憧れの青春生活

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1人目

今日は待ちに待った高校の入学式だ。今日から俺の青春が幕を開けるのだ!
「よし、行くか」
俺は意気揚々と玄関を開けて外に出た。学校までは電車を使って30分くらいなので適当にスマホでもいじりながら行こうと思う。
駅について電車を待ってるとピロリンとニュースアプリの通知が表示された。
「ん?なんだ?」
気になって見てみるとどうやら最近話題の霊能力者華原涼介の記事だった。【華原涼介が霊能力で難病患者を治療】という見出しで動画付きで投稿されていた。
「へー、すごいなこいつ。まだ高校生なのにこんなことできるなんて。まあ胡散臭いけど……」
華原涼介と言えば今世間で騒がれている若き天才超能力者として有名な人物だ。
「まぁ、俺には関係ない世界だしな。とりあえず俺は俺の青春を楽しむだけだ!」
そうこうしているうちに電車が来たので乗り学校に向かった。


入学式を一通り終えて教室で担任の先生の話を聞いているところだ。
「とりあえず自己紹介から始めるか。じゃあ出席番号1番から順にやっていってくれ」
出席番号一番の生徒が立ち上がって名前を言い始めた。
「俺は篠原和真だ。趣味は映画鑑賞だな。よろしく頼むわ」
その後に続いて次々と自己紹介が行われていった。
そして俺の番になり、「俺は御厨悠二、趣味は読書とショッピングかな。みんなこれから仲良くしてくれよな」どうだ。陽キャっぽく自己紹介できただろ? その後はクラス全員分の自己紹介がありその日の授業は終了した。
ホームルームも終わり帰ろうとした時に声をかけられた。
「よう、悠二って言ったっけ?お前さっき自己紹介した時に読書って言ってたけど何読むんだ?俺結構本とか好きで色々読んでるんだけどオススメあるなら教えてくれないか?」
こいつは確か……
「ああ、いいぜ。えっと名前は……」
「あっ悪い、俺は佐々木拓海だ。気軽に拓海って呼んでくれ」
「おう、わかった。拓海これから暇か?なんなら一緒に本屋行かね?ちょうど新しい本が欲しかったんだよ」
「お、マジか!んじゃ早速行こうぜ」
こうして俺たちは2人で本屋に行くことになった。

2人目

拓海は学ランの似合うイケメンだった。学ランフェチの俺のストライクゾーンど真ん中!で思わず顔がほころびそうになるのを必死で抑える。
こんなイケメンが向こうから声を掛けてくるなんてラッキーだと思いながら校門を出れば拓海に話しかけられた。
「ところで悠二はどんな本が好きなんだ?」
「B・・・。」
やべえ、おもわずBL一択と叫びそうになった!!
「うーん・・・別にこれといって決まってないな。いろんなジャンルを読んでるからな!」
ホントはおもにBL中心で学園物の濃厚な絡みのあるのが好みだが。
「拓海はどんなのを読むんだ??」
「俺はプロレスとか男と男のぶつかり合うバトルものが好きかな。中学の時ずっとレスリングしてたし格闘技はみるのもやるのも好きなんだ。」
なるほどな。確かに細マッチョでスポーツマンっぽい感じするもんな。でも男と男の絡み合いか・・・考えただけでよだれが出てくるぜ・・・。
そんな話をしていれば目的の本屋に着いた。
店内に入りそれぞれ好きなように見て回ることにした。
1時間後、そろそろ解散するかとなった時拓海が突然こんなことを言い出した。

「そうだ悠二。せっかくだし連絡先交換しないか?」
キタコレ!!!これは間違いなく友達になれるチャンスだな。しかも相手から言ってくるとは好都合すぎるぞ!
「おお、もちろんいいぜ!」
そう言うと同時にお互い携帯を取り出して連絡先の登録を行った。
よし、これでいつでも連絡ができるぞ!
「よし、それじゃまた明日学校で会おうぜ!」
拓海はそう言って去っていった。
「よし、今日から拓海のBL妄想に使えるネタが増えるぞ!!」
こうして俺は高校生活初日を終えたのであった。
入学してから数日経ったある日のこと、いつものように登校していたら後ろから声をかけられた。
「おはよう、悠二くん。」
振り向くとそこには美少女がいた。
肩にかかるくらいの長さの黒髪に整った顔立ち、少し幼げな雰囲気があるもののどこか大人っぽさを感じさせる少女だった。
「ああ、おはよう華原さん。」
彼女はこの前席替えをした時に隣の席になった華原涼香だ。
最初はあまり話したこともなかったのだが最近よく話すようになった。というのも、彼女の方からやたらと事ある毎に話しかけてくるのだ。
その理由はいまだに分からない。
華原涼香はクラスでトップクラスの人気を誇っているため男子からの注目度も高い。ちなみに俺はというと特に目立つこともなく普通といった立ち位置だ。
正直、華原涼香みたいな美少女と同じクラスになれたのは男の立場としては嬉しいんだろうが、俺はどちらかと言うと可愛い女の子より綺麗な顔のイケメンの方が好みだから微妙だ。
まあ華原と仲良くしてればイケメンも集まってくるだろうし損はないはずだと思っておこう。

3人目

華原と拓海と3人でよく話すようになって1週間がすぎた時に「またお兄ちゃんが炎上してる……。」と落ち込んだ様子で呟いているのを聞いてしまった。
「華原って兄がいたのか?」
「うん、双子なんだけどね、華原涼介って知ってる?」まさかあの霊能者と言われている華原涼介の双子の妹だったとは。
「ああ、霊能力者の天才だろ?すごいよな。」
拓海も知っている様子だった。
「そうなんだよ。私と違って昔からなんでもできてすごいんだよ。それで周りの人たちからも一目置かれてるんだけど、インチキとか言われて叩かれてることがあってさ。」
「あ〜、よくあるアンチって奴か。」
「ネット民はこういう霊能者とか叩くの好きなイメージあるからな……。」
これは俺がそう思っているだけだが、ネットでは匿名掲示板なのを良いことに好き勝手言ってる輩が多い気がする。
「だからね、お兄ちゃんの力が本物だって証明するの手伝って欲しいの!拓海くんと悠二くんにしか頼めなさそうなのよ。」
「俺は別に構わないけど、拓海はどうだ?」
拓海に聞くと快く引き受けてくれた。
「俺もいいぜ!面白そうだしな!」
「ありがとう、放課後私の家に案内するね!」
そして放課後になり、華原の家に向かうと家の前にネットニュースとかでよく見る華原涼介の姿があった。華原涼介も学校帰りなのか制服姿だった。
(華原涼介の学校ってブレザーなんだ、でもよく似合ってるし、学ランでも似合いそうだな。イケメン最高……。)
そんな事を考えているうちに華原が「お兄ちゃん連れてきたよ、協力してくれる人!」
と言ってくれたおかげで俺の存在に気づいてくれこちらに向かってきた。
「はじめまして、君たちが俺の力を本物だと証明してくれる人達か?よろしく頼むよ。」
そう言いながら爽やかな笑顔を向けてくるイケメンだった。
「は、はい!御厨悠二です。」
「佐々木拓海です。」
緊張した面持ちで自己紹介をする俺たち。
「ああ、そんなに固くならないでくれ。気軽に接してくれていいから。」
「は、はぁ……」
イケメンの微笑みの破壊力は半端なかった。

「それで、お兄ちゃん何するつもり?」
「俺はこの二人にとある呪いをかける。」
「えっ!?」
「ちょっ……マジか?」
「ああ、マジだ。」
その言葉を聞いた瞬間に俺たちは血の気が引いていたと思う。
「大丈夫だよ、危険な呪いじゃないから。」
「そ、そうなんですか?」
「ああ、俺の力を信じてくれ。」
「わ、わかりました。」
こうして俺たちは華原涼介の呪力(?)を受けることになった。
「じゃあ始めるぞ。аζξΗФСЩУРТНМЩЬФ!よし、これで完了だ!」
とはいえ俺も拓海も特に体の変化は感じられなかった。
「特に変わったところはないですね?」
「すぐにわかるさ。」
どのような呪いを受けたのか知らされないまま俺たちはその日帰された。

そして翌日、「悠二おはよう!」と微笑む拓海の顔を見るとなんだか胸がドキドキする感化になった。
(うわっ拓海笑った顔もかっこいい……。抱きつきたい……。)
「拓海おはよう。」
と体の制御も効かずに俺は拓海に抱きついてしまった。