ダークスイムクラブ

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  • 性的描写有り
  • 現代ドラマ
  • ヒロイン増やすのあり
  • 楽しんだもの勝ち
1人目

東京某所の高層ビルの地下に一般には知られていない25mプールがある。そのプールは「ダークスイムクラブ」なる組織が主催する非公式の競泳大会専用に作られた。毎週金曜日の夜に現役トップや第一線から退いた元選手、水泳が特技という著名人など女性スイマーが公式の大会ではありえないレギュレーションで鎬を削る。レースを見ることができるのはオンラインで登録した会員のみ。会員はレースの勝者を予想する賭けにも参加できる。そして参加する選手にはギャラの他に着順に応じた賞金も贈られる。
そんなアンダーグラウンドの舞台に世界的なトップスイマーの1人に数えられる竹内里帆(たけうち・りほ)が参戦する。

2人目

その日、里帆は静かに更衣室のロッカーを開けた。漂う塩素の匂い、遠くから聞こえるプールの水音。それは慣れ親しんだ匂いと音のはずなのに、どこか違って感じられた。ここは、これまで彼女が泳いできたどんなプールとも異質な空気をまとっていた。
「里帆ちゃん、今日からよろしくね」
背後から優しい声がした。振り返ると、そこには引退した今もなお伝説として語り継がれる元スイマー、星野マキが立っていた。彼女は里帆の高校の先輩であり、里帆がこの世界に入るきっかけを作った人物だった。
「マキさん、お久しぶりです。まさかここで会うとは…」
「ここなら稼げるって話、聞いたでしょ?私たちみたいな選手は食べていくのも大変。でもここは違う。実力さえあれば、いくらでも稼げる。賭けの胴元からもらうギャラと、レースで勝った時の賞金。そして、会員向けの限定イベントに出演したり、ファンクラブを作ったり…。ビジネスチャンスは無限にあるわ」
金のことしか言わないマキに、里帆は複雑な感情を抱いた。
彼女がここに来たのは、金のためではない。いや、正確には違う。金は必要だ。