或いは違う道を選べたのだろうか?

1 いいね
500文字以下 20人リレー
4か月前 176回閲覧
  • 自由に続きを書いて
  • 残酷描写無し
  • SF
  • 楽しんだもの勝ち
  • 性的描写無し
1人目

 長年連れ添った妻が亡くなった。大往生だったと思う。

「美智子よ。なんで先に逝く……」

 なんの取り柄もない人生。やるせない気持ちになる。片腕をもがれたような、そんな気分。そんなワシだったが、ある日、目を覚ますと……。

「若返ってる!?」

2人目

 ワシは何度も目をこすった。
 間違いない。若返っている。この見た目は、19か20か……。
 しかも、場所もワシの実家だ。カレンダーを見ると、4月7日であった。ワシは目を見開く。
 美智子の誕生日じゃないか……。
「しかし、この頃といえば、まだアイツとは出会ったばかりじゃな……」
 かつて美智子が住んでいた家の場所は鮮明に覚えている。それどころか、アイツに関する記憶は何もかも残っている。
 しかし、いきなり家に押しかけ贈答品(プレゼント)を贈るなぞ、すぐに警察に引き渡されるに違いない。
「それに、アイツは元令嬢じゃったしのぉ」
 ワシは目を細めて記憶をたどる。始めて会った時から彼女は美しかった。聞けば財閥のご令嬢だったのだから驚くほかない。よくもワシのような一般市民が結婚できたもんだと我ながら不思議に思う。
「しょうがない。一応外に出てみるかね」
 下駄に足を引っ掛け、ワシは外へと足を踏み出す。
 すると。
「あ、松井様ですか?」
 ワシは何度も目を瞬(しばたた)いた。そしてまた目をこする。ワシは今日だけで何回目をこするんじゃろう。
 そこにいたのは、若き日の美智子だった。