、聞こえてるんでしょ?」
『……』

「今すぐその身体から出て行って!」
『先も言ったな、ヒトの子よ。オレに干渉をするなと』

 圧倒的な威圧感を放つ神霊に、しかし月美は怯まない。

(流星旅団の皆さんもペルちゃんもいない、デュマさんもサーヴァントではあるけど
戦闘には向いていない。私が、なんとかするしかない……!)

 未だかつてない強敵を前に、月美は恐怖に震えていた。
だがそれでも、勇気を振り絞って立ち向かう。

「あなたは……彩香ちゃんを守る為にその身に宿ったんじゃなかったの!?」
『そうだとも。だからこそ、我が主の命の狙うこやつらを始末しているのではないか』

「いたずらに人の命を奪うことを、彩香ちゃんが望むと思うの!?
まして、虫を弄んで殺すようになんて……!」
『仕方の無い事だ。オレにとっては人間なぞそれほどまでに矮小な存在。
虫ケラ同然の存在だ。故に、殺したところで何の罪悪感も抱かん』

 価値観が違いすぎる。
人間が靴裏で踏みつける微生物の気持ちなど分かるはずもないように、
この神霊もまた人間のことなど理解できないのかもしれない。
だが、それでも。
月美は、一歩も引かない。
神を敵に回してでも、守りたいものがあるから。
たとえ、相手がどれほど強大な存在であろうとも。
そしてそれが、例え自分よりも遥かに強くとも……

「あなたに……彩香ちゃんの手を返り血で汚させるわけにはいかない!」
『やれやれ……また虫が増えたか。飛んで火に入る夏の虫。
先人は趣深い言葉遊びをするものよな。
己の無知と無謀と不明に身を焼かれて灰になるが良い』

 日向月美VS天宮彩香……もとい、アマツミカボシ。
何故なのだろう。生まれた日も世界も異なるはずなのに
星の名に由来する者同士が集い、そして今、ここに相対する……

21人目

「ギリシャ炎上!CROSSHEROESVS戦闘獣軍団!」

一方その頃、ギリシャでは現在進行形でCROSS HEROESとミケーネの戦闘獣による激しい戦いが行われていた。

「ゲッタートマホーク!」
竜馬の乗るゲッターロボは肩からゲッタートマホークを取り出した。
「テメェらは俺の知ってる神とは違うようだが、そんなことは関係ねえ!
全力でぶっ潰されてもらうぞ!」
ゲッターロボはゲッタートマホークを振り回し戦闘獣を切り裂いていく。

「ガオオオオオオン!!」
「デュワッ!?」
戦闘獣が発射したビームや溶解液をなんとか回避していくウルトラマンZ
「クッ…あの戦闘獣とかいうやつら、ウルトラ強いでありますな」
『神様名乗ってるだけはありますね…』
するとそこへベリアロクが飛んできた。
「神か…面白い、斬らせろ…!」

『手伝いますハルキさん!』
《サークルアームズ!マルチソード!》
『助かりますケンゴ君!』
「デェアッ!」
「デュワッ!」
ウルトラマンZはベリアロクを、ウルトラマントリガーはサークルアームズを構えると戦闘獣軍団に向かって突撃する。

「どうした人間共!その程度か!」
「クッ…!」
ウルズも連携して戦闘獣を攻撃するが、通常兵器の攻撃では全然ダメージを与えることができず、ラムダ・ドライバを搭載している宗介のレーバテインの攻撃が少し効いてるぐらいである。
「とんでもない硬さね……」
「やつらの硬さは超合金Zと同等……いやそれ以上か…!」
「せめてどこかしら弱点があればいいんだけどな……ん?」
するとクルツは戦闘獣に顔が2つあることに気づく
(あいつら、機械獣とは違って顔が2つある…?それも片方は人間みたいな顔だ……ならもしかすると…!)
クルツは戦闘獣の人面の方の顔を狙って撃った。
すると…
「っ!?ギャアアアアアアアアアッ!?」
なんと顔の一部が破壊されそこから血が流れ戦闘獣が苦しみ始めたのだ。
「ビンゴ!どうやらどうやらあそこが弱点のようだぜ!」
「ナイスよ!クルツ!」
「よし、総員戦闘獣の顔を集中攻撃しろ!」
「了解した」
ウルズ小隊は戦闘獣の弱点である人面部分を集中敵に攻撃して戦闘獣を撃破していく。

「チッ!調子に乗るなよ人間共!」
しかしCROSSHEROESが少しずつ撃破しているとはいえ戦闘獣軍団は今だに数が多く、弱点を発見したとはいえこのままじゃ長期戦になってしまう。そうなればいくらCROSS HEROESでも勝つのは厳しいだろう。
『あいつらまだあんなにいるのかよ!?』
『恐らくはこのギリシャはやつらが復活した場所の近くだから、他の国と比べて戦力が多く集まってるのだろう』
「こっちは逆に特異点やロンドン、カリブにと…戦力がバラバラに分散してるのもあって戦力がバードス島での戦いと比べて少なくなっている……物量だけならあっちの方が圧倒的だ!」

「ボス…やっぱり神浜市の魔法少女の皆さんも連れて来た方が良かったんじゃないですか?」
「そうですよ。せめて港区で俺たちCROSS HEROESに協力してくれたみかづき荘のうちの、特異点に行ってない二人だけでも……」
「馬鹿野郎!こいつらが日本に攻めてくる可能性だってあるんだ!全員がこっちへ来たらその間に日本がまずいことになるかもしれねえんだぞ!?」
「た、確かに…!」
「俺もヤムチャさんや18号さんを呼ぼうか悩んだけど、ドラゴンワールドに攻めて来る可能性があるからな……」
(何よりも、まだマーロンが幼いのに18号さんをこんないつ死んでもおかしくない戦いに呼ぶわけにはいかない……)
「けど、敵の数と強さを考えると私達だけじゃ厳しいわ」
「あぁ、せめてもう少し戦力が欲しいが……」
そんなことを話してると、トゥアハー・デ・ダナンにいるテッサ艦長から通信が来る。
『皆さん!追加の戦力ならすぐに来ますよ!』
「なに!?」
するとどこからか砲撃が飛んできて戦闘獣の人面部分を貫いた。
「な、なんだ今の攻撃は!?」
「どこだ!?どこからの攻撃だ!?」
突然の砲撃に戸惑う戦闘獣軍団。

「今の砲撃はいったい…?」
「お、おい。あそこを見ろ!」
「っ!あれは…!」
CROSS HEROESが見つけたもの、戦闘獣を撃ち抜いた砲撃の正体……それはメタルギアZEKEによるものであった。

「……待たせたな…!」

22人目

「星月夜を駆け抜けろ その5」

 アマツミカボシ。
 日本神話において、明確に悪神と定義されている神。
 その在り方については未だ議論の余地が多く『なぜ悪神と定義されたのか』『日本神話上における悪神の定義とは何なのか』『高天原に逆らえば悪なのか』『そもそも、アマツミカボシはサタンやロキなどのような絶対悪なのか?』と謎が多い。

 では、なぜアマツミカボシは彼女を拒絶しなかったのだろうか?
 なぜ、天宮彩香というただの女子高生を選んで力を貸し与えたのだろうか?

 そもそもの話、天宮彩香はただの女の子だ。
 ちょっと剣術が強いだけで、これといった異能や魔術の心得もない。
 悲惨な過去を背負ってはいるが、背負った程度で強くなれるというのならば誰も苦労しないしするわけない。
 はっきり言ってしまえば、それこそもっと強い人間に取り付いた方が効率がいい。

 にもかかわらず、この悪神は。



『ほう、あの小娘は逃げたか。逃げ足の速い奴め、まぁいい。』

 舌打ち交じりに、逃げ足の速いチナツに対する悪態をつく。
 神霊たるアマツミカボシにとって敵とは、主たる彩香に仇為す者共。
 彼女を傷つけようとするのならば、それがたとえ取るに足らない人間だろうとも殺す。
 それが、アマツミカボシの在り方だ。

「……一つ、聞いてもいい?」
『何だ、人の子よ。』
「なんで彩香ちゃんに取り付いたの?」

 今にでも止めたいはずなのに、月美はそんな質問をしていた。
 ただ気になっていた。
 ”なぜ”彩香なのか。
 この神霊は、なぜ天宮彩香を選んだのか?

『そうさな、主には人の輝きがある。人の枠を越えた成長性がある。オレはただそのような者を導くだけだ。それこそ人が星を目指したように。』

 その言葉がその場しのぎの虚言とは思えない。
 真実味しかない。
 その在り方はまるで時に人を導き、時に試練を与える星のような。

「つまり、完全にあなたの好みで選んだってこと?」
『他の神に悪神と定義されてしまってもなお、強大なる悪によって同胞を多く喪い傷つこうとも、最後まで立ち上がり抗う主のような者にオレは力を与えるまでだ。』

 その瞬間、神は踏み込む。

『そして、オレは主のような者を傷つけ嗤おうとする者が許せんのだ___!』

 月美は、なるべく彩香の肉体を傷つけないように身構える。
 しかし相手は神霊、そんなことお構いなしに月美への攻撃を敢行する。

『暴風・狂星___!』

 全てを裂いてしまいそうな烈風が、アマツミカボシの持つ刀から繰り出される。
 風が輝きを放ち、ありとあらゆるものを爆風と共に吹き飛ばすその様はまさに、風を纏った流星。

「嗤うつもりはない!」

 月美も対抗して、神具たる織姫/彦星を展開し対抗する。
 迫りくる烈風を弾こうと剣を振るう。

「お、重い!?」

 突きの風圧ですら、あまりの力を持っている。
 力というより、まるで巨大なハンマーで刀の切っ先を殴られたかのような。

「くっ……ぁああ!」

 何とか烈風を弾くも、アマツミカボシは連続して斬撃を放つ。
 今度は突きも払いも織り交ぜた、まるで夜空というキャンパスに星や月、流星群を描くかのように。
 そんな大小さまざまな形の衝撃波をかいくぐり、躱しては弾き飛ばし、傷つきながらも月美はアマツミカボシの近くまでに接近した。

「おおおおお!」
『来るか!人の子よ!』

 鍔競り合い。
 神體で構成された星の刃が、これまた星の刃たる神具と衝突する。
 神という脅威に抗いし人間という状況。
 月美は先の質問で得た回答と共に、アマツミカボシという悪神の本質を感づき始めた。

『面白い!面白いぞ!それでこそ人間!困難に抗い!苦難を退け!勝利と栄光を求む者たち!斯様な者こそ、オレは導こうぞ!』
「あなたは、そういう……!?」

 アマツミカボシがその胆力に物を言わせ、月美を弾き飛ばす。
 しかし月美もまた受け身を取り、再度臨戦態勢を整えた。

『連中が逃げた今、オレの目的は変わった!さぁ貴様らを導く試練の刻だ!主の意識を戻したくば、全力で来い!』

23人目

「星月夜を駆け抜けろ その6」

神にも、様々な神がいる。
その全てが善なる神であるとは限らない。
悪しき神もいるだろうし、邪神と呼ばれる存在もいるかもしれない。

 では、アマツミカボシはどうだろうか? この悪神は、悪神としての使命を
全うしようとしているだけに過ぎない。
人の輝きを愛している。
人は試練を乗り越えることで輝くことができる。
ならば、それを手助けするのが神としての在り方だと。
だから、悪神と呼ばれようとも人に試練を与え、乗り越えさせ、
輝かせることを良しとする。

 と同時に、彼は人を慈しむと言う感情を知らない。向かってくる者は誰であろうとも
打ち砕き、ねじ伏せる。死ねばそれまで、と。
それが、アマツミカボシの在り方だ。
彼の目的を果たすためならば、彩香の身体だろうと、魂すら使い潰す覚悟がある。
試練を乗り越えられないのならば、それはそれまでの器だったということなのだから。
彼にとって、人の命とは吹けば消えるか弱い灯火に他ならない。
等価値であり、無価値。玉石混交の中から選別し、
輝きを磨き上げるための道具でしかない。

『その剣……神の力を宿しているのか?』

 月美が持つ刀を見て、アマツミカボシはそう言う。
神刀・星羅。日向家に伝わる神具にして、星々の輝きを凝縮した刀。
神霊たるアマツミカボシがその星々の光に目を奪われるのは当然のこと。
アマツミカボシにとって、この刀はただの武器ではない。
神の力の一端を宿した、神格武装なのだ。

 つまりは、神に対してこそ真価を発揮するもの。

「私がこの世界に来たこと……もしかしたらこの日、この時のためなのかもね……」
『ほぅ、人の子よ。このオレと本気でやり合う気か』

「もちろん……彩香ちゃんを取り戻すために! 彩香ちゃんが目を覚ますまで、
私があなたの相手になる!」
『いいだろう! 存分に力を振るえ、ヒトの子よ! オレがそれに応えよう!』

 その瞬間、月美は星羅の刃に霊力を込め、一閃する。

「はあああああああああああああッ!! 星座閃ッ!!」

 突き出した星羅から放たれたその一撃は、まさしく星空を突き貫くような勢いで
放たれる。しかし、その攻撃がアマツミカボシに届くことはなかった。

『甘い!』

 星のように煌めきながら迫りくるその攻撃を、アマツミカボシは大気ごと
両断するかのように叩き落とす。
その衝撃によって発生した暴風によって、月美の身体は吹き飛ばされる。

「ぐっ……」
『ほう、今ので倒れぬ程度には鍛えていたか。なかなか見所があるな。
それに……この武器は貴様が拵えたのだったな? 良い仕事だ』

 彩香の武器は、デュマの宝具によって改稿されたものだ。
「宝具の贋作を作り、それに原典を超える力を付与する」という"昇華"の使い手。
それを神霊たるアマツミカボシが振るうことで、強力無比な武器が出来上がっていた。

「ケッ、そりゃどーも……天才すぎるのも考えものだわな。
まったく自分の才能って奴が怖いぜ」

 坊主頭をガシガシと掻きつつ、デュマは自嘲気味に笑う。
皮肉にも、彩香本人ではなく、その身体を乗っ取ったアマツミカボシこそが
デュマの武器の性能を限界以上に引き出したのだ。
そしてそれが今や、悪神を手のつけられないほどの脅威にしてしまった。

(強い……これが神の力……)

 悪神・アマツミカボシと、神の力を宿す武器を持つ月美の戦いは、
まさに人智を超えた戦いとなった。
神という規格外の存在を相手にしてなお月美は一歩も引かずに応戦し、
互角に渡り合っていた。

 しかし、それを振るう月美自身は何処まで行こうとも人間。
体力にも霊力にも限りが有り、尽きればそこで終わり。

『人の子よ、お前は素晴らしい! 人の身でオレにここまで食い下がるとは!』

 アマツミカボシは楽しげに笑い、斬撃を繰り出す。
神速の太刀筋が空気を切り裂き、衝撃波となって襲いかかる。

「ああっ……!!」

 月美は必死にアマツミカボシの攻撃を避け、防ぎ、時には弾いて反撃を試みる。
しかし、その全てがアマツミカボシの防御を崩すどころか、
傷一つ付けることもできなかった。

『しかし、まだ足りない! もっとだ! もっとオレを愉しませろ!!』
「くっ……!」

『どうした? その程度では試練を乗り越えることなど夢のまた夢ぞ!?』
「まだまだぁぁぁぁぁぁッ……」

24人目

「星月夜を駆け抜けろ その7」

 甲高い金属音と共に、月美の身体が宙を舞う。
地面に強く打ち付けられ、全身に鈍痛が走る。

「ぐふっ」
(まずいな、あの嬢ちゃんもかなり消耗してきている。このままじゃジリ貧だ。
どうする? どうすりゃいい?)

 デュマは焦っていた。この状況を覆す逆転劇を、世紀の劇作家は求めている。
しかし、その手段が見つからない。

「くっ……うう……」
『手詰まりか? ならば――死ねィ!!』

 跪く月美に刃を振り下ろさんとするアマツミカボシ。
そこに、横から声が響く。

「波あああああああああああああああああああああああああッ!!」
『ぬぅ……?』

 アマツミカボシは一歩飛び退き、金色の気功波をやり過ごす。
その一瞬の隙に、アマツミカボシの両手首に巻き付く赤いマフラー。

『貴様は……!!』

 孫悟飯、そして魔殺少女ペルフェクタリアだ。

「――悟飯さん、それに……ペルちゃん!」
「間一髪と言う所だったかもね。とてつもない気を感じて急いで駆けつけたんだ」
「よく頑張った、日向月美。後は任せろ」

『ククク……生きておったか、海の藻屑と消えたと思ったのだがな?』
「ふん……あれしきで死ぬような私ではない。それに……死ねない理由も出来た」

 今もここではない何処かでペルを待つ平坂たりあ……
己の半身を取り戻すため、ペルはここで負けるわけにはいかない。

『むう……?』

 ペルの足止めを振り解こうとするアマツミカボシは、
強烈な殺気を向ける人物に気づいた。石川五ェ門だ。

「……」

『フッ……ククク。良いぞ。このような人間どもが集い、オレに立ち向かってくる……
この胸の高鳴り、心地よい! さぁ来い! オレは逃げも隠れもせん!』
「うっ……!?」

 神通力でペルのマフラーを強引に解き、アマツミカボシは叫ぶ。
それに応えるように五ェ門は斬鉄剣の柄に手をかける。

「斯様な輩と相見えるのは初めての事……拙者、血が沸き立つ思いでござる!」
『ほう、侍か。面白い、このアマツミカボシに挑む勇気、見せてもらおう!
こう、かな? 様になっているか?』

 アマツミカボシはそう言って、五ェ門の真似事をするように、居合の構えを取る。
月美も激しく消耗し、悟飯もペルも傷ついている。
今、この場でアマツミカボシに渡り合えるとすれば、五ェ門だけだ。

(あの娘に何者かが取り憑いている……恐らくは人ならざる存在であろう)

 五ェ門は目を閉じ、集中する。

(拙者に斬れるか……? あの娘ではなく、あの娘に取り憑くモノだけを……!)

『行くぞ!』
「いざ!」

 神速の抜刀術。先に仕掛けたのはアマツミカボシだ。
神速の一閃が、五ェ門の身体に迫る。

「死中に活を見出だす……! 
ぜやああああああああああああああああああああああッ!!」

 五ェ門の肩口にアマツミカボシの刃がずん、と食い込まんとするその刹那の瞬間、
ついに斬鉄剣を抜く。

「ああッ……!?」

 勝負は、一瞬で決した。
振り抜かれた五エ門のその一撃は、確かにアマツミカボシの振り下ろした刃をも砕き、
その神体のみを斬り裂いた。

『ふっ……はははははははははは!! 見事! 見事なり!
このオレを真っ二つにするとは! これではしばし眠るほかあるまい!
また会おうぞ、ヒトの子らよ! その魂が輝きを増したその時、オレは再び現れよう!!』

 神霊・アマツミカボシは、その言葉を残して消え去った。
同時に、彩香は意識を失う。

「や、やった……!!」
「ひゅう、俺の邂逅してやった武器をお釈迦にしたばかりか、
あのおっかねぇ神サマも倒しちまうとはな。何モンよ、あのサムライちゃんはよ……
それにあの刀も……」

 しかし、その代償は大きい。

「ぐっ……!?」

 斬鉄剣が折れたことで、五ェ門は膝をつく。
人の力で神を斬ったのだ。あの一太刀に全身全霊を超えた神経と力を注ぎ込んだ……
その反動は当然、彼の身にも返ってくる。

「くっ……うぅ……!」
「五ェ門さーん!!」

 悟飯達が駆け寄る中、月美もまた、アマツミカボシの支配から解き放たれ、
気絶する彩香の元へと走る。

「彩香ちゃん……!」

 地面に倒れ伏すその身体を、月美は抱き起こす。

「……」

 しかし、返事はない。

「神たる力を人の身で行使し続けたのだ……その負担は大きかろう。
しばし休ませてやるが良い……」
「五ェ門さんの方こそ……! 大丈夫なんですか? それに、斬鉄剣だって……!」

「拙者は問題ない。だが、斬鉄剣は……」

 五ェ門はそう言いつつ、斬鉄剣の柄に手を掛ける。
しかし、そこにはもはや、刀身が砕き折れた無残な姿があった。

「こいつぁ……完全にダメだな。ここまで粉々だとどうしようもない。
しかし、こんなに見事な刀が歴史に名も残す事も無く存在していようとは……
いやはや、世界は広い。これこそ、本当の『真作』と呼ぶに相応しいじゃねえか……!
こればかりは俺にも再現するこたぁ不可能だろうよ。まさに東洋の神秘か……」

 数多の贋作を真作へと昇華させてきたデュマをして、
五ェ門の神業と斬鉄剣が合わさってこそ実現できた奇蹟に、驚嘆する他無かった。
まさに「今を生きる者」だけが可能とする芸当であっただろう。

「拙者は……斬鉄剣を蘇らせるため、再び旅に出る。斬鉄剣を折ってしまったのも、
まだまだ拙者の腕が未熟であるが故の事……お主達の健闘を祈る」
「五ェ門さん……本当に、色々とありがとうございました……」

 かくして、石川五ェ門は再び放浪の旅へと発ち、
天宮彩香はどうにかアマツミカボシの支配から逃れるのであった。
しかし、アマツミカボシはいずれまた力を取り戻し、彼女らに試練を与えるために
再び顕現する事であろう……

25人目

「聖戦への手がかり」

 そのころ ウィンチェスターでは

「追っ手は来ていないようだな……燕青、フィオレは無事そうか?」
「ああ、今のところはな。早く回収して迎えに行こうぜ。」

 月夜たちが車を走らせ、遂にワイミーズハウスに到着した。
 幸い、追手の類はいないし潜入された形跡もない。

「さて、取りに行く。3人とも行こう。」



 ワイミーズハウス潜入数分後

「あった?」

 フラットが月夜に情報の有無を聞きこむ。
 月夜は忙しそうに情報室からデータを探し出す。

「あったぞ。さて帰ろう時間がない!」

 焦燥に駆られ、3人はワイミーズハウスを後にする。
 メサイア教団の情報を手にして。

 車の中、燕青は端末から情報を読み上げていた。

「……メサイア教団は『聖戦』の前段階としてソロモンの指輪を集めてカール大帝の封じられたある機能を復活させる。それは『天声同化(オラクル)』と呼ばれる機能で、これを使用することにより人類をカール大帝に従わせるつもりである、か。ひどい話もあったもんだな。半ば無自覚な洗脳を施すつもりだったなんてな。連中。」

 燕青が歯ぎしり交じりに資料を見る。
 メサイア教団は大帝の力を利用し、人類救済という名の洗脳を実行しようとしていたのだ。まさに邪悪。

「そんで、洗脳に従わない者や教団に楯突く者たちは世界中、ないし並行世界中から集めた兵器や人材を使い宣戦布告。それこそが『聖戦』の内容である。だから英霊だのAWだの雀蜂だの集めていたのか……だとしたら次は何だ?巨大ロボットか?」

 皮肉をぶつける月夜。
 その表情は焦燥故に浮かばれていない。

「とにかく急ごう。フィオレを迎えに行かねば。」

 一行はフィオレの、ないし彩香たちを迎えに行った。



 そのころ。

「おおおおおおお!」
「はッ!その魔弾の威力は賞賛に値するが、照準がぶれっぶれだぜ!そんなんじゃ俺には追い付けない!」

 ブロンズリンクマニピュレーターから、数十発の光弾を放つ。
 しかしカルネウスの戦闘技術と魔術の腕が彼女の魔弾の力と技術を凌駕している。
 リボルバーから放たれた紫色の魔弾3発が、光弾の全てを霧散させていく。

「で、いつ見せてくれるんだい?お前さんの『隠し玉』はよォ~。」

 カルネウスが挑発まがいに、嫌味ったらしく煽り立てる。


「隠し玉……さて何のことでしたか。」
「……は?」
「私が隠し玉って言ってたのは、逃走用の煙玉のストックがあったかなって思っただけですよ。それに……何も”殺すなんて一言も言ってません”よ?」
「こんの……!」

 カルネウスがフィオレを撃つ。
 弾倉に込められた残る弾丸3発がフィオレの身体を貫徹し死に至らし____めない。

「……あら?」

 その弾丸の全てが身体をすり抜けて、明後日の方向へと飛んでいく。

「これは簡単な幻影魔術……そしてさっきの行動は俺を狙ったんじゃなく、ヘリを落としたってことは……しまった、時間稼ぎか!」

 カルネウスは地面に手を叩きつけ、探査術式を起動させる。

「探れ!」

 しかしその場には、半径20メートルの範囲内にフィオレの姿はない。
 逃げ切られた。
 その事実を悟ったカルネウスは、先の挑発とは打って変わって歯茎と悔し涙をむき出しにして号泣する。

「あんの(放送禁止用語)がァーーーーーーッ!嘗め腐りやがって!!」

 後悔先に立たず、カルネウスは悔し涙を流して咆哮するよりほかはなかった。
 追い討ちをかけるように、カルネウスの下に連絡がかかる。

「なんだ!……チナツか。どうした?」

 掠れた声の主は、アマツミカボシの暴威から命からがら逃げてきたチナツだった。
 チナツは今までの経緯を話す。

『それで、ラスターズのみんながやられて……病院送りにされてしまいました……!』
「神霊……!で、お前だけは無事ってことか!よし分かった、かくなる上は……連中に『クリサリス』をけしかけてやるかッッ!エイダムはまだ出すなとは言ってたがこの際だ!ギリシャにも他勢力が集まっている以上一網打尽を狙うしかない!連中の無念を晴らしたくば俺に協力しろ!いいなッ!」
「は、はい……!」

26人目

「集結せよ、時空を超えた戦士たち」

 ――特異点。

「うっひゃあーッ! アビダインがでけぇロボットに変形したぞ!」
「すンげぇーッ!!」
 
 超時空戦艦・アビダインの真の姿を目の当たりにし、悟空が目を輝かせて叫ぶ。
興奮気味にルフィもテンションを上げていた。

「んん~、皆の羨望の眼差しを受けると言うのは良い。とても良い。凄いだろう? 
カッコいいだろう? アビダイオー」

 アビィは上機嫌で、自慢気に語り出す。

「次はこの日本酒をいただこうかしら」

 紫はと言うと、アビィの秘蔵酒を勝手に開け続けていた。

「何本空けてんだ、何本! この飲んだくれ!」

 アビィのツッコミが飛ぶ。しかし、迫り来るダイマジーンの群れを蹴散らす
アビダイオーの無双は止まらない。
その度に巻き上がる土煙と衝撃波で、周囲の森が薙ぎ倒されていた。
ダイマジーンの残骸がそこらに散乱しており、それが尚の事アビダイオーの破壊力を
見せつける。その光景に、アビィは満足そうに笑みを浮かべた。

「――まぁ、いい。今の僕は気分が良い。君達にも見せようじゃないか。
僕とアビダインの力を!」

 背部に備わるスラスターが大きく火を噴きアビダイオーの巨躯が宙を舞っている。
そしてそのまま、ダイマジーンの頭上目掛けて急降下。

「アビダイ・メテオ・インパクト!!」

 まるで隕石の様な衝撃と共に、ダイマジーンの密集地帯に向けて渾身のキックを
ぶちかました。その一撃でダイマジーンを遙か遠方まで連れ去り、
蹴り離したところで爆発四散。アビダイオーは、優雅に大地へ着地した。

「10点満点の出来だね」
「あんなに大きなロボットであれだけの動きができるなんて……」

 新体操の経験がある黒江は、アビダイオーの華麗な動きに関心していた。

「ええい、これ以上先に行かせるな! 奴らを殲滅しろ!」

 白兵戦用のカッシーン部隊が、アビダイオーに群がって行く。

「流石の僕でもアビダイオーで人間サイズの相手をするのはちょっとばかり手間取るな。
そっちは頼む」
「任せとけ! でやッ!!」

 悟空の気合い砲でカッシーン達が吹き飛び、それを合図としてやちよや黒江が
接近して応戦を始める。

「やああっ!」
「えぇーいッ!!」

「こ、来ないでくださーいッ!!」

 さなの大型シールドには開閉機能があり、展開時には盾の内側から様々な武器が
飛び出してくる。そのシールドの陰に隠れながら、さなの意志に関わらず次々と
凶悪な武器が射出される。
さなが怯えている為か、それらはどれもこれも殺傷能力が高い。
トゲ付きのモーニングスターや、チェーンソー、巨大な杭打ち機まで飛び出す始末。
その様子は、宛らさなの意思とは無関係に暴れ回る武器庫だった。

「グギャアアアアアアアッ……」
「うへっ、可愛い顔してエグいもん持ってんなお前。全身武器だらけだった
首領クリークの奴を思い出すぞ」

 そんな事を言いつつ、ルフィはさなのシールドから飛び出す武器を避わしながら
カッシーンを殴り飛ばしていく。

「ふふふ……だが、シールドの裏側はガラ空きだぜ!」

 そこに、別のカッシーンが回り込んでいた。

「ああっ……!?」

 盾の裏側で座り込んでいたさなは、咄嵯に対応できない。
カッシーンの戦斧が、今まさに振り下ろされようとしていた。

「危ねェッ!!」

 ルフィがそれに気づいたが、距離が離れ過ぎていた。間に合わない。
さなは思わず目を瞑り、訪れるであろう痛みに身構える。

「三刀流――」
「!?」

 ――その時、一陣の風が吹いた。

「鬼! 斬りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 突如現れた謎の人物が、目にも留まらぬ速度で剣技を繰り出し
その斬撃は、ルフィとさなの間に割り込んだカッシーンを一太刀で両断。
突然の出来事に呆然とする二人の前で、その人物は振り返った。

「お、お前……ゾロォ!?」
「……ルフィ!?」

 その男こそ「海賊狩り」の異名を持ち、ルフィの右腕とも呼べる存在。
ロロノア・ゾロであった。

「ゾロオオオオオオオオオオオオ!!」

 ゴムの右腕をゾロに伸ばして着物を掴むと、ルフィの本体が反動で勢い良く
引き寄せられてくる。

「ちょっ、馬鹿……!!」

 いきなり引っ張られた事でバランスを崩したゾロは、慌てて体勢を立て直すも
ルフィに抱き着かれる形で地面へと倒れ込んでしまう。
二人の身体が重なり、密着した状態で地面に転がる。

「痛ってェ……てめえ! 相変わらずの考え無しか!!」
「ゾロ! ホントにゾロか?!」

「あったり前だろうが……この三刀流……他にこんな真似できる奴いるか?」

 そう言って、ゾロは自分の腰に携えた三本の刀を見せる。

「いねェ! そんな奴何処にもいねェ!! うはははは、本物のゾロだ!!」

 感極まったルフィは、そのままのテンションでゾロを抱きしめ続ける。
この馬鹿力、と内心毒づきながらも、ルフィの抱擁から抜け出す事はできなかった。

「あら、大胆。私的には悪くない画づらだけど、そう言うのはこの状況を
どうにかしてからにして欲しいわね」

 疾風迅雷、電光石火。第五勢から繰り出される怒涛の連撃がカッシーンに炸裂し、
その数秒後には、カッシーンは全滅していた。宮本武蔵による剣技の妙。

「バーニング・アタァァァァァァァァックッ!!」

 さらに高台から両腕を高速で動作させた後に、掌から強力なエネルギー弾が発射。
その一撃で、ダイマジーンの群れを纏めて薙ぎ払う。

「――トランクス!!」

 悟空がその名を呼ぶと、上空より飛来してくる人影が一つ。
サイヤ人の王子、ベジータの息子にして、時空の流れを護るタイムパトローラー。
トランクスが、悟空たちの前に降り立った。

「良かった、やっぱり悟空さん達だったんですね。クォーツァーの一味が
凄い数の戦力を投入していたものですから、きっと何かあると思っていましたが……」

 安堵の表情を浮かべ、トランクスは辺りを見渡す。
ダイマジーンの大群は、既に殆どがアビダイオーによって駆逐されていた。

「知らない内に、こんなに多くの仲間を……」

 その光景に、トランクスは驚きを隠せない。

「ああ、色々あってな。けど、のんびりはしてらんねぇ。まずは……」
「常磐ソウゴさんの救出、ですね」

 二人は、互いに視線を交わすと強く頷き合う。

「知ってたんか……」
「ええ、クォーツァーの首魁が特異点全土に向けてその事を発表しました。
僕たちはそれを聞いて駆け付けたんですよ」

「ふおおおーッ、凄い! 本物の魔法少女キター! っす~! 
どっからどう見ても本物じゃないすか!!」

 マジーヌは感激のあまり、いろはやさなを見て大興奮していた。
その様子に、2人は苦笑いを浮かべている。

「むむーッ、この巨大ロボット! 一体動力は何なのでしょう?!  
こんなの見たことありません!!」

 一方で、ブルーンは興味津々とばかりにアビダイオーを触っていた。

「おめえら、無事だったんか! 承太郎や介人たちはどうした?!」

 悟空が尋ねるとブルーンとマジーヌは顔を見合わせ、同時に答えた。

「「実は……」」

27人目

「激動の特異点、組曲を構えよ」

 悟空たちに続いて、シャルル遊撃隊の4人もアビダイオーの外に出た。

「お前ら、行くぞ!」

 シャルルマーニュを先頭に、4人はダイマジーンの群れに攻撃を開始する。
 巨大な機械の兵器にを前にリクは何かを思い出したようで。

「まるで巨大ノーバディみたいだ。」
「へー、ノーバディってみんな、こんな化け物みたいな形なの?」
「大半はな、デミックスやルクソードみたいなのは激レアだよ。」

 3人はダイマジーン目がけて攻撃を開始する。
 死の銃弾、キーブレード、シタールから放たれる水。その全てがダイマジーンを破砕してゆく。

「このまま突っ切りながら進むぞ!___エリュプシオン!」

 シャルルマーニュも負けじと、彼が持つ剣にまとわりついた地の元素が、炎を纏ってまるで隕石のように進軍してゆく。
 迫る炎が、岩石製の獣が、機械の絶望を破壊していく。

 しかし状況は依然変貌しない。
 カッシーンとダイマジーンの大群が群れを成して進撃し続けている。
 このままではジリ貧だ。

「シャルル!後ろ!」

 その時、リクがシャルルマーニュに呼びかける。
 それは警告のような叫びだった。

「……危っな!」
「これって、列車!?」

 突然、敵めがけて突撃してきた廃列車。
 完全な敵意はなく、シャルル遊撃隊の4人を助けるために放たれたと見える。

「絶望的にあぶねぇことしやがる!」
「やったのは誰かはわからないけど……敵意はないみたいだ。」

「助かったぜ!ありがとな!」



 数分前

「紫君、そろそろ君も戦ったらどうだ?」

 モリアーティの忠告をも無視して、ひたすらに酒をあおる紫。
 彼女は気だるげに酒を飲みつつ

「え~?いやよ。」
「……見たところコレ高級そうな酒だ。請求されようものなら私は文句言えないし何もできないヨ。ならばせめて協力くらいはしておいた方がいいのではないかネ?それとも何か?負ける様を見たいのかネ?」
「負けたら酒、飲めなくなると思うよ。」

 モリアーティとアビィに言われたもんだから、八雲紫はすっくと立ち上がる。

「あらそう。じゃあ、酒の代金代わりに私もちょっと本気出そうかしら。協力と敵情調査のついでですし、ね。」

 そう言うと、紫はおもむろに扇子を取り出す。
 扇子をカッシーンのいる方角に向け、ただ一言呟く。

「___廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」

 その瞬間、カッシーンたちは見た。
 前方に出現した黒い孔というよりスキマから、一台の列車が超高速で自分たち目がけて突撃してくる様を。
 為す術がなくカッシーン達は轢かれ、まるでカートゥーンアニメのように弾き飛ばされていった。

「これじゃダメ?」

 2人が息ぴったりに紫を叱る。

「「もっとだ!てか、それができるなら最初からやれ!」」
「あらひどいわね、でも……あの勇者さんは好印象っぽいけど。」

 紫本人は、嬉しそうだ。



「おい、ペコオルタはどうした?」
「それが……反応がありません。死亡したかと。」
「そうか……やはりダメだったか。或いはヌルの精神構造のみが為しえた偉業だったか。絶対兵士計画は。」

 杜王町にて、芥志木がペコオルタの所在不明の事実に辟易していた。
 へまをやったとはいえ、一度その躰は回収しなければならない。

「見つけ次第、あの女は処刑せねばならないな。」
「それは……不良品だからですか?」
「そうだ。」

 冷酷無比な発言。
 いくら才能があれど、メサイア教団の意に反し役に立たなければ処刑する。

「成功するまで何度でもやればいいのでは?今回はうまくいきませんでしたが、前の被検体は成功したという報告が……」
「アレは特例事項だからな。でなければ第8位という特別枠に入れるわけがない。」

 彼こそは『鉄の化身』芥志木。
 冷えきった鉄の如き冷徹さと、熱した鉄が如き力を持つ邪悪。それが彼の在り方。

「とにかくだ、クォーツァーの件CHの滅却、そしてゼクシオンが行っているソロモンの指輪の回収が終わり次第ペコオルタを探せ、見つけ次第容赦はいらん射殺せよ!」
「「「はっ!」」」

 かくして、雀蜂を従えた鉄の男は進軍する。
 CROSS HEROESを鏖にするために。
 救世という名の邪悪を為すために。



「あれ……ここ……は……?」

 ルイーダの酒場、その奥の部屋に鎮座されたベッドの上で彼女は目覚めた。
 その部屋には、誰もいない。ただ自分のみ。
 そして何より……。

「私は……誰?」

 もう彼女には、記憶がなかった。
 あるのはせいぜい、数分前の記憶と。

「そうだ……殺さなきゃ。でも誰を?」

 殺戮という指定(オーダー)であった。

28人目

「潜入、そして思わぬ再会」

 ――クォーツァー・パレス。

 パンサー、クイーン、フォックス、空条承太郎の4人は城内への侵入を試みていた。

「こう言う時は……」

 パンサーは正面から侵入するのは得策ではないと察し、城壁を蹴り上げながら
登っていく。

「ほう……」
「なるほど」

 承太郎は感心し、フォックスも納得する。
壁伝いに登りきったパンサーは残る3人に合図を送る。

「ここは警備が手薄のようね」

 クイーンが指摘すると、側塔付近に見張りの姿がない事が分かる。

「行こう!」

 パンサーが先陣を切り、城内に潜入した。

「やれやれだぜ……」

 承太郎達も後に続いた。

「……」

 見張りのカッシーンが廊下で巡回している。彼は職務を全うするため、
巡回ルートに沿って歩き続ける。
パンサー達はカバーを駆使し、遮蔽物から遮蔽物へと飛び移るようにして
カッシーンの様子を窺う。幸いにも相手はこちらの存在に気づいていないようだ。

「!?」

 承太郎のスタープラチナが、飾ってあった花瓶を倒して大きな音を立てる。
スタンド能力を視認できないカッシーンには花瓶がひとりでに倒れたようにしか
見えないだろう。しかし、それは囮――

「ふんッ!!」

 クイーンの貫手が背後からカッシーンの胸を貫く。動力部を破壊されて、
カッシーンは機能を停止する。

「流石に手慣れているな。身のこなし、敵を背後から仕留めるスキル……」

「えぇ……この程度の敵なら問題なく倒せるわ」
「ふふ、ジョーカーやモルガナに散々仕込まれたもんね」
「行こう。早くしないと他のカッシーンが来るかもしれない」

 心の怪盗団の潜入スキルの高さは、承太郎の想像以上だった。

「あいつら、上手くやってるかな……」

 城の外で待機しているウルフマンやラーメンマンは城の内部に向かった
仲間達の帰りを待つ。

「まだ城内で騒ぎらしい騒ぎも起きてなさそうだから、
少なくとも見つかってはおらぬはず…」

 ラーメンマンは冷静に分析する。

「気になるのは、城を離れて続々と大部隊が送られている事だな。一体何処へ……」

 テリーマンが疑問を口にした時である。

「……」

 士が何かを察知したかのように顔を上げた。

「どうした?」
「……妙な気配を感じる」
「まさか、追っ手か?」
「違う……これは――」

 それは士の――いや、ディケイドとしての力が発する特殊な感覚であった。

「まさか……いや、有り得ないはずだ……これは……」

 一方、城内の心の怪盗団と承太郎は一息付けそうなセーフルームを探していた。

「ここならしばらくは大丈夫そうね」

 クイーンが見つけたのは、廊下の曲がり角にある小さな部屋だ。

「あぁ、ひとまずここで休息を取るとしよう」

 全員が部屋の中に入るなり、パンサーはベッドに飛び込んだ。

「はー! 疲れた~! 潜入って神経張るからさ~!」
「確かにね。でも、こんな風にリラックスできるのは良いかも」

 クイーンは椅子に座ってくつろぎ始める。

「ふふふ……ご苦労だったな」
「!? 」

 突如として聞こえてきた声に反応し、フォックスは咄嵯に身構える。

「誰だ!?」

 フォックスが叫ぶと同時に、承太郎もスタンドを発現した。

「久しぶりだな……空条承太郎」
「貴様……スウォルツ!?」

 セーフルームの奥にあるソファに、足を組んで座っている男がいた。
神浜市で承太郎と激闘を繰り広げて以来の再会となる、タイムジャッカー・スウォルツだ。
士が感じていたのは、もうひとつのディケイド……アナザーディケイドの力を持つ
スウォルツの気配だったのだ。

「え、誰? 知り合いですか?」

 パンサーは警戒心を露にする。

「こいつはかつて俺と戦った……敵だ。だが、どうして貴様がここにいるんだ?」
「俺も以前はクォーツァーと同盟を結んでいてな……その時の伝手で、
ある程度の自由は利くのだ。もっとも、お前達がここに潜入してくる事までは
想定外だったが」

「そうかい。それで、わざわざ宣戦布告をしに来たのか?」
「いや、そんなつもりはない。ただ俺は、俺の目的を果たしたいだけだ。
それに、ここはセーフルームだろう? ゆっくり肩の力を抜いて語り合おうじゃないか。
コーヒーも如何かね? ふふふふふ……」

 突如として出現したスウォルツ。クォーツァーからは見限られ、
転がり込んだDr.ヘル同盟も今や崩壊、ミケーネの神の力を得ようとした作戦も
失敗した今、果たして今度は何を企んでいるのか……?

29人目

【xxxx/xx/xx Remind Edition】


あの日の出来事は、忘れもしない
理想の世界であった "リドゥ" が帰宅部によって破壊されあろう事かリグレット様も…

『私は守護者として敗北したのだな…む?』

あの光は一体?の、飲み込まれる・・・!


「ここは・・・どこだ?」


光に飲み込まれたその目の前には扉があった
ノックしてみるも無反応 だが誰かの家という事は分かった

「では、張り切ってレッツゴー!」

「おー!」

なんだか賑やかな2人の声が聞こえるが恐らくここにいる住人なのだろう。

しかし・・・


「(なぜ、ノックしても無反応なのだろうか)」


ドアをゆっくり開け、声を出す


「私も混ぜてもらってよろしいか?」

「え?」

「ん?」


アースと夢美の背後から声を掛けてきたのは仮面を付けた男だった、なんだか異質な雰囲気を纏っておりまるでこの世界の住人ではないような・・・


「どこから…現れた!?」

「ノックはしたつもりなんだがね?」

「だからと言って家の中に勝手に入ってきちゃダメですよ?」

「それは失礼した、何故だが知らないがここに来ていてしまっていたようだ」


突然現れたにも関わらずアースと夢美は冷静だったことに関してその男は思った
「(君達・・・こういう状況に慣れているのか?)」
なんて、そう思っていた。いや普通は驚くはずだと…何故かホッとしている自分がいる


「まあ、乱入はよくあることだし?」

「ふむ、確かに乱入はよくあるな」

「夢美は乱入し過ぎだけどな」

「乱入は日常茶判事だった…???」


オブリガードの楽士達よりなんだかやけに会話が弾む気はするがこの差は一体・・・困惑しているのだろうか…私は。


「まあ、いいや。ねぇそんな悲しそうな顔をしないで一緒にゲームしようよ」

「なっ…ゲームだと?」

「今、ちょっと佳境に入ってしまっているのですがどうですか?」


しばらく沈黙があったがその沈黙を破るかのように最初に口を開いたのは夢美だった、彼女はゲームが大好きで誰かを誘う時は見境がない、男はゲームという言葉に困惑するが拒否をする前に口を挟んだのはアースだった


「………良かろう、してなんのゲームだ?」

「でも、これ1人用なんだよな・・・」

「ふむ…なら私は見ているだけでもいいか?」

「確かに、形は違えど共にゲームをするってことにはなる」

「(夢美さんって、ゲームになると頭の回転速くなるんだなぁ)」

「そういや…気になったけどあんた、誰?」

「名乗る前に名を名乗れ、それが礼儀だろう?」

「あ、そうだった・・・失礼!私は月影夢美、いいやつです!」

「「(自分で良い奴というのか…)」」

「俺はアースです、宜しく」

「ここで名乗らないのはマナー違反だからな…では私の名前はブラフマンだ」(ドーン)

「ブラフマン!?」

「え、知ってるの?」

「確っかに見覚えのある黄金のマスクだなぁーっとは思っていたけど本物!?」

「何を言っている?純度100%ではないか」

「きゃあ!売ったら高そうなマスク!」

「ああ、そうとも。18金をふんだんに使ったマスク・・・いや、そういう意味では無い」

「(ノリがいいタイプ)」

「そーれで、どうしてこんなところまで?」

「そうだな、ふむ…端的に説明すれば光に飲み込まれたと言ってもいいのだろうか?」


そう言ってブラフマンは画面の方を見る
そこには "Caligula2" のソフトが映っていたのだがノイズが少し走ったことを彼は見逃さなかった


「ハァ?光に?飲み込まれたぁ?」

「テレビがどうかしましたか?」

「・・・いや、なんでもない」


Caligula2のソフトを眺めていたが一瞬のノイズ
これが何を意味しているのだろうか
『この私を呼んでいるのか・・・?』
そんなこと有り得るわけが無い…ましてや他人のテレビだ


「……有り得るわけが無い」

「ん?どうしたんですか?」

「いや何も無い」


そんな穏やかな時間が流れるがそれもつかの間だったが動き出したのはやはり彼だった

「君達との茶番は…素晴らしいものだった…

 居るのでしょう?リグレット様ッ!」

まるでブラフマンの声に反応するかのように
まるでブラフマンの心に反応するかのように
まるでブラフマンの存在に反応するかのように
テレビが、機材が勝手に動き始めCaligula2の画面が出てきて銀色のノイズを出し始める


「何を言ってる……うわぁテレビが壊れたぁ!?」

「え、ちょ、ええ!?」

「やはり・・・な」

「・・・なんかよく分からないけど止めるわ!後、クリアしてないし!」

「あの」

「クリアなどさせるものか・・・!あそこ(テレビ)にはリグレット様がまだ宿っておりリドゥもまだ存在し破壊もされていない!ここで貴様を倒し在りし日のリドゥをそこのテレビから引っ張り出し復活させるのだ!!」

「楽士と信仰はどうするつもり?」

「楽士など、いつでもどうとでもなる!信仰か・・・この世界の信仰を利用するとしよう」

「バーチャドールは・・・」

「バーチャドールはそこに居るだろう?」

夢美「OK、分かった。丁度PTって4人なのよね、召喚!」


ブラフマンは懐にある刀をゆっくりと抜き距離を置き護身剣を2つ召喚させた後ゆっくりと構え始める
夢美は魔法陣を即座に描き「召喚」と言うと魔法陣が輝き始める


「我が理想……止めるな!」

「いや、現実で止める!」

「ちょっと待てよ!!!」

「なに?今忙しいのだけど!」

「どうした、少年よ」

「ここ俺の家だからせめて外でやってくれ!」

「はい」「すまない」


全員外に出る、やはり人の家なので最低限のマナーを守りましょう
「(いやいや!他人の家で戦うとかないからな)」
ここが仮想じゃなければ危なかったと思いつつ戦闘に参加するアースだったのだ。

「その前に作戦ターーーーイム!」

「よかろう」

「どう、勝てそう?」
「え、うーんどうだろう?」
「未知数だからな・・・うーん」
「はてさて…どうしようかな」


何故か円陣を組んで会議し出す人達の図


「どうした?怖気付いか?」


反対に黄金のマスクは不動を貫いていた


「・・・!すぅー・・・情けない!!」


円陣が解除され大きな声を出したアース
キョトンとする太陽
謎のポーズを取る夢美
挙動不審の雪
なんとも妙な光景が作り出されていたがそのまま言葉を繋げる


「全く…本当に貴方達は変なところでへっぴり腰ですよね!」

「うえええ!そう言う!?」

「い、今か…?今なのか…?」

「いやいや・・・いや・・・」

「このまま抗わずにそのまま野望を果たされていいんですか?」

「んーまあ、そうだよね〜 ね、夢美?」

「やりたいことをやる、異端者にはそれが出来る、だよね?太陽!」

「分かっているじゃないか、それでは…全員戦闘準備を!」

「立ちはだかって来るのか!あの時の忌々しい帰宅部のように!」


世界を護る者達とリドゥ再構築の願い
その戦いの火蓋が切って落とされようとしていた!

30人目

「待て、しかして希望せよ」

 ――異空間。

 グランドクロスの尖兵たる怨霊たちと戦う暁美ほむら、巌窟王、藤丸立香の3人。
平坂たりあを守りながら、彼らは怨霊たちを迎撃する。

「魔力を回せ、共犯者(マスター)!! 一気に決めるぞ!!」
「うん!!」

 立香の右手の令呪が光る。それは英霊への魔力供給を意味する。
英霊はより強く、その力を発揮することができるのだ。

「我が往くは恩讐の彼方――!!」

 巌窟王の右目が赤く輝く。無実の罪によって囚われた監獄
「シャトー・ディフ」における地獄のような責め苦を耐え抜いた鋼の精神が
宝具へと昇華されたもの。あらゆる縛り、戒め、摂理をも超越し、
光の速さにまで加速した彼は、その復讐心により因果律にすら干渉する。
ひとり、ふたり、三人……と巌窟王が分身し、
怨霊達を次々に打ち倒して霧散させていく。そして―――

「虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)!!」

 ついに数えるのを諦める程に増殖した巌窟王が、全方向から
一斉に魔力の炎を凝縮した黒き光線を照射した。その威力たるや凄まじいもので、
包囲された怨霊たちを一瞬にして消し炭にしてしまうほどであった。

「グギャアアアアアアアアア……」
「これで終わりよ」

 ほむらの背中から巨大な黒い翼――正確には、空間を削り取るような現象が
翼のように見えている――が広がる。
侵食する黒き翼……それに触れた怨霊達を次々と呑み込み、跡形もなく消滅させる。

「ガ、アアアア……消える、我の身体が……」
「お、おのぉぉぉぉぉぉれ……許さん……絶対にぃいい……」

 怨霊の最後の一体が、そう言い残して消滅した。
こうして、異界化の原因となっていた最後の怨霊が倒されたことで、
藤丸立香の意識は現実世界に引き戻される事であろう。

「グランドクロス……それが、全ての元凶なのね……」

 立香は、ほむらに問いかけた。あの怨霊達の背後には、さらなる巨大な存在が
控えている。

「そう。奴らはこれからますます勢いを増して世界に蔓延り始めるでしょう。
貴女達がこの先、どのような選択をするのか、見届けさせて貰うわ。
私はここで失礼するけれど……」

 ほむらの姿が消えていく。たりあはほむらの手を握り、笑顔で別れを告げる。

「バイバイ!」

 手を振るたりあの姿が薄れていき、そして消えた。
残るは巌窟王と、立香のみ。

「暁美ほむら、か……如何なる絶望を味わえばあのような目が出来るのか。
永遠に出る事の出来ない牢獄に繋がれたような……ここであの女と俺が出くわしたのも、
これもまた何かの因果か……」

 煙草を燻らせ、巌窟王は呟いた。

「さあ、お前も帰るが良い、共犯者(マスター)よ。お前が在るべき場所へ。
本当の戦いはこれからだぞ」
「アヴェンジャー、また会える?」

「フッ……俺が言うべき言葉はひとつだ。『待て、しかして希望せよ――』」

 その言葉と共に世界が光に満ち溢れる。
巌窟王との再会を約束しながら、藤丸立香もまた現実世界へと帰還していった。

「――はっ!!」

 気がつくとそこは特異点、杜王町の一室にあるベッドの上だった。
傍らには、心配そうな顔つきのマシュと、安堵の表情を浮かべる
金時やアルケイデスが居た。どうやら無事に戻ってこれたらしい。

「先輩!!」

 マシュに抱きつかれ、しばらく彼女は泣きじゃくっていた。
そんな彼女を優しく撫でながら、立香は思う。

(あれはきっと夢じゃなかったんだろうな……。アヴェンジャーの言葉を信じよう)

 いつか必ず彼と再び出会う日が来るはずだ。

「それより……あれからどうなった? あれからどれくらい時間が経った!?」
「おう、それなんだがよ……」

 立香の質問に対し、金時はこう答えた。
CROSS HEROESとなぎこは先行し、クォーツァーの拠点に囚われた
常磐ソウゴ救出作戦を実行中だと。

「そうか……こうしちゃいられない、行こう!!」

 ようやく藤丸立香も覚醒し、カルデア一行も改めてクォーツァー拠点への突入を
開始するのであった。

(グランドクロス……この戦いが終わったら、みんなにも教えないと)

 今はクォーツァーとの戦いに全力を注ぐのみ。
ほむら、たりあ、巌窟王……彼らとの再会の日は、果たしていつの日か……