プライベート CROSS HEROES reUNION Episode:25「瞬瞬必生、運命さえ超えて」

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1人目

「Prologue」

【クォーツァー・パレス決戦編】

 常磐ソウゴ脱獄の報を耳にした、クォーツァーの王。
時同じくしてクォーツァー・パレスに攻撃を仕掛けてきたCROSS HEROESを
迎え撃つべく、クォーツァー幹部たちを総動員して徹底抗戦の構えを取るのであった。
パレス内の構造を自由自在に操り、無数の罠でCROSS HEROESを翻弄する
クォーツァーの王。
心の怪盗団、承太郎たちと何とか合流するソウゴ達であったが
城の外へ脱出する術が見つからずにいたその時……スウォルツが突然時空のゲートを開き、
ひとりゲートへ飛び込んでいった。
裏切ったのだと憤るフォックスたち。しかし、ソウゴだけは「未来視」の能力で
スウォルツの意図を理解できていた。スウォルツは自分を利用し続けてきた
クォーツァーの王に復讐するつもりなのだと。

 玉座の間に単身乗り込んだスウォルツ。アナザーディケイドへと変身し
追い詰めようとするが、王が変身するバールクスには平成ライダーの力は通用しない。
次第に追い詰められていくスウォルツは、王に一矢報いるべく、
城の構造を操作していた玉座を破壊した。
その甲斐あってようやく外へと脱出できたソウゴ達。
しかし、一息つく間もなくザモナス、ゾンシズ、クォーツァーらが変身した
アナザーライダー軍団が立て続けに襲い掛かってきた。
変身する力を失ったソウゴと木梨猛は絶体絶命の窮地に追い込まれるが、
杜王町の人々が、かつて「全国のちびっ子諸君」だった者たちの声援が、
木梨猛に再び「仮面ノリダー」へと変身する力を取り戻させた。
いよいよ反撃開始! CROSS HEROES対アナザーライダー軍団の最終決戦が始まる!!

 空条承太郎VSアナザーW。
フォックス/パンサー/東方仗助/清少納言VSアナザーフォーゼ。
仮面ノリダー/クィーンVSカッシーン軍団。

 混沌を極める大乱戦の中、スウォルツは倒れ、ついにクォーツァーの王が姿を現した。
冠位時間神殿から奪取したソロモンの指輪とグランドジオウライドウォッチの力を
掛け合わせる事によってバールクスは何と4体に分身。
CROSS HEROESが絶望的な状況に陥ったその時、仮面ライダーディケイド/門矢士、
そして永らく姿を眩ましていた仮面ライダーディエンド/海東大樹が現れる。

 士が海東に投げ渡したライダーカード。
それは士が幾つもの世界を巡る旅の中で培った記憶の結晶。
そして出現したのは、太陽の子・仮面ライダーBLACK RX。
クォーツァーの王がその力と存在を奪ったはずの、伝説の戦士だった。

 藤丸立香、マシュ・キリエライト、仮面ノリダー、仮面ライダーBLACK RX……
クォーツァーに因縁深き者たちが、バールクス分身体と真っ向勝負を繰り広げる!

【特異点事変編】原文:AMIDANTさん

 遂に始まった、丸喜拓人による『救世』。
現実の認知が歪み、世界が形を変えていく。果たして、世界の行く末や如何に?
そして、その影で蠢く魔界の陰謀とは?

【クリサリス戦編】原文:AMIDANTさん

 ワイミーズハウスで情報を得た月夜達に嗾けられたのは、
嘗てのピースウォーカー計画の産物、クリサリスだった。
仲間が動けぬ中、この巨大な機械の化け物に対して一人立ち向かわんとする月夜。
そこに、DDの援軍としてイシュメールが現れる。
イシュメールの指示と月夜の機転により、クリサリスは見事撃ち滅ぼされた。
戦いの最中、負傷しながらも仲間を守るという意思を示した月夜に、
イシュメールは師事を行う事を決意。
月夜は、戦い明けの身体で特訓に励むのであった。

【エーテル・クラウディア編】原文: 渡蝶幻夜さん

「このままでは、お主は異端者共には勝てぬぞ」
これは、未来で私に向けられて言われた言葉

今から始まるのはここまで来た経歴の話である。
が、彼女は本当に女神の頼み事を達成することが出来るのだろうか

それとも、想い出すのは眩き走馬灯に想いを馳せるだけの"今の自分"か・・・
何もかも達成出来ずにただ深淵に沈んでいくだけで何も起こらない──────

【異端者組とカリギュラ2編】原文: 渡蝶幻夜さん

一方その頃
エピデウスの塔で元気よく暴れる異端者(2人)と能力者(1人)がいたのだった。

現場監督役の大空太陽は添えるだけ。
ムーくんは(何故か)縛り付けられているためもれなく観戦をしているだけだった

果たして、ブラフマンとリグレットは撃破することが出来るのだろうか!

燃えがる闘志を胸に破壊の限りを尽くそうとしていたのだった

【辺古山ペコ治癒編】原文:霧雨さん

 特異点のルイーダの酒場。

そこには、メサイア教団の絶対兵士として改造された辺古山ペコ・オルタが倒れていた。
医師として彼女の診断をするドクター・ボンベ。しかしそんな彼ですら
「治療しても、近いうちに間違いなく死ぬ」との結論を下す。

 確定した死を前にして怯えられるものはいない。だが彼女は剣術家にして武闘家だ。
戦うかの判断を委ねる。
残酷な現実をも踏み越えんとばかりに、その決意は硬かった。

 メサイア教団によって倒された友の仇を取り、これ以上あのような邪悪に
好き勝手させるわけにはいかない。その決意は固く、
ペコオルタは戦うことを決意しドクター・ボンベの手術を受けるのだった___!

【クォーツァー・パレス決戦 Side.シャルル遊撃隊】原文:霧雨さん

 芥志木の手によりアビダインが落とされ、
その周辺を調査することにしたシャルル遊撃隊の4人。
その過程で芥と彼の仲間であるゼクシオンを発見したまではいいが、
クォーツァー・パレスの主たる常磐SOUGOの手により
彼らはシャルルマーニュとデミックス、リクと江ノ島盾子の2つに分断されてしまった。

 シャルルマーニュ達と合流する為に、異空間たる地下道を探索することになった
リクと江ノ島。
その道中で彼らはSOUGOからの刺客にしてアナザーライダーの一角
「アナザーウィザード」と出会ってしまい、戦闘になる。

 絶望の化身を名乗るアナザーウィザードの魔術相手に一進一退の攻防戦を繰り広げる。
しかしあと一押しが足りない。
そこに援軍として到着したのは、リクがよく知る男にして、かつて戦った男___
サイクスだった。

 彼が駆け付けたことで拮抗状態からアナザーウィザードを圧倒出来るまでに有利になり、ついにアナザーウィザードを撃破するのだった。

異空間から戻ってこれたはいいが、肝心のシャルルマーニュ達は何処かという話になる。
そこに彼らが戦闘を行っている音が聞こえるが、その内容は苦戦しているようだった。

リク達は、苦戦するシャルルマーニュたちの援護に向かうのだった。

2人目

「明日を捨てた女」

「がはっ……き、さまァ!!」

 それは、衝撃的な光景だった。
 その女は怒髪天を突き、修羅が如き気迫で男の腹を刀で突きさしていた。
 内臓が傷つき、口から血を吹きながらも尚も抗う男の顔も、羅刹のように怒りで歪んでいた。

「なぜみすみす命を捨てる!分かっているはずだ!貴様はどのみち死ぬと!!」
「黙れ黙れ黙れ!!お前らは私の……友を大勢殺した!そして私の意思も凌辱し、肉体も意思も破砕していった!そんなお前らを……私は決して許さない!!」

 それは、決意。
 友の仇を討ち、打ち砕かれた尊厳に見合う対価をこの男にだけでも払ってもらう。

「この命なんかくれてやる!だからお前だけは……この手で殺す!!」
「失うものがないが故か!!だが、大司教を嘗めるな辺古山ァ!!」

 芥は残った力を振り絞り、動く左手で辺古山ペコの顔を覆う。
 当然窒息死が目的ではない。

「このまま貴様の血液を逆流させ、心臓を吹っ飛ばしてくれるッ!」
「ならばその前に……ぶった切る!!」

 心臓が逆流すれば、漫画で見るような激しくとは言わずとも心臓は爆裂する。
 逆流を開始した辺古山の血液。加速する血の流れで全身に激痛が走る。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「貴様はどこまで行っても兵器!操るものがいなければなにも為せないのだ!!」

 勝利を確信したのは芥の方か。

「ならば兵器らしく、貴様の命を両断するとしよう……!」

 力と力のつばぜり合い。
 お互いの肉体に流れるエネルギーが呻る。
 やがて2人は、その力に促されるように咆哮する。

「地獄に堕ちろ、芥ァアァアァァァァァアアアア_____!!!」
「死ぬのは貴様だ辺古山ァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 意志と意思のぶつかり合い。
 狂信と恐るべき異能が勝つか。或いは仲間への思いと明日をも捨てる決意か。

 早かったのは。

「……。」

 残心。
 刀は既に芥の身体を離れ、剣術家は残心の構えを取っていた。
 すでに罅が出来続け、風が吹けば粉々になる身体を強引に繋ぎとめる決意。
 友の仇を討ち、奪われたものを少しでも取り戻さんとする強い意志。

 ___勝者は、辺古山ペコだった。

「なぜ、これほどの……『力』を…………くそ、エイダム……俺はここまでだ……やれ……。」

 結論から言うと、芥志木の死因は斬撃による失血死だった。
 芥志木はその力を逆流させることも出来ず、腹部から背骨、肋骨、左肩甲骨までを両断され、心臓もぐちゃぐちゃに切断された。
 彼の魂線斗霊の能力で胴を離れようとする身体を無理やりに繋ぎとめたまではいいものの、飛び散り、失った血液までは戻すことはできなかった。

 この世全てのエネルギーを操るのは、いつだって操る人の意志の力次第である。
 皮肉なことに、彼は支配するはずだったエネルギーの輝きに瞳を曇らせ、遂にはそれを支配する人の意志の力に敗北したのだ。
 やがて彼のみに埋め込まれた術式が起動し、その体は青い炎に包まれる。

 そして辺古山ペコも限界を迎え、眠るように倒れ伏していた。

「みん……な……や……た………。」



「……。」
「何だこれは。」
「一体……何が起きたんだ?」

 アナザーウィザードを倒したリクたちが駆け付けた時には、既に事は終わっていた。
 シャルルマーニュたちはその場には居らず、あったのは肉体を両断され右の脇腹の皮一枚で繋がった、青い炎に包まれる男の死体と。

「ペコ……。」
「江ノ島……お前。」

 リクは、彼女にかける言葉が見つからない。
 黒幕とはいえ、やはり腐ってもクラスメイト。この凄惨な光景に思うところはあるようだ。
 泣くことはなくとも、その顔は決して明るいとは言えない。

「この子は助かりそうか?」
「分からん、状況から見るに彼女は死に限りなく近い。というより放っておいても……。」

 突き付けられる絶望的な状況。
 

「リク、サイクス。先に行ってて。」
「あ、ああ。」

 リク達は先に行く。
 江ノ島は、無言のまま倒れる辺古山に近づく。

「この状況、きっとやったのはメサイア教団の……くっ!!」

 沈黙の中、泣いていた。
 例えようもない哀しみが、彼女の心を支配していた。

 正史にて、超高校級の絶望たる彼女がついに理解できなかった「仲間の死を受けて絶望する」という感情。
 そして何より仲間を殺されて、黙っていられる訳にはいかない。
 しかし自分はコロシアイの黒幕。これ以上何をいえようか。何と弁解できようか。

「……まさか希望ヶ峰のコロシアイ、その黒幕が人命を貴ぶとは。君にも哀しみという感情があったとは驚きだよ。」

 そこにいたのは、ルクソードだった。
 彼女の事をここまで運んできたのは彼だ。加勢に来たところ、この凄惨な光景を目撃したのだろう。

「……うるさい。あたしにもこの気持ちが何なのかが分かんねぇんだよ。だのに無性に涙ばっかり出るんだよ……!」

 悲劇。ただ、悲劇。
 ルクソードも江ノ島もたった2文字で表せる感情を理解できないし、江ノ島に限っては今の今までわからなかった。

「だがまだ案ずることはないぞ。ここは危険だ。この者は任せてくれるか?」
「分かったよ……頼める?」
「では、彼女を運ぶとしよう。仲間が待っているのだろう?早く行きたまえ。」

 そう言われた江ノ島は、無言でリク達の元へと向かった。
 江ノ島の背中を見たルクソードは、彼女への憐憫の想いを纏わせて呟くのだった。

「もはや君は正史(ぜったいあく)をかけ離れた外典(ひつようあく)。ならばせめて、今の心に素直になればいいものを。」

 そう呟いたルクソードは辺古山の身体を抱え、クォーツァー・パレスから消失した。

3人目

「Wake up,the HERO - RX対バールクス -」

 RX対バールクス分身体の戦いが始まった。

「トゥアッ!!」

 クォーツァー・パレスの高台から飛び降りながら空中で激しい火花を散らし、
そのまま着地する両者。

「……!」
「ハァッ!!」

 RXが地面を勢い良く叩き、前方に向かって後方宙返りしながらのキックを放つ。

「RXッ!! キィイイイイイイイイイイックッ!!」

 身体を捻り、回転を加えた赤熱化する両足キックによる強烈な一撃が
バールクスに炸裂した。

「ヌウゥウッ!?』

 衝撃と共に吹き飛ばされるバールクス。

「むんッ!!」

 着地し、すぐさまファイティングポーズを取るRX。
その身体が金色の光に包まれていく……

「俺は哀しみの王子! RXッ! ロボライダー!!」

 赤い血の涙を流しているかのようなラインが目元に走る。
機械仕掛けの歯車が組み込まれたベルトが腰に装着されている。

「それならば……!!」

 バールクスも負けじと右腕に装備した黄色のライドウォッチを起動させる。

【ロボライダー】

「ふははははは、その力が貴様だけのものだと思ったら大間違いだぞ!
喰らえぃッ!!」

 バールクスの胸部装甲が展開し、そこから無数のマイクロミサイルが放たれた。
本来のロボライダーには搭載されていないはずの、歪められた力。

「……」

 爆発の中を悠々と歩き、その中を突き進むもたちまち爆炎の中に消えていく
ロボライダーだったが……

「何ッ……」

 爆発の炎が渦を巻き、ロボライダーの装甲へと吸い込まれていった。

「炎の力は……俺のエネルギーだッ!!」

 別名、炎の王子の異名をも持つロボライダーには、堅牢な耐久力と
熱エネルギーを吸収する能力が備わっているのだ。

「まだまだッ……」
「ボルテックシューター!!」

 マイクロミサイルの第2波を見舞うバールクスに対し、ロボライダーの掌の中で
生成された銀色の高性能銃。

「そこだッ!!」

 ハイパーリンクによってマイクロミサイルの軌道をすべて読み切ったロボライダーは、 ボルテックシューターのオートロックオンによる速射モードで
それをすべて撃ち落としてしまう。

「ぐぬぅっ……」

 さらに高出力モードによる虹色の光線がバールクスを襲った。

「うおぉおおおっ!?」

 直撃を受け、激しく怯んだバールクス。
ミサイルを格納していた胸部装甲が溶けて剥がれ落ちてしまった。

「まだだあッ!!」

 ボルテックシューターの軌道を掻い潜るようにゲル状に溶解した
バールクスが突撃してきた。

「むっ……!!」
「どうだッ!! 見切れまい!!」

 ロボライダーを翻弄するかのように飛び回るバールクス。
しかしロボライダーは至って冷静だった。

「むんッ!!」

 バールクスと同様にロボライダーも全身を液体化させ、 ゲル状の塊となって
バールクスの攻撃を回避してしまった。空中で激しくぶつかり合う両者。

「……ぐはああッ!?」

 競り負けたのはバールクスの方であった。そして、ゲル状から人の姿へと戻った
その姿は……

「俺は怒りの王子! R! X! バイオッ、ライダー!!」

 炎の象徴たるロボライダーとは対称的に全身を青く染めた戦士。
高い俊敏性と物理攻撃を無効化するゲル化能力を持つ形態だ。

「RX……! それだけの力を持ちながら何故愚民共に味方をするッ!
貴様ならば、次期創世王として世界に君臨し、
己が望むままに世界を動かすことも出来たはずだ!」

 バールクスの言葉に一瞬押し黙った後、RXは静かに答えた。

「俺が望むのはそんなものじゃない。俺はただ……
人々が自由に生きられる平和な世界を望むだけだ」
「戯れ言をッ!! そう言って貴様がクライシス帝国を退けた後、連中は何をしてくれたというのだ! 貴様に救われた命を無駄に浪費して、
くだらない争いに明け暮れているではないか!! その結果が平成と言う名の
無秩序で凸凹な時代を生み出したのだ!! 故に俺は歴史の管理者として
この醜い世界をリセットし、新たなる未来を築くと決めたのだッ!!」

「そんなにも人を見下し、傷付けることでしか自分の存在を確かめられないのか、
お前たちは!!」

 RXの問いにバールクスは激昂しながら吠える。

「黙れぇえッ! 今度こそ貴様をここで完全に抹消し、
俺が全てを統べる王となってくれる!!」
「ならば俺はお前をここで倒す! 
それが人類を守る仮面ライダーの使命だからだッ!!!」


「「リボルケインッ!!」」


 2人が同時に叫ぶと、RXのベルト「サンライザー」から生成される賢者の杖と
バールクスの魔王剣……奇しくも同じ名を持つ武器がそれぞれ眩い青白い光を放ち始めた。

「トゥアッ!!」
「でやああああああああああああああッ!!」

 二振りのリボルケインが凄まじい火花を散らしながら激突し、剣戟の音が響き渡る。

「ぬううううううううううっ……!!」
「おおおおおおおおおおおっ……!! ハアアアアアアアアアッ!!」

 熾烈な鍔迫り合いを制し、RXの横薙ぎ一閃がバールクスに炸裂した。

「ぐわぁああっ!!」

 後退るバールクス。魔王剣が砕き折れる。
それはまるで、持ち主の心そのもののようで……

「トドメだッ!! トゥアッ!!」
「はっ……!?」

 RXが飛び上がり、急降下による勢いを加算させてリボルケインを真っ直ぐに突き出す。

「ぐぉぉぉぉおおおおおおおおおおッ……!!」

 リボルケインがバールクスの腹部を貫いた。
切っ先からハイブリッドエネルギーが注ぎ込まれ、火花を散らす。
RX最大の必殺技、リボルクラッシュだ。

「RX……ッ!!」

 憎々しげにその名を呼ぶバールクス。最後の抵抗とばかりにRXの肩を掴み、
手をわなわなと震わす。

「さらばだ、バールクス。お前のやったことは絶対に許されないことだが……
それでも人は過ちを繰り返すだけの愚かな存在などでは無いことを
俺は必ず証明してみせる」

 そしてリボルケインを引き抜くRX。

「ぐわあああッ……ふ、ふふふふふ……これで勝ったと思うなよ、RX……
そしてCROSS HEROES……所詮俺は分身体……
ソロモンの指輪……そしてグランドライドウォッチ……これさえあれば、俺は、
俺たちは何度でも……う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ……」

 大の字に両腕を広げるバールクスを背に、残心を取る。
「R」そして「X」の字を切ると同時にバールクスは倒れ、大爆発を起こしたのだった。
だが、戦いはこれで終わったわけではない。

「……やはりすべての決着を着けるためには、俺の力だけでは足りないか……」

 勝利の余韻に浸る間もなく、RXはCROSS HEROES達の元へ走った。

4人目

「漢銭形、決死の逮捕劇」

警視庁本部の階段を、仰々しく音を立てて駆け上がる集団が居た。
殆どが防護服にフルフェイスメット、警棒に防弾シールドと、対テロ特殊部隊を思わせる風貌だ。
事実、彼等は機動部隊だ。
その先頭に立って彼等を先導するのは、ICPOの銭形警部。
ルパン逮捕に来日していた筈の彼は今、己の正義に殉じ、この階段を上る。
そして有らん限りに喉を震わせ、彼は叫ぶのだ。

「神妙にお縄に付けぇい!」

それは日本警察に対する事実上の宣戦布告であった。
本来ならば越権行為であり、その場で射殺されても文句は言えない。
だがしかし、銭形には決して譲れぬ誇りがあった。
相手が誰であろうと、悪党にはワッパを掛ける。
悪行は誰であろうと見逃したりはしない。
つまり。

「カルトに染まり部下を見殺しにするとは、何たる体たらくだ!何が何でも修正してやる!」

そう、日本警察はその一線をとうに超えていた。
上層部の人間はメサイア教団の横暴に目を瞑り、結果として部下を悪戯に傷付け、或いは死傷させた。
故に銭形に迷いは無い。
その一心を表す様に、彼は扉を躊躇無く蹴破った。
貴様等は腐った納屋で、この扉はその末路だと言わんばかりだ。
その光景を目の当たりにして、警視庁で胡坐を掻いていた上層部の人間は呆け、沸き立った。

「な、何かね君達は_」
「ICPOの銭形警部だ!天が貴様等を許そうとも、儂の目は誤魔化せん!逮捕だぁー!」

そんな言葉を遮って、銭形はICPOの手帳を掲げ、手錠を片手に単身突撃する。

「えぇい、気でも狂ったか!?」

突然とも言える強行に、混乱が止まらない上層部の者達。
苦し紛れに拳銃を抜き放ち、発砲するも、銭形にはかすりもしなければ、動きを止める事も叶わない。
そうして眼前まで迫った銭形は、手錠のロープで悪徳警官の一人をあっと言う間に簀巻きにし、締めに手錠を掛ける。
自分達の末路を思い知らされた悪徳警官達も、ただではやられまいと次々に拳銃を抜く。

「掛かれぇ!」
「うおぉー!!!」

だが、脅威は銭形だけでは無い。
その部下もまた、精鋭中の精鋭。
銭形に気を取られている内に、瞬く間に悪徳警官を取り押さえ、捕縛し、無力化まで熟す。
潜り抜けてきた修羅場の違いを、彼等は一瞬の内に思い知らされた。

「な、何て奴等だ、無茶苦茶だ…」

思わず、呟く者さえ出る始末。
しかし銭形の怒声に孕んだ憤りは、そんな弱音を掻き消して余りある迫力があった。
肉体の限界をも超え得る信念を前にして、悪徳警官達に抗える術など初めから無かったのだ。
そして銭形は、この期に及んで狼籍を続ける上層部に、一歩ずつ近付いていく。
彼等の顔からは、先程までの余裕が嘘の様に消え去っていた。

「わ、我々にこんな事をして、どうなると思っている!国際問題になるぞ!」

そんな捨て台詞も、今の銭形にとっては負け犬の遠吠えに等しい。
怒りの籠った瞳は、もはや冷徹そのものだ。
彼は懐に仕舞っていた拳銃を抜いた。
それは彼の正義感が、決して引鉄を軽んじていない事を示す証拠である。
銃口を向け相手を見据えながら、銭形は静かに告げた。

「だからどうした?貴様等を逮捕せん理由にはならん。」

言うが早いか、撃鉄が下ろされ。
発砲。

「ヒィッ!?」

男が懐から抜こうとした拳銃に着弾し、構えられる前に弾き落とす。
そして手の痺れに気を取られた隙を突き、男を手錠で締め上げた。

「この銭形、舐めたらいかんぜよ!」

その言葉を皮切りに、男は観念したように項垂れた。
悪徳警官達は次々と、一人残らず逮捕されていく。
だが、これで解決では無い。
そこで悪徳警官の中でも特に位の高い者を引っ張り、銭形は問う。

「ここにまだメサイア教団とやらの人間がいるな?」

メサイア教団の影が、未だ警視庁内に残っている事に銭形は気付いていた。
この一件は電撃逮捕だ。
故にメサイア教団も、まさか警視庁を制圧されるとまでは思っていなかっただろう。
つまり、この機会に乗じてメサイア教団の人員を捕らえられる可能性が高いのだ。
このチャンスを逃す程、銭形は甘く無い。

「そ、それは…!」
「居るのか居ないのか、はっきりせい!返答次第ではお前さんも、タダじゃ済まんぞ!」
「ヒィィ!?居る、居ます!!今は警視庁総監と!!」

まるで命乞いをする様に、メサイア教団の居場所を白状する悪徳警官。
銭形はその態度に若干の苛立ちを覚えながらも、総監室に急行すべく階段を駆け上がる。
そうして、彼は辿り着いた。

「な、何かね!?」
「往生せい!」
「銭形!?えぇい、下の奴等は何をしていたのだ!」

警視庁総監、即ち、警察庁のトップは、呑気にも椅子に腰掛けふんぞり返っていた様子だった。
大方、たかが機動一個部隊と侮っていたのだろう。
銭形が姿を現すと同時に、その余裕も崩れ落ちたのだが。
ルパンがこの光景を見ていれば、そりゃとっつぁんを甘く見過ぎだぜとぼやいていただろう。

「貴様、たかが一警部の分際でこの私に歯向かうつもり…なっ!?」

銭形は答えず、ただ拳銃を向ける。
今更、問答に意味など無いと、言外に告げているのだろう。
無言の威圧と風格が、今は警視庁総監すらも怯え竦ませていた。

「クソッ、銭形を動かしたのは失敗だったか…!」

その傍らで、一人呟くフードを被った男が一人。
作戦を台無しにされたのを悔やむ様に腕を振るわせている。
そこで銭形が男の方を向いてると分かるや否や、男は慌ててその場から逃走。
しかし、銭形は決して逃がさない。

「貴様が諸悪の根源かっ!」
「なっ、早い…!?」

瞬間、銭形はウサイン・ボルトを超えた。
縮地とも言うべき境地の踏み込みは、銭形を一陣の風に変貌させる。
それが、誤算だった。

「しまっ_」

男が虚空から現れた黒い靄へと姿を消そうとした時、銭形もそれに巻き込まれたのだ。

「な、なんじゃあ!?」

流石の銭形も、これには面食らった。
一瞬何が起きたか分からなかったが、気付いた時にはもう遅かった。
目の前は闇一色。
方向感覚どころか上下左右すら曖昧だ。
重力さえ感じられず、自分が浮いている様な、落ちている様な、曖昧な空間に囚われ。
次の瞬間、銭形共々男は消えていた。



「ふぅ!修理完了、やっぱ僕って天才かな?」

アビダインの動力機関に腰掛け、一汗拭って自画自賛するアビィ。
周囲は、新たに取り付けられた新品の配管や動力弁らしきバルブ、メーター等がずらりと並んでいる。
修理と同時に改良も行ったのだろう。
彼なりに、今回の事案を研究し対策したのだ。
一仕事終えたと、アビィはワイン瓶を片手に外を眺める。
すると。

「…あれ、鹿かな?」

アビダインに収容していた内の一匹だろうか。
荒れた荒野を、鹿が闊歩している。

「まぁ、一匹位良いか。」

だが、休憩モードのアビィには正直どうでも良かったので見逃した。
ただ一つ、誤算があるとすれば。

「パカラ、パカラ、パカラッてなぁ!」
「おい、何時まで鹿の真似するんだよ?」
「気ぃ~が済むまでやろうぜぇ次元!」

もし声を聴いていたら、明らかに人だと分かった事だろうか。

5人目

「真に仕えるべきは」

CROSS HEROESとクォーツァーの戦い、それを物陰からこっそり見ていた者がいた。
「……我が魔王……」
そうウォズだ。彼はクォーツァーとソウゴ達どちらに仕えるべきなのか、悩んでいたのだ。
(……私はクォーツァーの人間、今まで彼らと一緒にいたのは全てクォーツァーの計画のためだ。しかし何故だ?さっきから心が痛い……)
自分達のやってることは、ソウゴ達を利用してまで平成という30年もの歴史を美しいものに作り直すのは本当に正しいことなのか?いつからか彼はそう思いそして悩んでいた。

『ソウゴと出会い、共に戦い暮らす中で……いつの間にかアイツに惹かれたんだ!』
『昭和も平成も関係ない……俺が王になりたかったのは、世界を良くするためだ!!』

「……すまない我が王よ、私が真に仕えるべき王はあなたではないようだ……」
彼は物陰から飛び出し、ソウゴ達CROSS HEROESとクォーツァーの前に現れた。

「祝え!」
「「「!?」」」
「大魔王の力を受け継ぎ、全ての時代をしろしめす最終王者!
 その名も仮面ライダージオウ オーマフォームの誕生である!」
「ウォズ…!?」
「……ウォズ、いったいなんの真似だ?」
「わからないのですか?私が仕える王はもうあなたではないのですよ」
「なに!?」
「貴様…クォーツァーとしての誇りを忘れたのか…!?」
「……どうやらゲイツ君の言うとおり、私は彼に…我が魔王に心の底から惹かれたようだ。クォーツァーとしての誇りやクォーツァーが目指す美しい歴史としての平成よりも、彼らや彼らと共に過ごした日々の方が素敵だと思うようになったよ」
「ウォズ……」
「我が魔王、ゲイツ君、ツクヨミ君、そしてCROSS HEROESの諸君、今までのご無礼、本当にすまなかった…」
「うんうんいいよ、ウォズがまた俺たちと一緒にいてくれるのならさ」
「我が魔王…!」
「まぁ、ソウゴがそう言うのなら私達は文句言わないわ」
「その代わり、次裏切ったらただじゃ済まさないぞ…!」
「ゲイツ君…ツクヨミ君…!」

「……そうか、ならば替え玉の王諸共、貴様を処刑する…!」
「っ!来るぞ!」

6人目

「月と太陽、運命の境界」

 カルデアVSバールクス分身体。

「やああああッ!!」

 マシュがラウンドシールドを前面に展開した急降下ダイビングアタック。
地面が陥没し、土煙が上がる。
バールクスは笑みを浮かべながら指先から光弾を放った。

「ステータス・アップ、これで耐えます……!」

 魔力を耐久力に変換し盾でガードする。

「マシュ!」
「くううっ……!」

 バールクスの力は凄まじく、衝撃を受け止めきれずによろめいて後退る。

「どうした、守ってばかりでは勝てんぞ?」
「まだですッ!」

 余裕の表情で挑発するバールクスに向けて横振りに盾をスイングして
シールドバッシュを繰り出すが、弾かれたのはマシュの方だった。

「ぅあッ……!?」

 重量においてはマシュのシールドの方が圧倒的に上回っているはず。
つまりそれだけパワー差が大きいということだろう。

「その程度か?」

 分身体であってもこの強さ……だとしても、カルデアのマスターとして
ソロモン王から人理を取り戻した者として、絶対に負けられない! その時――

『ちょっと待ったー!』

 どこからかダ・ヴィンチの声が響いてきた。

『今こそ私達の出番だ。藤丸くん、こちらから援軍を転送出来るよ』
「よし……ありがとう、ダ・ヴィンチちゃん!」

「させるか……!」

 立香の思惑に気づき阻止しようとするが、

「SMAAAAAAAAASHッ!!」

 雷を足先に纏った坂田金時がバールクスへとドロップキックを炸裂させた。

「ぬううううッ……!?」
「金時さん!」

「よう、無事かよ大将、マシュの嬢ちゃん。
こいつが例のクォーツァーって奴らの親玉かい?」

 武蔵やなぎこが今もクォーツァー・パレス内で戦っている中を突破してきた金時が
静電気が籠もった掌で髪を逆立てながらバールクスを睨みつける。

「ちいッ、邪魔だてを……!」
「大将、今の内だ。野郎は俺っちが抑えとくぜ。だからさっさとやってくれ!」
「うん!」

 頼れる仲間からのエールを受け、立香はカルデアとのパスを繋げる準備に入る。

「奇遇だな、俺もクラスはライダーだぜ。
そんじゃあ、ちょっくら勝負しようじゃねぇか! おるぁぁぁぁッ!!」

 拳を打ち鳴らした金時はバールクスに向かって駆け出した。

「猪口才なぁッ!」

 二人の拳が激しくぶつかり合う。
攻撃を全て受け流しながらカウンターを叩き込むバールクスに対し怯むことなく
猛攻を続ける金時。互いに一歩も譲らない攻防を繰り広げる中
立香の準備が完了した。

「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に聖杯の寄るべに従い、
人理の轍より応えよ。汝、星見の言霊を纏う七天。
降し、降し、裁きたまえ、天秤の守り手よ―――!」

「しまった、ええい、退け!」
「行かせるかよォッ!!」

 地面を拳で殴りつけ、伝導させた雷撃でバールクスを拘束する金時。

「ぐおッ……」

 そしてパスを通して召喚されたサーヴァントが実体化する。

「――ぬっはっはっはァ! わし、ようやく参上!!」

 織田信長が高笑いを上げながら赤いマントを翻す。

「この我を差し置いて魔王を謳うとるらしいのう……第六天魔王、織田信長が
直々に貴様らに教えてくれる! 真の魔王たる者の強さというものをなあ!」
「織田信長……!? 貴様のような小娘が魔王を名乗るなど
烏滸がましいにも程があるぞ!」

 バールクスの反論を信長はそれを鼻で笑って一蹴した。

「斯様な狭い了見で歴史の管理者を気取るか? 片腹痛いわ!」

 傲岸不遜に言い放つその姿からは確かに王者の風格を感じる。

「カッシーン軍団! 奴を殺せェッ!」

 命令を受けたカッシーンは武器を手にして襲いかかってくるが――

「あ、やべっ……」

 何かを察した金時は慌ててその場を離れる。
正面から突っ込んでくるカッシーン達を前に、信長が炎の渦に包まれた。

「!?」
「三千世界に屍を晒すがいい」

 信長の背後に数えきれないほどの火縄銃が具現化していく。
その全てが狙いを定め――一斉掃射が行われた。

「これが魔王の三千世界(さんだんうち)じゃああッ!!」

 一挺一挺が魔力によるビームを発射する事で敵を殲滅するという規格外の火力。
史実、戦国の世において火縄銃による鉄砲隊を指揮し
戦術の歴史を塗り替えたと言う逸話が昇華され、宝具と化したものだ。

「ギ……ギガガガガッ……!!」

「ふふん、わしの宝具の御開帳と言うわけじゃ。全国のノッブファンの者ども、
イェーイ、見てる~?
今回もカルデアで留守番の沖田、悔しかろう? おっおっおっ?」

 カメラ目線でピースサインを決める信長。
カルデアでわなわなと震えているであろう沖田を煽る。

「殺す……!!」

 案の定、沖田が怒り狂って暴れ出しそうになるが、それを必死に抑えつけるホームズ。
そんなこんなしているうちにカッシーン達は全滅していた。

「何か、心なしか地の文もぐだぐだに……」

「ええい、貴様らのようなおちゃらけた連中に負けるなど……!!」
「そいつが特別なだけだ。一緒にするな」

 ナイフ片手に、残るカッシーンの鋼鉄の身体を紙切れのように斬り裂きながら現れたのは
両儀式。着物の上に赤いレザージャケットを羽織ると言う奇抜なファッションをした
アサシンクラスの少女だ。

「直死――」

 直死の魔眼。あらゆる物質の「死」を線として視認できる能力。
瞳の中で輝くその線を断ち切ると、如何なるものも立ちどころに死に絶えるという。
式が放ったナイフがカッシーンを次々と切り裂いていく。

「ったく、わざわざ来てやったんだ。報酬は弾めよ、マスター」

 いつも通りのぶっきらぼうな態度だが、それも彼女なりの信頼表現なのだ。

「どっかーん!!」
「!?」

 突如、クォーツァー・パレスを囲む樹海が爆発を起こした。
木々を薙ぎ倒しながら姿を現したのは……アルクェイド・ブリュンスタッドだ。

「あら? ちょっと座標がズレた?」

 どうやら召喚されたと同時に攻撃を仕掛ける算段だったようだが、
その結果辺り一面を吹き飛ばしてしまったようだ。

「あのお城かぁ……」

 すたすたと歩いていく。彼女の歩く道には草木一本生えていない。
もしもアルクェイドがクォーツァー・パレスの上空より
攻撃を仕掛けていたら、間違いなく立香たちは巻き添えを食らっていただろう。

「ダ、ダ・ヴィンチちゃん……」
『いやー、退屈だからマスターの所に行かせてって駄々こねられてさぁ。
仕方なく許可したらこの有様だよ』

 天才的頭脳の持ち主であるはずのレオナルド・ダ・ヴィンチも
流石にこれにはお手上げといった様子だった。

「次から次へと……!」

 バールクスは苛立たしげに歯噛みする。

「だが、マスターを殺ればこいつらも総崩れ! 
まずはそこの小娘から始末してくれる!」

 標的を立香に変更したバールクスは、リボルケインを振りかざし襲い掛かる。

「!?」

 しかし――振り下ろされた剣は、西洋の甲冑に身を包んだ金髪碧眼の少女騎士によって
防がれていた。

「セイバー、召喚に応じ参上した」

7人目

「逢魔時王必殺劇」

有り得ざる20番目の継承、自らを受け継ぐ儀式にて、時の王者として覚醒を果たした常盤ソウゴ。
相対するは歴史の管理者、常盤SOUGO。
二人の王が相対する、その裏にて。

「へぇ、嘗ての魔王が直々に掛かってくるなんて、ついてるねぇ僕達。」

彼等を先導し、ザモナス達相手に殿を務めるのは、50年後のオーマジオウだ。
絶対的な王者たる威厳を感じ取ったゾンジスが、警鐘を鳴らす。

「気を付けろ、ただでやられてくれる相手では無いぞ。」
「ライダーシステムも無い只の老人さ、良いカモだよ。」

そんな忠告など歯牙にも掛けず、ザモナスは余裕綽々と言わんばかりに、仮面の裏で口元をニヤリと歪める。
対してオーマジオウも、まるで楽しむようにクツクツと喉の奥で笑い声を上げた。
しかし、その目は、決して笑ってはいない。

「_っ!」

ゾワリ、と。
肌を突き刺す様な殺気が、その場を支配した。
幾千もの亡霊を幻視する死臭を孕んだ空気に当てられ、ザモナスは思わず身震いする。
同時に、一瞬でも怖気づく醜態を己が晒した事を理解し、ワナワナと腕を振るわせた。

「何なんだ、お前は…!」

恨み節めいた言葉を、怒りに乗せて言い放つ。
対するオーマジオウは、何の事も無い様に返す。

「魔王だ、最低最悪のな。」

それは、ある意味でいつも通りの返答だった。
オーマジオウから放たれていたプレッシャーは、以前健在のまま。
むしろ、時間が経過していくごとに強まっているような気さえ感じられた。
だが敢えて、ザモナスは己を鼓舞するように、再び笑みを浮かべた。

「魔王だなんて言っても、所詮はジジイじゃないか!こけおどしも大概にしなぁ!」

叫び、ザモナスは拳を振り上げ、オーマジオウ目掛けて飛び掛かった。
直撃は愚か、余波だけでも致命傷と成り得る一撃。
生身の人間とライダーシステムには、それ程までに彼我の差がある。
故に、ザモナスは見掛け倒しと判断して速攻で仕留めに掛かった。
普通であれば、正しい選択だ。

「とっとと消えろぉ!!」
「まて、迂闊に_」

だが、魔王の前では違う。

《カブト》
「がぁっ…!?」

一蹴。
轟音。
ザモナスが宙を舞う。
何時の間に起動させたのか、その手にはカブトのライドウォッチ。
常人では視認する事すら敵わない紫電の蹴りが、ザモナスの身体を易々と吹き飛ばした。
地面に叩きつけられながら、尚も強烈な勢いで転がり、壁に直撃。
ザモナスは、放射状の亀裂から剥がれ落ちる瓦礫の中に埋もれた。

「あぁっ…がはっ、クソッ、クソォ!!」

ボロ雑巾のように変わり果てた姿で這い出るザモナス。
そんな彼を一瞥する事すらせず、オーマジオウの視線は既にゾンジスの方へと向いている。
_次は貴様だ。
言葉に出ずとも、酷く冷めた目付きが、彼の意志を詭弁に語っていた。

「馬鹿な、こんな事が…!」

想定外、想定外、想定外。
有り得ない、認めない、認められない。
ゾンジス達は替え玉を、常盤ソウゴを倒す為に現れた。
その筈なのに、今はどうだ?
嘗ては魔王と呼ばれていようとも、ライダーの力も無いたかが老人に圧倒され、逆に足止めを食らっている。
この屈辱は、如何様にして言い表せれば良いのか?

「っ舐めるなぁ!」
《ロボライダー》

湧き上がる怒りと焦燥感、それら全てが入り混じった怒号と共に、ゾンジスは自身の装甲を開口させ、憤りを表す様にミサイルを乱射する。
放たれた噴煙が尾を引いて、その全てがオーマジオウへと収束していく。
只の一発でも、生身の人体には致命傷足りえる鉄の雨。
それを前にして、しかし魔王は動じない。

「無駄な足掻きだ。」
《キバ》

その手に握られたキバのライドウォッチを起動。
途端に、コウモリ型のエネルギーが無数に顕現。
群れを成して犇き、ミサイルを一つ残らず迎え撃ち、落としていく。

「まだだ!」

カラコロとミサイルの破片が降り注ぐ中を、ザモナスは駆ける。
たった一撃、何であろうと食らわせれば即死へ持っていけるのだ。
石にも齧りつく意気で、爆炎を切って直接殴り込みに掛かった。

《フォーゼ》

だが、一撃死する事はオーマジオウも織り込み済みだ。
フォーゼのライドウォッチを片手に顕現させた、スペースシャトルの意匠が施された盾。
強靭で強固な表層が、ザモナスの攻撃を紙一重で逸らす。
盾の性能もさることながら、オーマジオウ本人の技量もまた恐ろしい物だと理解させられる。
しかしそれでも、ザモナスはまだ食らいつかんとする。

「はぁっ、一発は耐えれても連撃は_」
「次など無い。」
《竜騎》
「がぁっ!!?」

だが、突如として現れた紅い影がザモナスを軽々と吹き飛ばす。
山なりの軌道を描いたザモナスは、そのまま地面深くへと頭から失墜。
対し、真紅の異形はそのまま黒煙を突き抜けてその姿を現した。
蛇腹の胴体で宙を泳ぎ、剣の如く鋭い爪。
節々は鋼色をした機械の様でいて有機的、顔はまごう事無き竜。
竜と騎士、その2つの要素が合わさった、見る者全てを威圧する異質な鋼の竜が、今ここに姿を成した。
オーマジオウは、竜の背に佇んでいた。

「我が魔王たる所以、とくと思い知れ。」

竜が火球を吐き出し、辺り一帯を蹂躙していく。
逃げ場など無く、ザモナスとゾンジスは直撃を貰う。

「「ぐあぁぁぁ!!?」」

爆炎と共に、地面を転がる二人。
両者とも、最初の威厳など最早無く、威風を放っていたマントもボロ布と化している様だ。
それを一瞥し、哀れんだか、或いは。

「そろそろ終わりといこう。」
《クウガ》

クウガのライドウォッチ。
それを起動させた後、竜の背中で片足を捻り、力を溜めてから超人的な跳躍。
宙で一回転を決め、勢いそのままに空中蹴りの姿勢へ移行する。
片膝を付く有様のゾンジスには、最早避ける手段も無く。
ライダーキックが直撃。

「う、あぁぁぁ!!!」

ゾンジスの身体は、爆発四散した。

「か、カゲン!?」

地面の煤と化した彼の身体へと、惜しむ様に手を伸ばすザモナス。

「案ずるな。貴様もすぐに、後を追わせてやる。」
《ジオウ》

地を這いつくばる彼の元へ、オーマジオウが一つの大剣を構えて歩み寄る。
その刃は禍々しい程に赤黒く、細部は黄金の意匠が施されている。
何より特徴的なのは、刀身に装飾された魔王オーマジオウの顔だ。
オーマジオウはその剣を、ザモナス目掛けて振るう。

「ぐぅっ…!」

辛うじて立ち上がり、肩で受け止めるザモナス。
同時に、至近距離にまで接敵した事になる。
剣の射程内、即ちそれは彼の拳の射程でもあるのだ。

「終わ、りだ!魔王ぉー!!!」

腕を大きく振りかぶって、トドメを放たんとするザモナス。
だが、ソレを放つ前に気付くべき事があった。
一つ、オーマジオウの意匠が施された刀身の大部分が、斬りつけられた頃に消えていた事。
二つ、剣から立ち昇る紫電が、自らの頭上に影を作っていた事。
その意味を理解する間も無く。

「あぁ、終わりだ。」
《電王、ギリギリスラッシュ!》

頭上から振り落とされた深紅の刃によって、彼の意識は爆発と共に断たれた。

「50年前の"私"の過ち、今度こそ、晴らさせてもらった。」

8人目

「解き放つ黄金の輝き」

 真名、アルトリア・ペンドラゴン。ブリテンの騎士王、アーサー王その人だ。
彼女はバールクスを一睨みすると――剣を振るう。
刀身の見えない不可視の剣。
それそのものがアーサー王と言う存在を具現化した宝具なのだ。

「問おう。貴殿が私の――敵か?」

 威風堂々と問い掛けるアルトリア。
かつて円卓の騎士団を率いた偉大なる王は今、再び戦場に舞い降りた。

「くッ……!」

 気圧されながらもバールクスは再び剣を握り締める。

「その通りだ……我が大願を邪魔立てする者は全て、俺が排除してやる!」
「了承した。ならば私もこの剣を以って貴公の相手をしよう――ッ!!」

 戦いが始まる。互いの誇りと信念を賭けて。
アルトリアはバールクスの剣を巧みに受け流し、カウンターを叩き込む。

(この女ッ……!)

 次第に追い込まれていく。劣勢に追い込まれる。
追い詰められて初めて気づく。相手と自分の圧倒的な実力差。
最優のクラスとされるセイバーとして顕現したのであれば剣の技量においては
バールクスがアルトリアに劣るのは自明の理。

「おのれェッ、たかが英霊如きが! 俺は今や神に等しき力を持つ男! 
バールクス! ソロモンの指輪! グランドジオウライドウォッチ! 
この力を持ってすれば、貴様など……!」
「貴公の言う力とは、すべて他者から奪い取って得た偽りの王冠だ。
そのような外法の道具に頼る者は、いずれ破滅する運命にある」

 毅然と言い放つ。王の言葉とはそれだけで力を持つ。

「ほざくなァッ!!」

 激昂したバールクスが無茶苦茶に剣を振り回す。

「そのような攻撃、児戯に等しい。所詮、貴公の力はその程度だ。
王たる者の戦いとは何か、教えてくれよう」

 そしてついに――リボルケインとアルトリアの剣がぶつかり合った瞬間……

「爆ぜよッ!! 風王鉄槌(ストライク・エア)ッ!!」
「なッ……!!」

 アルトリアの剣を包んでいた風の鞘が開放され、荒れ狂う暴風となって
バールクスを呑み込んだ。

「ぐわっ!!」

 吹き飛ばされた先の岩壁に叩き付けられ、バールクスは大きくよろめく。
肩で大きく息をしながらも、なおも立ち上がるその姿を眺めながら
アルトリアは静かに語り始める。

「これで決着としよう」

 風王結界のベールに包まれていた剣が、その姿を現す。
黄金の輝きに染まるその刀身に、大気中の魔力が収束していく。

「ぬおお……!?」
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流――受けるが良い!! 
約束された【エクス】――!!」

 刹那、莫大な魔力が一気に解き放たれ――極光の刃となった聖剣を振り下ろす。

「う、おおおおっ……!!」
「勝利の剣【カリバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア】ッ!!」

 その威力の前には如何なる防御も無意味。
バールクスは為す術もなく、光の中に消えていった。

「ぐあああああああああああああああああああああッ……カ、カルデアッ……
お前たちにはこの先、絶望的な未来しか待っていない……
何故なら、世界は……歴史は……」
「例えそうであっても、私は貴方を否定します。人の過去を、未来を……
その全てを書き換えようとする……そんな事は決して許さない。
私は最後まで――抗います」

 それが藤丸立香の覚悟。
たとえ世界が滅び去ろうとも――最後の一人になるまで、己が信じるモノの為に戦う。
決して揺らぐことのない、強く尊い決意。

「君たち……!」

 バールクス分身体のひとつを撃破したRXが、カルデアのサーヴァント達の元へと
辿り着いた。

「ライダー!」
「今、倒したのはバールクスの分身にしか過ぎない……
恐らく、本体はさらに強大な力を秘めているはず。俺たちがこうして戦っている間にも、
奴らの計画はすでに最終段階に入っている。一刻の猶予もない――行くぞ、皆!」
「はい!!」

 時空を超えて今、世界の命運をかけた戦いが始まろうとしている。

「ソロモンの指輪を持っているのが……本体!」
「急ぎましょう、先輩!」

9人目

「断章:イマジナリー・ウィル ⑧」

 存在しなかった世界 円卓の間

「芥志木がやられたようだな。惜しい。実に惜しい。」
「彼のような信徒も早々現れやしないというに。」

 椅子にしては高さが異常な椅子が8つ、円形に連立する白い円卓の間の様子は、ロンドンにおける任務の失敗と芥志木同志の死でもちきりだった。

「あの堅物面も逝く時はぽっくりか。」
「死者をこれ以上嗤うな。貴様のその悪癖、直した方がいい。」

 へいへい、とふざけた態度を崩さないカルネウス。
 それに呆れかえるような顔を浮かべるエイダムは、話を続ける。

「だが、いつまでも気落ちしているわけにもいくまい。今日集まってもらったのは、新たなる同胞を迎えるためだ。序列はキング・Qのと同じ5位だ。」
「へぇー。同胞ねぇ。キング・Qみたいな真性の性悪じゃなきゃいいんだが。」
「まだ到着はしていないが、一応顔だけでも見てもらう。」

 そうして、中心のモニターに新たなる同胞の姿が移される。
 その顔を見たカルネウスは、にやりと笑みを浮かべて言う。

「ほう、こいつぁ素敵だ。」



「そういや、焔坂のやつ最近どうした?」

 教団大司教6位のビショップが同志たる焔坂の動向を気にしていた。
 ただし、その内容は彼女の安否ではなくもっと人間的な。

「幻想郷に行って以来最近帰ってこないようだが。帰ってきたとしても怖いくらいに明るい。」
「ハッ!あの鬼種の事だ!いいおもちゃでも見つけて愛して/苛めているんだろ!これだから鬼種はめんどくさい!!」

 確かに、鬼種には反転という本能的に何かを破壊・凌辱したいという衝動的な性質がある。当然それは鬼の血を濃く引く彼女にもあるのだが。

「憶測でモノを語るなカルネウス。奴の廃棄孔も完成が近い事は貴様も知っているはず。」
「それは知ってるがよォ、廃棄孔完成であそこまで喜べるもんかね?あの悦びようはそんなもんじゃねぇよ。恋人でも見つけたって面だ。」

「憶測、憶測といったか。だがそれは当たっているぞカルネウスよ。」

 その声と共に、2番目に高い椅子に黒い靄が出現する。
 赤黒いセーラー服、砕かれた赫い水晶のような角と燃える炎のような眼は間違いなく。

「遅かったな焔坂。というより、恋人でも見つけたというのか?」
「うむ!壊し/愛し甲斐のある恋人じゃ!」

 焔坂の笑みは純真だ。
 或いは、無邪気で邪悪な笑みというべきか。

「いずれにせよ、我ら大司教に新たなる同胞が来る。それに異論はないな?」
「「「異議なし」」」
「現在特異点にいるゼクシオンには後でこちらから言っておく。では解散だ。」



 存在しなかった城の廊下を無言で歩く軍服の男。エイダム・マグダネル。

「おい、エイダムさんよ。」
「……カルネウスか。何の用だ?」

 そんな彼を呼び留めるのは銃の化身カルネウス。
 その顔は、表向きこそ嫌に笑っているが声と態度は完全に怒りをにじませている。

「おめぇ俺に言いたいことあるよな?」

 まるで夫の不倫を疑い、鎌をかける妻のような物言いだった。
 その内容はというと。

「ラスターズを何でロンドンに送った?俺に相談もなく、無断で。」

「貴様が勝手に……」
「しらばっくれんなよおっさん。証拠は挙がってんだ。存在しなかった世界のテレポーターに履歴が上がっている。あいつらは年ごろの子供だがルールは守っている。無断で使うだなどということはない。そして俺は支援要請を送ってない。まぁこれ自体は現場にいればんなもん誰だって気づく。で、何で送った?」
「援護だ。とでもいえば満足か?」

 援護、という言葉に怒りを隠し切れなくなってくる。
 その語気はさら強くなる。

「何が援護だ、おかげでラスターズは再起不能で病院送りになり彼らの一員であるチナツは帰還後引きこもってしまった!俺はその責任を問われ始末書を書かされたんだが?どう責任取るつもりだジジイ!!」
「貴様の実力不足だろう。」

 依然、冷静さを隠していないエイダム。
 しかしカルネウスも引かない。

「それに!あの場にいたCROSS HEROES並びに流星旅団の目的はワイミーズハウスだ。仮に分担していて仲間探しをしていたとしても、それならば兵士を数十人送る程度で充分だろ。何でラスターズだなどという3人だけで超抜級の戦力になるものを送った!?」

 沈黙。
 長い沈黙が続く。
 その場に漂う重い空気に耐え切れず、先に言葉を発したのはカルネウスの方だった。

「ハッ、しらばっくれるつもりかよ。まぁいいや、見当つく動機は思いつくが憶測でモノを語るもんじゃねぇしな。支援あんがとよエイダム・マグダネル同志?」
「……ふん、好きにしろ。」

 その場を去るエイダムを、カルネウスは見送った。
 そして、不敵な笑みを浮かべつつぼそりと誰にも聞こえない声でつぶやく。

「裏は取れてんだよ、■■■■■■■の使徒が。」

 虚数に巣食う無数の意志。
 彼らの暗躍は、まだ続く。

 断章:イマジナリー・ウィル 完

10人目

「恐怖!! 歴史改変男 ノリダー対バールクス 
~ マリナさん愛する猛はかいわれ巻き巻き巻いて巻いてとぉ~う!! の巻 ~」

 仮面ノリダー対バールクス分身体。

「おお……みんなやってんなァ!!」

 RX、カルデア……各地でバールクス分身体と交戦する戦士たち。
大規模な爆発や光の奔流をバックに、それぞれの雄叫びが響く!

「よぉぉぅし……ならば我々も決着をつけるとしよう!」
「フン、良かろう」

「ならば向こうで勝負だ! 行くぞッ! とぉ~うッ!!」

 ノリダーとバールクスは空へと消えていく。

「――と見せかけて、あ、とぉ~うッ!!」

 ガラ空きになったバールクスの腹に中段蹴りをブチ込むノリダー。

「ぐはッ!?」
「かかったなァ! ジャンプして一瞬で採石場とかにワープすると思わせといて、
こうだ!!」

「貴様ァ……!!」
「今度こそ勝負をつけるぞ、覚悟しろ!! あ、とぉ~うッ!!」

 ノリダーは空高く舞い上がり……

「と、見せかけ……」
「二度も同じ手に引っかかるかァ!」

 再び奇襲を掛けようとしたノリダーに、バールクスのカウンターパンチが炸裂する。

「ぁ痛ァ!? 卑怯だぞォう!?」
「どっちがだ!」

 頬をさすりながら、涙目で抗議するノリダー。自業自得である。

「ふざけ倒しおって……まさに平成と言う醜い時代の象徴のような存在だ。
貴様のようなものをのさばらせていたばかりに、世界は歪んでしまったのだ……!!」
「……!」

「貴様だけではない。無作為にあちこちの異世界から集まってきたCROSS HEROES……
その存在そのものが不自然な歪みをこの世界に生み出したのだ」

 文明も違う。思想も違う。生きる時代も世界も違う。
何一つ共通点のない者達が手を組み、力を合わせる姿など異様。
そして、その歪みこそがこの世界の秩序を破壊し始めた原因だと説くバールクス。

「故にこそ、この俺が歴史の管理者として等しく、美しく、統一せねばならんのだ!
でなければ、やがて世界はラグナロクによって滅亡する事になるであろう……」

 しかし、ノリダーはそれを真っ向から否定した。

「そんな事はない! 俺達はお互いに認め合い、支え合う事が出来るんだ!」

 自分のやってきたことが、この世界を乱しているかもしれない。
けれど、それでも……自分の信じる正義を貫く為に、ノリダーは戦っているのだ。

『猛さん!!』

 元の世界に残してきた愛する人の事を想う。

(マリナさん……!!)

 例え離れていても、彼女の笑顔を思い浮かべれば力が湧き上がってくるのだ。

「負けられない……!! みんなの未来の為にも……俺達の明日のためにも……!!」

 拳を強く握りしめ、覚悟を新たにするノリダーだった……

「行くぞォッ!! ノ・リ・ダァァァァァァッ……キィィィィィィィックッ!!」

 シリアスモードに気持ちを切り替えたノリダーの飛び蹴りが炸裂……

「むんッ!!」

 しかし、バールクスが急降下してくるノリダーに向かって右手をかざすと、
時間が巻戻るかのようにノリダーのキックの軌道が変化してしまった。
まるで、ノリダーが時間軸ごと操られているようだ。

「……クッ、キ……な、何だってぇぇぇ……!?」

「ふふふ……この俺は時間操作の力を本体から色濃く受け継いでいる。
時間さえ支配する力は、他の分身体より格段に上なのだ!!」
「な、何だとォう……ハズレくじ引いちゃったかな……ズッコいだろ、それェ……」

 予想外の展開に思わず弱音を吐くノリダーだが、決して諦めようとはしない。

「こんのォォォ……ノ・リ・ダァァァァァァッ……パァァァァァァァァァンチ……」
「甘いわ!」

 パンチを打とうとしたノリダーに対して、再び時間を巻き戻すバールクス。

「チン、パ……って、おい! 逆さまにしたらちょっと危ない響きになっただろォ! 
ただでさえコンプラとか厳しくなってんだからな!?」
「何の話をしてる!?」

(逆さま……? そうか、もしかして……)
「もう諦めてはどうだ? この世界は既に俺のもの。貴様に勝ち目は無い」

 勝ち誇るように余裕の笑みを浮かべているバールクスに、
ノリダーは逆にニヤリと笑い返した。

「それはどうかな……!? ノ・リ・ダァァァァァァァァッ……」

 パンチ、キックと立て続けに封じられたノリダーが次に取った行動とは……

「馬鹿め、何度やっても同じ事だ」

 またしても時を操る力で跳ね返そうとしたバールクスであったが、
突撃してくるノリダーの動きがまったく巻き戻ろうとしてない。それどころか、
なんとノリダーの方がバールクスの懐に飛び込んでいったではないか!?
一体これはどういうことだ!?

「――新聞紙ッ!!」

 スパァァァァーーーーーーーーンッ!! 
ノリダーが取り出したのは、折り畳まれた新品の新聞であった。
紙であるが故に強度など皆無であるが、それが今、バールクスの顔面に炸裂する!

「ば、馬鹿なァ……俺の時間操作が効かない、何故……!?!?」
「ふっふっふ……「しんぶんし」逆から読んでも「しんぶんし」だ!!」
「そ、そんなアホみたいな理屈で……」

 まさかこんな方法で自分の戦い方を攻略してくるとは思ってもいなかったバールクス。
あらゆる不条理を引き起こすノリダーは、
まさにクォーツァーにとっての天敵と言う他無かった。

「ノ・リ・ダァァァァァァァァッ……」
「や、やめろぉぉぉッ……」

 次は一体どんなふざけた手段を使ってくるのかと、戦慄を覚えるバールクス。
しかし、ノリダーのとった次の攻撃は意外なものであった。

「高いところから回りながら落ちなさ~い」
「な、何ぃぃぃぃッ……!?」

 ノリダーの両手から発せられるビームを浴びると、
バールクスはその名の通りにくるくると回転しながら城の高台から落下していった。

「い、嫌だああああああああッ……こんなしょうもない技でえぇぇッ……!!」

 涙ながらの悲鳴をあげながら落ちていくその姿は、まさしく滑稽そのものだった。
そして地面に落下したと同時に爆発。バールクス分身体は消滅したのである。

「完全勝利だよ! 仮面~~~……ノリダー!! 二ッ☆」

 ポーズを決め、白い歯を輝かせるノリダー。彼の勝利を祝わんばかりに、
やってきたのは同じくバールクス分身体を打ち倒したRXとカルデアだった。

「やったのか……!?」

 城の外から煙が立ち昇り、バールクスの絶叫を聞いていたのだろう。
歓喜の表情のまま、一同もノリダーに駆け寄ってきた。

「……ああ、手強い相手だった……」

 キリリと顔を締め、仲間達に告げるノリダー。
その戦いの内容は、バールクスのせめてもの名誉のために割愛しておく。

「それよりも、バールクス本体を叩かねば」

 RXの言う通り、この戦いはまだ終わっていない。
敵の首領であるバールクス本体との決戦を前に、気を引き締め直す戦士たち。

「弁当休憩とか挟んでもいいかな?」

 いいわけがない。
かくして、ノリダー達は最後の闘いに臨むため、最終決戦の地へ……!!

11人目

【大天使の奔走劇】

「困りましたね・・・当てがありません」

エーテル・クラウディアは綺麗に翔び立った
のはいいが当てがなくてあっという間に困り果てていたのだ。

「あの人狼には・・・いえ、今回頼るのは辞めておきましょう」

自分の人脈の薄さに涙目になっていたがめげずに行動する少女
そんな少女が最後に行き着いたのが物語が始まったここ桜吹雪街であった。

「・・・ここならばあのトラブルを発生させることが出来る少年がいるはずです。どこにいるのでしょうか?」

意識を集中させて気配を探る・・・

「いました!!」

光の速度で翔びたった。
そんなトラブルを発生させる少年ことアースと、櫻木桜花とエクス仲良し3人組は

「これで終わりだ!あーーーっ!!」

「1枚目、これなら次もいいよ!えーい!・・・ダメだったよ」

1人は叫び 1人はしょんぼりしていたそんな中、1ターンで8枚連続で同じカードを引く人がいた

「シンケイスイジャク、とは意外と頭を使うのだな」

「むぅぅ・・・エクスが強すぎる・・・!」

「ほとんどカードが取られちゃったね・・・」

「記憶力をしっかり鍛えるのだ、てなわけで我が勝ったら桜餅を頼む」

そう言ってもう2枚引き当てる
3人はトランプカードのルールの1つ、神経衰弱で遊んでいたのだった。
今現在らエクスが圧勝している。

「あっ!こら、勝てそうだからって!」

「うんいいよ!」

「やはり、桜花は話が分かるな」

「甘やかすなぁー!」

「・・・ん?」

「あれ?」

「2人とも余所見していると次のカード、俺が揃えちゃうぞって・・・どうしたんだ?」

エクスと桜花は窓際見ていた
アースは2人の異変を感じ取って椅子から立ち上がり窓を確認すると誰もいなかったと、見せかけていきなり視界に入ってきた

「わっ!」

「うおおわおっ!?」

まさか、驚かせて来るとは思っておらず思いっきりひっくり返ってしまった。

「あ!あの時の天使様!」

「正確には 大天使 なのですが、桜花さんには敵いませんね・・・」

「夢美に負けて闇に飲まれたと思っていたがその後、何がどうしたのだ?」

「うっ、あの異端者に負けるとは思っておりませんでしたよ」


「まさか、今回戦いに来たんじゃ・・・」
この言葉、実は本当である。
アースは不慮の事故でロスト・ヘブンに来たことがあり突然戦いになりかけた事があるのだ

『申し訳ないのですが、ここを荒らす者は何人たりとも許しはしませんよ』

『違うんです!ちょっと話を聞いてくださいよ!』

『お話を聞いてあげたいのですが・・・ごめんなさい』

『っ!』

そんな時、どこからかともなく迷い込んできた辻斬りこと月影夢美が光の攻撃を叩き斬って現れる

『・・・道、迷った』

『迷ったって…夢美さん ここ、上空ですよ!?』

そこからバトルが勃発した。
なんてことがあったのだ、案外結構覚えているものである


「あれ、もしかして話し合い出来るタイプなんですか・・・」

「失礼ですね、出来ますよ!ほらここ!」


ー『お話を聞いてあげたいのですが・・・ごめんなさい』ー


「ああああああ!本当だ!」

「ということは戦いと、言うわけではなく・・・」

「本当に用事があったってことですね!」

「や、やっと分かってくれたのですね・・・では、さっそく異端者3人のこと誰か分かりますか?」

「それかぁ・・・いいですよ!」

なんと、あっさり簡単に情報漏洩したのだった。
ここからここまで今の今までの事情を話すことに、一連の流れを目撃していたアースは異端者3人組があの後どうなったのかをできる限り大天使に教える

「そうそう、あの3人が戦いで押されていたんだけどそこで雪さんが最大防御で防いでくれて」

「そうなんですね、それでは・・・その後どうなりましたか?」

「ごめん、そこまでは分からない・・・です」

「ありがとうございました」

エーテルは軽くお辞儀をする

「やはり君を尋ねてきたのは正解でしたね、その戦場の現場・・・行ってきますね」

足早にエーテルは飛び去ってしまっていった…

「行ってしまったか・・・」

「なんだか、めちゃくちゃ急いでいるな」

「うん、なんだか・・・用事があるみたいだったね?」


ー空中ー

「今回の会話・・・やはり、難しいものですね」

彼女は思い出していたのだ、言われたことを

『エーテル、貴方は思考回路が速いのですね』

目線を合わせて話す、記憶の中の暖かい金色の光が目の前を明るく照らす

『はい!そふぃあさまがいうからにはそうだとおもいます!』

『思考回路が速いから答えを出すのが速いみたいですね』

『そうなのですか・・・?』

『もうちょっと、私と向き合ってもらえるでしょうか?』

思えば、懐かしい記憶。
もっとソフィア様と会話をしっかりしていれば・・・
さっきの会話も色々話せたのではないかと後悔してしまう
そんなこんなで、目的地へと到着する。

12人目

「時代が望む時、仮面ライダーは必ず蘇る」

 ――杜王町。

「いいぞー! もっとやれーッ!」

 クォーツァー・パレスでの戦いを観戦する杜王町の住民たち。

「あっ……」

するとそこへ、カッシーン達がやって来た。

「クォーツァーの反乱分子を幇助する、反逆者どもは排除せよとのご命令だ」
「ひっ……!!」

 恐怖に怯える住民たち。

「粛清、粛清、粛清ッ!! 排除ッ!!」

 カッシーンは剣を振り上げ、一斉に住民たちへ襲い掛かる!

「うわあああああああッ!!!」

 その時、人々の前に立ちはだかる影――

「トォウッ!!」

 鉄拳にてカッシーンを粉砕した、その男は……

「該当データ、無し。不明。不明」
「フッ……そうだろうな……何せ俺は、歴史の闇に葬られるべき存在……当然だ」

 黒い羽が舞う中、彼は静かに呟く。

「俺の名は仮面ライダー……3号」

 ――そして今、歴史の彼方から、この場に現れた男。黒井響一郎。
元・レーサーの腕前を買われ、ショッカーによって生み出された第3の仮面ライダー。
しかし、彼は正義に目覚め、己の存在を賭して歴史を正しき姿へと戻す事を決意し、
消滅したはずだった……

「仮面ライダーの歴史を無かった事になどさせん。それこそが、俺がここに来た理由だ」
「敵性体と判断……殲滅ッ!!」

「ほう……面白い。かかってこい」

 凄まじい力にて引き千切られた鎖が垂れ下がる拘束具が
手首に巻かれたままになった拳を構え、3号がカッシーンと対峙する! 

「トォウッ!!」

 仮面ライダー1号・2号同様に、徒手空拳で戦う3号。
カッシーンをすべて一撃の元に次々となぎ倒していく!

「目標を包囲。波状攻撃を開始する」

 3号を囲んで一斉に襲いかかってくるカッシーン軍団。

「トオゥッ!!」

 全周囲から槍を突き立てようと迫って来るカッシーンに対し、
3号は宙高く跳び上がり、回転しながらキックを放った!

「ライダーキィィィィィック!!!」

 強烈なキックで吹き飛ばされていくカッシーンたち。
3号は地面に着地した後、大きく息をつく。グローブを軋ませる程の怪力で拳を握り、
彼は再び構えを取った。

「これで終わりか?」
「ふひひ、裏切り者め……よもやこんなところで会うとは思わなかったぞ……」

 そこに現れたのは悪の秘密結社ショッカーの怪人、ゲバコンドルとシオマネキング。

「お前たちは……」

 彼らこそ、歴史の影で今も尚、暗躍を続ける悪の組織ショッカーである。

「フッ、なるほど……この一連の事件には貴様らも関わっていたという訳か……
俺がここに呼ばれた理由も納得が行った……」

 歴史が歪められた結果生まれた者たちとの戦いの中で、
3号の脳裏に浮かび上がった記憶があった――1号・2号を葬り去り、
その後に続く仮面ライダーの歴史を抹消、悪の尖兵として世界征服を実現しようとした
恐るべき計画……クォーツァーの企みはまさにそれを彷彿とさせるのだ。

「性懲りもなくまた良からぬ事を企んでいるようだな!」

「アビアビアビアビアビ……クォーツァーの目論見が達成されれば、
仮面ライダーの存在が歴史から消滅する……それは我々ショッカーにとっても、
非常に都合が良いのでな!」
「邪魔だてはさせんぞ、黒井響一郎!」

「それはこちらの台詞だ。仮面ライダーの使命を果たす為にも……ここは通さん」

 拳を構える3号。しかし……

「ならば君に手を貸そう」
「何ッ!?」

 赤い斬撃の軌跡を描くソムリエナイフでショッカー戦闘員を流れるように
斬り裂いてゆく男。

「お前は一体……」
「僕の名はG。仮面ライダーGだ」

 秘密組織シェードによって改造された兵士、吾郎が変身した姿。

「お、おのれ! またもや新しい仮面ライダーか!」
「平成ライダーには過去に助けられた借りがある。覚悟しろ、ショッカー。
今、僕のヴィンテージが芳醇の時を迎える!」

「生憎だったな、ショッカー。時代が望む時、仮面ライダーは必ず蘇る。
例えお前たちがどれだけ悪巧みをしようとも、それを挫くために立ち上がる者が居る限り、歴史は護られる!」

 3号の言葉を受け、Gはさらに闘志を燃やし、ショッカーに立ち向かってゆく。

「行くぞ……ハァアアッ!!!」

13人目

「奇跡の共演!機界戦隊ゼンカイジャーVS仮面戦隊ゴライダー!/瞬瞬必生《前編》」

一方その頃、他のCROSS HEROESと別れてしまったゼンカイジャーは押し寄せるカッシーンの軍団と戦っていた。
「ぜぇ…介人、大丈夫?」
「うん、けど……これは流石に……」
「ぶっちゃけ多すぎない!?」
そう、今ゼンカイジャーが戦ってるカッシーンの数……その数はなんと200は軽く超えていたのだ。
「ヌヌヌ…いくらうちらでもこの数は無理っす……」
「せめて、他のCROSS HEROESの皆さんがいれば良かったのですが……」
すると……
「ならば、我々が力を貸そう!」
「っ!?」
そこへ現れたのは、赤、青、黄、緑、桃の5人の戦士だった。
「あれは……仮面ライダー…?」
「ですが、どこかスーパー戦隊ぽさもあるような……」

「あれは仮面戦隊ゴライダー、仮面ライダーとスーパー戦隊の両方の力が使える戦士チュン!」
「セッちゃん!無事だったんだ!」
「界人達とはぐれてこの城の中を彷徨ってたところを彼らに助けてもらったんだチュン!」
「君たちがゼンカイジャーだな。正式な戦隊ではないが、我々も力を貸そう」
「ありがとう!」
「そんじゃ、まずはお約束といきましょうや!」
「あぁ!」
ゼンカイジャーとゴライダーは横一列に並び立った。
「アカライダー!」
「アオライダー!」
「キライダー!」
「ミドライダー!」
「モモライダー!」
「仮面戦隊!」
「「「「「ゴライダー!!」」」」」

「秘密のパワー!ゼンカイザー!」
「恐竜パワー!ゼンカイジュラン!」
「百獣パワー!ゼンカイガオーン!」
「魔法パワー!ゼンカイマジーヌ!」
「轟轟パワー!ゼンカイブルーン!」
「5人揃って!」
「「「「「機界戦隊!ゼンカイジャー!!」」」」」

「「我ら!」」
「「「「「「「「「「スーパー戦隊!!」」」」」」」」」」
機界戦隊と仮面戦隊……本来なら並び立つことのない2つの戦隊が今ここに揃った…!



一方その頃
《ゲイツリバイブ!剛烈!》
《ギンガファイナリー!》
ジオウ、ゲイツ、ウォズ、ツクヨミの4人がバールクス本体と戦っていた。
《ジカンデスピア!》
「フッ!」
「ハァアアア!」
ウォズがジカンデスピアでバールクスを突き、すかさずツクヨミが光の刃でバールクス切り裂く。
「クッ…!」
《ジカンジャックロー!パワードのこ!》
「だりゃあ!」
そしてゲイツがのこモードのジカンジャックローの刃を押し付けてバールクスの装甲をガリガリと削っていく。
「ガハッ!?馬鹿な…ありえん!?この俺に…平成ライダーであるお前達の攻撃が効くはずが…!?」
「忘れたのかい?私はあなたと同じ未来人で、ゲイツ君やツクヨミ君は今ではこの時代の人間ってことになってるが、元々は我々と同じ未来人……つまりは我々は令和ライダー……いや、下手したらそれよりも先のライダーってことになるのだよ」
「ふざけるなぁ!そんな理屈…通じてたまるかぁ!」
バールクスはリボルケインでウォズを攻撃しようとするが…
「フッ!」
「なに!?」
ジオウがサイキョーギレードでバールクスの攻撃からウォズを守った。
「ハァアアア!」
そしてすかさずサイキョーギレードでバールクスを切り裂いた。
「グワァアアアアアア!?」

「ふぅ……ウォズ、大丈夫?」
「あぁ、感謝するよ我が魔王」
(……裏切り者であるこの私でも全力で守るこの優しさ……やはり私が仕える王は彼一択のようだ……)
「チッ…こうなれば、貴様らの時間を巻き戻して、その力を得る前の状態に戻してやる…!ハァ!」
バールクスは分身体がノリダーに対して使った力を使いソウゴ達の時間を巻き戻そうとするが……
「そうはさせない!」
ソウゴがオーマフォームの力を使い、時間を進めることで相殺する。
「なに!?」
《キングギリギリスラッシュ!》
「えいりゃぁああああああああ!!」
ソウゴはサイキョージカンギレードから『ジオウサイキョウー』と書かれた光の刃を生成し、それを振るってバールクスをぶった斬った。
「ゴボァ…!?こ、こんなはずでは……ん?これは…!?」

するとそこへバールクスの分身体と戦ってた、カルデア、RX、ノリダーがやって来た
「皆さん!大丈夫ですか!?」
「あ、皆!」
「その様子だと、そっちは終わったようだな」
「うん、もちろん!」
「だいじょーV!」
「バールクス!お前の野望もここまでだ!」
「……ククク……アーハハハハハハハハハ!!」
「何がおかしい!?」
「どうやら、天はこの俺のことを見捨ててなかったようだ…!」
そう言いバールクスが見せたのは、先ほどオーマジオウの手によって倒されたゾンジスが持ってたJライドウォッチであった。
「っ!?そのライドウォッチは…!」
「このライドウォッチと、俺が持ってる貴様のウォッチ、そしてこのソロモンの指輪を使えば…!貴様らはもう…終わりだぁ!!」
《バイオライダー!》《J!》
バールクスはバイオライダーとJのライドウォッチを起動した。
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
するとバールクスの身体が液状化し、更にはバールクスの身体がとんでもない大きさに巨大化したのだ。
「えぇ!?」
「どうぇええい!?」
「巨大化しただと!?」
「恐らくはJのライドウォッチの力だろう、仮面ライダーJは過去の戦いで一度だけ奇跡が起きて巨大化したことがあるとデータベースに載っていた」
「それにあの液体の身体……俺のバイオライダーの力か!」
「さぁ!かかってこい!CROSS HEROES!!!」

14人目

「瞬瞬必生《中編》 命題:影歩む策士は陰暗に嗤う」

 巨大。あまりにも巨大。
 あまりにも巨大な仮面ライダーがそこにいた。
 ここまでくると、もはや仮面ライダーの域を超越した怪物が立っているというべきか。

「どうやって……こいつを倒す!?」
「今更液体の怪物如き!」

 アルケイデスが弓に矢をつがえ、レーザーが如き一矢を放つ。
 渾身の魔力を込めた一矢だ。たとえ液状化していて物理的攻撃が通用せずとも、何かしらは通用するはず。

「そんなトンボが如き一撃……ふん。」

 しかし、その矢は空中で砕け散る。
 否、砕けるというよりかは空中で生まれた不可視の障壁に阻まれる。

「生半可な神秘攻撃すら効かんとは。」
「それじゃあ……何一つ攻撃は効かないってことかよ!!」
「そうだ、私は……無敵だぁああああ!!はーっははははははははははは!!」

 バールクスの嘲笑が響く。
 物理攻撃も、神秘を纏った攻撃も通用しない。
 これでは何一つ攻撃は効かずに蹂躙されてしまう。
 絶望を突き付けられて狼狽するCROSS HEROES。そこへさらに絶望的状況は続く。

「ほう、丁度いいところに来たな。そこなカッシーンよ、私と共に戦う栄誉をやろう。」

 駆けつけてきたのは、自身の眷属たるカッシーンの1体。
 バールクスが心強い仲間を見つけ、勝ち誇ったように言う。
 ただでさえ巨大で物理攻撃が通用しない相手。
 挙句の果てにソロモンの指輪の力で魔力攻撃すら通用しない。

「今更カッシーン一人……!!」
「いや待て!あいつ、何か様子がおかしい!」

 先にその違和感を看破したのはツクヨミ。
 事実、そのカッシーンは。

「……………………。」

 無言。完全無視。
 まるでストライキを決め込んだ社員のように、或いは親に怒られてひねくれ、親野裕ことを聞こうともしない悪ガキのように目を背ける。
 勝ち誇るバールクスに待っていたのは、あまりに奇妙な、そして信じがたい光景だった。
 バールクス、即ち常磐SOUGOの眷属たるカッシーンが、その場から動こうともしない。というより完全に無視を決め込んでいる。

「なぜやらんのだ!敵は目の前だぞ!!やれ!!!」

 再度巨大咆える。
 しかし状況は変わるどころか、段々と眼前のカッシーンの異常性に疑念を抱き始める。
 当のカッシーンは、自身の得物である筈の槍を投げ捨てて言い放つ。

「そう言う名前なんですか。これ。」
「……………………は?」

 先ほどの嘲笑とは異なり、驚きのあまりきょとんとしている。
 カッシーンは次の瞬間同じカッシーンならば考えられない、信じがたい一言を放った。

「ああすみません。なにせ”僕”はカッシーンなどというものは知りませんので。」
「な!?」

 あまりにも信じがたい一言。
 次の瞬間、バールクスに異変が生じた。

「すぐに分かりますよ、その右手を見てみればいい。」

 瞬間、ソロモンの指輪が黒い靄に包まれ、彼の指から勝手にすっぽ抜ける。
 靄を出て、空中に浮かぶ指輪は巨大バールクスの手を勝手に離れてゆき、謎のカッシーンの下へと向かってゆく。

「ゆ、指輪が!ひとりでに!?」
「何、ちょっとした手品ですよ。そして。」

 巨大な体でソロモンの指輪を追いかけるバールクス。しかし何故かつかむことができない。
 否、掴んではいるが何故か指輪がその手をすり抜けるのだ。まるで地面に焼き付く影を必死になって掴んでいるような光景。
 水柱をゆったりと泳ぐ魚のようにカッシーンの手元に向かう指輪を、飄々とした態度を崩さずにカッシーンは掴んだ。
 ここまで発生した展開に、指輪を取りもどせなかったバールクスも相対するソウゴも、周りにいたCROSS HEROESの面々も驚きを隠せない。
 眼前のカッシーンはその様子を一通り愉しんだ後、手を叩いてこういった。

「あなたの力の源泉が一つソロモンの指輪は頂きました。仮面ライダーバールクス。いや、常磐SOUGOさん。あと素晴らしい巨人のダンスをありがとう。」

 極限まで傲岸かつ不遜な嫌味を、そのカッシーンは主であるはずのSOUGOに吐きつける。その声は、追い詰められた彼を嘲笑するかのように悪意に満ち満ちていた。

「ソロモンの指輪を奪われたことで、バールクスの力がどんどん下がっていってます!」
「これならいけるけど……何が起きた!?」

 力の源泉が一つ、ソロモンの指輪を謎のカッシーンに奪取されその力がどんどん抜けていく。

「バカな……貴様は……一体何者だ!」

 今までの余裕はどこへやら、バールクスは怒号をぶつける。
 謎のカッシーンの姿が、次第に黒い靄に覆われる。

「自己紹介の前に一つ言っておきますと、この姿を選んだのは”これ”がたまたま近くにいたので変装するのに丁度良かっただけですよ。僕一人ではあなたは倒せないので。にもかかわらず何の警戒もせずに助けを乞うとは。あなたは実に騙しやすい。まぁしかし、あの状況ならば……誰だって騙されるとは思いますが。」

 やがて黒い靄から、青年の姿が出てきた。
 片目が陰暗な色味の髪で隠れた、黒いコートに身を包む男。しかしその眼は狂気と傲慢を抱えてバールクスを見下している。
 その手には、一冊の魔導書_____レキシコンが握られている。
 彼はレキシコンの一頁を開き、そこから現れる黒い光に指輪をしまいこんだかと思うと困惑するソウゴたちの方へと向き直り一礼をした。

「お初にお目にかかります、CROSS HEROESの皆さん並びに崩壊寸前のクォーツァーの皆さん。」

 影歩む策士は、混乱する彼らを嘲笑うように己の名を名乗った。

「僕はメサイア教団の『ゼクシオン』と申します。あなた方の『敵』ですので、以後よろしく。」

15人目

「瞬瞬必生《後編》Yes My Lord」

ゼクシオン、そう名乗り礼儀正しく頭を下げた男は、殺意に満ちた視線を浴びて尚飄々とした態度を崩さない。
張り詰めた決戦の空気に、不気味な程に不釣り合いな異質さがあった。
思わぬ謀略の招き手に、堪らず身構える一行。

「メサイア教団の、ゼクシオンだと?」

メサイア教団。
このクォーツァーパレスに至るまで散々聞かされた、陰謀深き勢力の一頭と彼は宣った。
結果的にバールクスの弱体化へと導いたが、その意図はあくまで自己の為であり、以前敵である事実には変わらない。
故に、意識がゼクシオンへと向く。
ゼクシオンもまた、視線を一身に受ける。

「_鬱陶しいぃ!」
「ぐぅっ…!」

だが、同時に余りにも悠長過ぎた。
地面より湧き出る腕の一撃が、ゼクシオンを宙に舞わす。
弱体化したとはいえ、バイオライダーと巨大化の合わせ技を経て異形と化したバールクスの前では、特に。
肥大化した図体はそのまま射程の長さへ比例し、更にゲル化した腕が、とっくにゼクシオンに捉えていた。
何より指輪を餌に躍らせた代償として、バールクスを自らに近付けていたのだ。
これでは、どう攻撃されようとも文句を言われる筋合いは無い。

「良いだろう、そんな指輪程度の小細工、無くとも勝利してくれる!」

宙を舞うゼクシオン目掛けて、第二手を放つバールクス。
一瞬の忘却、バールクスこそが最大の脅威という事実に、一行は今一度遭遇する。
だが、尚もゼクシオンは余裕綽々といった風貌を醸し出して、告げる。

「少し、お喋りが過ぎましたね。ここはお顔合わせのみという事で、一つ。」
「逃がすかぁ!!」

追撃を加えるバールクスの拳よりも早く、ゼクシオンは黒い霞に包まれる。
指輪を隠したあの霞と同じ物だ。
その中へと取り込まれたゼクシオンは、霞諸共忽然と消え失せてしまう。
そうして残った虚空を、ゲル化した巨腕が掻っ切るのみだった。

「…ふん、奴等は後で幾らでも相手するとしよう。」

無常にも取り逃がした手を見て、しかしバールクスは寧ろ余裕を取り戻す。
そう、今はただ眼下の脅威たる存在を滅し、自らの野望成就に邁進すべきだと判断を下したからだ。
ならば、先ずは。

「先ずは醜い貴様等を、綺麗に片付けるとしようか!」

バールクスの狙いを察した一行は、各々構えを取る。
対するバールクスもまた、体の大部分を一つの強大な濁流へと変えた。
ゲル化した身体を崩して、高さ10mはあろうかという波になる。
正しく、大津波だった。

「何かと付けて、醜い、醜いって…!」
「ああそうさ、元はと言えば貴様等平成の民が、自らを律する事の出来ん出来損ないだからだ!」

同時にバールクスの、常盤SOUGOの激情をも表していた。
憤怒、憎悪、失意、どう言い表せれば良いか、取り留めの付かない濁情。
それが幾千幾万もの連撃となって、ソウゴ達を襲う。

「私が見てきた平成の人間の多くは、モラルや法律を軽んじ、自制心を欠いている者ばかりだ!その所業を見る度に、激しい怒りを抱き、失望さえ覚えた!」
「_っ!」

聞いて、理解する。
クォーツァーの、常盤SOUGOの本心を。
故に。

「故に心得た、人間は支配や管理をされて、初めて他人を尊び認め合う!だのに無秩序な自由なんてものを与えたから、平成の世はっ!!」
「それは、絶対に違う!」

激しく振りかざされるゲルの大波を掻き分けて、ソウゴは叫ぶ。
その声色は、義憤に染まっていた。

「そんな外面ばかりの世界なんて、ちっとも良くない!支配なんか無くたって、人同士は家族にだってなれる!だから!」
「驕るなぁ!何も知らぬ替え玉風情が、知った風な口を利くんじゃあ無いっ!!」

バールクスが、遂に激情を露わにする。
その怒りに呼応して、大波もまた更に激しさを増した。
荒れ狂うゲルの猛攻を前に、ソウゴ達は最早防戦一方を強いられる。
だが、ソウゴの目付きは寧ろ鋭さを増すばかりだ。

「いいや分かっているさ!俺達は見てきた。自由でいて、それでいて誰かを想える人達を!」
「なっ…!?」

ここに来て、ソウゴが濁流を押し返し始めた。
まるでSOUGOの動揺を突いたかの如く、流れが逆流する。

「だから分かる、仮初の笑顔なんか要らない、皆が自然と笑っている方が絶対、素敵だって!」
「黙れぇぇ!!」

バールクスが形を変え、今度は無数の針へと変わり、四方八方より降り注ぐ。
針山とも言うべき刺突の嵐に、装甲が火花を舞い散らす。
しかしそれでも、ソウゴの勢いは止まらず、針の雨を切り捨て、掻い潜った。
彼に次いで、ゲイツもまた後ろに続く。

「お前の言う通り、この世界は間違いだらけで、本当に酷い有り様かもしれない。」
「だったら!」
「だがそんな世界でも人は手を取って生きている、美しい程にな!それをお前にどうこう言われる筋合いは無い!」
「そうよ、だから貴方の様な管理者なんか要らない!私達は、私達だけで明日を見れるから!」

バールクスの言葉を待たず、ゲイツとツクヨミが先陣を切る。
ゲイツリバイブ疾風が音速で駆け、無数の針をジカンジャックローの刃で切り結ぶ。
出来上がるは、バールクス本体までの道。

《Ready pointer on!》
「ガッ…!?」

その一瞬の隙に、ツクヨミのファイズフォンXから放たれる一筋の紅い軌跡が走り、バールクスを捉え宙に張り付ける。
赤いマーカーが、ここにバールクスの実体を現した。

「ここは貰うぞ。」
《Final Attack Ride:DE DE DE DECADE!》

すかさずマーカー目掛けて伸びるカード状の軌道。
そこに、ディケイドが飛び上がり、キックの体勢で入る。
カードを蹴破る度に加速し、音速を超えたディケイドのライダーキックが、バールクスの中枢を捉えた。

_バキッ。
「なっ_」
「破壊者だからな、厄介な物から壊させて貰った。」

蹴り砕いたのは、バイオライダーのライドウォッチ。
一瞬の抵抗も無く砕け散り、バールクスが起こした攻撃の雨と共に霞と消える。
残ったのは、無防備な巨体のみ。
その仮面の下で、有り得ないものを見たかの様に顔色が蒼白に染まった。

16人目

「総攻撃の時来たれり」



「我が一矢、今度こそ受けよ!」

 アルケイデスが、再び矢をつがえる。
 今度こそと言わんばかりに、渾身の魔力を込めて放つ。

 神気なぞ要らぬ、彼が求めるのは神をも屠る一撃。

『射殺す百頭(ナイン・ライブズ)!』

 その詠唱と共に放たれた、まるで毒竜が如き9本の光線。
 本来、あらゆる武具を利用して放つ技能「流派:射殺す百頭」の弓の型。
 憎むべき神々への讐心を抱き、禍々しい魔力を帯びたそれはバールクスの身体を抉るように突き刺してゆく。

「ぐっ……たかが矢の数本程度……!」

 たとえどれだけ巨大な相手でも、武器の力を極限まで引き出した恩讐の一矢は効果覿面。
 バールクスは、矢が纏う禍々しい毒気の苦痛に悶えながらその矢を引き抜こうとする。
 そこに。

「間に合った!!」

 爽快な風のようにやってきた、シャルル遊撃隊の4人。
 かくして駆けつけてきた4人も、どちらが敵が誰かを即座に看破する。

「様子を見る限り、あの巨人が……クォーツァーのボスってことか!」
「行くぞお前ら!速攻で片づける!」

 シャルルマーニュの号令に、3人は肯定の意思を返す。
 その眼に、一切の迷いはなく____!

「「「応!」」」
「たかが4人___!」

 追い詰められつつあるバールクス。
 その巨体に身を任せ、押しつぶさんと行動する。

「永続不変の輝き、千変無限の彩り!」

 相対するシャルルマーニュが聖剣ジュワユーズを掲げる。
 自らが王勇を示さんとする幻想の王。

「小癪な光如き___!!」

 邪悪の王、バールクスが巨大な剛腕をシャルルマーニュに伸ばす。
 あの光を受けまいとするために、シャルルマーニュを握りつぶそうとする。しかし、当のシャルルマーニュは動じることもなく。

「シャルル!こいつの足止めは任せろ!」
「任せたぞ!」

 リクたちがバールクスの巨腕に攻撃を開始する。
 巨大だからとて速度が落ちた訳ではない。しかしそれでも彼らは攻撃をやめない。

「ラストアルカナム!」
「まぁ踊っとけって!」
「一撃、喰らっとけ!」

 其は___遍く希望を繋ぐ鍵の剣。
 其は___遍く決意を奏でる激流。
 其は___遍く絶望を穿貫つ魔弾。

 シタールの激流が、キーブレードの剣閃が、ショットガンの魔弾が、バールクスの巨腕を貫徹する。
 まるで、今まで支配していたはずの自然現象が時空すら歪めんとばかりの速度で牙を剥き、一気にバールクスを襲ったかのような。

「______ッッ!!」

 バールクスはそれでも抵抗をやめない。
 シャルルマーニュ諸とも3人を叩き潰さんと攻撃を開始する。

「どこを見ている____喰らえ『ステュムパリテスの怪鳥』!」

 アルケイデスは、先の一撃で攻撃をやめた訳ではない。
 バールクスに追い打ちをかける彼が放ったのは、自身が持つ伝承の一角。

 宝具の名は『十二の栄光(キングス・オーダー)』。生前のアルケイデスが経験した十二の試練、その再現が彼の宝具となる。

 そして今放ったのは『ステュムパリテスの怪鳥』。十二の試練のうちの一つで、金属の翼にくちばしと爪に堅牢な青銅を包んだ、およそ鳥とは思えない文字通りの怪鳥を追い払うというもの。

 やがて放たれた青銅の矢は、その伝説通りの怪鳥に変貌しバールクスの腹を突き抉った。

「今だ!ひるんでいる隙に!」
「よし、行くぜ!」

 バールクスの腕は3人が放つ激流と怪鳥の攻撃に耐えかねて遂によろめき怯む。
 そして、シャルルマーニュが自らの王勇を眼前___邪悪の王に示す為に、その宝具が炸裂する。

「何をするつもりだ___!!」

 伸ばしたはずの腕を弾かれてもなお、バールクスは抵抗をやめようとしない。
 しかし既に魔力は装填されたがゆえに、時すでに遅く。

「万夫不当の騎士たちよ!我が王勇を指し示せ!!」

 其は___遍く世を巡る耀ける剣。
 今、天下無双の御佩刀がバールクスに刃を向ける。

 ___故に。

『王勇を示せ、遍く世を巡る十二の輝剣(ジュワユーズ・オルドル)!!』

 そこにあったのは、十二の光を纏って絶望の巨人を貫通する勇者の姿だった。
 12本の輝きが、闇を貫いてゆく。
 夜道を照らす閃光が如く、抵抗も間に合わない速度でバールクスは光に貫かれる。

「おおおおおおおお!!!」

 仮面の奥で、SOUGOが苦悶の声を上げる。
 しかしこれでは打倒には程遠いと言わんばかりに、勇者シャルルマーニュも突撃する。

「はぁああああああ!!」

 光速よりも早い、神速の一閃が放たれた。

17人目

「大乱戦!! ここが勝負の天王山」合作原文:AMIDANTさん

 轟音。 何かが凄惨な物音を立てて、此方へと向かってくる。
少しして壁が破れ、その正体が露わになった。

「うるせぇと思ったら、ここが祭りの会場か!」
「バッファローマン、テメェー! 一番乗りしやがって!」

 それは巨大な超人達だ。 まるで雪崩れ込む様に、部屋を破って現れた。
そこで見たるは、CHと対峙する巨大なライダー。
彼こそがクォーツァーの主と、超人達は悟った。

「アイツが敵だな?よぅし、今までの仕返しと行こうじゃねぇか…!」
「き、貴様…!?」

 コキリ、と腕を鳴らし、軽く足踏み。 直後、バッファローマンは音速を超えた。

「ハリケーンミキサー!」
「ぐあぁっ!?」

 捻りを加えた頭突きだ。 バールクスは激しく錐揉み回転して、宙を舞う。

「二番手は私が貰おう!テキサス・コンドルキック!」
「がぁっ…!」

 そこに、猛烈な勢いで両膝蹴りが飛んだ。
勢いそのままに、壁に激突するバールクス。
そうして落下するバールクスを、カナディアンマンが捉えた。

「やっぱコイツが俺の持ち技だ! カナディアン・バックブリーカー!」

 バールクスの巨体を肩で抱え持つフィニッシュホールドだ。
激しい反りに、バールクスの装甲が軋みと火花を上げた。
バールクス自身もまた、仮面の下で苦渋の表情を浮かべる事となる。

「ええい、我が同志たちよ!!」

 ソロモンの指輪をゼクシオンに奪取され、
さらにディケイドにバイオライダーウォッチを破壊された巨大バールクス。
そこに超人軍団までもが雪崩込み、追い詰められたバールクスは
生き残ったアナザーライダーたちを呼び寄せる。

「ヴェアアアアアアアッ!!」

 アナザーブレイドが剣を振り上げ、CROSS HEROESに襲い掛かった!

「うおっ!?」

 標的はルフィ。ゴム人間と言えども斬撃には弱い。
しかし……ガキィン!!

「なっ!?」

 アナザーブレイドの攻撃は、ルフィに当たる寸前で止まった。

「ゾロ!!」
「へっ……剣使いなら俺の相手だぜ」

 そう言って、ゾロが三刀流にてアナザーブレイドと対峙する。

「何者だ貴様ァッ!!」
「海賊狩りのロロノア・ゾロ……お前を倒す男の名だ」

「……面白い!! 生きるか死ぬかのバトルファイトだ!!」

 ゾロとアナザーブレイドの戦いが始まった。

「ルフィ、こいつは俺が引き受けた!!  そっちは任せたぞ!!」
「おう!!」

 ゾロに後押しされ、ルフィが巨大バールクスに向かって走り出す。
並走するのは、勇者アレク、そしてトランクスだ。

「ここですべての決着をつけるぞ!!」
「ああ!!」
「異世界の海賊と勇者、そしてタイムパトローラー……!!
おのれ、つくづく邪魔をする奴らめ!!」

 バールクスは忌々しげに吐き捨てると、巨大な豪腕を地面に叩きつける。

「うおっ!!」

 3人は間一髪飛び上がり、その攻撃を回避した。

「お前たちこそが歴史を混乱させる元凶だ、クォーツァー!!」
「黙れ!! タイムパトローラーなどに任せておけるか!!
世界の破滅はもうすぐそこまで迫っているのだ!!」

 バールクスの叫びに呼応し、異次元の彼方から空中にかかる線路上を駆ける列車が現れ、
巨大化した超人軍団を翻弄した後、トランクスの側方から迫る!

「うおわっ……」

 あわや轢殺されかけるトランクスだったが、列車の先端部にしがみつき、
何とか難を逃れた。

「トランクス!!」
「危なかった……はっ!?」

 トランクスを連れ去った電車の屋根に立つ、怪しげな人物の姿があった。

「くっくっく、俺、参上……ってかァ?」
「お前は!?」

 それは、アナザー電王。山羊の角のように飛び出た赤い複眼、
胸に走る線路を象った意匠が脱線しているように見えるなど、
不吉な印象を受ける外見である。

「聞いたことがある……俺たちタイムパトローラーと同じく、
時の運行を守る列車に乗る仮面ライダー……」
「その通りよ。クォーツァーが天下を獲った暁には、このアナザーデンライナーで
好きな時代に飛び、歴史を俺たちの望むがままに改変し、好き放題に弄ぶつもりさ」

「そんなことはさせない!」

 トランクスも屋根に登り、アナザー電王と対峙した。

「ふぃー、トランクスは無事っぽいな……」
「行くぞ、ルフィ君。一気に駆け上がる!!」
「おう!!」

 アレクとルフィは、バールクス目がけて一直線に駆け出した。

「イレギュラー共め……貴様らの存在が世界の理を乱すと知れェッ!!」

 バールクスもまた怒りの形相を浮かべ、拳を振りかざす。
地面を揺るがす轟音とともに、2人に向かって鉄槌のような一撃が放たれた。

「うおおおっ!!」

 2人は左右に分かれ、それを避わし、バールクスの腕を道代わりにして駆け上がった。

「王に歯向かう愚か者どもが!!」

 バールクスはすかさずもう片方の手を突き出し、アレクとルフィを同時に狙おうとする。

「王を名乗りながら、その本質を理解できないとは哀れだな」
「何ぃ!?」

「アレク様の言う通りです! ヒャダルコ!!」

 ローラ姫の氷結魔法が発動する。バールクスの足下から巨大な氷柱が出現し、
その動きを封じた。

「小賢しい真似をぉ!!」

 バールクスが力ずくで氷の柱を破壊しようとする隙に、
アレクとルフィはバールクスの肩に飛び乗る。

「王が国を、世界を作るのではない。民が作るのだ! それを蔑ろにして、何が王か!」

 アレクの剣がバールクスの肩口に振り落とされた。

「ぐぬぅ……」
「みんなの生き方をお前が勝手に決めるんじゃねェ!」

 続けてルフィの拳がバールクスの顔面に炸裂する。

「ええい、鬱陶しい!」

 バールクスは、その巨体からは想像もつかないほどの素早さで体を捻り、
ルフィとアレクを吹き飛ばした。

「うおっ!?」
「海賊風情がァ!!」

 空中に投げ出されたルフィにバールクスの鉄拳が振り下ろされ、地面に叩きつけられる。

「ぐああっ!!」

 ゴム人間故に即座に潰されることはないものの、地面ごとめり込むほど強烈なパンチだ。

「ルフィ!!」
「ん……が、が、が……!」
「さっきのお返しだ!!」

 バールクスは足元の氷柱の一端をへし折ると、それをローラ姫に向けて投げつけた。

「きゃああ!」
「ローラ!!」

 アレクは咄嵯に彼女を庇い、背中にそれを受けてしまう。

「うっ……」
「ア、アレク様ぁ!!」

「貴様らさえ消えれば、こんな戦いすぐに終わる……!!」

 バールクスがさらにルフィを圧迫しようと、拳に力を加える。

「アレク……ローラ……!! お前ェェェ……! よくも……!!」
「はっはっはっ!! このまま圧死するがいい!!」

 バールクスの高笑いが響き渡る中、ルフィの怒号が轟いた。

「なにィ!?」
「うおおおおっ……ガブッ!!」

 ルフィは何とか這い出せた右手の親指骨を噛み、そこから思いっきり空気を吸い込んだ。

「ぷはっ!!」
「何をするつもりだ……?」

「ギア! "3"!!」

18人目

「ありったけの夢を、色彩を」

 膨張するルフィの身体がバールクスの拳を押し返し、跳ね除ける。

「ぬああ……!!」
「お前が王を名乗るんなら……!! 俺はお前をぶっ飛ばして……!!」

 そして覇王色の覇気を右腕に集中し、鉄の塊が如く硬化させる。

「海賊王に!! なあああああああああああああああああああああああああああるッ!!」
「ほざけ青二才があああああああああああああッ!!」

「ゴムゴムのォォォォォォォォォォォッ……!! 
象銃(エレファントガァァァァァァァァァァン)ッ!!」
「うごわぁーッ!!」

 鋼鉄と化した拳が、バールクスの顔面に突き刺さった。
全長40m近くもあろうと言う巨体をも吹き飛ばす衝撃だ。

「ごあああッ……」

 樹海の樹々を下敷きに、巨大バールクスは仰向けに倒れこんだ。

「やったか……!?」
「ま、だ、だぁぁぁぁぁぁッ……!!」

 バールクスは最後の手段、グランドライドウォッチに宿るエネルギーを使い、
ダメージを無理矢理に回復させた。

「そんなのアリかよ!?」
「あれほど平成ライダーを憎んでいた奴が、平成ライダーの力に頼るとは……」
「要するに、それだけ追い詰められてるってことだ……!」

「ぬうおおおおおおおおおおおおおおッ……!!」

 バールクスは立ち上がり、破壊エネルギーをその手に凝縮し始めた。

「もうこれまでだ!! 消し飛べええええええええええええッ!!」

 そして超破壊エネルギー弾を、その手にかざして放つ。

「まずい、城どころか、この射線では向こうの杜王町まで消し飛ぶぞ!!」

「其は全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷──」
「!?」

「――顕現せよ、
『いまは遙か理想の城(ロォォォォォォォォォォォォド・キャメロット)』ッ!!」

 円卓の盾を掲げるマシュの宝具の真名が開帳される。
如何なる攻撃も寄せ付けぬ伝説の城塞が、CROSS HEROESを守るように立ち塞がり、
必殺の一撃を完璧に防ぎ切る。

「うっ、くうう……!!」
「なんと!?」
「こ、これがマシュの宝具……!?」

「自分の城も、味方でさえも巻き込んで全てを破壊しようだなんて……
貴方は本当に、王に相応しい人ですか……!?」
「何ィ……!?」

「貴方はただ、王になる器ではなかった……それだけのことです」
「ふざけるなァァァァァ!!」
「我がマスターを、いいえ、もう誰一人、これ以上傷つけさせはしません!」

 しかし、この宝具はマシュが「護りたいもの」を護り切る代わりに、
マシュ自身の守りは手薄になってしまうというデメリットがある。
彼女の心が折れた時、それは敗北を意味するのだ。

「ある人が言いました……人は生きる意味を持たないまま生まれ、育ち、
そして死して終わる時にこそ、その生命に意味が生まれると……」
「何が……何が言いたいのだ貴様!!」

「私もそうでした……! 全てが灰色の日々を無為に過ごしていた私が
今こうして生きているのは、あの日、先輩が私を救い出してくださったから! 
その命に意味を、色彩を与えて下さった! だからこそ、今度は私の番なのです!!」

 マシュの肩に、いろはやパンサー、クイーンら……心の怪盗団が手を乗せた。

「私達の魔力も使って下さい!」
「魔法少女の魔力が役立つのかわからないけど、やれることはやるわ」
「怪盗が人に分け与えるだなんて、らしくないじゃない?」
「全くだ……が、たまにはいいさ。そういうのも」
「みんなを護りたい気持ちは、同じだよ……!」

 ロードキャメロットの障壁の強度が格段に上昇する。
バールクスの破壊球の威力が、確実に弱まっていき、ついには消滅した。

「ぃよおおおおおし、幼気な少年少女をいたぶる悪党め、成敗だ!!
ノ・リ・ダァァァァァァァァァァッ……ジャンボ!! ぼんよよよ~~~~ん!!」

 奮闘するマシュ達のファイトに感化され、仮面ノリダーが巨大化を果たした。

「えええええ!?」
「あの人も大きくなった……!」

「何でもアリか、貴様……!!」
「でっかくなっちゃったもんね~……!! あ、とぉ~うッ!!」

 バールクスに横からドロップキックをかまし、吹き飛ばす。

「ぐおああああああッ……」

「な、何だあのおちゃらけた奴は……」
「捉えどころの無い……まるでキン肉マンみたいな奴だ……」

 呆然とする超人軍団。

「ようし、一気にトドメだ……のわあああああっ」

 勢いに乗ってバールクスに追撃を仕掛けようとするノリダーだったが、
またしてもアナザ―デンライナーが乱入して、体当たりをかます。

「あいってぇ……鼻血、鼻血の匂いがする……」

 ダメージを受け、みるみる内に元のサイズに縮んでしまう。

「何なんだ、あいつは……」
「無意味、無意味、全てが無意味なんだよ!!」

 グランドジオウライドウォッチがバールクスの手にある限り、
際限なく復活を果たしてしまう。

「また回復されちゃう……!」
「くそっ、堂々巡りだぞ、これじゃあ……」

 朦朧とする意識の中、ノリダーはこの窮地を打破できる存在を知っていた。

「ソウゴ……後はお前に……任せる……ガクッ」

「平成ライダーの歴史に終止符を打つ事が出来るとすれば、彼だけか……」
「お前の出番だ、後輩」

 RX、そしてディケイドもまた、最高最善の魔王に、すべてを託す。

19人目

「思いを未来に、瞬間瞬間を必死に生きてきた者たち」

「皆…!」
「いくぞ、ソウゴ!」
「彼らが託してくれた思いを無駄にしない為にも…!」
「私達の手で、この戦いを終わらせましょう!」
「ゲイツ…ウォズ…ツクヨミ…うん、いこう!」

「そうはさせるかぁ!」
「っ!」
バールクスがソウゴ達を踏み潰そうとしたその時!
「フン!」
「っ!?き、貴様ら…!」
ソウゴ達を守ったのは、バールクスとの戦いで死にかけの状態になったスウォルツと1人の老人……オーマジオウであった未来のソウゴだった。
「オーマジオウ…!」
「兄さん!」
「何をしているアルピナ!ソウゴ!さっさとやつにトドメを指せ!」
「そして果たしてみせろ、私がなし得なかった悲願を!」
「……わかった、バールクス!これで最後だ!!」
《フィニッシュタイム!》
《ファイナリー!ビヨンド・ザ・タイム!》
「「「「ハァッ!」」」」
ジオウ、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズは上空へと高く飛び上がり、
《タイムジャック!》
《超銀河エクスプロージョン!》
《一撃タイムバースト!》
《キングタイムブレーク!》
「「「「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」」」」
バールクスに向かってライダーキックを放った。
「グボァ!?ば、馬鹿な…!?何故この俺が…!?歴史の管理者である俺たちクォーツァーが…!?」
「アンタにとって醜く凸凹にしか見えない歴史でも、多くの人達が瞬間瞬間を必死に生きてきて作り上げてきたものなんだ!
それがわからないアンタなんかに…俺たちが今まで頑張って生きてきた歴史を否定なんかさせない!」
「お前達が頑張って生きてきた歴史だと?ほざけ!その生きてきた歴史とやらが……平成という醜い歴史が!メサイア教団を生み出し、ミケーネ神を復活させ、そしてグランドクロスをリ・ユニオン・スクエアに引き寄せたのだぞ!?こうなってしまった以上、歴史を…世界を作り変えない限り、リ・ユニオン・スクエアの……いや、全ての世界の滅びは止められん!!」
「そんなことはない!全ての世界が滅びる未来なんて…俺たちCROSS HEROESが変えてみせる!!」
「「「「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」」」」
4人のライダーキックがバールクスの身体を貫いた!
「ぐ…ぐぉおおおおおおおおお!?」
そしてそれに耐えきれなくなったバールクスの身体は大きな爆発を起こした。

20人目

「希望を胸に抱く時の守り人/研ぎ澄まされた剣の心」

 巨大バールクスは仮面ライダージオウによってついに討ち滅ぼされた。
しかし……

「ヒャッハアアアアッ! 行くぜ行くぜ行くぜええええええッ!!」

 暴走するアナザーデンライナーの屋根の上、
トランクスとアナザー電王の戦いは苛烈を極めていた。

「クォーツァーの王は倒れた! もうお前たちの野望も終わりだ!」
「ハッ! 笑わせんなよ、お坊ちゃんがァ!!」

 デンガッシャーを思わせる短剣を逆手に構えて、
アナザー電王が跳びかかる。
対するトランクスは冷静に、その刃を大剣にて受け止める。

「俺がこのアナザーデンライナーで過去に行き、
歴史を改変すれば王は再び蘇り、新たなる世界を創造されるだろう!」
「そんな事はさせない!!」

「てめえの答えなんざ聞いちゃいないんだよォオオッ!!」

 鍔迫り合いを押し切り、再び短剣を突き出す。
トランクスはその一撃を回避し、大振りの横薙ぎを見舞う。

「ちぃッ!!」

 飛び退き、回避した刹那。
トランクスは超サイヤ人に変身していた。

「貴様を絶対に過去には行かせんぞ!!」
「……ほざきやがれェエエッ!!!」

 怒号と共に跳躍し、猛然と斬りかかってくる。
だがトランクスはそれを正面から受けず、最小限の動きで回避してみせた。

「このォッ! 泣け! 叫べ! この俺に殺されろォオオオッ!!」

 狂ったように叫びながら、アナザー電王は執拗にトランクスを攻め立てる。
しかしトランクスには当たらない。
全て紙一重で回避され続ける。

「………………」

無言のまま、トランクスが反撃に転じた。
瞬間移動と見紛う高速移動で
間合いに入り込み、強烈な打撃を打ち込む。

「ぐぅっ!?」

 苦悶の声を上げると同時に、彼の肉体は大きく吹き飛ばされる。
屋根の上に着地するも体勢を立て直す事ができず、そのまま倒れ込んでしまった。

「う、嘘だあ、この俺がこんな雑魚にィイイッ……!!」

 必死に立ち上がろうとするが、体が言うことをきかない。
彼は理解できていなかったのだ。トランクスとの実力差を……

「オレは強いんだぞ!! 俺は最強なんだあああっ!!」

 何故自分がこれほどまでに追い詰められているのか。

「クッソオオオッ!! ふざけんじゃねええぇっ!!」

【FULL CHARGE】

 邪悪な電子音と共にアナザー電王の右足にエネルギーが集まる。
そしてトランクスに向かって一直線に跳ぶと、必殺キックを叩き込んだ。

「死ねオラアァッ!!」

 首を刈り取るかの如きジャンプキックを紙一重で回避すると、
トランクスはアナザー電王を担ぎ上げ、上空高く放り投げた。

「な、何ィイイッ!?」

 驚愕しながら落下してくる彼に、トランクスは渾身の気弾を放った。

「完全に消え去ってしまえーッ!!」

 ヒートドームアタック。トランクスを包み込むようにして気の半円が発生し、
頭上に突き出した両手から超エネルギー波を放つ技である。

「う、うおあああああああッ……」

 まともに喰らったアナザー電王は一瞬にして消滅した。

「この電車も破壊しなければ……」

 トランクスはアナザーデンライナーの進路に回り込み、大剣に自身の気を集中させる。

「つあああああああああああッ……」

 目にも止まらぬ速度で連続斬撃を浴びせると、 車体がバラバラに切り裂かれていく。

「かああああああああああーッ!!」

 そしてその残骸をエネルギー波によって跡形もなく消し飛ばしたのだった。
こうして、クォーツァーの幹部として暗躍した
アナザー電王との戦いが終わった。

「ふう、これでいい……ようやく、クォーツァーの野望も潰えた」

 トランクスは変身を解き、元の姿に戻る。

「ふっ、貴様にしては上出来だ……と言っておこう。
腕を上げたようだな、トランクス」
「……父さん! ご無事でしたか……」

 そこにはターレスを制し、CROSS HEROESとの合流を果たしたベジータの姿が在った。

「フン、当然だ。パーティーの席には間に合わなかったようだがな……」

 荒れ果てた周囲を見渡す。
激しい死闘が繰り広げられていたであろう事は想像に難くない。

「カカロットはどうした?」
「はい、実は……」

 トランクスは、事の経緯を簡単に説明した。

「ボージャックか……まったく、次から次へと厄介事を持ち込みやがって」

 ベジータは不機嫌そうに呟いた。

「悟空さんの事ですから、きっと大丈夫ですよ」
「まぁな、奴なら心配要らんだろう」

 トランクスの言葉に、ベジータは納得した様子で答えた。
一方……

「さて、どうする? お仲間はみんなやられちまったみたいだぜ」
「…………」

 アナザーブレイドと交戦するロロノア・ゾロ。

「まだだ、まだ俺は負けてはいない! 
最後の一人が勝ち残るまで、バトルファイトは続くのだ!!
ヴェアアアアアアアッ!!」

 融合係数が高まっているためか、激しい興奮状態にあるアナザーブレイド。
剣を地面に突き立て、稲妻を纏わせる。

「ヴェアアアアアアアッ!!」

 雷を伴う斬撃波をゾロに向けて繰り出した。

「おっと! ……飛ぶ斬撃とはな……」

 紙一重で回避するが、当たればただでは済まない威力であることに変わりはない。

「だが、俺に二度同じ手は通用しねェ!!」

 ゾロが居合の構えを取る。

「ヴェエエエエイッ!!」

 再びアナザーブレイドが斬撃波を放ってくる。

「飛ぶ斬撃なら俺にも覚えがあってな……!! 
一刀流・三十六煩悩鳳ッ!!」

 対し、ゾロもまた飛ぶ斬撃で応戦。両者の攻撃が激しくぶつかり合う。

「ぬぅっ!」

 押し負けたのはアナザーブレイドの方であった。

「ヌウウ……!!」
「そろそろ引導を渡すとするか……!!」

「ヴェアアアアアアアッ……」

 形振り構わず突撃してくるアナザーブレイド。
それを正面から迎え撃つ。

「二刀流ーー“居合”ッ!!」
「ヴアアアアアアアッ……」

「ーー羅生門ッ!!」

 ゾロが腰の左右両側に差した刀を同時に抜刀し、真っ二つに両断する居合の極意。

「……」
「……」

 両者、時が止まったかのように微動だにしない。しかし次の瞬間、

「……ゴフッ」

 血反吐を吐き出したのはアナザーブレイドであった。

「お前は強かったよ……だがこの勝負、俺の勝ちだ」
「グッ……ウゥッ……!!」

 アナザーブレイドは全身の力が抜けたように膝を突くと、
そのまま前のめりに倒れた。

「……」
「やれやれ、片付いたか……」

 残るアナザーライダーたちも全て撃破され、
クォーツァーはここに完全に壊滅した。

「これで、全ての戦いが終わったんだな」
「ああ。長い戦いだった……」

21人目

「人間の輝き」

 そのころ、ロンドンにて

「よし、今日はこの辺りにしておこう。」

 イシュメールの訓練を終えた月夜が、疲れからか倒れ伏す。

「兄さん、お疲れさま。泣き言いわない兄さん、すごくかっこよかった。」

 彩香が水筒を手に、兄である月夜に飲み物を持ってきた。
 その彩香の顔はどこか明るいのだが。

「……そうか。」

 対する月夜の顔は暗い。
 というより不安にさいなまれているような顔だ。

「いやしかし、俺はこっから先生きていけるかが心配なんだ。こうして訓練を受けている身でもな。」

 クリサリスとの戦いで思い知らされた、敵勢力の実力の一端。
 このまま戦いを挑んだとしても、多分どっかの段階で死ぬ。

「せめて魔術でも使えたらいいんだが……。」

 ぼそりと、そんな世迷言を吐いてしまう。
 その一言を聞いたイシュメールとフィオレが同時に咎める。

「いや、お前はやめておけ。/やめた方がいいですよ。」

 突然の警告に、月夜はきょとんとする。

「なぜ?生存できる可能性があるのならば……。」
「何というか、お前は性格的に魔術を使う人間ではない。人の上に立つ人間が人の心のない怪物になったら、それは全滅よりもたちの悪いことになる。」

「私からもお願いします。月夜さんまで怪物にならないでください。魔術師というものはあなたの知るものよりももっと……血なまぐさいのです。そんな環境下に身を投じるということは、自分自身も血なまぐさい怪物になるということなんです。」
「……。」

 2人の顔は真剣そのものだ。
 月夜は、フィオレたち魔術師がどういう存在なのかを知らない。

 事実、魔術師は根源に到達する為ならば文字通り倫理や法律、道徳すら平気で踏みにじれる。
 人の繋がり、絆、想い、夢、そんなもの全て魔術師の言う効率と根源の輝きの前では無力なのだ。
 故に。
「あなたは戦士である以前に人間です。人間には人間の強さがある。今、人間の範疇を越えた力を得た妹。彼女を守る立場のあなたまでもが怪物になってしまっては真に大変な時にあなたの妹を止める者がいなくなってしまう。私には、それが怖いんです。」
「怪物を止めれるのは、いつだって人間だ。俺達はお前に、人の心を喪ってほしくないんだ。」

 フィオレたちは、月夜にはそんな怪物にはなってほしくないのだ。
 怪物と化した月夜はきっと妹である彩香を悲しませるし、何よりも人と共に歩む彼が怪物と化すのは間違っていると、2人は咎めたのだ。

「そうか……そう、だな。失念していた、すまない。」
「大丈夫だ。」
「私も、大丈夫です。」

 この言葉を受けて月夜は、忘れかけていた人間の輝きを想起する。
 一見食物連鎖の頂点に立っているはずの人間は単体では弱く、一人で災害や異能者、人類の脅威に立ち向かえるものなぞ自殺行為にも等しい。

 だけどそれは決して卑下すべき弱さではない。
 弱いがゆえに人は誰かを想うことができ、誰かのために生きるということが出来るのだ。そして、そういう思いやりを持った人間に人はついていくのだ。

「だがそれでも、生き延びるための技術はもっと身に着けたいな。今のままじゃ、心もとない。」

 一抹の不安をにじませた笑みと共に、月夜はにこやかに笑う。
 イシュメールはその様子を見て、ふふと笑った。

「言われなくてもそのつもりだ。だが今は日本に戻るのが先決だ。」

 赤い空は依然不穏な旅路を暗示している。
 しかしその先に輝く、美しい青空を彼らは見出し始めている。

 ___果たして、その先に待ち構えるものは。

22人目

「それぞれの決着」

 巨大バールクス撃破の瞬間を目の当たりにする悟空とボージャック。

「クォーツァーめ、やられたか……」
「ははっ、CROSS HEROESのみんな、やりやがった……!!」

「とことんまでやり合いたいところだが……そろそろ引き上げ時だな」

 撤退を始めるボージャックを悟空が呼び止める。

「あっ、待て! 逃げんのか!?」

「楽しみは次に持ち越すとしよう……孫悟飯、そして孫悟空……
ふっふっふ、貴様とてまだ本気を出していないはずだろう……?」
「そいつぁ、おめぇだってそうだろ?」

 悟空にはまだ最後の切り札、超サイヤ人3への変身が残されている。
しかし、先のブロリー戦の時にも見せたように
超サイヤ人3は大量のエネルギーを消耗してしまうため、リスクが高すぎると言う理由で
使う事を控えているのだ。もしもそれを使い、ボージャックを倒しきれなかったら……
そう考えさせられる時点で既に負けだと自覚しているのである。
だが悟空もさる者、それを気取らせないよう至って平静を装っている訳だが、
そんなことはお見通しと言わんばかりにボージャックは不敵な笑みを浮かべながら
去っていく。

「次はもっと楽しめると良いな。ふっふっふ……」

 悟空は、ボージャックの後ろ姿が見えなくなるまで見届けると、
超サイヤ人2の変身を解除した。

「孫!」

 スラッグを撃退したピッコロが、悟空の元へやって来た。
 
「おう、ピッコロか。そっちは片付いたんだな……」
「あれは……ボージャックか。奴は確か……」

「ああ。悟飯はあいつにやられちまったらしい。死んじゃいねえとは言ってたが……」
「何だと……奴もまた、パワーアップしているとでも言うのか? 
……おい孫、どうした? 浮かない顔をして」

 どこか表情に陰りを見せる悟空。その反応を見て、ピッコロは何かを察した。
悟空はしばらく無言でいたが、やがて静かに口を開いた。

「いやー、参った。あのまま戦ってたら……オラ、多分勝てなかったと思うんだ」
「貴様がそのような弱音を吐くとは……一体どういう風の吹き回しだ?」

 普段なら絶対に見せることのないような感情を表に出している事にピッコロは驚く。

「超サイヤ人3であっても、ヤツには通用せんと言うのか?」
「かもな……」

 ボージャックの強さを目の当たりにしてしまった今となっては、
超サイヤ人3すらも敵わないのではないかという予感が悟空の中で渦巻いているのだ。

「オラももっともっと強くなんなきゃいけねえ。
けど、超サイヤ人3を超える事なんて出来んのかなぁ?」

 新たなる試練に直面してしまった悟空に、ピッコロはあえて厳しい言葉を投げかける。

「らしくないぞ、孫よ。俺達の戦いはまだ続く。この程度乗り越えられないようで、
この先どうするつもりだ?」
「確かにその通りだよな……わりぃわりぃ、ちょっくら弱気になっちまってたみたいだ」

 いつも通りの笑顔を見せながら答える悟空。
それを見たピッコロは安堵すると共に、改めて思った。

(そうだ。貴様がそんなことで折れるなどあってたまるものか)

「CROSS HEROESのみんながよ、クォーツァーをぶっ倒したみたいなんだ。
オラたちも行こうぜ」
「よかろう」

 ――杜王町。

「はああッ!!」

 仮面ライダーGがショッカー戦闘員たちをソムリエナイフによる
流麗な動作で薙ぎ倒していく。

「イーッ!!」

 戦闘員たちはその華麗なる動きに為す術もなくバタバタと倒れた後、
連鎖的に爆発する。そしてその爆発はまるで「G」の文字を形作ったかのようだった。

「おのれェ、血を吸いつくしてくれるわァーッ!!」

 吸血怪人ゲバコンドルがGに襲い掛かる。

「僕の身体に流れるワインの芳醇なる風味がお前に理解出来るかな?」
「ほざけェッ!」

 だが、ゲバコンドルの鋭い鉤爪も空しく空を切りGは易々と回避する。

「どうした? そんなものでこの僕は倒せないぞ。つああッ!」

 そして次の瞬間、Gは右手に持つソムリエナイフを鮮やかに閃かせた。

「おおお……!」

 Gの攻撃はゲバコンドルの首筋に的確に命中し、傷口から緑色の血が噴き出した。

「ぐ、ああ、こ、このゲバコンドル様がッ……ライダーに敗れし改造人間たちの長所を
掛け合わせ、生み出された吸血改造人間である俺が何故!?」
「さしずめ、アッサンブラージュと言ったところか……
しかし、ただ闇雲に掛け合わせただけでは何も生み出せはしない。
掛け合わせるものをよく吟味した上で、初めてその長所を引き出せるのだ」
「何だとォーッ!!」

「受け取ってもらおう、僕の悪と正義のマリアージュ!」

 悪によって生み出された力を以って正義を成す……変身ベルトに備え付けられた
ワインオープナーの栓抜き部を押し込み、ワインボトルのエネルギーを
胸のG型プロテクターに充填。

「スワリングッ! ライダーキックッ!!」

 一回転した後に高く飛び上がり、ゲバコンドルへ向けてエネルギーを集中させた
左足を突き出せば、真っ赤な円錐形のオーラを身に纏いながらドリルのように回転する
仮面ライダーGの必殺キックがゲバコンドルに炸裂し、「G」の烙印を押された
その身体は粉々に砕け散った。

「ぐぎゃえええーッ……」

「トォウッ!!」

 仮面ライダー3号とシオマネキングの闘いもまだ続いていた。
大型の電磁ハサミと化した左腕を振り乱すシオマネキングの攻撃を避わす3号。
するとシオマネキングは発火性の溶解泡を吐いて攻撃してきた。

「アビーッ、アビアビアビーッ! 近寄れまい! 
このシオマネキングの恐るべき溶解泡だ!」
「ならば……!」

 3号の額にあるOシグナルがチカチカと点滅を始める。
すると、3号の愛車であるトライサイクロンが自動操縦でシオマネキングに向かって
走り始めた。

「アビッ!?」

 ガトリング砲を搭載したトライサイクロンが放つ銃弾を受けて
シオマネキングが怯んだ隙を突いて、 3号は一気に間合いを詰めた。

「いくぞ、ライダーチョップ!!」

 振り下ろした3号の必殺技がシオマネキングの脳天に命中。
「アビビ……ッ」と短い悲鳴を上げながら、シオマネキングはよろよろと後退する。

「今だ! 行くぞ、トライサイクロン!!」

 空中回転捻りでトライサイクロンの運転席に跨がり、アクセル全開。
トライサイクロンはタイヤを軋ませて急発進した。
そしてシオマネキングに体当たりを食らわせる。

「トライサイクロン……アタァーック!!」
「アァビィィッ……!!」

 強烈な一撃を受けたシオマネキングは断末魔の声を上げた後、地面に頭から激突した。

「ショッカーに……栄光あれェッ……アビッ……」

 最後の執念で起き上がるも、大の字で俯せに倒れたシオマネキングはその動きを止め
爆発四散した。

「終わったな……」
「ああ。だがショッカーはまた良からぬ企みをしていることだろう。む……」

 3号とGの身体が、突如として光に包まれる。

「どうやら、俺たちの役目はここまでのようだ……」
「後は、正義の系譜を継ぐ戦士たちに託そう……頼んだぞ……仮面ライダー」

23人目

【時間が置いていってくれた物】

暖かく春の陽気に包まれているこの場所で、雪が積もることは一切ないのです

雪が積もることは、一生無いに等しいと言われているぐらい

いや、桜吹雪街の人からすると雪という概念は全て『桜の花びらが風に乱れ散る様はまるで吹雪の様だ』となるはずなのになぜかここだけ

本物の"雪"が積もっていたのです

「(ここだけ激しい戦いが行われた感じがしますね、なんだかさっきの春の陽気だったのに物凄く寒いです)」

もう4日も経っているのに雪が解けていなかったのですが、それほど激しい戦いだったことを証明するかのような異常な光景

「これは・・・」

その後ろには強力ななにかで守られた場所がありました

「(異端者3人組はこの世界にいないということは本当のことなんですね、離れていてもなお発動し続ける強力ななにか。これは、私には到底できない芸当です・・・)」

改めて関心するエーテルは一旦、ここを去ることにした



それから、一日が経つ。
相も変わらず手がかりを探して光の速度で探すも見つからずしょんぼりし始める。

「えーと、残すは」

自分の中にある遠い記憶を頼りに遡っていく。
すると、とある場所が思い浮かべるというか出てきた
そこへ寄ることした。もう宛がないから
名前は確か名も無きギルドと呼ばれる場所だった気がする。
もしかしたらあの人がいるかもしれない

同時刻、暇を持て余している連中の話となるのだった

「あー、その、暇だな!」

「レストすぁん、簡単に依頼が来るわけないじゃないすかぁ〜。こんな辺境の地で」

「そうそう、それに今は殆どみんないるという珍事態が起こっているんだぜ。どんだけみんな出番欲しいんだよ〜」

「出番が欲しいと轟叫ぶ!」

レストと煌綟の小ボケを華麗にスルーするのは明鏡 カナタ 基本話が分かるやつであるがいいやつでもあるのだ!
そんな中
また誰かが 突然ドアをたたく事件の予感

「すみません!」

「まさかここで、絶世の美女登場だぁー!ぐぇっ」

「あ、俺!耀蝉 煌綟(ヨウゼン コウライ)っていうんです!あー!」

「アホ(レスト)とバカ(煌綟)がすみません」

カナタは軽く2人を吹き飛ばし話を元に戻した

「あ、あのー・・・私エーテル・クラウディアと言います。ここにソイル・ルードウォーカーさんって方を居ますか?」

ソイル・ルードウォーカーと発言した途端にレストと煌綟は起き上がり3人で表情を変え円陣を(何故か)組み始める

「どーすんの?巫山戯た奴来たけど。後、あの翼絶対偽モンだろ、ふざけてんのかあの女」

「いないってより行方不明だって言って追い返してもな、うーんできれば女の子相手には優しく丁寧に接しないと・・・男は大変だよな〜〜〜って」

「お前男だろ・・・困ったぜ!ってそうじゃない、ソイルさんの名前を出した女って大体ろくな人じゃなかったよな?!」

めちゃくちゃ態度を一転させる3人組
全てソイルがやらかしたことの後始末をさせられてきた者達があーだこーだと言い合っていた

「あの、全部聞こえてますよ」

「「「!?!?!?!?!?」」」

小声で話していた3人
しかし、彼女に全部聞かれていたことにドキッとする

「あーごほん。わりぃな、ソイルのせいで俺達 めちゃくちゃなことさせられてたからさ(地獄耳だな!)」

「条件反射ってやつだな。本当にすまなかった!」

「大丈夫です、私現実味がないってよく言われるので!」

そ、そうなのか?本人がそう言うならそうなんだろうと、思ったソイルだった

「あ!なあ、とっておきの情報なんだか、困ってるならこの手記にある【秘境】に行ってみたらどうだ?」

古い手記を手渡されすぐ様に目に通すと気になる文章を見つける

「あ、カナタお前な〜貴重な資料をまーた持っていたのか」

「ソイルさんの手記ですよ、手放したくないんだが」

「ギルドメンバーの事情はともあれみんなソイルさんのこと好きだもんな〜」

やいのやいのと話す3人と手記を眺めるエーテル

「秘境ですか・・・見たところ・・・はい!多分大丈夫です!行ってみることにします」

手記を返される、内容的にも結構過酷なところな為、心配するがなんとなくコイツなら大丈夫と思ったカナタ

「俺達は秘境に行く手段がないからお前の手伝いはできない・・・すまない」

「カナタさん・・・はい、ご心配ありがとうございます。ですが私は大丈夫です、女神の頼みなのですから!」

もう一度翔びたったエーテルを見送ったカナタは抜け落ちた羽根を拾うも光となって消えてしまい光だけが空へと上がる

「はぁ〜、大天使ってのも大変だな」

24人目

「シン・仮面ライダー対仮面ライダーBLACK SUN⑥「時を超えろ、空を翔けろ、トリプルライダー」

 完全機械の肉体を手に入れたオルデ・スロイアこと、オールデストロイヤー。
全身に装備された火器、堅牢なる装甲、その戦闘能力は圧巻である。
ダブルライダーとBLACK SUNによる一斉攻撃を受けてもびくともしない。
しかし……

「僕の名は……ライダー。仮面ライダーと名乗らせてもらう」

 SHOCKERから与えられたバッタオーグの名を捨て、本郷が自らをそう名乗った。

「そして俺が、仮面ライダー第2号だ!」

 本郷に続き、一文字が名乗りを上げる。

「ならば俺は……さしずめ仮面ライダーBLACK SUN……ってところか?」
「南さん……!」

 ダブルライダーとBLACK SUN。
異なる世界からやって来た戦士がこうして肩を並べている。
そして、それが世界と言う枠組みを超え、「仮面ライダー」と言う名のもとに集っている。

「光太郎だ。近しい者にはそう呼ばれている」
「はい……光太郎さん!」

『無駄話はそこまでだ。無知、無駄、無謀……つくづく有機生命体とは度し難い』
「だったら見せてやるよ。俺達の力をな!」

 一文字が叫ぶと同時に駆け出した。

『この場で全て終わらせよう』

 迫りくるダブルライダーとBLACK SUN。だがそれでもオールデストロイヤーに
恐れなどない。全身に搭載された火器を一斉射撃する。

「行くぞ!!」

 爆発の中をかき分けながらダブルライダーが突撃する。

「はああああああッ!!」

 ライダーキックとライダーパンチを同時に見舞うも、やはりオールデストロイヤーの
強固なボディには通じない。

『何度やれば理解出来るのかね?』
「へっ……」

 だが、それでいいのだ。それは囮の役割に過ぎない。本命は……

「おおおおおッ!!」

 肩に生えたバッタの脚を象った意匠を引き千切り、
世紀王ブラックブレードへと変えるBLACK SUN。

「でやああああッ!!」

 両手持ちで振り下ろされた一撃が、見事オールデストロイヤーを真っ二つに切り裂いた。
火花が飛び散り、一瞬動きが止まる。

『ぬ……』
「よし!」

 そこにダブルライダーの怒濤の攻撃が加えられる。

「オラッ!!」
「ハッ!!」

 右ストレートパンチが、左手刀チョップが連続で決まり、
よろめくオールデストロイヤー。

『おのれ……!!」

 オールデストロイヤーは再び、武器ハッチを全開にし一斉攻撃を行おうとする。
だが……

『!?!?!?』

 銃声が鳴り響き、オールデストロイヤーが発火をはじめた。
弾丸により破損した回路がショートし、次々と誘爆してゆく。

『何だと!? いったい誰が!』

 オールデストロイヤーも思わず叫ぶ。だがすぐに、その主は判明した。

「……ライダーに気を取られて、私を忘れていたようね。おかげで策を練られた。
私は常に用意周到なの」

 ルリ子だ。両の瞳を蒼く輝かせる彼女はオールデストロイヤーの戦い方を密かに分析し、弱点を探していた。
その目論見は見事に当たり、逆転の一手となる弾を撃ち込むことに成功したのだ。

「頑丈さに自信があるようだけど、流石にその内部までは及ばなかったみたいね」
「やるぅ、お嬢さん!」

 ルリ子の手腕を称賛しつつ、二人は攻撃の手を止めることはない。

「よし、トドメだ! 行くぞ、本郷!」
「ああ、一文字! トォウッ!!」

 ダブルライダーが天高くジャンプし、宙返りする。
そして必殺の二段蹴りの体勢に入った。

「はああああああああああ……!!」

 BLACK SUNもまた、バイタルチャージによって丹田に気を集める。
複眼が真っ赤に輝き出すと、ダブルライダーを追って跳躍した。

『ぬううううう……!!』
「でやああああああああああああああああああッ!!」

 ダブルライダー、そしてBLACK SUNによるトリプルライダーキックが
オールデストロイヤーの胸板に命中した。

『うぐおああああああああッ……!!」

 その勢いは止まず、オールデストロイヤーの機体を大きく吹き飛ばす。

『何故だ、この完璧な私が負けるなどありえん!』
「それがお前の敗因だ」
「俺たちの力を見誤ったな」
「終わりだぜ、オルデ・スロイア!」

 ダブルライダーの言葉に続き、BLACK SUNが言い放つ。

「完璧を謳い、己の力に酔いしれる。それが貴様の最大のミスだ」
『何!?』

「そうさ。その時点でお前は自分自身の成長を止めた。
俺たちゃ生きる世界も、境遇もバラバラだ。そんな俺達が今こうして並び立ち戦っている」
「……そうだな、一文字。僕達は独りではない。
だからこそ、どんな強大な敵にも勝てる!」

 仮面ライダーとして人類を守る為。
それと同時に、同じ時間を共に過ごした友との絆が彼等をひとつにしているのだ。

『そのような……不確かなものが力だというのか……!!』

 オールデストロイヤーがよろめきながら立ち上がる。

「そうだとも。だが、不確かであるからこそ、限りも無い。
無限の可能性を秘めているんだ」

『無限……』
「だが、お前は力に溺れた。力の使い方を間違えた。僕は与えられたこの力を
正しく使えるようになりたい。だから……僕は今よりも強くなる!」

『理解……不能……』

 その言葉を最後に、オールデストロイヤーは爆発四散した。

「やれやれ、やっと終わったか」
「む……」

 オールデストロイヤーが倒れると、周囲の空間が揺らぎ出した。

「おい、何だよこれ!?」
「おそらく、この場所が崩壊し始めているのだろう」
「脱出するぞ!!」

 ライダーたちは、その身を翻しサイクロン号、バトルホッパー……
それぞれのバイクに飛び乗った。本郷はルリ子を後部座席に乗せる。

「行くぞ!」

 崩れ行く異空間を走り抜ける中、一文字はふと考える。

(もしもまた会えるとしたら……今度は俺達の世界か、それとも……)
「一文字?」
「……何でもねえよ」

 その時、空間の歪みが4人を捉えた。

「おおッ!」

 そのまま、彼は光の渦の中へと飲み込まれていった。

「どうやら、無事に戻れたようだ」
「みたいね……あの人は?」

 通常空間に戻ってこられた本郷、一文字、ルリ子……しかし、そこには南光太郎の姿は
見当たらない。

「光太郎さん……」
「心配すんなって! きっと、元気でいるはずだよ」
「これで半分くらいは心スッキリだ。さあ、帰ろうぜ」

 やがて2台のマシンは風を切り、夕陽の彼方へ消えて行った。

「……」

 一方の南光太郎もまた、元いた場所へと戻ってきていた。
そこには本郷や一文字、ルリ子たちの姿は無い。彼らはお互いに、
別々の世界への帰還を果たしたのだ。

「あの連中は……無事でいただろうか? ……まあいいか、
俺は俺でやるべきことをやっただけなんだからな」

 彼もまた、新たなる旅路へ踏み出してゆく。

「じゃあな、仮面ライダー。またどこかで会う事もあるだろう」

 こうして、運命の悪戯が引き起こした、出会うはずの無い者たちの出会いは
ひとまずの幕を降ろしたのだった。

25人目

「抑止の賢人会議」

 クォーツァー・パレス前

「終わったようだな。とりあえずは一安心だ。」

 バールクスの消滅を察知したのは、外にてカッシーン達の足止めを協力していたモリアーティ達も同様だった。
 その足元には、さっきまでカッシーンだった筈のスクラップと、恐らく紫が放ったであろう廃列車だった何かが転がっている。
 まるで工場爆発が如き惨状が広がる現場だ。

「あら、彼らの下に駆け付けようとしたんだけど……その必要はなかったわね。」
「それはそうだな……って君!上空から援護攻撃として廃列車を落とすのはいい!だが何度か私を狙って落としていただろ!」
「避けれるかと思って落としちゃった!許してね?」
「ぐぐ…………こいつ……!!」
「そう怒らずに、私はあなたの事を信頼してるのよ?」

 今にも怒りが爆発しそうな若きモリアーティに対し、相手の紫は飄々として笑みを浮かべている。

「というより、あのいい感じのおじさんは?」
「ルクソードか?彼は今ペコオルタ氏を医者の下へ運んでいるところだ。」

 芥を遂に打倒した絶対兵士、辺古山ペコ。
 彼女を今、ルクソードはドクター・ボンベのところに運んでいるのだ。今、彼は

「八雲紫よ。そろそろ教えてくれるか?」
「何かしら?」

 モリアーティは、突如改まったように質問をぶつけた。

「君、確か何か手伝ってほしいことがあるって言ってたはずだが。その内容について。」
「ああそのこと?……それなら順を追って説明するわ。彼らに説明するなら、整理しておきたいですし。」
「分かった、彼らの下へ歩きながら話そう。」

 モリアーティ達は、クォーツァー・パレスを我が物顔で歩く。
 その姿は、まるで博物館を観光するカップルが如きリラックスさ。
 或いは深夜に盗みを行うために、博物館内の金目の物や内部構造を物色する怪盗かのように。
 そんな様子の中、紫は話し始めた。

「これは……私たちの住む幻想郷で起きた事件、いや、あの規模だと『異変』ね。」



「そもそも異変というのは幻想郷で発生する大規模な事件の事。で、少し前に『力のない妖怪たちや道具が暴走する』という異変が発生してからちょっと後の話ね。突然幻想郷中に『悪霊』が出現するようになったのよ。」
「悪霊?それなら魔術師はよく見かけるが……他の悪霊とは違うのか?」

 魔術協会でも、というより魔術に関わる者たちならばたとえ幻想郷にいる者でなくとも悪霊の名は聞くし見た事もある。
 しかし、彼女の語る悪霊は魔術師の知る悪霊とは事情が異なるようだ。

「どこから出てきたかもわからないし、何が目的なのかもわからない。でもしきりに規模と強さを増す彼らは、揃いも揃って幻想郷の外に出ようと試みている。」
「妖怪って……なるほど、つまりそれを解決してほしいと?」
「そう、死人に口なしとは言ったもので、悪霊が何の目的で外に出ようとしているかはわからない。ただ『外に出したら確実にマズい』ということは分かる。」
「なるほど、だがそれではメサイア教団の仕業とはまだ断定できないな。内部にいる……妖怪が黒幕の可能性があるだろう。」

 モリアーティの言うことももっともだ。
 内部にいる、幻想郷の外に力を渇望する悪しき妖怪の暗躍によるものかもしれない。
 しかし、それすらも彼女は否定した。

「いえ、それはないわ。もし幻想郷内の何者かが黒幕ならば中にいるものだけで解決できるし、今頃もう解決してる。中にいる幻想郷の守護者……博麗霊夢や霧雨魔理沙ですら発生してから今までの3か月間、ずっと手をこまねいているのよ。その悪霊が外に何かを求めているってことは、外に目的ないし黒幕があるに違いない。そして内側では解決は難しい。だから外にいるあなたたちに協力を仰ぐことにしたの。」
「そのレイム・ハクレイって人の実力がどれほどのものかは分からないが、相当の手練れと見た。そんな者が3か月間手をこまねいているとして、外に黒幕ないし目的があるとしたら……少しは教団黒幕説にも得心が行く。」

 2人の歩みは止まらない。
 歩んでいる間も、迫り最後の抵抗を試みるカッシーンを武器とスキマと弾幕で薙ぎ払っていく。
 もはやその姿は滑稽なギャグのようにも見えてくる。

「ところで、幻想郷の内と外と言ったな。幻想郷には何か結界みたいなものでもあるという解釈でいいのか?」
「ええ、元々は妖怪たちを文明の発展や人間たちから守護する為に幻想郷中をぐるっと囲った大結界。」
「なるほど、妖怪とて幻想種の一つに変わらないというなら、魔術師たちの言う神秘の秘匿にも通じるな。そんな結界を悪霊が破ってしまえば、外の世界も大変なことになるしになより幻想郷が消えてしまう可能性もある、か。」

 これ以上神秘を泡沫化させるわけにはいかないし、何より悪霊のせいで外の世界に悪影響が現れる可能性があるのだ。
 それがメサイア教団の仕業によるものならば。

「さらにその3か月前、どうやって結界を通ったかは分からないけど『ゼクシオン』という男が入ってきたの。」
「ゼクシオン?メサイア教団とかの名は言ってたか?」
「いえ。そんなメンダコ財団だのめんつゆ教団だのみたいな名は聞いていないわね。ただ名前がゼクシオンって言ってただけでそれ以上の情報はない。」

 何という皮肉か。
 バールクスから指輪を奪ったのがそのゼクシオンで、メサイア教団の大司教であることは彼らは知らないのだ。
 リ・ユニオン・スクエアに根付く抑止の守護者でも、そのリ・ユニオン・スクエアの裏側、虚数空間の奥底に存在しなかった世界にあるメサイア教団の全容を知らないように。

「話していたら、彼らの下に到着したな。」
「ええ、いずれにせよ彼ら……CROSS HEROESは向かわないといけない。私たちの幻想郷に。」

26人目

「ヒーローズ・アゲイン - いつか、何処かで、誰かが描いた夢物語 -」

 ――特異点。

「……お、俺は……」

 死を覚悟していたスウォルツは、妹・ツクヨミの膝枕で息を吹き返した。

「……アルピナ……」
「兄さん……良かった……生きててくれて……本当によかった……!!」

 前世においては、互いに殺し合う宿命だった。
しかし、クォーツァーとの戦いを経て、その結末は変わったのだ。

「俺はまた……同じ過ちを犯す所だったのか」
「兄さん?」

 ツクヨミの目には涙が浮かんでいた。それは、兄の無事に安堵したからだろう。
自分を超える素質を持つ妹への嫉妬の念から、スウォルツの運命の歯車は狂い始め
そしてそれをクォーツァーに利用された。だが……今は違う。
ツクヨミの兄として、彼女の未来を見届ける義務がある。その瞳はそう語っていた。

「門矢……士」

 スウォルツは上体を起こすと、士を真っ直ぐに見据える。
そして士もまた、彼の強い眼差しに応えていた。

「これを……」

 差し出されたのは、アナザーディケイドライドウォッチ。
その形は崩れ、分かたれたアナザーディケイドの力が本来のディケイドの元へと
還っていく。

「その力は……もう俺には扱えない」
「確かに返してもらった」

 ライダーの力を扱う者には、相応の資格がなければならない。
ディケイドの力。それは「破壊」と「創造」。
それを扱うということは、相反する二つを受け入れてなお、強く在れるか
どうかということだ。

 力に溺れれば、たちまち破滅への道を歩むことになってしまう。
門矢士という男が今まで生き残ってこれたのは、誰よりも自分の力を信じる強さと
力を振るう覚悟を持っていたからだ。
そして……この世界で出会った仲間達と共に戦う決意を固めたからこそ、
彼は仮面ライダーとして在り続けた。
破壊の化身である事を捨て去った今のスウォルツには、最早アナザーディケイドの力は
使えないのだろう。

「クォーツァーは瓦解した。だが……お前たちが戦うべき相手は他にもいる」
「だろうな」

 この特異点のみを見ても、クォーツァー以外に悪の組織が存在する事は明らかだ。
世界の融合はまだ続いている。ならば、まだ戦いは続くというわけだ。

「ソロモンの指輪を奪い去っていったメサイア教団……」
「あの力が悪用されれば……悲劇は免れないでしょうね」

 立香やマシュが深刻な顔で呟く。
全ての世界を統べるために作られたソロモンの指輪は、まさに神の如き力を持つという。
もしその力が解放されようものなら……想像するだけで身震いしてしまう。

『CROSS HEROES、今後は我々カルデアも君たちと行動を共にさせてもらうよ』

 通信機越しにダ・ヴィンチの声が届く。

『クォーツァーの拠点か。随分とボロボロになってしまったが、
建て直せばこの特異点における我々の拠点として機能してくれるだろう。
今後の方針について話し合おうじゃないか』

 ダ・ヴィンチの一言をきっかけにして、その場の雰囲気は和らいでいく。

「……」

 しかし、カルデアの参謀役であるホームズは黙ったままだ。

(CROSS HEROES、確かに彼らは善性の者たちの集まりではある。しかし……)

 彼が気にかけているのは、CROSS HEROESの協力者の立場を取る
ニュートラル・ガーディアンを取りまとめる人物……
ジェームズ・モリアーティの存在だった。

(私の知る『彼』よりも随分と年若い……)

 ジェームズ・モリアーティと言えば、シャーロック・ホームズ最大の敵であり、
宿敵として何度も名を挙げている。
「犯罪界のナポレオン」と称され、悪のカリスマ性を持つ男でもあるのだが……

(彼が私の知る通りの人物なのか、それとも別の道を歩んでいるのか……)

 ホームズは思案に耽っている。
そんな彼の視線の先に映るのは、楽しそうに話す藤丸立香とCROSS HEROESの姿。
同じ目的を持つもの同士で手を取り合い、共に戦えるというこの状況が
喜ばしいものであることは間違いないだろう。

(今はまだ語るべき時ではない……か)

 彼らの様子を目の当たりにしたホームズは、今は沈黙を貫くことに決めたようだ。

「って事は、またカルデアの世話になるってわけね」

 そう言って武蔵が微笑むと、立香もまた嬉しそうに返した。

「今度はサーヴァントとして、キミと契約を交わすわけだ。知っての通り、
根無し草の何処吹く風って感じの私ではありますが、それでも良ければ」
「もちろん! 頼りにしてるよ」

 こうして武蔵と立香は新たな契約を結ぶ事となった。
新たなる戦いに向けて動き始めた彼らを、半壊したクォーツァー・パレスの高台から
見下ろす者がいた。

「僕の役目も、ここまでだな……」

 木梨猛とソウゴを牢獄から救い出した青年……その名は一文字マモル。
またの名を、仮面ノリダーV2。

「……えっ? ここで名前を出すのはヤメロって? もう第1部も終わりだし、
セーフセーフ!」

 などとメタいことを呟くノリダーV2だが、その声は誰にも聞こえてはいない。
彼はかつての戦いにおいて生死不明となった後も、密かに活動を続けていた。
木梨猛がクォーツァーに敗れ、投獄されていると言う情報を得た彼は、
単身でクォーツァー・パレスへと潜入。
そしてついに、最深部で木梨と再会を果たす事に成功したのだ。

「木梨さん、僕はお先に失礼します」

 その一言だけを残し、ノリダーV2はその場を去って行く。

「別れの挨拶はいいのかい?」

 ノリダーV2を呼び止めるのは、花の魔術師・マーリンだ。

「ああ。手を貸してくれてありがとう」

 秘密裏にノリダーV2に協力していたマーリンは、彼の手助けをするために
姿を現していた。

「なぁに、ハッピーエンドが好きな私の個人的な興味さ」
「不思議な人だ」

 ノリダーV2はマーリンの言葉に思わず苦笑を浮かべる。

「彼らの戦いはまだ続く。これからが面白い所なのに、先に行ってしまって良いのかい?」

 この場を去ったら最後、もう二度と会えないかもしれない。しかし……

「僕も世間的にはもはや「過去の人」だ。見えない悪と戦うためには、その方が
都合が良かったんだが……やっぱり寂しいもんなんだな。でも、行かなくちゃならない」

 そう語る彼は穏やかな表情をしていた。
自らの役目を果たし終えた事に満足しているのだろう。
彼はこれからも、己の信じる道を突き進む。たとえ離れていても、互いに信じ合えば
心は繋がっている……彼はそう考えていた。

「では、さらばだ! ビィィヤァァオォォォォーゥ……」

 サイドカー「ノリダーV2サイクロン」を駆り、ノリダーV2はその場を後にする。
彼が去った後には、静けさが残されていた。

「人々の夢の中にのみ存在する虚ろなる存在……か」

 夢魔と人の混血であるマーリンは人の「夢」を糧としている。
今回、マーリンは彼らが織りなす物語を見て楽しんでいた。
それは、人の人生であったり、正義や平和を歌う歌であったり、
そして時には、誰かが描いた夢であったり……

「だからこそ……この世界は面白い」

27人目

「復活に至る数時間前、そして」

 そのころ、特異点の森にて

「ここだな……。」

 ルクソードが、戦士・辺古山ペコを抱えてルイーダの酒場まで駆け付けた。
 ペコの顔は疲れ切って、今にも死んでしまいそうな。或いはすでに壊れて使い物にならなくなってしまった目覚まし時計のような。

「一度ここによるべきだったか。まぁいい。」

「どれ、この戦士の現在の状況は……。」
「発見した際はある種の仮死状態に陥っていた。死に極限まで近い。その証拠に脈拍もかなり低くなっている。」

 こうなることは分かっていた。
 もはや治療は絶望的だ。
 安らかに眠らせるしかないか、誰もがそう思った時。

「だが、まだいけるな。」

 ドクター・ボンベは尚も諦めない。
 情熱に満ちた双眸で、彼女の顔を見る。

「治せるのか?」
「ああ、治せるとも。儂を誰だと思っている?」

 そう不敵な笑みを浮かべ、ドクター・ボンベは懐から耀く石を取り出した。

「それは?」
「ふふ、あえて言うなら……人工心臓、というべきものかな。」



「どこに行ってたんだ?」

 モリアーティ達を、リクが出迎える。
 その顔はバールクスとの戦闘による疲れからか疲弊の相が伺える。

「此方に来ようとしているカッシーン達を罪木オルタ達と共に潰していた。全員無事だ。彼女たちも外で待っている。」
「そうか、お互い無事でよかった。」

 リクが安堵する。
 しかし、近くにいた江ノ島はとてもそんな感じではなく。

「……あいつは?ぺ……いや、あの銀髪の女の子。助かった?」

 江ノ島が、かつてのクラスメイトである辺古山ペコの安否を問う。
 モリアーティがペコの事を知らない可能性を踏まえて、あえて遠回しに話す。
 彼女も銀髪だ、何処かで見かけている可能性がある。

「ああ、彼女は私の同志が運んでいるところだろう。必ず助けてくれる医者の下に運んでいるって言っていた。これは勘だが、きっと彼女は助かる。安心したまえ。」
「それは、良かった。」

 少し安堵するも、その顔は少し曇ったままだ。
 殺しあう間柄だったとはいえ、クラスメイトの危篤には思うところがあるのだろう。無理もない。

「ところで、ソロモンの指輪はどうした?」

 ソロモンの指輪の所在を問うモリアーティに対し、リクの顔は浮かばない。
 リクは、先に起きた事件についての話をする。

「それが……戦闘中にゼクシオンってのが来て、指輪を取って消えたんだよ。」
「くそ、取られたのか。」

 舌打ち交じりに、悪態をつくモリアーティ。

「それだけじゃないんだ。ゼクシオンはメサイア教団の大司教だって言ってた。すまない、もっと早く対処すべきだった。」
「それはいいんだ。まだ指輪は残っている分を回収すれば……今、なんて言った?」

 モリアーティが、素の反応でもう一度リクに質問を投げかける。
 その顔は驚嘆を隠し切れない顔だ。

「いや、ゼクシオンはメサイア教団の大司教って言ったんだが、それがどうかしたか?」
「「………………は?」」

 責めるでも嘆くでもなく、愕然とする。
 しかしそれは失望からではなく、今知らされた驚愕の真実に打ちのめされたから。

「メサイア教団……大司教だと?」

28人目

「You're KING」

天を突く轟音。
胴を貫いた4つの穴から、バールクスを赤く染める火球が、内から体を食い破るが如く膨れ上がる。
一瞬の後、爆炎が解き放たれた。

「ぐ、ぅ、あぁぁあーーーーっ!!!?」

喉を割く断末魔と共に立ち昇る、火柱とキノコ雲。
黒煙の中を装甲片が飛び交い合い、ぶつかっては紫電が迸る。
クォーツァーパレスをも飲み込む程の濁流が吹き荒れる。

「「「「ハァッ!」」」」

その中を掻っ切って、4つの人影が黒煙から尾を引いて飛び出る。
ソウゴ達だ。
誰一人欠ける事無く、遂にバールクスの巨体を穿ったのだ。
爆発の後光を受け地に佇む姿は、まさに勝利の凱旋だった。
勝利を確信し、しかし油断はせず振り向くソウゴ。
そこには、今まさにバールクスの巨体が崩れ落ちる瞬間があった。

「…終わったな、確実に。」

自重に耐えきれず罅に塗れ、音を立てて崩れ去る様を見て、ゲイツが確信する。
彼の言う通り、最早姿を維持する事も出来ない巨体は、瞬く間にバラバラになった。
破片となってカラコロと音を立て転がる装甲。
余程の熱量だったのか、赤熱して熔解し、夥しい程の火粉を舞い散らせている。
そんな残骸の爆心地に、常盤SOUGOは倒れ伏していた。
威厳を示す衣服とマントはボロキレと化して燃え尽き、煤と火傷に塗れた身体が残るのみ。
足元には、物言わぬガラクタと化したライドウォッチだった物があった。

「あ、ああ、俺の、計画が…」

己の最後を悟り、顔面蒼白になる常盤SOUGO。
呆然と己の身体を見下ろす姿は虚しくもあり、もはや彼には何も残されていない事の証左だった。
哀れと言う他無いだろう。
SOUGOの配下もまた、今頃同じ様に倒されている。
彼等クォーツァーの計画は最早、この鎧の如く塵芥へと還ったのだ。
今更、彼に成せる事など何もない。

「バールクス…」

そう呟くソウゴの目に映るSOUGOの姿には、もう威厳は無い。
頭部には亀裂が入り、ボディアーマーも所々が剥がれ落ちた様相は、まるで落武者だ。
その姿こそが、彼の覚悟の末路だ。
王として民を憂い、未来を作る為の革命を起こした男の最期としては、余りにも惨めで、滑稽なものだろう。
だが、ソウゴはその様に笑う気にはなれなかった。

「…どうしてくれる?」

ポツリと、怨念混じりの呟きがSOUGOから零れる。
恨み言だ。
しかし、その矛先は常磐ソウゴにではない。
SOUGOの目は、ただひたすらに空を泳いでいた。
道標を見失った旅人の様に。

「取り返しは付かない、付かなくなった。」

事実、彼にとってこれからの未来に何一つ見いだせる物が無い状態に陥っている。
平成をもう一度やり直し、美しい世を作る計画は泡に帰したのだから。
寄る辺も無く、成し得る事も成せず死にゆくだけの人生という恐ろしい物に、彼は今まさに直面していた。

「最早、この世に生きる価値は無い。」

力無く虚空を見る瞳は、まるで救いを求める放浪者。
そんな彼の言葉に呼応する様に、カランと音を立てて一つの剣が瓦礫の山から露わになる。
リボルケイン、バールクスを象徴する魔王剣。
それが今になって現れた事を前に、SOUGOは天命を悟った。
迷いは、無かった。

「っ待て、貴様!」

目的に気付いたゲイツの警告も耳には届かず、力無く倒れ伏していた体を跳ね起こし、縋る様に剣へと手を伸ばす。
そうして指先が柄に触れ、瓦礫の山から軽々と抜き取った。
そのまま、躊躇い無く自らの首へ_

_ガキンッ

撥ねる事は、叶わなかった。

「…何故、止める?」
「こんな結末、誰も望んでいないからだよ。」

横合いから差し込まれたソウゴの剣が、魔王剣を弾いていた。
SOUGOの手から離れたリボルケインは、音を立てて転がっていく。
最後の望みすら絶たれた様に、SOUGOは愕然と膝を付いた。
乾いた笑いを上げて、問いかける。

「ハッ、目の前で死なれると後味が悪いか?なら後でひっそりと死んでやる。これで満足か?」
「ううん、そうじゃないんだ。」

間髪入れず、ソウゴが否定する。
そこで初めて、SOUGOがソウゴを視界に捉えた。
目付きが、怒りの色に染まる。

「ならば何だ!?このまま生き恥を晒せと?そんな物は御免だ、意地でも死んでやるぞっ!」

その声色は、先程までの絶望感漂う哀れな男の声とは打って変わって、怒気に満ち溢れている。
最早、ソウゴを憎む敵として認識している。

「やり方はどうあれ、アンタはアンタなりに世の中を良くしようとしたんでしょ?」
「貴様に言われる筋合いは無いっ!!」

SOUGOの憤りは止まらない。
暗に肯定を意味していたが、だからこそ憤怒が湧き上がるのだ。
声を張り上げ、怒りに身を震わせるSOUGO。

「貴様が、貴様等が計画を潰しておいて、今更同情のつもりか!?」
「そうじゃないし、あんたのやり方には同意出来る所は無いよ。」

息を荒げ、胸ぐらを掴むSOUGOを前に、ソウゴは少しの間を置いてから、でも、と前置きして答える。
鋭い目付きから放たれる声色は、一変していた。

「誰に否定されても、やり方が汚くても、それでも人の為に戦ってきたんだろ!仮面ライダーとして!」
「なっ…!」

仮面ライダー。
その言葉の重みは、SOUGOにも分かっている。
分かるからこその計画だったのだから。
憤りをぶつけ合い、殴り掛かる。

「ふざけるなぁー!貴様に俺の想いが分かってたまるかっ!」

対するソウゴも、口内の切り傷から血反吐を吐きながら殴り返す。
驕る事無く本心をぶつけ合う、言葉の殴り合いがそこにあった。

「分かる!俺も世の中をより良く変えたいって、ずっと願って来た!」
「それは貴様が、替え玉だから_」
「替え玉だとか仮初だとか関係無いっ!俺が、そう思ったんだ!生涯の価値や意味なんて、誰かに決められるものじゃない!!アンタも、自分の人生を否定する事だけはやめろっ!」

再び拳を振り上げるソウゴ。
その瞳には、SOUGOが今まで見た事も無い、熱い光が宿っていた。
ソウゴもまた、心の奥底でやり直しが失敗したら、という恐れを抱いていた。
しかし、例え自分が偽物だとしても、自分なりに精一杯生きる事を貫き、故に仲間に恵まれた。
自分の道は間違いでは無いと信じてこれた。
だからこそ、ソウゴは本物である目の前の男に言ってやりたかった。

「アンタの人生は、紛れもなくアンタが選び抜いた道なんだ。なのに、簡単に諦めるなよ…!」

SOUGOの身体が、ピクリと震える。
その言葉に、SOUGOは一瞬言葉を失い。
振り上げたままの腕が、力無く垂れ下がった。
SOUGOの顔に、最早怒気の色は無い。
低く、くぐもった声でSOUGOは問う。

「…俺を生かした事、きっと後悔するぞ?」
「しないよ。」
「また、平成をやり直すかもしれんぞ?」
「その時はまた止めるよ、何度だって。」
「_そうか。」

小さく、そして確かに、常盤SOUGOは笑みを浮かべた。
そうしてゆっくりと空を見上げ、目を閉じる。
平成の世を揺るがした暴君は、最早そこに居い。
ソウゴの去り際、SOUGOが誰に言うでも無く独り言ちた。

「貴様が、本物の王だ。」

29人目

「終わらぬ因縁、新たなる同盟」

一方その頃、バーサル騎士ガンダム達はというと……

「ハァ!」
「ゴハッ!?」
「終わりだ、サタンガンダム!」
「クッ…」
(炎の剣の魔力……どうやらまだ我に馴染みきっていないようだな……)
「お前が何度復活しようとも、正義の前に敗れ去るのみだ!」
「フン、相変わらず虫酸の走る言葉を吐く。
騎士ガンダム……いや、バーサル騎士ガンダムよ。貴様はこの我が…ネオブラックドラゴンが殺す!それまで誰にもやられる事は許さん!」
そう言い残しネオブラックドラゴンはどこかへ消えていった。
「ネオブラックドラゴン……それがやつの新たな名か……ん?」
バーサル騎士ガンダムの目に写ったもの、それは巨大バールクスが撃破される光景であった。
「……どうやらソウゴ殿達も上手くいったようですな……」

「バーサル騎士殿、どうやらアビィ殿もアビダインの修理を終えたようです」
「よし、ならば皆と合流しよう」
バーサル騎士ガンダム達はアビダインに乗ってクォーツァーパレスへと向かった。



一方その頃クォーツァーと同盟を組んでいたアマルガムはというと
「……そうか、やはりクォーツァーはCROSS HEROESに破れたか……」
「やっぱりもっと多くの戦力を送っておいたほうが良かったんじゃないの?」
「いや、どうやら今回は彼ら以外にも何人か厄介なやつがいたようだ、だから例え全戦力を送ったとしても結果は変わらなかっただろう」
「そう……で、これからどうするの?同盟相手のクォーツァーが居なくなったらこっちとしてもまずいんじゃないの?」
「確かにそうだな。主力兵器であるAS以外にもクォーツァーの兵器や計画の為にトジルギアに関する技術の復元を行った際に、ついでに作れるようになったトジテンドの兵器も独自で量産できるように準備中とはいえ、CROSS HEROESが相手じゃ力不足だろう」
「じゃあどうするの?」
「なに、心配する必要はない」
「……と言うと?」
「既にクォーツァーに代わる新しい同盟相手の候補は決まっている」
「新しい同盟相手?」
「あぁ、今からその相手のところへ行って同盟組まないか交渉してくる」
「わかったわ……そういえばリ・ユニオン・スクエアに残ってるCROSS HEROESは今どうしてるの?」
「あぁ、そっちは現在、復活したミケーネと戦っているようだ……」
「……宗介もそっちなの?」
「そのようだ」
「そう……」
(宗介……アンタはまだあんな世界を守ろうとするんだ……)
レナードの言うクォーツァーに代わる新しい同盟相手とは、果たしていったいどこなのか……

30人目

【嵐の前の静けさ】

エーテル・クラウディアが行動し始めた
その裏でエピメテウスの塔で戦っていたが雪がお腹すいたと言ったので終点に一旦戻っていた異端者3人組と能力者2人組と楽士は終点で休憩していたのだった

「そういえば、夢美」

「ん?どったの、GV」

「どうして僕達を呼んだの?」

最初に口を開いたのはGVだった
彼は力を貸すのはいいけど、どうしてこんなところに呼ばれたのか全然もって説明されず
ずっとここまで来たことに疑問を感じている

「他のみんなも呼べばよかったのにどうして、僕とモルフォが?」

「ほら私、夢と決着付けちゃったから1部の繋がりが切れてしまってもう呼べないんだよ」

彼女の表情はいつにもなく寂しい顔をしていた

「・・・その、嫌なことを聞いたね」

「いいよ、気にしないでしっかり断ち切れたという証だからさ!」

「・・・うん」

「でもさ、今回ハッキング出来る力が欲しかったから、と今現時点で呼べるのが君とモルフォだったんだしさ」

「あ、なあ、話は変わるがGVの能力って・・・」

話を遮るかのように割り込む太陽であった。

「僕の能力というか第七波動(セブンス)って言うんだけど」

"第七波動(セブンス)"、俺の世界じゃ聞いたことがない。
なるほど、これが別世界の住人というわけか

「能力ではなく、第七波動か・・・」

「雷撃なんだ"蒼き雷霆(アームドブルー)"っていう」

バチバチと蒼雷を出し始め体表面を薄い電磁場の膜(フィールド)を作り始める

「まさかだけど、身体能力まで強化出来てそれで防御と攻撃両方出来るとは、器用だな」

「今の一瞬でよく分かったね・・・?」

「ははは。さあ、なんでだろうな?」

『ふっふーん!さっすがGV!』

GVが褒められたのかモルフォが突然現れて得意げにドヤ顔をしていた

「後は夢美が言った通り外部の電子機器をハッキングなんかもできたりするんだ」

「そうなのか、だとすると蒼き雷霆・・・恐ろしい力だ。敵じゃなくて惜し………よかった」

「今なんか言おうとしてたよね・・・?」

もし戦闘が出来たら絶対ワクワクしていた自分がいただろうと思うと少し本音が漏れた太陽だった。

『気になることといえば、夢美は前々から私のこと勝利の女神っていうけど私の第七波動は歌うことしか・・・』

「それは僕も前々から気になっていたんだけど」

「いやいや、モルフォはね、我が家の勝利の女神だからね!そのままでいてクレタマエ!」

夢美の瞳はいつも以上に輝いていた
何故ならば・・・

『なんだか、悪い気はしないわね』

「(だって、モルフォのファンなんだもーん!)」

で、ある。



「それはそうと、GV君料理・・・作れたんだね!(モグモグ)」

最初にお腹すいたと言い始めたのが雪
その後に食材やらなんやらを出したのが夢美
(ヘンテコな銃で不自然な)火を付けたのが太陽
見事な連携でGVが料理を作って
あっという間に料理が作られていったその光景をずっと見ていたのがムー君だった

「ちょっと色々あってね・・・それでどうかな?君たちの口に合うかどうか」

雪は無言で集中線を使い全力でサムズアップしていた

「集中線とか予算の無駄遣いだからやめてぇ!?」
(※予算なんてありません)

「おまっ、喋るか食うかどっちかにしろよな」

『ウソッ……集中線って予算だったの!?』

「そんなわけないだろ、真に受けるな」

エラく殺風景な終点は、いつもよりちょっと賑やかだった

「休憩したら探索再開するぞ」

「おけまる水産」

「GVGV、材料足りなかったら用意するからね」

「夢美は一体どこから材料を持ってきてるわけ?」

「(・・・賑やかだ)」

この後、夢美が手からポンポンとお菓子やらデザートやらを出してきたのはまた別のお話。