カルチャフィクションファンタジー
なんだろうな。
まず一つだけ、間違えないで欲しい。
これは善悪論だとか、正義の味方だとかあいつが悪の権化だとか……そういうものじゃないんだ。
ただわかって欲しいのは、俺たちが戦ったのはあくまで『必要だった』からだ。
戦わなくては、今頃多くの無関係の人々が死んでいたし、俺達も帰ってこられなかった。殺したし、殺されもしたんだ。言うなれば生残るための殺しだった。
あの時俺たちが引き金を引かなければ、俺たちはもちろん手を汚さずに済んだ。そして俺たちが殺した奴らも、今頃は家族と食卓を囲んでいたかもしれない。
でも、その後はもう全ておしゃかさ。
―――みんな死んでた。生きとし生けるものをただ呼吸して、幸せな夢を見ながら朽ちていく糞袋に変えちまう悪魔の魔法さ。
王立魔法院だとか何とか大層な名前で、俺たちから少しずつ集めた税金で、奴らは更なる次元の生命への到達だとか言って、何も言わぬまま俺たちを実験台にしようとした。
そこには確かに奴らなりの考えがあったんだろう。永遠の命、永劫の幸福、色々と言いたいことはあるだろうさ。
でも、俺は嫁とガキをこの手で抱いて、その温かさを確かめたいんだ。
美味い飯食って、汗水流して、夜は家族の温もりを感じたいんだ。夢じゃなく、この体で。
だから殺した。ロワールの森から来たエルフも、大嶺のドワーフも、いいヤツらだった。でもダメだ。魔法院の奴らは全員狂ってる。俺から見たら全員狂ってた!
だから殺した。エーテルへの帰還こそが神の意思だとか言ってたが、そんなことのために俺は生きてきたんじゃない。
……それじゃ話していこうか。
別に長くはならない。ただ俺たちが銃を取って、全員を二度とあの狂気の研究を出来ないようにしてやった、その顛末を話すだけだ。
始めよう。