食べ物ファンタジー(TF)
僕、新田新太は下校中に亡くなりこの中世ヨーロッパ風の世界へと転生したようだ。
「異世界か……」
僕は町の真ん中でそう呟いた。だが僕は今、ワクワクが止まらないでいた。
「やった! 異世界だ!」
異世界それは男子が憧れ妄想する世界。これでテンションの上がらない男子はいないだろう。
「とりあえず、町を探索だ!」
僕は異国の町を小走りで探索をした。
「ここは……武器屋!」
町を探索すると、1軒の武器屋を発見したのだ。
僕は武器屋の扉をギギギっと押す。
「いらっしゃい」
扉を開けると期待通りとも言える。ガタイがよくぶっきらぼうな店主が腰を掛けていた。
僕はキラキラと目を輝かせて店内を見渡す。
「おぉ〜!」と感性の声が漏れてしまう物を見つけてしまった。
(これはファンタジーでお馴染みの木の棒!)
「店主! この武器持ってみてもいいですか?」
「おぅ、構わねぇぞ」
僕は飾られている木の棒に近寄る。
(凄い! これが木の棒か! でも何か細いような……)
僕は木の棒を持つと木の棒はへにゃっと曲がる。
「これって…まさか」
「あぁ、うち1番のゴボウだ!」
「おうオヤジぃ!ここは八百屋かァっ!?」
「オモテの看板見えねえのか?武器屋に決まってんだろ!」
「武器ってこれ、ゴボウじゃねえか!」
「はぁ~……」
オヤジがため息をつく。ため息を吐きたいのは俺だよ!
「いいかボウズ……『ステータス』!」
僕の目の前にステータスウインドウが表示される。……あっ!初ステータスがオヤジに取られた!っていうか自分以外にも発動できるの!?
「ここがお前のATKだが、25、アメリカザリガニの雌くらいのパワーだ。」
「それ突っ込まなきゃダメか?」
「そしてその横に書かれた+345、この数字がゴボウ装備時の値だ」
「なぁーんか、食べ物を粗末にしてるようで気が引けるけど、仕方ねぇな。」
「おいおいボウズ、勝手に持って行くんじゃねぇ、ちゃーんと代金払ってもらわねぇと。」
あ…ヤバ…忘れてた…
異世界に来た喜びでいっぱいだった俺に、『現実的な問題』が付きつけられる。
俺はひとまず、服の至る所にあるポケットを探ってみた。
…が、案の定、コインの一枚も入ってない。
俺がどうして青い顔をしているのか、鍛冶屋のオヤジは察した様子で、溜息をつきながら、俺に一つの提案をする。
「なら『ダンジョン』に行って、自分で採ってこい。」
「…『採ってこい』???」
「今のヘナチョコ(Lv1)のお前には酷だろうが、もしかしたらコイツ(ゴボウ)より、も
っと強い武器が手に入るかもしれないぞ。」