アトリエにて

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1人目

みんなが僕を見ている。
座ったままの姿勢で人の目にさらされる感覚。
そのことには何の感情もなかったが、松尾さんの視線だけは別だ。
松尾さんが鉛筆を走らせる音だけが僕の耳に届く。
この絵画教室では持ち回りでデッサンモデルをやることになっていて、
今日は僕がモデルをやることになっていた。

2人目

僕は椅子に座り、松尾さんを見ている。この1時間だけは、どれだけ松尾さんを見つめていようと、誰も気に留めない。松尾さんはイーゼルと僕とを交互に見ながら、真剣な顔で鉛筆を走らせる。
松尾さんの視線が僕に移る。僕はごくりと唾を飲み込み、その強烈な視線に打ち据えられる。僕を、僕の本性までを見透かすような視線だ。
松尾さんの視線がイーゼルに移る。僕は、あれ以上の視線には耐えられなかったかもしれないなどと訳の分からないことを考えながら、しかし一抹の寂しさを覚える。

だが、すぐにあの目は僕に帰ってくるはずだ