やり残したこと

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1人目

8月31日 日曜日 21時27分
「やっと宿題終わった。」
「全く、俺は毎年コイツのせいで、夏休み最後の日が潰れる。」
「たかし君、来年こそは毎日コツコツやるんだよ。」

2人目

妹のゆいが母の真似をして目を擦りながら囁いた
。小4の妹にはもう眠気が猛襲しているのだろう。
先刻までの勢いばどこにいったのか問いたくなるような目をしていた。
最後の宿題は「国語」で敬語の問題を解いていた。問題文でよく出てきた貴君(きくん)をたかし君と言って騒いでいたのか嘘のようだ。
しかしここまで宿題に付き合ってくれたゆいには感謝しか無い。

「うん。ゆい、ありがとう。」
「ううん、いつもゆいの宿題手伝ってくれるから……」

奥歯にものが挟まった言い方が気になる。

「どうした?ゆい?」
「……なんか、、、いや、何もない。」
「そうか…」
「明日、学校だからもう寝るね。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」

3人目

翌朝、大きな声でたかしは目を覚ました。
「と、言う話なんですけど、どう思います?たかし君」司会の坂上忍が言う。
眠い目を擦ると、そこにはワイドショー番組であるバイキングのスタジオが広がっていた。

4人目

え…?


という声がスタジオ中に広がった。
残念ながらバイキングは生放送だ。旧Twitterは疑問に溢れているだろうな。
プロの進行のおかげでなんとか番組終了まで乗り切った。プロって凄いな。

どうやらこの世界で俺は「木下たかし」というらしい。たかし、、、?聞いたことあるな。
そうだ。夏休みの宿題で貴君をたかし君と間違えたんだ。そうか、、、

そんなこんなでいろいろ考えていると楽屋に坂上忍がやってきた。

「今、ちょっといいかな?」

5人目

「うわあああああああっっっっ!!!!」

俺は驚きのあまり、咄嗟にピストルを取り出すと、坂上忍めがけて撃ちまくった。

しかし弾は1発も当たらなかった。

「何してんだ!」

「警察警察警察!」

やばい!逃げるぞ!俺はすぐに楽屋をずらかった。

宿題をやらないと!やらないと!

俺は家に帰ったが、そこは更地になっていた。

パトカーのサイレンが聞こえる。

数千台のパトカーに取り囲まれ、一斉に銃で狙われる。

「撃てええええええっっっ!!!」

刑事の号令と共に、数千発の弾丸が俺めがけて発射された。