テイルズオブデスティニー外伝 再会と新たな絆~時の狭間で交差する想い~
ミクトランが倒れてから数年の月日が流れた。
世界は以前と変わらぬ穏やかな日々を取り戻し、スタン・エルロンは、故郷であるリーネの村に近い小さな山小屋で静かに暮らしていた。
ディムロスは彼の心の中で穏やかに眠り、時折、懐かしい声が聞こえるだけだった。
ある晴れた日の午後、スタンはいつものように山道を散策していた。
木漏れ日が心地よく、鳥のさえずりが耳に優しい。
ふと、足元に落ちている見慣れない紋様が刻まれた石に気づいた。
何気なく手を触れた瞬間、強烈な光がスタンを包み込んだ。
「うわっ!」
咄嗟に目を閉じ、身構える。
光が収まると、スタンは自分が全く知らない場所に立っていることに気づいた。
鬱蒼とした深い森の中。
空気は湿っぽく、奇妙な植物が生い茂っている。
方角も分からず、一体どこへ来てしまったのか皆目見当もつかなかった。
不安を覚えながらも、スタンは周囲を警戒しつつ歩き始めた。
どれくらい歩いただろうか。
開けた場所に出ると、小さな村が見えてきた。
古びた木造の家々が立ち並び、人々が忙しそうに行き交っている。
見慣れない服装の人々ばかりだった。
「ここは一体……?」
村に近づこうとしたその時、背後から鋭い声が響いた。
「そこのあんた!見かけない顔ね。一体何者?」
振り返ると、一人の少女が腕組みをしてスタンを睨んでいた。
鮮やかなオレンジ色の髪をポニーテールにし、きりりとした眼差し。見覚えのあるような、ないような……。
「あ、ああ……俺はスタン。ちょっと道に迷って……」
スタンがそう答えると、少女は訝しげな表情を浮かべた。
「スタン?そんな名前、この村じゃ聞いたことないわね。それに、その格好も……まるでよそ者じゃない」
少女の言葉に、スタンは胸騒ぎを覚えた。
まさか、こんなにも見知らぬ場所に来てしまったのか。
「あの……君は?」
恐る恐る尋ねると、少女は少しだけ警戒を解いたように見えた。
「私はルーティ・カトレットよ。この村の用心棒をしているの」
ルーティ・カトレット。
その名を聞いた瞬間、スタンの心臓は激しく脈打った。ルーティ……まさか、あのルーティなのか?しかし、目の前にいる少女は、スタンが知っているルーティよりも幾分か幼い印象で、何よりも、その瞳にはスタンに対する何の感情も宿っていなかった。
まるで、全くの他人を見るような冷たい視線だった。